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05-07 Can Get Signal Immunoreaction Enhancer Solution (Code No. NKB-101, NKB-101T, NKB-201, NKB-301) 取扱説明書 TOYOBO CO., LTD. Life Science Department OSAKA JAPAN A3302K - 18 -

- 目次 - [1] はじめに 1 [2] 製品内容 2 [3] 使用方法 2 [4] ウェスタンブロッティング 3 [5] ドットブロッティング 7 [6] ELISA 10 [7] 試薬の調製法 14 [8] トラブルシューティング 16 [9] 関連商品 17 ご注意 本キットに含まれる試薬は すべて研究用試薬です 診断 臨床用試薬として決して使用しないでください 本キットの使用にあたっては 実験室での一般の注意事項を厳守し 安全に留意してください - 0 -

[1] はじめに Can Get Signal Immunoreaction Enhancer Solution は ウェスタンブロッティングや ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay) などの解析でしばしば問題になる 感度不足や高いバックグラウンドを改善するために開発された免疫アッセイ用の反応促進試薬です さまざまな免疫アッセイ系に用いることができます 本製品の特長 1. 高いシグナル 低いバックグラウンド Can Get Signal は 抗原と抗体との反応を促進する効果があり 従来法に比べ 数倍から数十倍の高いシグナルを得ることができます 特に 反応性が低い抗体で 顕著な効果を示す傾向があることが確認されています また 一次抗体用と二次抗体 用にそれぞれ組成を最適化しているため バックグラウンドは低く抑えられ 高い S/N 比の結果を得ることができます 2. 広い汎用性 Can Get Signal は ウェスタンブロッティングやドットブロッティング ELISA など 抗原抗体反応を用いたさまざまなアッセイ系に広く用いることが可能です また ペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの標識酵素の活性に影響を与えない成分から構成されていますので これらの標識抗体を用いたアッセイ系にも使用することができます また 蛍光検出 発色検出のどちらにも使用可能です 3. 使いやすい Ready-to-Use タイプ Can Get Signal は 希釈せずにそのまま使用可能な Ready-to-Use タイプです 使用法は これまでにお使いになられていた抗体希釈液の代替として使用して頂くだけで とても簡単です アッセイに要する時間が増えることもありません - 1 -

[2] 製品内容 本製品には 以下のパーツが含まれています NKB-101 NKB-101T NKB-201 NKB-301 Solution 1 for primary antibody Solution 2 for secondary antibody 250ml 50ml 250ml - 250ml 50ml - 250ml Solution 1 Solution 2 ともに 4 で暗所に保存してください [3] 使用方法 本試薬により 抗体を使用濃度に希釈し そのまま各種アッセイに用いてください 通常 抗体の希釈に用いるTBS(TBS-T) PBS(PBS-T) 希釈ブロッキング液などの代替としてご使用ください それまでのアッセイ方法を変更する必要はありません 本試薬は 一次抗体希釈用のSolution 1 二次抗体希釈用のSolution 2からなります (NKB-201はSolution 1のみ NKB-301はSolution 2のみ ) なお 抗体を一種類しか用いないアッセイ系 ( 一次抗体に標識が付加されている場合など ) では Solution 2を使用してください ただし 抗体の種類によっては Solution 1を用いた方が より優れた効果を示す場合があります また サンドイッチELISA 法における固相化抗体と抗原との反応には 抗原の希釈液としてSolution 1を用いることができます ([6] ELISAの項参照 ) ご注意 本試薬は カゼイン BSA 等のブロッキング剤と組み合わせて使用することも可能ですが 本試薬には あらかじめブロッキング作用を持つ成分が混合されているため 追添加により濃度過多になる場合があります 本試薬は ブロッキング反応には用いることができません また ELISA 法における抗原または抗体の固相化反応にも用いることはできません - 2 -

[4] ウェスタンブロッティング ウェスタンブロット法は SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などで分離したタンパク質を ニトロセルロース膜や PVDF( ポリフッ化ビニリデン ) 膜に転移し 特異的抗体を用いて検出する方法です この方法は タンパク質の分子量や濃度 発現量を解析するのに用いられます 検出には 西洋わさびペルオキシダーゼ (Horseradish Peroxidase: HRP) や アルカリフォスファターゼ (Alkaline Phosphatase: AP) などを結合した抗 IgG 抗体 ( 酵素標識抗体 ) を二次的に用いるのが一般的です 以下に ウェスタンブロット法のプロトコールの一例を示します ( ここではセミドライ式トランスファー法を用いています ) (1) 用意する器具類 パワーサプライ 電源コード セミドライ式トランスファー装置 プラスチック製容器( ゲルまたはメンブレンが入る大きさのもの ) 振とう機 発光イメージャー( 東洋紡製 FAS-1000 など 化学発光系で検出を行う場合 ) X 線フィルムおよびフィルムカセット ( 化学発光系でフィルムによる検出を行う場合 ) (2) 用意する試薬 消耗品類 (* 印のものについては [7] 試薬の調製法もご参照ください ) 検出するタンパク質に特異的な一次抗体 使用する一次抗体に特異的な標識二次抗体(HRP 標識 AP 標識など ) ブロッキング剤( スキムミルクなど ) プレステインドタンパク質分子量マーカ PVDF 膜 (Amersham 社製 Hybond-P など ) ろ紙 メタノール トランスファーバッファー* TBS-T* または PBS-T* HRP 検出試薬 (Amersham 社製 ECL Plus など HRP 標識ニ次抗体を用いる場合 ) AP 検出試薬 (Promega 社製 Western Blue など AP 標識ニ次抗体を用いる場合 ) (3) SDS-PAGE 解析するサンプル プレステインドタンパク質分子量マーカを電気泳動します なお プレステインドタンパク質分子量マーカは 後の PVDF 膜へのトランスファーを行う際に タンパク質のトランスファー効率を確認するのに便利です - 3 -

(4) PVDF 膜の親水化処理 ( プレウェッティング ) ウェスタンブロッティングには ニトロセルロース膜や PVDF 膜が主に使用されますが 破れにくさや トランスファー効率の観点から 最近では PVDF 膜がより多用されています ただし PVDF 膜は疎水性が高いため 使用する前にメタノールによる親水化処理を行う必要があります 以下にその方法を示します 1. PVDF 膜を使用する大きさに切断します 手のタンパク質成分が付着しないように 手袋を着用してください 2. 切断した PVDF 膜をメタノールに浸し 1 分間振とうします 3. PVDF 膜を蒸留水に浸し 5 分間振とうします 4. PVDF 膜をトランスファーバッファーに浸し 10 分間振とうします (5) PVDF 膜への転移 ( セミドライ式トランスファー ) 1. ろ紙を PVDF 膜よりやや大きめに切断したものを 8 枚用意します 2. 切断したろ紙を トランスファーバッファーに浸します 3. 陰極側から ろ紙 4 枚 SDS-PAGE のゲル PVDF 膜 ろ紙 4 枚 陽極側の順に重ねます 陰極 陽極の方向はトランスファー装置によって異なりますので よく確認してから操作を行ってください ゲルと膜との順番を逆にすると タンパク質がろ紙にトランスファーされてしまいます また ゲルと PVDF 膜との間に泡が入らないよう ご注意ください + 極側へ + 電極 ろ紙 (x4 枚 ) PVDF 膜 SDS-PAGEゲルろ紙 (x4 枚 ) - 電極 - 極側へ 図 : セミドライ式トランスファー装置の組み立て - 4 -

4. PVDF 膜の面積 (cm 2 ) x 0.8 ma を目安に 1 時間電流を流します 通常はこの条件で 8 割程度のタンパク質が PVDF 膜に転移されます ただし 転移効率はタンパク質の分子量やゲルの濃度に大きく依存しますので 良好な結果が得られない場合は プレステインドタンパク質マーカの転移効率を参考に 最適条件を探ってください 5. 転移終了後 TBS-T を入れたプラスチック容器に PVDF 膜を浸し 5 分間振とうして膜を洗浄します 洗浄バッファには TBS-T の代わりに PBS-T を用いても構いません ( 以下に記載のステップも同様です ) ただし PBS-T に含まれているリン酸が 抗体に標識された AP の活性に影響を及ぼす可能性がありますので AP 検出系を用いる際は TBS-T の使用を推奨します (6) ブロッキング 1. スキムミルク 1g を 20ml の TBS-T に溶かし よく混合します ブロッキング剤については 他にも牛乳由来精製タンパク質 ( カゼイン ) や BSA( ウシ血清アルブミン ) 人工合成高分子などを用いることができます しかしブロッキング剤の種類によっては 解析に用いる抗体により交差性等の問題が生じ 非特異的なシグナルが増加する場合があります スキムミルクまたはカゼインの場合は リン酸化タンパク質の特異的検出には不向きと言われています アビジン-ビオチン系を用いた検出系にも用いることができません ブロッキング剤は それぞれの抗体 アッセイ系に最適なものを使用してください 2. スキムミルク溶液に PVDF 膜を浸し 室温で 1 時間振とうします 3. TBS-T で二回リンスします 4. TBS-T で 15 分間振とう x1 回 5 分間振とう x2 回のステップで洗浄します (7) 一次抗体反応 1. 一次抗体を Can Get Signal Solution 1 で希釈します 一次抗体の最適な希釈倍率は 抗体種 抗原の濃度 検出系の感度等に大きく依存しますので 抗体の供給元の推奨条件等を参考にしてください 最適な希釈倍率がわからない場合は ドットブロッティング等の予備検討を行うことにより希釈倍率を決定することができます ([5] ドットブロッティングの項参照 ) また 抗体反応を一段階で行う際は Solution 2 を用いてください ただし 抗体の種類によっては Solution 1 を用いた方が より優れた結果を得られる場合があります また 抗体反応を一段階で行う際は 次の (8) 二次抗体反応のステップを省略してください 2. 一次抗体希釈液に PVDF 膜を浸し 室温で一時間振とうします - 5 -

3. TBS-T で 10 分間振とう x3 回のステップで洗浄します (8) 二次抗体反応 抗体反応を一段階で行う際は このステップを省略してください 1. ニ次抗体を Can Get Signal Solution 2 で希釈します 二次抗体の最適な希釈倍率は 抗体種 抗原の濃度 検出系の感度等に大きく依存しますので 抗体の供給元の推奨条件等を参考にしてください 最適な希釈倍率がわからない場合は ドットブロッティング等の予備検討を行うことにより希釈倍率を決定することができます ([5] ドットブロッティングの項参照 ) 2. 二次抗体希釈液に PVDF 膜を浸し 室温で一時間振とうします 3. TBS-T で 10 分間振とう x3 回洗浄します (9) 検出反応 (HRP 標識抗体を用いて化学発光により検出する場合 ) HRP 標識抗体を用いて化学発色により検出する方法もあります 1. ECL Plus (Amersham 社製 ) の Solution A と B を 40:1 の割合で混合します 使用量は PVDF 膜の面積 (cm 2 ) x 0.1 ml 程度を目安としてください 2. PVDF 膜を乾いたプラスチック容器内に入れ ECL 混合液を上から滴下し 室温で 5 分間静置します 3. PVDF 膜上の ECL 混合液を除去し 薄いプラスチック板 ( 無地の黒い下敷き等を推奨 ) に載せます 4. 発光イメージャー ( 東洋紡製 FAS-1000 など ) または X 線フィルム等で撮像します (10) 検出反応 (AP 標識抗体を用いて化学発色により検出する場合 ) AP 標識抗体を用いて 化学発光により検出する方法もあります 1. PVDF 膜を乾いたプラスチック容器内に入れ Western Blue(Promega 社製 ) を上からかけ 室温または 37 で 15 分程度静置します 使用量は PVDF 膜の面積 (cm 2 ) x 0.1 ml 程度を目安としてください また 発色は肉眼で確認できるので 発色の度合いを見ながら反応を止めてください 3. PVDF 膜上の Western Blue 液を除去し カメラ スキャナ コピー機 ゲル撮影装置 ( 東洋紡製 FAS-III シリーズなど ) 等で画像を保存します - 6 -

[5] ドットブロッティング ドットブロット法は タンパク質を電気泳動などにより分離することなくニトロセルロース膜や PVDF 膜に固定し 酵素標識抗体などでタンパク質量を特異的に定量する方法です (DNA や RNA の定量にも同様の方法を用いることがありますが ここではタンパク質の検出法のみを指すものとします ) この方法は ウェスタンブロット法の抗体濃度を決定するための予備検討法として用いられることもあります ただし ドットブロット法では抗体の特異的 非特異的反応の区別ができない上 ゲルから PVDF 膜等へのトランスファーによる減衰もないため シグナルがウェスタンブロット法よりも高めに出ることをあらかじめ念頭に置いておく必要があります 基本的な操作はウェスタンブロット法と同じです 以下に ドットブロット法による抗体濃度の決定法を示します 試薬類はウェスタンブロット法で用いるものと同一のものを使用してください (1) 用意する器具類 プラスチック製容器( メンブレンが入る大きさのものを サンプル数分用意 ) 振とう機 発光イメージャー( 東洋紡製 FAS-1000 など 化学発光系で検出を行う場合 ) X 線フィルムおよびフィルムカセット ( 化学発光系でフィルムにより検出を行う場合 ) (2) 用意する試薬 消耗品類 (* 印のものについては [7] 試薬の調製法もご参照ください ) 検出するタンパク質に特異的な一次抗体 使用する一次抗体に特異的な標識二次抗体(HRP 標識 AP 標識など ) ブロッキング剤(Difco 社製スキムミルクなど ) PVDF 膜 (Amersham 社製 Hybond-P など ) メタノール TBS-T* または PBS-T* HRP 検出試薬 (Amersham 社製 ECL Plus など HRP 標識ニ次抗体を用いる場合 ) (3) PVDF 膜の親水化処理 ( プレウェッティング ) 1. PVDF 膜を使用する大きさに切断します 手のタンパク質成分が付着しないように 手袋を着用してください 2. 切断した PVDF 膜をメタノールに浸し 1 分間振とうします 3. PVDF 膜を蒸留水に浸し 5 分間振とうします - 7 -

(4) タンパク質溶液の滴下 ( スポッティング ) 1. TBS 等で適宜希釈したタンパク質溶液を PVDF 膜上に数か所滴下し 乾燥させます 液量は 2µl 程度としてください 滴下した液は 膜上で弾かれて半球状になることがありますが 数分後には膜 へ吸収されますので 室温でしばらく静置してください (5) ブロッキング 1. スキムミルク 1g を 20ml の TBS-T に溶かし よく混合します ブロッキング剤の種類に関しては [4] ウェスタンブロッティングの項を参照してください 2. スキムミルク溶液に PVDF 膜を浸し 室温で 1 時間振とうします 3. TBS-T で二回リンスします 4. TBS-T で 15 分間振とう x1 回 5 分間振とう x2 回のステップで洗浄します (6) 一次抗体反応 1. 一次抗体を Can Get Signal Solution 1 で系列希釈します 一次抗体の系列希釈倍率は 100 倍 500 倍 1,000 倍 5,000 倍 10,000 倍程度を目安として 必要に応じて変更してください ニ次抗体の希釈倍率を決定したい場合は 一次抗体の濃度を固定し 二次抗体を系列希釈して検討を行ってください また 抗体反応を一段階で行う際は Solution 2 を用いてください ただし 抗体の種類によっては Solution 1 を用いた方が より優れた結果を得られる場合があります また 抗体反応を一段階で行う際は 次の (7) 二次抗体反応のステップを省略してください 2. PVDF 膜を 1 スポットごとにハサミで切り離し 別々の容器に一つずつ入れます 細胞培養用の 6 穴プレートなどを使用するのが操作上便利です 3. 一次抗体希釈液をそれぞれの容器に加え 室温で一時間振とうします 4. TBS-T で 10 分間振とう x3 回のステップで洗浄します 細胞培養用の 6 穴プレートなどを使用している場合 こまごめピペット等を用いて洗浄液を連続分注することに より 迅速に洗浄操作が行えます - 8 -

(7) 二次抗体反応 抗体反応を一段階で行う際は このステップを省略してください 1. ニ次抗体を Can Get Signal Solution 2 で希釈します 二次抗体の最適な希釈倍率は 抗体種 抗原の濃度 検出系の感度等に大きく依存しますので 抗体の供給元の推奨条件等を参考にしてください 二次抗体の希釈倍率を決定したい際は 一次抗体の希釈倍率を固定し 二次抗体を系列希釈してください 2. ニ次抗体希釈液をそれぞれの容器に加え 室温で一時間振とうします 3. TBS-T で 10 分間振とう x3 回のステップで洗浄します (8) 検出反応 (HRP 標識抗体を用いて化学発光により検出する場合 ) HRP 標識抗体を用いて化学発色により検出する方法もあります 1. ECL Plus (Amersham 社製 ) の Solution A と B を 40:1 の割合で混合します 使用量は PVDF 膜の面積 (cm 2 ) x 0.1 ml 程度を目安としてください 2. PVDF 膜を乾いたプラスチック容器内に入れ ECL 混合液を上から滴下し 室温で 5 分間静置します 3. PVDF 膜上の ECL 混合液を除去し 薄いプラスチック板 ( 無地の黒い下敷き等を推奨 ) に載せます 4. 発光イメージャー ( 東洋紡製 FAS-1000 など ) または X 線フィルム等で撮像します - 9 -

[6] ELISA ELISA(Enzyme-linked Immunosorbent Assay) 法は 酵素で標識された抗体あるいは抗原を用いて 試料溶液中にある抗原あるいは抗体の量を定量する方法です 非常に高感度での検出が可能なため 微量な抗原の測定などに用いられます ELISA には さまざまな方法がありますが (1) 抗原あるいは抗体を固相化し 酵素標識した抗体あるいは抗原で検出する 直接法 (2) 抗原を固相化し 抗原に対する一次抗体および 一次抗体に対する酵素標識ニ次抗体で検出する 間接法 (3) 抗原に対する抗体を固相化し 抗原を含む試料溶液を加え 抗原に対する抗体 ( 固相化したものとは別の抗体 一次抗体 ) および一次抗体に対する酵素標識二次抗体で検出する サンドイッチ法 などが一般的に用いられます ここでは (3) の サンドイッチ法 についてのプロトコールの一例をご紹介します 抗原または抗体濃度の測定にあたっては 各検体につき同一条件のアッセイを 3 ウェル以上で同時に行い 平均値を取るようにしてください 免疫アッセイは一般的にサンプル間の測定誤差が非常に大きいため 各検体についての試行数が少ない場合 正確な測定結果を得ることができない場合があります また 試料検体についてより正確な濃度を測定したい場合は 濃度既知または未知の標準検体の希釈系列による測定結果から検量線を作成し 試料検体の絶対濃度もしくは標準検体との相対濃度を算出します (1) 用意する器具類 ELISA プレートリーダ 8 連または 12 連のマルチチャンネルピペット ( 検体数が多い場合に便利です ) (2) 用意する試薬 消耗品類 (* 印のものについては [7] 試薬の調製法もご参照ください ) 検出する抗原に特異的な固相化抗体 検出する抗原に特異的な一次抗体( 固相化抗体と抗原決定部位が近接している場合 それぞれが競合してうまく反応できないことがありますのでご注意ください また 固相化抗体と一次抗体の由来生物種は それぞれ異なるものを使用してください ) 使用する一次抗体に特異的な標識二次抗体(HRP 標識 AP 標識など ) ブロッキング剤(Difco 社製スキムミルクなど ) 96 穴 ELISA 用プレート 96 穴プレート用シール 50mM Carbonate Buffer, ph 9.6* TBS または PBS* TBS-T* または PBS-T* HRP 検出試薬 (BioFX 社製 TMB など HRP 標識抗体を用いる場合 ) 1N 硫酸 1N 硫酸には激しい腐食性があります 取扱い 廃棄には十分ご注意ください - 10 -

(3) 固相抗体のプレートへの固相化 1. 50mM Carbonate Buffer, ph9.6 で希釈した固相化抗体 100µlを 96 穴プレートに分注します 固相化抗体の希釈倍率は 20 倍 (10µg/ml) 以下とします ただし 抗体種や抗原の濃度によって 必要とされる検出感度が大きく異なりますので 必要に応じて 以下に示す抗体濃度の決定法に従い抗体濃度を決定してください また 分注の際はウェルの壁面に液が付着しないように注意してください 固相化抗体濃度 1:20 1:40 1:80 1:160 1:320 1:200 1:400 一次抗体濃度 1:800 1:1600 1:3200 1:6400 図 : 抗体濃度の決定法 ( タイトレーション ) ニ次抗体濃度を決定したい場合は 固相化抗体濃度を固定して 二次抗体の希釈系列を作成するなどの方法を用いてください 2. プレートシールを貼って蒸発を防ぎ 37 で一時間インキュベートします 固相化は 4 で 16 時間インキュベートにより行うこともできます 通常はどちらの方法で行っても測定結果に大きな違いは現れませんが 測定数が非常に多い場合 分注に時間がかかるため 37 で一時間インキュベートする方法では各ウェルでインキュベート時間に大きな誤差が生じ 測定結果が乱れる原因となります その際は 4 で 16 時間インキュベートする方法により誤差を小さくすることができます 3. 96 穴プレート中の固相化抗体溶液を ピペットにより除去します ウェルの壁面に液が付着しないように注意してください また この操作以降 ウェルを乾燥させないようにご注 意ください バックグラウンド増大の原因となります 4. 各ウェルに PBS を 250µl 分注し 流し台でプレートを逆さにして液をよく切ります この操作を計 3 回繰り返して洗浄します - 11 -

(4) ブロッキング 1. スキムミルクを 3% 濃度になるように PBS に溶解し よく混合します ブロッキング剤については 他にも牛乳由来精製タンパク質 ( カゼイン ) や BSA( ウシ血清アルブミン ) 人工合成高分子などを用いることができます しかしブロッキング剤の種類によっては 解析に用いる抗体により交差性等の問題が生じ 非特異的なシグナルが増加する場合があります スキムミルクまたはカゼインの場合は リン酸化タンパク質の特異的検出には不向きと言われています ブロッキング剤は それぞれの抗体 アッセイ系に最適なものを使用してください 2. 調製したスキムミルク溶液を 各ウェルに 250µl 分注します 3. プレートシールを貼って蒸発を防ぎ 37 で一時間インキュベートします ブロッキングは 4 で 16 時間インキュベートにより行うこともできます また ブロッキング操作完了後のプレートは ブロッキング液を満たしたまま 4 にて一ヶ月程度保存して継続使用することができます 同一の操作により抗体固相化処理を行ったプレートでも その性能は毎回異なることが多いため 同等の性能のプレートを複数回の検討で用いたい場合は 一度にたくさんの抗体固相化プレートを作成して ブロッキング液を満たした状態で保存し 毎回の検討で少しずつ使用することをお勧めします 4. 96 穴プレートを流し台で逆さにして スキムミルク溶液を廃棄します 5. 各ウェルに PBS-T を 250µl 分注し 流し台でプレートを逆さにして液をよく切ります この操作を計 3 回繰り返して洗浄します (5) 抗原 一次抗体反応 1. 抗原を Can Get Signal Solution 1 で適宜希釈します 2. 一次抗体を Can Get Signal Solution 1 で希釈します 一次抗体の最適な希釈倍率は 抗体種 抗原の濃度 検出系の感度等に大きく依存しますので 抗体の供給元の推奨条件等を参考にしてください 最適な希釈倍率がわからない場合は 先に示した抗体濃度の決定法に従い抗体濃度を決定してください 3. 抗原希釈液 一次抗体希釈液をそれぞれ 50µl ずつ各ウェルに分注し 混合します 抗原のみを反応させた後 プレートを洗浄してから一次抗体を反応させる方法もあります バックグラウンドの低減と検出感度の低下の兼ね合いにより どちらの方法がより優れているかは場合によります あまり結果に差が出ないことも多いため 同時に反応させる本方法の方が より簡便にアッセイを行うことができます 4. プレートシールを貼って蒸発を防ぎ 37 で一時間インキュベートします 抗原 一次抗体反応は 4 で 16 時間インキュベートにより行うこともできます - 12 -

5. 96 穴プレート中の一次抗体溶液を ピペットにより除去します 6. 各ウェルに PBS-T を 250µl 分注し 流し台でプレートをひっくり返して液をよく切りま す この操作を計 3 回繰り返します (6) ニ次抗体反応 1. ニ次抗体を Can Get Signal Solution 2 で希釈します 二次抗体の最適な希釈倍率は 抗体種 抗原の濃度 検出系の感度等に大きく依存しますので 抗体の供給元の推奨条件等を参考にしてください 最適な希釈倍率がわからない場合は 先に示した抗体濃度の決定法に従い抗体濃度を決定してください 2. ニ次抗体希釈液をそれぞれ 100µl ずつ各ウェルに分注します 3. プレートシールを貼って蒸発を防ぎ 37 で一時間インキュベートします ニ次抗体反応は 4 で 16 時間インキュベートにより行うこともできます 4. 96 穴プレート中のニ次抗体溶液を ピペットにより除去します 5. 各ウェルに PBS-T を 250µl 分注し 流し台でプレートをひっくり返して液をよく切りま す この操作を計 3 回繰り返して洗浄します (7) 検出反応 (HRP 標識抗体を用いて化学発色により検出する場合 ) AP 標識抗体を用いて化学発色により検出する方法もあります 1. TMB をそれぞれ 100µl ずつ各ウェルに分注します 2. プレートシールを貼って蒸発を防ぎ 37 で 20 分間インキュベートします 次第に反応液が鮮やかな青色に発色します 検出感度によっては TMB 添加直後に急激に発色することがあ りますので その際は発色の度合いを確認しつつ 次のステップにより適当な時間で反応を停止させてください 3. 1N 硫酸をそれぞれ 100µl ずつ各ウェルに分注し 反応を停止させます 反応液の色が瞬間的に黄色に変化します 反応を停止させないとプレートリーダによる測定が行えませんので 反応停止操作は必ず行ってください 4. ELISA プレートリーダにより 450nm の吸光度の測定を行います プレートリーダの種類によっては 自動で反応液の混合を行ってくれるものもあります 混合機能がない場合は ピペット等で反応液の混合を行ってから測定してください また 液面に多量に泡が立ってる場合 測定結果に大きな誤差を生じることがありますので 泡を消してから測定を行ってください - 13 -

[7] 試薬の調製法 1M Tris-Cl, ph 7.5 (500ml) トリス ( ヒドロキシメチル ) アミノメタンを 60.57g はかりとり 400ml の蒸留水に溶解します 塩酸により ph を 7.5 に調整します Tris 緩衝液は温度による ph 変動が激しいため 液温を 25 に保って ph 調整を行ってください ph 調整後 蒸留水を添加し 液量を 500ml に合わせます 正確な ph が要求される場合は 液量を合わせた後に再度 ph を測定して微調整します 必要に応じてオートクレーブ滅菌を行い 室温で保存してください TBS (500ml) 10 mm Tris-Cl, ph 7.5 100 mm NaCl (MW = 58.44) 1M Tris-Cl, ph 7.5 を 5ml NaCl を 2.9g はかりとり 蒸留水に溶解して液量を 500ml に合わせます 必要に応じてオートクレーブを行い 冷蔵もしくは室温で保存してください ただし 室温で保存した場合は あらかじめ使用前に冷やしておいてください TBS-T (500ml) TBS 0.1% (v/v) Tween-20 TBS を 500ml に Tween-20 を 500µl 添加し 混合します 調製後は 冷蔵で保存してください 10x PBS(-) (10x PBS) (500ml) 43 mm Na 2 HPO 4 7H 2 O (MW = 268.07) 14 mm KH 2 PO 4 (MW = 136.09) 27 mm KCl (MW = 74.55) 1.37 M NaCl (MW = 58.44) Na 2 HPO 4 7H 2 O を 5.75g KH 2 PO 4 を 1.0g NaCl を 40.0g KClを 1.0g はかりとり 蒸留水に溶解して液量を 500ml に合わせ 10x 溶液を調製します 必要に応じてオートクレーブ滅菌し 冷蔵もしくは室温で保存してください 10x PBS は冷蔵保存した場合 塩濃度が高いため析出物が現れることがあります その際は 37 のウォーターバス等により加温し 析出物を完全に溶解させてからご使用ください 1x 溶液は 10x 溶液を蒸留水もしくは滅菌した蒸留水で 10 倍希釈して調製します 調整後は 冷蔵もしくは室温で保存してください ただし 室温で保存した場合は あらかじめ使用前に冷やしておいてください - 14 -

PBS-T (500ml) 1x PBS(-) 0.1% (v/v) Tween-20 1x PBS(-) を 500ml に Tween-20 を 500µl 添加し 混合します 調製後は 冷蔵で保存してください 50mM Carbonate Buffer, ph 9.6 (500ml) 15 mm Na 2 CO 3 (MW = 105.99) 35 mm NaHCO 3 (MW = 84.01) Na 2 CO 3 を 0.79g NaHCO 3 を 1.47g はかりとり 蒸留水に溶解して液量を 500ml に合わせます ph 調整は不要です 必要に応じてオートクレーブをかけ 冷蔵もしくは室温で保存してください ただし 室温で保存した場合は あらかじめ使用前に冷やしておいてください トランスファーバッファー( セミドライ式トランスファー用 ) (1L) 192 mm Glycine (MW = 75.07) 25 mm Tris (MW = 121.14) 20% (v/v) Methanol グリシンを 14.4g トリス( ヒドロキシメチル ) アミノメタンを 3.0g メタノールを 200ml はかりとり 蒸留水に溶解して液量を 1L に合わせます 室温で保存してください - 15 -

[8] トラブルシューティング ウェスタンブロッティング ドットブロッティング トラブル原因対策 シグナルが弱い バンドの中心の色が抜けてしまう エキストラバンドが多い 電気泳動したタンパク質濃度が薄い 抗体濃度が薄い 膜へのトランスファーが不十分 膜へのトランスファー時間 電流量が過剰 抗体濃度が濃すぎる 抗体濃度が濃すぎる タンパク質濃度が濃すぎる ブロッキングが不十分 洗浄が不十分 できる限り濃い試料を電気泳動してください タンパク質の希釈系列を作成して最適濃度の検討を行うのが有効です ドットブロッティングにより 最適な抗体濃度を決定してください 電流量を上げるか トランスファー時間を延長してください 一般にゲル濃度が濃いほどトランスファー効率が低下します また グラジエントゲルを用いた場合 高分子領域と低分子領域のトランスファー効率の差が増大しますのでご注意ください トランスファー法をセミドライ式からウェット式に変更することにより 効率が改善することがあります 特にニトロセルロース膜使用時には 過剰なトランスファー操作により タンパク質が膜の反対側に透過してしまう場合があります 電流量を下げるか 時間を短縮してください 膜の種類を PVDF に変えるのも有効です 検出試薬によっては 過剰なシグナルにより逆に発光が抑えられてしまうことがあります ドットブロッティングを行って最適な抗体濃度を決定してください 過剰な抗体により 非特異的なシグナルが増大することがあります ドットブロッティングにより最適な抗体量を決定してください タンパク質量を薄めて電気泳動を行ってください 希釈系列を作成して最適濃度の検討を行うのが有効です 抗原 抗体種によっては ブロッキング剤の種類 濃度に大きく依存する場合があります ブロッキング剤の種類や濃度の条件検討を行ってください 洗浄回数を増やしてください - 16 -

ELISA トラブル原因対策 シグナルが弱い 発色が強すぎる バックグラウンドが高い 値の振れ幅が大きい 抗原または抗体の濃度が薄い 抗原または抗体濃度が濃い 反応時間が長すぎる 抗原または抗体の濃度が濃すぎる ブロッキングが不十分 洗浄が不十分 ELISA プレートに問題がある 抗原 抗体濃度の条件検討 ( タイトレーション ) を行ってください 抗原 抗体濃度の条件検討 ( タイトレーション ) を行ってください 反応時間を短縮してください 抗原 抗体濃度の条件検討 ( タイトレーション ) を行ってください 抗原 抗体種によっては ブロッキング剤の種類 濃度に大きく依存する場合があります ブロッキング剤の種類や濃度の条件検討を行ってください 洗浄回数を増やしてください ELISA プレートは 種類によってタンパク質の吸着効率が大きく異なる場合があります また ロット間での性能差が大きいプレートもあります より正確な測定を行いたい場合は ELISA プレートの選定は慎重に行ってください [9] 関連商品 品名および内容 包装 保存温度 Code No. 価格 Santa Cruz 社抗体 ( シグナル伝達系関連 ) お問い合わせください PeproTech 社抗体 抗原 お問い合わせください Fitzgerald 社抗体 ( 成長因子関連 ) お問い合わせください Lumino Imaging Analyzer FAS-1000( 標準 CCD タイプ ) FAS-1100( 高画素 CCD タイプ ) 一式一式 FAS-1000 FAS-1100 2,500,000 3,500,000 PROTEIOS TM ver.2 Wheat germ cell-free protein synthesis kit* 5 回用 20 回用 60 回用 -80-80 -80 CPS-801M CPS-801 CPS-803 50,000 140,000 270,000 PROTEIOS TM buffer set* 1set -20 CPS-202 15,000 Microsome-High TM 50µl -80 MSM-101 39,000 Canine Pancreatic Microsomal Membranes * 弊社からの PROTEIOS TM Wheat germ cell-free protein synthesis kit および PROTEIOS TM buffer set の販売は非営 利組織に限られます 企業の方のご購入に関しては和研薬株式会社へお問い合わせください お問い合わせ先 : 和研薬株式会社バイオメディカル事業部 TEL: (075)721-8111( 代 ) / FAX: (075)711-6019 / E-mail: hsp@wakenyaku.co.jp) - 17 -

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