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建築物等震災対策事業について

北栄町耐震改修促進計画の目的等 目的 本計画は 町民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある地震被害から 町民の生命 財産を保護するとともに 地震による被害を軽減し 社会秩序の維持と公共の福祉に資するため 建築物の計画的な耐震化を促進することを目的とします 計画の実施期間 本計画の実施期間は 国及び県の実

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病院等における耐震診断 耐震整備の補助事業 (1) 医療施設運営費等 ( 医療施設耐震化促進事業平成 30 年度予算 13,067 千円 ) 医療施設耐震化促進事業 ( 平成 18 年度 ~) 医療施設の耐震化を促進するため 救命救急センター 病院群輪番制病院 小児救急医療拠点病院等の救急医療等を担

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

Microsoft Word - 耐震改修促進計画【概要版】(第2期計画)(H28.3)施行

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Microsoft Word - 02.H28秋 重点提言本文【合本】1110.doc

基本方針

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

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第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画


国の法令改正等の反映近年行われた国の法令改正や防災基本計画の修正内容を反映しました 市町村が 指定緊急避難場所及び指定避難所の指定を進めることを追加 市町村が 被災者の被害状況 配慮事項等を一元的に集約した被災者台帳を作成し 総合的かつ効果的な支援の実施に努めることを追加 首都直下地震対策特別措置法

Microsoft Word - 09安城中部.docx

地区概況 7-6 ( 旧 ) 平三小学校 大字 平蔵 米原 小草畑 概要市の南東部に位置し 長南町 大多喜町に接している 丘陵地と平蔵川沿いの低地からなり 丘陵地にはゴルフ場が複数立地し 低地では 民家や農地が分布する 地区を南北に国道 297 号が通り 国道 297 号沿いには小規模な造成宅地があ

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中央区耐震改修促進計画(資料編)

第 3 号様式 ( 第 3 条関係 ) 不燃化推進特定整備地区整備プログラム 品川区 豊町 丁目 二葉 3 4 丁目及び西大井 6 丁目地区 平成 25 年 11 月第 1 回変更認定平成 27 年 10 月第 2 回変更認定平成 29 年 3 月 品川区

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

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大規模災害対策マニュアル

三郷市地震ハザードマップ

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Microsoft Word - 目次

スライド 1

H19年度

5

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

三鷹市耐震改修促進計画(改定素案)

2 これまでの木造住宅密集市街地対策の課題 (1) 対象地域の拡大 ( 資料 3を参照 ) 防災上課題があるとして指定している いえ みちまち改善事業 対象地域以外でも火災による被害が大きく想定される地域が広く存在しています (2) 火災延焼に係る甚大な被害火災による焼失棟数 死者がこれまでの想定に

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Microsoft Word - 男鹿市耐震改修促進計画.doc

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資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局


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1 情報通信基盤の整備

南海トラフ地震発生時の不安 南海トラフ地震が発生した場合 不安や危険に思うことは何ですか?( は 3 つまで ) 66.7% の人が 自宅の倒壊や損壊 49.2% の人が 家族等の安否やその確認手段 と答えています 自宅の


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3 熊野地区 被災 共助 第 3 回ワークショップの議論をもとに わが地区における地震による時系列での と それへの 共助 をまとめました 1 建物倒壊 注 1 の は活動内容を示し は活動準備を示す 老朽木造住宅面的被害木造密集市街地激しい揺れブロック塀 電柱の倒壊建物倒壊家具の転倒ガラスの飛散生

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油漏洩 防油堤内 にて火災発生 9:17 火災発見 計器室に連絡 ( 発見 者 計器室 ) 発見後 速やかに計 器室に連絡してい る 出火箇所 火災の状況及び負傷者の発生状況等を確実に伝え 所内緊急通報の実施 火災発見の連絡を受 けて速やかに所内 緊急通報を実施し 水利の確保 ( 防災セ ンター 動

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地区概況 5-1 湿津小学校 大字 久々津 潤井戸 うるいど南 1 丁目 ~7 丁目 下野 喜多 犬成 大作 滝口 勝間 葉木 小田部 荻作 神崎 概要地区北部は村田川沿いの低地 その他の地域は台地からなる 地区の東側を支川村田川が 西側を神崎川が南北に流れる これらの河川に沿って地区の中央部を主要

今治市地域防災計画とは 計画の目的 地域防災計画は 災害対策基本法第 42 条の規定に基づき 今治市防災会議が作成する計画であって 今治市に係わる災害に対して 市 県 防災関係機関が 市民の協力のもとに 災害対策を実施することにより 市民の生命 身体及び財産を災害から守ることを目的として定めています

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防災情報のページ

スライド 1

「南九州から南西諸島における総合的防災研究の推進と地域防災体制の構築」報告書

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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2014年度_三木地区概要

スライド 1

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

新 市 用

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目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

Ⅳ-2 神奈川県の被害想定 図表 神奈川県の表層地盤のゆれやすさマップ 表層地盤のゆれやすさ全国マップ について平 成 17 年 10 月 19 日内閣府政策統括官 ( 防災担当 ) 地震による地表でのゆれの強さは 主に 地震の規模 ( マグニチュード ) 震源からの距離 表層地盤 の3

序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改め

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(100817)

北上市住宅・建築物耐震化促進計画

7 制御不能な二次災害を発生させない 7-1) 市街地での大規模火災の発生 7-2) 海上 臨海部の広域複合災害の発生 7-3) 沿線 沿道の建物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺 7-4) ため池 ダム 防災施設 天然ダム等の損壊 機能不全による二次災害の発生 7-5) 有害物質の大規模拡散 流出

1 検査の背景及び実施状況 (1) 参議院からの検査要請の内容 参議院からの検査要請の内容は 公共建築物 ( 官庁施設 教育施設 医療施設等 ) における耐震化対策等に関する次の各事項である 耐震診断の状況 耐震改修の状況 東日本大震災に伴う被災等の状況 (2) 公共建築物における耐震化

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

豪雨災害対策のための情報提供の推進について

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

防災業務計画 株式会社ローソン

山県市地域防災計画【 改訂版】

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10 地震 火山噴火対策等の推進について 近年 我が国は様々な災害に見舞われている 東日本大震災後も 平成 28 年の熊本地震 本年 6 月の大阪府北部地震及び9 月の北海道胆振東部地震など大規模な地震が発生し 多大な人的 物的被害が発生した 地方公共団体においては 突然発生する大規模自然災害に備え

2 地震 津波対策の充実 強化 (1) 南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を踏まえ 地震防災上緊急に整備すべき施設整備 津波防災地域づくりに関する法律 の実効性確保 高台移転及び地籍調査の推進など事前防災や減災に資するハード ソフトの対策を地方公共団体が重点的に進めるための財政上の支援措置を講じ

本書の目的介護保険サービス事業所は, 高齢者の方が多く利用しており, 災害発生時には避難等の援助が必要となるため, 事業者は, 災害発生時に迅速かつ適切な行動をとれるように備えておく必要があります 本書は, 介護保険サービス事業所が災害対応マニュアルを作成する際に特に留意する点についてまとめています

161019_発表資料_後日訂正版_HP用

Microsoft Word - 2 【茨城県】詳細報告書案_調査概要-9.docx

ハザードマップポータルサイト広報用資料

(6) 八丈町役場 青ヶ島村役場 八丈町災害対策本部 青ヶ島村災害対策本部の設置 7 訓練の様子 (1) 八丈町避難誘導訓練地震時における総合的な避難訓練と火山噴火時における避難訓練を併せて行い 八丈町及び防災関係機関並びに住民がとるべき防災処置を実践し 地震災害 火山噴火災害に対応した防災対策の習

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第3編 災害応急対策

1 整備目標 方針 地区名大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目地区位置東京都品川区大井五 七丁目 西大井二 三 四丁目の全域地区の現況 課題 現状 当地区は 品川区の南に位置しており 北側に滝王子通り 東側に補助 28 号線 ( 池上通り ) 西側にJR 東海道新幹線及びJR 横須賀線 南側に大田区

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

- 1 - 参照条文建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令案建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令(平成七年政令第四百二十九号)(抄) (通行障害建築物の要件)第四条法第五条第三項第二号の政令で定める建築物は そのいずれかの部分の高さが 当該部分から前面道路の境界線までの水平

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

白紙のページ

資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

密集市街地対策推進チーム会議 を開催都市整備推進センターによる新たな支援を開始 9 月 : 地元市への専門家派遣を開始 ( 寝屋川市 ) 門真市 都整センター NPO で ローラー作戦実施に向けた協定締結 10 月 : 空家 空地実態調査を委託契約 住宅 建築物の耐震化の促進 < 今年度何をするか

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緊急緊急消防援助隊について消防援助隊の概要 目的 地震等の大規模 特殊災害発生時における人命救助活動等を効果的かつ迅速に実施する消防の援助体制を国として確保 創設の経緯等 阪神 淡路大震災での教訓を踏まえ 平成 7 年に創設 平成 15 年 6 月消防組織法の改正により法制化 平成 16 年 4 月

⑴ 政策目的 市街地再開発事業の推進により 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るとともに コンパクトシティの推進及び密集市街地の解消を図る 新設 拡充又は延長を必要とする理由 ⑵ 施策の必要性 以下の施策の推進のため 本措置の延長により 民間事業者による早期かつ着実な保留床の取得を促

大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

目 次 1. 計画の概要 (1) 計画策定の趣旨... 2 (2) 計画の位置づけ... 3 (3) 計画期間 神戸市で今後発生が想定される地震規模 被害の状況 建築物の耐震化の現況と目標 3-1 住宅の耐震化 (1) 住宅全般の現況と目標... 7 (2) 市営住宅

宮城県総合防災情報システム(MIDORI)

葛飾区

国土技術政策総合研究所 研究資料

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Transcription:

第 6 章 対策効果の分析と効果的な防災対策の検討 6.1 対策効果の分析 (1) 効果分析の方針 都心南部直下地震 ( 津波以外 ) 大正型関東地震 ( 津波 ) を対象に 以下の項目 について対策効果の分析を行った ア建物耐震化による対策効果木造建物 非木造建物の耐震化が進んだ場合の 建物被害 人的被害 火災被害 経済被害 の低減効果を試算した なお 耐震化率 ( 建物全体に占める新耐震建物の割合 ) は市区町村で差があるため 各市区町村で現況の耐震化率が 10% 20%( 木造建物の場合は 30% まで ) 増加した場合で 試算している 耐震化の指標は 建物全体に占める新耐震建物 ( 本調査では 木造建物は 1981 年以降 非木造建物は 1982 年以降に建設された建物としている ) の率を用いている なお 神奈川県における現況の耐震化率は 木造建物で 59% 非木造建物で 74%( いずれも平成 25 年 1 月現在 ) として設定している イ 家具固定率の向上による対策効果 建物内の家具固定率が向上した場合の 人的被害 の低減効果を試算した ウ 電気を要因とする出火低減の対策効果 電気を要因とする出火が無くなった場合の 火災被害 の低減効果を試算した エ 初期消火率の向上による対策効果 初期消火率が向上した場合の 火災被害 の低減効果を試算した オ消防力 水利が向上した場合の対策効果消防ポンプ車が増加した場合と貯水槽を耐震化した場合の 火災被害 の低減効果を試算した カ早期避難を実施した場合と津波避難施設を設置した場合の対策効果津波の来襲時間が短い大正型関東地震を対象に 早期避難を実施した場合と津波避難施設が近隣に設置された場合の 人的被害 の低減効果を試算した 現況の避難率は 県民アンケート調査結果より 地震発生後すぐに避難する率が 30% 避難するがすぐには避難しない率が 60% 避難しない率が 10% とし 早期避難では 地震発生後すぐに避難する率が 70% 避難するがすぐには避難しない率が 30% 避難しない率が 0% と設 303

定した 津波避難施設 とは 避難途上で津波が迫った場合にすぐに避難ができる避難ビルや避難施設をいう ここでは 250m メッシュ内に最低 1 箇所の避難施設がある場合 (3 分以内で避難できる範囲 ) を想定している 304

(2) 対策効果試算の設定 対策効果の試算結果を以下に示す ア建物耐震化による対策効果 木造建物 都心南部直下地震 全壊棟数 ( 棟 ) 半壊棟数 ( 棟 ) 現況の被害 41,220 175,890 耐震化率 +10% の場合の被害 32,060 140,330 ( 減少率 ) 22.2% 20.2% 耐震化率 +20% の場合の被害 22,900 104,780 ( 減少率 ) 44.4% 40.4% 耐震化率 +30% の場合の被害 14,150 70,420 ( 減少率 ) 65.7% 60.0% 都心南部直下地震 建物倒壊による 炎上出火件数 死者数 ( 人 ) 現況の被害 1,560 210 耐震化率 +10% の場合の被害 1,210 6 件減少 ( 減少率 ) 22.4% 2.9% 耐震化率 +20% の場合の被害 870 12 件減少 ( 減少率 ) 44.2% 5.7% 耐震化率 +30% の場合の被害 540 19 件減少 ( 減少率 ) 65.4% 9.0% 305

非木造建物 都心南部直下地震 全壊棟数 ( 棟 ) 半壊棟数 ( 棟 ) 現況の被害 20,480 42,650 耐震化率 +10% の場合の被害 14,970 40,020 ( 減少率 ) 26.9% 6.2% 耐震化率 +20% の場合の被害 9,630 37,440 ( 減少率 ) 53.0% 12.2% 都心南部直下地震 建物倒壊による死者数 ( 人 ) 全出火件数 現況の被害 600 120 耐震化率 +10% の場合の被害 450 3 件減少 ( 減少率 ) 25.0% 2.5 耐震化率 +20% の場合の被害 290 7 件減少 ( 減少率 ) 51.7% 5.8% 死者数は 揺れによる死者数 ( 非木造建物のみ ) 306

経済被害 木造建物 都心南部直下地震 建物被害 ( 億円 ) 現況の被害 26,310 耐震化率 +10% の場合の被害 20,820 ( 減少率 ) 20.9% 耐震化率 +20% の場合の被害 15,330 ( 減少率 ) 41.7% 耐震化率 +30% の場合の被害 10,050 ( 減少率 ) 61.8% 揺れによる被害のみ 非木造建物 都心南部直下地震 建物被害 ( 億円 ) 現況の被害 64,650 耐震化率 +10% の場合の被害 54,810 ( 減少率 ) 15.2% 耐震化率 +20% の場合の被害 45,200 ( 減少率 ) 30.1% 揺れによる被害のみ イ家具固定率の向上による対策効果 屋内収容物による人的被害 都心南部直下地震 死者数 ( 人 ) 現況の被害 (30%) 320 家具固定率 50% の場合の被害 240 ( 減少率 ) 25.0% 家具固定率 85% の場合の被害 140 ( 減少率 ) 56.3% 307

ウ電気を要因とする出火低減の対策効果 火災 都心南部直下地震 全出火件数 炎上出火件数 焼失棟数 現況の被害 500 340 37,600 電気火災無しの場合の被害 350 230 28,100 ( 減少率 ) 30.0% 32.4% 25.3% エ初期消火率の向上による対策効果 火災 都心南部直下地震 炎上出火件数 焼失棟数 現況の被害 310 37,600 初期消火率 80% の場合の被害 280 34,500 ( 減少率 ) 9.7% 8.2% 初期消火率 100% の場合の被害 240 28,400 ( 減少率 ) 22.6% 24.5% 初期消火率は 震度 6 弱以下 の値 震度 6 強 震度 7では初期消火率が低下する 初期消火率は 全出火から炎上出火に至る過程で考慮されている オ消防力 水利が向上した場合の対策効果 1 消防力 ( 消防ポンプ車 ) が増加した場合 火災 都心南部直下地震 延焼に至る出火件数 焼失棟数 現況の被害 100 37,600 消防ポンプ車が1.5 倍になった場合の被害 80 33,800 ( 減少率 ) 20.0% 10.1% 現況消防ポンプ数は約 700 台で 1.5 倍にした場合は 1,050 台 ただし 消防ポンプ 車を増加した場合は それに伴い消防職員数も増員する必要がある 308

2 貯水槽の耐震化が向上した場合 火災 都心南部直下地震 延焼に至る出火件数 焼失棟数 現況の被害 100 37,600 貯水槽を100% 耐震化した場合の被害 2 件減少 36,800 ( 減少率 ) 2.0% 2.1% 現況の貯水槽の耐震化の率は 16% カ早期避難が実施され 津波避難施設を確保した場合の対策効果 大正型関東地震 死者数 ( 人 ) 現況の被害 12,530 現況の避難意向で 近隣に避難施設を確保した場合 8,850 ( 減少率 ) 29.4% 早期避難が実施され 近隣に避難施設を確保した場合 6,530 ( 減少率 ) 47.9% 309

6.2 効果的な防災対策の検討人的被害 ( 死者数 ) や経済被害の軽減に大きく影響する 揺れ 火災 津波 に関する防災対策のうち 特に被害軽減に効果的な防災対策を取りまとめた また その他の防災対策でも被害軽減に効果が高い防災対策を抽出した (1) 揺れ に関連する防災対策 防災課題 災害対策を実施する上で拠点となる施設の耐震化は優先して進める必要がある 児童生徒の安全確保 避難所等となる施設の確保のため 学校関係の耐震化は優先して進める必要がある 住宅の耐震化を進めるため 耐震診断と耐震改修の実施を促進するための種々の対策が必要である 特に 資金的支援や普及啓発が重要となる 被災した場合に大きな被害が発生する施設や 周辺への影響が大きい施設の耐震化を進める必要がある 生命を維持するための最低限の生活環境を維持するため ライフラインのバックアップの確保を推進する必要がある 地震ハザードマップや地震被害想定調査により 建物の耐震化の重要性を普及啓発することが重要である 防災対策 県有施設の耐震化 市町村施設の耐震化 県立学校の耐震 安全対策の推進( 公立学校施設の耐震化 ) 私立学校その他の施設の耐震診断等補助( 私立学校施設の耐震化 ) 民間木造住宅耐震化事業への支援 市町村耐震改修促進計画の策定 耐震診断 耐震改修補助制度の整備 耐震化の重要性 耐震診断及び耐震改修の方法や補助制度の普及啓発 住宅性能表示制度の普及啓発 民間大規模建築物の耐震化事業への支援 特定建築物等の耐震化 耐震改修促進法に基づく指導 助言 医療施設 社会福祉施設の耐震化 民間大規模建築物の耐震化推進の広報 水道施設 管路の耐震化 災害時における生活用水の確保 地震ハザード( 防災 ) マップの作成 地震被害想定調査結果による意識啓発 310

(2) 火災 ( 出火 延焼 ) に関連する防災対策 防災課題 延焼防止のための木造住宅密集地域の解消が必要である 延焼阻止のための空間( 公園 緑地 道路 ) の確保が必要である 延焼拡大を阻止するための常設消防の強化が必要である 施設 設備の増強としては 水利の整備 消防資機材の整備が必要である 消防力の運用については 教育訓練の実施や活動調整等が必要である 延焼火災時の避難誘導を行うため 自主防災組織の強化が必要である 延焼拡大を阻止するための消防団の強化が必要である 延焼火災時の避難誘導を行うため 消防団の強化が必要である 企業内の出火防止や延焼防止のための企業の消火能力の強化が必要である 出火防止のため 火災警報機や感震ブレーカーの設置が必要である 特に このための啓発活動が重要である 地震ハザード( 防災 ) マップや地震被害想定調査により 出火防止の重要性を普及啓発することが重要である 防災対策 市街地再開発事業等の補助 土地区画整理事業の補助 神奈川県都市防災基本計画の改訂 都市公園の整備 緑地の保全 街路の整備 市町村消防の強化 消防水利( 防火水槽 耐震性貯水槽等 ) の整備 消防職員への教育訓練の実施 消防本部等の消防用資機材等の整備 救助 救急 消火活動に係る被災現地の活動調整方法の策定 自主防災組織の設置 自主防災組織への研修の実施 自主防災組織の訓練の実施 消防団の機能強化 消防団への加入促進の啓発 消防団員への教育訓練の実施 消防団の防災資機材等の整備 消防団の訓練の実施 企業等の防災体制の確立 企業における防災資機材の備蓄等の啓発 火災警報機の設置等の啓発 地震ハザードマップの作成 地震被害想定調査結果による意識啓発 感震ブレーカーの設置促進の啓発 311

(3) 津波 に関連する防災対策 防災課題 津波による浸水地域の予測等を行うための基礎資料として 調査等の実施が必要である 津波による浸水地域の軽減を行うための海岸保全施設等の整備が必要である 津波避難を迅速に実施するための種々の対策が必要である 特に 住民の津波避難の意識が向上するように 津波ハザードマップによる津波危険の把握と避難訓練が重要である 特に 津波避難が困難な地域における避難場所の確保のため 津波避難ビルの確保が重要である 津波避難の意識が向上するように 学校や地域における防災教育の充実 実施が重要である 津波発生時の避難誘導を行うため 自主防災組織の強化が必要である 津波発生時の避難誘導を行うため 消防団の強化が必要である 住民の津波避難の意識が向上するための啓発が重要である 防災対策 津波に関する調査等の実施 海岸保全施設等の整備 津波避難対策の実施 津波避難計画の策定 津波ハザードマップの作成 津波避難ビルの指定 津波避難訓練の推進 津波避難情報の受伝達体制の整備 津波情報盤( 津波に関する情報を伝達する電光表示盤 ) 及び津波情報看板 ( 津波で予想される浸水地域や深さ 避難場所等を記載した看板 ) の整備 学校における防災教育の充実 地域における防災教育の推進 自主防災組織の設置 自主防災組織への研修の実施 自主防災組織の訓練の実施 消防団への加入促進の啓発 消防団員への教育訓練の実施 消防団の訓練の実施 防災知識の普及啓発 地震被害想定調査結果による意識啓発 312

(4) その他の重要な防災対策 ( 人的被害に関連する防災対策 ) 対策項目 防災課題 防災対策 がけ崩れ対策等の推進 土砂災害の被害を軽減するための対策が必要である 砂防関係事業の調査 急傾斜地崩壊防止施設の整備 砂防施設の整備 地すべり対策の推進 治山事業の推進 土砂災害警戒区域等の指定 土砂災害警戒情報の運用 複合災害の予測と対策の整備 災害時情報の収集 提 災害時に住民等に対して情報提供 ( 被害 避 災害情報受伝達体制の充実( 住民等向けの体制 ) 供体制の拡充 難関係の情報 ) を行う対策が重要である 救助 救急 消火活動体 医療対応の遅れによる負傷者の死亡を軽減 救命情報システムの推進 医療救護活動の基本的方針の策定 制の充実 するための対策が必要である 医療 救護 防疫対策 医療対応の遅れによる負傷者の死亡を軽減するための対策が必要である 災害時医療救護体制の整備 専門医療や病院に関する情報提供体制の整備 他都市への搬送手段の確保 災害時に使用できるヘリポートの確保 ヘリコプターを活用した搬送体制の整備 災害派遣医療チーム(DMAT) の整備 救急救命士の養成 マニュアル作成及びトリアージ等の訓練等の実施 救急法の普及及び技能の向上 医療機関相互の連携強化 医療施設間の連絡手段確保体制の整備 県内患者搬送体制の整備 大規模災害時の広域患者搬送体制の整備 災害拠点病院の施設 設備の整備 災害協力病院の施設 設備の整備 災害時医薬品等確保体制の整備 313

対策項目 防災課題 防災対策 緊急交通路及び緊急輸送路等の確 消火や人命救助に関わる活動を円滑に進めるための対策が必要 緊急交通路確保資機材の整備 災害に強い交通安全施設等の整備 道路啓開体制の整備 保対策 である 広域応援体制等の拡充 同上 広域防災活動備蓄資機材の整備 広域応援体制の整備( 事前計画の策定 通信機器等の整備 活動調整方法の検討 訓練の実施等 ) 被災状況に応じた広域応援体制の準備 広域応援の早期立ち上げのための体制整備 防災知識の普及 地震ハザードマップや地震被害想定調査により 公助の限界と自助共助の重要性を認識してもらうための啓発が重要である 地震ハザードマップの作成 地震被害想定調査結果による意識啓発 314