測定器の性能及び校正

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測定器の性能及び校正 ı なぜ校正するの? ı 計量標準について ı なぜ校正した測定器を使うの? ı Spectrum Analyzer のメーカ性能試験 性能維持 ı メーカ校正のメリット ı 較正と校正の違い ı 電波法における較正について ı 校正について ı 測定の不確かさの概要 ı 不確かさの解析 評価の手順 ı 例 1.Spectrum Analyzer の不確かさ ı 例 2.Power Meter による測定の不確かさ ı まとめ 2016-3-3 測定器の性能および校正 2

なぜ校正 ( 較正 ) するの? 測定器の校正を行わないと 1 顧客と供給者との商取引で 顧客が要求する品質の製品が供給できない 2 商品に規格や規制に適合していることの証明ができない 3 公に測定結果を公表する場合など 信頼性かないため結果を疑われてしまう 4 商品の品質を一定レベルで管理できない 5 製品の性能を維持できない その結果 1 品質の良い商品は製造できなく 製造の歩留りも悪い 2 顧客に損失を与え社会的信頼を失うリスクがある 世界共通の尺度 (SI 単位にトレーサブル ) を持つ標準で校正された測定器を用い 検査および品質管理を行うことが不可欠になっている 2016-3-3 測定器の性能および校正 3

計量標準 - 世界共通の尺度 - メートル条約により国際単位系 (SI) を確立し 計量標準における単位の統一が図られる さ (m) 電流 (A) 物質量 (mol) 光度 (cd) 質量 (kg) 時間 (s) 熱 学温度 (K) 電気分野の事実上の標準は,SI で定義される電流のアンペア A でなく 基礎物理定数に基礎を置く量子標準から導かれるジョセフソン効果による電圧のボルト V 量子ホール抵抗によるオーム Ω によって標準が設定されている 2016-3-3 測定器の性能および校正 4

なぜ校正 ( 較正 ) した測定器を使うの? 測定器の性能 特性は変化します!! 1 経年変化で測定器の特性は変化します 内部基準周波数確度 絶対レベル確度 周波数応答確度 スペクトラム アナライザでは 2 使用状況により特性は変化します!! 使用環境 室内 / 屋外による温湿度の変化 使用頻度 RFコネクタの磨耗による勘合状態の変化 機器の扱い RFコネクタの締め方や持ち運び上 の取り扱い 測定器の性能維持には 調整が可能なメーカ校正が必須! メーカ推奨校正周期による校正で安全 安心な品質管理! 2016-3-3 測定器の性能および校正 5

Spectrum Analyzer のメーカ性能試験 例 )R 社 / Model : FSV 校正項目 1 Reference frequency uncertainty 2 Immunity to interference 3 Resolution bandwidths 4 Bandwidth switching level uncertainty 5 Spurious response 6 Displayed average noise level 7 Absolute level uncertainty and frequency response 8 Display nonlinearity 9 Attenuator switching uncertainty 10 Phase Noise 11 VSWR at RF input 仕様値を外れた場合は 調整または修理 性能回復 再試験 2016-3-3 測定器の性能および校正 6

Spectrum Analyzer の性能維持 メーカでは 経年変化により特性が変化し性能規格値から外れてしまう恐れのある項目については 性能維持の観点から一定周期による調整が必要なため 推奨校正周期を設定しています メーカ推奨校正周期 : Spectrum Analyzer.. 12 months Signal Generator.. 36 months Power Sensor.. 24 months Radio Communication tester.. 12 or 24 months 2016-3-3 測定器の性能および校正 7

メーカ校正のメリット R 社の場合 - 安定した測定品質の維持が可能 性能不良によるリスク低減 1 製品の性能試験による校正で 機器をトータル チェック 2 メーカならではの調整 ( 補正 ) が可能 3 校正値に ISO/IEC 17025 に準じた不確かさ付き 4 不確かさガードバンド (Uncertainty guard band) 評価付き Uncertainty guard band UGB 評価の結果 Case b は調整が必要になる 2016-3-3 測定器の性能および校正 8

校正と較正の違い ı 法令上の行為として行われる校正は計量法に基づくものであり 較正は電波法に基づくものである 較正とは 電波法が制定された当時は 測定器も単純なつくりであり ズレがわかったら ついでに調整しておこう の考えの基に調整が行われたのではないか? 較正には調整が含まれる 校正とは 時代の変化とともに 測定器は複雑化し 測定器の中を開いてしまうと製造メーカの保証が外れてしまうということもあり 精密な測定器の調整は行われることが少なくなっていった計量法は比較的新しい法律であり 調整は行わないとした 校正には調整を含まない 実際の行為は 較正 = 校正 2016-3-3 測定器の性能および校正 9

電波法における較正 測定器の較正に関わる規定 ( 電波法第 24 条の二第 4 項第二号 ) 測定器の較正等に関する条件は 電波法の別表第二に掲げる測定器その他の設備であって 次のいずれかに掲げる較正等を受けたものを使用して無線設備の点検を行うものであることとしている イ ) 通信総合研究所 (NiCT) または指定較正機関が行う較正ロ ) 計量法の規定に基づく校正 (JCSS 校正 ) ハ ) 外国において行う較正であって通信総合研究所または指定較正機関が行う較正に相当するもの二 ) イ~ハまでのいずれかに掲げる較正等を受けたものを用いて行う較正等 別表第二 電波法名称 1 周波数計 2 スペクトル分析器 3 電界強度測定器 4 周波電 計 5 電圧電流計 6 標準信号発 器 2016-3-3 測定器の性能および校正 10

電波法における較正のトレーサビリティ SI 基本単位 NiCT 周波数 産業技術総合研究所 (NMIJ) 計量標準研究所 NIST/PTB/NPL 周波電 減衰量ほか 総務省総合通信局 指定較正機関 TELEC / Keysight / Intertek 登録検査等事業者 ( イ ) 登録証明機関 計量法 JCSS 登録時業者 ( ロ ) 外国で う較正 NiCT または指定較正機関が う較正に相当するもの ( ハ ) 無線 標準設備 ISO/IEC 17025 に基づく校正 無線機 周波測定機器 2016-3-3 測定器の性能および校正 11

校正 ı 校正 (calibration) とは 計器又は測定系の示す値 若しくは実量器又は標準物質の表す値と 標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業 JIS Z 8103:2000 の JIS 計測用語より 備考 : 校正には 計器を調整して誤差を修正することは含まない 2016-3-3 測定器の性能および校正 12

計測のトレーサビリティ l トレーサビリティとは 不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって, 決められた基準に結びつけられ得る測定結果又は標準の値の性質 基準は通常, 国家標準又は国際標準である JIS Z 8103:2000 の JIS 計測用語より 国家標準の校正値 DUT 測定値のバラツキ 校正 ( 関連付け ) 測定値の中心がどこなのか? 2016-3-3 測定器の性能および校正 13

計量標準における校正のトレーサビリティ SI 基本単位 国家計量標準研究所 CIPM-MRA ISO17025 認定校正機関 ILAC/APLAC -MRA 計量法 産業技術総合研究所 (NMIJ) JCSS 登録事業者 産業界における計測機器 計量標準研究所 NIST/PTB/NPL 認定校正機関 DAkkS / A2LA / NVLAP / UKAS / NATA / 校正証明書 校正値不確かさ 校正証明書校正値不確かさ 国際標準 国家標準との同等性が証明される 2016-3-3 測定器の性能および校正 14

測定の不確かさ とは 不確かさとは 測定結果に付随した 合理的に測定量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ 国際計量基本用語集より 不確かさを数量化する 2 つ数 区間 : ばらつきの幅 ( 大きさ ) 信頼水準 : 真の値がこの区間に入っている確率 (% で表現 ) 不確かさは 電気 物理 機械 化学などあらゆる計測の分野で定量的に評価 表現できるパラメータとして用いられている 2016-3-3 測定器の性能および校正 15

なぜ 不確かさ を用いるの? 従来の精度 誤差 不確かさ表現 総合精度 精密さ 繰返し性偶然誤差ばらつき再現性 従来の 系統誤差 および 偶然誤差 は 真値 分かることを前提不確かさの表現では 誤差 (error) は真値がわからないのと同じようにわからない 標準偏差の形で表す 真度 系統誤差かたより 真値が存在する確率密度分布 68.3% 95.5% 99.7% 2016-3-3 測定器の性能および校正 16

計測における不確かさ要因 測定量の定義が不完全 あいまいである場合 測定システムにおける構成が不完全であることを認識していない場合 測定に対する環境条件の影響について正しくわからない または未知のものである場合 計量標準が不正確な値による場合 外部から得られる測定器の規格値やデータ補正の定数 およびパラメータの不正確な値によるもの 測定方法や使用機器に対する理解が不十分である場合 同一条件で測定しているつもりが 同一条件ではなく 測定ごとに変動していることを気づかない場合 アナログ計測器の測定値の読み取りに対し測定者によるかたよりやばらつき 測定者の経験 知識など能力によるもの 2016-3-3 測定器の性能および校正 17

不確かさ解析 評価の流れ 準備 Step1 測定モデル Step2 データ取得 Step3 要因ごとの推定 測定 法の選定 ( 原理の確認 ) y=f(x i ) YES 要因の列挙 ( モデル化 ) 補正? NO 不確かさ要因の推定 [u i ] 経験実験 NO YES 計算 Step4 合成 Step5 総合評価 Step6 最終表現 不確かさの合成 [u c ] U=k u c u c = u i 2 k=2 拡張不確かさ [U] 数値の丸め 不確かさの表現 y ± U Type A Type B u i 2016-3-3 測定器の性能および校正 18

準備 - 測定の計画および留意点 - 測定方法 測定条件 与えられる標準の不確かさなど考慮し測定の計画を立案 1 どれくらいの不確かさが必要なのか 2 測定にかけられるコスト時間 必要な測定器など 3 測定条件を変化させた測定結果は必要なのか 4 最終結果に与える影響が大きい要因をピックアップ 5 系統効果による かたより の扱い補正する or 不確かさに組み込む 6 参照標準器の校正周期および経年変化による影響 7 参照標準器のリスク管理のための中間チェック 2016-3-3 測定器の性能および校正 19

測定モデル ~ 要因ごとの推定 1 測定のモデル化 測定のおける不確かさの要因をあげ 不確かさをモデル化測定量 Y の測定結果 ( 推定値 ) を y とすると y は他の N 個の入力量 X N の推定値 x 1, x 2, x 3,... x N から次の関数関係 f により決定される y = f (x 1, x 2, x 3,...x N ) 2 標準不確かさの要因と大きさの見積り Type A の評価 : 測定データから標準偏差によるばらつきを求める 統計を用いた不確かさの推定 Type B の評価 : Aタイプ以外の情報から標準偏差に相当するばらつきを求める 他の全ての情報から不確かさの推定 ( 校正証明書 製造者仕様 ) 2016-3-3 測定器の性能および校正 20

合成 ~ 総合評価 1 合成標準不確かさの算出入力量に相関がないなど多くの場合は 測定値 y の合成標準不確かさ uc(y) は次式で表す u c ( y ) n i 1 u 2 i ( y ) すなわち 合成標準不確かさは Type A と Type B の標準不確かさを 2 乗和の平方根で表す 2 拡張不確かさの決定拡張不確かさ U は 合成標準不確かさ uc(y) に包含係数 k を掛けて求める U k uc( y) 包含係数 k=2 を採用する場合 有効自由度 ν eff が10 以上であって GUM 付属書 G.6.6の条件を満たしている Type A 評価の繰り返し観測数が10 以上のとき 包含係数を有効自由度から求める場合 算出した有効自由度から TINV の関数用いる 2016-3-3 測定器の性能および校正 21

例 1: Spectrum Analyzer の不確かさ 被校正器 : 信号発生器 スペクトラム アナライザ 120MHz 0dBm 電力を測定する時の不確かさは 1 2 3 4 スペクトラム アナライザの固有の測定不確かさ被校正器に起因するエラー例.RFインタフェースのインピーダンス ミスマッチ信号対雑音比に起因するエラー測定アクセサリ ( ケーブル アダプタ ) に起因するエラー 2016-3-3 測定器の性能および校正 22

1 固有の測定不確かさ ブロック図 レベル エラーの不確かさ要因 Absolute error Frequency response of the RF input Error of the input attenuator switching Error of the IF gain setting Error of the display linearity Error of bandwidth switching Error of Resolution Bandwidth 2016-3-3 測定器の性能および校正 23

2 被校正器に起因するエラー 被校正器 : 信号発生器 測定面 スペクトラム アナライザ 120MHz 0dBm Γ G Γ L 不確かさの範囲 : 入射波 M 1 ΓG ΓL 2 反射波 Γ G Γ L 1 M 1 2 ΓG ΓL 図の測定面は完全に整合しておらず 測定面においてインピーダンス ミスマッチから生じる不整合不確かさがある 2016-3-3 測定器の性能および校正 24

不確かさバジェット シート このバジェットの利用条件 : トレーサビリティの確立 メーカの仕様値の満足 推奨校正周期にてメーカ校正が実施されている 周期的に機器の性能確認が重要! スペクトラム アナライザ固有の拡張不確かさ 不整合不確かさ (1σ) トータルの拡張不確かさ 2016-3-3 測定器の性能および校正 25

参考 : Spectrum Analyzer の不確かさ算出 アプリケーション ノート Download 先 : http://www.rohde-schwarz.com/en/applications/level-uncertainty-calculation-for-r-s-fsv-signal-andspectrum-analyzer-application-note 56280-15478.html 2016-3-3 測定器の性能および校正 26

例 2:Power Meter による測定の不確かさ 測定面 パワーメータ 被測定器 : 信号発生器 1.9 GHz, -10 dbm Γ G Γ L パワーセンサ 電力を測定する時の不確かさは Mismatch uncertainty Calibration uncertainty Linearity uncertainty Temperature effect Zero offset Display noise Base unit 2016-3-3 測定器の性能および校正 27

不確かさバジェット シート 測定例 : 高周波電力 -10 dbm @1.9 GHz u c ( y ) n i 1 u 2 i ( y ) U 2 u c( y ) 2016-3-3 測定器の性能および校正 28

まとめ 国家標準あるいは 国際標準にトレーサビリティのある計測器を用いる 測定に用いる計測器の校正は 機器の性能が満足していることが確認できる内容でなければならない 測定においては 何が測定エラーの要因になるのか考え 可能であればその要因を除く努力が必要 測定値が妥当であるか? 用いる計測器の取り扱いを理解し 計測のアプリケーションに最適な測定方法を用い測定する 信頼性のある測定結果を得るためには 要員の知識 能力が重要! 標準となる計測器の校正 使 機器の特性や性能および取り扱い 測定の不確かさに対する考え 2016-3-3 測定器の性能および校正 29

ご静聴ありがとうございました 2016-3-3 測定器の性能および校正 30