灰色収入

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1 中国の 灰色収入 の推定について 年 CHIP データを用いた検証 - 岑智偉 ( 京都産業大学 ) 青木芳将 ( 立命館大学 ) 土居潤子 ( 関西大学 ) No

2 1 中国の 灰色収入 の推計 2007 年 CHIP データを用いた検証 岑智偉 ( 京都産業大学 ) 青木芳将 ( 立命館大学 ) 土居潤子 ( 関西大学 ) 論文要旨 本稿は 中国における灰色収入の推計方法について 2007 年の CHIP データを用いて検証を行い 以下の 4 つの結論を得た 第 1 に 王 (2010) が示していないエンゲル係数法の理論的根拠について検討を行った 王 (2010) のエンゲル係数法により灰色収入の推計が可能であるためには エンゲル係数法の条件 ( 調査データによる推計エンゲル係数と公表データによる公表エンゲル係数が等しいという条件 ) が満たされなければならないことを示した 第 2 に CHIP2007 データを用いてエンゲル係数法による灰色収入の推計を行い データを重複使用しなければ 上記の条件を満たすことはできないことを示した よって 異なるサンプルで上記の条件を満たすことは極めて難しいと思われる 第 3 に 王 (2010) の推計方法の改善策として エンゲル係数法の条件を仮定せず 統計的な分位法 ( 十分位と五分位を併用した分類 ) により階層を分類し 各階層における灰色収入を推計した CHIP2007 データを用いた推計の結果 王 (2010) と同様に 高い所得階層ほど灰色収入に占める割合が高くなり 分位法 (quantile method) により所得階層を分類した場合 最高所得階層である第 10 十分位の人は 灰色収入全体の 34.13%( 王の所得分類に従うと 73.52%) を手にしているという結論を得た 第 4 に 本稿における灰色収入の推計結果として 2007 年における都市部の推計灰色総収入 (UTGI) の規模は 推計収入 ADJQ を用いた場合は GDP の 13.5% に相当する 3.6 兆元 ( 約 兆円 ) 推計収入 ADJW を用いた場合は GDP の 22.2% に相当する 5.9 兆元 ( 約 90.5 兆円 ) であることがわかった JEL Classification: C42, D12, D73 Key words: 灰色収入エンゲル係数分位法 本研究は JSPS 科研費 の助成を受けたものです 本稿は Asia-Pacific Economic Association,Seoul,Korea,September 18-19, 2014 での報告において ワシントン大学の Kar-yiu Wong 教授 アジ ア開発銀行研究所長吉野直行教授から有益なコメントを頂きました ここに記して感謝の意を申し上げます また 有うべき誤りに対する責任は全て筆者にあります Corresponding author: cen25@cc.kyoto-su.ac.jp.

3 2 1 はじめに 2007 年と 2008 年の CHIP (Chinese Household Income Project) データを用いた試算によれ ば 中国の都市部のジニ係数はそれぞれ と である 1 一般的に所得格差を五分 位階層でみた場合 ジニ係数が 0.4 を超えることは 最上位の第 5 五分位グループの 20% の 人が社会全体の富 ( 所得 ) の 50% 以上を所有し 所得格差が深刻であることを意味する こ のことを考えれば 中国の都市部における所得格差は深刻であると言える 2 中国の所得格差の要因については 様々な議論が展開されており クズネッツ仮説 ある いは クズネッツ転換点の有無についての検証はその 1 つである ( 李 1993; 李 趙 張 1999; 王 樊 2005) しかし 王小魯 3 は中国の所得格差の要因が経済発展の段階的なもの ではなく 灰色収入 ( 合法か非合法かを判断しにくい収入 ) の存在といった制度的 構造 的なものによると主張した 王は 2007 年と 2010 年において 2 つの注目すべき論文 王 (2007) わが国の灰色収入と居民の所得格差 と王 (2010) 灰色収入と国民所得分配 を発表し 中国では公表される統計に表れない灰色収入が存在していることを示した 王 (2010) の推 計によれば 2008 年の中国の灰色収入は GDP の 29.5% を占めている 4 王 (2007) はこの ような収入の源泉は 必要以上に手数料を徴収するなどの 金融の腐敗 行政権乱用と賄 賂 独占企業や土地売買に関わるレント シーキング活動 などによるものだと指摘して いる 現段階では 灰色収入の推計に関して推計方法の説明が曖昧であることなどにより多くの 批判を受け とりわけ中国の統計局からは激しく反論されている 5 しかしながら 中国の 灰色収入については 第 11 期全国人民代表大会 ( 全人代 ) 第 3 回会議で行なわれた温家宝前 首相による政府活動報告ではじめて言及され 同首相はそれを是正していくことを強調して 1 CHIP データについては後程詳しく説明する 2 CHIP データにより計算された 2007 年と 2008 年のジニ係数は 0.4 を超えていないが 第 5 五分位グループの所得全体に占める割合は決して低くはない 2007 年と 2008 年の第 5 五分位グループの所得全体に占める割合はそれぞれ 43.9% と 47.6% である (CHIP データによる計算 ) 3 氏は中国改革基金会国民経済研究所副所長であり 経済政策などに影響のある経済学者である 4 王 (2010) は 公表データに表れない収入として 2 種類の収入 隠し収入と灰色収入 を定義している 定義上では殆ど同じであるため 本稿では灰色収入で統一する より詳しくは脚注 16 を参照 5 中国政府系の 中国経済体制改革研究会 URL( では 中国の 灰色収入 についての論争の経緯などをまとめて紹介している

4 3 いる 6 したがって 灰色収入を数量的に把握することは 今後の中国の税制改革と所得再分配政策に 大きな意味をもつと考えられる 上記のように 灰色収入についての議論は その存在の有無ではなく それを推計する方法が妥当であるかどうかという点に焦点が当てられていると思われる 王 ( ) に対する疑問の多くも その推計方法 ( エンゲル係数法 ) とデータの収集方法にある 羅 岳 李 (2011) は 王 ( ) の推計方法に大きな誤りがあると指摘しているが 灰色収入の存在についての反論はしていない このため 王 ( ) による灰色収 入の推計方法を改善し より正確な方法を開発することが必要である したがって本稿では 第 1 に 王により提唱された推計方法であるエンゲル係数法の妥当性について検討し 第 2 に エンゲル係数法を改善した分位法を用いて灰色収入を推計する 王に対する第 1 の批判は 王 ( ) は独自の調査データを用いて灰色収入の存在を統計的に明らかにしたが 王 (2010) の調査データはインタビュー式で収集されたもので 調査対象に恣意性があるという点である これに対し 本稿が用いる CHIP データは全国規模で行った無作為の家計調査データであり 王 (2010) の問題点を克服できると考えられる 王に対する第 2 の批判は 灰色収入の推計方法であるエンゲル係数法について十分に説明されていないことにある 本稿での検討から エンゲル係数法により灰色収入を推計するためには 異なる家計の効用関数が一致するという条件が必要になることを明らかにした この仮定は現実的には成立しにくいものであり 王 (2010) 以外のデータに対して エンゲル係数法を適用することは難しい この点を改善するため 本稿ではより一般的な方法である統計的分位法により 王と同様の結論が得られることを示した 本稿の構成は以下の通りである 第 2 節では 王 (2010) のエンゲル係数を用いた灰色収入の推計方法を 簡単な所得とエンゲル係数の関係式から検討し その妥当性について議論する 第 3 節では 本稿が用いる中国の家計調査データについて説明し 第 4 節では 分位法による灰色収入の推計結果と解釈をまとめる 第 5 節では 結論と今後の課題について言及する 6 サーチナ 温首相報告に異議あり! を参照 (

5 4 2 分析方法 2-1 ベンチマークモデル 王 ( ) 7 は 高級車の購入や異常な不動産投資など 現在の中国での実 際の収入と釣り合わないような消費活動 及び資産蓄積活動を問題として提起し これは統 計局の公表データに反映されていない灰色収入の存在によるものであると指摘している 灰 色収入を算出する方法として 王によるエンゲル係数法がある エンゲル係数法とは 収入 と強い相関をもつエンゲル係数を基に調査データから平均収入 ( 以下の分析で すべての変 数は階層内の平均値である ) を算出する方法であり この方法で測定された収入が灰色収入 を含めた実際の収入であるとされる 8 つまり 王 (2010) は エンゲル係数法により推計された各階層の実際の収入 ( 以下では 推計収入と呼ぶ ) と統計局が公表した各階層の家計収入 ( 以下では公表収入と呼ぶ ) の差を 灰色収入として定義しているのである 9 さらに 王 (2010) は中国統計局が公表している 3 種類の公表収入に注目し それぞれの 公表収入に合わせて 都市部階層別 1 人当たり灰色収入と灰色総収入を定義している 3 種 類の公表収入とは 1 中国統計局分類の 7 階層の都市部住民 1 人当たり年平均収入 (Per Capita Disposable Income) 10 2 都市部可処分総収入 (Total Disposable Income of Urban Households) と 3 可処分総収入 (Total Disposable Income) である 11 都市部階層別 1 人 7 王 (2007) 王(2010) は同じ論文の別バージョンであり 王 (2012) はこれらの論文を収録した論文集である 王 (2010) はエンゲル係数法の考え方とその推計方法について よりわかりやすく説明しているので 本稿では 王 (2010) を主要な参考文献とする 8 色々な消費支出の中で 収入の変動に影響されにくい消費支出は飲食費であり 飲食費と総消費の関係を表すものはエンゲル係数である このことを念頭に 王 (20 10) はエンゲル係数が収入と負の相関関係にあり 収入水準が大きくなるほどエンゲル係数は低くなるというエンゲル法則が普遍的に成立しているが故に この方法で抽出された各階層の平均収入はより現実に近い収入 即ち 実際の収入であるとしている 9 王 (2010) では なぜ 推計収入 と 公表収入 の差を 灰色収入 とできるかについて 理論的根拠は全く説明されていない 10 中国統計局では 所得水準を以下の 7 階層に分類している 最下位の第 1 階層は第 1 十分位 = 最低位所得階層 (10%) であり 第 2 階層は第 2 十分位 = 低所得階層 (10%) である 第 3 階層は第 2 五分位 = 中低位所得階層 (20%) 第 4 階層は第 3 五分位 = 中位所得階層 (20%) 第 5 階層は第 4 五分位 = 中高位所得階層 (20%) である 上位の第 6 階層は第 9 十分位 = 高所得階層 (10%) であり 最上位の第 7 階層は第 10 十分位 = 最高所得階層 (10%) である 11 1は中国統計年鑑 ( 各年 ) 城鎮住民家庭基本状況(Basic Conditions of Urban Households) における 7 階別の 平均毎人可支配収入 (Per Capita Annual Income) という公表データであり 3は中国統計年鑑 ( 各年 ) 資金循環: 実物取引 (Flow of Funds Accounts:Physical Transaction) における 可支配総収入 (Total Disposable Income) という公表データである 2は中国統計年鑑 ( 各年 ) 人民基本生活(Basic

6 5 当たり灰色収入と灰色総収入 ( 都市部灰色総収入 (Urban Total Gray Income:UTGI) と 総 灰色収入 (Aggregate Gray Income:AGI) の 2 種類 ) は 12 3 種類の推計収入と公表データ から以下のように定義されている 13 都市部階層別 1 人当たり灰色収入 = 7 階層の 推計収入 1 UTGI = 都市部推計総収入 2 AGI = 推計総収入 3 この場合 どのようにして 統計局の公表収入と比較できる実際の収入 (= 推計収入 ) を 正確に推計するかが焦点となる 王 (2007,2010) では エンゲル係数法を用いることで 実際の収入 及び灰色収入を推計できると主張した 王の推計方法は 独自の調査データからエンゲル係数法を用いて得られた推計収入と 統計局の公表収入を比較し その差を灰色収入とする推計方法である しかし 王 (2010) では エンゲル係数法を用いて実際の収入を推計する際の説明が不十分であるため その方法により推計された推計収入と灰色収入が信頼できるものかについて疑問視されている 以下では まず王 (2010) のエンゲル係数法の理論的根拠について 簡単なモデルを用いて検討してみる 灰色収入を考慮しない場合の階層内の平均家計収入 平均消費支出および平均貯蓄を そ れぞれy i C i S i (i = 1,, nは階層を表す ) で表す 灰色収入を考慮した場合の推計収入 消費支出と貯蓄をy i C i S i で表す G i を灰色収入とすれば 推計収入と灰色収入の関係はy i y i + G i のように定義できる ここで y i は統計局が公表した公表収入を表す 灰色収入を考慮した場合の諸変数の関係は 以下のように定義することができる y i y i + G i = C i + S i + G i = C i + S i y i (G i 0 ) (1) 王 ( 2010) は 灰色収入 G i を統計上で明らかにされていない収入であると考えているため 灰色収入の存在により 統計局が公表した GNI( i y i ) は実際の GNI( i y i ) より小さくな Statistics on People's Living Conditions) における 城鎮居民人均可支配収入 (Annual Per Capita Disposable Income of Urban Households) 都市部総人口より計算される 12 ここで言う Aggregate とは 都市部と農村部の総収入を含めた意味での Aggregate である 13 都市部推計総収入 (Total Estimation Income of Rural Households) と 推計総収入 (Total Estimation Income of Households) の定義及び計算方法については表 9a と表 9b を参照

7 6 る可能性があると主張している (1) は 以下のように書き換えることができる y i = C i + S i y i + G i = C i + S i + G i y i (G i 0 ) C i = C a,i + C b,i = y i S i y i G i S i C i = C a,i + C b,i = y i S i y i + G i S i (2) 但し C a とC b は灰色収入を考慮しない場合の飲食費とその他の消費支出を表し C a,i とC b,i は灰色収入を考慮した場合の飲食費とその他の消費支出を表す よって エンゲル係数は以 下のように定義できる β i = C a,i C a,i + C b,i = C a,i y i S i C a,i y i G S i ; β i = C a,i C a,i + C b,i = C a,i y i S i C a,i y i + G S (3) i 灰色収入が消費と貯蓄に一定率で配分されるとすれば (2) は以下のように書き直すこと ができる y i y i + G i = y i + z i G i + (1 z i ) G i = (C i + z i G i ) + (S i + (1 z i ) G i ) C i + S i (z (0,1)) (4) 但し z i と (1 z i ) は灰色収入の消費及び貯蓄に対する配分率を表す (4) の右辺第 1 項よ り 以下の式が得られる C i C i + z i G i = C a,i + C b,i + ξ i z i G i + (1 ξ i ) z i G i (5) = (C a,i + ξ i z i G i ) + (C b,i + (1 ξ i ) z i G i ) C a,i + C b,i (ξ (0,1)) ここで ξ i と (1 ξ i ) は灰色収入の飲食消費とその他の消費への配分率を表す 推計収入と公表収入の関係を明らかにしよう (4) と (5) を (3) に代入する事で 灰色収入を考慮した場合の推計収入 y i とエンゲル係数 β i 及び諸変数の関係を 以下の式で表現することができる

8 7 y i = 1 β C a,i + S i i = 1 β i (C a,i + ξ i z i G i ) + S i + (1 z i ) G i = ( 1 β C a,i + S i ) + ( ξ i z i + (1 z i ) β i ) G i i β i (6) ( 1 β i C a,i + S i ) + ω i G i 一方 灰色収入を考慮しない場合の公表収入 y i とエンゲル係数 β i 及び諸変数の関係式は 以 下のように整理できる y i = 1 β i C a,i + S i (7) よって 推計収入 y i と公表収入 y i の差は y i y i = 1 β C a,i + S i 1 C i β a,i S i i = 1 β i (C a,i + ξ i z i G i ) + S i + (1 z i ) G i 1 β i C a,i S i = ( β i β i β i β i ) C a,i + ( ξi z i + (1 z ) i β i β i ) G i (8) = ( β i β i β ) C i β a,i + ω i G i i となる (8) において β i = β i が成立すれば 第 1 項が 0 になるため y i y i = ω i G i となる... ことがわかる 以上から β i = β i が成立すれば 公表収入と比較できる実際の収入を推計す ることができ 王の推計方法により推計収入 y i と公表収入 y i の差として灰色収入の推定が可 能となる 王 (2010) の分析では 灰色収入を y i y i = G i として考えている 本稿の議論に従えば それは ξ i = β i を仮定していると考えられる しかし 前述のように ω i は ξ i z i β i といっ たパラメータに依存しているため ξ i = β i が常に成立しているとは限らない 数学付録 7-2 参照

9 8 2-2 推計方法 エンゲル係数法による灰色収入の推計方法を検討してみよう (6) の推計収入 y i と (7) の 公表収入 y i の違いは 灰色収入 (ω i G i ) とエンゲル係数 (β i β i ) から生じている しかし 王 (2010) はエンゲル法則が成立するため 実際の収入 (= 推計収入 ) と公表収入では収入 が違う (y i y i 0) が エンゲル係数は同一である (β i = β i ) と主張している 二つのデータから得られるエンゲル係数を一致させるため 王 (2010) は以下の手順で階 層別の推計収入と推計エンゲル係数を求めていると思われる Step1 統計局公表の 7 階層の 城鎮居民家庭平均毎人全年消費性支出 (Per Capita Annual Living Expenditure of Urban Households) のデータから 7 階層ごとのエンゲル係数 (β 1,, β 7 ; 以下では 公表エンゲル係数と呼ぶ ) を計算する Step2 王の調査データから 公表エンゲル係数と一致するエンゲル係数 (β 1 = β 1,, β 7 = β 7 ; 以下では 推計エンゲル係数と呼ぶ ) を持つように データを 7 階層に分類する Step3 7 階層の推計収入 (y 1 β 1 =β 1,, y 1 β 7 =β 7 ) を計算する Step4 同じエンゲル係数を持つ 中国統計局の公表データにおける 7 階層の公表収入 y i と 推計収入 y i との差を灰色収入として計算する 王 (2010) の推計結果は表 1 のようにまとめられる 15 ( 表 1) 王 (2010) の主な結果は以下のようにまとめられる (1)2008 年の都市部の 1 人当たり推 計収入は 35,462 元 ( 重回帰分析を用いたエンゲル係数法の場合は 32,154 元となる 脚注 15 を参照 ) であり 公表収入 (1 人当たり可処分所得 ) は 16,885 元であるため 1 人当たり 15 上述の step1~step4 の方法で求められた推計結果は表 1 の (a) で Estimation Value (a) としてまとめている 一方 この方法は エンゲル係数と 1 人当たり収入の関係だけに注目して推計エンゲル係数及び推計収入を求める方法であり 現実にはエンゲル係数は他の要因 ( 例えば 都市間の格差 ) にも影響を受けると思われる 従って 王 (2010) では推計収入を求める改善策として エンゲル係数を被説明変数とし 1 人当たり収入 ( 対数 ) やエンゲル係数に影響を与えると思われる諸変数 ( 都市ダミーや世帯人口規模など ) を説明変数とする重回帰を行い それらの推定値を用いて β i = β iとした場合の推計収入を求めている その推計結果は表 1 で Estimation Value (b) としてまとめている しかし Estimation Value (a) と Estimation Value (b) のいずれもβ i = β iを仮定している 本稿で示した理論的説明と (8) より 2 つの推計結果とも理論上同じものであると言える

10 9 灰色収入は 18,577 元 ( 重回帰分析を用いた場合は 15,269 元 ) であると計算される 16 (2)1 人 当たり灰色収入は公表収入の %( 重回帰分析を用いた場合は 90.43%) となっている (3) 最高所得階層である第 10 十分位の家計が受け取る灰色収入は 灰色収入全体の 7 割を 占め 所得階層の高い人ほど灰色収入をより多く手にしている この結論は王の調査データに基づくものである 以下では 王と異なる CHIP2007 データ を用いた場合に エンゲル係数法により灰色収入の推計が可能かどうかについて検討する 3 データ (CHIP) について 3-1 CHIP データとは 本稿で用いるデータは CHIP(Chinese Household Income Project( 中国家計所得調査 )) と呼 ばれる個票データであり 1988 年から中国社会科学院と海外の研究者 ( 例えば Keith Griffin Carl Riskin John Knight) が共同で行った中国の農村と都市における家計調査である 王の 調査データは 王の研究グループによりインタビュー方式で収集されたものであるのに対し CHIP は 無作為に抽出された家計に対してアンケート方式で収集されたものである このた め より客観的なデータが得られていると考えられる 2007 年の CHIP データには urban( 都 市 ) rural( 農村 ) の 2 種類があるが 本稿は urban( 都市 ) のデータを使用する 年の CHIP データについて 本稿では 2007 年の CHIP データ ( 以下では CHIP2007 と呼ぶ ) の都市データ中の 3 種類 のデータを用いる 18 都市住民の年間一人当たり収入 ( 以下では 一人当たり収入と呼ぶ ) 16 王 (2010) は前述の都市部階層別 1 人当たり灰色収入 及び都市部灰色総収入 (Urban Total Gray Income:UTGI) を隠し収入とし 総灰色収入 (Aggregate Gray Income:AGI) を灰色収入としている 隠し 収入と灰色収入は推計収入から差し引かれる公表データの違いによって区別されているが 定義上は殆ど同 じであると思われる 本稿では 王が言う隠し収入と灰色収入を区別せず 灰色収入で統一する 17 推計収入及び灰色収入を測定するに当たり 比較できる統計局の農村部分の公表データがないため 本 稿も王 (2012) と同様に 都市部のデータのみを利用する 18 王 (2010) による 2008 年の灰色収入の推計方法と本稿の推計方法を比較するには 本稿でも 2008 年の CHIP データを用いることが望ましい しかし 2008 年の CHIP データでは 消費データと所得データが同一サンプルから得られたものではないため 灰色収入の推計には好ましくない このため本稿では 消費データと所得データを同一サンプルから得た 2007 年の CHIP データを用いる

11 10 世帯消費支出 その消費支出における飲食費である 世帯消費支出と飲食費により エンゲル係数が計算される それらの基本統計量は表 2 の通りである 有効サンプル数は 4995 である ( 表 2) 4 推計結果と解釈 4-1 推計 (1): エンゲル係数法を用いた推計収入と灰色収入の推計 表 3-a と表 3-b は CHIP2007 に対して 王 (2010) のエンゲル係数法と同じ手順を用いて求められた推計収入と灰色収入の推定値を示している 推計は 以下の手順で行った Step 年に統計局が公表した 7 階層の 城鎮居民家庭平均毎人全年消費性支出 (Per Capita Annual Living Expenditure of Urban Households) ( 十分位と五分位を合わせた 7 分類 ) より 7 階層の公表エンゲル係数を計算する Step2 Step1 で計算された 7 階層の公表エンゲル係数と一致する推計エンゲル係数を計算できるように CHIP2007 を 7 階層に分類する Step3 7 階層に分類した CHIP2007 から階層別推計収入を推計する Step4 Step3 で得られた階層別の推計収入 y i と 中国統計局公表の同階層の公表収入 y i の差を灰色収入として算出する 以上の方法より 表 3-a 3-b の推計結果を得た ( 表 3-a) ( 表 3-b) 図 1は表 3-b の結果を図示している 表 3-b 及び図 1 における 7 階層の灰色収入の分布は 明らかに王 (2010) の結果 ( 王 (2010) の表 4-4 及び図 4-2) と異なっている

12 11 Figure1 Per capita income estimated by the method of Engel s coefficient(by table 3-b) 50,000 40,000 The value by NBSC Estimation Value Difference 30,000 20,000 10, group 2-group 3-group 4-group 5-group 6-group 7-group -10,000 表 3-a では 王 (2010) の方法に従って 各階層の公表エンゲル係数に一致するように CHIP2007 から各階層の推計エンゲル係数を算出する場合 CHIP2007 の全データ 4995 の内 2606 しか利用されていないことが示されている また 各階層の推計エンゲル係数を算出する際に 同じデータを何度も使用しなければ 公表エンゲル係数に一致する推計エンゲル係数を算出できないことがわかる ( 表 3-a 参照 ) これについてより詳しく見てみよう 表 2 は CHIP2007 による灰色収入推計に関係するデータの基本統計量をまとめたものである これによれば CHIP データ全体から導かれるエンゲル係数の範囲は 0.05~0.975 であることがわかる しかし 表 3-a のように 7 階層の公表エンゲル係数と一致する推計エンゲル係数を算出するために利用されたデータ範囲は エンゲル係数の範囲が 0.05~0.6 に限られている しかも 表 3-a の最後の 2 列が示すように 同じデータを何度も使わなければ 同一のエンゲル係数を算出できない この結果として CHIP2007 において 一人当たり収入の所得階層の範囲は 元 ~ 元であるにも関らず 公表エンゲル係数に一致するように分類された階層の収入範囲は 元 ~ 元に限定されている さらに 所得格差を見る上で非常に重要な指標である 第 1 十分位 ( 最下位 ) と第 10 十分位階層 ( 最上位 ) の一人当たり収入は一部しか結果に反映されていない したがって 王のエンゲル係数法では CHIP2007 を用いた場合 正確な推計を得ることができないと考えられる

13 12 表 3-a と表 3-b で示されたデータの重複使用を回避しようとすれば 表 4 のように計算する必要がある ( 表 4) 表 4 及び図 2 が示すように この計算では一部の階層 ( 第 4 五分位と第 9 十分位 ) で推計エンゲル係数と公表エンゲル係数が一致 (β i = β i) せず 公表収入と比較可能な推計収入 y i = (y i + ω i G i ) を得ることができない また 表 4 で示されているように 39.54% のデ β i =β i ータ ( サンプル数は 1975 である ) は利用されない Figure 2 Per capita income estimated by the method of Engel s coefficient(by table 4) Estimation Value The value by NBSC Difference other 1-group 2-group 3-group 4-group 5-group 6-group 7-group よって CHIP2007 を用いて灰色収入を推計する場合 統計局と同値のエンゲル係数で所得階層を分類することはできない このことからも 一般的には β = βが常に成立するのは困難だと言える μ 次に その要因を理論的に考えてみよう コブ=ダグラス型の消費関数 (U = C a μ a C b b ) を持つ家計を仮定した場合 灰色収入を考慮した予算制約 (M + G = P a C a + P b C b ) の下では 最適化の解から求められるエンゲル係数は以下の通りとなる β = C a C a + C b = μ a P b μ a P b + μ b P a

14 13 これに対し 灰色収入を考慮しない場合のエンゲル係数は 消費最適化より求められる最 適な消費から β = C a C a + C b = μ a P b μ a P b + μ b P a となる エンゲル係数は支出割合であるため 灰色収入の存在による所得の変化によらず 同一の家計であれば β = β が得られる しかし 異なる家計 (i, j, i j) においてβ i = β j を成立させるには 4 種類の消費 (C a,i, C b,i, C a,j, C b,j ) が依存するパラメータ (μ a,i, μ b,i, μ a,j, μ b,j ) が同値であること すなわち 異なる家計の効用関数が同一であることが必要となる ( 付録 7-1 を参照 ) しかし CHIP2007 と公表データは調査対象が全く異なる家計であるため 違った効用関数をもつ (U i (μ a,i, μ b,i ) U j (μ a,j, μ b,j )) と考えられる 従って 同じ所得階層に分類されたとしても 2 つのデータ間でエンゲル係数が一致する (β i = β j ) とは考えにくい このことから β i = β j を前提に推計収入を計算し 灰色収入を求める方法 ( エンゲル係数法 ) は他の調査データへの適応性が十分ではなく 修正の余地があると言える 以下では 王 (2010) の推計方法の改善策として CHIP2007 データにβ i = β i を仮定しない統計的な分位法 ( 十分位と五分位 ) を用いて灰色収入を推計し 王の結論と比較する また 王 (2010) の 7 つの所得階層分類を用いた上で β i β i と想定した場合の推計収入と灰色収入を推計し 王の結果と比較する 4-2 推計 (2): 分位法 ( 十分位と五分位 ) による推計 本節では 分位法 ( 十分位と五分位を併用した 7 分類 ) による推計を行う 異なるデータ でエンゲル係数が一致しないこと (β i β i ) を前提とすれば (8) より 分位法を用いて推 計される推計収入 Q は 以下の式のように Θ を考慮し調整する必要がある adj_y i = Θ + (ω i G i + y i ) = Θ + y i (9) ここで Θ ( β i β i β i β i ) C a,i は 公表エンゲル係数と推計エンゲル係数の不一致 ( 以下で

15 14 は エンゲル係数ギャップと呼ぶ ) を表す y i を分位法により算出される推計収入 ( 推計収入 Q) とすれば 推計収入 ADJQ = adj_y i は エンゲル係数ギャップΘがゼロではない可能性を考慮した推計収入を表す 19 灰色収入の推計もΘを考慮し adj_y i y i = ω i G i として算出される 一方 y i を推計収入 W とした場合 Θを考慮した推計収入 ADJW = adj_y i は推計収入 ADJQ と同様な方法で計算される 分位法における階層の分類は 中国統計局の 7 階層の分類方法に従って行う 分位法における灰色収入の算出方法は 以下の通りである Step1 CHIP2007 を 中国統計局の 7 階層 (7 分位 ) の分類方法に従って 7 階層に分類 し 各階層の平均一人当たり収入 ( 推計収入 Q) を求める Step2 Step3 Step1 で求められた各階層の推計エンゲル係数を計算し Θ の値を求める Θ の値を用いて各階層 ( 分位 ) の平均一人当たり収入を修正し 再度推計収入 ( 推計収入 ADJQ) を求める Step4 算出された各階層 ( 分位 ) の推計収入 ADJQ と統計局の 7 階層 ( 分位 ) の公表収 入の差を 各階層 ( 分位 ) の灰色収入とする 分位法による結果は 表 5a と表 5b にまとめられている 表 5a は Step1 に従って推計されたものであり 表 5b は Step1 を前提に Step2 から Step4 に従って推計されたものである これに対し 王 (2010) の所得階層分類方法に従って推計収入の算出を行った結果が 表 6 と表 7a 表 7b にまとめられている 表 6 は 王 (2010) の所得階層分類 ( 第 1 十分位 :y i 7000,, 第 2 五分位 :10001 y i 17000,, 第 10 十分位 : y i ) に従って CHIP2007 を分類し 分位法と同様 の手順を用いて 階層別の推計収入 ( 推計収入 W) を算出したものである 表 7a は Step1 に従って 王の所得階層分類で作られた各階層の推計エンゲル係数を算出し その結果をまとめたものである 表 7b は表 5b と同様な方法で Step2 から Step4 に従って推計されたもの ( 推計収入 ADJW) である 王 (2010) は公表エンゲル係数に合わせて階層を分類しているので 王 (2010) と同様の所得階層分類で求められた表 6 と表 7a の推計収入 W は 統計局 19 Θ は正 負両方の可能性がある Θ > 0( β i > β i ) であれば y i < adj_y i となり Θ < 0( β i < β i ) で あれば y i > adj_y i となる

16 15 の同階層の公表データと比較できる よって 灰色収入は 表 5a と同様 推計収入と公表収 入の差として算出される ( 表 5a) ( 表 6) ( 表 7a) 図 3 と図 4 は それぞれ表 5a と表 7a の推計結果を図示している Figure 3 Per capita income estimated by decile and quintile (by table5a) 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, decile 2-decile 2- quintile 3- quintile 4- quintile 9-decile 10-decile Per Capita Annual Income(NBSC) Engel s coeffecient(nbsc,right) Per Capita Annual Income(EV) Engel s coeffecient(ev,right) Figure 4 Per capita income estimated by decile and quintile(by table7a) 120, , , , , , y <=7000 y >=7001 & y<=10000 y >=10001 & y<=17000 y>=17001 & y<=26500 y>=26501 & y<=34000 y>=34001 & y>=75001 & y<=75000 y<= Per Capita Annual Income(NBSC) Engel s coeffecient(nbsc,right) Per Capita Annual Income(EV) Engel s coeffecient(ev)

17 16 図 3( 表 5a) と図 4( 表 7a) は β i > β i という関係を明らかにしている 20 よって 前述のように (9) に従って再推計する必要がある (9) を用いた推計結果は表 5b と表 7b でまとめられている ( 表 5b) ( 表 7b) 図 5 と図 6 は 表 5b と表 7b の結果を図示したものである Figure 5 Per capita income estimated by decile and quintile (by table5b) 60,000 50,000 The value by NBSC Estimation Value Difference 40,000 30,000 20,000 10, decile (10%) 2-decile (10%) 2- quintile (20%) 3- quintile (20%) 4- quintile (20%) 9-decile (10%) 10-decile (10%) Figure 6 Per capita income estimated by decile and quintile(by table7b) 90,000 80,000 The value by NBSC Estimation Value Difference 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, ,000 y <=7000 y >=7001 & y<=10000 y >=10001 & y<=17000 y>=17001 & y<=26500 y>=26501 & y<=34000 y>=34001 & y>=75001 & y<=75000 y<= 数学付録 7-2 参照

18 17 図 5( 表 5b) の灰色収入分布は 王 (2010) と類似した傾向がみられる 一方 図 6( 表 7b) の中上位以上の所得階層の灰色収入分布は 王 (2010) の結果と類似しているが 低位の所得階層の灰色収入分布は 王 (2010) の結果と異なっている これらの推計結果をまとめると 以下の通りである (1)CHIP2007 による都市部の 1 人当たり推計収入は 推計収入 Q を用いた場合は 29,511 元 ( 表 5a) 推計収入 W を用いた場合は 32,964 元である ( 表 7a) 一方 推計収入 ADJQ を用いた場合の 1 人当たり推計収入は 20,824 元 ( 表 5b) 推計収入 ADJW を用いた場合の 1 人当たり推計収入は 24,645 元 ( 表 7b) となる 公表された 1 人当たり可処分所得が 16,565 元であるため 1 人当たり灰色収入は 推計収入 ADJQ では 4,259 元 推計収入 ADJW では 8,081 元となる ( 表 8) (2)1 人当たり灰色収入対公表収入比は 25.7%( 推計収入 ADJQ) または 48.8%( 推計収入 ADJW) となる これは王 (2010) の結果 (110.02% 重回帰分析を用いた場合は 90.43%) よりはるかに低い水準である (3) 王 (2010) と同様に 所得が高い階層ほど灰色収入を多く手に入れており 最高所得階層である第 10 十分位の家計は 灰色収入全体の 34.13%( 推計収入 ADJQ) または 73.52% ( 推計収入 ADJW) を手に入れていることが示された 4-3 灰色収入の推計と灰色収入の GDP 比 中国の灰色収入は どの程度の規模になるであろうか 表 8 では 表 5a と表 5b 表 7a と表 7b で得られた 推計収入 Q 及び推計収入 W エンゲル係数ギャップΘを考慮した後の推計収入 ( 推計収入 ADJQ と推計収入 ADJW) 灰色収入 及び灰色収入の対公表収入比率をまとめている 表 9a は推計収入 Q 及び推計収入 W 表 9b は推計収入 ADJQ 及び推計収入 ADJW を用いて灰色収入と灰色収入の対 GDP 比を計算し まとめている ( 表 8) ( 表 9a) ( 表 9b) 前述のように 王 (2010) は 2008 年における灰色収入規模は その年の GDP の約 17.5% または 29.5% を占めていると指摘している 以下では 推計収入 ADJQ 及び推計収入 ADJW

19 18 の推計値 ( 表 8) を用いて 都市部灰色総収入 (UTGI) と総灰色収入 (AGI) と その灰色総 収入対 GDP 比を計算しまとめる 推計収入 ADJQ= 元を用いると ( 表 5b と表 8) 2007 年における中国の灰色収入で ある UTGI と AGI は 以下のように計算される ( 表 9b) UTGI = 都市部推計総収入 都市部可処分総収入 = 12.6 兆元 9.0 兆元 = 3.6 兆元 AGI = 推計総収入 可処分総収入 = 15.6 兆元 15.9 兆元 = 億元 以上からわかるように 推計総収入 ( 都市部推計総収入 + 農村部総収入 =15.6 兆元 ) は都市 部推計総収入 (12.6 兆元 ) を上回っているが 差し引かれる公表収入のデータ ( 都市部可処分 総収入 =9 兆元 可処分総収入 =15.9 兆元 ) の大きさにより 都市部灰色総収入 (UTGI) は 都市部と農村部を含めた意味での総灰色収入 (AGI) より大きくなっているという計算結果 が得られた 王 (2010) は UTGI を隠し収入とし AGI を灰色収入としているが 以上の 2 つ の式を見る限り 農村部の公表総収入を含むか否かという点に違いがあるものの 灰色収入 の定義については 殆ど同じものであると言える 王 (2010) では なぜこのような区別を しているのかについて 明確な説明はない 都市部だけではなく 農村部を含めた全体から 灰色収入を推計するならば AGI を用いる必要があるが 推計総収入における農村部総収入は 推計値ではなく公表データであるため 灰色収入を算出する上で適切とは言えない 21 一方 UTGI は都市部一人当たりの推計収入から算出されているため 灰色収入の算出方法として 適切であると考えられる 王の所得分類により算出された推計収入 ADJW= 元 ( 表 7b と表 8) を用いた場合 UTGI と AGI は以下のように計算される ( 表 9b) UTGI = 都市部推計総収入 都市部可処分総収入 = 14.9 兆元 9.0 兆元 = 5.9 兆元 AGI = 推計総収入 可処分総収入 = 兆元 15.9 兆元 = 2.0 兆元 以上の結果をまとめると 以下の通りである 2007 年における都市部の推計灰色総収入 元 ( 推計収入 ADJ) を用いた場合 推計総収入 (15.6 兆元 ) が可処分総収入 (15.9 兆元 ) を下 回ったため AGI の値はマイナスとなった これも推計総収入における農村部総収入が 推計値ではなく 公表データであるためだと思われる

20 19 (UTGI) の規模は 推計収入 ADJQ を用いた場合は GDP の 13.5% に相当する 3.6 兆元 ( 約 兆円 ) 推計収入 ADJW を用いた場合は GDP の 22.2% に相当する 5.9 兆元 ( 約 90.5 兆円 ) である 一方 農村部を含めた意味での全体の推計灰色総収入の規模は 推計収入 ADJQ を用いた場合は 億元 推計収入 ADJW を用いた場合は GDP の 7.7%% に相当する 2.0 兆元 (30.68 兆円 ) である 以上のように 本稿で推計した灰色収入の対 GDP 比は 王 (2010) に比べて低いものの その規模は決して低い水準ではない 5 結論 本稿は 中国の灰色収入の推計方法について 2007 年の CHIP データを用いて検証を行った 本稿では 以下の 4 つの結論を得た 第 1 に 王 (2010) が示していないエンゲル係数法による灰色収入の算出方法について検討を行い 調査データによる推計エンゲル係数と公表データによる公表エンゲル係数が等しいという条件が満たされれば 王 (2010) のエンゲル係数法により灰色収入の推計が可能であることを示した 第 2 に CHIP2007 データを用いてエンゲル係数法による灰色収入の推計を行ったが データを重複して用いるという推計を行わなければ CHIP2007 データでエンゲル係数法の条件を満たすことはできないことを示した 第 3 に 上述のエンゲル係数法の条件を仮定せず 統計的な分位法 ( 十分位と五分位を併用した 7 分類 ) で灰色収入を推計した結果 高い所得階層ほど灰色収入にを手に入れる割合が高くなり 最高所得階層である第 10 十分位の家計が受け取る灰色収入は 推計収入 ADJQ を用いた場合 灰色収入全体の 34.13% 推計収入 ADJW を用いた場合は 73.52% を占めるという結論を得た 分位法は CHIP2007 データに適用可能であり また王 (2010) と同様の結論を導くことができるという点で 王 (2010) の推計方法を改善していると言える 第 4 に 本稿における灰色収入の推計結果として 2007 年における都市部の推計灰色総収入 (UTGI) の規模は 推計収入 ADJQ を用いた場合は GDP の 13.5% に相当する 3.6 兆元 ( 約

21 兆円 ) 推計収入 ADJW を用いた場合は GDP の 22.2% に相当する 5.9 兆元 ( 約 90.5 兆円 ) であることがわかった 灰色収入を数量的に把握していくことは 今後の中国の税制改革と所得再分配政策を行う際に 大きな政治的な意味をもつものと思われる 王によるエンゲル係数法を用いた一連の研究はその先駆けではあるが 第 1 に独自のデータについて恣意性があること 第 2 に エンゲル係数を様々なデータに適用しより正確な灰色収入を測定するためには 異なる家計の効用関数が完全に一致するという条件を満たす必要があり この条件が成立することは極めて難しいことから 灰色収入の測定方法について批判されていた 本稿では CHIP2007 をデータとして用いることで第 1の批判を克服し 分位法を用いることで異なる家計における効用関数の完全な一致を仮定することなく 王と同様の結論を得ることができるという点で 第 2 の批判も克服できている 分位による分類は 他のデータを用いても可能であり 分位法による灰色収入の推計は 王の推計方法を改善した方法と言える

22 21 6 References 1. Wang, Xiaolu(2007) Gray icome and income difference National Economic Research Institute, China Reform Foundation. ( 2. Wang,Xiaolu(2010) Gray income and distribution of national income Comparative Studies, No Wang,Xiaolu(2011) Gray income has been exaggerated? Comparative Studies, No Wang,Xiaolu(2012)Gray income and development trap, CITIC Press Group. 5. Li,Shi(1993), The income distribution of China's economic development, Peking University Press. 6. Li Shi, Renwei Zhao and Ping Zhang (1998), Changes in income distribution in China's economic reform Management World, No.1, Li Shi and Zhao Renwei(1999), The residents income distribution in China Economic Research Journal, No Wang,Xiaolu and Fan Gang (2005), China's income gap trend and influence factors analysis Economic Research Journal, No.10, Luo Chuliang,Ximing Yue and Shi Li(2011) A Question about Gray income estimation of Wang Xiaolu Comparative Studies, No.52.

23 22 7 数学付録 7-1 灰色収入を考慮した場合の需要関数とエンゲル係数 家計の効用関数がコブ = ダグラス型 (U = C a μ 1 C b μ 2 ) をしていると仮定する 灰色収入 G が存在する場合 家計の効用最大化問題は以下のようになる Max U = C a μ a C b μ b s. t. M + G = Pa C a + P b C b (A) 但し C a (P a ) は飲食関係の消費とその価格 C b (P b ) は飲食費以外の消費とその価格を 表し M は家計収入を表す 最大化問題の解として 灰色収入がある場合の需要関数 C a と C b が 以下のように得られる C a = C b = M + G μ a = C P a μ a + μ a + b M + G μ b = C P b μ a + μ b + b μ a P a (μ a + μ b ) G μ b P b (μ a + μ b ) G ( C a G > 0, C a > 0) μ a ( C b G > 0, C b > 0) μ b (B) (B) により C a と C b は灰色収入 G 及びその消費に対する選好 (μ a, μ b ) と正の相関を 持つことがわかる この式により 灰色収入がある場合の総消費支出 (C a + C b ) は 以下 のようになる C = C a + C b = M + G P a μ a μ a + μ b M + G + μ b P b μ a + μ b = C a + C b + ( μ ap b + μ b P a P a P b (μ a + b) ) G (C) = (M + G) (μ ap b + μ b P a ) P a P b (μ a + μ b ) (B) と (C) より 灰色収入を考慮した場合のエンゲル係数は以下のように求められる β = C a C a + C b = M + G μ a P a μ a + μ b (M + G) (μ a P b + μ b P a ) P a P b (μ a + μ b ) μ a P b = μ a P b + μ b P a (D) (D) の第 4 項で求められるエンゲル係数は 灰色収入 G に依存しない また 灰色収入を考 慮しない場合のエンゲル係数と同値であることを確認できる エンゲル係数は灰色収入には

24 23 依存せず ( β G = 0) 家計の選好パラメータ(μ a, μ b ) と正の相関を持つ ( β μ a > 0) ため 同一のエンゲル係数を持つ家計は 同一の選好パラメータを持つことがわかる 7-2 推計エンゲル係数と公表エンゲル係数の関係 本文中の (3) (4) と (5) より 推計エンゲル係数と公表エンゲル係数との差を求めると 以下の関係式が得られる β i β i = C a,i + ξ i z i G i C a,i = [ξ i (y i S i ) C a,i ] z i G i y i S i + z i G i y i S i (y i S i ) (y i S i + z i G i ) (E) (E) より β i と β i の関係が以下のようにまとめられる 但し ξ i (0,1) β i (0,1) である β i β i ξ i C a,i y i S i = β i (F) (5) より ξ i = C a C a z i G i となることがわかる z i G i は灰色収入の総消費への配分額 であり C a C a はその配分額における飲食費の大きさを表す 従って 灰色収入の総消費へ の配分額における飲食費が大きければ ξ i は大きくなる 一方 β i は灰色収入を考慮しない場 合のエンゲル係数である (F) から β i の値に比べて ξ i の値が大きい (ξ i > β i ) 場合 推計エ ンゲル係数は公表エンゲル係数よりも大きくなる (β i > β i ) エンゲル法則によれば 灰色収 入の存在により所得が大きくなることで エンゲル係数は小さくなっていくと予想される しかし ξ i が十分に大きい場合 例えば 灰色収入により高価な食事や高級酒などを消費する ようになり消費支出額が大きくなる場合には 灰色収入が存在し所得が大きくなる場合でも エンゲル係数が大きくなる可能性を示唆している

25 18 Table1 Estimates of the "gray income" of Wang (2010) Engel s coeffecient (a) Estimated value (a) (b) Estimated value (b) (c) The value by NBSC (d) a-c (e) b-c di Σdi*100 ei Σei*100 1-decile(10%) ,685 5,350 4, decile(10%) ,646 7,430 7,363 1, quintile(20%) ,392 11,970 10,196 3,196 1, quintile(20%) ,941 17,900 13,984 6,957 3, quintile(20%) ,910 27,560 19,254 10,656 8, decile(10%) ,772 54,900 26,250 21,522 28, decile(10%) , ,000 43, ,420 95, Average ,462 32,154 16,885 18,577 15,269 sum 164, , Note: The NBSC is an abbreviation of National Bureau of Statistics of People's Republic of China

26 19 Table2 Basic statistics of the CHIP2007 Variable Obs Mean Std.Dev. Min Max Per Capita Annual Income of Urban Households Consumption Expenditure Food Expenditure Engel's Coefficient Table 3-a Estimates of the "estimated income" by the Engel coefficient method using CHIP2007 (calculation method) Engel s coeffecient Per Capita Annual Income of Urban Households(RMB) Mean Obs Percentage of observations Min Max

27 20 Table3-b Estimates of the "estimated income" and "gray income" by the Engel coefficient method using CHIP2007 (estimation results) Estimated value The value by NBSC (c) Difference The ratio of deviation Engel s coeffecient (a) Per capita annual income of urban households Number of observations Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households (a-b) c b (%) ci Σci (%) 1-group group group group group group group Average Sum

28 21 Table 4 Estimates of the "estimated income" and "gray income" by Engel's coefficient method using CHIP2007 (incomplete estimation results) Estimated value The value by NBSC (c) Difference The ratio of deviation Engel s coeffecient (a) Per capita annual ncome of urban households Percentage of observation Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households (a-b) c b (%) ci Σci (%) other group group group group group group group Average Sum

29 22 Table5a Estimates of the "estimated income" and "gray income" by quantile method using CHIP2007 Estimated value The value by NBSC (c) Difference The ratio of deviation Engel s coeffecient (a) Per capita annual income of urban households Percentage of observations Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households (a-b) c b (%) ci Σci (%) 1-decile(10%) decile(10%) quintile(20%) quintile(20%) quintile(20%) decile(10%) decile(10%) Average Sum decile /Tota (%) decile/Total (%)

30 23 Table5b Estimates of the "adjusted estimated income "and "gray income" by quantile method using CHIP2007 Engel s coeffecient Estimated value (a) Per capita annual income of urban households Percentage of observations The value by NBSC Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households (c)food expenditure (d)gap of Engel's coefficient (e) Adjusted estimated value (f) Difference (e-b) The ratio of deviation 1-decile(10%) decile(10%) quintile(20%) quintile(20%) quintile(20%) decile(10%) decile(10%) Average Sum decile /Tota (%) f b (%) fi Σfi (%) 10-decile/Total (%) Note: (d) is calculated as( β i β i β i β i ) C a,i, (e) is calculated as equation (9).

31 24 Table6 Estimates of the "estimated income" by the income class classification of Wang (2010) using the CHIP2007 CHIP 2007 Min Max Mean Number of observations Percentage of observations Mean Wang(2012) Number of observations Percentage of observations y i y i y i y i y i y i y i Sum

32 25 Table7a Estimates of the "estimated income"and "gray income" by the income class classification of Wang (2010) using the CHIP2007 Estimated value The value by NBSC (c) Difference The ratio of deviation Engel s coeffecient (a) Per capita annual income of urban households Percentage of observations Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households Percentage of observations (a-b) c b (%) ci Σci (%) y y y y y y y Average Sum y 7000 Total (%) y Total (%)

33 26 Table7b Estimates of the "adjusted estimated income "and "gray income" by the income class classification of Wang (2010) using the CHIP2007 Engel s coeffecient Estimated value (a) Per capita annual income of urban households Percentage of observations The value by NBSC Engel's coefficient (b) Per capita annual income of urban households (c)food expenditure (d)gap of Engel's coefficient (e) Adjusted estimated value (f) Difference (e-b) The ratio of deviation y y y y y y y Average Sum y 7000 Total (%) y Total (%) Note: (d) is calculated as( β i β i β i β i ) C a,i (e) is calculated as equation (9). f b (%) fi Σfi (%)

34 27 Table8 Comparison of the estimation result of "estimated income" and "gray income" Table 5a and Table 7a and Wang(2010) Table 5b Table 7b (a) Estimated income (yuan) 32,154 29,511 32,964 (b) Gap of Engel's coefficient (yuan) - -8,687-8,319 (c) Adjusted estimated income (yuan) (a-b) - 20,824 24,646 (d) The value by NBSC (yuan) 16,885 16,565 16,565 (e) Gray income (yuan) (c-d) 15,269 4,259 8,081 (f) e/d *100 (%)

35 28 Table9a Estimation results of size of "gray income" using the "estimated income" Estimation(1) (by table 5) Estimation(2) (by table 7) Estimates of Wang (by table1(a)) Estimates of Wang (by table1(b)) (1) Total Net Income of Rural Households (100 million yuan) (a b) a. Annual Per Capita Net Income of Rural Households (yuan) b.rural Population(100 million persons) (2) Total Disposable Income of Urban Households (yuan) (c d) (3) Total Estimation Income of Rural Households (100 million yuan) (e d) c.annual Per Capita Disposable Income of Urban Households (yuan) d.urban Population(100 million persons) e.annual Per Capita Estimation Income of Rural Households (yuan) (4) Total Income of Households (100 million yuan) (1+2) (5) Total Estimation Income of Households (100 million yuan) (1+3) (6) Total Disposable Income(100 million yuan) (7) Urban Total Gray Income (UTGI, 100 million yuan) (3-2) (8) Aggregate Gray Income (AGI, 100 million yuan) (5-6) (9) GDP(100 million yuan) (10) Urban Total Gray Income (UTGI) to GDP ratio(%) (7 9) (11) Aggregate Gray Income(AGI) to GDP ratio(%) (8 9)

36 29 Table9b Estimation results of size of "gray income" using "adjusted estimated income" Estimation(1) (by table 5) Estimation(2) (by table 7) Estimates of Wang (by table1(a)) Estimates of Wang (by table1(b)) (1) Total Net Income of Rural Households (100 million yuan) (a b) a. Annual Per Capita Net Income of Rural Households (yuan) b.rural Population(100 million persons) (2) Total Disposable Income of Urban Households (yuan) (c d) (3) Total Estimation Income of Rural Households (100 million yuan) (e d) c.annual Per Capita Disposable Income of Urban Households (yuan) d.urban Population(100 million persons) e. Adjusted Annual Per Capita Estimation Income of Rural Households (yuan) (4) Total Income of Households (100 million yuan) (1+2) (5) Total Estimation Income of Households (100 million yuan) (1+3) (6) Total Disposable Income(100 million yuan) (7) Urban Total Gray Income (UTGI, 100 million yuan) (3-2) (8) Aggregate Gray Income (AGI, 100 million yuan) (5-6) (9) GDP(100 million yuan) (10) Urban Total Gray Income (UTGI) to GDP ratio(%) (7 9) (11) Aggregate Gray Income(AGI) to GDP ratio(%) (8 9)

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