PowerPoint プレゼンテーション

Size: px

Start display at page:

Download "PowerPoint プレゼンテーション"

そよこけい
5 years ago
Views:

1 ガウシアンと群論 ( 名古屋工業大学 ) 川崎晋司

2 ガウシアンの特徴非経験的分子軌道計算分子のシュレディンガー方程式をどう解くか HΨ = EΨ 電子だけでなく原子核も入るもちろん複数一電子波動関数の形にして解こう = 分子軌道法例えばハートリー法では多電子波動関数 Ψを一電子波動関数 φの積で近似 Ψ r 1, r, = ϕ r 1 ϕ r しかしこの近似ではパウリの原理 ( 電子の入れ替えに反対称 ) を満足しないスレーター行列を使う (HF 法 ) さらに電子相関も考慮して (MP 法 CI 法 )

3 入力出力ファイル入力 *.gif ファイル *.chk ファイル出力 *.log ファイルバイナリテキスト

4 入力ファイルなし : 一点計算 opt: 構造最適化 Freq: 振動計算 %chk=c: Work Kawasaki CH4.chk # opt mp/6-31g geom=connectivity pop=full 分子軌道の成分などを出力するときに必要 (full にしておけばすべての情報が出て良いと思う ) GaussView からは additional Keywords 欄に入れる Title Card Required 0 1 C H H H H 計算方法基底関数

5 Method 電子密度汎関数 DFT とそれ以外に大別コーンシャム方程式ハートリーフォック方程式 1 Z A r A + ρ r dr + VXC(r) ψ r = εψ(r) r r 1 Z A r A + J K ψ r = εψ(r) レベルは HF << MP < CISD MP4 < CCSD DFT

6 DFT ( 分子軌道計算の場合 ) B3LYP 交換汎関数相関汎関数普通はこれで良いようだ励起状態を扱う場合は TDDFT が良いらしい通常利用される汎関数では離れた電子間の相関をうまく取り込めないらしい ( 分散力の評価がうまくない ) van der Waals 力の評価に問題あり

7 Basis Set 多電子原子の電子の軌道 : 球面調和関数は水素と同様動径関数の部分は近似関数としてスレータ型原子軌道 (STO) がある R r = c ξ a0 n 1 r n 1 e ξ a 0 r この STO は分子軌道計算を行う上で時間を食うのでガウシアンではこの STO をいくつかのガウス関数 (GTO) で近似する /general_atom/ga-7.html 1 つの STO を複数の GTO で表したものを contracted GTO= CGTO という

8 DZ (Double-Zeta) 1 つの AO につの CGTO をあてたもの 3-1G 内殻軌道を 3 つのガウス関数で表す価電子はつの CGTO を使う (DZ) 内訳はつの G でできた CGTO と 1 つの G でできた CGTO TZ (Triple-Zeta) 6-311G 内殻軌道 :6 つのガウス関数価電子軌道 :3 つの CGTO 内訳は 3 つの G でできた CGTO と 1 つの G でできた CGTO がつ

9 分極関数と分散関数 (Polarization) (Diffuse) 大きいアニオンのように広がったもの + をつけて示す例 ) 6-31G 6-31+G 球対称からのずれを軌道を足して回避 DZ DZP 例 ) 6-31G 6-31G(d p)=6-31g** 水素以外は d 軌道を足す水素には p 軌道を足す

10 MP DFT-B3LYP なら DZP 以上 MP4 CCSD なら TZP 以上らしい遷移元素 cc-pvdz cc-pvtz VZP TZP

11 ガウシアンで何を求める? 1. ( 熱力学 ) エネルギー. 分子軌道 ( 各原子からの寄与 ) 3. 振動 (IR Raman)

12 振動計算 Freq=Raman で IR と Raman 両方計算 (additional keywords の欄に入力 ) つの目的 (1) 構造の正しさ評価求めた固有振動数に負のものがあればダメ ( ただし励起状態では 1 つだけ負 ) () 振動スペクトル求める (IR, Raman)

13 調和振動子近似振動が激しくなっても平均位置は変わらない非調和項が入ると

14 構造最適化はポテンシャルミニマムを探すべく微分係数がゼロとなるところを探すのですがこのケースも微係数ゼロ V=1/(-k)x 平方根が振動数 : 虚数

15 振動計算 Result Vibration 赤外スペクトルラマンスペクトル振動数選ぶとグラフにマークでる選択した振動数のモードが動く

16 IR スペクトル Raman スペクトル Epsilon Obs. Calc. (0.96*x) Frequency / cm 1 Intensity / arb. units obs. calc Raman Shift / cm 1

17 pop=full (additional keywords 欄に入力 ) 分子軌道の成り立ちを調べる O: 占有軌道 V: 非占有軌道

18 構造最適化と対称性

19 混成軌道? sp, sp 3 と言いますが sp pz sp3 1s 1s 果たして等価な 3 つの sp や等価な 4 つの sp3 軌道は見えるのか?

21 8=HOMO

23 三中心四電子結合 He H +

24 1 =HOMO 結合性軌道非結合性軌道 3=LUMO 反結合性軌道

28 中松博英向山毅 XANES と分子軌道法放射光 7 89 (1994)

29 群論目標 : マリケンの記号の意味を少しだけ理解する

30 注意! 本稿を通じて例として取り上げている C3v について : y 左図のように x 軸上に H 原子がのっているように x, y 軸を取りましたしかしどうも一般的には y 軸上に H 原子をのせるようです x 軸の取り方によってもちろん結論は変わりませんが行列 ( 表現 ) は変わってきます他書との比較ではその点を気をつけてください

31 NH 3 y N を含む z 軸が主軸 (3 回軸 ) x C 3v σ v '' σ v ' 3 枚の主軸を含む鏡面 σ v

32 対称操作 ( 群の要素 ) C 3v には以下の要素がある 1 恒等操作 E( すべての群にある ) 何もしないという操作 3 回軸 10 回す C 3 と 40 回す C 3 のつ 3 鏡面 ( 主軸を含む ) 前頁のように σ v, σ v ', σ v '' E, C 3, C 3, σ v, σ v ', σ v '' の 6 つ

33 対称操作 ( 要素 ) の行列表現対称操作による (x,y,z) 座標の変換を例として考えると恒等操作 E は表現基底同様に 10 回す C3 は以下のように表せる

34 C 3v の表現 E C 3 C σ v σ v ' σ v ''

35 要素の掛け算 ( 対称操作回 ) C 3 = C 3 C 3

36 掛け算表 ( 積表 ) E C 3 C 3 σ v ' σ v E E C 3 C 3 σ v ' σ v '' σ v '' σ v '' C 3 C 3 C 3 E σ v σ ' v σ v 先 C 3 C 3 E C 3 σ v ' '' σ v σ v σ v σ ' '' v σ v σ v E C 3 C 3 ' ' σ v σ v σ v '' '' σ v σ v C 3 E C 3 '' σ v σ v ' σ v C 3 C 3 E 後

37 表現の掛け算 C 3 = C 3 C 3 を表現行列でも確認

38 大きな行列表現 z 3 z 4 y x y z x y x z y x 各原子の座標変位ベクトルを基底とする表現を考える 1

39 大きな行列表現座標変位ベクトルに対する C3 表現 x1 y1 z1 x y z x3 y3 z3 x4 y4 z4 = x1 y1 z1 x y z x3 y3 z3 x4 y4 z4

40 相似変換行列 A に対してある行列 X とその逆行列 X -1 をつぎのように作用させることを相似変換という A = X 1 A X もし A, B, C. がある群の要素である時 A, B, C. もまたその群の表現となる

41 表現行列の区画因数化大きな行列においてうまい相似変換により次のような表現を見つけることができることがある 0 可約表現もとの大きい行列 0 規約表現

42 指標行列の対角成分を足し算したものを指標という E この行列では = 3 が指標 C この行列では -1/-1/+1 = 0 が指標

43 指標表 C 3v の指標表類 ( 要素 ) E C 3 3σ v A z x +y, z A R z E -1 0 (x,y) (R x, R y ) (x -y, xy) (xz, yz) 基底の例既約表現の組指標

44 既約表現の記号一次元の表現は A か B 二次元は E, 三次元は T 1. 主軸の C n 軸の回転に対して対称的 A 反対称的 B. 添え字の 1, は主軸に垂直な C 軸 ( または σd) に対して対称的 1 反対称的 3. プライム二重プライムは σh に対する対称性 4. 対称心がある群では反転に対して対称 g 反対称 u

45 指標表に関わるルール 1. 既約表現の数は類 ( 要素の固まりの数 ) の数と同じ. 表現の次元の二乗和が位数 h( 要素の数 ) に等しい 3. 既約表現の指標の二乗和は位数 h( 要素の数 ) に等しい 4. つの規約表現の指標のベクトルは直交

46 指標表の決め方 C 3v : E, C 3, 3σ v 類の数 3 規約表現は 3 組規約表現は 3 組表現の次元を l 1, l, l 3 とする位数は 6 l 1 + l + l 3 = h = 6 l 1 = l = 1 l 3 = (1 次元つと次元 1つ ) Γ1 Γ Γ3 E C 3 3σ v a 1 b c d 次元と同じになるどの群にも恒等表現がある 1 + a + 3 c =6 + c + 3 d =6 連立して解く (1,1,1) (1,a,b) = 0, (1,1,1) (,c,d) = 0, (1,a,b) (,c,d) = 0 前頁の指標表

47 指標表の使い方 1 - 振動モードの解析 - IR やラマン活性モードを調べる 4 z y x z 各原子の座標変位ベクトルを基底とする 3 z y x z y x y x 1

48 指標を数える E なので対角成分に 1 個 1 が並ぶ指標 χ(e) = 1 C 3 σ v についてはつの原子 (1,4) のみが対角成分に関わる x1 y1 z1 x y z x3 y3 z3 x4 y4 z 指標 χ(c3) = 0 とわかる指標 χ(σ v ) = とわかる x1 y1 z1 x y z x3 y3 z3 x4 y4 z4

49 NH3 E C 3 3σ v A z x +y, z A R z E -1 0 (x,y) (R x, R y ) (x -y, xy) (xz, yz) Γ 振動 1 0 この Γ 振動の中にどんな規約表現があるかを数えますこれには便利な規則があって次のようにして数えます位数 a i = 1 χ(r)χ h i (R) 指標表の指標 a 1 = 1 6 a = 1 6 a 3 = (1)() = 3 可約表現の指標 ( 1)() = (0)() = 4 Γ 振動 =3A 1 +A +4E が得られた

50 NH3 Γ 振動 =3A 1 +A +4E とわかりましたがこれは多すぎますなぜなら非直線型の 4 原子分子の基準振動の数は自由度 3 4 原子 6 = 6 個だからです 6 を引いていますがこれは分子全体の並進と回転ですすべての原子が x y z の同じ方向に動くときなので指標表で x y z が基底となるものを探す A1 + E 同じ理屈で指標表で Rx Ry Rz が基底となるものを探す A + E これを引くと Γ 振動 =A 1 +E

51 赤外活性とラマン活性例外もあるので注意! 赤外活性 : 励起される振動がデカルト座標と同じ表現に属する指標表で基底が x, y, z のものを探すラマン活性 : 振動が分極率テンソル成分と同じ表現に属する x, y, z, xy, yz, zx のものを探す

52 NH3 基準振動は Γ 振動 =A 1 +E とわかった E C 3 3σ v A z x +y, z A R z E -1 0 (x,y) (R x, R y ) (x -y, xy) (xz, yz) 前頁のルールから赤外活性 :A1, E ラマン活性 :A1, E

53 CO 3 - D 3h コットンの群論の化学への応用の例そのまま E C 3 3C σ h S 3 3σ v A x +y, z A Rz E (x,y) (x -y, xy ) A A z E (Rx,Ry) (xz,yz) Γ 振動 Γ 振動 = A 1 + A + 3E + A + E 並進と回転をとると Γ 振動 = A 1 + E + A 赤外活性 : E + A ラマン活性 :A 1 + E

54 BF 3 (D 3h ) 分子の振動計算 ( ガウシアン ) A 1 A ラマン活性赤外活性 E 赤外活性ラマン活性 E 赤外活性ラマン活性

55 BF3 分子の振動計算 ( ガウシアン ) E A E

56 指標表の使い方 - 錯体の d 電子の分裂 - O h T d 八面体配位四面体配位

57 C 3 C 指標はゼロ指標は

58 O h 中心金属イオンの電子について考える E 8C 3 6C 6C 4 3C i 6S 4 8S 6 3σ h 6σ d A 1g x +y +z A g E g (z -x -y, x - y ) T 1g (Rx,Ry,Rz) T g (xz,yz,xy) A 1u A u E u T 1u (x,y,z) T u 指標表から s : A 1g p : T 1u dxy, dxz, dyz: T g dz, dx -y : E g

59 T d E 8C 3 3C 6S 4 6σ d A x +y +z A E (z -x -y, x - y ) T (Rx,Ry,Rz) T (x,y,z) (xz,yz,xy) s : A 1 p : T dxy, dxz, dyz: T dz, dx -y : E

60 配位子の電子 ( ただし s と p だけ ) について考える z y x 配位子の s 電子と px 電子は σ 結合を形成する π 結合について考える

61 配位子の s を基底として指標をとる (px を基底としてとっても同じ ) 対称操作によって原子の位置が動いてしまうようなものは表現の対角成分が 0 になることに注意すれば意外に簡単に指標を取れる例えば反転対称があるもの (i, S 4, S 6 ) や原子を通らない回転軸 (8C 3, 6C ( 八面体の辺の中心を通る )) の場合は直ちに指標がゼロとわかる Γ s(px)

62 E 8C 3 6C 6C 4 3C i 6S 4 8S 6 3σ h 6σ d A 1g x +y +z A g E g (z -x -y, x - y ) T 1g (Rx,Ry,Rz) T g (xz,yz,xy) A 1u A u E u T 1u (x,y,z) T u Γ s(px) a i = 1 h χ(r)χ i (R) でひたすら数え上げると a 1g = 1 48 e g = 1 48 t 1u = (1)() (1)() = ()() (0)() = ( 1)() (1)() = 1 他はすべてゼロで Γ s = A 1g + E g + T 1u とわかる

63 配位子の py, pz を基底として指標をとる振動座標のときと同様対称操作で動かない原子にだけ注目すればよい E 8C 3 6C 6C 4 3C i 6S 4 8S 6 3σ h 6σ d A 1g x +y +z A g E g (z -x -y, x - y ) T 1g (Rx,Ry,Rz) T g (xz,yz,xy) A 1u A u E u T 1u (x,y,z) T u Γ py,pz Γ py,pz = T 1g + T g + T 1u + T u 中心金属イオンの T g (dxy dxz dyz) と π 結合形成 T 1u の p 電子は σ 結合に使用される

64 C Z y z z y y Y z

65 C Z y z z y y Y z

三重大学工学部

三重大学工学部反応理論化学 ( その軌道相互作用複数の原子が相互作用して分子が形成される複数の原子軌道 ( または混成軌道が混合して分子軌道が形成される原子軌道 ( または混成軌道が混合して分子軌道に変化すると軌道エネルギーも変化する. 原子軌道原子軌道は3つの量子数 ( nlm,, の組合せにより指定される量子数の取り得る値の範囲 n の値が定まる l の範囲は n の値に依存して定まる m の範囲は