アナリシス 2016 年 10 月原油生産量 ( 注 )2016 年 11 月 30 日 OPEC 総会時の推定値 出所 :OPEC 他より推定 表 1 基準原油生産量 (OPEC 発表 ) 1 OPEC 産油国原油生産調整状況 基準原油生産量 ( 推定 ) 2 原油生産水準 ( 1 月 1 日以降

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1 JOGMEC 調査部 野神隆之 アナリシス 最近の石油市場の動きに関する一考察 はじめに 前回 本誌に世界石油市場の状況について執筆したのは 今からちょうど1 年ほど前であった ( 最近の石油市場の動きに関する一考察 Vol.50 No.6) それは OPECと一部非 OPEC 産油国との間で減産の大枠が2016 年 9 月 28 日に開催されたOPEC 産油国による非公式協議 ( 後に臨時総会へと格上げ ) で決まり 原油生産を制限する旨合意した時期にほぼ重なる また それは原油価格が約 13 年ぶりの安値 ( 年 2 月 2 1 日の WTI 終値で1バレルあたり26.21ドル ) から回復しつつある時期でもあった (9 月 3 0 日の WTI 終値は同 ドル ) では その後 OPEC 産油国は原油生産制限で合意したのかどうか 原油価格は上昇を続けたのかどうか 世界の石油需給はどうなっているのか 本稿では 2018 年の世界石油需給状況を展望しつつ注目すべき点についても説明したい また 8 月下旬にはハリケーン ハービー (Harvey) が米国メキシコ湾に来襲した これは 1 2 年前のほぼ同時期に同湾を襲った カトリーナ (Katrina) を連想させるが 二つのハリケーンの来襲による石油市場の反応は相当程度異なっていた それはなぜかについても 触れることとしたい 1. OPEC 産油国の動向 : 一部非 OPEC 産油国と減産合意 そして延長へ まず 2016 年 9 月 28 年以降 OPEC 産油国の原油生産制限方策はどうなったか 背景を含め述べる (1)OPEC 産油国が11 月 30 日開催の通常総会で日量 116 万バレル強の減産を決定 OPEC 産油国は2016 年 11 月 30 日 オーストリアのウィーンで通常総会を開催し 原油生産量を加盟国全体で日量 116 万 4,000バレル引き下げることで合意した 政情不安等から通常時に比べ事実上の減産状態になっているリビア ナイジェリア 加盟国資格を失ったインドネシアを除き 加盟各国の生産上限が設定された ( 表 1) この決定により 生産水準が設定されなかったインドネシア リビア ナイジェリアが足元の原油生産水準を維持したとすれば OPEC 産油国合計では日量 3,268 万バレルの生産量となり には需要と供給がほぼ均衡する (10 月時点での OPEC 事務局予想による同年の対 OPEC 原油需要は同 3,269 万バレル ) と この時点では見込まれた この生産枠は 1 月 1 日より 6 カ月間実施する こととし 市場の状況や展望によってはさらに 6 カ月間 延長することもあり得るとしている また 生産制限のじゅんしゅ遵守状況を監視するためにアルジェリア クウェート ベネズエラ 非 OPEC 産油 2 カ国から成る監視委員会を 設置することが決定された ( 議長国はクウェート ) これ らの決定の際 OPEC 産油国側はロシアを含む非 OPEC 産油国から日量 55 万 8,000 バレルの減産に協力する旨 の申し出があったことを明らかにしている ( ロシアは 前半に同 30 万バレルの減産を実施する用意があ る旨ノバクエネルギー相が 11 月 30 日に発言している ) また インドネシアの OPEC 加盟国としての資格が停止 することになった さらに サウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相が 1 月 1 日から 1 年間 OPEC 議長を務めること 次回総会 ( 通常総会 ) は 2017 年 5 月 25 日にウィーンで開催されることが決定した この総会に先立ち 9 月 28 日にアルジェリアのアルジェ で開催された OPEC 臨時総会では 原油生産量を加盟国 21 石油 天然ガスレビュー

2 アナリシス 2016 年 10 月原油生産量 ( 注 )2016 年 11 月 30 日 OPEC 総会時の推定値 出所 :OPEC 他より推定 表 1 基準原油生産量 (OPEC 発表 ) 1 OPEC 産油国原油生産調整状況 基準原油生産量 ( 推定 ) 2 原油生産水準 ( 1 月 1 日以降 ) 3 減産幅 3-1 減産幅 3-2 減産率 3/1 アルジェリア 1,088 1,089 1,089 1, アンゴラ 1,586 1,751 1,751 1, エクアドル ガボン インドネシア イラン 3,690 3,975 3,707 3, イラク 4,561 4,561 4,561 4, クウェート 2,838 2,838 2,838 2, リビア ナイジェリア 1, カタール サウジアラビア 10,532 10,544 10,544 10, UAE 3,007 3,013 3,013 2, ベネズエラ 2,067 2,067 2,067 1, 合計 33,644 31,236 30,968 29,804 1,432 1, 全体として日量 3,250 万 ~ 3,300 万バレルに制限することで合意 11 月 30 日に開催されるOPEC 総会で加盟各国の生産上限を決定すべく調整するため 加盟国による高級事務レベル委員会を設置し加盟国の生産制限実施に関する方策につき検討していく旨決定した ただし その後行われた協議での加盟国間の調整の道程は決して平坦なものではなかった 10 月 12 日にはトルコのイスタンブールでOPEC 産油国等による非公式協議が開催された ( この協議には アルジェリア ガボン カタール UAE ベネズエラの石油関連相 バルキンド OPEC 事務局長の他 ロシア ノバクエネルギー相 とメキシコのキロガ炭化水素省次官が出席したが サウジアラビア イラン イラクの石油関係相は欠席 ) この協議では それ以降の会合の日程以外に原油生産調整方策について具体的な決定事項は明らかにされなかった また 10 月 28~29 日には OPECと主要非 OPEC 産油国 ( ロシア アゼルバイジャン ブラジル カザフスタン メキシコ オマーンといった産油国名が挙げられている ) による高級事務レベル協議が開催 (10 月 28 日はOPEC 産油国のみによる開催 10 月 29 日は非 OPEC 産油国も交えての開催 ) されたが ここでも原油生産調整方策については合意されなかった 10 月 28 日の協議においては サウジアラビアがイランに対し生産量を日量 万 ~ 万バレル程度 ( ちな みに同国の10 月の原油生産量は同 371 万バレル ) で凍結すれば サウジアラビアとしては同 1,020 万バレルへと削減する ( 同国の10 月の原油生産量は同 1,057 万バレル ) 旨提案したが イランがそれを拒否したことから サウジアラビアは自国の生産量を同 1,100 万 ~ 1,200 万バレルへと増加する方針であることをちらつかせたり 中途退席をほのめかしたり さらには 10 月 29 日開催予定の非 OPEC 産油国との会議を開催しないことを提案したりするなどしたと伝えられた また 11 月 18 日には カタールのドーハでOPEC 産油国とロシアによる非公式協議が開催されたが サウジアラビアはファリハ氏が出席したものの イランはアルデビリ (Ardebili)OPEC 理事が出席したにとどまった ( つまり 同国のザンギャネ石油相は出席しなかった ) この場では ファリハ氏とアルジェリアのブテルファエネルギー鉱業相は OPEC 産油国全体で日量 3,250 万バレルの水準で生産量を制限する旨主張したとされる そしてOPEC 産油国はイランに対して同 392 万バレル ( これは同国がOPEC 事務局に通知した10 月の生産量に等しい ) の上限を提示したが イランはその場で受け入れることはなく 11 月 19 日 ザンギャネ石油相はこの調整について いまだ合意に達していない 旨明らかにした OPEC 産油国は11 月 21 ~ 22 日にも高級事務レベル協議を開催 ここでは リビアとナイジェリアについては生産調整から除外する方向となったが その他はイラ Vol.51 No.6 22

3 最近の石油市場の動きに関する一考察 ン イラクを含め4.0 ~ 4.5% 程度減産することが提案された この案では 中東湾岸 OPEC 産油国が全体の減産の85% 相当の日量 万バレル近くの減産 ( これに従えばサウジは同 50 万バレル程度の減産とされる ) を実施する一方で イランは同 400 万バレルから4.5% の減産となっている ( つまり同 万バレル程度の生産上限 ) とのことであったが イランは同 410 万 ~ 420 万バレルからの減産を主張した また イラクにも同 20 万バレルの減産が提示されたとされるが イラク側は自国で申告している生産量 (1 0 月時点で同 万バレル これに対してOPEC 事務局の推計は同 万バレル ) を基にした減産であるべき旨主張したとされる 11 月 24 日には ロシアは足元の生産量で凍結する方針であり それは当初の 年の増産予定 ( 日量 20 万 ~ 30 万バレルの増産 ) からの減産を意味する旨明らかにした その後 28 日には OPEC 産油国間で専門家会合を実施 ここでは 同 万バレルの減産が提案されたようであるが 協議時間 10 時間余りの会合で協議はまとまらなかった ここでもイランとイラクが異議を唱えたと伝えられる 関係筋によると イランは同 397 万 5,000 バレルの生産量を凍結する意向を示す一方で サウジアラビアは同 370 万 7,000バレルの生産枠を設定する旨主張 これに対しアルジェリアは同 379 万 5,000バレルの折衷案を提示したとされた 他方イランはサウジアラビアに対し同 950 万バレルへの減産 ( つまり同 万バレルの減産 ) を要求した また 11 月 27 日にはファリハ氏が 産油国が市場に介入しなくてもには石油市場は均衡する旨の認識を示すなど この時点でも OPEC 産油国の足並みが揃わないままであった そうした状況下で30 日のOPEC 総会当日になったわけだが この日は当初予定 ( 現地時間午前 1 1 時より総会開始 ) を変更し 午前 8 時よりウィーンのパークハイアットホテルで非公式協議を実施 その後午前 10 時より総会を開催する運びとなり OPEC 加盟国は最終的な合意にこぎ着けた そもそも原油生産調整方策に関する議論は2016 年 2 月 16 日にサウジアラビア ベネズエラ カタール そしてロシアによる合意以降 他の産油国の合意を得るべく努力してきたものである 仮に今回 個別の生産上限で合意できない場合 OPECの石油市場安定化のための問題解決に向けた結束力に対する市場の失望感から原油相場が下落 特に1 月以降は石油市場が不需要期に突入することから 価格下落がさらに加速し 再び WTIで1 バレルあたり40ドルを割り込むといった展開になる可能性もあった このため 最終的には 原油価格を維持 する代わりに生産を抑制するか 生産を維持もしくは増 加させる代わりに価格が下落するのを容認するか と いった各選択肢を考慮した結果 前者を選択するに至っ たと推量される この決定によって サウジアラビアは自国の減産幅を 当初の日量 50 万バレルから拡大することを回避でき またイラクに対し自国の主張する生産量ではなく OPEC 事務局による推定生産量を用いて減産することに 成功している また イランについても 日量 379 万 7,000 バレルと 当初サウジアラビアが主張していた同 370 万 7,000 バレルからは増枠したものの イランが凍結を主 張していた水準 ( 同 397 万 5,000 バレル ) からは 4.5 % 減 産させることに成功している したがって この部分に ついてはサウジアラビア イラン間で妥協が成立した とも言える (2)12 月 10 日開催の OPEC 主要非 OPEC 産油 国の協議で非 OPEC 産油国が日量 56 万バレル弱 の減産を表明 OPEC 産油国 主要非 OPEC 産油国は 12 月 10 日に ウィーンで閣僚級会合を実施 この場においてアゼルバ イジャン バーレーン ブルネイ 赤道ギニア カザフ スタン マレーシア メキシコ オマーン ロシア スー ダン 南スーダンの 11 カ国は 合計で日量 55 万 8,000 バレルの減産を実施する旨表明 非 OPEC 産油国の個別 の減産量は公式には発表されていないが ロシアが 10 月の生産量である同 1,124 万 7,000 バレルから同 30 万バ レル減産し 6 カ月後には同 1,094 万 7,000 バレルになる 旨ノバクエネルギー相が同日明らかにした 同じくメ キシコが同 10 万 バレル オマー ンが同 4 万 5,000 バレル アゼル バイジャンが同 3 万 5,000 バレル カザフスタンが 同 2 万バレル減 産する旨伝えら れた ( 表 2) 減 産は 1 月 1 日より 6 カ 月間実施するこ ととし 市場の 状況や展望に よってはさらに 表 2 非 OPEC 産油国減産目標 出所 :IEA 他データを基に推定 減産目標 ( 1 月 1 日以降 ) ロシア 300 メキシコ 100 オマーン 45 アゼルバイジャン 35 カザフスタン 20 マレーシア 20 赤道ギニア 12 バーレーン 10 南スーダン 8 スーダン 4 ブルネイ 4 合計 石油 天然ガスレビュー

4 アナリシス 日量百万バレルた 政情不安等から通常時に比べ事実上の減産状態となっているリビアとナイ ジェリアは前回同様 減産 目標設定から除外されたと伝えられる また OPEC 総会に引き続き OPEC 産 油国および一部非 OPEC 産油国との間で閣僚級会合も 1Q17 2Q17 3Q17 4Q17 同日開催され 前年 12 月 対 OPEC 原油需要対 OPEC 原油需要 ( 非 OPEC 減産 日量 56 万バレル 後 ) OPEC 原油生産削減 ( 日量 116 万バレル ) 後の想定 OPEC 原油生産量出所 :OPEC データ他を基に推定 10 日の会合で決定された一部非 OPEC 産油国による 図 1 OPEC 産油国想定原油生産と対 OPEC 原油需要 減産に関し 規模を事実上同水準とした上で実施期限をOPEC 産油国の減産と同様に延長することでも合意 6カ月間延長することもあり得るとした また11 月 30 日のOPEC 総会時に設置を決定した監視委員会にロシアとオマーンが参加することになったと伝えられる ( うちロシアは議長代行国 ) 前述のように 11 月 30 日に開催されたOPEC 総会で OPEC 加盟国は全体で原油生産量を日量 116 万バレル強引き下げることで合意 しかし この程度の引き下げでは 最も遵守が徹底し かつ生産上限の対象外となったナイジェリアとリビアが現状の生産量を維持した場合でも 全体での石油需給を均衡させる程度の効果しか見込めないとの印象を市場に与えかねない しかも ナイジェリアやリビアが今後増産すれば 生産制限の効果が低減する他 特に年後半と比べ季節的に石油需要が抑制される年前半においては石油供給過剰感が市場で感じら した 減産実施の新たな期限は2018 年 3 月 31 日となる ただ 赤道ギニアがOPECに加盟することになった (OPEC 加盟申請を行った旨 1 月 23 日に同国エネルギー省が明らかにしていた ) ため OPEC 産油国の減産目標は日量 117 万 6,000バレル 一部非 OPEC 産油国の減産目標は同 54 万 6,000バレルとなる また 共同閣僚監視委員会 (JMMC:Joint Ministerial Monitering Committee 2016 年 11 月 30 日で設置が決定された監視委員会 ) と それを補佐する役割の共同技術委員会 (JTC:Joint Technical Committee OPEC 事務局が支援 ) が石油市場状況等を監視するとともに 必要に応じて適切な助言を与えることになった 次回 OPEC 総会 ( 通常総会 ) は 11 月 30 日に開催される予定である れやすくなる ( 図 1) このため 特に前半の世界 石油需給をより均衡点に接近させるとの印象を市場に与えるべく 非 OPEC 産油国に原油生産調整を要請したものと考えられる 非 OPEC 産油国としても OPEC 産油国と合意すれば 市場関係者による石油需給引き締まり観測により少なくとも原油相場が当面は支持される可能性があることから OPEC 産油国の要請に応じたと思量される 2 会合の背景等 1 月 1 日より実施されていたOPEC 産油国による減産については 今次総会実施時点まで遵守率は 100% 近くかそれを超過するなど遵守状況は良好であった また 減産に合意した非 OPEC 産油国の遵守率は OPEC 産油国のそれには及ばないものの 上昇傾向にあった しかし 特に第 1 四半期には OPEC 諸国等の減産措置開始前の高水準の原油供給が 輸送等 (3)OPEC 産油国等が減産の 9カ月間延長について合意 1 協議内容等 OPEC 産油国は 5 月 25 日 ウィーンで通常総会を開催 2016 年 11 月 30 日の前通常総会時に決定した減産について 事実上規模を同水準とした上で実施期限を当初の6 月 30 日から9カ月間延長することで合意し に伴う時間差により消費国に到着した一方で 米国でのシェールオイルを含む原油生産が増加傾向にある上 製油所が春季のメンテナンス作業を実施していたことで原油精製処理量が低下していたことなどから 市場関係者が特に注目している指標である米国の原油在庫は増加傾向となり 3 月 31 日には5 億 3,600 万バレルと Vol.51 No.6 24

5 最近の石油市場の動きに関する一考察 1982 年後半以降の週間統計史上最高水準に達した ( 後述 ) また OECD 諸国の石油在庫の減少傾向も曖昧で 4 月末時点でも平年 ( 過去 5 年平均 ) を 3 億バレル程度超過する状況となっていた ( 図 2) さらに 非 OECD 諸国にもある程度の石油在庫が存在することから OECDと非 OECD 諸国を合わせた石油在庫の平年比での超過量は3 億バレルを相当程度上回っていたものと推測される こうした事情から 市場関係者間で 石油供給過剰感が根強くあったこともあり 3 月以降は WTI でしばしば1バレルあたり50ドルを割り込んだ 5 月 4 日の夜間の時間外取引では 一時同 43.76ドルと 億バレル 月過去 5 年幅過去 5 年平均 2016~出所 :IEA データ等を基に推定図 2 OECD 諸国石油在庫 (2016 ~ ) 年 11 月 14 日 ( つまり前回の OPEC 総会前 ) 以 来の低水準まで下落する場面が見られた 5 月中旬 に入っても 50 ドルを回復できないでいるなど 市場心 理は弱含みの状態にあった 他方 OPEC 総会開催時点での石油需給バランスシナ リオによれば 第 2 四半期から年末まで OPEC 産油国が現状の減産を継続すれば ( 非 OPEC 産油国につ いては実効性のある減産が実施できるかどうか不透明な 部分があるので ここでは考慮しない ) この期間中 世界石油需要が供給を日量 万バレル程度上回ると予 想されるため これに基づけば 年末までに 3 億バレル 程度石油在庫が減少することになる したがって OECD 諸国が保有する過剰とされる石油在庫は 相当程度解消 されると予想されるが 非 OECD 諸国を含めた世界の 過剰在庫を一掃できるかどうかについては 年末までの 減産延長では心もとない状態となり 市場での需給緩和ふっしょく感を払拭する ( つまり 原油価格を押し上げる ) には力不 期まで延長すれば 4 億バレル超の石油在庫を削減できると見られたため 世界の過剰在庫を一掃し サウジアラビアやロシアが目標として表明したところの 平年並み ( 過去 5 年平均水準 ) の世界石油在庫水準に接近する可能性が高まる また 例年第 1 四半期は米国での製油所のメンテナンス作業実施に伴う原油精製処理量低下もあり 季節的に原油需給緩和感が市場で意識され 原油価格が下落しやすいが 2018 年第 1 四半期まで減産を継続することで需給緩和感の醸成に伴う価格下落を抑制する一助になることも期待できる 今回の決定には以上のような要因が作用したと考えられる なお 石油需給引き締めのための減産幅の拡大についての選択肢については 各産油国にどの程度の追加減産を割り当てるかに関しては 困難な作業が発生する可能性があった このため 今次総会においては議論されなかったと推測する 足になると観測された 一方 減産を 2018 年第 1 四半 2. 原油価格の動き 2016 年 2 月以降の時期は OPEC( そして一部非 OPEC) 産油国による原油生産制限に対する調整 ( 交渉 ) そして原油生産制限 ( 減産 ) の実施という 特に 年 11 月 27 日に開催されたOPEC 総会 ( この時原油生産制限の事実上の放棄を決定 ) 以後の石油市場の潮目が変化した時期でもあった そしてこの時期 原油価格はどのように推移したのか 以下に2016 年 9 月 ~ 9 月の 1 年間の原油価格の動向について概観した ( 図 3) 2016 年 9 月 28 日のOPEC 臨時総会直前までは 原油 価格はWTIでおおむね1バレルあたり40ドル台前半で推移していた しかし 28 日のOPEC 臨時総会 ( 当初の非公式協議から変更 ) でOPEC 産油国が原油生産量を日量 3,250 万 ~ 3,300 万バレルで制限することで合意し 11 月 30 日に開催予定の通常総会で各加盟国の個別生産枠の設定に向け調整していく旨報じられた 10 月 10 日にはサウジアラビアのファリハエネルギー産業鉱物資源相が 11 月 30 日のOPEC 総会で原油生産調整方策につき合意されることに対し楽観視している旨発言 また 25 石油 天然ガスレビュー

6 アナリシス ロシアのプーチン大統領が 同国はドル / バレル 60 OPECの原油生産調整策に合流する用意 がある旨発言したことで OPECと主要 非 OPEC 産油国による原油生産調整に対 55 する期待感が市場で高まった 以上の諸 点に加え 米国で原油 ガソリンと留出 50 油の在庫が市場の事前予想に反し ある いは市場の事前予想を上回って減少して いたこと等が 原油相場に上方圧力を加 45 えた結果 原油価格は上昇傾向となり 10 月 10 日のWTI( 以下特に断りのない 40 場合には同様 ) の終値は1バレルあたり 51.35ドルと2015 年 7 月 15 日 ( この時は同 51.41ドル ) 以来の高水準になった 月 また 10 月中旬には OPEC 産油国 WTI ブレント 出所 :NYMEX ICE 等関係者が 11 月 30 日開催のOPEC 通常総会で原油生産調整方策につき加盟国間で合意することに対して楽観的な姿勢を示唆する発言があった これにより 図 3 原油価格の推移 (2016 ~ ) OPEC 産油国等による原油生産調整方策決定に対する期待感が市場で増大したことが 原油価格に上方圧力を加え 価格は上昇基調となり 10 月 19 日の終値は1バレルあたり51.60ドルと 年 7 月 1 4 日 ( この時の終値は同 53.04ドル ) 以来の高水準となった しかし10 月下旬には イラクやロシアがOPEC 主要非 OPEC 産油国による原油生産調整方策に関して後ろ向きの姿勢を示したことから 次回 OPEC 総会での合意に対する市場の期待が後退 原油相場に下方圧力を加えた さらに 価格の下落基調は続くのだが その要因となったのは次のような事情が引き続き表面化したことによる まず 10 月 28 ~ 29 日に開催されたOPEC 主要非 OPEC 産油国による高級事務レベル協議において 原油生産調整方策に関して具体的な合意がなされなかった上 後日 当該高級事務レベル協議でイランが原油供給制限を拒否すれば サウジアラビアは急増産する可能性があると同国側が発言していた旨 OPEC 産油国関係筋が明らかにしたと報じられたことが挙げられる また 10 月のOPEC 産油国原油生産量が前月比で増加していた旨判明したこと OPECが原油生産調整方策で合意できなければも石油供給過剰となる旨国際エネルギー機関 (IEA) が指摘したこと等から 原油価格は11 月上 ~ 中旬頃に再び1バレルあたり40ドル台前半へと下落基調になった ただ OPEC 通常総会 (1 1 月 3 0 日 ) での原油生産調整方策の合意に向け OPEC 産油国関係者の前向きな発言 等の情報が原油相場に上方圧力を加えた結果 11 月下旬前後以降は原油相場は1バレルあたり40ドル台後半に戻ってきた そして OPEC 総会で加盟国が原油生産調整方策で合意したこと さらには 12 月 10 日の OPEC 非 OPEC 産油国による協議で ロシアを含む非 OPEC 産油国が減産を実施する旨表明したこと等により 相場は50ドル台前半へと上昇し 12 月 11 日夜間の時間外取引では一時は1バレルあたり54.51ドルと2015 年 7 月 6 日 ( この時は同 55.34ドル ) 以来の高水準に達する場面も見られた また その後もサウジアラビアやクウェート等がさきの総会で合意した減産策を遵守する意向である旨明らかになったこと 1 月にOPEC 非 OPEC 産油国による原油生産削減遵守状況につき協議するための監視委員会を開催する旨示唆する情報が流れたことにより この先の世界石油需給の引き締まりに対する市場の期待感が強まったことに加え 2016 年 7 ~ 9 月期の米国国内総生産 (GDP) が上方修正されたこと等 米国経済が回復しつつあることを示す経済指標類が発表されたことなどもあり 1 月 3 日早朝の時間外取引時には原油価格はWTIで1バレルあたり55.24ドルと2015 年 7 月 6 日以来の55ドル超の場面も見られるなど総じて底堅い動きを示した それ以降も 2016 年 11 月 30 日のOPEC 総会 12 月 10 日のOPEC 一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合で合意された減産について 関係産油国が減産を遵守す Vol.51 No.6 26

7 最近の石油市場の動きに関する一考察 べく努力している旨示唆する発言や減産が比較的遵守されていることを示す統計等が 原油相場を支持した また 米国とイランの対立が激化する兆候やIEAによる世界石油需要見通しの上方修正などでも原油相場が上昇した さらに OPEC 一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合で合意された減産につき 今後遵守率がさらに上昇すると予想している旨 OPEC 産油国関係者が明らかにしたことで この先の世界石油需給の引き締まりに対する期待感が市場で根強く維持されたことが 原油相場を下支えした この結果 原油相場は引き続き50ドル台を中心とする範囲で変動した しかし 3 月に入り 2 月のロシアの原油生産量が前月比で変わらない水準にあったことが判明したことに加え 米国での石油坑井掘削装置稼働数が増加し続けている旨明らかになったこと また同国の原油在庫が増加した結果 週間統計史上最高記録を更新したこと等を通じ 石油需給の引き締まりに関し懐疑的な見方が市場で発生したこと 米国金融当局による金利引き上げ観測が市場で増大したことによる米ドル上昇などの要因が原油相場に下方圧力を加えた 結果 原油価格は3 月中旬前後には50ドルを割り込むなど下落 再度 40ドル台後半で推移するようになった ただ 3 月下旬には リビアの油田が武装勢力により生産を妨害され 同国の原油生産量が減少したことで 石油需給引き締まりの懸念が市場で発生した この他 米国の原油在庫が市場の一部事前予想ほど増加していなかったことが同国石油統計で明らかになったり 石油製品在庫が市場の事前予想を上回って減少したりしたこと 英領北海の油田の生産が停止したとの情報が流れたこと 米国がシリアに向け巡航ミサイルを発射したことで中東地域情勢の不安定化に伴う当該地域からの石油供給途絶懸念が市場で増大したことなどにより 総じて上昇傾向となり WTIは3 月末前には50ドル台を回復し その後しばらくは 50 ドル台前半で推移した しかし 米国の石油坑井掘削装置の稼働数および原油生産量の増加もしくは増加見通しに加え 同国でのガソリン在庫等の増加 リビアでの油田の生産再開と原油生産量の増加の情報 中国経済が減速する兆候を示す指標類等が原油相場に下方圧力を加えた結果 WTI は4 月下旬には再び50ドルを割り込み 5 月中旬に至るまで終値ベースで40ドル台後半で推移した こうして 5 月 14 日夜間の時間外取引では一時 43.76ドルと2016 年 11 月 1 4 日以来の安値となる局面もあった それでも 5 月 25 日に開催予定のOPEC 総会 OPEC 一部非 OPEC 産油国による閣僚級会合を控え OPEC 一部非 OPEC 産油国による減産延長決定への期待が市場で膨らんだことで 相場が反発する場面も見られ 5 月 20 日前後には 原油価格は再度 50ドル台前半へと上昇した しかし OPEC 総会で当初予想どおりに減産延長が決定されると WTIは50ドルを割り込んだ 以降は 米国での石油坑井掘削装置の稼働数の増加に加え 同国での原油やガソリン在庫の増加 リビアやナイジェリアでの原油生産増加あるいは増加観測 2018 年の非 OPEC 産油国の石油生産量の伸びが世界石油需要のそれを超過するとの見通しの発表 そして 中国経済減速の兆候を示す指標類等が原油相場に下方圧力を加えた結果 原油価格は6 月中旬に45ドルを割り込むなど 下落基調となった さらに 米国石油坑井掘削装置稼働数が増加したことや リビアでの原油生産が増加した旨明らかになったことに加え 米国での原油生産が増加を続けたこと等により 原油価格の下落傾向は引き続き 6 月 21 日に1バレルあたり42.53ドルの終値と 2016 年 8 月 10 日 ( この日は41.71ドル ) 以来の安値となった それ以降は これまでの原油価格下落に対して値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことや EIA ( 米国エネルギー省エネルギー情報局 ) が2018 年の米国原油生産見通しを下方修正したこと 米国の原油とガソリン在庫が減少したこと IEAがの世界石油需要を上方修正したこと等により 原油相場は持ち直し 6 月末頃以降は1バレルあたり40ドル台後半へと変動範囲を切り上げた また サウジアラビアが8 月の原油輸出量を抑制する旨表明したことや 米国の石油坑井掘削装置の稼働数が伸び悩むとともに石油会社による開発 生産活動減速の兆候が見られる旨石油産業関係者が示唆したこと 米国での原油在庫が市場の事前予想を上回って減少していることが判明したこと トランプ政権が ベネズエラに対し 同国石油産業への制裁の実施を検討している旨 関係筋が明らかにしたと報じられたこと 米国のガソリン需要が週間統計史上最高水準に達したこと 米国非農業部門雇用者数が市場の事前予想を上回って増加していたこと等も 原油相場に上方圧力を加え 結果として原油価格は7 月下旬に1バレルあたり50ドル前後へと回復した その後 8 月中旬以降の原油価格はどうであろうか 米国原油生産とその見通し ハリケーン ハービー の米国メキシコ湾岸地域来襲に伴う当該地域の製油所の操業停止と原油購入低下懸念等が原油相場に下方圧力を加えた結果 一時は40ドル台前半の領域へと下落したものの 米国原油在庫等の減少 米国石油坑井掘削装置稼働数の 27 石油 天然ガスレビュー

8 アナリシス 伸び悩み ハービー 通過後の製油所の操業再開と原油 購入増加観測 OPEC 事務局や IEA による 2017~ 2018 年の世界石油需要の上方修正等が上方圧力を加え た結果 原油相場は上昇傾向となり 9 月 20 日には終値 ベースで 1 バレルあたり 50 ドルを超過している 3. OPEC 産油国等による減産遵守状況と消費国への影響 このように 原油価格は2016 年 9 月から 9 月にかけ おおむね40ドル台後半を中心としながらも 時折 50ドル台前半 もしくは40ドル台前半に突入して推移した それでは 実際の石油需給はどのようであったのか OPEC( と一部非 OPEC) 産油国の思惑 ( そして石油市場関係者の期待 ) どおりに 世界の石油需給は引き締まってきているのであろうか ここでは 減産が開始された 1 月以降 4 月頃までと それ以降の期間におおよそ区切って議論したい (1) 1 ~ 4 月頃までの石油需給前述のように OPEC 産油国は2016 年 11 月 30 日に 11カ国で合計日量 116 万 4,000バレルの減産で合意 続いて12 月 10 日には非 OPEC 産油国 11カ国が合計で同 55 万 8,000バレルの減産を表明した その後 OPEC 一 部非 OPEC 産油国は減産を実施したが OPEC 産油国については サウジアラビア等一部加盟国が目標以上の減産を実施した結果 5 月末では 減産遵守率はおおよそ高水準を保ちながら推移した ( 表 3) 他方 非 OPEC 産油国に関しては減産遵守の進捗は緩やかであった ( 8 月はカザフスタンが油田メンテナンスを実施したことに伴い原油生産量を削減したこと等から 遵守率は100% を超過している )( 表 4) ただ OPEC 産油国 一部非 OPEC 産油国は確かに 11 月 30 日 12 月 10 日に減産合意したが 減産実施の開始は 1 月 1 日であった このため 減産合意に至る前の時期のみならず 減産合意後も 2016 年 12 月 31 日までは減産を実施する必要はなかった このため むしろ 減産実施前にできる限りの増産を実施した結果 特に2016 年 11 ~ 12 月は各国が高水準の原油生産量を 2016 年 10 月 2016 年 11 月 2016 年 12 月 表 3 1 月 2 月 3 月 ( 注 ) 赤道ギニアは 5 月 25 日までは非 OPEC 産油国として減産に参加 出所 :OPEC 他より推定 OPEC 産油国等の原油生産状況 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 アルジェリア 1,091 1,089 1,087 1,053 1,057 1,051 1,056 1,061 1,060 1,054 1,055 1,046 アンゴラ 1,498 1,701 1,674 1,658 1,639 1,599 1,667 1,609 1,666 1,641 1,644 1,641 エクアドル 赤道ギニア ガボン イラン 3,709 3,719 3,725 3,780 3,819 3,792 3,792 3,774 3,817 3,830 3,826 3,827 イラク 4,571 4,590 4,642 4,475 4,414 4,425 4,381 4,446 4,498 4,471 4,462 4,494 クウェート 2,848 2,868 2,859 2,722 2,712 2,702 2,705 2,709 2,709 2,702 2,702 2,700 カタール サウジアラビア 10,566 10,625 10,443 9,809 9,952 9,905 9,934 9,898 10,035 10,025 9,975 9,975 UAE 3,068 3,084 3,090 2,958 2,933 2,909 2,906 2,907 2,917 2,921 2,913 2,905 ベネズエラ 2,072 2,063 2,034 2,007 1,998 1,982 1,967 1,951 1,955 1,949 1,942 1,890 小計 30,814 31,153 30,948 29,815 29,843 29,704 29,752 29,699 30,139 30,095 29,986 29,972 リビア , ナイジェリア 1,615 1,645 1,474 1,533 1,564 1,456 1,496 1,642 1,710 1,711 1,804 1,855 合計 32,957 33,375 33,032 32,026 32,088 31,772 31,800 32,068 32,697 32,809 32,659 32,750 遵守率 (%) Vol.51 No.6 28

9 最近の石油市場の動きに関する一考察 2016 年 10 月 出所 :IEA 他データを基に推定 2016 年 11 月 2016 年 12 月 表 4 1 月 非 OPEC 産油国原油減産状況 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 ロシア 11,229 11,208 11,208 11,111 11,108 11,049 10,995 10,952 10,946 10,950 10,912 10,907 メキシコ 2,103 2,072 2,035 2,020 2,016 2,018 2,012 2,020 2,008 1,986 1,930 1,874 オマーン 1,012 1, アゼルバイジャン カザフスタン 1,765 1,768 1,793 1,753 1,797 1,837 1,808 1,781 1,810 1,815 1,736 1,771 マレーシア 赤道ギニア バーレーン 南スーダン スーダン ブルネイ 合計 18,219 18,118 18,032 17,920 18,045 17,879 17,778 17,784 17,689 17,682 17,444 17,432 遵守率 (%) ,000 15,000 10,000 5,000 0 きる港湾で大型タンカーから中小型タンカーへと原油を積み替えた後 米国各地の港湾に向かうが それにはさらに10 日程度を要するとされる したがって 中東産油国での減産の影響が米国で現れるのには 減産開始から2カ月程度後となる ( タンカー運賃が高騰した場合にはコスト削減で燃費効率を最適化させることから タンカーが減速するため さらに期間 を要する場合もある ) また 中 -5, 月東産油国から欧州諸国に向かう場 原油生産原油輸入原油輸出 ( 負数 ) 生産 + 輸入 - 輸出精製処理量原油在庫増減出所 : 米国エネルギー省 (DOE) データを基に作成 合でも同じ航路で大型タンカーの 図 4 米国原油需給バランス (2016 ~ ) 場合には 米国の場合とほぼ同様の期間を要することになる 米国では 1 月時点ではまだ中東産油国からの減産の影響 維持したり ないしは 生産水準が上昇したりした また 減産が始まったからといって 1 月の米国等の消費国における原油輸入量がすぐに急減するわけではない 中東諸国から米国へは通常大型タンカーに原油を積載しアフリカ南部の喜望峰沖を経由して輸送される このため 中東産油国から米国への原油輸送は 40 日超の期間を要する さらに米国では大型タンカーを接岸できる港湾は LOOP(Louisiana Offshore Oil Port) 等少数に限られる 他の港湾はより小規模のタンカーしか受け入れられないため 大型タンカーを接岸で はほとんど皆無であった ( むしろ2016 年 11 月頃の高水準の原油供給 つまり輸入 の影響を時間差で受けていたことに加え 米国の原油生産量が継続的に増加傾向を示していた )( 図 4) 一方で 同国の製油所は春季のメンテナンス作業を実施し始めたことから原油精製処理量が減少傾向となった このように 原油供給は堅調であった半面 原油の処分が進まなかったことから 原油在庫は増加傾向となった 2 月においても原油精製処理量は一層減少した一方で 原油生産量は増加し続けた上 なお 中東産油国からの原油輸入は高水準であった この 29 石油 天然ガスレビュー

10 アナリシス 十億バレルの影響があるということを考慮す 1.38 る必要があるだろう ) 米国は ~ 6 月にサウジアラビアから日量 100 万 ~ 120 万バレル輸入しており この量は同年 2 月に比べれば減少しているが 7 月までは明確に減少傾向にあるとは言い切れなかった ( 図 10) ま 1.28 た 8 ~ 9 月は減少傾向が読み取 月れるが この数値は ハリケーン出所 :DOE データを基に作成 のメキシコ湾岸来襲による港湾施 図 5 米国石油在庫 (2016 ~ ) 設の操業停止や 製油所メンテナンス作業実施に伴う原油の受け入れ低下の影響等を受けている可能 ため 米国の原油在庫は一層増加 その結果 2 月 10 日以降断続的にではあるが 原油在庫は週間統計史上最高水準を更新するようになった 一方 石油市場関係者サイドには 従来 米国の週間原油在庫を その発表頻度の多さからして 世界原油需給バランスの代理指標として重視してきた経緯がある 彼らは 同国の原油在庫が史上最高記録をしばしば更新したことを 世界石油需給の緩和と受け止めたわけだが これによって 原油価格は下落したと考えられる もちろん原油需給と石油需給は同じわけではない 米国では製油所の稼働が低下し石油製品の生産活動が鈍化した結果 製品在庫は減少傾向をたどっている したがって 原油と石油製品を合計した在庫は必ずしも堅調に増加しているわけではなく むしろ2 月 10 日以降は減少している ( 図 5) 性がある イラクからの輸入については 2 月と9 月に日量 40 万バレル程度にまで落ち込んだとはいえ 4 月には同 80 万バレルを上回った他 総じて同 50 万 ~ 80 万バレル程度の水準にあるので こちらの減少傾向はいまひとつ不明確である このように OPEC 主要産油国からの原油輸入量が少なくとも最近に至るまで明確な供給減少を示さなかったことが 米国の原油輸入の全体の基調として現れていると思われる したがって 米国の原油やガソリン在庫の減少は OPEC 産油国等による減産の影響が全くないとは言い切れないが むしろ主要因は別のところにある 米国の原油とガソリン在庫の傾向を見ると 実は は2016 年同様 春から夏にかけ減少傾向を示している 米国では 例年 5 月第 4 月曜日の戦没将兵 追悼記念日 ( メモリアル デー ) に伴う連休から9 月の第 (2) 4 ~ 9 月頃の石油需給 2 月以降 米国の原油在庫は減少し始めた ガソリンや留出油在庫も減少している ( 図 6 図 7 図 8) このため 石油全体の在庫も減少傾向となった また OECD 諸国の石油在庫は 9 月 22 日開催のJMMCで 彼らが目標とする需給均衡に接近しつつある旨明らかにしている では 本当に石油在庫は急速に減少しつつあるのだろうか まず 米国の原油在庫である 確かに 3 ~ 8 月にかけ減少しており しかも8 月以降は平年幅上限付近の量となっている 一方 原油輸入量は 2 ~ 3 月は1 月に比べれば減少しているが それ以降は前月比で増減を繰り返しており ( 図 9) 明らかな減少は9 月になってからだ ( ただ 9 月の輸入量についてはメキシコ湾岸へのハリケーン来襲に伴う製油所や港湾等の停止 1 月曜日の労働祭 ( レイバー デー ) に伴う連休まで夏季のドライブシーズンに当たり ガソリン需要期となる このため この時期に備え製油所では春季のメンテナンス作業を完了し 稼働を引き上げるとともに 原油精製処理量を増加させることが慣例となっている ( 図 11) これによって 原油処理が進み 原油在庫も減少していくことになる また 夏季のドライブシーズンが接近するとともに ガソリンは製油所から油槽所 そしてガソリンスタンド ( もしくは消費者の自動車の燃料タンク ) へと流れていく このため製油所を中心とする1 次在庫 ( これが米国で統計数値として使われる在庫の数値である ) から2 次もしくは3 次在庫へとガソリンが移動していくとともに 1 次在庫は減少していく これが原油とガソリン在庫減少の背景にある主要因であると考えられる また 留出油在庫については 例年概ね冬季に在庫水 Vol.51 No.6 30

11 最近の石油市場の動きに関する一考察 5.4 億バレル 月 過去 5 年幅 ( 月間値 ) 過去 5 年平均 ( 月間値 ) 2016~ ( 週間値 ) 出所 :DOE データを基に作成 図 6 米国原油在庫 2.8 億バレル 月 過去 5 年幅 ( 月間値 ) 過去 5 年平均 ( 月間値 ) 2016~ ( 週間値 ) 出所 :DOE データを基に作成 図 7 米国ガソリン在庫 億バレル 月 過去 5 年幅 ( 月間値 ) 過去 5 年平均 ( 月間値 ) 2016~ ( 週間値 ) 出所 :DOE データを基に作成 図 8 米国留出油在庫 準が増加する傾向があるが これは 暖房シーズ ン (11 月 1 日 ~ 翌年 3 月 31 日 ) に伴う需要期到来 に備え在庫を積み増すことが影響していると考え られる 他方 春季には在庫が減少する傾向があ る これはメンテナンス作業実施により製油所の 稼働が低下し 結果として 留出油生産が減少し ていることが影響していると見られる また 夏 季は製油所の稼働率が上昇する結果 留出油生産 も活発化するが 欧州 ( ドライブシーズン突入に 伴うディーゼル車向け軽油需要が発生 ) 向けの輸 出が旺盛に行われることから この面では在庫の 増加を抑制する方向で作用している そして確かに の原油 ガソリンおよ び留出油在庫は減少するとともに平年幅の水準に 突入してきている ただ グラフをよく見ると 2016 年との在庫量の実績自体はそれほかいりど乖離していない ( それでもは前年同期 比では若干在庫水準は低いが ) ガソリンと留出 油在庫については は 9 月に入り在庫が 急減するとともに平年並みの水準となっている が これは 8 月下旬にハリケーン ハービー が米 国メキシコ湾岸地域に来襲した結果 当該地域の 製油所が操業を停止したことに伴いガソリンや留 出油等の石油製品の生産が低下したことが影響し ているだろう その意味ではこの時期 特殊要因 により在庫変動がもたらされていると言うことが できよう また 2016 年は原油 ガソリン 留出油の足 元の在庫水準が平年幅を超過する状態が多かった 一方で のそれは早々に平年幅の範囲内 に入っているのは 平年幅が 過去 5 年実績幅 で あるからである つまり在庫に関しては 2016 年の 過去 5 年実績幅 は 2011 ~ 2015 年の在庫 実績であるのに対し のそれは 2012 ~ 2016 年の実績となるからだ したがって 2017 年時点では平年幅は在庫が高水準であった 2016 年が 平年幅 に織り込まれており その結果 平 年幅の特に上限部分が上振れしている このため 量としては の在庫量が 2016 年の高水準 の時と比べてそう変化はないほど高水準であって も 平年幅の範囲内に収まってきているという意 味では 在庫は大幅に過剰である とは言い切れ なくなっている と市場で解釈されることもあり 得るわけである そして 市場では 過去 5 年実 績幅 を用いて判断することが慣習となっている 31 石油 天然ガスレビュー

12 アナリシス 9,000 8,500 8,000 7,500 7,000 6,500 6, 月 ( 注 ) 8 ~ 9 月は速報値 出所 :DOE データを基に作成 1,600 1,400 1,200 1, 図 9 米国原油輸入 (2016 ~ ) 月 ( 注 ) 8 ~ 9 月は速報値 出所 :DOE データを基に作成 1,800 1,700 1,600 1,500 図 10 米国のサウジアラビアからの原油輸入 (2016 ~ ) 日量万バレル 1, 月 出所 :DOE データを基に作成 図 11 米国原油精製処理量 (2016 ~ ) ので そこから市場関係者の心理が 動いてしまうこともあり ひいては 原油相場 ( そしてガソリン相場等 ) が 変動する といったことも起こり得 る では OECD 諸国の石油在庫はど うであろうか 実は OECD 諸国の 石油在庫 ( 月間推計 ) をたどってみる と 8 月の在庫量自体は 2016 年 12 月に比べ若干減少してい るに過ぎないことが分かる その背 景には いくつかの要因が重なって いよう まず 米国では 年末の課 税対策から精製業者等が原油在庫等 を相当程度減少させることが多い ( テキサス州やルイジアナ州では年 末の石油在庫評価額に対し固定資産 税等が課税されることから 課税額 を低減させるために精製業者等は必 要以上の陸上在庫の保有を敬遠する とされる ) ことから 12 月末は他の 月末に比べ在庫が低下しやすい ( 実 際には沖合のタンカーに石油を貯蔵 していると言われている ) 他方 米国では 2016 年 1 月時点では にかけ米国の原油生産量は 減少傾向となると見られていたが 実際には 2016 年後半頃から原油 生産は増加傾向となっている ( 図 12) このように当初見込みに反し同国 の原油供給が増加したことが 原油等の在庫減少 の度合いを緩やかなものにしたと捉えることがで きる さらに 米国で生産された原油や石油製品 の輸出が活発化したことが 米国の石油在庫を減 少させる方向で作用した一方で 輸出された原油 や石油製品の一部が他の OECD 諸国に流入した 結果 それら地域での在庫水準を支持する格好で 作用したとも考えられる また OPEC 産油国のなかには減産合意の枠外 にある加盟国が存在した リビアとナイジェリア である リビアは 2012 年時点では日量 150 万バ レル近くの原油生産があったが 2013 年後半以降 石油ターミナルや油田 そして両者をつなぐパイ プラインが しばしば警備隊や武装勢力に占拠さ Vol.51 No.6 32

13 最近の石油市場の動きに関する一考察 11 日量百万バレル NDAが暫定的な停戦に合意して以降 同国の原油生産に対する妨害が減少 生産は回復傾向 にある ( 図 14) そして リビアやナイジェリ 10 ア産の原油は主に欧州に向かっていると考えら れるので この分だけ 欧州を中心とする地域 の原油在庫が上振れしやすくなっていると考え 9 られる また 減産に合意したOPEC 産油国の減産状 8 況だが 3 ~ 5 月は100% を超過する 遵守率となっていた しかし 6 月になると遵 守率が82% に急低下 7 月も85% となった ~ 9 月は95 ~ 97% へと回復したが それでも月 2016 年 1 月 12 日発表 10 月 11 日発表 100% は割り込んでいる状態にある 個別に見 出所 :DOE データを基に作成図 12 米国原油生産実績と見通し (2016 ~ 2018 年 ) ていくとイラク エクアドル等での遵守率が低く また サウジアラビアやアンゴラは目標以 上に遵守はしているものの 遵守率はどちらか というと低下傾向である こうしたことから 日量万バレル 160 減産しているOPEC 産油国を見ても 9 月の原 油生産量は1 月からは日量 16 万バレル 直近 の低水準にあった5 月からは同 27 万バレル程度増加している このように減産を実施してい るOPEC 産油国の遵守率が相対的に低下したこ とにより 原油供給が下げ止まっていることも OECD 諸国の石油在庫増加に寄与している部分があると推量される さらに 8 月になって IEAはの世 界石油需要を通年で日量 33 万バレル程度下方修正した これは これまで オイル マーケッ ト レポート ( Oil Market Report ) で月間推 定として算出していた需要と 特に非 OECD 出所 :IEA データを基に作成図 13 リビア原油生産量 諸国における年間統計の需要 ( 例年 8 月頃に確定 ) とを比較した際に アジア非 OECD 諸国を 中心に年間統計数値が月間数値による年間推計 値を下回っていたことにより調整を施したこと れ 操業が停止し 2016 年半ば頃には原油生産が日量 30 万バレルを割り込む場面も見られた しかし その後警備隊や武装勢力と政府の間で交渉が進んだ結果 現在でもまだ完全とはいえないまでも 石油関連施設封鎖と原油生産停止の頻度が大幅に減少した このため原油生産量も増加 8 月には日量 100 万バレル超と 2013 年半ば以来の水準に達した ( 図 13) ナイジェリアに関しても 2016 年までは Niger Delta Avengers (NDA) 等の武装勢力が産油地域のニジェール デルタでパイプライン等の石油関連インフラを破壊して 原油生産が減少する場面も見られたが 2016 年 8 月 29 日に が一因である この影響では第 1 ~ 第 3 四半期は7 月時点から日量 10 万バレル超下方修正されている つまり この分だけ当初見込みほど世界の石油需要は存在しなかったことになり 実は世界石油需給は相対的に緩和状態にあったと考えられる このような事情もあり 例えば 5 月時点の同年の世界石油需給展望では 第 1 四半期 ~ 第 3 四半期で需要が供給を日量 73 万バレル超過しており 9 月末までに2 億バレル程度 (8 月末までには1 億 5,800 万バレル程度 ) 世界の石油在庫が減少する他 このペースでいけば は3 億 7,000 万バレル強の在庫が取り崩される計 33 石油 天然ガスレビュー

14 アナリシス 日量万バレル レル程度 (8 月末までは8,200 万バレル程度 ) と推定されることになる ( 表 6) ところが 9 月 22 日に開催されたOPEC 非 OPEC 閣僚監視委員会 (JMMC) では 8 月末時点でOECD 諸国の在庫は年初から1 億 6,800 万バレル縮小した 旨明らかにされた IEAの推定する需給データとOPECのそれとの間ではそれなりの差は発生するとはいえ なぜこのような差が生じたのであろうか 120 実は OPECはより厳密には 8 月末時点で OECD 諸国の在庫は過去 5 年平均比で年初から 1 億 6,800 万バレル縮小した と発言していたの 出所 :IEA データを基に作成図 14 ナイジェリア原油生産量 である 市場では前述の 過去 5 年幅 に加え 過去 5 年平均 が 平年 の在庫水準として通常認識される ただ 過去 5 年の実績によって 過去 5 年平均値 は変動し得る に使用さ れている 過去 5 年平均 は 2012~2016 年で あるが 2016 年は在庫量がそれまでの水準を 算になっていた ( 表 5) しかし10 月現在の展望では は第 1 ~ 第 3 四半期で需要が供給を超過する度合いは日量 32 万バレル程度と5 月時点の展望の2 分の1 程度になっていることから この場合年間で1 億 2,000 万バレル程度の在庫取り崩しとなる他 9 月末までの在庫減少幅は9,000 万バ 大幅に超過してしまっていた この結果 2016 年に使用されていた過去 5 年平均 ( この場合 2011 ~ 2015 年 ) に比べるとのそれは相当程度上振れしている 例えば2016 年 12 月末時点でのOECD 諸国の過去 5 年平均石油在庫は27 億バレルであったのに対し同年 8 月と9 月末時点でのそれは28 億 3,000 万バレルと1 億 3,000 万 表 5 世界石油需給バランスシナリオ ( )( 5 月時点シナリオ ) Q17 2Q17 3Q17 4Q 総需要 非 OPEC 生産 OPEC 原油生産 OPEC NGL 生産 総供給 在庫変動その他 (2-1) ( 注 )OPEC 産油国については 4 月の原油生産量がその後も維持されると仮定 出所 :IEA データを基に作成 日量百万バレル 表 6 世界石油需給バランスシナリオ ( )( 10 月時点シナリオ ) Q17 2Q17 3Q17 4Q 総需要 非 OPEC 生産 OPEC 原油生産 OPEC NGL 生産 総供給 在庫変動その他 (2-1) ( 注 )OPEC 産油国については 9 月の原油生産量がその後も維持されると仮定 出所 :IEA データを基に作成 日量百万バレル Vol.51 No.6 34

15 最近の石油市場の動きに関する一考察 バレル上積みされている このため 石油在庫の絶対的水準に変動がなくても過去 5 年平均比では1 億 3,000 万バレル在庫余剰が縮小すると市場では解釈されることになる 実際には2016 年 12 月末のOECD 石油在庫は29 億 8,000 万バレル 8 月は30 億 2,000 万バレル 同年 9 月は29 億 7,000 万バレルであるので 在庫量自体はそれほど減少しているようには見受けられない ただ 5 年平均との差は12 月が2 億 8,000 万バレルであるのに対 し8 月は1 億 9,000 万バレルと9,000 万バレル縮小していることになる 市場では 在庫余剰 ( もしくは供給過剰 ) というのは 通常過去 5 年平均在庫量との差を指しているが この差が縮小したからといって その分だけ在庫が実際に減少している ( つまり実質的な需給引き締まりが発生している ) わけではない それでも市場ではこの差が縮小したことが需給の引き締まりを示していると解され その結果 原油相場が変動する場合があり得ることに注意する必要がある 年に向けた世界石油市場に対する関係者の見方 IEAは6 月 14 日に OPECは7 月 12 日に それぞれ初めて2018 年の石油需給見通しの詳細を発表した ここでは 既に 1 月 10 日に2018 年見通しの詳細を発表しているEIAを含め2018 年の世界石油需要および供給見通し等の特徴などについて述べる ( なお データは原則 EIAとOPECが10 月 11 日 IEAが10 月 12 日にそれぞれ発表した最新のものに基づく ) まず 需要面について 2018 年の世界石油需要は 前年比で日量 139 万 ~ 158 万バレル程度の増加を見込む (IEAが同 141 万バレル 前年比 1.4 % EIA が同 158 万バレル 同 1.6% OPECが同 138 万バレル 同 1.4% の それぞれ増加 )( 図 15) と比べると 増加量が拡大すると見ている機関と縮小すると見ている機関に分かれる (は IEAが同 158 万バレル 前年比 1.6 % EIAが同 135 万バレル 同 1.4 % OPECが同 万バレル 同 1.5 % の それぞれ増加) 日量万バレル IEA EIA OPEC 出所 : 各機関資料を基に作成図 15 各機関の世界石油需要増加見通し ( 前年比 ) 地域的には 中国 インド 米国等で需要が増加すると予想されているが とりわけ中国とインドの需要の伸びが世界の需要の伸びの相当程度の割合を占めると考えられている また 製品別にはLPG ガソリン ジェット燃料等が需要の伸びの中心になると見られている 特にLPGの伸びが顕著になるのが 2018 年の予想の特徴であると思われる これは 米国で前半に2 基のエタン分解装置 ( エチレン製造装置 ) が操業を開始する他 2018 年末までにさらに5 基のエタン分解装置が操業を開始する予定であることから エタン (LPGの主要成分の一つ ) に対する需要が増加することが一因である また 中国でも 新規のプロパン脱水素化装置 (PDH) の稼働により プロパン ( これもLPGの主要成分の一つ ) の需要が伸びると考えている さらに EIAやOPECは 中国でガソリン需要が伸びると予想している他 EIAやIEAは中国でジェット燃料の需要が伸びる旨指摘している 一方 インドでは 2016 年 11 月 8 日にモディ首相により突然発表された通貨呼称の変更 ( デノミネーション ) 政策により同国経済が混乱した結果 前半にかけ 同国のガソリンや軽油といった石油需要が鈍化するなどの影響が生じたが その反動で2018 年の同国の石油需要が伸びるとIEAが予想している他 EIAやIEAはインドでの低所得者層向けのLPG 転換により 当該製品の需要が増加するとしている また同国では 石油化学産業向けのナフサやエタンの需要も伸びるとEIAは見ている 他方 サウジアラビアでは 2016 年は発電部門で天然ガスが利 35 石油 天然ガスレビュー

16 アナリシス 用されるようになったことから その際 日量万バレル 200 原油需要が減少したが 2018 年は天然ガ 150 スが石油化学部門に利用されるようになる 100 ため 発電部門では再び原油に対する需要 50 が増加するとEIA は説明している 0 非 OPEC 産油国による石油供給やOPEC -50 産油国によるNGL 供給等はどうか 年は 前年比で日量 万バレル程度の増 IEA EIA OPEC 加を見込む (IEA が同 万バレル 前年比 % EIAが同 万バレル 同 2.5 % OPECが同 94 万バレル 同 1.6 % の それ 出所 : 各機関資料を基に作成図 16 各機関の非 OPEC 諸国石油供給増加見通し ( 前年比 ) ぞれ増加 )( 図 16) これは増加量で見て も増加率で見ても よりも伸びが 加速することを示している (は 日量万バレル 150 IEAが同 67 万バレル 前年比 1.2 % EIA が同 64 万バレル 同 1.1 % OPEC が同 6 8 万バレル 同 1.2% の それぞれ増加) その伸びの主要な部分を占めるのが米国 である 2018 年の米国の石油生産量は前年比で日量 85 万 ~ 123 万バレルの増加と 0-50 予想している (IEA が同 万バレル 前年 IEA EIA OPEC 比 8.6% EIAが同 123 万バレル 同 8.0% 出所 : 各機関資料を基に作成 OPECが同 85 万バレル 同 6.0 % の それ ぞれ増加 )( 図 17) これも増加量 増加 図 17 各機関の米国石油供給増加見通し ( 前年比 ) 率のどちらで見ても よりも伸び が加速することを示している ( 年は IEAが同 47 万バレル 前年比 3.8% EIAが同 57 万バレル 同 3.8% OPEC が同 6 1 万バレル 同 4.5% の それぞれ増加 ) EIAは Permian Basinでの原油生産の増加が中心になるとの見解を明らかにしている ただ OPECは 米国のシェールオイル生産のコストが上昇するというのがアナリスト間での統一した意見であり 加えて 生産性が良好な坑井からその周辺地域の坑井へと操業地域が移行していくことから 各坑井の生産性は過去に比べると劣る旨指摘していることを踏まえ 米国の原油生産量の増加度合いが控えめにしていると見られる また 米国メキシコ湾沖合では にはTahiti 油田の拡張が完成するとともに Horn Mountain Deep 油田が生産を開始 続いて2018 年にはBig Footと Stampedeプロジェクトが操業を開始する他 他のプロジェクトも2017 ~ 2018 年に操業を開始することが米国メキシコ湾岸での増産に寄与するとしている さらに EIAは 石油化学産業向けのエタン需要増加により 天然ガス処理施設での NGL( その大半の成分はエタン等の LPGである ) 生産が増加する旨予想している 米国以外では カナダ アルバータ州のFort Hills Meadow Creek Kirby North 等のオイルサンドプロジェクトやニューファウンドランド州のHebron 重質油プロジェクトで生産を開始することが2018 年の同国での石油生産増加に寄与すると IEAやEIAは観測している ブラジルでは Santos Basinのプレソルト層開発が進展 中にさらに浮遊式生産 貯蔵 出荷装置 (FPSO)1 基 (P-67) 加えて2018 年に5 基 (P ~ 76) が それぞれ操業を開始することで 生産が増加すると見られている また カザフスタンでも Kashagan 油田での生産拡大が 同国での石油供給増加に貢献するとしている さらに カタールではNGLの生産が伸びるとEIAは指摘している 他方 メキシコや 原油価格下落で経済性の低い坑井での生産を停止し 新規油田開発投資を抑制した中国等では 石油生産は減少すると見られている そして 世界石油需要から非 OPEC 産油国石油供給と OPEC 産油国のNGL 等を差し引いた いわゆる対 OPEC Vol.51 No.6 36

17 最近の石油市場の動きに関する一考察 3,400 3,300 日量万バレルてみても 2018 年第 1 四半期末でOPEC 一部非 OPEC 産油国による減産が終了し 以降 各産油国が増産体制に入ると 2018 年は再び供給過剰の状態に戻る恐れ 3,200 3,100 がある IEAの例を見ると 2018 年第 1 四半期まで現状の生産をOPEC 産油国とロ 3,000 IEA EIA OPEC シアが継続した場合 末までに OECD 諸国全体では 9 月末から 月末前後までに石油在庫が約 3,000 万バ 出所 : 各機関資料を基に作成図 18 各機関の対 OPEC 原油需要等見通し レル程度減少することになる 9 月末時点でOECD 諸国石油在庫が対 5 年平均を超過 する量は1 億 4,000 万バレル程度と見られ ることから 末時点では なお1 原油需要等 ( Call on OPEC ただしこれには在庫変動も含まれる ) は 2018 年においては IEA で日量 3,248 万バレル EIAで同 3,281 万バレル OPECで同 3,306 万バレルになると予想 と比べると機関によって増加 減少と 見方が分かれている (IEA が前年比で日量 27 万バレル減少 EIA が同 1 万バレル減少 OPECが同 21 万バレル増加 )( 図 18) ただ いずれの予想に従っ 億バレル程度の在庫余剰が存在すると推定される そして 2018 年第 1 四半期までOPEC 一部非 OPEC 産油国が減産を継続した場合の2018 年の世界石油需給バランスシナリオを考えた場合 ( 表 7) 2018 年は総じて供給が需要を上回ることが予想される このため 次回 OPEC 総会等においては減産の再延長を検討する必要性に迫られる可能性があることが示唆される 表 7 世界石油需給バランスシナリオ (2018 年 ) Q18 2Q18 3Q18 4Q 総需要 非 OPEC 生産 OPEC 原油生産 OPEC NGL 生産 総供給 在庫変動その他 (2-1) ( 注 )OPEC 産油国については 8 月の原油生産量が 2018 年第 1 四半期まで維持されると仮定 出所 :IEA データを基に作成 日量百万バレル 5. ハリケーン ハービー の石油市場への影響 8 月下旬にハリケーン ハービー が米国メキシコ湾岸地域に来襲した ( 暴風雨は勢力の強弱により呼称は変わるが ここでは便宜上 ハリケーン とする 以下同様 ) 今回の来襲に際し 米国では原油価格が下落した半面ガソリン価格が上昇 また 原油価格が下落したが 欧州では逆に上昇する場面が見られた 例えばWTIのブレントに対する割安感が増大している ( 図 19) 2005 年同時期のハリケーン カトリーナ の際には 米国と欧州 の原油価格が双方とも上昇したことから 例えばWTI とブレントの価格差はそれほど拡大しなかった ( むしろ WTIのブレントに対する割高感が増大した場面が見られたほどである )( 図 20) なぜ 2005 年の時と今回で原油価格に対する市場の反応が異なるのか ここでは その背景について説明したい ハービー はメキシコ湾沖合南部を西進し 米国テキサス州南西部のコーパス クリスティ付近に上陸 その 37 石油 天然ガスレビュー

18 アナリシス 後内陸部で折り返す格好となり 再びメキシ ドル / バレル コ湾沖合に戻った後再び北上 テキサス州と ルイジアナ州の州境付近に再度上陸した 図 2 1 この進路を見ると 米国メキシコ 湾沖合の油 ガス田地帯が直撃を相当程度避 けるような形で ハービー が進んでいたこと が分かる この結果 米国メキシコ湾沖合の 原油生産 日量 万バレル程度 のうち ハ リケーン来襲に伴い従業員を退避させたこと によって 生産活動を停止した油田の生産量 8/21 8/22 8/23 8/24 8/25 8/26 8/27 8/28 8/29 8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17 9/18 9/ 出所 NYMEX と ICE データを基に作成 WTI とブレント原油価格 WTI ブレント 図19 ハービー 来襲時 は 最も停止した時で 同 4 3 万バレルと 全体の 4 分の 1 程度にとどまった他 ハリケー ン通過後早期に当該地域の油田は生産活動を 開始している 図 2 2 また ハービー 来襲時に関しては 米国 陸上のヒューストン サン アントニオ周辺 3.00 ドル / バレル に位置する Eagle Ford シェール鉱床での原 油生産が 8 月 2 6 日時点で日量 3 0 万 5 0 万バ 2.50 レル程度停止したと伝えられるが これもハ リケーン通過後操業を再開しつつあると伝え 2.00 られる 一方 年の カトリーナ 来襲 時は 米国メキシコ湾沖合を東方から直接北 1.50 西に向かい ルイジアナ州ニューオーリンズ 1.00 キシコ湾沖合油 ガス田の多くがハリケーン 8/21 8/22 8/23 8/24 8/25 8/26 8/27 8/28 8/29 8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17 9/18 9/ 付近に上陸した 図 2 3 このため 米国メ 出所 NYMEX と ICE データを基に作成 WTI とブレント原油価格 WTI ブレント 図 年 カトリーナ 来襲時 の進路上に位置することになったことから この地域の原油生産量 当時日量 万バレ ル の大半が生産活動を停止した 図 2 4 他 実際に一部の生産施設に被害が発生したこと で 米国メキシコ湾沖合での油田生産停止が 長引くことにもなった このように ハー ビー 来襲時は その進路の関係もあり 米 国原油生産への影響が カトリーナ 来襲時に 油田地帯 比べると相対的に小規模であったことが判明 する しかしながら ハービー は 米国メキシ コ湾岸地域を進んでいったことから コーパ ハリケーンの進路 ス クリスティ ヒューストン ガルベスト ン ベイタウン テキサス シティ ボーモ ント ポート アーサーといったテキサス州 のメキシコ湾沿岸の製油所の集積地域の多く 注 進路と油田地帯は必ずしも厳密に正確な位置関係を示しているわけではない 出所 各種資料を基に推定 図21 ハービー の進路と米国メキシコ湾沖合油田地帯 がハリケーンに伴う暴風雨の影響を受け 当 該製油所の操業が 8 月 3 0 日朝の時点で日量 万バレル 能力相当分 停止することに なった これに加え 全面的な操業停止には Vol.51 No.6 38

19 最近の石油市場の動きに関する一考察 3,500 ならないまでも製油所が減産状態になり 石 油製品生産活動が鈍化したところもある 3,000 他方 カトリーナ 来襲時は その進路がど 2,500 ちらかというと東寄りであり テキサス州の 2,000 メキシコ湾岸を直撃したわけではなかったこ 1,500 とから 製油所での操業停止規模は限界的で 1,000 あった また 国外からの原油輸入について は 年の カトリーナ 来襲時には米国 500 最大級の石油受け入れ関連施設の一つである 8/24 8/25 8/26 8/27 8/28 8/29 8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17 9/18 0 製油所操業停止 米国メキシコ湾沖合油田生産停止 Louisiana Offshore Oil Port LOOP 原油 受け入れ能力日量100万バレル程度とされる 出所 DOE/ エネルギー 環境執行局 BSEE 報告を基に推定 の操業が影響を受けた これにより米国の原 ハービー 来襲時の製油所と 油輸入は来襲直前の 年 8 月 2 6 日の週の 図22 メキシコ湾沖合油田生産停止状況 同 1,0 4 6 万バレルから 来襲後の 9 月 9 日に は同 万バレルへと減少した しかし ハービー 来襲の際には テキサ ス州を中心として複数の港湾が操業停止に追 そ い込まれたが 進路が西に逸れていたことも あり LOOP の操業は影響を受けなかったこ 油田地帯 とから 米国の原油輸入にどれほど影響を与 ハリケーンの進路 えるか市場では測りかねる状況であったと思 われる また 年という年は既に米国 ではシェールオイル生産が活発化していたこ とから 国内の原油生産が 年時に比べ て大幅に増加していた 年の原油生産量 は日量 万バレルであったが 年 1 注 進路と油田地帯は必ずしも厳密に正確な位置関係を示しているわけではない 出所 各種資料を基に推定 図23 カトリーナ の進路と米国メキシコ湾沖合油田地帯 8 月推定 は同 万バレル こともあり 原油輸入量も大幅に減少した 年は同 1,0 1 3 万バレルであったが 年 1 8 月推定 は同 万バレル ことから つま り エネルギー安全保障の確保の度合いが相 3,500 対的に高まっていたことから ハービー が原油輸入に対し与え得る影響に関する市場 3,000 の懸念が カトリーナ の時よりも相対的に低 2,500 下していたとも考えられる このため ハー 2,000 ビー の場合には 原油供給よりも精製部門 1,500 に対する心理的影響のほうが相対的に大き 1,000 く 米国メキシコ湾沖合および沿岸地域等で 500 生産される原油が製油所で処理できなくなる との認識が市場で広がった こうして この 8/24 8/25 8/26 8/27 8/28 8/29 8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14 9/15 9/16 9/17 9/18 0 製油所操業停止 米国メキシコ湾沖合油田生産停止 出所 DOE/ エネルギー 環境執行局 BSEE) 報告を基に推定 カトリーナ 来襲時の製油所と 図24 メキシコ湾沖合油田生産停止状況 39 石油 天然ガスレビュー 地域での原油供給に対する過剰感が発生し 原油価格を押し下げたと思われる ただ 米国メキシコ湾岸の製油所の操業が 大幅に低下したことから 石油製品の生産に 支障が生じるのではないかとの懸念が市場で

20 アナリシス 広がった 実際当該地域での製油所の稼働停止に伴い 米国メキシコ湾岸から東部に石油製品を輸送する Colonial Pipeline( 日量 万バレル超の石油製品を輸送すると言われている ) での製品供給が大幅に低下し このパイプラインが操業停止となる場面も見られた これにより 9 月 2 ~ 4 日の労働祭 ( レイバーデー ) の連休に伴う夏季のドライブシーズン最後の行楽時期のガソリン需要の盛り上がりを控え 同国北東部を含む東部海岸地域では ガソリン需給逼迫感が市場で醸成された 具体的には ニューヨーク港で受け渡しされるガソリン先物価格は大幅に上昇した ただ メキシコ湾岸から東部海岸にかけては原油パイプラインが整備されていない上 内航船の運送コストが高水準となっていた (1 920 年 6 月 5 日発効の Merchant Marine Act of 1920 Jones 法 ) で内航船舶を米国籍 米国建造船および米国人所有 そして米国乗組員の乗船が規定されていることによる ) ことから 海運によっても米国メキシコ湾から東部海岸への輸送は事実上困難であった このため ハリケーン来襲直後は東部海岸地域はメキシコ湾岸からの石油製品に頼れなくなったことから 地域の製油所の稼働を引き上げて製品の生産を活発化させることになる そして石油製品を製造するための原油の調達も増加させることになるが その際の原油はメキシコ湾岸地域ではなく 大半を国外から ということになる ( 地域で処理される原油の約 4 分の 3 は国外からの輸入である ) 東部海岸地域の製油所はメキシコ湾岸地域の製油所ほど高度化が進んでいないため 西アフリカ等の地域から相対的に軽質で低硫黄の原油を輸入することになる ( 図 25) その結果 大西洋地域での軽質低硫黄原油を中心とした原油需給が引き締まり 地域の代表的な原油指標のブレント原油 ( 軽質低硫黄 ) に上方圧力を加えることになる ただ 米国東部海岸地域の製油所の稼働率はガソリン需要期であったこともあり ハリケーン来襲直前の段階で既に相当程度高水準にあった (8 月 25 日の週の段階で稼働率 9 5 %) ため 原油精製処理をさらに進めて石油製品生産を増加させようとしても限界があった 結局のところ 米国東部海岸はさらなる石油製品供給不足回避のために手段を模索しなければならなかった それが 海外からの石油製品輸入の増加である ( ガソリン需要期であったことから この場合主流はガソリンである ) そのガソリン( 混合基材が大半である ) は主に欧州から輸入されている ( 図 26) 米国でのガソリン価格上昇で 欧州の製油所では米国向けガソリン精製利幅が拡大したことにより 原油精製処理量を増加させガソリンの生産を活発化させることに 欧州 45 中東 112 中南米 149 出所 :DOE データを基に作成 図 25 その他 7 カナダ 211 北 西アフリカ 297 米国東海岸原油輸入先 (2016 年 ) その他 142 英国除く欧州 220 ( 注 ) 英国除く欧州 はロシアを含む 出所 :DOE データを基に作成 カナダ 125 英国 86 米国東海岸のガソリン ( 混合基材 ) 輸入先図 26 (2016 年 ) 中東 2,509 旧ソ連地域 4,248 出所 :DOE データを基に作成 図 27 その他 71 欧州 2,455 アフリカ 1,759 欧州原油輸入先 (2016 年 ) なる それに伴い原油の調達も旺盛となるが 欧州の製 油所が確保する原油は欧州 旧ソ連 西アフリカ等を中 心とする諸国で生産される原油が相当程度を占めること となり ( 図 27) それらの原油に対する需要が増加する と欧州と周辺の地域の指標原油であるブレント原油の価 格が上昇しやすくなる ハリケーン ハービー 来襲時に WTI 原油価格が下落 米国ガソリン価格とブレント価 Vol.51 No.6 40

21 最近の石油市場の動きに関する一考察 格が上昇した背景にはこのような事情があったと考えら れる 6. おわりに ここまで ここ1 年間の世界石油市場におけるポイントをいくつか説明してきた 最後に これまで指摘してこなかった 執筆時において 現在進行中 の事項につき若干説明を加えることにより おわりの言葉に代えたい リビアとナイジェリアは完全ではないにせよ 政情は安定化する方向に向かいつつある また6 月 5 日のサウジアラビア等 4カ国によるカタール断交についても 石油供給等への影響は限定的であった しかし それ以外に 世界石油市場を不安定にする可能性のある要因が発生しつつある 一つはイラン もう一つはイラクである イランはウラン濃縮問題をめぐる西側諸国等との合意に基づき2016 年 1 月に制裁が解除され それにしたがって原油生産を増加させてきた しかし 1 月に米国でトランプ氏が大統領に就任して以降 イランと米国の関係はむしろ悪化しているように見受けられる 10 月 13 日には トランプ大統領は ウラン濃縮問題をめぐるイランと西側諸国等 6カ国との間での合意に関し イランはこの合意を遵守していない旨認識していると表明した これにより議会は60 日以内にイランに対する制裁復活の是非につき決議することになる これに先立つ同月 12 日にはティラーソン米国務長官が 制裁復活を議会に求めない旨示唆しているが イランが弾道ミサイルを発射しないことを制裁解除の条件に含めるような法整備を含め より厳格な対応をイランに対し行うよう議会に要請することがトランプ大統領の意向であり 関係者や議会との調整が不調であれば 既存の合意を破棄する旨の姿勢を明らかにしている そして 実際米国の核合意破棄という結果になった場合 米国は対イラン制裁を復活させることになるが それは世界の主要消費国のイランからの原油等の輸入制限の再実施につながることになろう そうなった場合 イランから調達できない原油等は他の産油国から調達しなければならず その分だけ 世界の石油需給は引き締まることになろう ( イランは再び事実上の減産 ) また イランの姿勢が硬化することにより ホルムズ海峡の石油輸送 (2016 年時点で日量 1,850 万バレルの石油が往来し 世界石油需要の約 2 割に相当する ) が脅威にさらされるという事態も再び懸念される このような石油需給の引 き締まり感と石油供給途絶懸念が 原油相場に上方圧力を加える可能性がある イラクについては 2016 年 6 月に北部の都市モスルを占拠 その後バグダッドに向け進撃を始めたイスラム国 (IS) に対し イラク政府は既にモスルを奪還 現在はそれ以外でISが支配する都市に対し制圧すべく作戦を展開しているところである このようにIS 問題に関しては おおむね収拾がつきつつある しかし それによって新たな問題が生じる兆候が見られる 従来 イラク政府は一枚岩ではなく 政権の中心であるアバディ首相を擁するイスラム教シーア派 かつて政権 ( 故 フセイン元大統領 ) を担っていたイスラム教スンニ派 そして北部で自治区を形成しているクルド人の寄り合い所帯の様相を呈していた これまではイラク政府側は一致団結してIS 掃討に当たっていたが ISの支配力が弱体化しつつある現在 イラク政府側の足並みが乱れ始めている 特にクルド人勢力とイラク現政権との対立が深まりつつある 6 月 7 日にはクルド人自治区政府が9 月 25 日に独立の是非を問う住民投票を実施すると発表した これに対し イラク政府をはじめとして イランやトルコで イラクのクルド人自治区の動きに刺激され それぞれの国でのクルド人勢力の独立の機運を刺激するとして 9 月 20 日に当該投票の中止を求めた他 9 月 25 日にも米国トランプ政権が当該投票実施に対して懸念を表明した ( これに先立つ9 月 18 日には米国 英国 フランスが 国連の場においてクルド人自治区独立に関する問題を協議する場を設けることと引き換えに住民投票の2 年間の延期を要請した旨伝えられる ) しかし 9 月 25 日には実際に住民投票が実施され 27 日には賛成が92.73% を占めた旨クルド人自治区の選挙管理当局が発表した 住民投票自体は法的な拘束力はないとしながらも クルド人自治区のバルザニ議長は これより前 20 日に1 ~ 2 年程度で独立宣言に向けイラク政府と交渉等の準備を実施する意向である旨示唆するなど イラク政府に対して政治的な攻勢を強めた これに対し イラク中央政府のアバディ政権は 25 日に クルド人自治区側と対話する意思はないとし また27 41 石油 天然ガスレビュー

22 アナリシス 日には 対話をするには 住民投票を無効にすることが条件である旨要求したが これはクルド人自治区政府が拒否している また アバディ首相は 諸外国に対しクルド人自治区からの石油購入を手控えるよう要請する旨 9 月 24 日に表明した 同日イラン最高安全保障委員会がクルド人自治区との間の航空便の往来を中止した他 クルド人自治区との境界地域で軍事演習を実施している また 25 日には トルコのエルドアン大統領が クルド人自治区周辺からトルコのジェイハン (Ceyhan) に向け原油を輸送しているパイプラインの操業を停止する可能性がある旨表明した また 同日には イラクとトルコ両国の軍隊が26 日に大規模合同軍事演習をクルド人自治区とトルコの境界地域で実施する旨明らかにしている さらに 26 日には イランが西部 ( クルド自治区境界付近と見られる ) の空域防衛のために追加でミサイルを配備したと伝えられる さきのクルド人自治区の投票結果に対し イラク議会は同日 中央政府が部隊を出動させるとともに北部にあるKirkuk 油田 ( 生産量日量 15 万バレル程度と伝えられる ) の支配権 ( 同油田はもともとイラク中央政府の管轄下にあったが 2014 年 6 月 11 日のISの進撃開始時の混乱に乗じて2014 年 6 月 12 日にはクルド人自治区の治安部隊が掌握したと伝えられる ) を回復する旨要請することを決定している また イランはクルド人自治区との境界施設を封鎖した旨 10 月 15 日に発表した 他方 10 月 16 日未明には イラク軍がキルクークへの進攻を開始 当該地域の支配権を それまで事実上その地域を支配していたクルド人自治政府から奪還 クルド人自治政府軍は全面的に当該地域から退却した旨報じられる これにより当該地域で原油を生産しているバイ ハッサン (Bai Hassan) 油田とアバナ (Avana) 油田で生産が停止した ( 両者合わせて日量 35 万バレルとされる ) と同日に伝えられた ( 戦闘に伴う治安悪化 警備隊が避難 によると見られる ) これにより イラク北部から原油輸送を受け入れ欧州方面に輸出しているトルコのジェイハン港では 同月 18 日には 輸出量 ( 通常日量 6 0 万バレル ) が同 2 2 万 5,0 0 0 ~ 24 万バレルにまで低下した また 1 9 日には 同 1 9 万 6,000 バレルにまで低下した旨報じられた ( クルド治安部隊が機材を持ち去ったと同日報じられた ) イラク軍は10 月 18 日現在においても キルクークの他 クルド人自治政府が事実上支配する他の地域 ( クルド人自治区近隣のニナワ州とディヤラ州 ) でも 支配権を回 はイラク中央政府軍がペシュメルガと戦闘の結果 3 時間後には中央政府軍がキルクーク州全体を制圧した旨報じられる 他方 21 日には ルアイビ石油相が同国南部 Khor al Amayaの沖合に新設された石油ターミナルから新たに日量 20 万バレル分の原油を出荷させることにより 北部からの原油生産量減少を埋め合わせる意向である旨表明した ( 北部の原油生産が正常化するまで継続する予定 ) この後 同月 25 日に自治政府は 住民投票につき 結果を凍結とするとともに イラク中央政府に対して協議を通じ事態の打開を図る方針であることに加え 即時停戦とクルド人居住地域での軍事行動の停止についても提案する旨表明した 従来 住民投票の 無効 を対話の条件としていたアバディ首相は クルド自治政府の提案に関し10 月 26 日に住民投票の結果を無効としなければ応じないとして拒否している また イラク中央政府軍はクルド人自治区境界付近のモスル北西部近郊に展開しているとも伝えられる このようにイラク中央政府とクルド人自治区との間では 大規模な衝突が発生しているわけではないが といって緊張関係が解消したわけでもない 今後もイラク中央政府とクルド人自治区との対立が解消しないようだと クルド人自治区を含めたイラク北部からトルコ方向への原油供給 (Kirkuk 油田での生産量日量 15 万バレルを含め同 65 万バレル程度と伝えられる ) が不安定になるのではないかとの懸念が市場で継続することになる また そもそもイスラム各宗派による連立で成り立っていたイラク政権の運営が空転を来すとともに政府機能がまひ その結果治安や軍事面での対策が不十分となり 同国の主力油田地帯であるイラク南部を含め全土で治安がすき悪化 その隙を縫ってIS( もしくはその残党 ) をはじめとする集団によるテロ攻撃が発生する可能性が高まるとともに同国の原油生産の持続性に関する懸念が市場で発生するといった展開となることも否定できない 実際 イラク南部のナシリアでは 9 月 14 日に相次いで自爆テロ攻撃が行われ 少なくとも84 名が死亡したと伝えられるが これについてもISが犯行声明を発表している 足元の需給ファンダメンタルズは必ずしも急速に引き締まりつつあるとは見受けられないが 需給が均衡すると解される 過去 5 年平均 の在庫水準が上昇している分だけ 市場は 急速に需給が引き締まりつつある という心理に傾きやすくなっている したがって イラク問題等の地政学的リスク要因の今後の展開状況によっては 原油相場が上昇し続ける場面が見られることもあり得るので 注意が必要であろう 復すべく進攻を続けている旨伝えられた また 20 日に Vol.51 No.6 42

23 最近の石油市場の動きに関する一考察 執筆者紹介 野神隆之 ( のがみたかゆき ) 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業 米国ペンシルバニア大学大学院修士課程およびフランス国立石油研究所付属大学院 (ENSPM) 修士課程修了 通商産業省 ( 現 経済産業省 ) 資源エネルギー庁長官官房国際資源課 ( 現 国際課 ) 国際エネルギー機関 (IEA) 石油産業市場課等に勤務の後 石油公団企画調査部調査第一課長を経て 現在 JOGMEC 調査部主席エコノミスト ( 石油 天然ガス市場および産業担当 ) 趣味は旅行 ( 国内 国外を問わず ) Global Disclaimer( 免責事項 ) 本稿は石油天然ガス 金属鉱物資源機構 ( 以下 機構 ) 調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが 機構は本稿に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません また 本稿は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり 何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません したがって 機構は本稿に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません なお 本稿の図表類等を引用等する場合には 機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます 43 石油 天然ガスレビュー

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第 15 表 OPEC 総会の主要決議事項 (2) ~26 ウィーン 半年毎の通常総会の開催時期を今後 6 月 11 月から3 月 9 月に変更する 現行の260 万 BDの自主減産を1999 年 6 月末まで遵守する 次回通常総会において状況が改善されていなければ価格是 第 15 表 OPEC 総会の主要決議事項 (1) 80 1986.12.11~20 ジュネーブ 18ドル/ バレル固定価格に復帰し 油種間価格差設定方式 (7 油種のバスケット価格 ) を採用する 1987 年第 1~ 第 2 四半期の生産上限を1,580 万 BDとする 81 1987.6.25~27 ウィーン 18ドル/ バレル固定価格制の継続 1987 年第 3~ 第 4 四半期の生産上限を1,660

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