曲面上の正則閉曲線の回転数について (新しい変換群論とその周辺)

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 応用数学8回目.pptx

Dehn 手術による 3 次元多様体の構成 Lickorish-Wallace の定理 B 久家正樹指導教員古宇田悠哉広島大学理学部数学科卒業論文 2017 年 2 月 10 日

4 次元多面体から空間のかたちをみるー空間が曲がっているとはどういうことか 河野俊丈 2016 年 7 月 7 日学術俯瞰講義 図形から拡がる数理科学

1/10 平成 29 年 3 月 24 日午後 1 時 37 分第 5 章ローレンツ変換と回転 第 5 章ローレンツ変換と回転 Ⅰ. 回転 第 3 章光速度不変の原理とローレンツ変換 では 時間の遅れをローレンツ変換 ct 移動 v相対 v相対 ct - x x - ct = c, x c 2 移動

Microsoft PowerPoint - 9.pptx

vecrot

2 α 2 A α 1 α 5 α 3 α 4 1.2: A 3 π n 4 n 3 n = 3 n 3 n = 2 1 α A 4π α/2π A = 4π α 2π = 2α n = 2 α α 1.3: 2 n = 3,, R 3 α, β, γ S 2,, R,, R 2, R 2 T T

PowerPoint Presentation

Microsoft Word - 微分入門.doc

Microsoft PowerPoint - ce07-09b.ppt

DVIOUT-SS_Ma

DVIOUT-17syoze

Microsoft PowerPoint - 第3回2.ppt

数学の世界

Microsoft PowerPoint - 10.pptx

補足 中学で学習したフレミング左手の法則 ( 電 磁 力 ) と関連付けると覚えやすい 電磁力は電流と磁界の外積で表される 力 F 磁 電磁力 F li 右ねじの回転の向き電 li ( l は導線の長さ ) 補足 有向線分とベクトル有向線分 : 矢印の位

<4D F736F F D20824F F6490CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

. 角の二等分線と調和平均 平面上に点 を端点とする線分 と を重ならないようにとる, とし とする の二等分線が線分 と交わる点を とし 点 から に垂直に引いた直線が線分 と交わる点 とする 線分 の長さを求めてみよう 点 から に垂直な直線と および との交点をそれぞれ, Dとする つの直角三

2006年3月25日 日本数学会市民講演会                           円周からなる図形  坪井 俊

2015年度 京都大・理系数学

<8D828D5A838A817C A77425F91E6318FCD2E6D6364>

2015年度 2次数学セレクション(整数と数列)

<4D F736F F D208CF68BA48C6F8DCF8A C31312C CC295CA8FC194EF90C582C697988E718F8A93BE90C52E646F63>

Microsoft Word - K-ピタゴラス数.doc

1 1. はじめに ポンスレの閉形定理 Jacobi の証明 June 5, 2013 Akio Arimoto ヤコビは [2] においてポンスレの閉形定理に初等幾何を用いた証明を与え ている 大小 2つの円があり 一方が他方を完全に含んでいるとする 大小 2 円の半径をそれぞれ Rr, とする

2015-2017年度 2次数学セレクション(複素数)解答解説

2014年度 名古屋大・理系数学

航空機の運動方程式

2017年度 金沢大・理系数学

代数 幾何 < ベクトル > 1 ベクトルの演算 和 差 実数倍については 文字の計算と同様 2 ベクトルの成分表示 平面ベクトル : a x e y e x, ) ( 1 y1 空間ベクトル : a x e y e z e x, y, ) ( 1 1 z1

2011年度 東京大・文系数学

2018年度 筑波大・理系数学

<4D F736F F D20824F B834E835882CC92E8979D814690FC90CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

複素数平面への誘い

学習指導要領

2017年度 京都大・文系数学

Microsoft Word - 201hyouka-tangen-1.doc

チェビシェフ多項式の2変数への拡張と公開鍵暗号(ElGamal暗号)への応用

以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (ex. 2 dx d x x, x 2 dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-1) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( x や x, x などがすべて 1 次で なおかつ

数学 t t t t t 加法定理 t t t 倍角公式加法定理で α=β と置く. 三角関数

<4D F736F F D E4F8E9F82C982A882AF82E98D7397F1>

相関係数と偏差ベクトル

単純パラエルミート対称空間の等長変換群について (新しい変換群論とその周辺)

学習指導要領

線積分.indd

応用数学A

0 21 カラー反射率 slope aspect 図 2.9: 復元結果例 2.4 画像生成技術としての計算フォトグラフィ 3 次元情報を復元することにより, 画像生成 ( レンダリング ) に応用することが可能である. 近年, コンピュータにより, カメラで直接得られない画像を生成する技術分野が生

p tn tn したがって, 点 の 座標は p p tn tn tn また, 直線 l と直線 p の交点 の 座標は p p tn p tn よって, 点 の座標 (, ) は p p, tn tn と表され p 4p p 4p 4p tn tn tn より, 点 は放物線 4 p 上を動くこと


<4D F736F F D20824F B CC92E8979D814696CA90CF95AA82C691CC90CF95AA2E646F63>

中学 1 年生 e ライブラリ数学教材一覧 学校図書 ( 株 ) 中学 1 年 数学 文字式式の計算 項と係数 中学 1 年 数学 次式 中学 1 年 数学 項のまとめ方 中学 1 年 数学 次式の加法 中学 1 年 数学 77

コンピュータグラフィックス第6回

20~22.prt

2017年度 千葉大・理系数学

2018年度 神戸大・理系数学

2018年度 東京大・理系数学

Microsoft Word - 町田・全 H30学力スタ 別紙1 1年 数学Ⅰ.doc

ヤコビ楕円関数とはなにか

ディジタル信号処理

2016年度 筑波大・理系数学

2011年度 大阪大・理系数学

8. 自由曲線と曲面の概要 陽関数 陰関数 f x f x x y y y f f x y z g x y z パラメータ表現された 次元曲線 パラメータ表現は xyx 毎のパラメータによる陽関数表現 形状普遍性 座標独立性 曲線上の点を直接に計算可能 多価の曲線も表現可能 gx 低次の多項式は 計

ポンスレの定理

<4D F736F F D208CF68BA48C6F8DCF8A C30342C CFA90B68C6F8DCF8A7782CC8AEE967B92E8979D32288F4390B394C529332E646F63>

2011年度 筑波大・理系数学

木村の物理小ネタ ケプラーの第 2 法則と角運動量保存則 A. 面積速度面積速度とは平面内に定点 O と動点 P があるとき, 定点 O と動点 P を結ぶ線分 OP( 動径 OP という) が単位時間に描く面積を 動点 P の定点 O に

二等辺三角形の性質 (2) 次の図の の大きさを求めなさい () = P=Q P=R Q 68 R P (2) (3) 五角形 は正五角形 = F 50 F (4) = = (5) === = 80 2 二等辺三角形の頂角の外角を 底角を y で表すとき y を の式で表しなさい y 2-5-2

公式集 数学 Ⅱ B 頭に入っていますか? 8 和積の公式 A + B A B si A + si B si os A + B A B si A si B os si A + B A B os A + os B os os A + B A B os A os B si si 9 三角関数の合成 si

曲線 = f () は を媒介変数とする自然な媒介変数表示 =,= f () をもつので, これを利用して説明する 以下,f () は定義域で連続であると仮定する 例えば, 直線 =c が曲線 = f () の漸近線になるとする 曲線 = f () 上の点 P(,f ()) が直線 =c に近づくこ

Microsoft Word - 1B2011.doc


Microsoft PowerPoint - H21生物計算化学2.ppt

< D8C6082CC90AB8EBF816989A B A>

Transcription:

数理解析研究所講究録第 2016 巻 2017 年 168-174 168 曲面上の正則閉曲線の回転数について On Rotation Numbers of Regular on Surfaces Closed Curves 岡山理科大学 理学部山崎正之 Masayuki Yamasaki Faculty of Science, Okayama University of Science 1 序 論文 [7] および関連研究の紹介を行う 平面の正則閉曲線の正則ホモトピーによる分類が 回転数 でなされることはよく知られている (Whitney Graustein の定理 [6]) その結果を一般の曲面上の正則閉曲線の場合に拡張したい この論文中では常に M を よい リーマン計量を持つ曲面とする M 上の正則閉 曲線 $\gamma$ に対してその回転数 (rotation number もしくは winding Whitney index) W( $\gamma$) を導入したい W( $\gamma$)\in\{ \mathbb{z} \overline{m}\neq S^{2}, $\gamma$ は向きを保つ \mathbb{z}/2\mathbb{z} 上以外 number もしくは ただし, よい リーマン計量をもつ曲面とは, ユークリッド平面 \mathrm{e}^{2} 以外に例えば以下の ようものを考えている ( 開 ) アニュラス A=[0, 1 \times(-1/2,1/2)/(0, y)\sim(1, y), シリン ダー C=[0, 1]\times \mathbb{r}/(0, y)\sim(1, y), ( 開 ) メビウスの帯 MB=[0, 1]\times(-1/2,1/2)/(0, y)\sim (1, -y), ねじれシリンダー TC=[0, 1 ] \times \mathbb{r}/(0, y)\sim(1, -y), 2 次元トーラス T, クラインの壺 KB, 双曲閉曲面, 完備双曲曲面,2 次元球面 S^{2}, 2 次元射影平面 P アニュ ラスおよびメビウスの帯を 開 にしているのは本質的な制限ではない これらの曲 面の普遍被覆 ( もとの曲面のリーマン計量の誘導するリーマン計量を与えておく ) は以 下のようなユークリッド平面 \mathrm{e}^{2} への等角写像 (\subset^{\star}, =^{\star}, \rightarrow^{\star}) conformally euclidean structure をもっている - ユークリッド的曲面 -\displaystyle \overline{a}=\mathbb{r}\times(-\frac{1}{2}, \frac{1}{2})\subset^{\star}\mathbb{e}^{2}, \overline{c}=\star \mathbb{e}^{2} -\displaystyle \overline{mb}=\mathbb{r}\times(-\frac{1}{2}, \frac{1}{2})\subset^{\star}\mathrm{e}^{2}, \overline{tc}=^{\star}\mathrm{e}^{2} -\overline{t}=^{\star}\mathrm{e}^{2} -\overline{kb}=^{\star}\mathrm{e}^{2} - 双曲閉曲面 完備双曲曲面 -\overline{m}=\mathbb{h}^{2}=\mathbb{r}\times(0, \infty)\subset^{\star}\mathbb{e}^{2} ( 上半平面モデル ) -\overline{m}=\mathbb{h}^{2}=\mathring{d}^{2}\subset^{\star}\mathrm{e}^{2} (Poincaré モデル )

169 球面的曲面 ( *\in S^{2} 南極 ) -\overline{s}^{2}=\mathrm{s}^{2}, \mathrm{s}^{2}-*\rightarrow^{\star}\mathbb{e}^{2} ( 南極からの立体射影 ) -\overline{p}^{2}=\mathrm{s}^{2}, \mathrm{s}^{2}-*\rightarrow^{\star}\mathbb{e}^{2} ( 南極からの立体射影 ) 次のような結果を得たい 希望的目標 11 次は同値 (1) $\gamma$_{1} と $\gamma$_{2} は正則ホモトピック (2) $\gamma$_{1} と $\gamma$_{2} はホモトピック かつ W($\gamma$_{1})=W($\gamma$_{2}) M が向き付け可能な場合などでは望む結果が得られた しかし, M が向き付け不可 能で, $\gamma$ が向きを保ち, かつ non reversible の場合には, W( $\gamma$) を定義するために, $\gamma$ と 自由にホモトピックな正則曲線の中からひとつ $\gamma$0 を選ぶ必要がある 異なるものを選 んだ場合, 回転数の符号が逆になる可能性がある ( 絶対値は不変 ) 詳しくは 3\mathrm{A} を見 てほしい 曲面上の正則閉曲線の回転数の定義に関しては B L Reinhart [3] や D R J Chillingworth [1] によるものがあるが, 一般には上のような定理を得ることはできない なお, 平成 27 年度のゼミ生が卒業論文でアニュラス, メビウスの帯, トーラス, クライ ンの壺, 球面, 射影平面上の正則閉曲線の回転数について詳しく調べてくれている ([5]) そちらも見て頂ければ幸いである 2 ユークリッド平面上の正則曲線の回転数 ユークリッド平面 \mathrm{e}^{2} 上の必ずしも閉ではない正則曲線 $\gamma$ [a, b]\rightarrow \mathrm{e}^{2} の 2 種類の回 転数 ( i 指数, i 指数 ) を定義する 各点における $\gamma$ の向 \displaystyle \neq_{\llcorner}e_{ $\gamma$}(u)=\frac{d $\gamma$}{du}/ \frac{d $\gamma$}{du} は角度関数 $\theta$ [a, b]\rightarrow \mathbb{r} を用いて e_{ $\gamma$}(u)=(\cos $\theta$(u), \sin $\theta$(u)) と表すことができる 角度関数は 2 $\pi$ の整数倍だけの自由度を持つ 定義 21 ( 回転数 -i 指数, j 指数 ) i_{ $\gamma$}=\displaystyle \frac{ $\theta$(b)- $\theta$(a)}{2 $\pi$}\in \mathbb{r}, i_{ $\gamma$}=\displaystyle \frac{ $\theta$(b)+ $\theta$(a)}{2 $\pi$}\in \mathbb{r} 注意 (1 短指数は角度関数の取り方によらない (2 短指数は, e_{ $\gamma$}(a) と e_{ $\gamma$}(b) が同じ向きなら ( 特に正則閉曲線なら ), 整数値をとる (3) i 指数は角度関数を取り えても mod2 で値が不変である (4) $\theta$(a)=0 ならば i_{ $\gamma$}=j_{ $\gamma$} が成り立つ 次の定理は Whitney Graustein の定理の自然な拡張であり,Smale Hirsch の immersion theory [2] [4] から直ちに導かれる また,elementary な証明を与えることもでき る [7]

170 定理 22 端点および端点における向きが一致する正則平面曲線 $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} に対して次は同値 $\gamma$_{1} と $\gamma$_{2} は端点と端点における向きをとめて正則ホモトピック i_{$\gamma$_{1}}=i_{$\gamma$_{2}}\in \mathbb{r} 3 曲面上の正則閉曲線の回転数 この節では, 序で述べたような幾何をもつ曲面 M を考え, M 上の正則閉曲線 $\gamma$ [a, b]\rightarrow M の回転数を導入する p_{m}\overline{m}\rightarrow M を M の普遍被覆とし, \overline{m} には M の計量の誘導する計量を与えておく その一方で conformally eudlidean structure により \overline{m} ( もしくは S^{2}-* ) を \mathrm{e}^{2} の部分集合とも考えることができる さて, 正則ホモトピーを以下の 3 つのレベルで考える (0) 基点と基点における向きを止めた正則ホモトピー (1) 基点を止めた正則ホモトピー (2) フリーな正則ホモトピー (0) のレベルの正則ホモトピーによる分類は, 上の 22 により与えられる M の基点 を P とし, p の \overline{m} への持ち上げ \overline{p} を固定しておく $\gamma$ は p を始点とするものとし, \overline{p} を 始点とする \overline{m} への持ち上げ \overline{ $\gamma$} を conformally euclidean structure により \mathrm{e}^{2} 上の正則 曲線と見なして, その i 指数 i_{\tilde{ $\gamma$}} を考えれば, これが (0) のレベルでの分類を与える ただし, 球面幾何をもつ場合は除外点である南極を通過する正則ホモトピーにより i 指数 が 2 だけ変わってしまうので値を mod2 で考える必要がある 以下, 非球面的な曲面 の場合と球面的な曲面の場合に分けて議論する A 非球面的な曲面の場合 まず,(1) のタイプの分類を与える回転数に関して議論する $\gamma$ [a, b]\rightarrow M を p を始点とする正則閉曲線 5 [a, b]\rightarrow\overline{m} を p を始点とする持ち上げとする \overline{ $\gamma$}(a) と \overline{ $\gamma$}(a) を \overline{m} の最短測地線 \overline{ $\gamma$} で結ぶことができる ( 考えている例ではいつも可能 ) ここでは \mathrm{e}^{2} の計量で考えているのではないことに注意する M の正則曲線 $\delta$=p_{m}\circ\overline{ $\delta$} は p を基 点とし, 基点をとめて $\gamma$ とホモトピックな測地線である 閉曲線ではあるが, 基点 p が 角 になっている可能性がある しかし, p における 内角 は 0 ではないし, 外角 は \pm $\pi$ ではない ここで, 外角 の意味をはっきりさせておく \overline{ $\gamma$}(b) を始点とする $\delta$ の持ち上げを \hat{ $\delta$} とする 定義 31 $\delta$ の p における外角 $\chi$_{ $\delta$,\overline{p}}(- $\pi$<$\chi$_{ $\delta$,\overline{p}}< $\pi$) を, ベクトル e_{\tilde{ $\delta$}}(b) を $\chi$_{ $\delta$,\tilde{p}} だけ回転 するとベクトル e_{\hat{ $\delta$}}(b) が得られる角度として定義する

171 注意 M の計量と \mathrm{e}^{2} の計量とどちらで角度を計算しても同じである 定義 32 $\gamma$ が向きを保つ / 向きを逆にするとは \overline{ $\gamma$} に対応する p_{m} の被覆変換が向きを保 つ / 向きを逆にすることをいう また, M の点 \hat{} p の \overline{m} へのふたつの持ち上げ \overline{p} とp が同 \hat{} じ向き / 逆の向きであるとは,p を p 定義 33 $\gamma$ の回転数 w_{\overline{p}}( $\gamma$) を次のように定義する [ $\gamma$]=1\in$\pi$_{1}(m, p) のときは, w_{\overline{p}}( $\gamma$)=i_{\overline{ $\gamma$}}\in \mathbb{z} [ $\gamma$]\neq 1\in$\pi$_{1}(M,p) のとき に移す被覆変換が向きを保つ / 逆にすることをいう w_{\overline{p}}( $\gamma$)=\left\{\begin{array}{ll}i_{\overline{ $\gamma$}}-(i_{\overline{ $\delta$}}+\frac{$\chi$_{ $\delta$,\tilde{p}}}{2 $\pi$})\in \mathbb{z} & $\gamma$ \text{ が向きを保つとき,}\\i_{\overline{ $\gamma$}}-(i_{\tilde{ $\delta$}}+\frac{$\chi$_{ $\delta$,\tilde{p}}}{2 $\pi$})\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{d} 2\in \mathbb{z}/2\mathbb{z} & $\gamma$ \text{ が向きを逆にするとき }\end{array}\right この回転数がきちんと \mathbb{z} や \mathbb{z}/2 \mathbb{z} に定義されることさえ証明できれば, 次の定理はほ とんど自明である 定理 34 ([7]) M は非球面的でよい幾何構造をもつ曲面であり, $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} はともに基点を p とする M の正則閉曲線で, \overline{p} は p の \overline{m} への持ち上げとする このとき, 次は同値 $\gamma$_{1} と $\gamma$_{2} は基点を止めて正則ホモトピック [$\gamma$_{1}]=[$\gamma$_{2}]\in$\pi$_{1}(m, p) かつ w_{\overline{p}}($\gamma$_{1})=w_{\overline{\mathrm{p}}}($\gamma$_{2}) w_{\tilde{p}}( $\gamma$) が \overline{p} の取り方による可能性があるのは, 値が整数の場合, つまり M が向き付け不可能で $\gamma$ が向きを保つときだけであることが次の定理よりわかる 定理 35 ([7]) $\gamma$ は p を基点とする M の正則閉曲線とし, \overline{p}, \hat{p} は p\in M の \overline{m} への持ち 上げとする このとき, 次が成り立つ w_{\overline{p}}( $\gamma$)=\left\{\begin{array}{l}\overline{p} \text{ と }p\hat {}\text{ は同し向き }\\-w_{\hat{p}}( $\gamma$) \overline{p} \text{ と } \hat{p} \text{ は逆の向き }\end{array}\right 次に (2) のレベル, すなわちフリーな正則ホモトピーによる分類のための回転数を定 義する p_{1} を基点とする $\gamma$_{1} を (free な ) 正則ホモトピーで P2 を基点とする $\gamma$_{2} に変形したとす る そのホモトピーは持ち上げ箭の正則ホモトピーに持ち上がる その他端を施とすると次を得る ただし, \overline{p_{j}} は \overline{ $\gamma$}_{j} の始点 (j=1,2) である w_{\overline{p}_{1}}($\gamma$_{1})=w_{\overline{p}_{2}}($\gamma$_{2})

172 したがって M が向き付け可能な場合 および M が向き付け不可能で $\gamma$ が向きを 逆にする場合 W( $\gamma$) を w_{\tilde{p}}( $\gamma$) で定めれば, これは正則ホモトピーについての不変量と なる そこで, M が向き付け不可能で $\gamma$ が向きを保つ場合が問題となる このとき, $\gamma$ の持 ち上げは2 種類に分かれ, w_{\overline{p}}( $\gamma$)(\in \mathbb{z}) の符号が逆になっている そこで次のような概 念を導入する 定義 36 $\gamma$ が reversible とは, 向きを逆にするようなある元 [ $\xi$]\in$\pi$_{1}(m, p) で, [ $\xi \gamma$\overline{ $\xi$}]= [ $\gamma$]\in$\pi$_{1}(m,p) をみたすものが存在することをいう 注意 (1) reversibility は ( 正則 ) ホモトピーで不変である (2) reversible な $\gamma$ を上のような $\xi$ に沿って finger move を行ったものを $\gamma$' とすると w_{\overline{p}}($\gamma$')=-w_{\overline{p}}( $\gamma$) が成り立つ 例 メビウスの帯を本質的に偶数周するような正則閉曲線は reversible である 実際, 帯の中心に沿って 1 周させると戻ってきたとき 上下 が逆転してしまい見かけの回 転数の符号が逆になる 定義 37 ( フリーな回転数 W( $\gamma$) の定義 ) あらかじめ M 上の基準となる正則閉曲線 $\gamma$_{0} およびその \overline{m} への持ち上げ \overline{ $\gamma$}_{0} を固定しておく $\gamma$ を $\gamma$_{0} とホモトピックな正則閉曲線 とし, p をその始点とする (1) M が向き付け可能な場合は, $\gamma$_{0}, \overline{ $\gamma$}_{0} とは無関係に W_{\overline{ $\gamma$}0}( $\gamma$)=w_{\overline{p}}( $\gamma$)\in \mathbb{z} と定める ただし, \overline{p} は p の \overline{m} への任意の持ち上げとする (2) M が向き付け不可能で, $\gamma$ が向きを逆にする場合は, $\gamma$_{0}, \overline{ $\gamma$}_{0} とは無関係に W_{\overline{ $\gamma$}0}( $\gamma$)= w_{\tilde{p}}( $\gamma$)\in \mathbb{z}/2\mathbb{z} と定める ただし, \overline{p} は p の \overline{m} への任意の持ち上げとする (3) M が向き付け不可能で $\gamma$ が向きを保ち reversible な場合は, $\gamma$_{0}, \overline{ $\gamma$}_{0} とは無関係に W_{\overline{ $\gamma$}0}( $\gamma$)= w_{\overline{p}}( $\gamma$) \in \mathbb{z}_{\geqq 0} として定める ただし, \overline{p} は p の \overline{m} への任意の持ち上げとす る (4) M が向き付け不可能で $\gamma$ が向きを保ち non reversible な場合は, W_{\overline{ $\gamma$}0}( $\gamma$)=w_{\overline{p}}( $\gamma$)\in \mathbb{z} と定める ただし, \overline{p} は, $\gamma$_{0} と $\gamma$ の間のホモトピーの持ち上げが \overline{ $\gamma$}_{0} と 7 の問のホモトピーを与えるような $\gamma$ の持ち上げ写の始点とする 注意 (1), (2), (3) の場合の回転数は $\gamma$_{0} に無関係に定まるので W( $\gamma$) と書いてもよい 定理 38 ([7]) M が非球面的でよい幾何構造を持つ曲面であり, $\gamma$_{0} は M 上の任意の正則閉曲線, $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} が $\gamma$_{0} とホモトピックな M 上の正則閉曲線とする このとき次は同値である (1) $\gamma$_{1} と $\gamma$_{2} は正則ホモトピック

173 (2) W_{ $\gamma$ 0}($\gamma$_{1})=W_{ $\gamma$ 0}($\gamma$_{2}) B 球面的な曲面の場合 M=S^{2}, P^{2} の場合を考える この場合, 普遍被覆 \overline{m} は球面 S^{2} である M 上の正則 閉曲線 $\gamma$ を考え, その \overline{m} への持ち上げを \overline{ $\gamma$} とする $\gamma$ が S^{2} の南極 (*) を通る場合は正 則ホモトピーで変形し, * を通過しないようにできる すると, 立体射影 S^{2}-*\rightarrow \mathrm{e}^{2} を用いて \overline{ $\gamma$} を \mathrm{e}^{2} の曲線と考えることができる 定義 3 \cdot 9 $\gamma$ がnull homotopic な場合は回転数を以下のように定義する w( $\gamma$)=w( $\gamma$)=i_{\tilde{ $\gamma$}}\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{d} 2\in \mathbb{z}/2\mathbb{z} mod2 の値をとっているのは正則ホモトピーが * を通過する際に i_{\overline{ $\gamma$}} の値が \pm 2 だけ 変化するためである 残るのは M=P^{2} で $\gamma$ が null homotopic でない場合である このとき,5 は S^{2} 上の 対蹟点を結ぶ曲線となる その端点を結ぶ測地線 \overline{ $\xi$} を \overline{ $\gamma$} と端点での向きが一致するよ うに選ぶ 定義 310 M=P^{2} で $\gamma$ がnull homotopic でない場合は回転数を以下のように定義 する w( $\gamma$)=w( $\gamma$)=i_{\overline{ $\gamma$}}-i_{\tilde{ $\xi$}}\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{d} 2\in \mathbb{z}/2\mathbb{z} 定理 311 M=S^{2}, P^{2} とする M 上の正則閉曲線 $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} が共通の基点 p をもつとす る 次は同値 (1) $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} は基点を固定して正則ホモトピック (2) [$\gamma$_{1}]=[$\gamma$_{2}]\in$\pi$_{1}(m,p) かつ w($\gamma$_{1})=w($\gamma$_{2}) 定理 312 M=S^{2}, P^{2} とする M 上の正則閉曲線 $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} について, 次は同値 (1) $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} は正則ホモトピック (2) $\gamma$_{1}, $\gamma$_{2} はホモトピックかつ W($\gamma$_{1})=W($\gamma$_{2}) A 自由正則ホモトピー類の代表元 4 最終コメント 与えられた $\gamma$_{0} と自由にホモトピックである正則閉曲線 $\gamma$ の回転数 W( $\gamma$) が n\in \mathbb{z} ( も しくは \overline{n}\in \mathbb{z}/2\mathbb{z}, n=0, 1 ) であるとする (1) $\gamma$_{0} がホモトピー的に自明な場合

174 (a) n=0 の場合 $\gamma$ は小さな 8 の字曲線に正則ホモトピックである (b) n\neq 0 の場合 $\gamma$ は小さな円周を n 周する正則曲線に正則ホモトピックである (2) $\gamma$_{0} がホモトピー的に非自明な場合 (a) n=0 の場合 $\gamma$ は $\gamma$0 と自由にホモトピックで最短な閉測地線と正則ホモトピックである (b) n\neq 0 の場合 $\gamma$ は $\gamma$_{0} と自由にホモトピックで最短な閉測地線に n 個の kink を ( 適切に ) つけたものと正則ホモトピックである B 自己交叉と正則ホモトピー Whitney は平面上の generic な正則閉曲線の回転数を自己交叉の符号付和と関係づ ける公式を見いだした [6] 平面以外の曲面の場合でも W( $\gamma$) が \mathbb{z}/2 \mathbb{z} の元として定義 できる場合 ( つまり, M が向き付け不可能で $\gamma$ も向きを逆にする場合や M=S^{2}, P^{2} の 場合 ) には, 単純に自己交叉の個数を mod2で考えた値と W( $\gamma$) は一致することが確かめられる それ以外の場合にもWhitneyの公式を拡張できると嬉しい 参考文献 1 D R J Chillingworth, Winding numbers on surfaces, I, Math Ann 196 (1972) 218 249 2 M W Hirsch, Immersions of manifolds, Trans Amer Math Soc 93 (1959) 242 276 3 B L Reinhart, The winding numbers on two manifolds, Annales de linstitut Fourier 10 (1960) 271 283 4 S Smale, Regular curves on riemannian manifolds, Trans Amer Math Soc 87 (1958) 492 512 5 上原翔太, 坂口翔悟, 寺岡拓馬, 花岡知歩, 八塚正義, 横田大河, 津路圭太, 球面的およびユークリッド的曲面における閉曲線の回転数 (Rotation numbers of closed curves on spherical and euclidean surfaces), 岡山理科大学理学部基礎理学科平成 27 年度卒業論文 (2016), available at http //surgery matrix \mathrm{j}\mathrm{p}/\mathrm{m}\mathrm{a}\mathrm{t}\mathrm{h}/\mathrm{r}\mathrm{i}\mathrm{d}\mathrm{a}\mathrm{i}/2015\mathrm{b} pdf 6 H Whitney, On regular closed curves in the plane, Compositio Math 4 (1937) 276 284 7 M Yamasaki, Winding numbers of regular closed curves on aspherical surfaces, \mathrm{a}\mathrm{r}\mathrm{x}\mathrm{i}\mathrm{v}160202464 [math GT]