トラゼンタ錠 5mg CTD 第 2 部資料概要 2.7 臨床概要 臨床薬理試験 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

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1 トラゼンタ錠 5mg CTD 第 2 部資料概要 2.7 臨床概要 臨床薬理試験 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

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3 2.7.2 臨床薬理の概要 背景及び概観. 薬物動態.. 吸収および分布 代謝および排泄 用量比例性および累積 型糖尿病患者における薬物動態..5 内因性要因および特別な集団..6 外因性要因.2 薬力学 QT間隔に対する影響.2.2 DPP-4阻害 血糖およびGLP 探索的に検討したバイオマーカー 患者における曝露-反応の評価 2. 個々の試験結果の要約 6 2. 試験28. 単回 健康被験者 試験28.2 2日間反復 2型糖尿病患者 試験28.3 4週間反復 2型糖尿病患者 試験28.0 単回静脈内投与試験 健康被験者 試験28.7 4CヒトADME 静脈内および経口投与 健康被験者 2.6 試験28.26 腎機能障害患者 Table of Contents

4 2.7 試験28.27 肝機能障害患者 試験28. 単回および2日間反復 日本人健康被験者 試験28.2 4週間反復 日本人2型糖尿病患者 2.0 試験28.23 第III相試験 日本人2型糖尿病患者 2. 試験28.58 薬物動態 中国人健康被験者 2.2 試験28.3 DDI リトナビル 2.3 試験28.67 DDI リファンピシン 2.4 試験28.4 DDI メトホルミン 2.5 試験28.3 DDI ピオグリタゾン 試験28.30 DDI グリブリド グリベンクラミド 試験28.9 DDI シンバスタチン 試験28.28 DDI ワルファリン 試験28.29 DDI ジゴキシン 試験28.44 DDI 経口避妊薬 試験 週間薬力学 2.22 試験28.32 Thorough QT TQT 2.23 母集団薬物動態解析 母集団薬物動態 薬力学解析 日本人患者における母集団薬物動態 薬力学解析 3. 全試験を通しての結果の比較と解析 ヒト試料を用いたin vitroデータおよび非臨床データ 健康被験者および2型糖尿病患者におけるリナグリプチンの基本的な薬物動態... Table of Contents 05

5 3.2. 健康被験者 型糖尿病患者 要約および考察 3.3 内因性要因および特別な集団 年齢 BMI 体重および性別 肝機能障害 腎機能障害 人種 3.4 外因性要因 3.4. 薬物相互作用 食事 3.5 薬力学を検討した試験およびその結果 QT間隔に対する影響 DPP-4阻害 インクレチン GLP-およびGIP グルコース インスリン グルカゴン フルクトサミン 3.5.8,5-アンヒドログルシトール HbAc 特別な試験 Table of Contents

6 5. 付録 本文中には含めないが引用する表 本文中には含めないが引用する図 Table of Contents

7 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 臨床薬理の概要 略号及び用語の定義一覧 ABC ATP binding casette ACE Angiotensin converting アンジオテンシン変換酵素 enzyme,5-ag,5-anhydroglucitol,5-アンヒドログルシトール ADME Absorption, Distribution, 吸収, 分布, 代謝, 排泄 Metabolism, Excretion ALT Alanine transaminase アラニンアミノトランスアミナーゼ ANOVA Analysis of variance 分散分析 ANCOVA Analysis of covariance 共分散分析 AST Aspartate transaminase アスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ AUC Area under the analyte plasma 血漿中濃度 - 時間曲線下面積 concentration-time curve AUEC Area under the effect curve 効果 - 時間曲線下面積 AUC 0- Area under the analyte plasma concentration-time curve from time point zero extrapolated to infinity 時間 0 から無限大までの外挿した血漿中濃度 - 時間曲線下面積 AUC 0-tz (,norm) BCRP Area under the 定量可能最終時点 t z までの血漿中濃 concentration-time curve of the 度 - 時間曲線下面積 analyte in plasma over the time interval from 0 to the last quantifiable analyte plasma concentration after single dose administration Area under the analyte plasma ( 投与量補正した ) 定常状態におけ concentration-time curve over る 投与間隔 τ の血漿中濃度 - 時間曲 a dosing interval at steady state 線下面積 (dose normalized) Breast cancer resistance protein BI Boehringer Ingelheim ベーリンガーインゲルハイム社 BLQ Below limit of quantification 定量下限未満 BMI Body mass index 肥満度指数 C Degrees Centigrade セルシウス温度 C Concentration 濃度

8 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 2 CD 750 Racemate of linagliptin metabolite CD 790 リナグリプチンの代謝物である CD 790 のラセミ体 CD 790 Linagliptin metabolite formed in vivo(s-enantiomer) in vivo で生成されるリナグリプチン代謝物 (S- 体 ) CL Clearance クリアランス CL/F,(ss) CL R,t_t2 (,norm) (,norm) C pre,ss Apparent clearance of the ( 定常状態における ) 見かけのクリ analyte in plasma following アランス extravascular administration Renal clearance of the analyte 時間 t から時間 t 2 までの腎クリアラ from the time point t until the ンス timepoint t2 Maximum analyte plasma ( 投与量補正した ) 最高血漿中濃度 concentration (dose-normalized) Maximum analyte plasma ( 投与量補正した ) 定常状態におけ concentration at steady state る最高血漿中濃度 (dose-normalized) Predose concentration at steady 定常状態における投与直前の濃度 state CV Coefficient of variation 変動係数 DDI Drug-drug interaction 薬物相互作用 dl Decilitre デシリットル DPP-4 Dipeptidyl peptidase-4 ジペプチジルペプチダーゼ-4 E 24(,ss) Effect at time point 24 hours ( 定常状態での ) 投与 24 時間後にお after dosing(at steady state) ける効果 E avg,ss Average effect at steady state 定常状態での平均効果 eccr Estimated creatinine clearance 推定クレアチニンクリアランス ECG Electrocardiogram 心電図 EE Ethinylestradiol エチニルエストラジオール egfr Estimated glomerular filtration 推定糸球体ろ過率 rate E max(,ss) Maximum effect at steady state ( 定常状態での ) 最大効果 ESRD End-stage renal-disease 末期腎障害 F Absolute bioavailability factor 絶対バイオアベイラビリティ Fa Absorption 吸収率 FDA Food and Drug Administration 食品医薬品局 ( 米国 ) fe Fraction of drug eliminated in 尿中排泄率 urine FPG Fasting plasma glucose 空腹時血糖 g Gram グラム

9 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3 GGT Gamma-glutamyl transferase γ グルタミルトランスフェラーゼ gcv Geometric coefficient of 幾何変動係数 variation GFR Glomerular filtration rate 糸球体ろ過速度 GIP Glucose-dependent insulinotropic peptide グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド GLP- Glucagon-like peptide- グルカゴン様ペプチド- gmean Geometric mean 幾何平均値 h Hour 時間 HbAc Glycosylated haemoglobin A 糖化ヘモグロビン (NGSP 基準で測定 ) HI Hepatic impaired 肝機能障害 HV Healthy volunteer 健康被験者 HOMA Homeostasis Model Assessment HOMA-IS Homeostasis Model Assessment-insulin secretion HPLC-MS/MS High-performance liquid chromatography-tandem mass spectrometry 高速液体クロマトグラフィー -タンデム質量分析法 IC 50 IC 80 Half maximal inhibitory 50% の阻害が得られる濃度 concentration 80% maximal inhibitory 80% の阻害が得られる濃度 concentration iff Intended final formulation 第 III 相試験製剤 INR International normalized ratio ISR Insulin secretion rate インスリン分泌 kg Kilogram キログラム Ki Inhibition constant 阻害定数 L Litre リットル LLOQ Lower limit of quantification 定量下限 ln Natural logarith 自然対数 ln2 Binary logarithm 底が 2 の対数 LNG Levonorgestrel レボノルゲストレル MAO-B monoaminooxidase B モノアミンオキシダーゼ B Max Maximum 最大値 MBq Megabecquerel メガベクレル MDR Multidrug resistance 多剤耐性 mg Milligram ミリグラム min Minute 分

10 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 4 Min Minimum 最小値 ml Milliliter ミリリットル MRD Multiple rising dose 用量漸増反復投与 MRP Multidrug resistance-associated protein MRT Mean residence time 平均滞留時間 ms Millisecond ミリ秒 µg Microgram マイクログラム MTT Meal tolerance test 食事負荷試験 N Number 数 NC Not calculated 算出せず ng Nanogram ナノグラム nm Nanomole ナノモル NONMEM Nonlinear mixed effect model 非線形混合効果モデル µm Micromol マイクロモル OATP Organic anion transporting polypeptide 有機アニオントランスポートポリペプチド OCT Organic cation transporter 有機カチオントランスポーター OGTT Oral glucose tolerance test 経口グルコース負荷試験 P-gp Permeability glycoprotein P- 糖蛋白 PIB Powder in a bottle 瓶入り粉末製剤 PK Pharmacokinetics 薬物動態 p.o. Per os 経口 QTc Corrected QT interval QT 間隔の補正値 QTcB Heart rate-corrected QT interval, using Bazzet s method QT 間隔の Bazett の方法を用いた心拍数補正値 QTcF Heart rate-corrected QT interval, using Fridericia s QT 間隔の Fridericia の方法を用いた心拍数補正値 method QTcI Individually heart QT 間隔の被験者ごとの補正値 rate-corrected QT interval QTcN Heart rate-corrected QT interval, using a study population-based approach QT 間隔の試験対象集団に基づく方法を用いた心拍数補正値 R A Accumulation ratio of the 一定の投与間隔で反復投与後の血漿 analyte in plasma after multiple 中における累積係数 dose administration over a uniform dosing interval

11 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 5 RI Renal impaired 腎機能障害 SD Standard deviation 標準偏差 SLC Solute carrier ss Steady state 定常状態 τ uniform dosing interval 一定の投与間隔 t /2(,ss) Terminal elimination half-life ( 定常状態での ) 終末相における半 (at steady state) 減期 T2DM Type 2 diabetes mellitus 2 型糖尿病 (,ss) Time of maximum analyte ( 定常状態における ) 最高血漿中濃 plasma concentration after 度到達時間 administration(at steady state) T/R Ratio test/reference Reference に対する test の比 t z(,ss) Time of last measurable ( 定常状態において ) 血漿中濃度が concentration of the analyte in 測定可能な最終時間 plasma(at steady state) U Units 単位 V ss Apparent volume of 定常状態における見かけの分布容積 distribution under steady state conditions V z /F (,ss) Apparent volume of distribution during the terminal ( 定常状態での ) 終末相 λ z における見かけの分布容積 phase λ z following an extravascular administration(at steady state) WMG Weighted mean glucose 加重平均血糖値

12 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 6. 背景及び概観. 薬物動態リナグリプチンは,2 型糖尿病の治療薬として開発されているジペプチジルペプチダーゼ 4 (DPP-4) 阻害剤である 健康被験者および 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態および薬力学を検討した リナグリプチンは DPP-4 に対して高親和性で飽和的に結合し, リナグリプチンと DPP-4 の複合体を形成する 複合体からの解離は緩徐であるため, リナグリプチンは臨床用量の血漿中濃度範囲で濃度依存的な蛋白結合を示し, 総リナグリプチン濃度が増えると非結合型のリナグリプチンが増加する このためリナグリプチンは, 経口投与および静脈内投与のいずれの場合にも非線形の薬物動態を示し, 臨床用量である 5 mg を含む ~0 mg の用量において, 血漿中濃度の上昇は用量比以下である したがって薬物動態が線形な薬剤では用量に非依存的な薬物動態パラメータ ( 例 : クリアランス, 分布容積および腎排泄率 ) が, リナグリプチンの場合には用量の増加とともに増加する 薬物動態が線形および非線形な薬剤の血漿中濃度 - 時間曲線下面積 (AUC) と投与量の関係を以下の図.: に示す リナグリプチンと同様の非線形な薬物動態が,ACE 阻害剤であるトランドラプリルや ramipril の活性体であるトランドラプリラートや ramiprilat で報告されている [CTD 5.4-0,R05-078;CTD 5.4-5,R ] リナグリプチンは主に未変化体のまま糞中に排泄される 臨床用量では, リナグリプチンの腎排泄は少ない 非線形的薬剤 ( 用量比を上回る ) 線形的薬剤 非線形的薬剤 ( 用量比を下回る ) 用量 図.: 線形および非線形な薬物動態を有する薬剤の血漿中濃度 - 時間曲線下面積 (AUC) と投与量の関係

13 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 7.. 吸収および分布リナグリプチン ( 分子量 g/mol)5 mg は経口投与後速やかに吸収され, 投与.5~2 時間後 ( の中央値 ) に血漿中濃度がピークに達する このことから本剤が主に腸管上部で吸収されることが示唆される 外国人健康被験者に 5 mg の単回経口投与を行った場合のリナグリプチンの AUC 0-24 の幾何平均値は 39 nm h であり, 最高血漿中濃度 ( ) は 8.90 nm であった [CTD , 試験 28.25] 日本人健康被験者に 5 mg の単回経口投与を行った場合のリナグリプチンの AUC 0-24 の幾何平均値は 59 nm h であり, 最高血漿中濃度 ( ) は 9.00 nm であった [CTD , 試験 28.] 0 mg の経口投与後のリナグリプチンの絶対バイオアベイラビリティは約 30% である [CTD , 試験 28.0] 非臨床試験 [CTD 2.6.4, 項および 6..2 項 ] およびリトナビルまたはリファンピシンとの薬物相互作用試験 ( 試験 28.3[CTD ] および試験 28.67[CTD ]) のデータから, リナグリプチンの吸収に P- 糖蛋白が影響することが示されている リナグリプチンを食後に投与すると吸収速度がわずかに低下する ( の中央値が.02 時間から 2.99 時間へと延長し, は約 5% 低下する [90% 信頼区間 :75.9~94.6%] が, 吸収量に対する食事の影響はみられない [AUC % 信頼区間 :98.~09.2%])[CTD 2.7.,3.2 項参照 ] したがってリナグリプチンは食後または食間に投与することができると考えられる 非臨床試験においてリナグリプチンと末梢組織との結合は強く, これはリナグリプチンが末梢組織に分布する DPP-4 と結合しているためと推察された [CTD 2.6.4,4. 項 ] 健康被験者に対するリナグリプチン 5 mg 単回静脈内投与後の定常状態における分布容積 (V ss ) は約 0 L であり, これはヒトの全体積を大きく上回っており, リナグリプチンがヒト組織中へ広範囲に分布することを示唆している [CTD , 試験 28.0] ヒト血漿中でのリナグリプチンの血漿蛋白結合は濃度依存的であり, リナグリプチン濃度が増すにつれて DPP-4 との結合が飽和するため, 蛋白結合率は 2 nm での 98.8% から 20 nm では 84% へと低下する このため血漿中におけるリナグリプチンの蛋白非結合型分率は総血漿中濃度が増すにつれて増加する 臨床用量である 5 mg 経口投与後の血漿中濃度を上回る 00 nm より高い濃度では, リナグリプチンの蛋白結合率は約 70~80% で安定していた [CTD 2.6.4,4. 項参照 ] リナグリプチンの分布動態は, 経口投与および静脈内投与のいずれの場合にも非線形である リナグリプチン単回経口投与後の見かけの分布容積 (V z /F) は, mg から 0 mg へと用量が増加することによって約 4 倍にしか上昇しない ( mg の V z /F:450 L;5 mg の V z /F:2700 L; 0 mg の V z /F:20800 L)[CTD , 試験 28.2] 血球への [ 4 C] 放射能の分布は濃度依存的であり, リナグリプチン濃度が増すにつれて上昇した これはリナグリプチンの血漿中 DPP-4 への結合が強く, 血球への移行は, 血漿中 DPP-4 への結合が飽和した後に始まるためと推察される 臨床用量の経口投与後のリナグリプチン濃度では,

14 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 8 リナグリプチンは主に DPP-4 に結合しており, 血漿中の遊離型のリナグリプチンは少ない [CTD 2.6.4,4. 項 ] 臨床用量である 5 mg の経口投与後の血球への移行は無視できる程度である (C blood cells/c plasma 比の平均値の最大値は )[CTD , 試験 28.7]..2 代謝および排泄リナグリプチン 5 mg 経口投与後の血漿中濃度は, 終末相において長い半減期を示し, 少なくとも 2 相性に低下する 最初の速やかな血漿中濃度の低下は, 主に大きな末梢コンパートメントへの分布および DPP-4 に結合していないリナグリプチンの速やかな排泄によるものである 血漿中リナグリプチン濃度が血漿中 DPP-4 濃度と同程度まで低下すると, 長い半減期の終末相 ( リナグリプチンの終末相における半減期は 200 時間にまで及ぶ ) が認められる これは DPP-4 に対するリナグリプチンの結合が強く, リナグリプチンと DPP-4 の複合体の解離が緩徐である [CTD 4.3-,P ] ためである したがって終末相における長い半減期は本剤の累積には寄与しておらず, リナグリプチン 5 mg 反復経口投与後の累積係数から求めた半減期は.4 時間である [CTD 5.4-7,P ] リナグリプチンの定常状態における見かけのクリアランス (CL/F,ss ) は用量依存性を示し, mg から 0 mg にかけて用量の増加に伴って約 4 倍に上昇する (43 ml/min から 850 ml/min へと上昇 ;5 mg では 20 ml/min)[ctd , 試験 28.2] 定常状態における 5 mg 経口投与後の腎クリアランスは低かった (70.0 ml/min)[ctd , 試験 28.2] 健康被験者に対する [ 4 C] リナグリプチンの経口投与後, 投与した放射能の約 90% が投与後 週間以内に回収された [ 4 C] 放射能は, 投与後 96 時間以内に主に糞中 (80%) に, 少量が尿中 (5%) に排泄された [CTD , 試験 28.7] リナグリプチンは主に未変化体のまま排泄され ( 静脈内および経口投与後に回収された放射能の約 76% および 90% は未変化体 ), リナグリプチンは代謝をあまり受けないと考えられる [CTD ,U 75] リナグリプチン 5 mg 日 回反復経口投与後,CYP3A4 によって生成される薬理活性をもたない代謝物 CD 790 の, 定常状態での AUC のリナグリプチンに対する割合は約 3.3% であった [CTD , 試験 28.33] ヒトで認められた CD 790 以外の代謝物は, リナグリプチンの血漿中濃度の 0% 未満であった [CTD ,U -75] このことから CD 790 は主な代謝物であると考えられた CD 790 の生成は投与量依存的であり, リナグリプチンの投与量が低いとリナグリプチンに対する相対曝露が低下する [CTD , 試験 28.33] CD 790 のヒト血漿蛋白結合率は 94.7% であり, 濃度によらず一定の値であった [CTD 2.6.4,4. 項 ]..3 用量比例性および累積健康被験者および患者における 0.5~0 mg の単回経口投与後 ( 試験 28.[CTD ]; 試験 28.2[CTD ]; 試験 28.3[CTD ]),0.5~0 mg の単回静脈内投与後 ( 試験 28.0[CTD ]), および ~0 mg の 日 回反復経口投与後 ( 試験 28.2[CTD ], 試験 28.3[CTD ], 試験 28.33[CTD ]) のリナグリプチンの曝露量の増加は, 用量比以下であり, mg および 2.5 mg のリナグリプチンの 日 回投与によ

15 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 9 る曝露量は, 臨床用量である 5 mg での曝露量より 45% および 25% 低下する程度であった [CTD , 試験 28.33] リナグリプチン 5 mg を 日 回投与したところ,3 日目の投与までに定常状態に到達し, および AUC の累積係数は約.3 であった このため消失相における長い半減期は, リナグリプチンの累積には寄与していないと考えられた リナグリプチンの薬物動態パラメータの個体間変動はほぼ低度から中程度であった (3.2.3 項参照 )..4 2 型糖尿病患者における薬物動態健康被験者および 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態は同様であった (3.2 項参照 )..5 内因性要因および特別な集団年齢, 体重, 性別,BMI 年齢, 体重, 性別および BMI の影響を母集団薬物動態解析において検討した 年齢, 体重および性別を共変量として検討したところ, 統計学的に有意な影響が認められた これら個々の要因によって, 曝露量に 8.7%~6.8% の差が生じた いずれの要因の影響も,±0% の範囲内であり, 臨床的に問題にはならないと考えられる 体重は BMI と相関が高いことから, 体重でみられた影響は BMI にも当てはまることが予想される 視覚的な判断から, リナグリプチンの曝露量に対する BMI の明らかな影響は認められなかった したがって年齢, 体重, 性別および BMI の内因性要因に基づく用量調節は必要ないと考えられる [CTD ,U ] 人種 非線形な薬物動態, 終末相における半減期が長いが薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと, および臨床用量ではリナグリプチンの尿中排泄率が低いことなどのリナグリプチンの薬物動態的な特徴は, 白人, 日本人および中国人で同様であった 日本人および中国人における 5 mg リナグリプチンの定常状態での曝露量は, 白人と比較して約 30% 高かった (3.4.4 項参照 ) しかし,5 mg リナグリプチン反復投与後のトラフ時における DPP-4 阻害率は全集団とも 80% 以上であったため, 曝露量の差は臨床的に問題にならないと考えられる 日本人および白人において, 薬理活性をもたないリナグリプチンの代謝物である CD 790 の曝露量のリナグリプチンの曝露量に対する割合は同程度であった 黒人患者および非黒人患者間での曝露量の比較を行うには例数が少なかった ( 黒人患者 8 例に対し非黒人患者 454 例 ) が, 探索的に行った比較の結果に違いは認められなかった [CTD ,U ]

16 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 0 小児 小児患者を対象としたリナグリプチンの薬物動態を評価する試験は, まだ実施されていない 腎機能障害 軽度 (Cockroft-Gault 式に従って計算したクレアチニンクリアランス :>50~ 80 ml/min), 中等度 ( クレアチニンクリアランス :>30~ 50 ml/min), および高度 ( クレアチニンクリアランス : 30 ml/min) の腎機能障害患者, ならびに血液透析を必要とする末期腎障害 (ESRD) 患者にリナグリプチン 5 mg を投与したところ, 腎機能の低下がリナグリプチンの曝露量に大きな影響を及ぼさないことが示された 単回経口投与後の曝露量は腎機能障害の程度によらず, いずれの腎機能障害患者群でも同程度であり, 健康被験者対照群で認められた曝露量の 26%~ 57% であった [CTD , 試験 28.26] 定常状態での軽度腎機能障害患者における曝露量は, 健康被験者と同程度であった 中等度腎機能障害患者では, 腎機能が正常な対照被験者と比較して約 7% の曝露の上昇が認められたが, 薬物動態的な特徴を表す半減期の延長, 終末相における半減期の延長, または累積係数の上昇はみられなかった 中等度腎機能障害患者においてリナグリプチンのクリアランスに明確な変化が生じたのであれば, これらは変化していたはずである [CTD , 試験 28.26] リナグリプチンの曝露に対する腎機能障害の影響を更に明らかにするために, 腎機能正常 ( クレアチニンクリアランス :>80 ml/min) および高度腎機能障害 ( クレアチニンクリアランス : 30 ml/min) を伴う 2 型糖尿病患者を対象として 0 日間の追加比較試験を実施した リナグリプチン 5 mg の単回投与時の曝露は, 高度腎機能障害を伴う 2 型糖尿病患者および腎機能正常な 2 型糖尿病患者間で同程度であった 高度腎機能障害を伴う 2 型糖尿病患者での定常状態における曝露は, 腎機能正常な 2 型糖尿病患者と比較して約.4 倍上昇した ESRD 患者に対して単回投与のみを実施したため, 定常状態の薬物動態パラメータを予測したところ,ESRD 患者での定常状態の AUC は, 中等度または高度腎機能障害患者での AUC と同程度であると予測された 最も AUC が上昇すると考えられる ESRD 患者における定常状態での AUC の予測値の上昇は, 正常腎機能の 2 型糖尿病患者の.6 倍未満, および健康被験者の.9 倍未満と, いずれも 2 倍未満であった 健康被験者, 腎機能障害患者, 腎機能正常な 2 型糖尿病患者および高度腎機能障害を伴う 2 型糖尿病患者における定常状態でのリナグリプチンの尿中排泄率は, いずれも投与量の 7% 未満であった [CTD , 試験 28.26] リナグリプチンの蛋白結合率および血漿中 DPP-4 濃度は腎機能の程度によらず同程度であった

17 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 現在の FDA のガイダンス [CTD 5.4-4,R ] に従い, 非結合型のクリアランスが大きく, 非結合型の分布容積が大きいというリナグリプチンの薬物動態特性を考慮すると, 透析によりリナグリプチンが除去される可能性は低いと予測されることから,in vivo での薬物動態に対する透析の影響は検討しなかった 透析によって臨床的に意味のあるリナグリプチンの除去は起こらないと予想されることから, 透析の実施時期はリナグリプチンの薬物動態, 安全性, 有効性に影響しないと考えられる このほかにも試験 28.2,28.3,28.5,28.6 のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果から,2 型糖尿病患者において軽度腎機能障害はリナグリプチンの薬物動態に影響を及ぼさないことが示された [CTD ,U ] 第 III 相試験 ( 試験 28.6[CTD ] および試験 28.23[CTD ]) における腎機能正常, 軽度, 中等度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者でのリナグリプチンのトラフ濃度は同程度であった 以上より, いずれの程度の腎機能障害患者においてもリナグリプチンの用量調節は必要ないと考えられる 肝機能障害 軽度, 中等度および高度の肝機能障害患者において, リナグリプチン 5 mg の単回投与または反復投与後のリナグリプチンの および AUC は, 肝機能正常な対照被験者と同程度であった [CTD , 試験 28.27] したがって, いずれの程度の肝障害患者においてもリナグリプチンの用量調節は必要ないと考えられる..6 外因性要因 飲酒および喫煙 試験 28.2,28.3,28.5,28.6 のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果から, 飲酒または喫煙は, リナグリプチンの薬物動態に影響しないと考えられた [CTD , U ] 薬物相互作用試験 In vitro 試験の結果から, リナグリプチンは CYP3A4 の弱 ~ 中程度の不可逆的阻害剤であり, Caco-2 細胞での P- 糖蛋白を介したジゴキシン輸送に対し弱い阻害作用を示した リナグリプチンは CYP を誘導せず,CYP3A4 以外の CYP を阻害しない またリナグリプチンは P- 糖蛋白の基質であり CYP3A4 の基質であることが in vitro で明らかにされている (3. 項参照 ) しかしリナグリプチンは代謝が主な消失経路ではないことが示されている (3.2.3 項参照 )

18 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 2 これら in vitro 試験の結果に基づき, リナグリプチンの薬物動態に対するリトナビル (CYP3A4 および P- 糖蛋白の強力な阻害剤 ) の影響およびリファンピシン (CYP3A4 および P- 糖蛋白の誘導剤 ) の影響, ならびにジゴキシン (P- 糖蛋白の基質 ) およびシンバスタチン (CYP3A4 の基質 ) に対するリナグリプチンの影響を検討した in vitro データに基づく相互作用試験のほかにも,FDA のドラフトガイドライン [CTD 5.4-9, R ] の記載に従って,2 型糖尿病患者で一般的に併用される薬剤として, メトホルミン, ピオグリタゾン, グリブリド ( グリベンクラミド ), ワルファリンおよびエチニルエストラジオール-レボノルゲストレル配合剤との薬物相互作用試験を実施した リナグリプチンに対する他の薬剤の影響 リトナビル [CTD , 試験 28.3] P- 糖蛋白および CYP3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルの 200 mg 反復経口時にリナグリプチン 5 mg を単回併用投与すると, リナグリプチンの AUC および はそれぞれ約 2 倍および 3 倍に上昇した ( 幾何平均値の比 [90% 信頼区間 ]:AUC:20.4%[85.8~28.3%]; :295.7% [252.0~347.0%]) また, コンパートメントモデルに基づいてリトナビル併用投与時のリナグリプチンの定常状態での曝露量を予測した結果, リトナビルを併用投与した場合のリナグリプチンの累積係数は低く, は 2 倍に上昇すると予測された この影響はバイオアベイラビリティの上昇によって最も良く説明でき, これは P- 糖蛋白の阻害に起因する可能性が最も高いと考えられた リナグリプチンの安全域は広く [CTD 参照 ],P- 糖蛋白または CYP3A4 阻害剤の併用投与による安全性プロファイルへの影響はないという結果が臨床試験から得られており [CTD 2.7.4, 5 項参照 ], リナグリプチンの曝露量の上昇は臨床的に問題にならないと考えられた リトナビルは最も強力な P- 糖蛋白および CYP3A4 阻害剤のひとつであることから, 本試験は P- 糖蛋白および CYP3A4 が最大限に阻害された場合の結果であり, 阻害作用のより弱いまたは同程度の他の P- 糖蛋白および CYP3A4 の阻害剤と併用した場合, 臨床的に問題となる相互作用はないと予想される リファンピシン [CTD , 試験 28.67] P- 糖蛋白および CYP3A4 の誘導剤であるリファンピシンとリナグリプチンとの反復併用投与によって, リナグリプチンの定常状態での AUC および は 40% および 44% 低下し (90% 信頼区間 : 55.7~65.7%; 47.8~66.0%), トラフ時の DPP-4 阻害率は約 35% 低下した この影響はリファンピシンによる P- 糖蛋白に対する誘導によると考えられた リナグリプチン 5 mg とリファンピシンを併用投与した時と同程度の曝露量および DPP-4 阻害率が得られるリナグリプチン mg 投与時において,HbAc は統計学的に有意に低下することが第 IIb 相試験の結果から得られている [CTD , 試験 28.6] したがって, リナグリプチンは強力な

19 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3 P- 糖蛋白誘導剤の併用時にも臨床的に有効であると予想されるが, 最大の効果は得られない可能性があると考えられる またリナグリプチンとリファンピシンの併用投与により,CYP3A4 で生成する代謝物の曝露は CYP3A4 の誘導により上昇するという予想に反し,CYP3A4 で生成する代謝物である CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露が低下した CD 790 が投与量依存的に生成することを考慮すると, リファンピシンの併用投与による CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露の低下は P- 糖蛋白の誘導および全身バイオアベイラビリティの低下による可能性が高いと考えられる (3.5. 項参照 ) グリブリド ( グリベンクラミド ) [CTD , 試験 28.30] グリベンクラミド.75 mg 単回併用投与によるリナグリプチンの定常状態での薬物動態への影響はみられなかった メトホルミン [CTD , 試験 28.4] 有機カチオントランスポーター (OCT) の基質であるメトホルミン [CTD ,R0-2435; CTD 5.4-3,R ] の 850 mg 日 3 回とリナグリプチン 0 mg 日 回の反復併用投与により, リナグリプチンの定常状態での AUC が 20% 上昇したが (90% 信頼区間 :07.3~34.%), リナグリプチンの に対する影響はみられなかった これらの結果は母集団薬物動態解析の結果とも一致しており, 母集団薬物動態解析モデルからも同様にメトホルミンの併用時に 9.8% のリナグリプチン曝露の上昇が示された [CTD ,U ] リナグリプチンは安全域が広く, 臨床試験でメトホルミン併用時の安全性データが得られている [CTD 2.7.4, 5 項 ] ことから, メトホルミン併用によるリナグリプチンの AUC の上昇に臨床的に意味のある影響はないと考えられる ピオグリタゾン [CTD , 試験 28.3] リナグリプチン 0 mg 日 回とピオグリタゾン 45 mg 日 回の反復併用投与時にリナグリプチンの AUC および の 90% 信頼区間はいずれも生物学的同等性の基準内 ( 幾何平均値の比 [90% 信頼区間 ]: 3.4%[03.0~24.9%]; 07.3%[92.3~24.8%]) であり, リナグリプチンの薬物動態に対する影響はみられなかった P- 糖蛋白 /CYP3A4 によるリナグリプチンの薬物動態への影響に関する結論 結論として, 強力な P- 糖蛋白および CYP3A4 の阻害剤であるリトナビルおよび P- 糖蛋白および CYP3A4 誘導剤であるリファンピシンは, いずれもリナグリプチンの曝露に影響を与えた [CTD , 試験 28.3;CTD , 試験 28.67] 母集団薬物動態解析により, リトナビル併用投与時のリナグリプチンの曝露の上昇はバイオアベイラビリティの上昇により起こる可

20 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 4 能性が高いことが示された 一方でリナグリプチンの排泄に対するリトナビルの影響はほとんどなかった またリナグリプチンとリファンピシンの併用投与により,CYP3A4 で生成する代謝物の曝露は CYP3A4 の誘導により上昇するという予想に反し,CYP3A4 で生成する代謝物である CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露が低下した CD 790 が投与量依存的に生成することを考慮すると, リファンピシンの併用投与による CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露の低下は P- 糖蛋白の誘導および全身バイオアベイラビリティの低下による可能性が高いと考えられる (3.5. 項参照 ) この結果は,[ 4 C] リナグリプチンを用いた ADME 試験 ( 試験 28.7) で示されたように, リナグリプチンは代謝をあまり受けないという結果とも一致する [CTD , 試験 28.7] リトナビルおよびリファンピシンでみられたリナグリプチンの曝露に対する影響は,P- 糖蛋白の強い阻害剤および誘導剤を併用した場合のみで生じるものと予想される その他の薬剤に対するリナグリプチンの影響 シンバスタチン [CTD , 試験 28.9] 健康被験者における CYP3A4 の基質であるシンバスタチンの薬物動態に対するリナグリプチン反復併用投与の影響はごくわずかであった シンバスタチン 40 mg とリナグリプチン 0 mg を 6 日間反復併用投与すると, シンバスタチンの AUC は 34% 上昇し, は 0% 上昇した したがって in vivo でのリナグリプチンによる CYP3A4 阻害は弱いと考えられ, リナグリプチンと併用される CYP3A4 で代謝される薬剤の用量調節は不要と考えられる なお本試験は申請するリナグリプチンの臨床用量である 5 mg よりも高用量の 0 mg で実施されている 5 mg 投与時から 0 mg 投与時にかけて非結合型のリナグリプチン濃度が用量比を上回って上昇することを考慮すると, シンバスタチンの薬物動態に対するリナグリプチン 5 mg 併用の影響は小さいと予想される ジゴキシン [CTD , 試験 28.29] ジゴキシン 0.25 mg とリナグリプチン 5 mg を 6 日間反復併用投与した結果, ジゴキシンの薬物動態に対するリナグリプチンの影響はみられなかった したがってリナグリプチンは,in vivo で P- 糖蛋白またはジゴキシンの薬物動態に関与する他のトランスポーターを阻害しないと考えられる メトホルミン [CTD , 試験 28.4] リナグリプチンの併用投与によるメトホルミンの曝露に対する臨床的に意味のある影響はみられなかった リナグリプチンの併用投与により, メトホルミンの定常状態での AUC は影響を

21 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 5 受けず, 定常状態での の低下は % であった (90% 信頼区間 :78.2~00.4%) ことから, リナグリプチンは in vivo において臨床的に意味のある OCT の阻害剤ではないと考えられた ピオグリタゾン [CTD , 試験 28.3] CYP2C8 および CYP3A4 の基質であるピオグリタゾン 45 mg 日 回とリナグリプチン 5 mg 日 回の反復併用投与による, ピオグリタゾンの定常状態での AUC やピオグリタゾンの活性型代謝物である M III および M IV の定常状態での AUC および への影響はなく, リナグリプチンは CYP2C8 を阻害しないこと, ならびにリナグリプチンによる CYP3A4 の阻害はほとんどないことが裏付けられた ピオグリタゾンの は 4% 低下 (90% 信頼区間 :78.~93.8%) したが, ピオグリタゾンのように長期投与を行う薬剤では有効性は よりも AUC に関連すると推察され, 本試験でみられた併用投与による の低下に臨床的に意味のある影響はないものと考えられる ワルファリン [CTD , 試験 28.28] リナグリプチン 5 mg の併用投与によって,CYP2C9 の基質である S( ) および R(+) ワルファリンの薬物動態への影響はみられず, リナグリプチンが in vivo において CYP2C9 の阻害剤でないことが示された グリブリド ( グリベンクラミド ) [CTD , 試験 28.30] 主に CYP2C9 で代謝されるグリベンクラミドの.75 mg 単回投与とリナグリプチン経口投与の併用投与によって, グリベンクラミドの AUC および がいずれも 4% 低下した (90% 信頼区間 :AUC 79.8~92.%, 79.6~93.3%) グリベンクラミドを 年間投与した 2 型糖尿病患者での試験結果から投与量と血清中薬物濃度間に明確な相関がみられなかったこと [CTD ,R0-2430], およびグリベンクラミドの曝露の低下により低血糖のリスクは増大しないと考えられることから, リナグリプチンの併用によるグリベンクラミドの曝露の低下は臨床的に問題になるものではないと考えられる グリベンクラミドと同様に主に CYP2C9 で代謝される他のスルホニル尿素系の薬剤 ( 例 : グリピジド, トルブタミド, グリメピリド ) についても, リナグリプチンの併用による臨床的に意味のある影響はないものと予想される エチニルエストラジオール - レボノルゲストレル配合剤 [CTD , 試験 28.44] リナグリプチン 5 mg 日 回反復併用投与を行っても, エチニルエストラジオールまたはレボノルゲストレルの定常状態の曝露に影響はみられなかった In vitro データからは,CYP450 またはトランスポーターを介するリナグリプチンとの相互作用のリスクは示唆されていない (3. 項参照 ) さらに, 臨床試験において, リナグリプチンの併用により, メトホルミン, グリベンクラミド, ピオグリタゾン, ワルファリン, シンバスタチ

22 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 6 ン, ジゴキシンおよび経口避妊薬の薬物動態に対する臨床的に問題になる影響がみられなかったことから, リナグリプチンの併用により CYP3A4,CYP2C9,CYP2C8,P- 糖蛋白および OCT の基質との薬物相互作用を引き起こす可能性は低いと考えられた.2 薬力学以下に,Thorough QT 試験 ( 試験 28.32) の結果および主に投与期間が 4 週間以下の臨床試験におけるバイオマーカーの結果について記載する 実施期間が 4 週間を上回る主な臨床試験におけるバイオマーカーの結果については,CTD 2.7.3, 臨床的有効性の概要に記載されている.2. QT 間隔に対する影響 Thorough QT 試験である試験 28.32[CTD ] でリナグリプチンによる心臓への影響を検討した 臨床用量である 5 mg の単回投与または臨床用量を上回る用量である 00 mg の単回投与を行った健康被験者において, 心拍数で補正した QT 間隔のベースラインからの変化量の両側 90% 信頼区間の上限はいずれの用量レベルにおいても全時点で 0 ms 未満であったことから, リナグリプチンは臨床的に問題となる QT 間隔の延長を起こさないと考えられた さらに, 心拍数, 補正なしの QT 間隔またはいずれの方法の心拍数で補正した QT 間隔にも臨床的に問題となる変化はなかった リナグリプチンおよび CD 790 の最高血漿中濃度到達時間付近でも心電図を測定しており, リナグリプチン投与時の QT 間隔に対する影響の検出感度は十分であると考えられた 試験 の結果は, 単回投与試験である試験 28.[CTD ] および反復投与試験である試験 28.2[CTD ] で探索的に検討した結果を裏付けるものであった.2.2 DPP-4 阻害リナグリプチン投与後, 血漿中 DPP-4 は速やかに阻害され, 阻害は強力かつ長時間持続した リナグリプチンの単回投与後の最大 DPP-4 阻害率は,2.5 mg で 72%,5 mg で 88.5%,25 mg 以上で 95% を上回っていた [CTD , 試験 28.] 5 mg または 0 mg のリナグリプチンを 日 回反復投与したとき, 定常状態での血漿中 DPP-4 阻害率は投与後 24 時間を通して 80% を上回っていた [CTD , 試験 28.2;CTD , 試験 28.3] が, 投与量が 2.5 mg 以下の場合, 大部分の患者で投与 24 時間後の阻害率が 80% に到達することはなかった 日本人患者においてリナグリプチン 5 mg 投与によりトラフ時に 80% を上回る DPP-4 阻害率がみられ, 白人および日本人の健康被験者も同様であった ( 表 3.5.2: および 2 参照 ).2.3 血糖および GLP- 2 型糖尿病患者におけるインクレチンおよび血糖値に対するリナグリプチンの影響を検討した [CTD , 試験 28.37] リナグリプチン 5 mg 28 日間投与によって, プラセボと比較して食事負荷試験 (MTT) 後のグルカゴン様ペプチド-(GLP-) の AUEC 0-2 は 8. pmol h/l 上昇し, この上昇は統計学的に有意であった (p<0.000) MTT 後の血糖の加重平均値および

23 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 7 食後血糖の AUEC 0-3 は, それぞれ 9.9 mg/dl および 06.5 mg h/dl 低下し, 統計学的に有意であった (p<0.000) また, リナグリプチン 28 日間投与によって, プラセボと比較して空腹時血糖値は 0.8 mg/dl 低下した [CTD , 試験 28.37].2.4 探索的に検討したバイオマーカーこのほかにもグルコースの恒常性に対する影響を検討するために, バイオマーカーとして, グルカゴン,C-ペプチド, インスリン, フルクトサミン,,5-アンヒドログルシトール(,5-AG) および HbAc を測定した それぞれのマーカーで効果がみられるまでの期間は, グルカゴン, インスリンおよび C-ペプチドについては投与数日後, フルクトサミンおよび,5-AG について 2~4 週間であり,HbAc については 2 週間以上を要すると考えられている したがって, 以下の記載では, グルカゴン,C-ペプチドおよびインスリンを 短期のバイオマーカー, フルクトサミンおよび,5-AG を 中期のバイオマーカー,HbAc を 長期のバイオマーカー と分類する 短期のバイオマーカー リナグリプチンが DPP-4 を阻害することから予想されるように, リナグリプチンの反復投与によって, 空腹時および食後のインスリンおよび C-ペプチド濃度は上昇した 5 mg リナグリプチン投与によってインスリン分泌は増加した このことはベースラインからの HOMA-IS がプラセボと比較して 24.2% 上昇したこと, および 28 日間投与後のグルコースの曝露量に対するインスリンの曝露量の変化がプラセボと比較して 28.7 pm/(mg/dl h) 上昇し, 統計学的に有意 (p=0.0004) であることから裏付けられた また, リナグリプチン 4 週間投与後のグルカゴンのピーク濃度も, プラセボと比較して 6.8 pg/ml 低下した (95% 信頼区間 : 28.7~ 4.9;p=0.0064)[CTD , 試験 28.37] 中期のバイオマーカー 2~3 週間の血糖コントロールを反映するマーカーとして, フルクトサミンおよび,5-AG を測定した フルクトサミンはグルコースと蛋白質の反応によって生成されるが,,5-AG は食物に含まれる天然の単糖類であり, 血液および組織中に一定量存在している,5-AG は腎臓でろ過されるが, グルコーストランスポーターによってほぼ完全に再吸収される したがって血糖値が高値になるとグルコースと,5-AG の再吸収が競合し,,5-AG の再吸収が抑制されるため, 高血糖時には,5-AG の血中濃度が低下する [CTD ,R0-2438] 血糖コントロールに対する中期の効果は, フルクトサミンおよび,5-AG に対する変化で評価できる リナグリプチン 5 mg を 4 週間投与すると, プラセボと比較して,5-AG は.8 µg/ml 上昇し, これは統計学的に有意 (p<0.000) であった リナグリプチンの投与により, グルコース濃度の変動が低下することが示唆された [CTD , 試験 28.37] リナグリプチン投与 4 週

24 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 8 間後の濃度は, グルコースが 80 mg/dl を上回ることがない場合の,5-AG の濃度と報告されて いる 0 µg/ml であった [CTD 5.4-4,R0-2437;CTD ,R0-2438] 長期のバイオマーカー HbAc は, 長期間の平均血糖値を確認するのに最も多く用いられるヘモグロビンの非酵素的な不可逆的糖化産物である したがって HbAc は, 赤血球が曝露された平均グルコース濃度を反映する 赤血球の平均寿命は約 20 日間なので,HbAc は 3 カ月間までの平均血糖濃度を反映すると考えられる HbAc は投与期間が 4 週間の臨床試験においても測定した [CTD , 試験 28.3;CTD , 試験 28.2;CTD , 試験 28.37] 投与期間が 4 週間と短期間であったものの, リナグリプチンの投与により,HbAc はプラセボに比べて最大 0.48% 低下し, 統計学的に有意であった [CTD , 試験 28.2] 白人患者および日本人患者とも HbAc の低下の程度は同程度であった 投与期間が 4 週間を超える試験では,HbAc は主要評価項目として測定された ( 試験 28.5~8[CTD ~ ] および試験 28.23[CTD ]) これらの試験でリナグリプチンは, プラセボに対し HbAc を統計学的に有意に低下させた ( 詳細は CTD を参照 ).3 患者における曝露 - 反応の評価 図.3: に示すように, リナグリプチンの血漿中濃度は血漿中 DPP-4 阻害率と良好に相関した

25 Linagliptin 臨床薬理試験 Page DPP-4 阻害率 inhibition [%] [%] C pre,ss リナグリプチン血漿中濃度 [nm] Linagliptin plasma conc. [nmol/l] 破線の横線は DPP-4 阻害率 50% および 80% を示し, 実線の縦線は試験 28.2 における C pre,ss および の幾何平均値を示す引用元 :CTD , 試験 28.2,Table 5.5..: 7 to 0 and Table 5.6.: 8 to 2 より作成 図.3: 血漿中 DPP-4 阻害率とリナグリプチン血漿中濃度の関係 ( 試験 28.2) 試験 28.2,28.3,28.5,28.6 のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果から,DPP-4 を 50% および 80% 阻害するには, それぞれ 2.97 nm および 5.30 nm のリナグリプチンの血漿中濃度が必要と考えられた [CTD ,U ] メトホルミンの併用投与, 腎機能障害または肝機能障害による, 定常状態 DPP-4 阻害率に対する大きな違いはみられなかった (3.7.2 項参照 ) 母集団薬物動態/ 薬力学解析において, 年齢, 体重,BMI, 性別, アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT), アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST), 空腹時血糖 (FPG), 飲酒, 喫煙およびクレアチニンクリアランスを含む様々な共変量による影響を検討した 共変量のうち, 統計学的に有意であったいずれの共変量も,50% または 80% DPP-4 阻害を生じる濃度に対して ±20% を超える変化を与えないことから, いずれの共変量による影響も臨床的に問題にならないと考えられた [CTD , U ]

26 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 20 リナグリプチン以外の DPP-4 阻害剤を用いた非臨床試験から,80% 以上の DPP-4 阻害が 24 時間持続することで, 最大のインクレチン効果および血糖低下が得られることが報告されている ([CTD ,R09-602;CTD ,R ] および 2.24 項参照 ) 大部分の試験で, リナグリプチン 5 mg の反復投与後のトラフ時に DPP-4 活性は 80% 阻害されたが, 投与量が 2.5 mg では DPP-4 阻害率は 80% 未満であった 試験 28.2,28.3,28.5,28.6 のデータから, 2.5 mg および 5 mg のリナグリプチンの投与によって, それぞれトラフ時の DPP-4 阻害率が 77.0% および 84.8% となることが示された [CTD ,U ] 5 mg より投与量を増やしても, トラフ時の DPP-4 阻害率の中央値が大きく上昇することはなかった したがって DPP-4 阻害率に基づくと, 臨床用量としては 5 mg が適切であると考えられた リナグリプチン mg,5 mg および 0 mg を 2 週間投与した試験 28.6[CTD ] の結果,HbAc が 0 mg 投与によって 5 mg 投与よりさらに低下することはなかった また, 日本人を対象にリナグリプチン 5 mg および 0 mg を 2 週間投与した試験 28.23[CTD ] においても,5 mg および 0 mg 投与時の HbAc の低下および DPP-4 阻害は同程度であった 4 週間を上回る臨床試験の主要評価項目の結果については,CTD 2.7.3, 臨床的有効性の概要に記載されている

27 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 2 2. 個々の試験結果の要約本項の個々の試験結果の要約には,CTD に関連する以下のリナグリプチンの臨床試験の主に薬物動態と薬力学の結果について記載した これらの試験の被験者背景および安全性に関する結果については CTD に記載されている 基本的な薬物動態を検討した試験 : 試験 28.( 単回 - 健康被験者 [CTD ]), 試験 28.2(2 日間反復 -2 型糖尿病患者 [CTD ]), 試験 28.3(4 週間反復 -2 型糖尿病患者 [CTD ]), 試験 28.0( 単回静脈内投与試験 - 健康被験者 [CTD ]), 試験 28.7( 4 C ヒト ADME 静脈内および経口投与 - 健康被験者 [CTD ]), 試験 28.58( 薬物動態 - 中国人健康被験者 [CTD ]) 特別な集団における試験 : 試験 28.26( 腎機能障害患者 [CTD ]), 試験 28.27( 肝機能障害患者 [CTD ]) 日本人を対象とした試験試験 28.( 単回および 2 日間反復 - 日本人健康被験者 [CTD ]), 試験 28.2(4 週間反復 - 日本人 2 型糖尿病患者 [CTD ]), 試験 28.23( 第 III 相試験 - 日本人 2 型糖尿病患者 [CTD ]) 薬物相互作用 (DDI) 試験 : 試験 28.3(DDI-リトナビル [CTD ]), 試験 28.67(DDI-リファンピシン [CTD ]), 試験 28.4(DDI-メトホルミン [CTD ]), 試験 28.3(DDI-ピオグリタゾン [CTD ]), 試験 28.30(DDI グリブリド ( グリベンクラミド )[CTD ]), 試験 28.9(DDI-シンバスタチン [CTD ]), 試験 28.28(DDI-ワルファリン [CTD ]), 試験 28.29(DDI-ジゴキシン [CTD ]), 試験 28.44(DDI- 経口避妊薬 [CTD ]) 薬力学試験 : 試験 28.37(4 週間薬力学 [CTD ]), 試験 28.32(Thorough QT[CTD ]) さらに, 母集団薬物動態解析の結果 [CTD ,U ;CTD ,U ; CTD ,U ] についても記載した バイオアベイラビリティ関連および食事の影響試験の結果は CTD 2.7., 生物薬剤学及び関連する分析法の概要に記載した また,CTD 2.7. には用量比例性検討試験である試験 [CTD ] の結果も記載した ただし, 本試験は市販予定製剤を用いて行われたので, 本試験の結果は CTD でも参照する

28 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 22 全臨床試験において, リナグリプチンおよびその代謝物 CD 790( 薬理活性はない ) の血漿中および尿中濃度は, 内標準物質に [ 3 C 3 ] リナグリプチンおよび [ 3 C 3 ]CD 750 を使用し, バリデートされた高速液体クロマトグラフィー -タンデム質量分析法(HPLC-MS/MS) を用いて測定された [CTD 2.7.,.4.. 項参照 ] なお CD 790 の定量には, 検量線にラセミ体の CD 750 を用いた ただし, 検討を行ったすべての動物種およびヒトでは,S- 体である CD 790 のみの生成がみとめられた [CTD ,U -247;CTD ,U -83-0] したがって, 臨床試験の報告書中で, リナグリプチンの主な代謝物は "CD 750" と記載されている場合があるが, 本 CTD では "CD 790" と統一して記載した また, 開発の初期段階ではリナグリプチン濃度を ng/ml 単位で測定したが, その後はモル単位を使用した 本 CTD では変換係数 2.6 を使用して ng/ml 単位をモル単位に変換した ( リナグリプチンの分子量 : g/mol) 値に統一して記載した 適宜, 元の単位の値を括弧内に示した さらに, 開発の初期段階では, 報告書ではジペプチジルペプチダーゼ 4 の略語として DPP-4 ではなく DPP-IV を使用していたが, 本 CTD では略語を DPP-4 に統一して記載した また, 開発の初期段階の報告書では DPP-4 活性 [%] を算出したが, その後は DPP-4 阻害率 [%] を用いた DPP-4 活性 [%] および DPP-4 阻害率 [%] は以下のように算出した DPP-4 活性 [%]=00 ( 薬剤投与後のある時点での DPP-4 活性 [RFU]/ ベースラインの DPP-4 活性 [RFU]) DPP-4 阻害率 [%]=00 00 ( 薬剤投与後のある時点の DPP-4 活性 [RFU]/ ベースラインの DPP-4 活性 [RFU]) 定常状態での投与 24 時間後の DPP-4 阻害率を E 24,ss, 定常状態での平均 DPP-4 阻害率を E avg,ss として算出した 本 CTD では DPP-4 阻害率に記載を統一するために, 報告書で DPP-4 活性 [%] が算出されている場合は, 次の式を使用して変換を行った : DPP-4 阻害率 [%]=00 DPP 活性 [%] ただし添付資料の表 (CTD ) では, 適宜括弧中に元の値を示す また DPP-4 阻害率の記述統計量として, 個々の報告書では平均値または中央値のいずれかを用いたが,CTD 中では中央値を用いた DPP-4 阻害率の値は非対称に分布するので,DPP-4 阻害率の記述統計量として中央値は適切であると考えられる 本 CTD 中では各パラメータの数値は有効数字 3 桁で示す 幾何平均値の比およびその 90% 信頼区間は小数点以下 桁まで示した ただし CTD の 5. 項の表には, 各報告書に示されている元の値を示した

29 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.( 単回 - 健康被験者 ) 外国人健康男性被験者に対して液剤としてリナグリプチン 2.5 mg,5 mg および 00 mg, ならびに錠剤としてリナグリプチン 25~600 mg を用量漸増単回経口投与後の安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学検討するための, ランダム化, 二重盲検, プラセボ対照試験 ( 錠剤および液剤としてリナグリプチン 00 mg 投与時の被験者内バイオアベイラビリティ比較を含む ) 参照先 : 試験 28.[CTD ] 目的 : 用量漸増単回経口投与後のリナグリプチンの安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討すること 方法 : 健康男性被験者を対象として, 単施設で, ランダム化, 用量群内二重盲検, プラセボ対照, 用量漸増単回投与試験を実施した 00 mg の用量で, 錠剤および液剤の被験者内バイオアベイラビリティ比較を行った リナグリプチンは 2.5 mg,5 mg および 00 mg を液剤として,25 mg, 50 mg,00 mg,200 mg,400 mg,600 mg を錠剤として単回投与した 各投与群は 8 例 ( リナグリプチン投与 6 例, プラセボ投与 2 例 ) で実施し,00 mg のバイオアベイラビリティ比較群のみ 0 例 ( リナグリプチン投与 8 例, プラセボ投与 2 例 ) で実施した 投与後最大 92 時間までリナグリプチン濃度および投与後 96 時間まで DPP-4 活性の測定用に採血を行った 投与後 20 時間にわたってリナグリプチン濃度測定用に尿を採取した 回帰モデルを使用してリナグリプチンの用量比例性の探索的検討を行った 00 mg の用量で錠剤および液剤投与後の AUC 0- および の被験者内比に対して分散分析 (ANOVA) を行い,00 mg のリナグリプチンの錠剤投与時に対する液剤投与時の相対バイオアベイラビリティを検討した その他の薬物動態および薬力学パラメータについて記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチン投与後 0.733~3 時間以内に最高血漿中濃度 ( ) に達し, いずれの投与量でも吸収は中程度から速やかであることが示された 液剤 ( 瓶入り粉末製剤 :PIB) または錠剤として投与した各用量で最高血漿中濃度到達時間 ( ) の中央値に大きな違いはなかった の上昇は 2.5 mg および 5 mg の間では用量比以下であり,25 mg から 00 mg の間では用量比以上であり,00 mg( 錠剤 ) から 600 mg では用量比例的であった リナグリプチンの薬物動態プロファイルはいずれの投与量も二相性の消失を示した 錠剤として高用量投与後に 2 つの吸収ピークがみられた 曝露量 (AUC 0- ) については,2.5 mg から 25 mg の間では用量比以下の上昇を示し,00 mg( 錠剤 ) から 600 mg では統計学的に用量に比例した上昇が認められた 見かけのクリアランス (CL/F) の値はほぼ中程度の値であり,2.5 mg から 25 mg の間では用量の増加に伴って上昇し,00 mg( 錠剤 ) から 600 mg の間ではほぼ一定であった 2.5 mg から 50 mg での終末相における半減期 (t /2 ) は 69.7~79.9 時間であり,00 mg から 600 mg では 28~84 時間であった リナグリプチンの見かけの分布容積 (V z /F) は,2.5~5 mg

30 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 24 の用量範囲で 200~2490 L,25~600 mg では 5490~0700 L と大きかった t /2 の値はサンプリング期間に明らかに依存しており,00 mg 以上の用量ではより長時間にわたってサンプリングが行われているため,V z /F 値の比較には注意する必要がある また絶対バイオアベイラビリティが不明なので,CL/F および V z /F の値も注意して解釈しなければならない CL/F および V z /F の値から, 非線形の分布および ( または ) 排泄過程が示唆されている 尿中排泄率は用量依存性を示し,2.5 mg では濃度が定量下限未満のため算出不可 (0%) であり,600 mg では 32.7% まで上昇した リナグリプチンの腎排泄においても非線形性が示され, 少なくともリナグリプチン低用量投与では腎排泄の役割は小さいことが示唆された 薬物動態パラメータの要約を表 2.: および 2 に示す 表 2.: リナグリプチン 2.5~50 mg の単回経口投与後のリナグリプチンの主な薬物動態パラメータ リナグリプチン 2.5 mg 液剤 (N=5) 5 mg 液剤 (N=6) 25 mg 錠剤 (N=6) 50 mg 錠剤 (N=5) パラメータ単位 gmean(gcv%) gmean(gcv%) gmean(gcv%) gmean(gcv%) [nm] 4.4 (9.) 5.72 (9.4) 72.3 (40.2) 250 (47.0) {ng/ml} {2.08} {2.70} {34.2} {8} [nm/mg].76 (9.).4 (9.4) 2.89 (40.2) 5.0 (47.0),norm {(ng/ml)/mg} {0.833} {0.540} {.37} {2.37} t a) max 2.05 ( ).47 ( ) 2.97 ( ) ( ) [nm h] 29 (33.8) 427 (33.0) 0 (5.8) 930 (25.7) AUC 0- {ng h/ml} {37} {202} {525} {93} AUC 0-,norm [nm h/mg] {(ng h/ml)/mg} 6 (33.8) {55.0} 85.4 (33.0) {40.4} 44.4 (5.8) {2.0} 38.7 (25.7) {8.3} t / (34.7) 69.7 (7.2) 79.9 (24.6) 75.9 (5.60) CL/F [ml/min] 303 (33.8) 43 (33.0) 794 (5.8) 92 (25.7) V z /F [L] 200 (2.9) 2490 (26.7) 5490 (37.5) 5990 (26.4) fe 0-tz [%] NC (69.6) 6.8 (49.) 9.36 (43.9) a) については中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.,Table : -4 より作成

31 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 25 表 2.: 2 リナグリプチン 00~600 mg の単回経口投与後のリナグリプチンの主な薬 物動態パラメータ リナグリプチン パラメータ,norm a) AUC 0- AUC 0-,norm 単位 [nm] {ng/ml} [nm/mg] {(ng/ml)/mg} [nm h] {ng h/ml} [nm h/mg] {(ng h/ml)/mg} 00 mg 錠剤 (N=8) gmean (gcv%) 757 (38.8) {358} 7.57 (38.8) {3.58}.73 ( ) 5690 (2.0) {2690} 56.9 (2.0) {26.9} 00 mg 液剤 (N=8) gmean (gcv%) 30 (57.9) {47} 3.0 (57.9) {.47} 2.49 ( ) 3760 (29.0) {780} 37.6 (29.0) {7.8} 200 mg 錠剤 (N=6) gmean (gcv%) 440 (25.9) {682} 7.22 (25.9) {3.4}.3 ( ) 0700 (6.8) {5060} 53.5 (6.8) {25.3} 400 mg 錠剤 (N=5) gmean (gcv%) 3270 (36.7) {550} 8.8 (36.7) {3.87} 3.00 ( ) (35.7) {300} 69.3 (35.7) {32.8} 600 mg 錠剤 (N=6) gmean (gcv%) 4340 (32.) {2050} 7.24 (32.) {3.42} 2.2 ( ) (9.6) {8700} 65.9 (9.6) {3.} t /2 43 (9.8) 32 (28.5) 72 (43.2) 84 (50.9) 28 (4.3) CL/F [ml/min] 620 (2.0) 938 (29.0) 659 (6.8) 509 (35.7) 535 (9.6) V z /F [L] 7670 (7.5) 0700 (44.8) 9830 (52.0) 8090 (44.9) 5920 (57.5) fe 0-tz [%] 8.2 (26.2) 3.2 (48.2) 2. (23.4) 30.4 (9.7) 32.7 (3.4) a) については中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.,Table : 5-9 より作成 錠剤および液剤 (00 mg) の被験者内比較の結果,8 例中 7 例の被験者において錠剤に対する液剤のバイオアベイラビリティは約半分 ( : 幾何平均値の比 4.0%;90% 信頼区間 28.5~ 59.0%,AUC 0- : 幾何平均値の比 66.%;90% 信頼区間 54.9~79.5%) であった 薬力学 : リナグリプチンのすべての投与量群で, 血漿中の DPP-4 活性の阻害がみられた 2.5 mg および 5 mg のリナグリプチン投与においても, その投与後の最大 DPP-4 阻害率 ( 中央値 ) は, それぞれ 72% および 88.5% であった 25 mg 以上の用量では,95% を上回る最大 DPP-4 阻害率 ( 中央値 ) がみられた 最大阻害率に達するまでの時間は,2.5 mg 群での 3 時間から 200 mg 以上の用量群での 0.7 時間未満へと, 用量が増加するにつれて短縮した 血漿中 DPP-4 活性に対するリナグリプチンによる阻害は長時間にわたって持続し, 本剤の投与から 96 時間後でも, DPP-4 活性はベースラインレベルに戻らなかった DPP-4 阻害率と血漿中リナグリプチン濃度には良好な相関性が認められ, 約 4~5 nm(2~2.5 ng/ml) の濃度によって 50% の阻害が生じ, 約 0.6 nm(5 ng/ml) を上回る濃度では DPP-4 活性は 95% 以上阻害された 結論 : リナグリプチンは 00 mg までの用量において非線形の分布および ( または ) 排泄過程を示した の上昇は 2.5~5 mg では用量比を下回り,00 mg までは用量比を上回った 00~600 mg の用量範囲では および AUC は, いずれも用量に比例して上昇した 尿中排泄率は, 最

32 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 26 低用量群 (2.5 mg) の 0% から最高用量群 (600 mg) の 32.7% へと, 投与量の上昇に伴って増加 した 投与した全用量群で DPP-4 活性の阻害がみられ,25 mg 以上の用量群で 95% を上回る最高阻害率がみとめられた 全用量群とも投与 96 時間後でも DPP-4 活性はベースラインレベルに戻らなかった リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率の間に良好な相関が認められ, 約 4~5 nm の濃度によって 50% の阻害が生じ, 約 0.6 nm(5 ng/ml) を上回る濃度では DPP-4 活性は 95% 以上阻害された

33 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.2(2 日間反復 -2 型糖尿病患者 ) 外国人 2 型糖尿病患者における瓶入り粉末製剤 (PIB) によるリナグリプチンの用量漸増反復経口投与 (,2.5,5 および 0 mg 日 回投与,2 日間 ) の安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討するランダム化, 二重盲検, 用量群内プラセボ対照試験 参照先 : 試験 28.2[CTD ] 目的 : リナグリプチンの用量漸増反復経口投与の安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討すること 方法 : 年齢 36~65 歳の 47 例の 2 型糖尿病男性患者を対象に単施設, ランダム化, 二重盲検, 用量群内プラセボ対照, 用量漸増反復投与デザインによる試験を実施した 患者は 9 例ずつ 4 群にランダム割付けされ,2 日間治験薬を反復投与した 各用量レベル ( mg,2.5 mg,5 mg および 0 mg) で 3 例の患者にはプラセボを投与した 投与 日目から 20 日まで, リナグリプチン, DPP-4 活性および血漿中グルコース値の測定用に採血した ( 日目および 2 日目は頻回採血 ) 投与 日前, 日目および 3 日目に経口糖負荷試験 (OGTT) を実施した 日目から 2 日目まで尿検体を採取した 探索的なバイオマーカーとして,GLP- およびフルクトサミンを測定した 回帰モデルを用いてリナグリプチンの用量比例性を検討した リナグリプチンのトラフ濃度について, 時点を反復効果とした線形混合モデルを用いて定常状態に達するまでの時間を推定した 各時点の差を線形混合モデルにより算出される t 統計量を用いて比較した ANOVA により, 探索的に個々の患者のベースライン値で補正を行った OGTT から 0~2 時間後の血漿中グルコース値の時間曲線下面積 (AUEC 0-2,norm ) および補正を行っていない血漿中グルコース値の時間曲線下面積 (AUEC 0-2 ) を投与量ごとに比較した その他の薬物動態および薬力学パラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : 検討を行った用量範囲においてリナグリプチンは非線形的な薬物動態を示し, 用量の増加に伴う単回投与後および反復投与後の および AUC の増加は用量比を下回っていた 初回投与後および定常状態のいずれの場合も, リナグリプチン投与 ~3 時間後に最高血漿中濃度に達した 定常状態に達するまでの時間は, mg 群の約 7 日間から 0 mg 群の 2 日間へと用量の増加に伴って短縮した 累積係数は中程度であり (R A,AUC は.8~2.03 の範囲 ), 用量の増加に伴って低下した リナグリプチンは用量依存的な見かけのクリアランス (CL/F) を示し, 定常状態において 43 ml/min( mg) から 850 ml/min(0 mg) へと 4.3 倍上昇した 定常状態における終末相での半減期 (t /2,ss ) は全用量群で同程度であり,3~3 時間の範囲であった

34 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 28 定常状態における見かけの分布容積 (V z /F,ss ) には,CL/F と同程度 (4.6 倍 ) の用量に伴う増加がみられた ( mg での 450 L から 0 mg では L へと増加 ) 投与間隔(24 時間 ) 内でのリナグリプチンの尿中排泄率は, 日目が投与量の % 未満, 定常状態が投与量の約 3~6% であり, 腎排泄が主な排泄経路ではないことを示唆していた 単回投与後および定常状態の主な薬物動態パラメータを表 2.2: に示す 表 2.2: リナグリプチン ~0 mg の反復経口投与後のリナグリプチンの主な薬物動態パラメータ リナグリプチン mg (N=9) 2.5 mg (N=9) 5 mg (N=8) 0 mg (N=9) パラメータ単位 gmean(gcv%) gmean(gcv%) gmean(gcv%) gmean(gcv%) AUC 0-24 a) a),ss [nm h] {ng h/ml} [nm] {ng/ml} [nm h] {ng h/ml} [nm] {ng/ml} 40.2 (39.7) {9.0} 3.3 (43.2) {.48}.50 ( ) 8.8 (28.3) {38.6} 4.52 (29.0) {2.4}.50 ( ) 85.3 (22.7) {40.3} 5.25 (24.5) {2.48} 2.00 ( ) 7 (6.3) {55.} 6.58 (23.0) {3.}.50 ( ) 9 (6.0) {56.0} 8.32 (42.4) {3.93}.75 ( ) 58 (0.) {74.7}. (2.7) {5.24}.50 ( ) 6 (5.7) {76.} 9.70 (29.8) {4.58} 2.00 ( ) 9 (7.4) {90.0} 3.6 (29.6) {6.43}.50 ( ) t /2,ss 2 (2.3 ) 3 (0.2) 3 (7.4) 30 (.7) CL/F,ss [ml/min] 43 (28.3) 757 (6.3) 20 (0.) 850 (7.4) V z /F,ss [L] 450 (32.) 7400 (3.) 2700 (7.7) (22.7) R A,Cmax.44 (25.6).25 (0.6).33 (30.0).40 (47.7) R A,AUC 2.03 (30.7).37 (8.9).33 (5.0).8 (23.4) a) および,ss は中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.2,Table.5.2.: 2-3 より作成 薬力学 : すべての用量のリナグリプチン投与によって血漿中の DPP-4 活性が阻害された 2 日目のトラフ時における DPP-4 阻害率の中央値は, mg,2.5 mg,5 mg および 0 mg 群においてそれぞれ 60.0%,77.0%,85.5% および 90.0% であった リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率に良好な相関が認められた リナグリプチンの血漿中濃度が約 3.2 nm(.5 ng/ml) では血漿中 DPP-4 活性が 50% 阻害され,5.29 nm(2.5 ng/ml) を上回る濃度では DPP-4 活性が 80% 阻害された 2.5~0 mg 群では DPP-4 の阻害によって血漿中 GLP- 濃度の平均値が 2.4~ 4.0 pmol/l に上昇し, mg 群での上昇はこれらより小さく,5. pmol/l の上昇であった ( プラセボ :2.78 pmol/l) 血漿中グルコースの AUEC 0-2 および AUEC 0-2,norm は, ベースライン ( 投

35 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 29 与 日前 ) に比べて 5 mg でそれぞれ 8.7 mg h/dl および 3.5 mg h/dl,0 mg で mg h/dl および 62.8 mg h/dl と統計学的に有意に低下した 結論 : リナグリプチンの および AUC は用量比以下の上昇を示した 定常状態の AUC および は, mg から 0 mg にかけて約 2~3 倍上昇した 定常状態に到達するのに必要な時間は, mg 群の約 7 日間から 0 mg 群では 2 日間へと用量の増加に伴って短縮した リナグリプチン投与後 ~3 時間で最高血漿中濃度に達し,00 時間を上回る長い半減期が認められた この長い半減期は薬物動態的な特徴を表す半減期ではなく, 累積係数は.8~2.03 と小さかった リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率に良好な相関が認められた 視覚的判断の結果, 約 3.2 nm (.5 ng/ml) および 5.29 nm(2.5 ng/ml) を上回る血漿中リナグリプチン濃度によって DPP-4 活性は 50% および 80% 阻害される

36 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.3(4 週間反復 -2 型糖尿病患者 ) 外国人 2 型糖尿病患者を対象としたリナグリプチンを錠剤として反復経口投与 (2.5,5, および 0 mg 日 回投与,28 日間 ) 時の安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討するためのランダム化, 二重盲検, 用量群内プラセボ対照試験 参照先 : 試験 28.3[CTD ] 目的 : 日 回 4 週間投与のリナグリプチンの安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討すること 方法 : 年齢 40~69 歳の男性 72 例および女性 5 例, 合計 77 例の 2 型糖尿病患者を対象として, ランダム化, 二重盲検, プラセボ対照, 反復投与デザインによる多施設共同試験を実施した 患者を 4 群にランダム化割付けし (2.5 mg 26 例,5 mg 6 例,0 mg 9 例, プラセボ 6 例 ), 日 回 28 日間の治験薬の投与を行った 投与 日目から 43 日目まで, リナグリプチン,DPP-4 活性および血漿中グルコースの測定用に採血した ( 投与 日目および 28 日目は頻回採血 ) 投与 日前, 投与 日目および 29 日目に食事負荷試験 (MTT) を実施した 探索的なバイオマーカーとして,GLP-, グルカゴンおよび HbAc を測定した リナグリプチンのトラフ濃度について, 時点を反復効果とした線形混合モデルを用いて定常状態に達するまでの時間を推定した 各時点の差を線形混合モデルにより算出される t 統計量を用いて比較した ANOVA を用いて, MTT の 0~3 時間後の血漿中グルコースの時間曲線下面積 (AUEC 0-3 ) を探索的に比較した さらに HbAc に関して ANOVA を追加で行った 結果 : 薬物動態 : 検討を行った用量範囲 (2.5~0 mg) においてリナグリプチンは非線形的な薬物動態を示し, 単回投与後および反復投与後の用量増加に伴う および AUC の増加は用量比を下回っていた 初回投与後および定常状態のいずれにおいても, リナグリプチン投与 ~2 時間後に最高血漿中濃度に達した ( または,ss の中央値 ) トラフ濃度の推移の探索的な視覚的判断から,28 日目に定常状態に到達していることが推定された および AUC に基づく累積係数は, リナグリプチン 2.5 mg および 5 mg 日 回投与後には.20~.29 の範囲であったが, 用量 0 mg では 0.99~.0 の範囲であった 全用量群で, 同程度の長い定常状態での終末相における半減期が認められ, その範囲は 83~203 時間であった 単回投与後および定常状態の主な薬物動態パラメータを表 2.3: に示す

37 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3 表 2.3: リナグリプチン 2.5~0 mg の反復経口投与後のリナグリプチンの主な薬物 動態パラメータ リナグリプチン 2.5 mg (N=26) 5 mg (N=5) 0 mg (N=9) パラメータ単位 gmean(gcv%) gmean(gcv%) gmean(gcv%) AUC 0-24 [nm h] 93. (27.5) 24 (20.4) 88 (32.5) [nm] 6.09 (42.0) 9.55 (39.3) 8.8 (64.5) a).50 ( ) 2.00 ( ).50 ( ) [nm h] 6 (20.7) 48 (9.) 207 (26.8) [nm] 7.4 (27.9) 2.3 (40.4) 8.6 (56.3),ss a).00 ( ).00 ( ).00 ( ) t /2,ss 83 (20.9) 94 (5.) 203 (6.4) R A,Cmax.22 (34.).29 (40.5) 0.99 (87.3) R A,AUC.25 (9.2).20 (9.9).0 (29.6) a) および,ss は中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.3,Table.5.2: より作成 薬力学 : 定常状態 ( 投与 28 日目 ) におけるトラフ時の DPP 阻害率の中央値は,2.5 mg,5 mg および 0 mg 投与群で,8,88 および 90% であった 全投与量群で, 既に投与 日目に MTT の 30 分後の血漿中 GLP- 濃度は投与 日前に比べて 2 倍以上に上昇していた 投与 日前と比較して 29 日目の上昇は, それぞれ 2.5 mg,5 mg および 0 mg 群について 3.6 倍,4.5 倍および 4.0 倍であった プラセボ投与群の GLP- 濃度には, 変化が認められなかった 4 週間投与後に MTT の 30 分後に測定した血漿中グルカゴン濃度の低下は,5 mg 群が約 24% ( 7.04 pg/ml),2.5 mg 群が 7%( 4.97 pg/ml),0 mg 群が 7%(.72 pg/ml) であり, プラセボ群に変化は認められなかった なお, ランダム化割付け時にベースライン HbAc または糖尿病の前治療薬の数により層別化していない点を考慮しなければならない この点は,GLP-, グルカゴンおよび血漿中グルコース値の結果に明確な用量反応的性が認められなかったことの原因ではないかと考えられる 29 日目の MTT 後の血漿中グルコースの AUEC 0-3 に, ベースラインと比較して, それぞれ 2.5 mg,5 mg および 0 mg 群において 76.8,04.8 および 58.0 mg h/dl の低下が認められた これらの低下はプラセボと比較して統計学的に有意であった

38 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 32 糖尿病前治療薬の数を考慮に入れた場合, リナグリプチン 2.5 mg,5 mg および 0 mg 群での 29 日目のプラセボに対する HbAc の変化量の差は, それぞれ 0.3%, 0.37% および 0.28% で あった これらの変化は統計学的に有意であった (p<0.025) 結論 : リナグリプチンの および AUC の増加は用量比以下であった リナグリプチンは投与から ~2 時間後に最高血漿中濃度に達し ( および,ss の中央値 ),00 時間を上回る長い終末相における半減期が認められた この長い終末相における半減期は薬物動態的な特徴を表す半減期ではなく, 全投与量群とも累積係数は.3 倍を下回った 定常状態において 2.5 mg,5 mg および 0 mg のリナグリプチン投与によって, 投与間隔の全トラフ時において DPP-4 活性がそれぞれ 8,88 および 90% 阻害された ベースラインと比較して 29 日目の GLP- 濃度には,2.5, 5 および 0 mg 群においてそれぞれ 3.6,4.5 および 4.0 倍の増加が認められた プラセボ群と比較してリナグリプチン 2.5 mg,5 mg および 0 mg 投与群では,29 日目の血漿中グルコース値 - 時間曲線下面積はベースラインに比べて統計学的に有意に低下した 糖尿病前治療薬の数を考慮に入れた場合,2.5 mg,5 mg および 0 mg 群での 28 日目のプラセボで補正した HbAc の変化量は, それぞれ 0.3%, 0.37% および 0.28% であり, これらの変化は統計学的に有意であった

39 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.0( 単回静脈内投与試験 - 健康被験者 ) 外国人健康男性被験者における静脈内投与によるリナグリプチンの用量漸増単回投与 (0.5~0 mg) の安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討するためのランダム化, 単盲検, プラセボ対照試験 ( リナグリプチン 5 mg 液剤静脈内投与およびリナグリプチン 0 mg 錠剤投与のクロスオーバー被験者内バイオアベイラビリティ比較を含む ) 参照先 : 試験 28.0[CTD ] 目的 : 静脈内投与用時のリナグリプチンの安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学を検討すること 方法 : 36 例の健康男性被験者を対象として, 液剤静脈内投与 (5 mg) と錠剤投与 (0 mg) のクロスオーバー被験者内バイオアベイラビリティ比較を含む, ランダム化, 単盲検, 用量群内プラセボ対照, 用量漸増単回投与デザインによる単施設試験を実施した 被験者は 4 群にランダム化割付けし, 用量レベルを漸増しながらリナグリプチンを投与した (.5 時間の静脈内持続投与による 0.5 mg,2.5 mg および 0 mg の投与群に各 6 例,.5 時間の静脈内投与 (5 mg) および経口投与 (0 mg) のクロスオーバー法による投与群に 0 例 ) それに加えて各群とも 2 例の被験者にプラセボを投与した 5 mg 静脈内投与と 0 mg 経口投与をクロスオーバーした群では投与間に少なくとも 25 日間のウォッシュアウト期間を設けた 投与後 92 時間まで, リナグリプチン,CD 790 および DPP-4 活性の測定用に採血した 投与後 20 時間にわたってリナグリプチン濃度測定用の尿を採取した 回帰モデルを使用してリナグリプチンの用量比例性を検討した 薬物動態が非線形であるために,AUC の比較によって絶対バイオアベイラビリティを求めることはできなかった このためモデルを用いて 0 mg 経口投与後のリナグリプチンの絶対バイオアベイラビリティを検討した 構造モデルは, 中心コンパートメントと つの末梢コンパートメントに飽和のある結合 ( 高親和性 / 低結合能 ) を有する 3 コンパートメントモデルである 本解析では, 第一段階として, 静脈内投与時のデータのみを用いてモデルを構築した後, 第二段階として, 経口投与時のデータを加えて, 吸収過程モデル (F,KA, ラグタイム ) を追加して, 最終的な基本モデル (= 最終モデル ) を構築した 概念図およびモデル式を図 5.2: に示す 薬物動態および薬力学パラメータについて記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 :0.5~0 mg の静脈内投与後, リナグリプチンは非線形の薬物動態を示し,AUC の上昇は用量比を下回り, についても同様であった クリアランス (CL) は低く, 用量の増加に伴って 4.8 ml/min から 239 ml/min へと増加した 定常状態の予測分布容積 (V ss ) および終末相における分布容積 (V z ) は大きく, 用量に伴って増加しており, これは組織へのリナグリプチンの分布が高いことを示唆し, リナグリプチンの薬物動態の非線形性を示すものであった しかし, ノンコンパートメント解析による計算法が完全に当てはまるのは線形の薬物動態を示す薬剤のみであるので, 各パラメータの値は注意して解釈する必要がある 投与後 20 時間ま

40 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 34 でのリナグリプチンの尿中排泄率 (fe 0-20 ) は,0.5 mg 群の 2.72% から 2.5 mg,5 mg および 0 mg 群では 7.6%,2.8% および 23.0% へと上昇した 時間ゼロから 20 時間までの腎クリアランス (CL R,0-20 ) は 0.5 mg 群の 2.00 ml/min から 0 mg 群の 77.7 ml/min へと用量の上昇とともに増加した 終末相における半減期は全用量とも同程度であり,26~39 時間であった 全体的に静脈内投与後の薬物動態パラメータの個体間変動は小さく, その幾何変動係数は約 0~30% の範囲であった モデルに基づく 0 mg 錠剤の絶対バイオアベイラビリティの推定値は,30% であった ( 個体間変動 [ 幾何変動係数 %] は 46.7%) 0.5,2.5,5 および 0 mg の静脈内投与後ならびに 0 mg の単回経口投与後のリナグリプチンの主な薬物動態パラメータを表 2.4: に示す 表 2.4: リナグリプチン 0.5~0 mg の単回静脈内投与および単回経口投与後のリナグリプチンおよび CD 790 の主な薬物動態パラメータ 0.5 mg iv (N=6) 2.5 mg iv (N=6) 5 mg iv (N=0) 0 mg iv (N=6) 0 mg po (N=0) パラメータ [ 単位 ] gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) リナグリプチン [nm].7 (8.7) 48.6 (24.) 90.9 (4.7) 76 (23.0) 2.0 (73.) a).50 ( ).50 ( ).50 ( ).25 ( ) 3.00 ( ) AUC 0-tz [nm h] 302 (9.0) 58 (20.0) 944 (2.9) 90 (7.9) 742 (28.5) AUC 0- [nm h] 422 (24.9) 82 (26.2) 250 (7.9) 480 (6.99) 00 (3.8) t /2 26 (20.7) 39 (9.0) 27 (8.5) 27 (0.9) 6 (7.8) CL b) [ml/min] 4.8 (24.9) 07 (26.2) 4 (7.9) 239 (6.34) 349 (3.8) V z c) [L] 456 (8.7) 300 (8.2) 550 (4.9) 2620 (0.5) 3520 (27.) V ss [L] 380 (5.5) 000 (4.2) 0 (0.2) 540 (3.5) --- CD 790 [nm] 0.27 (46.9).69 (8.0) 4.8 (36.5).9 (28.3) 5.28 (88.0) AUC 0- [nm h] 0.92 (22.0) 5.7 (20.9) 49. (25.8) 03 (22.7) 53.4 (60.5) ---: 該当せず a) 中央値および範囲を示す b) 経口投与の場合は見かけのクリアランス (CL/F)

41 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 35 c) 経口投与の場合は見かけの分布容積 (V z /F) 引用元 :CTD , 試験 28.0,Table.5.2.: -4 より作成静脈内投与および経口投与のいずれにおいても, 薬理活性をもたないリナグリプチンの主な代謝物 CD 790 が検出された 試験した用量範囲において CD 790 の AUC および は用量比を上回る上昇を示した いずれの投与量群とも CD 790 の終末相における半減期はリナグリプチンと比べて短く,4.58~8.0 時間であった 親化合物と代謝物とに認められた薬物動態的な特徴の違いは, 代謝物の DPP-4 に対する結合親和性が低いことに起因すると考えられる [CTD ,U -453] 試験を行った全用量とも CD 790 の尿中排泄率はごくわずかであった ( リナグリプチンの投与量の 0.% 未満 ) リナグリプチンおよび CD 790 の AUC 0- の合計に対する CD 790 の AUC 0- の割合は用量の増加に伴って上昇し,0.5 mg 群での 0.79% から 0 mg 群での 6.49% であった 0 mg のリナグリプチン単回経口投与後のリナグリプチンおよび CD 790 の合計の約 5% が CD 790 であると考えられた 薬力学 : 0.5~0 mg のリナグリプチン静脈内投与後, 用量依存的に血漿中 DPP-4 は阻害された 単回投与 24 時間後の DPP-4 阻害率の中央値は,0.5 mg の静脈内投与を除く全投与群で 80% 以上であった 結論 : 0.5~0 mg の静脈内投与後のリナグリプチンは非線形の薬物動態を示し, 曝露量の増加は用量比以下であった クリアランスは用量の増加に伴って 4.8 ml/min から 239 ml/min へと増加した 定常状態の分布容積は用量の増加に伴って 380 L から 540 L へと増加し, 尿中排泄率は用量の増加に伴って 0.5 mg 静脈内投与群の 2.72% から 0 mg 静脈内投与群の 23.0% へと増加した リナグリプチンの一部 (0% 未満 ) が CD 790 へと速やかに代謝された 親化合物とは対照的に CD 790 の曝露は, 用量比を上回って増加した CD 790 の終末相における半減期は親化合物よりも短く, これは CD 790 が DPP-4 に結合しないことによるものと考えられた モデルを用いて推定した 0 mg 錠剤投与時の絶対バイオアベイラビリティは, 約 30% であった

42 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.7( 4 C ヒト ADME 静脈内および経口投与 - 健康被験者 ) 外国人健康男性被験者における 5 mg [ 4 C] リナグリプチン静脈内投与および 0 mg [ 4 C] リナグリプチン経口投与の代謝および薬物動態を検討するための非盲検, 単回投与, 並行群間比較試験 参照先 : 試験 28.7[CTD ] 目的 : [ 4 C] リナグリプチンの静脈内投与および経口投与後のリナグリプチン, その代謝物である CD 790, および [ 4 C] 放射能のマスバランス, 排泄, 代謝および in vitro 血漿蛋白結合率などの薬物動態を明らかにすること 方法 : 非盲検, 単施設, 並行群間比較デザインにより試験を実施した 2 例の健康男性被験者を登録し,6 例に 0 mg の [ 4 C] リナグリプチンを液剤として経口投与し,6 例には 5 mg の [ 4 C] リナグリプチンを液剤として.5 時間の静脈内投与を行った 両投与群とも予定の投与放射線量は 2 MBq であった 投与後 34 日目まで血漿, 血液, 尿および糞を採取した 血漿および尿中のリナグリプチンおよび代謝物 CD 790 ならびに, 全血, 血漿, 尿および糞中の [ 4 C] 放射能について, ノンコンパートメント解析により薬物動態パラメータを算出した また尿および糞中の総放射能に基づくマスバランス, 経口投与および静脈内投与後の放射能に基づく薬物の吸収率 (Fa), ならびに [ 4 C] 放射能の C bloos cells /C plasma 比を評価した このほか代謝物の構造を解明し, 尿, 糞および血漿中の主な代謝物を同定した 各パラメータについて記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : 経口投与後の [ 4 C] リナグリプチンの吸収は速やかであり, 投与から 0.5~4 時間後に最高血漿中濃度に達した 吸収にはばらつきがあり, 経口投与後最初の 6 時間以内に 2 つのピークがみられた 両投与群とも血漿中の総放射能濃度はリナグリプチン濃度を上回っていたが, 濃度 - 時間推移の時間経過および形は同様であり, 血漿中の放射能のほとんどがリナグリプチンであることが示唆された 血漿中の総放射能濃度に基づく吸収率は 36.7% であった しかしノンコンパートメント解析による計算法が完全に当てはまるのは線形の薬物動態を示す薬剤のみであるので, 各パラメータの値は注意して解釈する必要がある AUC に基づいて算出すると, 吸収されたリナグリプチンの 0% 未満が, 薬理活性をもたない主な代謝物である CD 790[CTD ,U -453] へと代謝されていた 代謝プロファイルを検討するために採取した血漿検体において, リナグリプチンは経口投与後の試料の放射能の 74% を占めており (.5,3 および 6 時間の試料をプール ), 静脈内投与後の試料の放射能の 94% (.5 時間 ) および 84%(3 および 6 時間の試料をプール ) を占めた 主な代謝物である CD 790 は経口投与後の試料の放射能の 7% を占めており (.5,3 および 6 時間目の試料をプール ), 静脈内投与後の試料の放射能の 6%(.5 時間目 ) および %(3 および 6 時間目の試料をプー

43 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 37 ル ) を占めた 他の代謝物を合計すると, それぞれ経口投与後の 8.9% および静脈内投与後の 5.2% であった 総放射能の蛋白結合率の平均値は約 92% であった HPLC-MS/MS によってリナグリプチンおよび CD 790 を定量した結果, 両化合物を合わせて静脈内投与後の総血漿中放射能 (AUC 0-24 ) の約 70% を占めており, 経口投与後の総血漿中放射能 (AUC 0-tz ) の約 67% を占めた 放射能に基づくリナグリプチンの代謝パターンの検討により, CD 790 以外の少量の代謝物およびサンプルから抽出することが出来ない少量の放射能化合物が存在することが明らかとなった 投与した放射能はほぼ完全に回収された ( 両投与法とも約 90%) と考えられた 放射能のほとんどは, 経口投与では投与後 96 時間以内, 静脈内投与では投与後 20 時間以内に排泄された 経口投与後は 96 時間以内に 4 C 放射能の 80% が糞中に排泄され,5% が尿中に排泄された 経口投与および静脈内投与のいずれの投与後も, リナグリプチンの大部分は未変化体として尿中および糞中に排泄された ( 経口投与後約 90%, 静脈内投与後約 76%[CTD ,U -75]) 経口投与後の主な排泄経路は糞中であり, 尿中に排泄されたのは, 総放射能の約 5.4% に過ぎなかった 一方, 静脈内投与後には総放射能の約 3% が尿中に排泄されたが, おそらくこの差は静脈内投与後のバイオアベイラビリティは高い (00%) ため, 血漿中リナグリプチン濃度が高くなり, 非結合型濃度が上昇することによる可能性が高いと思われる 血球中への [ 4 C] 放射能の分布は濃度依存的であり, リナグリプチンの非結合型濃度が上昇すると, 血球への移行も増加した (5 mg の [ 4 C] リナグリプチンの静脈内投与後の最大 C blood cells /C plasma の比の平均値は 0.379[ リナグリプチンの の幾何平均値 :82.7 nm]) 臨床予定用量の経口投与後のリナグリプチン濃度では, 血漿中の非結合濃度は低いことが明らかにされている [CTD 項, 薬物動態試験の概要文 ] このため 0 mg の [ 4 C] リナグリプチンの経口投与後の血球への移行は, 無視できる程度であった (0 mg の [ 4 C] リナグリプチンの経口投与後の最大 C blood cells /C plasma 比の平均値は [ リナグリプチンの の幾何平均値 :6.3 nm]) 結論 : 投与した放射能はほぼ完全に回収された ( 経口投与時, 静脈内投与時とも約 90%) と考えられた 放射能のほとんどは, 経口投与では投与後 96 時間以内, 静脈内投与では投与後 20 時間以内に排泄された 代謝物パターンの検討の結果から, 総血漿中放射能濃度は主に親化合物であるリナグリプチンおよびその薬理活性をもたない主な代謝物である CD 790 によることが明らかになった 少量の CD 790 以外の代謝物およびサンプルから抽出することが出来ない放射能化合物が, 血漿中の総放射能に含まれた 経口投与後のリナグリプチンは速やかに吸収され, 少量 (0% 未満 ) が CD 790 に代謝された 放射能の AUC の比較に基づくと, 投与量の約 36.7% が吸収された 経口投与後の血球への [ 4 C] 放射能の移行は無視できる程度であった リナグリプチンは主に糞中に排泄された 腎臓を介した排泄は総放射能の約 5.4% に過ぎず, 吸収された量のほとんどが腎臓以外の経路から排泄されることが示された

44 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.26( 腎機能障害患者 ) 外国人腎機能正常被験者との比較による, 腎機能障害の程度が異なる患者 ( 外国人 ) における 5 mg のリナグリプチン錠剤の単回投与時および反復投与時の薬物動態, 薬力学, 安全性および忍容性を検討するための単施設, 非盲検, 並行群間比較試験 参照先 : 試験 28.26[CTD ] 目的 : 腎機能障害の程度が, リナグリプチン経口投与時の安全性, 薬物動態および薬力学に与える影響の検討 方法 : 24 例の腎機能障害患者ならびに年齢, 体重, および性別を腎機能障害患者と合わせた 6 例の腎機能正常被験者を対象として, 非盲検, 並行群間比較, 単回または反復投与デザインによる単施設試験を実施した Cockroft-Gault 式で推定したクレアチニンクリアランスによって分類した各腎機能障害群に, それぞれ 6 例の患者を組み入れた ( 軽度腎機能障害 : クレアチニンクリアランス >50~ 80 ml/min; 中等度腎機能障害 : クレアチニンクリアランス >30~ 50 ml/min; 高度腎機能障害 : クレアチニンクリアランス 30 ml/min,end-stage renal disease(esrd) 患者 : 透析患者 ) 健康被験者ならびに軽度および中等度の腎機能障害患者には 5 mg のリナグリプチンを 7 日間反復投与し, 高度腎機能障害患者および ESRD 患者には 5 mg を単回投与した 反復投与群では ~2 日目 ( 日目および 7 日目は頻回採血 ), 高度腎機能障害患者では単回投与後 ~6 日目に, リナグリプチン,CD 790 および DPP-4 活性測定用に採血した 反復投与群では 日目から 9 日目, 単回投与群では投与 24 時間後まで尿検体を採取した 軽度および中等度の腎機能障害患者では および に基づいて健康被験者に対する相対バイオアベイラビリティを求め, 高度腎機能障害患者および ESRD 患者では AUC 0- および に基づいて健康被験者に対する相対バイオアベイラビリティを求めた さらに, 全投与群の単回および反復投与後のデータを用いて, 糖尿病患者の薬物動態データに基づいて作成した母集団薬物動態解析モデルを最適化し, この最適化したモデルを用いて高度腎機能障害患者および ESRD 患者における定常状態の薬物動態の予測を行う計画であった しかしながら得られたデータからは中等度の腎機能障害患者での定常状態の曝露を精度良く予測できなかったため, 高度腎機能障害患者および ESRD 患者における母集団薬物動態解析モデルに基づく定常状態の薬物動態の予測は行わなかった 中等度の腎機能障害患者へのリナグリプチンの反復投与後の曝露の増加は中程度であったため, プロトコールを改訂して 2 例の高度腎機能障害患者における定常状態曝露を検討することとした しかしながら, 患者のリクルートが困難であったため, 実際に臨床試験の対象となったのは, 高度腎機能障害を有する患者 0 例と腎機能正常な患者 ( 対照群 ) 例であった 本試験のプロトコール改訂前部分の結果から, 併用薬および合併症が薬物動態に対して影響を及ぼす可能性が示唆された このため,2 型糖尿病患者のみを対象とした追加投与群 ( 対照群を含む ) を設けた 腎機能正常の 2 型糖尿病患者は, 年齢, 体重および性別を高度腎機能障害患者

45 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 39 と合わせた 両群とも 5 mg のリナグリプチンを 日 回 0 日間投与した ~6 日目にリナグリプチン,CD 790 および DPP-4 活性の測定用に採血した ( 日目および 0 日目は頻回採血 ) 初回投与前に採取したブランク血漿検体を使用して, リナグリプチンおよび CD 790 の in vitro における血漿蛋白結合に対する腎機能障害の影響を明らかにした ( 試験のプロトコール改訂前のみ実施 ) AUC 0-24,,, について ANOVA により評価した 他のすべての薬物動態および薬力学パラメータについて記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 ( 主要評価項目 ): 軽度腎機能障害患者の定常状態の曝露は健康被験者と同程度であった ( の幾何平均値の比 07.9%;90% 信頼区間 90.8~28.3%, の幾何平均値の比 97.7%;90% 信頼区間 70.2~38.9%) 中等度の腎機能障害患者は健康被験者と比較して は 7%, は 46% 高かった ( の幾何平均値の比 70.8%;90% 信頼区間 34.~27.7%, の幾何平均値の比 46.2%;90% 信頼区間 97.6~28.9%) 中等度の腎機能障害患者における および は健康被験者や軽度腎機能障害患者に比べて高い傾向を示していたが, 個々の および の値の分布は健康被験者や軽度腎機能障害患者の個々の値の分布と大部分が重なっていた リナグリプチン単回投与後の高度腎機能障害患者または ESRD 患者における曝露は, 健康被験者と比較して約 4~57% 高かった ( 高度腎機能障害では AUC 0-24 の幾何平均値の比 40.6%;90% 信頼区間 03.9~90.5%, の幾何平均値の比 47.2%;90% 信頼区間 83.2~260.7%,ESRD 患者では AUC 0-24 の幾何平均値の比 53.7%;90% 信頼区間 7.9~200.4%, の幾何平均値の比 50.2%;90% 信頼区間 93.5~24.4%) これらの結果は, 軽度および中等度の腎機能障害患者における単回投与後の曝露の信頼区間の幅と同程度であり, 腎機能障害の程度との相関はみられなかった 高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者の定常状態の曝露は腎機能正常対照 2 型糖尿病患者と比べて約 40% 高かった ( の幾何平均値の比 4.8%;90% 信頼区間 0.4~82.%, の幾何平均値の比 35.6%;90% 信頼区間 96.6~90.%) 腎機能障害の程度と定常状態の曝露との間の相関は明確ではなかった ( 図 2.6: )

46 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 40 Linagliptin AUCτ,ss [nm h] 引用元 :CTD , 試験 28.26,Figure.5.2.2: 4 より作成 図 2.6: 健康被験者, 軽度または中等度の腎機能障害患者, 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者および高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者に対して 5 mg 反復投与後のリナグリプチンの定常状態の AUC とクレアチニンクリアランスとの相関 副次評価項目 : プロトコールの改訂前部分の全腎機能障害患者群で, リナグリプチン 5 mg 単回投与後の曝露は健康被験者群に対して 26~57%(AUC および の幾何平均値の比 ) であった 腎機能障害の程度が高度になるにつれて曝露量が高くなるという傾向はみられなかった 軽度および中等度の腎機能障害患者での反復投与後の終末相における半減期, 累積係数から算出した半減期 (accumulation t /2 ) および累積係数は健康被験者と同程度であったことから, 腎クリアランスの低下によって曝露が上昇した可能性は低いと考えられた 中等度腎機能障害患者および高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者から得られた AUC 0-24 と ( 対数変換値 ) の間の回帰直線を求め, その回帰直線を用いて高度腎機能障害患者および ESRD 患者の AUC 0-24 の値から を予測した その結果,ESRD 患者の の予測値 ( 幾何平均値 :29 nm h) は軽度, 中等度および高度の腎機能障害患者と同程度であることが示唆された 最も曝露が上昇すると予測された ESRD 患者の定常状態の曝露の上昇は 2 倍未満であった ( 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者の.6 倍未満, 健康被験者の.9 倍未満 )(CTD , 試験 28.26,Table.5.2.3: 3) 高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチン 5 mg 単回投与後の および AUC 0-24 は腎機能正常対照 2 型糖尿病患者よりやや高い傾向を示した ( 約.2 倍 ) 累積係数から算出した半減期 (accumulation t /2 ) および累積係数は両群で同程度であったことから, 腎

47 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 4 機能の低下に伴ってリナグリプチンのクリアランスはほとんど影響を受けないことが示唆された 単回投与後および反復投与後のリナグリプチンの腎クリアランスおよび尿中排泄率は腎機能障害の程度によらず全群で低かった ( 投与量の 7% 未満 ) リナグリプチンの腎クリアランスは予想どおりクレアチニンクリアランスと相関した ( 図 2.6: 2) Linagliptin CLR,ss [ml/min] 引用元 :CTD , 試験 28.26,Figure.5.2.2: 3 より作成 図 2.6: 2 健康被験者, 軽度または中等度の腎機能障害患者, 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者および高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者に対して 5 mg 反復投与後のリナグリプチンの定常状態の CL R,ss とクレアチニンクリアランスとの相関 リナグリプチンの主な代謝物である CD 790 の生成に関して, 親化合物に対する代謝物の AUC 比は, 単回投与時, 反復投与時のいずれの場合でも, 腎機能障害患者と健康被験者とで同程度であり, 代謝物の生成率の明らかな減少は認められなかった CD 790 の尿中排泄率はごくわずかであり, 単回投与時, 反復投与時のいずれの場合でも, リナグリプチンの投与量の % 未満であった リナグリプチンの蛋白結合率を健康被験者と ESRD 患者で測定したところ腎機能の程度による影響は認められなかった 検討した全群の定常状態におけるリナグリプチンの主な薬物動態パラメータおよび統計解析結果を表 2.6: および 2 にまとめる

48 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 42 表 2.6: 腎機能障害患者または健康被験者にリナグリプチン 5 mg の反復経口投与後 のリナグリプチンの主な薬物動態パラメータ リナグリプチン 健康被験者 (N=6) 軽度腎機能障害患者 (N=6) 中等度腎機能障害患者 (N=6) 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者 (N=) 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者 (N=0) パラメータ [ 単位 ] gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) gmean (gcv%) [nm h] 54 (2.2) 66 (0.3) 263 (25.6) 85 (22.8) 262 (43.8) [nm] 3.2 (38.9) 2.9 (24.5) 9.3 (4.3) 6.7 (32.) 22.6 (60.8),ss 0.57 ( ) 2.50 ( ).27 ( ).00 ( ).26 ( ) t /2,ss 92 (3.4) 233 (7.6) 90 (32.5) 79 (47.2) 65 (56.6) Accumulation t /2 5.2 (32.0) 0. (42.) 5.9 (88.) 3.6 (38.3) 7.7 (44.3) Vz/F,ss [L] 9000 (4.5) (22.2) 000 (37.7) 4800 (66.9) 9630 (8.9) CL/F,ss [ml/min] 50 (2.2) 060 (0.3) 672 (25.6) 954 (22.8) 673 (43.8) fe 0-24,ss [%] 4.26 (60.8) 3.7 (4.2) 4.03 (47.7) 6.45 (36.4) 2.68 (78.4) R A,Cmax.8 (37.4).40 (28.3).68 (63.8).67 (30.2).85 (3.2) R A,AUC.52 (5.6).27 (4.).66 (3.9).45 (8.3).69 (22.5) a),ss は中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.26,Table.5.2.2: 2 より作成

49 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 43 表 2.6: 2 腎機能障害患者または健康被験者にリナグリプチン 5 mg の単回または反復 経口投与後のリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ AUC 0-24 軽度腎機能障害 a) 患者 (N=6) 幾何平均値の比 [T/R][%] (90% CI)[%] 29.2 ( ) 25.6 ( ) 07.9 ( ) 97.7 ( ) a) 健康被験者 (N=6) との比較 中等度腎機能 a) 障害患者 (N=6) 幾何平均値の比 [T/R][%] (90% CI)[%] 56.4 ( ) 57.2 ( ) 70.8 ( ) 46.2 ( ) b) 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者 (N=) との比較 高度腎機能障害 a) 患者 (N=6) 幾何平均値の比 [T/R][%] (90% CI)[%] 40.6 ( ) 47.2 ( ) 該当なし 該当なし 引用元 :CTD , 試験 28.26,Table.5.2.3: and 2 より作成 ESRD 患者 (N=6) a) 幾何平均値の比 [T/R][%] (90% CI)[%] 53.7 ( ) 50.2 ( ) 該当なし 該当なし 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者 b) (N=0) 幾何平均値の比 [T/R][%] (90% CI)[%] 2.9 ( ) 22.5 ( ) 4.8 ( ) 35.6 ( ) 薬力学 : リナグリプチン投与前の DPP-4 濃度に対する腎機能障害の程度による影響はみられなかった 健康被験者と腎機能障害の程度が異なる患者間で薬物動態と DPP-4 阻害率の相関関係は同様であった 定常状態のトラフ時における DPP-4 阻害率の中央値は, 全被験者群で 80% を上回っており, いずれの群においてもリナグリプチン 5 mg が有効用量であることが示唆された トラフ時の DPP-4 阻害率の中央値および範囲を表 2.6: 3 にまとめる 表 2.6: 3 腎機能障害患者または健康被験者にリナグリプチン 5 mg を反復経口投与後の DPP-4 阻害率 DPP-4 阻害率 健康被験者 (N=6) 軽度腎機能障害患者 (N=6) 中等度腎機能障害患者 (N=6) 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者 (N=) 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者 (N=0) パラメータ [ 単位 ] 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) E 24,ss [%] 84.0 ( ) 87.2 ( ) 9. ( ) 89.4 ( ) 90.6 ( ) 引用元 :CTD , 試験 28.26,Table 5.7..: 2-4,Table : 6-7 より作成 結論 : リナグリプチンの単回経口投与後の腎機能障害患者における曝露 (AUC 0-24 および ) は, 健康被験者よりも.3~.6 倍高かった 単回投与後の腎機能障害患者における曝露は, 腎機能障害の程度によらず同程度であった

50 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 44 軽度腎機能障害患者における定常状態でのリナグリプチンの曝露は, 健康被験者と同程度であった 中等度の腎機能障害患者では, 健康被験者と比較して AUC が約 7% 増加した この曝露の増加は, 累積係数から算出した半減期 (accumulation t /2 ) や終末相における半減期の延長および累積係数の増加を伴うものではなかった 定常状態におけるリナグリプチンの尿中排泄率は腎機能低下の影響を受けず, いずれの群でも投与量の 5% 以下であった 高度腎機能障害 2 型糖尿病患者では, 腎機能正常対照 2 型糖尿病患者に比べて AUC が約 42% 上昇した リナグリプチンの排泄過程に対する影響を反映すると考えられるパラメータである, 累積係数から算出した半減期 (accumulation t /2 ) および累積係数はクレアチニンクリアランスによる影響をあまり受けなかった 腎機能障害および正常 2 型糖尿病患者のいずれにおいても, リナグリプチンの尿中排泄率は投与量の 7% 以下であった 健康被験者と腎機能障害の程度が異なる患者間で薬物動態と DPP-4 阻害率の相関関係は同様であった 定常状態のトラフ時における DPP-4 阻害率は, 全被験者群で 80% を上回っており, いずれの群においてもリナグリプチン 5 mg が有効用量であることが示唆された リナグリプチンの蛋白結合も腎機能低下の影響を受けなかった 以上の結果から, 腎機能の程度によるリナグリプチンの用量調節は必要ないと考えられた

51 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.27( 肝機能障害患者 ) 程度の異なる肝機能障害 (Child Pugh 分類 A~C) を伴った男女外国人と健康被験者との比較により, リナグリプチン 5 mg 日 回単回または反復投与時の薬物動態および薬力学を検討する非盲検, 並行群間比較試験 参照先 : 試験 28.27[CTD ] 目的 : 軽度, 中等度, または高度肝機能障害患者および健康被験者にリナグリプチン 5 mg を単回または反復経口投与したときの薬物動態および薬力学の検討 方法 : 25 例の肝機能障害患者および年齢, 体重, および性別を肝機能障害患者と合わせた肝機能が正常な 8 例の被験者を対象とした, 単回または反復投与, 非盲検, 並行群間比較デザインによる, 単施設試験を実施した 各肝機能障害患者群には,Child Pugh 分類に従って 8 例 ( 中等度の肝機能障害患者群は 9 例 ) の患者 ( 男性および女性が各 3 例以上 ) を組入れた ( 軽度障害 :Child Pugh スコア 6; 中等度障害 :Child Pugh スコア 7~9; 高度障害 :Child Pugh スコア 0~5) 健康被験者ならびに軽度および中等度肝機能障害患者にはリナグリプチン 5 mg を 日 回 7 日間投与し, 高度肝機能障害患者群には 5 mg を単回投与した 反復投与群では ~2 日目 ( 日目および 7 日目は頻回採血 ), 高度肝機能障害患者では単回投与後 ~6 日目に, リナグリプチン,CD 790 および DPP-4 活性測定用に採血した 同様に反復投与群では ~9 日目, 高度肝機能障害患者では ~3 日目に尿を採取した 基本的に軽度および中等度肝機能障害患者では および に基づいて対照群に対する相対バイオアベイラビリティを求め, 高度肝機能障害患者では AUC 0-24 および に基づいて相対バイオアベイラビリティを求めた さらに DPP-4 に対するリナグリプチンの濃度依存的な結合を考慮して以前に作成した母集団薬物動態解析モデルを, 全群の単回投与および反復投与データに対して最適化した後, そのモデルを用いて高度肝機能障害患者における定常状態の薬物動態の予測を行った 初回投与前に採取したブランク血漿を用いて,in vitro でのリナグリプチンおよび CD 790 の血漿蛋白結合に対する肝機能障害の影響を検討した AUC 0-24,, および を ANOVA により評価した 薬物動態および薬力学パラメータについて記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチン 5 mg の単回投与後のリナグリプチンの曝露は全肝機能障害患者群とも同程度であり, 肝機能の低下に伴って曝露が増加する傾向はみられなかった 程度の異なる肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は, 健康被験者よりも低い (AUC 0-24 は最大 22%, は最大 3%) 傾向がみられた 反復投与後の薬物動態特性は, 健康被験者と軽度または中等度肝機能障害患者との間で同様であった 特にリナグリプチンの排泄過程に対する影響を反映すると考えられるパラメータである, 累積係数から算出した半減期 (accumulation t /2 ) および累積係数は, 各群とも同程度であった

52 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 46 軽度肝機能障害患者におけるリナグリプチンの定常状態における曝露 ( ) は健康被験者より約 25% 低く ( 幾何平均値の比 75.5%,90% 信頼区間 :6.6~92.5%), は約 36% 低かった ( 幾何平均値の比 64.4%,90% 信頼区間 :43.2~96.0%) 中等度肝機能障害患者におけるリナグリプチンの は健康被験者より約 5% 低く ( 幾何平均値の比 85.5%,90% 信頼区間 :70.2 ~04.2%), は約 8% 低かった ( 幾何平均値の比 92.3%,90% 信頼区間 :62.8~35.6%) 高度肝機能障害患者におけるリナグリプチンの AUC 0-24 は健康被験者と同程度であり ( 幾何平均値の比 00.4%,90% 信頼区間 :75.0~34.3%), の値は約 23% 低かった ( 幾何平均値の比 77.0%,90% 信頼区間 :44.9~32.3%) その他の定常状態における薬物動態パラメータは全群を通して大きな違いはみられなかった 高度肝機能障害患者の定常状態プロファイルの母集団薬物動態解析モデルに基づく予測からは, 健康被験者ならびに軽度および中等度肝機能障害患者と比較して, 反復投与による曝露の増加はみられなかった 高度肝機能障害患者での定常状態における曝露の予測値は, 軽度および中等度肝機能障害患者での曝露の実測値と同程度であった 主な薬物動態パラメータを表 2.7: に示す 表 2.7: 肝機能障害患者または健康被験者にリナグリプチン 5 mg の単回または反復経口投与後のリナグリプチンの主な薬物動態パラメータ リナグリプチン 軽度肝機能中等度肝機能高度肝機能健康被験者 b) 障害患者障害患者障害患者 (N=8) (N=8) (N=9) (N=8) パラメータ [ 単位 ] gmean gcv% gmean gcv% gmean gcv% gmean gcv% [nm h] (233) (33) [nm] (9) (67) t a) max,ss t /2,ss Accumulation t / c) NC V z /F,ss [L] CL/F,ss [ml/min] fe 0-24,ss [%] c) c) 275 R A,Cmax c) NC R A,AUC c) NC NC=Not calculated a),ss は中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す b) 高度肝機能障害患者群については単回投与のパラメータを示す 括弧内にモデルに基づく定常状態のパラメータの予測値を示す c)n=7 引用元 :CTD , 試験 28.27,Table : 2,.5.2.4: 3,5.6.2.: 4 より作成

53 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 47 肝機能障害の程度が高くなっても代謝物である CD 790 の生成の低下はわずかであり, リナグリプチンの消失過程における代謝の役割は重要ではないことが示唆された 軽度および中等度肝機能障害患者ならびに健康被験者の定常状態のトラフ時における血漿中 DPP-4 阻害率の中央値は 80% を上回っていた ( それぞれ 90.4%,88.7%, および 90.6%) 高度肝機能障害患者については, 初回投与 24 時間後の DPP-4 阻害率は 80% を上回っていた (84.%) トラフ時 DPP-4 阻害率の中央値を表 2.7: 2 にまとめる 表 2.7: 2 肝機能障害患者または健康被験者にリナグリプチン 5 mg 単回または反復経口投与後の DPP-4 阻害率 DPP-4 阻害率 健康対照被験者 (N=8) 軽度肝機能障害患者 (N=8) 中等度肝機能障害患者 (N=9) 高度肝機能 b) 障害患者 (N=8) パラメータ [ 単位 ] 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) 中央値 ( 範囲 ) E 24,ss a) [%] 90.6 ( ) 90.4 ( ) 88.7 ( ) 84. ( ) a) 高度肝機能障害患者については E 24 を示す 引用元 :CTD , 試験 28.27,Table 5.7..: 9-2 より作成 肝機能の低下によるリナグリプチンの血漿蛋白結合率の変化はみられなかった [CTD , U ] 結論 : 単回投与後の肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は健康被験者よりやや低かったが (AUC 0-24 は最大 22%, は最大 3%), 肝機能の低下に伴う曝露の増加はみられなかった 軽度および中等度肝機能障害患者では定常状態における曝露 ( および ) は健康被験者よりやや低かった ( :5~25%; :8~36%) 高度肝機能障害患者では,AUC 0-24 は健康被験者と同程度であり, は約 23% 低かった 母集団薬物動態解析モデルに基づく高度肝機能障害患者の定常状態の薬物動態パラメータの予測値からは, 反復投与時の曝露の増加は示唆されなかった すべての程度の肝機能障害患者内で認められたリナグリプチンの曝露の低下 ( 最大 36%) は, 全投与群で同程度の DPP-4 阻害率が認められたことから, 臨床的に問題となるものではないものと考えられた 肝機能の低下によるリナグリプチンの血漿蛋白結合率の変化はみられなかった

54 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.( 単回および 2 日間反復 - 日本人健康被験者 ) 日本人健康男性におけるリナグリプチンの用量漸増単回経口投与 (~0 mg) および用量漸増反復経口投与 (2.5~0 mg 日 回 2 日間 ) の安全性, 忍容性, 薬物動態, および薬力学を検討するためのランダム化, 二重盲検, 用量群内プラセボ対照臨床試験 参照元 : 試験 28.[CTD ] 目的 : 健康男性にリナグリプチンを群漸増法により単回投与 (,2.5,5,0 mg) または反復投与 (2.5, 5,0 mg, 日 回,2 日間 ) したときの安全性, 忍容性, 薬物動態および薬力学の検討 方法 : 56 例の日本人健康男性 ( 用量レベルあたり 8 例 ) を対象として, 用量漸増単回投与または用量漸増反復投与によるランダム化割付け, 二重盲検, 用量群内プラセボ対照デザインによる単施設試験を実施した 単回投与パートにおいて 32 例の被験者を各群ごとに 8 例ランダム化割付けし, 少なくとも 6 日間の間隔を置いた後に, 用量レベルを漸増させて治験薬の単回投与を行った 各用量レベル ( mg,2.5 mg,5 mg,0 mg) で 2 例の被験者にプラセボを投与した 0 mg までの用量漸増単回投与の安全性が確認された後に, 用量漸増反復投与 ( 反復投与パート ) を開始した 反復投与パートでは 24 例の被験者を各群ごとに 8 例ランダム化割付けし, 少なくとも 2 日間の間隔を置いた後, 用量レベルを漸増させて治験薬の反復投与を行った 各用量レベル (2.5 mg,5 mg,0 mg) で 2 例の被験者にプラセボを投与した 単回投与パートでは投与後 92 時間まで, 反復投与パートでは投与 ~2 日目 ( 日目および 2 日目は頻回採血 ) および最終投与後 92 時間まで, リナグリプチン,CD 790 および DPP-4 活性の測定用に採血した 単回投与パートの投与後 92 時間までの期間, ならびに反復投与パートのリナグリプチン投与期間および最終投与後 92 時間まで, リナグリプチン,CD 790 の測定用に尿を採取した 回帰モデルを用いてリナグリプチンの薬物動態パラメータの用量比例性を検討し, 傾き (β) の点推定値および 95% 信頼区間を算出した リナグリプチンのトラフ濃度について, 時点を反復効果とした線形混合モデルを用いて定常状態に達するまでの時間を推定した 各時点の差を線形混合モデルにより算出される t 統計量を用いて比較した 薬物動態および薬力学パラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチンの単回投与および反復投与後のリナグリプチンの血漿中濃度推移を図 2.8: および図 2.8: 2 に示す

55 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 49 Linagliptin plasma conc. [nm] Linagliptin plasma conc. [nm] Time mg Mean (N=6) 5mg Mean (N=6) 2.5mg Mean (N=6) 0mg Mean (N=6) 引用元 :CTD , 試験 28.,Table 5.5..: 0-3 より作成 図 2.8: リナグリプチン ~0 mg 単回投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度推移 ( 算術平均 +/-SD) Day Day 2 to Day 2 Linagliptin plasma conc. [nm] Time [hours] 2.5mg (N=6) 5mg (N=6) 0mg (N=6) 引用元 :CTD , 試験 28.,Table 5.5..: 5-7 より作成 図 2.8: 2 リナグリプチン 2.5~0 mg 反復投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度 推移 ( 算術平均 +/-SD)

56 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 50 リナグリプチンの単回投与および反復投与後のリナグリプチンの薬物動態パラメータを表 2.8: および表 2.8: 2 に示す 表 2.8: リナグリプチン ~0 mg 単回投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータ mg 2.5 mg 5 mg 0 mg 単回投与 N=6 N=6 N=6 N=6 gmean(gcv [%]) gmean(gcv [%]) gmean(gcv [%]) gmean(gcv [%]) AUC 0-24 [nm h] 62.0 (28.0) 08 (20.7) 59 (34.0) 294 (26.3) AUC 0-tz [nm h] 96 (28.8) 404 (5.7) 582 (32.8) 847 (2.5) AUC 0-tz,norm [(nm h)/mg] 96 (28.8) 62 (5.7) 6 (32.8) 84.7 (2.5) AUC 0- [nm h] 253 (26.4) 57 (7.7) 765 (34.2) 20 (23.5) AUC 0-,norm [(nm h)/mg] 253 (26.4) 207 (7.7) 53 (34.2) 2 (23.5) [nm] 4.27 (32.) 5.92 (8.3) 9.00 (40.6) 23. (32.),norm [(nm)/mg] 4.27 (32.) 2.37 (8.3).80 (40.6) 2.3 (32.) a).77 ( ) 2.00 ( ) 6.00 ( ).50 ( ) t /2 04 (4.0) 96.9 (3.3) 05 (8.26) 3 (8.4) MRT po 25 (3.2) 24 (2.2) 32 (8.) 33 (6.6) CL/F [ml/min] 40 (26.4) 7 (7.7) 23 (34.2) 34 (23.5) V z /F [L] 260 (36.0) 430 (4.4) 2090 (34.3) 3060 (22.) fe 0-tz [%] b) (24) (54).5 c) (459) 7.06 (37.0) CL R,0-24 [ml/min] NC.55 c) (30.0) 3.86 (288) 60.6 (24.5) NC: Not calculated a) 中央値 ( 範囲 ),b)n=4,c)n=5 引用元 :CTD , 試験 28., Table.5.2.: より作成

57 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 5 表 2.8: 2 リナグリプチン 2.5~0 mg 反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメ ータ 2.5 mg 5 mg 0 mg 反復投与 N=6 N=6 N=6 gmean(gcv [%]) gmean(gcv [%]) gmean(gcv [%]) AUC τ, [nm h] 0 (5.6) 5 (26.6) 249 (26.9) AUC τ,,norm [(nm h)/mg] 40.6 (5.6) 30. (26.6) 24.9 (26.9), [nm] 5.54 (3.9) 8.7 (35.3) 8.9 (64.2) Day,,norm [(nm)/mg] 2.22 (3.9).74 (35.3).89 (64.2), a) 3.75 ( ) 5.00 ( ) 4.50 ( ) fe 0-24, [%] 0.48 (5.6) (274) 3.47 (93.5) CL R,0-24, [ml/min].28 (48.0) 7.09 (86) 49. (59.8) [nm h] 33 (3.9) 93 (6.2) 285 (0.6),norm [(nm h)/mg] 53. (3.9) 38.6 (6.2) 28.5 (0.6) [nm] 7.79 (24.3) 2.0 (29.) 2.8 (7.7),norm [(nm)/mg] 3. (24.3) 2.40 (29.) 2.8 (7.7),ss a) 3.75 ( ) 2.25 ( ) 4.00 ( ) Day 2 t /2,ss 42 (7.62) 43 (6.5) 75 (2.5) MRT po,ss 30 (4.94) 7 (24.2) 95.5 (.6) CL/F,ss [ml/min] 664 (3.9) 93 (6.2) 240 (0.6) V z /F,ss [L] 880 (6.3) 300 (2.) 8700 (6.4) fe 0-24,ss [%] 4.20 (46.7) 4.88 (60.2) 6.88 (8.8) CL R,ss [ml/min] 27.9 (40.3) 44.6 (42.6) 85.0 (6.9) R A,AUC.3 (6.6).28 (4.).4 (20.6) R A,Cmax.4 (3.).37 (25.7).6 (48.4) a) 中央値 ( 範囲 ) 引用元 :CTD , 試験 28., Table.5.2.2: より作成 リナグリプチン投与.5 時間 ~6 時間後に最高血漿中濃度に到達した ( および,ss の中央値 ) 反復投与後 2.5 mg および 5 mg では 3 日目,0 mg では 2 日目に定常状態に達した 5 mg のリナグリプチンの単回投与後の AUC 0-24 の幾何平均値は 59 nm h であり, の幾何平均値は 8.99 nm であった 5 mg のリナグリプチンの反復投与後の の幾何平均値は 93 nm h であり, の幾何平均値は 2.0 nm であった リナグリプチンは検討した用量範囲内において,AUC および の増加は用量比以下であった 2.5 mg から 0 mg へのリナグリプチンの見かけのクリアランス (CL/F および CL/F,ss ) および見かけの分布容積 (V z/ F および V z /F,ss ) の増加は約 2 倍であった リナグリプチンの終末相における半減期 (t /2 および t /2,ss ) は全用量において同程度であり, ~0 mg の単回投与後は 04~3 時間,2.5~0 mg の反復投与後は 42~75 時間の範囲であ

58 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 52 った リナグリプチンの累積係数はいずれの用量も.5 を下回っており (AUC および に基づいて算出した R A ), 用量の増加に伴って低下することから, 終末相における長い半減期はリナグリプチンの薬物動態的な特徴を表す半減期ではないと考えられる リナグリプチンの単回投与後および反復投与後のリナグリプチンの尿中排泄率 (%) は用量の増加に伴って増加し, 初回投与時に比べて定常状態で増加した リナグリプチンの尿中排泄率は低く,5 mg 投与後, 日目は 2% 未満であり, 定常状態では 5% 未満であった リナグリプチンの薬物動態パラメータの個体間変動は, 低 ~ 中程度であった ( 幾何変動係数はほぼ 40% 未満 ) 5 mg 投与後, リナグリプチンの薬理活性をもたない主な代謝物である CD 790 は, 単回および反復投与後に 2.5~3 時間 ( および,ss の中央値 ) で最高血漿中濃度に到達した 終末相における半減期はリナグリプチンより短かった 5 mg のリナグリプチンを単回投与および反復投与した場合, リナグリプチンと CD 790 の曝露の合計に対する CD 790 の曝露の割合は 9.62% および.% であった 薬力学 : リナグリプチンの単回および反復投与後に, 血漿中 DPP-4 活性は用量依存的に阻害された ( 図 2.8: 3 および図 2.8: 4)

59 Linagliptin 臨床薬理試験 Page DPP-4 inhibition [%] Time [hours] DPP-4 inhibition [%] Time [hours] mg (N=6) 2.5mg (N=6) 5mg (N=6) 0mg (N=6) placebo (N=8) 上図 : 投与後 0~24 時間, 下図 : 投与後 0~92 時間引用元 :CTD , 試験 28., Table 5.6.: 0-4 より作成 図 2.8: 3 リナグリプチン ~0 mg またはプラセボ単回投与時の DPP-4 阻害率の経時変化

60 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 54 DPP-4 inhibition [%] Day DPP-4 inhibition [%] Day DPP-4 inhibition [%] Time [hours] 2.5mg (N=6) 5mg (N=6) 0mg (N=6) Placebo (N=6) 上図 :Day, 中図 :Day 2, 下図 Day ~Day 20 引用元 :CTD , 試験 28., Table 5.6.: 5-8 より作成 図 2.8: 4 リナグリプチン 2.5 mg~0 mg またはプラセボ反復投与時の DPP-4 阻害率 の経時変化

61 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 55 5 mg および 0 mg のリナグリプチン反復投与後の DPP-4 阻害率のトラフ時の中央値は 80% を 上回っていた トラフ時の DPP-4 阻害率の中央値を表 2.8: 3 にまとめる 表 2.8: 3 2.5~0 mg のリナグリプチンの反復経口投与後の DPP-4 阻害率 2.5 mg 5 mg 0 mg DPP-4 阻害率 (N=6) (N=6) (N=6) 中央値 中央値 中央値 ( 範囲 ) ( 範囲 ) ( 範囲 ) E 24,ss [%] 78.0 ( ) 86.0 ( ) 90.0 ( ) 引用元 :CTD , 試験 28., Table 5.6.: 6-8 より作成 リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率との相関は良好であった ( 図 2.8: 5) 視覚的に判断した結果, 約 3 nm の濃度によって DPP-4 活性は 50% 阻害され,4~6 nm の濃度で DPP-4 活性は 80% 阻害されると予想される DPP-4 inhibition [%] Linagliptin plasma conc. [nm] 引用元 :CTD , 試験 28.,Tables 5.5..: 0-3 and Tables 5.6.: 0-3 より作成 図 2.8: 5 リナグリプチン単回投与後のリナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率 の関係 結論 : 非線形の薬物動態, 終末相における半減期は長いが薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと, およびリナグリプチンの用量の増加に伴い増えるものの尿中排泄率は低いことというリナ

62 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 56 グリプチンの薬物動態的な特性は, 白人を対象とした試験から得られた結果と一致していた 5 mg のリナグリプチン反復投与後に, リナグリプチンと CD 790 の曝露の合計に対する CD 790 の曝露の割合は.% であった リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率には, 良好な相関が認められた 5 mg および 0 mg のリナグリプチンの反復投与後のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は 80% 以上であった

63 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.2(4 週間反復 - 日本人 2 型糖尿病患者 ) 日本人 2 型糖尿病患者における安全性, 忍容性, 薬物動態, および薬力学を検討するためのリナグリプチン 0.5 mg,2.5 mg および 0 mg, 日 回 28 日間経口投与のランダム化, 二重盲検, プラセボ対照, 反復投与試験 参照先 : 試験 28.2[CTD ] 目的 : 日本人 2 型糖尿病患者において 日 回 28 日間経口投与したリナグリプチン (0.5 mg,2.5 mg, および 0 mg) の安全性, 忍容性, 薬物動態, および薬力学を検討すること 方法 : 29 歳 ~69 歳の男性 55 例および女性 7 例の合計 72 例の日本人 2 型糖尿病患者を対象として, ランダム化, 二重盲検, プラセボ対照, 反復投与, 並行群間比較デザインによる多施設共同試験を実施した 食事療法と運動療法および ( または ) 種類の経口血糖降下薬による治療を受けている患者であり, スクリーニング時の HbAc が 8.5% 以下である場合に試験に組入れた 2 種類の経口血糖降下薬による治療を受けている患者は, スクリーニング時の HbAc が 8.0% 以下である場合に試験に組入れた 糖尿病治療薬の投与を受けている患者は, リナグリプチン初回投与の 4 日前にこれらの薬剤を中止することとした 患者を 4 群にランダム化割付けし (0.5 mg に 9 例,2.5 mg に 8 例,0 mg に 8 例, プラセボに 7 例 ), 治験薬を 日 回 28 日間投与した 日目から 43 日目までリナグリプチン,DPP-4 活性および血漿中グルコース値の測定用に採血した ( 投与 日目および 28 日目は頻回採血 ) 投与 日前, 投与 日目および 29 日目に食事負荷試験 (MTT) を実施した 探索的なバイオマーカーとして,GLP-, グルカゴン, HbAc などを測定した 回帰モデルを用いてリナグリプチンの薬物動態パラメータの用量比例性を検討し, 傾き (β) の点推定値および 95% 信頼区間を算出した ANOVA を用いて, 食事負荷試験 (MTT) の 0~3 時間後の血漿中グルコース値曲線下面積 (AUEC 0-3 ) および HbAc のベースラインからの変化を探索的に比較した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチンの単回および反復投与後の平均リナグリプチン血漿中濃度推移を図 2.9: に示す リナグリプチン投与から.25 時間後と.5 時間後の間に最高血漿中濃度に到達した (,,ss の中央値 ) 視覚的に判断した結果, 全用量とも投与 28 日目には定常状態に到達していると考えられた [CTD , 試験 28.2, Figure : -3]

64 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 58 Linagliptin plasma conc. [nm] Linagliptin plasma conc. [nm] Day Day Linagliptin plasma conc. [nm] Time 0.5mg (N=9) 2.5mg (N=8) 0mg (N=8) 上図 : Day, 普通軸 ; 中央図 : Day 28, 普通軸 ; 下図 : Day to Day 43, 片対数軸 引用元 :CTD , 試験 28.2, Figure.5.2: より作成 図 2.9: リナグリプチン 0.5~0 mg 反復投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度 推移 リナグリプチンの単回および反復投与後の薬物動態パラメータの要約を表 2.9: に示す

65 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 59 表 2.9: リナグリプチン 0.5~0 mg 反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメ ータ 反復投与 0.5 mg 2.5 mg 0 mg gmean (gcv[%]) gmean (gcv[%]) gmean (gcv[%]) Day N AUC τ, [nm h] 29.9 (45.7) 29 (23.7) 323 (32.6) AUC τ,,norm [(nm h)/mg] 59.7 (45.7) 5.8 (23.7) 32.3 (32.6), [nm] 2.8 (55.4) 8.84 (35.) 35. (80.),,norm [(nm)/mg] 5.62 (55.4) 3.54 (35.) 3.5 (80.), a) ( ) ( ) ( ) fe 0-24, [%] NC (45) 4.08 (94.7) CL R,0-24, [ml/min] NC.54 (20) 44.6 (59.2) Day 28 N [nm h] 89.4 (27.2) 64 (23.4) 373 (33.5),norm,norm [(nm h)/mg] [nm] [(nm)/mg] 79 (27.2) 65.6 (23.4) 37.3 (33.5) 5.02 (33.9).0 (40.9) 44.0 (80.4) 0.0 (33.9) 4.40 (40.9) 4.40 (80.4),ss a) ( ) ( ) ( ) t /2,ss 240 (33.) 223 (23.0) b) 260 (32.3) MRT po,ss 24 (6.9) 78 (7.5) b) 9 (39.6) CL/F,ss [ml/min] 97 (27.2) 537 (23.4) 945 (33.5) Vz/F,ss [L] 4090 (45.0) 0400 (3.2) b) 2200 (55.5) fe 0-24,ss [%] 2.26 (93.) b) 4.25 (72.4) b) 6.79 (5.6) c) CL R,ss [ml/min] 4.50 (76.6) b) 22.8 (54.7) b) 65.0 (30.0) c) R A,AUC 2.88 (28.3).27 (2.4).6 (27.8) R A,Cmax.7 (35.8).23 (40.4).25 (78.0) NC=Not calculated a): 中央値 ( 範囲 ),b): N=6,c): N=7 引用元 :CTD , 試験 28.2, Table.5.2: より作成 0.5 mg から 0 mg の用量範囲において, リナグリプチンの AUC および の増加は用量比以下であった リナグリプチン 0.5 mg から 0 mg にかけての見かけのクリアランス (CL/F,ss ) および見かけの分布容積 (V z /F,ss ) の増加は 5 倍に過ぎなかった リナグリプチンの定常状態での終末相における半減期 (t /2,ss ) は 223~260 時間であった この長い半減期は薬物動態的な特徴を表す半減期ではなく, リナグリプチンの累積係数 (AUC およ

66 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 60 び に基づいて算出した R A ) は 2.5 mg および 0 mg で.6~.25,0.5 mg で.7~2.88 の範囲であった 累積係数は, 用量を増すにつれ低下する傾向を示した リナグリプチンの尿中排泄率 (%) は用量の増加に伴って増加し, 全用量群とも 日目よりも 28 日目の方が高かった ただし, 定常状態におけるリナグリプチンの尿中排泄率 (fe 0-24,ss ) は, 最高用量群である 0 mg においても 7% 未満であった リナグリプチンの薬理学活性をもたない主な代謝物である CD 790 は, リナグリプチン投与の約.50 時間後 ( および,ss の中央値 ) に最高濃度に到達した 定常状態において CD 790 の曝露 ( ) のリナグリプチンの曝露に対する割合は 2.5 mg 群で約 8%,0 mg 群では約 9% であった 薬力学 : リナグリプチンは用量依存的に DPP-4 活性を阻害した ( 図 2.9: 2) 最終投与の 24 時間後の DPP-4 阻害率 (E τ,ss ) の中央値は, それぞれ 0.5 mg,2.5 mg, および 0 mg 群について 47.0%,80.0%, および 90.0% であった リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率は良く相関した 視覚的に判断した結果, 約 3 nm の濃度によって DPP-4 活性は 50% 阻害され,6 nm の濃度で DPP-4 活性は 80% 阻害されると予想される [CTD , 試験 28.2, Figure.5.4: ] 00 DPP-4 inhibition [%] Time 0.5mg (N=9) 2.5mg (N=8) 0mg (N=8) Placebo (N=7) 左図 :Day, 右図 :Day 28 引用元 :CTD , 試験 28.2, Table 5.7.: 9-2 より作成 図 2.9: 2 リナグリプチン 0.5~0 mg またはプラセボ反復投与時の DPP-4 阻害率の経 時変化 リナグリプチンは 日目および 29 日目 ( リナグリプチン最終投与の 24 時間後 ) の食後血漿中 GLP- 濃度を用量依存的に上昇させた 日目および 29 日目の食後血漿中 GLP- 濃度のベースラインからの変化を表 2.9: 2 にまとめる

67 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 6 表 2.9: 2 プラセボまたはリナグリプチン 0.5~0 mg 反復経口投与後の食後の GLP- 濃度 GLP- のベースライ ンからの変化 (pmol/l) プラセボ 0.5 mg 2.5 mg 0 mg (N=7) (N=9) (N=8) (N=8) 平均値 (SD) 平均値 (SD) 平均値 (SD) 平均値 (SD) Day 2.5 ( 2.4) 3.5 ( 3.2) 5.8 ( 2.6) 6.8 ( 2.7) Day (.7) a 5. ( 4.3) b 7.0 ( 4.) b 0. ( 7.2) BLQ の値は /2 LLOQ に置き換えた a N=6 b N=7 引用元 :CTD , 試験 28.2, Table.5.3: 5 より作成 リナグリプチンのすべての用量群で, プラセボ群に対して統計学的に有意な空腹時血漿中グルコース濃度の低下がみられた この作用は投与期間が長くなるにつれて上昇し, 用量依存的であった Day 29 のベースラインからの変化量の平均値 (SD)[mg/dL] は, ブラセボ群で 3.2(22.5), 0.5 mg 群で.5(8.3),2.5 mg 群で 3.6(5.2),0 mg 群で 25.0(2.3) であった 最も高い作用が認められたのは 0 mg 群であった 日間変動が大きく,0.5 mg と 2.5 mg 群でのリナグリプチンの影響の明確な違いはみられなかった MTT 後の血漿中グルコースの AUEC 0-3 にも同様の影響が認められ,AUEC 0-3 は用量依存的な低下を示し (0 mg 群 Day 29: 83.3 mg h/dl),0 mg 群では統計学的に有意な影響が認められた リナグリプチンの投与期間は 4 週間と短期間であったが, リナグリプチンは全用量群において HbAc の低下がみられた MTT 後の血漿中グルコースの変化と同様に,HbAc に対する最も高いリナグリプチンの影響は 0 mg 群で認められた ( プラセボ群との比較で 0.48% 低下 ) 0.5 mg および 0 mg での HbAc の低下は統計学的に有意であった (p<0.05) が,2.5 mg 群では有意性の水準である 0.05 にわずかに満たなかった (p=0.0759) 結論 : 非線形の薬物動態, 終末相における半減期は長いものの薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと, および尿中排泄率が低いことなどのリナグリプチンの薬物動態的な特性は, 日本人健康被験者および白人におけるこれまでの試験成績と一致していた リナグリプチンの血漿中濃度と血漿中 DPP-4 活性の阻害との間に良好な相関が認められた すべてのリナグリプチン用量群において, リナグリプチンの DPP-4 阻害による GLP- 濃度の上昇ならびに血漿中グルコース濃度および HbAc の低下が生じた 薬力学パラメータに対するリナグリプチンの影響は用量依存的であり,0 mg で最大であった 2.5 mg 投与時のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は 80.0% であり, 空腹時血漿中グルコース濃度,GLP- および HbAc の低下はみられたものの統計学的に有意ではなかった 一方,0 mg 投与時のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は 90.0% であり, 空腹時血漿中グルコース濃度, GLP- および HbAc で統計学的に有意な低下がみられた

68 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.23( 第 III 相試験 - 日本人 2 型糖尿病患者 ) 日本人 2 型糖尿病患者にリナグリプチン (5 mg または 0 mg) を 日 回 2 週間および 26 週間投与した時の有効性, 安全性, 忍容性をそれぞれプラセボおよびボグリボースと比較検討し, さらに投与を 52 週まで継続し, 長期安全性を検討するためのランダム化, 二重盲検, プラセボおよびボグリボース対照, 並行群間比較試験 参照先 : 試験 28.23[CTD ] 目的 : 2 型糖尿病患者にリナグリプチン (5 mg または 0 mg) を 日 回 2 週間および 26 週間投与した時の有効性, 安全性, 忍容性をそれぞれプラセボおよびボグリボースと比較検討し, さらに投与を 52 週まで継続し, 長期安全性を検討すること 方法 : 男性 395 例, 女性 66 例の合計 56 例の日本人 2 型糖尿病患者を対象として, ランダム化, 二重盲検, プラセボおよびボグリボース対照, 並行群間比較デザインによる多施設共同試験を実施した ウォッシュアウト期, 導入期, 二重盲検治療期 ( 前期 2 週間, 後期 4 週間 ) および継続治療期 (26 週間 ) に分けて, プラセボ, リナグリプチン 5 mg,0 mg( 朝食直前, 日 回 ) およびボグリボース 0.6 mg(0.2 mg 日 3 回毎食直前 ) を投与した 試験のデザインについては図 2.0: 参照 Placebo (N=63) Observation phase (4 weeks including 2-week wash-out) Run-in Placebo Double-blind treatment phase st stage (2 weeks) 2nd stage (4 weeks) Linagliptin 5 mg Linagliptin 0 mg Extension treatment phase (26 weeks) Linagliptin 5 mg (N=26) Placebo Linagliptin 5 mg Linagliptin 0 mg (N=26) Placebo Linagliptin 0 mg Linagliptin 5 mg Voglibose (N=26) Placebo Voglibose Linagliptin 0 mg 図 2.0: 試験 のデザイン リナグリプチンの血漿中濃度測定用に, 二重盲検治療期に患者あたり 5 点の採血を行った DPP-4 活性測定用に, 二重盲検治療期および継続治療期に患者あたり 8 点の採血を行った 血漿中濃度以外のバイオマーカー (HbAc 含む ) に関する記載は CTD にある

69 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 63 結果 : リナグリプチン反復経口投与後の平均トラフ血漿中濃度の推移を図 2.0: 2 に示す リナグリプチンのトラフ血漿中濃度は 26 週間投与を通してほぼ一定であった また, リナグリプチン 5 mg と 0 mg でトラフ血漿中濃度の増加は用量比以下であり, 用量比が 2 倍であるのに対しトラフ血漿中濃度の増加は.2~.3 倍であった Linagliptin Linagliprin trough trough plasma plasma conc. conc. [nmol/l] [nm] Time after the first administration of linagliptin [weeks] 5 mg (N=58/34/53/33/55/47) 0 mg (N=56/37/55/38/49/49) 引用元 :CTD , 試験 28.23,Figure.5.2: より作成 図 2.0: 2 リナグリプチン反復経口投与後のトラフ血漿中濃度の算術平均 (±SD) の推 移 リナグリプチンのトラフ血漿中濃度の影響因子別の記述統計量を表 2.0: に示す リナグリプチンのトラフ濃度は, 軽度腎機能障害患者で 5~%, 中等度腎機能障害患者で 9~2%( リナグリプチン 5 mg 投与での eccr を除く ) 増加した P- 糖蛋白阻害薬または CYP3A4 阻害薬との併用データは少数 (N<0) であり, 併用によってリナグリプチンのトラフ濃度が高くなるという明らかな傾向はみられなかった 性別による差はわずかで, トラフ濃度は女性の方が男性よりも約 9~6% 高かった

70 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 64 表 2.0: リナグリプチンのトラフ血漿中濃度の影響因子別の記述統計量 影響因子 [unit] Linagliptin 5 mg Linagliptin 0 mg N gmean gcv(%) N gmean gcv(%) egfr (MDRD) 90 (normal) (30.9) (3.3) [ml/min] 60 to <90 (mild) (28.2) 8.94 (24.9) 30 to <60 (moderate) (2.8) 8 0. (4.9) eccr 80 (normal) (3.3) (32.2) [ml/min] 50 to <80 (mild) (25.3) (25.0) 30 to <50 (moderate) (29.8) (4.8) P-gp inhibitors Without use (26.7) (33.5) (Week 26) Intermittent use (24.5) (23.6) Throughout use (7.48) (6.5) CYP3A4 inhibitors Without use (26.8) (33.6) (Week 26) Intermittent use (24.5) (22.2) Throughout use (.3) (6.5) P-gp inhibitors or CYP3A4 inhibitors Without use (26.8) (33.6) (Week 26) Intermittent use (24.5) (22.2) Throughout use (.3) (6.5) Sex Male (28.3) (3.4) Female (32.7) (26.0) gmean=geometric mean; gcv=geometric coefficient of variation; N=number of samples; egfr=estimated glomerular filtration rate; eccr=estimated creatinine clearance; MDRD=modification of diet in renal disease; P-gp=P-glycoprotein 引用元 :CTD , 試験 28.23,Table.5.2: 2 より作成 結論 : リナグリプチン 日 回,26 週間投与において, 血漿中のトラフ濃度はほぼ一定であり, 長期間の反復投与でリナグリプチンの薬物動態は変化しないことが示された リナグリプチンの 日 5 mg と 0 mg の投与において, トラフ血漿中濃度の増加は用量比以下であった

71 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.58( 薬物動態 - 中国人健康被験者 ) 中国人健康被験者におけるリナグリプチン 5 mg 単回および反復経口投与の薬物動態を検討す るための非盲検試験 参照先 : 試験 28.58[CTD ] 目的 : 中国人健康被験者に対するリナグリプチン 5 mg の単回および反復経口投与後のリナグリプチンの薬物動態を検討すること 方法 : 男性 6 例および女性 6 例の合計 2 例の健康中国人被験者を対象として, 非盲検, 単回および反復投与デザインによる, 単施設試験を実施した 被験者には第 期に 5 mg のリナグリプチンを単回投与し, 引き続き第 2 期に 5 mg のリナグリプチンを 6 日間にわたって 日 回投与した 両投与期の間には 6 日間のウォッシュアウト期間を設けた 初回投与および最終投与の 44 時間後まで ( 単回投与および反復投与の最終投与の 24 時間後までは頻回 ), リナグリプチン濃度測定用に採血した 初回投与後 44 時間まで, および反復投与の最終投与後 24 時間まで, 尿を採取した リナグリプチンのトラフ濃度について, 時点を反復効果とした線形混合モデルを用いて定常状態に達するまでの時間を推定した 各時点の差を線形混合モデルにより算出される t 統計量を用いて比較した 主要評価項目である, およびその他の薬物動態パラメータの記述統計量を算出した 結果 : リナグリプチンは投与後速やかに吸収され, 単回投与後および定常状態における最高血漿中濃度到達時間の中央値はそれぞれ.75 時間および.5 時間であった リナグリプチンは 2 回目の投与後に定常状態に到達した リナグリプチン 5 mg 単回投与後の, および AUC 0- の幾何平均値は, それぞれ 0.4 nm および 658 nm h であった リナグリプチン 5 mg 反復投与後の の幾何平均値は 4. nm であり, の幾何平均値は 204 nm h であった 初回投与および反復投与の最終投与後に,82.4~03 時間と長い終末相における半減期がみられた 終末相における半減期は, 初回投与時および反復投与時で同程度であった しかし AUC および に基づいて算出した累積係数は.35 と低く, この長い終末相における半減は薬物動態的な特徴を表す半減期ではないと考えられた AUC に基づいて算出した累積係数 (R A,AUC ) に基づいて薬物動態的な特徴を表す半減期を計算したところ, 約.5 時間 ( 幾何変動係数 : 46.9%) となった これらの結果は, リナグリプチンの DPP-4 への結合が強く, 結合に飽和がおこることによって説明できるものと考えられる リナグリプチンの尿中排泄率は低く, 日目では投与量の 2% 未満, 定常状態では投与量の 8% 未満であった

72 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 66 結論 : 累積係数が低いこと, 終末相における半減期は長いものの薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと, および尿中排泄率が低いことなどのリナグリプチンの薬物動態特性は, 日本人および白人の被験者におけるこれまでの試験成績と一致していた 本試験でみられた および は, 日本人健康被験者でこれまでに得られた結果と同程度であった 以上の結果から, リナグリプチン 5 mg という用量は, 中国人 2 型糖尿病患者における血糖コントロールに有効な用量であると考えられる

73 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.3(DDI-リトナビル ) 外国人健康男性被験者におけるリナグリプチン 5 mg 単独での単回経口投与時との比較による, リトナビル反復経口投与時 (200 mg, 日 2 回,3 日間 ) にリナグリプチン 5 mg を併用単回経口投与した時の相対バイオアベイラビリティを検討するための, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバー試験 参照 : 試験 28.3[CTD ] 目的 : リナグリプチンの薬物動態に対する P- 糖蛋白および CYP3A4 の阻害剤であるリトナビルの影響を検討すること 方法 : 2 例の外国人健康男性被験者を対象として, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバーデザインにより, 試験を実施した 試験投与期には 200 mg リトナビル 日 2 回を 3 日間 ( リナグリプチン投与 日前 ~2 日目 ) にわたって投与し, 日目にリナグリプチン 5 mg を単回併用投与した 対照投与期には, リナグリプチン 5 mg の単回投与のみを行った 各投与期の間には少なくとも 35 日間のウォッシュアウト期間を設けた リナグリプチンおよび CD 790 濃度測定用にリナグリプチン投与後 96 時間目まで採血し, リナグリプチン投与後 24 時間にわたって尿を採取した このほかにもリナグリプチン投与 日目 ~4 日目にリトナビル濃度測定用の採血を行い, リトナビルの曝露が十分であることを確認した リナグリプチンの AUC 0-24 および を主要評価項目として評価した 対数変換したこれらのパラメータに対して, 投与順序, 被験者 ( 順序内 ), 時期および薬剤を含むモデルを用いた分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した その他のパラメータについて記述統計量を計算した 結果 : リナグリプチン投与 日目 ( リトナビル投与 2 日目, 併用投与 ) のリトナビル投与 2 時間後のリトナビルの血漿中濃度は 3580 ng/ml であり,P- 糖蛋白および CYP 3A4 を阻害するのに十分な濃度であると考えられた リナグリプチン 5 mg 単独投与後のリナグリプチンの の幾何平均値は 9.0 nm であり, その範囲は 5.0~22. nm であった 投与から約.5 時間後に最高濃度に到達した AUC 0-24 の幾何平均値は 22 nm h であった これらの結果は, これまでに得られているリナグリプチン 5 mg 単回経口投与後の結果と一致した リナグリプチンの一部が, 薬理活性をもたない代謝物である CD 790 へ CYP3A4 により代謝され, リナグリプチンの曝露に対する CD 790 の曝露は 0% 未満であった リトナビルと併用した場合, リナグリプチンは単独投与時よりやや早く に達し, は.00 時間であった また は併用により約 3 倍に上昇して幾何平均値が 26.9 nm となり, その範

74 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 68 囲は 2.6~62. nm であった リナグリプチン単独投与時と比較してリトナビル併用時の AUC 0-24 は約 2 倍高かった ( 単独投与時 :22 nm h, 併用投与時 :246 nm h) このように P- 糖蛋白および CYP3A4 を阻害することで, および AUC がいずれも上昇した リトナビル併用時および非併用時の濃度 - 時間推移を比較した結果, リナグリプチンの分布相および排泄相に対するリトナビルの影響はほとんどないと考えられた 終末相における半減期 (t /2 ) に変化はなかった ( リナグリプチン単独投与時 63.2 時間, リトナビル併用時 66.5 時間 ) 約 200 時間という t /2 が得られている他の試験に比べて t /2 の値が短かったが, このことは終末相における半減期がサンプル採取期間に依存し, 本試験ではこのサンプル採取期間が 96 時間後までと短かったためであると考えられた 投与 24 時間後の血漿中濃度は, リナグリプチン単独投与と比較してリトナビル併用投与で 5% 高かった 代謝物 CD 790 の生成は, リトナビル併用によりほぼ完全に抑制され, この結果から,CYP3A4 が阻害されたこと, また主な代謝物である CD 790 の生成に CYP3A4 が関与していることを示した in vitro での試験結果 [CTD ,U ] が確認された リトナビル併用時および非併用時のリナグリプチンの定常状態での血漿中濃度のシミュレーションにより, 定常状態に達するまでの時間は併用の影響を受けないこと, および蓄積に伴う曝露の上昇はないと予測された リトナビル併用投与時および非併用投与時のリナグリプチン 5 mg の累積係数の予測値は, それぞれ.2 倍および.3 倍であった 実際にみられたリトナビルの併用によるリナグリプチンの曝露に対する影響は, 母集団薬物動態解析の最終モデルから, 見かけのクリアランスの若干の低下 ( 6%) および吸収ラグタイムのわずかな短縮を伴う絶対バイオアベイラビリティの約 4 倍の上昇として最も良く説明できると考えられた 尿中排泄率は, リナグリプチン単独投与後の 0.5% 未満から, リトナビル併用時には 2.2% へと上昇した リナグリプチンの腎排泄は, 非結合型リナグリプチンの血漿中濃度依存的であると考えられている このため尿中排泄率の上昇は, 主にリナグリプチンの血漿中濃度の上昇により説明できると考えられる 主な薬物動態パラメータの記述統計量 ( 幾何平均値および幾何変動係数 ) ならびに ANOVA の結果を表 2.2: および 2 に示す リトナビルによりリナグリプチンの代謝が阻害されたため, 併用投与時の CD 790 の薬物動態パラメータは算出できなかった

75 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 69 表 2.2: リナグリプチンの単独投与またはリトナビルとの併用投与時のリナグリプチン経口投与後の主な薬物動態パラメータ 併用投与 (N=2) 単独投与 (N=2) 測定対象物質 リナグリプチン リナグリプチン CD790 gmean gcv [%] gmean gcv [%] gmean gcv [%] AUC 0-24 [nm h] AUC 0- [nm h] [nm] C NC a t / MRT po CL/F [ml/min] NC V z /F [L] NC fe 0-24 [%] NC CL R,0-24 [ml/min] NC NC=Not calculated a) は中央値および範囲 ( 最小値 - 最大値 ) を示す 引用元 :CTD , 試験 28.3,Table.5.2.2: より作成 表 2.2: 2 リナグリプチンの単独投与時またはリトナビルとの併用投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 個体内 パラメータ N Test Reference gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) AUC リトナビル併用リナグリプチン単独 リトナビル併用リナグリプチン単独 引用元 :CTD , 試験 28.3,Table.5.2.3: より作成 結論 : P- 糖蛋白および CYP3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルとの併用投与後に, リナグリプチンの および AUC が上昇した リナグリプチン 5 mg 単回投与後のリナグリプチンの は, 単独投与時の 9.0 nm からリトナビル併用投与時には 26.9 nm へと上昇した ( 幾何平均値比の 295.7%,90% 信頼区間 252.0~347.0%) の中央値は単独投与時の.5 時間から併用投与時には.0 時間へとやや短縮した リナグリプチンの AUC 0-24 は, リトナビルと併用投与すると 22 nm h から 246 nm h へと増加した ( 幾何平均値の比 20.4%,90% 信頼区間 85.8~28.3%) AUC 0-24 および の個体内変動は小さく, 個体内幾何変動係数はそれぞれ 0.9% および 2.9%

76 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 70 であった リナグリプチンの分布相および排泄相に対するリトナビルの併用の影響はほとんどなく, 終末相における半減期は変化しなかった 母集団薬物動態解析モデルに基づくシミュレーションによって, 曝露の上昇が主としてバイオアベイラビリティの上昇で説明できることが示唆され, 曝露の上昇に伴う蓄積の上昇はないと予測された 現在得られている前臨床および臨床試験の結果から, リナグリプチンの安全域は広いと考えられる したがって P- 糖蛋白および CYP3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルの併用による約 2 倍の曝露の増加は, 患者の安全性に対して臨床的意味を持つものではないと判断される

77 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.67(DDI-リファンピシン ) 外国人健康男女被験者における, リナグリプチン 5 mg 日 回反復投与時の薬物動態に対するリファンピシン 日 回 600 mg 反復投与の影響を検討するための, 非盲検,2 期, 投与順序固定試験 参照先 : 試験 28.67[CTD ] 目的 : P- 糖蛋白 (P-gp) および CYP3A4 の誘導物質であるリファンピシンによる, リナグリプチンの定常状態における薬物動態に対する影響を評価すること 方法 : 男性 0 例, 女性 6 例の計 6 例の健康被験者を対象として, 非盲検,2 期, 投与順序固定, 反復投与により試験を実施した 第 期ではリナグリプチン併用投与 6 日前から 日前までリファンピシン単独の反復投与を行い, 日目から 6 日目までリファンピシンおよびリナグリプチンを併用して反復投与を行った 第 2 期では 日目から 2 日目までリナグリプチン単独の反復投与を行った 第 期と第 2 期の間にはウォッシュアウト期間を設けなかった 第 期の 6 日目および第 2 期の 2 日目に, リナグリプチン濃度および DPP-4 活性測定用に頻回採血を行った 第 期のリナグリプチン併用投与 6 日前, 日前および 6 日目, ならびに第 2 期の 4 日目, 6 日目,8 日目および 2 日目の投与前に, 尿中のコルチゾールおよび 6β-ヒドロキシコルチゾールの測定を行った リナグリプチンの および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果としたモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他の薬物動態パラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 :CYP3A4 活性の指標である尿中コルチゾールに対する 6β-ヒドロキシコルチゾールの比は, リファンピシン 6 日間単独投与後にベースラインと比べて約 5. 倍上昇した この比はリナグリプチンの併用投与の影響は受けず, リファンピシンの投与期間中 CYP3A4 が十分に誘導されていることが示された リファンピシン投与終了 2 日後 ( リナグリプチン単独投与時の頻回採血実施日 ) の CYP3A4 活性の指標である尿中コルチゾールに対する 6β-ヒドロキシコルチゾールの比は, ベースラインと同程度であった したがって本試験のデザインは, リナグリプチン反復投与時の薬物動態および薬力学に対するリファンピシンの影響を検討するのに適切であった リナグリプチン 5 mg 単独反復投与後のリナグリプチンの の幾何平均値は 9.84 nm であり, 投与約.26 時間後に到達した の幾何平均値は 45 nm h であった 薬理活性をもたない代謝物である CD 790 の曝露 ( ) のリナグリプチンの曝露に対する割合は % であった これらの結果は, これまでに得られたリナグリプチン 5 mg の反復経口投与後の試験結果と一致していた

78 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 72 リファンピシンの併用投与によって, リナグリプチンの および の幾何平均値がそれぞれ 40% および 44% 低下し ( は 45 nm h から 87.6 nm h に低下, は 9.84 nm から 5.53 nm に低下 ),,ss はわずかに延長した (.26 時間から.50 時間 ) CD 790 は CYP3A4 で代謝されることから, リファンピシンの併用により CYP3A4 活性が誘導され,CD 790 の生成は増加すると予想されたが, 実際にはリファンピシンの併用投与によってリナグリプチンに対する CD 790 の の比は % から 3% へと 72% 低下した また CD 790 の のリナグリプチンの に対する割合は 22.0% から.9% へと 46% 低下した これまでの試験の結果から,CYP3A4 による CD 790 の生成が用量依存的であり, 用量が低いほど CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露が低下することが明らかにされている このため本試験でみられたリナグリプチンおよび CD 790 の曝露をこれまでの試験で検討した用量の結果と比較することで, リファンピシンの作用が CYP3A4 または P- 糖蛋白のどちらの誘導によるものかを推察することができる 試験 28.33[CTD ,U -39-0] のリナグリプチン mg 投与後のリナグリプチンおよび CD 790 の曝露は, 本試験でリファンピシンとリナグリプチン 5 mg の併用投与後と同程度であった したがってリファンピシン併用下でみられた影響は, バイオアベイラビリティの低下, すなわち P- 糖蛋白の誘導によるものである可能性が高いと考えられる リファンピシンを併用投与すると, リナグリプチンの尿中排泄率 (fe 0-24,ss ) が低下したが (3.46% から 0.45%), いずれも投与量の 5% 未満であった リナグリプチンの半減期 ( 定常状態終末相における半減期 ) は, リナグリプチンとリファンピシンの併用投与による影響を受けなかった リナグリプチンの主要な薬物動態パラメータおよび主要評価項目の統計解析結果を表 2.3: および 2 にまとめる

79 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 73 表 2.3: リナグリプチン単独またはリファンピシン併用下でのリナグリプチンの主な薬物動態パラメータ リナグリプチン 5 mg 日 回 (N=6) リナグリプチン 5 mg 日 回およびリファンピシン 600 mg 日 回併用 (N=6) リナグリプチン gmean gcv [%] gmean gcv [%] [nm h] [nm] ,ss a) t /2,ss fe 0-24,ss [%] CD 790 [nm h] [nm] ,ss a) t /2ss a) 中央値 ( 最小値 - 最大値 ) 引用元 :CTD , 試験 28.67,Table.5.2.2: and 2 より作成 表 2.3: 2 リナグリプチン単独またはリファンピシン併用下でのリナグリプチンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 個体内 幾何平均値の 両側 90% 信頼区間 パラメータ N Test Reference gcv 比 (%) 下限値 上限値 (%) (Test/Reference) (%) (%) 6 リファンピシン併用 リナグリプチン単独 リファンピシン併用 リナグリプチン単独 引用元 :CTD , 試験 28.67,Table.5.2.3: より作成 薬力学 : リナグリプチンの薬理作用のマーカーとして DPP-4 阻害を評価した リナグリプチン単独投与と比較して, リファンピシン併用投与時のトラフ時の DPP-4 阻害率 (E 24,ss ) は非併用時に比べて 35% 低下し, 平均 DPP-4 阻害率 (E avg,ss ) は非併用時に比べて 2% 低下した (E 24,ss の中央値 :8.% から 52.7%;E avg,ss の中央値 :85.6% から 67.6%) リファンピシンの併用投与によるリナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4 阻害率の相関に対する影響はなかった 本試験の併用投与時の曝露および DPP-4 阻害率はリナグリプチン mg の投与時と同程度であり, 第 IIb

80 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 74 相試験 ( 試験 28.6) の結果から, 統計学的に有意な HbAc の低下が示されている [CTD , 試験 28.6]) よって, リファンピシン併用投与下においてもリナグリプチンは臨床的に有効 であると予想されるが, 最大の効果は得られない可能性がある 結論 : P- 糖蛋白および CYP3A4 の強力な誘導剤であるリファンピシンの併用投与後に, リナグリプチンの および AUC が低下した リナグリプチンとリファンピシンを併用投与すると, リナグリプチンの および がそれぞれ 40% および 44% 低下し, リナグリプチンの,ss の中央値はわずかに延長した リファンピシンの併用投与は, リナグリプチンの分布および排泄にほとんど影響を及ぼさず, 終末相における半減期は変化しなかった リファンピシン併用投与により薬理活性をもたない代謝物である CD 790 のリナグリプチンに対する相対曝露が低下し, 本試験でみられたリファンピシンの影響が主に P- 糖蛋白の誘導によるものであることが示唆された リナグリプチンおよびリファンピシンの併用投与後に, トラフ時の DPP-4 阻害率で 35%, 平均 DPP-4 阻害率で 2% の低下が認められた 併用投与時のトラフ時の DPP-4 阻害率は 52.7% であり, 平均 DPP-4 阻害率は 67.6% であった リファンピシン併用投与時でもリナグリプチンは臨床的に有効であると予想されるが, 最大の効果は得られない可能性がある

81 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.4(DDI-メトホルミン ) 外国人健康男性被験者における, リナグリプチン 0 mg 単独 日 回投与およびメトホルミン 850 mg 単独の 日 3 回投与による反復経口投与のバイオアベイラビリティに対する, 両者の併用投与後のリナグリプチンおよびメトホルミンのバイオアベイラビリティを検討するための非盲検, ランダム化, クロスオーバー試験 参照先 : 試験 28.4[CTD ] 目的 : リナグリプチン 0 mg 日 回およびメトホルミン 850 mg 日 3 回の併用反復経口投与後のリナグリプチンおよびメトホルミンの相対バイオアベイラビリティを, リナグリプチンおよびメトホルミンそれぞれの単独投与との比較により検討すること 方法 : 6 例の健康男性被験者を対象として, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバーデザインにより, 試験を実施した 投与期 A の被験者にはメトホルミン 850 mg 日 3 回 3 日間投与し, 投与期 B の被験者にはリナグリプチン 0 mg 日 回 6 日間投与し, その後に両剤の併用投与をさらに 3 日間行った ( リナグリプチン 0 mg 日 回とメトホルミン 850 mg 日 3 回の併用投与 ) 投与期 A および B の間には,AB の順序の場合は 2 日間以上,BA の順序の場合には 8 日間以上のウォッシュアウト期間を設けた 投与期 A では投与 3 日目, 投与期 B の場合はそれぞれ投与 6 日目および 9 日目に, リナグリプチンおよびメトホルミンの血漿中濃度測定用ならびに DPP-4 活性測定用に頻回採血した メトホルミンの および について, 投与順序, 被験者 ( 順序内 ), 時期および薬剤を含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った リナグリプチンの および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果としたモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : 視覚的な判断から, それぞれの反復投与期間でリナグリプチンおよびメトホルミンとも定常状態に到達していると考えられた メトホルミンの の幾何平均値の比は 00.8%,90% 信頼区間は 89.2~3.9% であり, メトホルミン単独時およびリナグリプチン併用投与時の曝露は変わらなかった メトホルミンの は, リナグリプチンと併用投与した場合に約 % 低下した ( 幾何平均値の比 88.6%,90% 信頼区間 78.2~00.4%) メトホルミンの定常状態の薬物動態パラメータ(,,ss,t /2,ss, 尿中排泄率 ) は, 単独投与時および併用投与時とも同程度であった メトホルミンの有効性は よりも AUC に関連すると推察され, さらに の低下は安全性の懸念を生じないと考え

82 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 76 られるので, リナグリプチン併用投与時のメトホルミンの の低下は臨床的に問題となるものではないと判断される リナグリプチンの は, メトホルミンとの併用投与によって 20% 増加した ( 幾何平均値の比 20.0%,90% 信頼区間 07.3~34.%) 単独投与時またはメトホルミン併用投与時のリナグリプチンの は変わらなかった ( 幾何平均値の比 03.4%,90% 信頼区間 86.4~23.9%) ANOVA の結果を表 2.4: に示す 表 2.4: リナグリプチンおよびメトホルミンの単独投与後または併用投与後のリナグリプチンおよびメトホルミンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference リナグリプチン 4 メトホルミン併用 4 メトホルミン併用 メトホルミン 4 4 リナグリプチン併用リナグリプチン併用 リナグリプチン単独リナグリプチン単独 メトホルミン単独メトホルミン単独 個体内 gcv (%) 引用元 :CTD , 試験 28.4,Table.5.2: 2 および 4 より作成 幾何平均値の 比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間 下限値 (%) 上限値 (%) 薬力学 : 単独またはメトホルミン併用のいずれのリナグリプチン投与後も, トラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は 80% 以上であった ( 単独投与 89%; 併用投与 9%) メトホルミン併用時のリナグリプチンの の上昇による, 血漿中 DPP-4 阻害率, 安全性および忍容性に対する大きな影響はみられず, 臨床試験および非臨床試験においてリナグリプチンは広い安全域を有することから, 本試験でみられた の上昇は臨床的に問題となるものではないと考えられる 結論 : リナグリプチンとメトホルミンの併用投与時のメトホルミンの曝露は, メトホルミン単独投与時と同程度であった 併用投与時のメトホルミンの は % とわずかに低下した リナグリプチンをメトホルミンと併用投与すると, リナグリプチン単独投与と比較してリナグリプチンの曝露が 20% 上昇したが, に対する影響は認められなかった 単独またはメトホルミン併用のいずれのリナグリプチン投与によっても DPP-4 阻害率は同程度であった いずれの薬剤についても併用投与による薬物動態への影響は臨床的に問題となるものではないと考えられた したがって両薬剤は, 用量調節を行うことなく併用投与することができると考えられる

83 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.3(DDI-ピオグリタゾン ) 外国人健康男女被験者における, リナグリプチン 0 mg 日 回単独およびピオグリタゾン 45 mg 日 回単独反復経口投与時のバイオアベイラビリティに対する, 両者の併用投与時のリナグリプチンおよびピオグリタゾンの相対バイオアベイラビリティを検討するための非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバー試験 参照先 : 試験 28.3[CTD ] 目的 : リナグリプチンおよびピオグリタゾンの単独投与に対するリナグリプチン 0 mg 錠剤およびピオグリタゾン 45 mg の併用反復経口投与後のリナグリプチンおよびピオグリタゾンの相対バイオアベイラビリティを検討すること 方法 : 男性 0 例および女性 0 例の合計 20 例の健康被験者を対象として, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバーデザインにより, 試験を実施した 投与期 A ではリナグリプチン 0 mg を 日 回 5 日間投与した後, 続けて併用投与期 B( リナグリプチン 0 mg とピオグリタゾン 45 mg 日 回併用 ) の投与をさらに 7 日間行った 投与期 C ではピオグリタゾン 45 mg を 日 回 7 日間投与した 投与期 CAB または投与期 ABC の順のいずれかの順序で投与した 投与期 C から AB の投与順序では投与期 C と AB の間に 6 日間以上のウォッシュアウト期間を設け, 投与期 AB から C の投与順序では投与期 AB と C の間に 2 日間以上のウォッシュアウト期間を設けた 投与期 A の 6 日目および投与期 B および C の 7 日目 ( 頻回採血 ), ならびに投与期 B および C の最終投与後 20 時間まで, リナグリプチン,CD790, ピオグリタゾンならびにピオグリタゾンの活性型代謝物 M III および M IV の血漿中濃度測定用に採血した リナグリプチンおよび CD790 の および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った ピオグリタゾン, M III および M IV の および について, 投与順序, 時期および薬剤を固定効果, 投与順序内被験者を変量効果としてを含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する ANOVA を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチン 0 mg 日 回投与では遅くとも 5 日後, ピオグリタゾン 45 mg 日 回投与では遅くとも 7 日後には定常状態に達した ピオグリタゾン単独投与またはリナグリプチンとの併用投与のいずれによってもピオグリタゾンの は同程度であり, ピオグリタゾンの活性型代謝物である M III および M IV の および も単独投与と併用投与で変わらなかった これらのパラメータの幾何平均値の比は 00% 付近に分布し (94.4~04.6%),90% 信頼区間は生物学的同等性の基準である 80~25% の範囲内であった リナグリプチン併用投与によりピオグリタゾンの が 4% とわずかに

84 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 78 低下した ( 幾何平均値の比 85.6%,90% 信頼区間 78.~93.8%) ピオグリタゾンの有効性は よりも AUC に関連すると推察され, さらに の低下は安全性の懸念を生じないと考えられるので, リナグリプチン併用投与時のピオグリタゾンの の低下は臨床的に問題となるものではないと考えられた リナグリプチンに関しては, ( 幾何平均値の比 3.4%,90% 信頼区間 03.0~24.9%) および ( 幾何平均値の比 07.3%,90% 信頼区間 92.3~24.8%) の結果から, ピオグリタゾンとの併用投与時のリナグリプチンの吸収量および吸収速度は単独投与時と変わらず, 各パラメータの 90% 信頼区間は生物学的同等性の基準である 80~25% の範囲内であった リナグリプチンの薬理活性をもたない代謝物である CD 790 の および はピオグリタゾン併用投与により, それぞれ 27.3% および 3.5% 上昇した リナグリプチン単独投与時およびピオグリタゾン併用投与時のリナグリプチンおよびその薬理活性をもたない代謝物 CD 790, ならびにピオグリタゾン単独投与時およびリナグリプチン併用投与時のピオグリタゾンならびにその活性代謝物 M III および M IV の薬物動態パラメータの ANOVA の結果を表 2.5: に示す

85 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 79 表 2.5: リナグリプチンおよびピオグリタゾンの単独投与または併用投与後のリナグリプチン,CD790, ピオグリタゾン,M III および M IV の薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference 個体内 gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) リナグリプチン 20 ピオグリタゾンリナグリプチン併用単独 ピオグリタゾンリナグリプチン併用単独 CD ピオグリタゾンリナグリプチン併用単独 ピオグリタゾンリナグリプチン併用単独 ピオグリタゾン 20 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 M III 20 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 M IV 20 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 リナグリプチンピオグリタゾン併用単独 引用元 :CTD , 試験 28.3,Table.5.2.3: より作成 結論 : リナグリプチンとピオグリタゾンの併用投与によって, ピオグリタゾンがリナグリプチンの定常状態の薬物動態に影響を及ぼさないことが示された またピオグリタゾンを単独投与またはリナグリプチンと併用投与した場合にも, ピオグリタゾンの ならびに活性代謝物の および は同程度であった リナグリプチンと併用投与時にピオグリタゾンの は約 4% 低下したが, 臨床的に問題となるものではないと考えられる いずれの薬剤についても併用投与による薬物動態への影響は臨床的に問題となるものではないと考えられた したがって両薬剤は, 用量調節を行うことなく併用投与することができると考えられる

86 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.30(DDI-グリブリド ( グリベンクラミド )) 外国人健康男女被験者における, リナグリプチンおよびグリベンクラミドの単独投与時に対するリナグリプチン 5 mg 日 回の反復投与とグリベンクラミド.75 mg の単回投与による併用時のリナグリプチンおよびグリベンクラミドの相対バイオアベイラビリティを検討するための非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバー試験 参照先 : 試験 28.30[CTD ] 目的 : 通常の臨床用量であるグリベンクラミド.75 mg 単回経口投与後の薬物動態, 安全性および忍容性に対するリナグリプチン 5 mg 日 回反復投与の併用による影響を検討すること リナグリプチンの反復投与時の薬物動態に対する, グリベンクラミド.75 mg 単回経口併用投与の影響を検討すること 方法 : 男性 0 例および女性 0 例の合計 20 例の健康被験者を対象として, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバーデザインにより, 試験を実施した 投与期 A ではリナグリプチン 5 mg を 日 回 5 日間投与した後, 続けて 6 日目に併用投与期 B( リナグリプチン 5 mg とグリベンクラミド.75 mg の併用 ) の投与を行った 投与期 C ではグリベンクラミド.75 mg の単回投与を行った 投与期 CAB または投与期 ABC の順のいずれかの順序で投与した 投与期 C から AB の投与順序では 7 日間以上のウォッシュアウト期間を設け, 投与期 AB から C の投与順序では 35 日間以上のウォッシュアウト期間を設けた 投与期 A の 5 日目 ( リナグリプチンと CD 790 のみ ), ならびに投与期 B および C( グリベンクラミドのみ ) の投与後 48 時間まで, リナグリプチン, CD 790 およびグリベンクラミドの血漿中濃度測定用に採血した リナグリプチンの および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果として含むモデルを用いた分散分析 (ANOVA) を行った グリベンクラミドの AUC 0- および について, 投与順序, 時期および薬剤を固定効果, 投与順序内被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する ANOVA を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチンの および のいずれの幾何平均値の比も 00% に近く ( :0.7%, :00.8%),90% 信頼区間は生物学的同等性の基準である 80%~25% の範囲内に含まれており ( :97.7~05.8%, :89.0~4.3%),.75 mg グリベンクラミド単回投与の併用投与はリナグリプチンの定常状態薬物動態に影響を及ぼさなかった CD 790 の, および,ss は, グリベンクラミドの併用投与により影響を受けなかった

87 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 8 グリベンクラミドに関し, リナグリプチンとの併用投与により, グリベンクラミドの AUC 0- および は, いずれも 4% 低下した ( 幾何平均値の比は,AUC 0- が 85.7%, が 86.2%) 90% 信頼区間は, 生物学的同等性の基準である 80%~25% の下限をわずかに外れていた (AUC 0- :79.8~92.%, :79.6~93.3%) 単独投与時および併用投与時とも の中央値は.5 時間であった ANOVA の結果を表 2.6: にまとめる 表 2.6: リナグリプチンおよびグリベンクラミドの単独投与および併用投与時のリナグリプチンおよびグリベンクラミドの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference 個体内 gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) リナグリプチン 9 グリベンクラミドリナグリプチン併用単独 グリベンクラミドリナグリプチン併用単独 グリベンクラミド AUC 0-9 リナグリプチングリベンクラミド併用単独 リナグリプチングリベンクラミド併用単独 引用元 :CTD , 試験 28.30,Table.5.2.3: および 2 より作成 リナグリプチンがグリベンクラミドの代謝酵素 (CYP2C9 など ) または吸収, 分布, 排泄に関与する排泄トランスポーター ( 例 :P 糖蛋白 ) を阻害した場合, グリベンクラミドの曝露が上昇すると予想される 本試験の結果, リナグリプチンの併用投与によってグリベンクラミドの曝露はやや低下したことから, これらの酵素またはトランスポーターに対する阻害作用はないと考えられる 明確な用量反応が存在しないこと, およびグリベンクラミドの薬物動態には大きなばらつきが報告されていること [CTD ,R0-2430] から, リナグリプチン併用投与時のグリベンクラミド曝露の約 4% という低下は, グリベンクラミドの有効性および安全性に関して臨床的に問題となる影響はないと考えられる 結論 : リナグリプチンおよびグリベンクラミドの併用投与によって, グリベンクラミド単回併用投与がリナグリプチンの定常状態の薬物動態に影響しないことが示された グリベンクラミドの AUC 0- および は, リナグリプチン併用投与によって約 4% とわずかに低下し,90% 信頼区間の下限が 80% をわずかに下回っていた (AUC 0- が 79.8%, が 79.6%) 明確な用量反応が存在しないこと, およびグリベンクラミドの薬物動態には大きなばらつきが報告されていることから, 本試験でみられた影響は臨床的に問題となるものではないと考えられる したがって両薬剤は, 用量調節を行うことなく併用投与することができると考えられる

88 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.9(DDI-シンバスタチン ) 外国人健康男性被験者における, シンバスタチン 40 mg の 日 回 20 日間反復経口投与のシンバスタチンの薬物動態, 安全性および忍容性ならびにその代謝物シンバスタチン酸の薬物動態に対する, リナグリプチン 0 mg を 日 回 6 日間反復経口併用投与の影響を検討するための非盲検試験 参照先 : 試験 28.9[CTD ] 目的 : CYP3A4 の基質であるシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の反復投与時の薬物動態, 安全性および忍容性に対するリナグリプチン 0 mg 併用反復投与の影響を検討すること 方法 : 20 例の健康男性被験者を対象として, 非盲検, 投与順序固定デザインにより, 試験を実施した シンバスタチン 40 mg を 日 回 6 日間単独投与した後に,7 日目から 2 日目までリナグリプチン 0 mg およびシンバスタチン 40 mg の併用投与を行い, その後 3 日目から 20 日目までシンバスタチン 40 mg 日 回の単独投与を行った 6 日目,2 日目,6 日目および 20 日目に, シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の血漿中濃度測定に頻回採血した 主な目的は,6 日目および 2 日目のシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の定常状態での曝露を比較することであった および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果としたモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチンは 0 日目 ( リナグリプチン 3 回併用投与後 ) に定常状態に達していると考えられた [CTD , 試験 28.9,Table 5.5..: ] シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の および の幾何平均値の比の上昇は 35% 未満であったことから ( シンバスタチンの幾何平均値の比 : が 34.2%, が 0.0%; シンバスタチン酸の幾何平均値の比 : が 33.3%, が 20.7%), リナグリプチン 0 mg 反復併用投与によるシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の定常状態の薬物動態に対する影響は小さいと考えられた このときの 90% 信頼区間は 89.3~50.7% の範囲であった 本試験でのシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の個体間変動 ( 幾何変動係数 ) は大きく, および について 50.5%~80.9% であったが, これまでの報告と同程度であった [CTD 5.4-2, P ;CTD 5.4-,P ] ANOVA の結果を表 2.7: にまとめる

89 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 83 表 2.7: シンバスタチンの単独投与およびリナグリプチンとの併用投与後のシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference シンバスタチン 20 シンバスタチン + リナグリプチン, 2 日目 シンバスタチン 20 + リナグリプチン, 2 日目 シンバスタチン酸 シンバスタチン 20 + リナグリプチン, 2 日目 シンバスタチン 20 + リナグリプチン, 2 日目 シンバスタチン, 6 日目 シンバスタチン, 6 日目 シンバスタチン, 6 日目 シンバスタチン, 6 日目 個体内 gcv (%) 引用元 :CTD , 試験 28.9,Table.5.2.3: より作成 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) 日目のリナグリプチンの の幾何平均値は 25.8 nm(2.2 ng/ml) であり ( 幾何変動係数 :40.7%), の幾何平均値は 243 nm h(5 ng h/ml) であり ( 幾何変動係数 :25.3%), これまでの試験結果と同程度であった リナグリプチン併用によるシンバスタチンの の上昇の平均値は 2 倍を大きく下回っていたので ( シンバスタチンの の幾何平均値の比は 34%), リナグリプチンによる CYP3A4 の阻害は弱く, このため臨床的に問題となるものではないと考えられた ([CTD 5.4-3, P ] も参照 ) 結論 : リナグリプチンとシンバスタチンの併用投与による, 定常状態におけるシンバスタチンおよびシンバスタチン酸の および の増加は最大で.34 倍であった このことからリナグリプチンの CYP3A4 の阻害作用は弱いと考えられる したがって併用投与薬が CYP3A4 で代謝される場合, その用量調節は不要であると考えられる

90 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.28(DDI-ワルファリン ) 外国人健康男性被験者におけるワルファリン 0 mg を 日 回単独単回投与時に対する, リナグリプチン 5 mg を 日 回反復投与後のワルファリン 0 mg 日 回併用単回投与の相対バイオアベイラビリティを検討するための, 非盲検,2 期, 投与順序固定試験 参照先 : 試験 28.28[CTD ] 目的 : ワルファリン 0 mg 単回経口投与のワルファリンの薬物動態, 安全性および忍容性に対するリナグリプチン 5 mg 日 回反復投与の影響を検討すること 方法 : CYP2C9 の遺伝子型が野生型ホモ接合 (*/*) である 8 例の健康男性被験者を対象として, 非盲検,2 期, 投与順序固定デザインにより, 試験を実施した 投与期 A ではワルファリン 0 mg の単回投与を行い, 投与期 B ではリナグリプチン 5 mg を 日 回 2 日間投与し, リナグリプチンの投与 6 日目に 0 mg ワルファリンを単回併用投与した 投与期 A および B の間には 4 日以上のウォッシュアウト期間を設けた 両投与期ともワルファリン投与後 68 時間まで R-ワルファリンおよび S-ワルファリンの測定用に採血した さらに, 投与期 B の 6 日目の投与直前にリナグリプチンのトラフの検体を採取し, ワルファリン投与後 68 時間にわたって凝固パラメータ測定用の検体を採取した R-ワルファリンまたは S-ワルファリンの AUC 0- および について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果として含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : リナグリプチン (5 mg) とワルファリン (0 mg) の併用投与は,R-ワルファリンまたは S-ワルファリンいずれの血漿中濃度 - 時間推移または薬物動態パラメータにも大きな影響を及ぼさなかった リナグリプチン投与 6 日目のワルファリン投与直前に採取したリナグリプチンのトラフ血漿中濃度は, これまでの試験結果から予想される範囲内であった R-ワルファリンおよび S-ワルファリンについては,AUC 0- および の幾何平均値の比はいずれも 00% に近く,90% 信頼区間は生物学的同等性の基準である 80%~25% の範囲内に含まれていた ( 範囲 :94.7~08.6%) ANOVA の結果を表 2.8: にまとめる

91 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 85 表 2.8: ワルファリン単独またはリナグリプチン併用時のワルファリンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference 個体内 gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) R-ワルファリン AUC 0-8 リナグリプチンワルファリン併用単独 リナグリプチンワルファリン併用単独 S-ワルファリン AUC 0-8 リナグリプチンワルファリン併用単独 リナグリプチンワルファリン併用単独 引用元 :CTD , 試験 28.28,Table 5.5..:,5.5..2:,5.5.2.:, : より作成 薬力学 : リナグリプチンとワルファリンの併用投与は,INR またはプロトロンビン時間の AUC 0-68 に対して大きな影響を及ぼさなかった 幾何平均値の比はほぼ 00% であり,90% 信頼区間は 80%~25% の範囲内であった ( 個体内幾何変動係数 3.6~3.8%) INR およびプロトロンビン時間の最大効果 (E max ) については, それぞれその幾何平均値の比は 04%(90% 信頼区間 85%~28%) および 5%(90% 信頼区間 94%~4%) であった これら評価項目のバラツキは大きかった ( 個体内幾何変動係数 35.5%~35.9%) 結論 : リナグリプチン 5 mg を 日 回とワルファリン 0 mg の併用投与は,R-ワルファリンおよび S-ワルファリンの薬物動態パラメータに影響を及ぼさなかった R-ワルファリンおよび S-ワルファリンの AUC 0- および の幾何平均値の比および 90% 信頼区間は, 生物学的同等性の基準である 80%~25% の範囲内であった またリナグリプチンとワルファリンの併用投与は,INR およびプロトロンビン時間の AUC 0-68 に対して大きな影響を及ぼさず, ワルファリン単独投与時と比較してリナグリプチンとワルファリンの併用投与後の E max は, わずかに上昇する傾向にあった この上昇は, これら評価項目のばらつきが大きいことを考慮すると, 臨床的に問題となるものではないと考えられる 本試験の結果から, リナグリプチンとワルファリンを併用投与する場合に, ワルファリンの用量調節が不要であることが示唆された

92 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.29(DDI-ジゴキシン ) 外国人健康男女被験者におけるジゴキシン 0.25 mg を 日 回単独反復経口投与時に対する, ジゴキシン 0.25 mg 日 回反復経口投与とリナグリプチン 5 mg 日 回反復経口投与の併用投与後のジゴキシンの相対バイオアベイラビリティを検討するための非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバー試験 参照先 : 試験 28.29[CTD ] 目的 : リナグリプチン併用および非併用投与時におけるジゴキシンの薬物動態, 安全性および忍容性を検討すること またジゴキシンを併用投与時のリナグリプチンの定常状態での薬物動態を明らかにすることとした 方法 : 男性 9 例, 女性 例の合計 20 例の健康被験者を対象として, 非盲検, ランダム化,2 期クロスオーバーデザインにより, 試験を実施した 投与期 A には 0.25 mg ジゴキシンを 日 回 日間投与し,6 日目から 日目までリナグリプチン 5 mg を 日 回併用投与した 投与期 B には,0.25 mg ジゴキシンを 日 回 日間投与した 投与期 AB または BA の順序で投与した 投与期 A から B の順序の場合は両投与期の間に 35 日間以上のウォッシュアウト期間を設け, 投与期 B から A の順序の場合には 4 日間以上のウォッシュアウト期間を設けた 両投与期とも 8 日目から 日目および最終投与後 44 時間まで, ジゴキシン測定用の血漿および尿検体ならびにリナグリプチン測定用の血漿検体を採取した, および定常状態における腎クリアランス (CL R,0-24,ss ) について, 投与順序, 被験者 ( 順序内 ), 時期および薬剤を含むモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した 結果 : 薬物動態 : ジゴキシン単独およびリナグリプチン併用時のジゴキシンの定常状態での薬物動態パラメータは似ていた 定常状態におけるジゴキシンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果を表 2.9: に示す

93 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 87 表 2.9: ジゴキシン単独またはリナグリプチン併用時のジゴキシンの薬物動態パラメータの ANOVA 結果 パラメータ N Test Reference 20 ジゴキシン + リナグリプチン 個体内 gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) ジゴキシン CL R,0-24,ss 20 ジゴキシン + リナグリプチン ジゴキシン + リナグリプチン ジゴキシン ジゴキシン 引用元 :CTD , 試験 28.29,Table.5.2.3: より作成 ジゴキシンの, および CL R,0-24,ss の幾何平均値の比および 90% 信頼区間は, いずれも生物学的同等性の基準である 80~25% の範囲内であった したがって, 両薬剤を併用投与する場合にジゴキシンの用量調節は不要であると考えられる ジゴキシンと併用投与時のリナグリプチンの定常状態での および の幾何平均値はそれぞれ 5.2 nm および 20 nm h であり, リナグリプチンの曝露が十分であることが示された 結論 : リナグリプチンの併用投与は, 定常状態におけるジゴキシンの薬物動態に影響しなかった ジゴキシンの, および CL R,0-24,ss の幾何平均値の比および 90% 信頼区間は, いずれも生物学的同等性の基準である 80~25% の範囲内であった したがって両薬剤を併用投与する場合に, ジゴキシンの用量調節は不要であると考えられる 本試験の結果は, リナグリプチンが P- 糖蛋白または OATP などのジゴキシンの薬物動態に関連する他のトランスポーターを阻害しないことを示唆している

94 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.44(DDI- 経口避妊薬 ) 外国人健康女性閉経前被験者におけるエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレル配合剤の反復投与薬物動態に対するリナグリプチンの反復投与の影響を検討するための, 非盲検, 2 期, 投与順序固定試験 参照先 : 試験 28.44[CTD ] 目的 : の成分であるエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの定常状態薬物動態に対するリナグリプチン 5 mg 反復経口投与の影響を検討すること 方法 : 8 例の健康女性閉経前被験者を対象として, 非盲検,2 期間, 投与順序固定, 反復投与デザインにより, 試験を実施した 全被験者に導入期を設けた 試験開始前にを服用していた被験者では,7 日間休薬後に導入期を開始した そのほかの被験者では, 被験者の月経周期の 日目に導入期を開始した 導入期の期間中は, 投与期 を開始する 8 日前まで 日 錠のを服用させた 投与 7 日前 ~ 投与 日前には薬剤の投与を行わなかった 投与期 では, エチニルエストラジオール 30 µg とレボノルゲストレル 50 µg を含有するを投与 日目から 4 日目まで 日 回投与した後に, 併用投与期 2 において 5 日目から 2 日目までリナグリプチン 5 mg を 日 回併用投与した 4 日目および 2 日目, ならびに 5 日目,0 日目 ~3 日目, および 8 日目 ~20 日目のトラフ時に, エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの測定用に採血した 8 日目 ~2 日目のトラフ時, ならびに 2 日目の投与後,.5 および 2 時間にリナグリプチン測定用に採血した エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの, および定常状態における腎クリアランス (CL R,0-24,ss ) について, 薬剤を固定効果, 被験者を変量効果としたモデルを用いた対数変換パラメータに対する分散分析 (ANOVA) を行った 幾何平均値の比および 90% 信頼区間を ANOVA における残差に基づいて算出した 他のパラメータの記述統計量を算出した さらに, リナグリプチン, エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの投与前濃度を用いて, 定常状態到達の検討を行った 結果 : 薬物動態 : エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルについて, 遅くともそれぞれ 5 日目および 2 日目には定常状態に到達しており, 投与期 2 の終了時まで定常状態が維持されていた リナグリプチンは遅くとも 8 日目 ( すなわちリナグリプチン併用投与 4 日目 ) には定常状態に達していた 本試験のリナグリプチンの血漿中濃度は, これまでの反復投与試験の結果と同程度であり, リナグリプチンの曝露が十分であること, およびリナグリプチンの薬物動態に対するエチニルエストラジオールまたはレボノルゲストレルの明らかな影響はないことが示唆された

95 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 89 エチニルエストラジオールについて, および の幾何平均値は単独投与時と併用投与時で同程度であった レボノルゲストレルの および の幾何平均値は, 単独投与時と比較して併用投与時に, それぞれ 8.8% および 3.5% と若干上昇した しかしエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの および の 90% 信頼区間は, いずれも生物学的同等性の基準である 80%~25% の範囲内に含まれており, レボノルゲストレルの曝露に対する若干の影響は臨床的に問題となるものではないものと判断される レボノルゲストレルの曝露の上昇によるの避妊効果への影響はみられないと考えられる エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの統計解析の結果を表 2.20: に示す 表 2.20: エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの単独投与またはリナグリプチンとの併用投与時のエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの薬物動態パラメータの ANOVA 解析 パラメータ N Test Reference エチニルエストラジオール 個体内 gcv (%) 幾何平均値の比 (%) (Test/Reference) 両側 90% 信頼区間下限値上限値 (%) (%) 8 リナグリプチン レボノルゲストレル リナグリプチン リナグリプチン + リナグリプチン 引用元 :CTD , 試験 28.44,Table.5.2.3: より作成 結論 : 本試験結果から, リナグリプチンを併用投与する場合に, レボノルゲストレルおよびエチニルエストラジオールの用量調節は不要であると考えられる リナグリプチン 5 mg と ( エチニルエストラジオール 30 µg とレボノルゲストレル 50 µg を含有 ) の反復併用投与は, エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの定常状態の薬物動態に対して臨床的に問題となる影響を及ぼさなかった または, リナグリプチンの定常状態でのトラフ血漿中濃度に対して明らかな影響を及ぼさなかった

96 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.37(4 週間薬力学 ) 外国人男女 2 型糖尿病患者における, 様々な 2 型糖尿病のバイオマーカーに対するリナグリプチン 5 mg およびシタグリプチン 00 mg の 日 回経口投与の影響を検討するための, ランダム化, 二重盲検, プラセボ対照, 並行群間比較試験 参照先 : 試験 28.37[CTD ] 目的 : 2 型糖尿病患者における 24 時間血糖コントロールに対するリナグリプチン 5 mg およびシタグリプチン 00 mg の影響をプラセボと比較すること このほかにも様々な薬力学評価項目 ( 例 : GLP-, インスリン,DPP-4 阻害率 ) を検討することとした 方法 : 男性 86 例, 女性 35 例, 合計 2 例の年齢 28 歳 ~76 歳の 2 型糖尿病患者を対象として, ランダム化, 二重盲検, プラセボ対照デザインにより, 多施設共同試験を実施した 年齢が 8 歳以上 80 歳以下, スクリーニング来院時の BMI が 40 kg/m 2 以下, 導入期開始時の HbAc が 6.5% 以上 0.0% 以下であり, 過去に未治療または 種類の経口血糖降下薬による治療を受けている患者を試験に組み入れた 既に別の経口血糖降下薬の投与を受けている患者には,2 週間のウォッシュアウト期間を設けた 2 週間のプラセボ導入期の後に患者を 3 群にランダム化割付けし, リナグリプチン 5 mg 日 回,00 mg シタグリプチン 日 回, またはプラセボを 28 日間投与した,,28,29 および 30 日目に食事負荷試験 (MTT) を実施した,,28, 29 および 30 日目の空腹時および MTT 後の血漿中グルコース, 活性型 GLP-, 活性型および総 GIP, インスリン,C-ペプチド, グルカゴン,HbAc, フルクトサミン,,5-アンヒドログルシトール, および血漿中 DPP-4 阻害率によって, 各薬剤の薬力学的反応を評価した 主要評価項目は,28 日目の加重平均血糖値 (WMG) のベースラインからの変化, および 28 日目の MTT 後の GLP- の AUEC 0-2 のベースラインからの変化であった プラセボに対するリナグリプチンの優越性の検定は,4 週後の WMG のベースラインからの変化および GLP- のベースラインからの変化について, 薬剤および糖尿病前治療薬を固定効果とし, ベースラインの HbAc を共変量とした共分散分析 (ANCOVA) により検討した 副次評価項目, 探索的評価項目および安全性評価項目は記述統計により評価した このほかにも食後 C-ペプチド濃度を用いてデコンボリューション法によりインスリン分泌速度 (ISR) を推定し, グルコース濃度を用いて補正した 結果 : 被験者背景およびその他のベースライン値 : 本試験には 2 例をランダム化割付けした ランダム化割付けした患者数は, 参加 3 施設とも同様に分布していた 40 例がプラセボ,40 例がリナグリプチン 5 mg,4 例がシタグリプチンを投与された 被験者背景およびその他のベースライン値は, 投与群間で同様に分布していた 有意ではなかったが,HbAc のベースライン値に若干の不均衡が認められ, これはシタグリプチン投与群に

97 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 9 おける HbAc のベースライン値がわずかに低いためであった プラセボ投与群とリナグリプチン投与群の比較については,HbAc のベースライン値に有意な差は認められなかった インスリン, インスリン抵抗性の HOMA 指数, およびインスリン分泌の HOMA 指数のベースライン値は, 投与群内および投与群間でばらついていた 主要評価項目 : 本試験の主要評価項目は,28 日目の WMG のベースラインからの変化, および 28 日目の MTT 後の GLP- の AUEC 0-2 のベースラインからの変化であった WMG および GLP- の AUEC 0-2 のいずれについても, プラセボに対するリナグリプチンの優越性が示された リナグリプチンについて,4 週間投与後のプラセボ群に対する WMG のベースラインからの変化量は 9.9 mg/dl(95% 信頼区間 : 28.0~.9;p<0.000) であった 4 週間投与後のプラセボ群に対する GLP- のベースラインからの変化量は,8. pmol h/l(95% 信頼区間 :2.4~23.9;p<0.000) であった 感度分析の結果, 両主要評価項目ともプラセボに対するリナグリプチンの優越性が確認された 副次評価項目 : 副次評価項目は,28 日目の空腹時血漿中グルコース濃度 (FPG) のベースラインからの変化および 28 日目の MTT 後の血漿中グルコースの AUEC 0-3h のベースラインからの変化であった いずれの副次評価項目の解析においても, プラセボに対するリナグリプチンの優越性が示された 4 週間のリナグリプチン投与後のプラセボ群に対する FPG のベースラインからの変化量は 0.8 mg/dl(95% 信頼区間 : 20.4~.2) であり, プラセボ群に対する血漿中グルコースの AUEC 0-3 のベースラインからの変化量は 06.5 mg h/dl(95% 信頼区間 : 47.0~ 66.0) であった リナグリプチンによる血漿中グルコースの AUEC 0-3 の数値的な低下は WMG の低下より大きく, 時間で補正した AUEC 0-3h の低下は 35.5 mg/dl であり,WMG の低下は 9.9 mg/dl であった リナグリプチン 5 mg の反復投与 28 日目のトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値は 82.2%,28 日目の GLP- のベースラインからの変化量は 6.0 pmol/l,28 日目のグルカゴンのベースラインからの変化量は 6.8 pg/ml であった また 4 週間のリナグリプチン投与によって, プラセボ群に対するベースラインからの HbAc の変化量は 0.27% と統計学的に有意に低下 (p=0.002) し, プラセボ群に対する,5-アンヒドログルシトール濃度の変化量は.8 µg/ml と統計学的に有意に上昇し (p<0.000), インスリン分泌の指標である HOMA-IS,disposition index, および食後グルコースで補正したインスリン分泌も上昇した 28 日目の HOMA-IS の幾何平均値の比 ( リナグリプチン / プラセボ ) は投与初日の 5.7% から投与 28 日目に 24.2% に増加し,disposition index は.83,MTT 後 4 時間の血漿中のグルコースの曝露量で補正したインスリン分泌は 28.7 µg/ml(p=0.0003) であった またグルカゴンのピーク濃度のベースラインおよびプラセボに対する低下も認められた プラセボ群に対するリナグリプチン群の 28 日目のグルカゴンピーク濃度のベースラインからの変化量は 6.8 pg/ml(95% 信頼区間 : 28.7~ 4.9;p=0.0064) であり, プラセボ群に対するリナグリプチン群のグルカゴンの AUEC 0-2 のベースラインからの変化量は 8.7 pg h/ml(p=0.0452) であった

98 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 92 全評価項目ともプラセボに対するシタグリプチンの優越性が示されたことから本試験の感度が確認され, シタグリプチンはリナグリプチンと同程度の効果を示した 結論 : 本試験の結果,WMG の減少および DPP-4 阻害を介した GLP- の血漿中存在時間の延長によって, リナグリプチン 5 mg 投与によりプラセボよりも優れた 24 時間の血糖コントロールが達成されることが示された

99 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 試験 28.32(Thorough QT(TQT)) 外国人健康男女被験者における QT 間隔に対するリナグリプチン 5 mg および 00 mg の単回投与の影響を評価するための, モキシフロキサシンを陽性対照とした, ランダム化, プラセボ対照, 二重盲検,4 期クロスオーバー試験 参照先 : 試験 28.32[CTD ] 目的 : リナグリプチンによって QT 間隔延長が生じないことを, プラセボとの比較により示すこと 方法 : 男性 26 例, 女性 8 例, 合計 44 例の健康被験者を対象として, 二重盲検, プラセボ対照試験は, 陽性対照を含むランダム化,4 期クロスオーバーデザインにより, 単施設試験を実施した リナグリプチン 5 mg, 臨床用量 (5 mg) の 20 倍の用量 (00 mg) のリナグリプチン, プラセボ, および陽性対照のモキシフロキサシン 400 mg を, ランダム化割付けされた順序に従って投与し, 各投与には 35 日間以上の間隔を設けた 各薬剤投与 ( モキシフロキサシン投与時を除く ) の 24 時間後までリナグリプチン測定用に採血した 本試験の主要評価項目は, パラボリックモデルに基づく QTcI 間隔 (QT 間隔の被験者ごとの補正値 ) であった 主要評価項目は, 投与後 ~4 時間目に記録した心電図 (ECG) の平均値から各来院時の投与前に記録したベースライン ECG の平均値を差し引いて求めた 投与後のこの 3 時間の時間枠内で, リナグリプチンおよびモキシフロキサシンの血漿中濃度は, いずれもそのピーク血漿中濃度の少なくとも 75% になるものと予想された 各 ECG 測定値は, ぞれぞれ 4 波形が認められる 3 回の ECG の平均値と定義した 投与順序, 薬剤, 時期を固定効果, 投与順序内被験者を変量効果, ベースライン値を共変量とする ANCOVA を用いて,~4 時間目の間の QTcI のベースラインからの平均変化を評価した これに続く投与群の対比較では, ベースラインで補正した差の平均値の両側 90% 信頼区間を求めた 各時点の QTcI の平均ベースラインからの変化の解析では, 投与順序, 薬剤, 時期を固定効果, 投与順序内被験者を変量効果, ベースライン値を共変量, 時点を反復効果, 薬剤と時点, 時期と時点を交互作用とする ANCOVA モデルを使用した 副次的評価項目は, 投与後 30 分目から 24 時間目までに記録した全 ECG の QTcI のベースラインからの変化の平均値, および投与後 30 分目から 24 時間目までの間の任意時点の QTcI の平均ベースラインからの変化であった このほかに検討した QT パラメータは,QTcN(QT 間隔の試験対象集団に基づく方法を用いた心拍数補正値 ),QTcF(QT 間隔の Fridericia の方法を用いた心拍数補正値 ), および QTcB(QT 間隔の Bazett の方法を用いた心拍数補正値 ) であった このほかにもベースライン以外のあらゆる値における QTcI,QTcN,QTcF,QTcB または未補正 QT 間隔の 点以上の著明な変化の発生を検討した AUC t-t2,, を含むリナグリプチンの薬物動態パラメータを算出し, 記述統計により評価した

100 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 94 結果 : 主要解析によって, プラセボとの比較にて 時間目から 4 時間目の QTcI 間隔の平均変化がリナグリプチン 5 mg で. ms であり,00 mg では 2.5 ms であることが示された 両側 90% 信頼区間の上限はリナグリプチン 5 mg が 0.5 ms であり, リナグリプチン 00 mg が 0.9 ms であった これはあらかじめ規定された非劣性の限界である 0 ms を十分に下回っており, プラセボとの比較にてリナグリプチン 5 mg および 00 mg 投与後に QTcI 間隔の臨床的に重要な上昇がないことが示された 副次的評価項目についても同様の結果が得られた プラセボと比較して薬剤投与後 30 分目から 24 時間目の QTcI 間隔の平均変化は, 用量 5 mg が 0.9 ms であり, 用量 00 mg が 2. ms であった 両側 90% 信頼区間の上限は, リナグリプチン 5 mg が 0.4 ms, リナグリプチン 00 mg が 0.8 ms であり, あらかじめ規定された非劣性の限界である 0 ms を十分に下回っていた プラセボと比較して, リナグリプチン 5 mg 投与後の任意時点における QTcI 間隔の変化は 2.0~0 ms の範囲にあり, リナグリプチン 00 mg では 4.7~ 0.9 ms の範囲にあった リナグリプチン 5 mg 投与後 時間目およびリナグリプチン 00 mg 投与後 6 時間目に, プラセボに対する差が最大となった リナグリプチン 5 mg および 00 mg とも, 投与後の両側 90% 信頼区間の上限の最大値は 2.5 ms を十分に下回っており, したがって非劣性の限界である 0 ms を下回っていた 時間目から 4 時間目の QTcI 間隔のベースラインからの平均変化をモキシフロキサシン (400 mg 単回投与 ) およびプラセボ間で比較することで, 測定感度が示された 差の解析により 6.9 ms の平均値が得られ,90% 信頼区間の下限は 5.4 ms であった 予め選定した時点である 2 時間目の差の解析により 6.7 ms の平均値が得られ,90% 信頼区間の下限は 4.4 ms であった 3 時間目に最も大きな差が認められ, 推定効果量は 0.5 ms,90% 信頼区間の下限は 8. ms であった これらの結果に基づき, 試験実施計画書の要求事項に従って測定感度が確証された さらにモキシフロキサシンおよびプラセボ間での QTcI の差の最大の推定効果量は, 本剤の予想範囲である 0~2 ms の範囲内にあり, 本試験が QT 間隔の長さの重要な変化の検出能を有することが示された プラセボとの比較によるリナグリプチンおよびモキシフロキサシンの主要評価項目および副次的評価項目の結果を, 表 2.22: にまとめる

101 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 95 表 2.22: リナグリプチン (5 mg もしくは 00 mg) またはモキシフロキサシン (400 mg) 投与後の主要および副次的 QT 評価項目の統計解析 評価項目 間隔 / 時点 [ 時間 ] プラセボに対する変化 [SE] 両側 90% 信頼区間 [ms] 下限 [ms] 上限 [ms] リナグリプチン 5 mg QTcI N=43 間隔 ~4.2 (0.96) QTcI N=43 間隔 0.5~ (0.8) QTcI b 任意時点 -2.0~0.2 a -2.0~-4.4 a 0.3~2.4 a リナグリプチン 00 mg QTcI N=44 間隔 ~ (0.96) QTcI N=44 間隔 0.5~ (0.8) QTcI 任意時点モキシフロキサシン 400 mg b -0.9~-4.7 a -3.2~-7.2 a -2.~2.0 a QTcI N=44 間隔 ~ (0.96) QTcI 間隔 0.5~24 NC NC NC QTcI 任意時点 a) 範囲を示す b 0.0~0.5 a -2.0~8. a 2.~2.8 a b) それぞれリナグリプチン 5 mg, リナグリプチン 00 mg またはモキシフロキサシン 400 mg 投与後,6 および 3 時間目の最大の変化引用元 :CTD , 試験 28.32,Table.5.3.:,Table.5.3.2: -3,Table : より作成 プラセボと比較して, 臨床的に重要でない用量であるリナグリプチン 00 mg の投与下において,2~3 拍 / 分程度の軽微な心拍数の上昇, およびこれに対応する RR 間隔の低下が認められた 本試験ではプラセボまたはリナグリプチンのいずれにも,QTcI,QTcN または QTcF 間隔の著明な変化は認められなかった QTcB 間隔のベースラインからの変化については, プラセボ投与下の 2 例の被験者 ( 被験者番号 9 および 37) およびリナグリプチン 00 mg 投与下の 5 例の被験者 ( 被験者番号 3,7,4, 9 および 37) が 30 ms の閾値を超えた このうち被験者番号 4,9 および 37 は, 試験中に少なくとも 種類の別の投与群での投与下においてもベースラインからの変化 (QTcB) が 30 ms の閾値を超えていた 60 ms の閾値を超えた被験者はいなかった QTcB 間隔の絶対値については, プラセボまたはリナグリプチンに著明な変化は認められなかった リナグリプチン 5 mg の単回経口投与後の の中央値は 2.00 時間 ( 範囲 :0.50~3.02) であり, の幾何平均値は 7.05 nm( 幾何変動係数 :28.5%) であった AUC 0-24 の幾何平均値は 0 nm h ( 幾何変動係数 :25.%) であった リナグリプチン 00 mg の単回経口投与後の の中央値は.52 時間 ( 範囲 :0.50~6.03) であり, の幾何平均値は 267 nm( 幾何変動係数 :66.65%) であった AUC 0-24 の幾何平均値は 760 nm h( 幾何変動係数 :59.2%) であった 用量を 5 mg から 00 mg へと 20 倍にすることで, は臨床用量である 5 mg での の約 38 倍に達した

102 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 96 結論 : 本試験の結果から, リナグリプチン 5 mg( 臨床用量 ) または 00 mg( 臨床用量を上回る用量 ) の単回投与により ECG の QT 間隔は延長しないことが示された リナグリプチン 00 mg 投与後の は 5 mg の投与後に得られる の 38 倍であった

103 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 母集団薬物動態解析 試験 28.2,28.3,28.5 および 28.6 を統合したデータに基づく母集団薬物動態解析によ る, リナグリプチンの薬物動態に対する共変量の影響の検討 参照先 : CTD ,U 目的 : 母集団薬物動態解析モデルを用いて,2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態の特性を評価すること, および薬物動態に対する臨床的に影響のある共変量を明らかにすること 方法 : NONMEM ソフトウェアシステムを用いて, 非線形混合効果モデルによる母集団解析を実施した 薬物動態に対する共変量の影響の検討は, 変数増加 / 変数減少法を用いて行った Quantitative predictice check により, モデルの推定精度を評価した また, シミュレーションにより, リナグリプチンの薬物動態に対する統計学的に有意であった共変量の影響を評価した 結果 : 糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態は, リナグリプチンと DPP-4 との間の濃度依存的結合を組み込んだ母集団薬物動態解析モデルによって最も良く記述された モデルの構造は, 中央コンパートメントおよび末梢コンパートメントにおける飽和的蛋白結合 ( 高親和性 / 低結合能 ) を組み込んだ 2 コンパートメントモデルであった モデル図を図 5.2: 2 に, 最終モデルを表 5.: 5 および 6 に示す このモデルを用いたシミュレーションにより, リナグリプチンの薬物動態に対する共変量の影響を検討した メトホルミン併用下の患者では, バイオアベイラビリティが他の試験に比べて高くなった このほかに体重がバイオアベイラビリティに影響を及ぼす共変量であった 吸収速度定数に対して用量および試験 / 製剤, クリアランスに対して γ グルタミルトランスフェラーゼが統計学的に有意な影響を及ぼす共変量であった また, 血漿中 DPP-4 濃度を反映していると考えられる, モデルで推定された中央コンパートメントにおける蛋白濃度 (B max ) に対しては, 投与前の DPP-4 活性, 用量, 年齢および性別との相関性が認められた 共変量の効果 : 年齢 : 年齢 60 歳から 歳増加するごとに,B max は比例的に 0.56% 上昇した シミュレーションの結果,5 mg 日 回投与後のリナグリプチンの は,60 歳の男性患者に比べて,42 歳男性患者では 7.4% 低下し, 一方,73 歳男性患者では 5.4% 上昇すると予想された なお,42, 60 および 73 歳は, 共変量解析に組み入れた患者の年齢分布のそれぞれ 5 パーセンタイル,50 パーセントタイルおよび 95 パーセンタイルである

104 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 98 性別 : 女性では, 男性に比べて B max が 9.2% 高かった シミュレーションの結果,5 mg 日 回投与後の は男性に比べて女性で 6.8% 高くなると予想された 体重 /BMI: 体重 88kg から kg 増加するごとに, バイオアベイラビリティは 0.958% ずつ線形的に低下した シミュレーションの結果,5 mg 日 回投与後のリナグリプチンの は, 体重 88 kg の男性患者に比べて, 体重 67 kg の男性患者では 5.9% 増加し, 一方, 体重 7 kg の男性患者では 8.7% 低下すると予想された なお,67,88 および 7 kg は, 共変量解析に組み入れた患者の体重分布のそれぞれ 5 パーセンタイル,50 パーセンタイルおよび 95 パーセンタイルである なお,BMI と体重との高い相関性が認められたものの, 視覚的な検討からは, リナグリプチンの曝露に対する BMI の影響は認められなかった メトホルミン併用 ( 試験 28.6): メトホルミン併用下 ( 試験 28.6) の患者では, 相対バイ オアベイラビリティが増加した シミュレーションの結果,5 mg 日 回投与後のリナグリプ チンの は, 他の試験の男性患者に比べて 9.8% 上昇すると予想された 試験 / 製剤 : 吸収速度定数は, 試験 / 製剤に依存的に変化した 液剤投与 ( 試験 28.2) では /h であり, 錠剤投与では低かった (0.795 /h(tf2: 試験 28.3) および 0.44 /h(tf2b: 試験 28.5 および 28.6)) 試験 28.3 と試験 28.5 および 28.6 との間の差は, 試験間で食事の条件が異なっていること ( 試験 28.3 では絶食投与, 試験 28.5 および 28.6 では食後投与 ) によると考えられる しかしながら, シミュレーションの結果, これら試験 / 製剤間の吸収速度定数の差は, リナグリプチンの に影響を及ぼさなかった 投与前 DPP-4 活性 : リナグリプチン投与前の血漿中 DPP-4 活性が 2497 RFU から RFU 増加するごとに,B max が % ずつ比例的に増加した シミュレーションの結果, リナグリプチンの は, 投与前 DPP-4 活性が 2497 RFU の患者と比べて,8025 RFU の患者では 0.9% 低下, 一方,8623 RFU の患者では 5.0% 上昇すると予想された なお,8025,2497 および 8623 RFU とは, 共変量解析に組み入れた患者の投与前の DPP-4 活性の分布のそれぞれ 5 パーセンタイル,50 パーセンタイルおよび 95 パーセンタイルである γ グルタミルトランスフェラーゼ :γ グルタミルトランスフェラーゼ (GGT) が 33 U/L から U/L 増加するごとに, クリアランスが % ずつ低下した シミュレーションの結果, リナグリプチンの は,GGT が 33 U/L の患者と比較して,9.4 U/L の男性患者では,0.25% 低下, 一方,58 U/L の男性患者では,.4% 上昇すると予想された なお,9.4,33 および 58 U/L は, 共変量解析に組み入れた患者の GGT の分布のそれぞれ 5 パーセンタイル,50 パーセンタイルおよび 95 パーセンタイルである GGT のほかに, 肝酵素であるアラニントランスアミナーゼおよびアスパラギン酸トランスアミナーゼの検討を行ったが, 両酵素ともリナグリプチンの薬物動態に対する有意な影響は認められなかった 用量 :5 mg 群と比較して, 用量を mg 増加するごとに吸収速度定数が 6.5% ずつ低下した また,5 mg 群と比較して, 用量を mg 増加するごとに B max が 3.4% ずつ増加した

105 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 99 腎機能障害 : 解析に用いた試験では, 腎機能障害のない患者または軽度腎機能障害の患者を主に組み入れた ( ベースライン時のクレアチニンクリアランスの範囲 :47.9~38. ml/min, クレアチニンクリアランスが 50 ml/min 未満の患者は 例 ) これらの患者について, クレアチニンクリアランスによるリナグリプチンの薬物動態に対する有意な影響は認められなかった 人種 : 解析に用いた試験では,92% 以上が白人であったため, 薬物動態に対する人種の影響は, 視覚的に検討した 黒人, アジア人またはヒスパニック系の患者のリナグリプチンの血漿中濃度は, 白人患者と同様の範囲内であった 以上, 個々の共変量の影響は, いずれの共変量によっても の 20% 以上の変化は予想されなかった 最も影響を受ける条件下での, の最大の上昇は 63%( 高齢 (73 歳 ), 低体重 (67kg), 女性, メトホルミン併用,γ グルタミルトランスフェラーゼ高値 (58 U/L), 投与前 DPP-4 活性高値 (8623 RFU)), 最大の低下は 26%( 非高齢 (42 歳 ), 高体重 (7kg), 男性, メトホルミン非併用,γ グルタミルトランスフェラーゼ低値 (9.4 U/L), 投与前 DPP-4 活性低値 (8025 RFU)) と予想された 結論 : 糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態は, リナグリプチンと DPP-4 との間の濃度依存的蛋白結合を組み込んだ母集団薬物動態解析モデルによって最も良く記述された 年齢, 体重および性別を含め, 検討を行った共変量のリナグリプチンの曝露に対する影響は小さい ( いずれも 20% 未満 ) と予想されたことから, いずれの共変量の影響も臨床的に問題となるものでないと考えられた リナグリプチンの薬物動態が最も影響を受ける条件であっても,5 mg 群の の最大の上昇は +63% および最大の低下は 26% と予測された

106 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 母集団薬物動態 / 薬力学解析 表題 : 試験 28.2,28.3,28.5 および 28.6 を統合したデータに基づく母集団薬物動 態 / 薬力学解析による, リナグリプチンの薬物動態 / 薬力学に対する共変量の影響の 検討 参照 : CTD ,U 目的 : 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの血漿中濃度と血漿中 DPP-4 活性関係を検討すること, およびこの関係に対する内的および外的要因の影響の評価を行うこと また血漿中 DPP-4 活性, 空腹時血漿中グルコース, および HbAc の間の関係を視覚的に検討すること 方法 : NONMEM ソフトウェアシステムを用いて, 非線形混合効果モデルによる母集団解析を実施した 薬物動態 / 薬力学関係を表すパラメータに対する共変量の影響の検討は, 変数増加 / 変数減少法を用いて行った 統計学的に有意であった共変量が, 血漿中 DPP-4 活性の 50% 阻害 (IC 50 ) および DPP-4 活性の 80% 阻害 (IC 80 ) をもたらすリナグリプチンの血漿中濃度に及ぼす影響を評価した また, 血漿中 DPP-4 活性, 空腹時血漿中グルコース (FPG) および HbAc のバイオマーカー間の関係を視覚的に検討した 結果 : 最終モデルを表 5.: 7 および 8 に示す リナグリプチンの血漿中濃度と血漿中 DPP-4 活性との関係は,Sigmoid E max モデルによって最も適切に記述され,IC 50 は男性が 2.84 nm, 女性が 3.05 nm,ic 80 は男性が 5.07 nm, 女性が 5.44 nm, ヒル係数は 3.22 であった ( 基本モデルでは,IC 50 が 2.97 nm,ic 80% が 5.30 nm と予測された ) IC 50 およびベースラインの血漿中 DPP-4 活性 (BSL) に被験者間変動を設定した また,IC 50 および BSL との間に相関関係が認められたことから,IC 50 に対して,BSL 値を共変量として組み入れた 共変量の影響を検討した結果, 統計学的に有意な共変量として,BSL には γ グルタミルトランスフェラーゼ, アラニントランスアミナーゼ, 空腹時血漿中グルコース, トリグリセリド, コレステロールおよび性別, ならびに IC 50 にはトリグリセリドが組み入れられた 共変量の効果 :

107 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 0 性別 : 男性に比べて, 女性では BSL が高かった ( 女性 :565 RFU, 男性 :0700 RFU) この ことから,IC 50 および IC 80 は, 男性よりも女性で高くなると予想された ( 男性 2.84 nm, 女性 3.05 nm および男性 5.07 nm, 女性 5.44 nm) γ グルタミルトランスフェラーゼ (GGT):GGT が 75 U/L 以下の患者においては,GGT が 32.3 U/L( データセットの中央値 ) から GGT が U/L 増加するごとに,BSL が 0.53% ずつ増加した 一方,GGT が 75 U/L より高い患者では,GGT 値が 32.3 U/L の患者に比べて,BSL が 2.3% 上昇することが予想された GGT 値が 0.9 U/L( データセットの 5 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.76 nm,ic 80% が 4.92 nm であり, 一方,GGT 値が 24.8 U/L( データセットの 95 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 3.2 nm,ic 80% が 5.73 nm と予想された アラニントランスアミナーゼ (ALT):ALT が 28.8 U/L( データセットの中央値 ) から U/L 増加するごとに,BSL が 0.75% ずつ増加した ALT が 0.6 U/L( データセットの 5 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.76 nm,ic 80 が 4.92 nm であり, 一方,ALT が 75.9 U/L( データセットの 95 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 3.06 nm,ic 80 が 5.45 nm と予想された 空腹時血漿中グルコース (FPG):FPG が 8.9 mm( データセットの中央値 ) から mm 増加するごとに,BSL が.46% ずつ増加した FPG が 5.7 mm( データセットの 5 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.72 nm,ic 80 が 4.85 nm であり, 一方,FPG 濃度が 3.4 mm( データセットの 95 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 3.0 nm,ic 80 が 5.37 nm と予想された コレステロール : コレステロールが 83 mg/dl( データセットの中央値 ) から mg/dl 増加するごとに,BSL が 0.026% ずつ増加した コレステロールが 98.6 mg/dl( データセットの 5 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.78 nm,ic 80 が 4.97 nm であり, 一方, コレステロールが mg/dl( データセットの 95 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.90 nm,ic 80 が 5.7 nm と予想された トリグリセリド : トリグリセリドが 60 mg/dl( データセットの中央値 ) から mg/dl 増加するごとに,BSL が % ずつ増加した また, トリグリセリドが mg/dl 増加するごとに,IC 50 は 0.053% 減少し, 結果的に,IC 50 に対する BSL 増加の影響は打ち消された トリグリセリドが 68.5 mg/dl( データセットの 5 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.8 nm,ic 80 が 5.02 nm であり, 一方, トリグリセリドが 422. mg/dl( データセットの 95 パーセンタイル ) の男性患者では,IC 50 が 2.92 nm,ic 80 が 5.2 nm と予想された 最も影響を受ける条件下, すなわち GGT 高値 (24.8 U/L),ALT 高値 (75.9 U/L),FPG 高値 (3.4 mm), トリグリセリド高値 (422. mg/dl), コレステロール高値 (263.8 mg/dl), および女性, ならびに GGT 低値 (0.9 U/L),ALT 低値 (0.6 U/L),FPG 低値 (5.7 mm), トリグリセリド低値 (68.5 mg/dl), コレステロール低値 (98.6 mg/dl), および男性において, それぞれ,IC 50 が最大 4.3 nm および最小 2.49 nm,ic 80 は最大 7.38 nm, 最小 4.44 nm と予想された

108 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 02 DPP-4 活性,FPG および HbAc 間の関係を視覚的に検討した トラフ時の血漿中 DPP-4 活性と FPG または HbAc との間に相関が認められた CTD , R で報告されている通り, 血漿中 DPP-4 阻害率が 80% 以上の場合は,FPG および HbAc がさらに低下するという傾向はみられなかった (CTD ,U ,Figure 0.2: 5-6) リナグリプチン投与後の FPG および HbAc の低下率は, それぞれベースラインの FPG および HbAc に依存的であった すなわち, ベースラインの FPG および HbAc が高いほど, リナグリプチン投与後の FPG および HbAc の低下率が大きかった (CTD ,U ,Figure 0.2: -2) HbAc の変化率と FPG との変化率との間に, ほぼ比例的な相関関係が認められた (CTD , U ,Figure 0.2: 7) 結論 : リナグリプチンの血漿中濃度と血漿中 DPP-4 活性との関係は,Sigmoid Emax モデルによって最も適切に記述され,IC 50 値の母集団平均値は男性が 2.84 nm, 女性が 3.05 nm であり, ヒル係数は 3.22 であった IC 50 および IC 80 に対する個々の共変量の影響は非常に小さく,IC 50 は 2.72 nm~3.2 nm,ic 80 は 4.85 nm~5.73 nm の範囲にあった 最も影響を受ける条件下でも,IC 50 の変化は最小 2.49 nm から最大 4.3 nm,ic 80 の変化は最小 4.44 nm から最大 7.38 nm と予測された トラフ時の血漿中血漿中 DPP-4 阻害率と FPG または HbAc との間に相関がみとめられたが, 血漿中 DPP-4 阻害率が 80% 以上の場合は,FPG および HbAc がさらに低下するという傾向はみられなかった リナグリプチン投与後の FPG および HbAc の低下率は, それぞれベースラインの FPG および HbAc に依存的であった HbAc の変化率と FPG との変化率との間に, ほぼ比例的な相関関係が認められた

109 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 日本人患者における母集団薬物動態 / 薬力学解析 試験 28.2 のデータに基づく母集団薬物動態 / 薬力学解析による, リナグリプチンの薬物動態 / 薬力学の検討 参照 : CTD ,U 目的 : 日本人 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの血漿中濃度と血漿中 DPP-4 阻害関係を母集団薬物動態 / 薬力学モデルを用いて検討すること, および作成したモデルを用いたシミュレーションにより日本人患者における用量設定根拠をサポートすること 方法 : NONMEM ソフトウェアシステムを用いて, 非線形混合効果モデルによる母集団解析を実施した 薬物動態モデルは, 試験 28.2,3,5,6 のデータに基づく母集団薬物動態解析の基本モデルを元に, モデルを作成した 薬物動態 / 薬力学モデルは,Sigmoid E max model および DPP-4 占拠率と DPP-4 阻害率を用いたモデルを検討した なお, 解析に用いた被験者数が少なかったため, 共変量の探索は行わなかった Quantitative predictive check および図示により, 基本モデルの推定精度を評価した 試験 28.2 では検討されなかった 日 回リナグリプチン 5 mg 投与による DPP-4 阻害率の推移を予測するためにシミュレーションを行い,2.5 mg および 0 mg 投与時と比較した 結果 : リナグリプチンの血漿中濃度は, 飽和的蛋白結合 ( 高親和性 / 低結合能 ) を中央コンパートメントおよび末梢コンパートメントに組み込んだ 2 コンパートメントモデル ( 図 5.2: 2) により良く表された 個体間変動は F,KA,CL/F および BMAX に対数誤差モデルとして, 残差モデルは相対誤差モデルとして組み込んだ DPP-4 阻害は, モデルから推定されるリナグリプチンによる DPP-4 占拠率と DPP-4 阻害率を用いたモデル ( 式 ()) によって良く表された DPP - 4 inhibition = E max C B b max 式 () E max : 最大阻害率 Cb/B max : モデルから推定されるリナグリプチンによる DPP-4 占拠率 E max に対する個体間変動は非常に小さかったため (<3%), モデルには組み込まなかった 残差モデルは相対誤差モデルとして組み込んだ 最終モデルを表 5.: 9 および 0 に示す 最終モデルを用いて, 日 回リナグリプチン 2.5,5,0 mg 投与後の DPP-4 阻害率の推移を予測した その結果,5 mg および 0 mg 投与後の定常状態の DPP-4 阻害率の中央値は投与 24

110 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 04 時間後においても 80% 以上 (5 mg:84.2%,0 mg:87.7%) であると予測された 一方,2.5 mg 投与後の定常状態での投与 24 時間後の DPP-4 阻害率の中央値は 80% 未満 (79.2%) であると予 測された 95 DPP-4 inhibition [%] mg 5 mg 2.5 mg Time after last administration [hours] 中央値 ( 線 ) および 90% 信頼区間 ( 斜線部分 ) 引用元 :CTD ,U 849-0,Figure : より作成 図 2.25: 母集団薬物動態 / 薬力学モデルを用いた 日 回リナグリプチン 2.5,5,0 mg 投与後の定常状態での DPP-4 阻害率の推移のシミュレーション 結論 : リナグリプチンの非線形な薬物動態は飽和的蛋白結合 ( 高親和性 / 低結合能 ) を組み込んだ薬物動態モデル,DPP-4 阻害率は DPP-4 占拠率と DPP-4 阻害を相関させた薬力学モデルにより良く表された 最終モデルを用いたシミュレーションの結果, リナグリプチン 5 mg 投与時の定常状態での DPP-4 阻害率が投与 24 時間後も 80% 以上であったことから, 日本人 2 型糖尿病患者において 日 回リナグリプチン 5 mg 投与は臨床用量として適切であることが示唆された

111 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 全試験を通しての結果の比較と解析 この章では, 下記の点について, 全試験の結果に基づいて記載する 薬物代謝, 薬物相互作用試験, 蛋白結合, および血球移行などの in vitro 試験 2 型糖尿病患者での曝露を含む, 臨床薬物動態試験における基本的な薬物動態特性 単回投与と反復投与間での薬物動態の比較 健康被験者と患者間での薬物動態の比較 肝機能障害, 腎機能障害, 性別, 体重, 身長,BMI および人種などの内因性要因が薬物動態に及ぼす影響 薬物相互作用, 飲酒および喫煙などの外因性要因が薬物動態に及ぼす影響 QT 間隔に対する影響 血糖コントロールマーカーを含む直接的および間接的な有効性バイオマーカーおよびリナグリプチンの濃度と薬力学との関係 3. ヒト試料を用いた in vitro データおよび非臨床データリナグリプチンの膜透過性, 蛋白結合, トランスポーターの関与, ならびにチトクロム P450 による代謝, 阻害および誘導に関して in vitro で検討を行った これらの結果の詳細は CTD に記載されている 血漿蛋白結合 マウス, ラット, ウサギ ( 雌のみ ), イヌ, カニクイザルおよびヒトの血漿にて in vitro 平衡透析法によりリナグリプチンの蛋白結合率を測定した マウス, ラットおよびヒトの血漿で蛋白結合率に濃度依存性が認められた 30 nm を上回る濃度における蛋白結合率は 75%~89% であった [CTD ,U ;CTD ,U -2596] しかし 30 nm 未満の濃度では, ラット, マウスおよびヒトの血漿において蛋白結合率は濃度の低下とともに上昇した ( 最大で約 99%)[CTD ,U -26-0;CTD ,U -2596,CTD ,U -255] ヒト血漿において,0 mg 経口投与後の ( 試験 28.3:8.8 nm) と同程度の濃度である 20 nm におけるリナグリプチンの蛋白結合率は約 84% であり, 一方,2 nm での蛋白結合率は 98.8% であった これは 2 nm と 20 nm の間で非結合型分率が 0 倍以上増加することを意味する ヒトに臨床用量を投与した後の血漿中濃度において, 血漿蛋白結合率は濃度依存的に変化する 濃度依存的な蛋白結合を図 3.: に示す

112 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 06 [ 3 H]linagliptin concentration in plasma at equilibrium[nm] f B = 蛋白結合率 曲線は回帰曲線を示す 回帰式は下図中に示す 引用元 :CTD ,U 26-0,Figure 9: 3 より作成 図 3.: ヒト血漿における [ 3 H] リナグリプチンの血漿蛋白結合率の濃度依存性 また,DPP-4 欠損ラットおよび DPP-4 ノックアウトマウスの血漿中では濃度依存的な血漿蛋白結合がみられないが,DPP-4 の遺伝子型が野生型の動物では濃度依存的な血漿蛋白結合となる理由は, 標的である血漿中可溶性 DPP-4 に対してリナグリプチンは高親和性で飽和的な結合を

113 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 07 示すためであることが示された [CTD ,U -26-0;CTD ,U -255] DPP-4 ノックアウトマウスにおいてリナグリプチンの終末相における半減期および MRT は野生型マウスに比べて短縮し, その見かけの分布容積 (V (ss) ) は野生型マウスより小さかった また DPP-4 ノックアウトマウスでは見かけの分布容積 (V (ss) ) は用量によらずほぼ一定であったが, 野生型マウスでは mg/kg および 0 mg/kg の間で用量の増加とともに低下した [CTD 2.6.4,4.3 項 ] したがって, 血漿中 DPP-4 へのリナグリプチンの結合が飽和することが, リナグリプチンの濃度依存的な蛋白結合の要因であると考えられる ヒトでの臨床用量投与後の血漿蛋白結合は, 主に DPP-4 によって決定されると考えられる リナグリプチンが高濃度になると蛋白結合は DPP-4 非依存的となると考えられる (f B = 約 78%, 図 3.: 参照 ) リナグリプチン約 600 nm でのヒト血清アルブミンおよびリナグリプチン約 2000 nm での α 酸性糖蛋白へのリナグリプチンの結合率は, それぞれ f B =48.2% および 32.8% であり, アルブミンまたは α 酸性糖蛋白のいずれによってもリナグリプチンの DPP-4 非依存的な蛋白結合は完全には説明できないことが示唆された [CTD ,U -26-0] ただし,in vivo におけるアルブミンまたは α 酸性糖蛋白へのリナグリプチンの結合は, 単離 精製した蛋白の in vitro における結合とは異なる可能性も考えられるので, この結果は慎重に解釈する必要がある 腎機能障害または肝機能障害の患者の血漿において, リナグリプチンの in vitro の血漿蛋白結合率には大きな変化はなかった [CTD ,U ] 親化合物のほかに, 薬理活性をもたない代謝物 CD 790 の血漿蛋白結合率についても,,0 および 00 nm において平衡透析法および高速液体クロマトグラフィー -タンデム質量分析法 (HPLC-MS/MS) により, 検討を行った [CTD ,U 95-0] ラット, サルおよびヒトにおいて,0 および 00 nm では,CD 790 の血漿蛋白結合は高かったが, 濃度によらず一定であった ( ラット, サル, ヒトで, それぞれ 89.3,97.,94.7%) nm では透析物の濃度が定量下限 (LLOQ) を下回ったため, 蛋白結合率を正確に算出できなかった 親化合物であるリナグリプチンで認められた濃度依存的な蛋白結合は, 主な代謝物である CD 790 ではみられないと考えられた 血球への移行 血球への [ 4 C] 放射能の移行は濃度依存的であり, リナグリプチンの非結合型分率が増すと血球移行も増加した (5 mg の [ 4 C] リナグリプチンの静脈内投与後の最大 C blood cells /C plasma 比の幾何平均値は 0.378[.5 時間値, その時点の血漿中リナグリプチン濃度の幾何平均値 :79.7 nm]) 臨床用量付近の用量を経口投与したときのリナグリプチン濃度範囲では, 血漿中の遊離型のリナグリプチンは少ないことが示されている [CTD 2.6.4,4. 項 ] したがって 0 mg の [ 4 C] リナグリプチンの経口投与後の血球への移行は無視できる程度であった ( 最大 C blood cells /C plasma 比の平均値は [3 時間値, その時点の血漿中リナグリプチン濃度の幾何平均値 :.0 nm])[ctd , 試験 28.7] In vitro 試験からも同様の結果が得られている [CTD , U ]

114 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 08 in vitro における代謝 In vitro のヒト肝ミクロソームおよびヒト肝細胞を用いた試験の結果,[ 4 C] リナグリプチンは代謝をあまり受けなかった これは, ヒト [CTD ,U -75] および動物においてリナグリプチンが主に未変化体のまま排泄されるという結果と一致していた in vitro 試験の結果からリナグリプチンは CYP3A4 によって代謝されることが示された リナグリプチンの代謝に他の CYP 酵素の寄与は示されなかった CYP3A4 は主な代謝物である CD 790 の形成に関与している [CTD ,U ] ヒト腎ミクロソームおよびモノアミンオキシダーゼによる [ 4 C] リナグリプチンの代謝は認められなかった [CTD ,U ] ラットにおいて, リナグリプチン 6 または 60 mg/kg を 日 回 4 日間反復経口投与したとき, チトクロム P450 活性に大きな影響は認められなかった [CTD ,U -293] またラット [CTD ,U -293] およびヒト肝細胞を用いた in vivo 試験 [CTD , U ] において, 酵素誘導 (CYPA2,2B6 および 3A4) を示唆する所見は認められなかった したがってリナグリプチンは肝チトクロム P450 を誘導しないと考えられる リナグリプチンはヒト肝ミクロソーム中での CYP3A4 活性を競合的に弱く (K i =5 µm) 阻害し [CTD ,U -02], モノアミンオキシダーゼ B(MAO-B) が触媒するキヌラミンの脱アミノ化を K i =2.39 µm で阻害した [CTD ,U ] リナグリプチンは, ヒト肝ミクロソーム中の CYP3A4 の低度から中程度の不可逆的阻害剤であることが明らかにされている (k inact =0.027 min - ~0.04 min - )[CTD ,U -02] リナグリプチンの臨床用量投与後の血漿中濃度が低 nm の範囲であることを考えれば, 上記の結果は臨床的に問題になるものではないと考えられる リナグリプチンは, その他の CYP アイソザイムを阻害しなかった ( 検討したチトクロム :A,A2,2A6,2B6,2C8,2C9,2C9,2D6,2E および 4A) [CTD ,U -02] ヒト肝ミクロソームを用いて CD 790 によるチトクロム P450 の阻害についても検討した [CTD ,U 55-0] CD 790 は CYP2C9 を競合的に阻害し,CYP3A4 を不可逆的に阻害することが示された CD 790 による CYP3A4 の不可逆的な阻害によって相互作用を生じる可能性を予測したところ,CYP3A4 による固有クリアランスが 0.9 倍に低下すると予想された [CTD ,U -55-0] したがって in vivo の条件下において CYP アイソザイムの阻害が生じる可能性は低いと考えられた CYP2C9 阻害における IC 50 値は 5~20 µm であった 臨床用量範囲での CD 790 の最高血漿中濃度がこの 000 分の 未満であることを考えれば,CYP2C9 阻害による臨床的に問題となる薬物動態的な相互作用の可能性は極めて低いと考えられる 以上より,CYP を介する併用薬の代謝に CD 790 が影響を及ぼす可能性は低いと考えられる

115 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 09 膜透過性およびトランスポーターの関与 マンニトール, アテノロール, プロプラノロールを指標として, それぞれ, 低い, 中程度, 高い 膜透過性を評価できる Caco-2 細胞を用いて,apical 側から basal 側および basal 側から apical 側へのリナグリプチンの膜透過性を検討した [CTD ,U -795] リナグリプチンの膜透過性は中程度に分類され, その固有膜透過速度は cm/sec であった ( マンニトール : cm/ 秒 [ 平均値 ±8.2% CV]; アテノロール : cm/sec[ 平均値 ±2.2% CV]; プロプラノロール : cm/sec[ 平均値 ±3.0% CV]) また, シクロスポリン A およびベラパミルによって阻害される方向性輸送 (efflux ratio:54.4[ 平均値 ± 2.2% CV]) が認められ, リナグリプチンは P- 糖蛋白の基質であることが示された このことは MDR 発現 LLC-PK 細胞を用いた in vitro 試験においても確認された [CTD ,U -309] リナグリプチンは in vitro において P- 糖蛋白を阻害するが,IC 50 値は 50 µm より高く, 臨床用量であるリナグリプチン 5 mg 投与後の はこの約 3000 分の 未満の濃度なので, 臨床用量投与後の血漿中濃度においてリナグリプチンが P- 糖蛋白を阻害する可能性は低いと考えられた [CTD ,U -795,CTD ,U -309] またリナグリプチン 5 mg のモル単位に換算した用量は約 0 µmol であり, 消化管内における相互作用の可能性も非常に低いと考えられる リナグリプチンは BCRP および MRP2 の基質でも阻害剤でもない [CTD , U -309] リナグリプチンが SLC トランスポーターの基質または阻害剤であるか否かの検討を行った [CTD ,U -309] その結果, リナグリプチンは OATP8,OCT2,OAT4,OCTN および OCTN2 の基質であることが明らかとなり,in vivo においてリナグリプチンは OATP8 を介して肝臓に,OCT2 を介して腎臓に取り込まれ,OAT4,OCTN および OCTN2 を介して腎臓から分泌および再吸収される可能性が示唆された OATP2,OATP8 および OCTN の活性は,00 µm のリナグリプチンによってわずかに阻害を受けた また OCT および OATP2 の活性はリナグリプチンにより阻害され,IC 50 値はそれぞれ 45.2 µm および 69.7 µm であった SLC トランスポーターの阻害に必要なリナグリプチン濃度は µm レベルであることから, 臨床上での薬物相互作用の可能性は低いと考えられる ブタ腎臓上皮細胞由来 LLC-PK 細胞を用いた試験において, リナグリプチンは腎臓から能動的に分泌される可能性が示され [CTD ,U -348], このことはヒトでは臨床用量を上回る高用量 ( 最高 600 mg) においてリナグリプチンの腎クリアランスが糸球体ろ過率を上回ること [CTD , 試験 28.] とも一致していた また本細胞株における輸送クリアランスが飽和することから, リナグリプチンの蛋白結合が高親和性かつ低結合能であることが示唆された [CTD ,U -348] トランスポーターの基質または阻害剤としてのリナグリプチンについての in vitro データを以下の表 3.: にまとめる

116 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 0 表 3.: リナグリプチンがトランスポーターの基質または阻害剤であるかの検討結果 トランスポーターファミリー ABC トランスポーター 基質になるか阻害剤になるか IC 50 資料番号 MDR Yes Yes 55 µm CTD ,U 795 (P-gp) (Km=87 µm) 66. µm CTD ,U 309 BCRP No No CTD ,U 309 MRP2 No No CTD ,U 309 SLC OATP8 Yes Yes >00 µm CTD ,U 309 OCT2 Yes No CTD ,U 309 OAT4 Yes No CTD ,U 309 OCTN Yes Yes >00 µm CTD ,U 309 OCTN2 Yes No CTD ,U 309 OATP2 No Yes 69.7µM CTD ,U 309 OATP-B No No CTD ,U 309 OCT No Yes 45.2µM CTD ,U 309 OAT No No CTD ,U 309 OAT3 No No CTD ,U 309 ABC=ATP binding cassette,slc=solute carrier

117 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3.2 健康被験者および 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチンの基本的な薬物動態 3.2. 健康被験者健康被験者における経口投与または静脈内投与後のリナグリプチンの基本的な薬物動態を検討した 単回経口投与後のリナグリプチンの薬物動態は, ランダム化, 二重盲検, 並行群間比較, プラセボ対照, 用量漸増試験である試験 28. において検討した 本試験では 2.5 mg から 600 mg までの広範囲の用量が投与されたが, リナグリプチンの薬物動態は臨床用量である 5 mg 付近では非線形であり, 試験 28. から得られる臨床用量付近の薬物動態データは限られている 試験 28. 以外では, 相対バイオアベイラビリティ試験 ( 試験 28.8, 試験 28.25, 試験 28.34),Thorough QT 試験 ( 試験 28.32), ヒト 4 C-ADME 試験 ( 試験 28.7), 静脈内投与試験 ( 試験 28.0) の経口投与群, 薬物相互作用試験の一部, 肝機能障害試験 ( 試験 28.27) および腎機能障害試験 ( 試験 28.26) の対照群から, 健康被験者における ~0 mg 単回経口投与後のリナグリプチンの薬物動態データが得られている ( 詳細については表 5.: ~5.:4 ならびに CTD 2.7. 表 4.: を参照 ) リナグリプチン 0.5~0 mg 単回静脈内投与時の薬物動態は, 静脈内投与試験 ( 試験 28.0) およびヒト [ 4 C]ADME 試験 ( 試験 28.7) において検討した 健康被験者を対象とした反復経口投与時の薬物動態データは, いくつかの薬物相互作用試験, 用量比例性試験 ( 試験 28.33), ならびに肝機能障害試験 ( 試験 28.27) および腎機能障害試験 ( 試験 28.26) の対照群から得られている 日本人 ( 試験 28.) および中国人 ( 試験 28.58) の健康被験者における単回経口投与および反復経口投与後の基本的な薬物動態データも検討しており, 白人と同様であることが示されている 型糖尿病患者試験 28.2,28.3( 白人患者 ), 試験 28.2( 日本人患者 ) および試験 28.26( 正常腎機能または高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者 ) において, ノンコンパートメント解析により 2 型糖尿病患者における ~0 mg および 0.5~0 mg のリナグリプチンの単回および反復経口投与時の薬物動態を検討した また試験 28.2 および 28.3 において被験者あたり頻回採血したデータ, ならびに第 IIb 相試験である試験 28.5 および 28.6 から被験者あたり少数の採血を行ったデータを用いて, 母集団薬物動態解析 (2.23 項参照 ) による 2 型糖尿病患者での薬物動態の評価も行った 基本的な薬物動態的な特徴は全試験を通して一貫しており, 健康被験者および患者間でも同様であったため, 以下の 項では両群の薬物動態特性をまとめて記載した 要約および考察リナグリプチンの薬物動態 単回投与および反復投与後, リナグリプチンは速やかに吸収され, その最高血漿中濃度到達時間 ( ) の中央値は約.5 時間 ( 範囲 :0.5~8.0 時間 ) であることから, 主な吸収部位は小腸

118 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 2 上部であることが示唆される 臨床用量付近では, リナグリプチン血漿中濃度は 到達後に 少なくとも二相性に低下する リナグリプチンの単回投与および反復投与後の算術平均血漿中濃度 - 時間推移を図 3.2.3: および図 3.2.3: 2 に示す Linagliptin plasma concentrations [nm] Linagliptin plasma concentrations [nm] Linagliptin plasma concentrations [nm] Time [hours] iff 投与時のデータ, 上図 : 普通軸, 中図 : 片対数軸, 下図 : 普通軸 ( 投与 24 時間後まで ) 引用元 :CTD , 試験 28.25,Table 5.5..: 6 より作成 図 3.2.3: 健康被験者におけるリナグリプチン 5 mg 単回経口投与後のリナグリプチン 血漿中濃度 - 時間推移 ( 試験 28.25, 平均値 ±SD)

119 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3 Linagliptin plasma concentrations [nm] Linagliptin plasma concentrations [nm] Linagliptin plasma concentrations [nm] Time [hours] 上図 : 普通軸, 中図 : 片対数軸, 下図 : 普通軸 ( 投与 24 時間後まで ) 引用元 : CTD , 試験 28.2,Table 5.5..: 9 より作成 図 3.2.3: 2 2 型糖尿病患者におけるリナグリプチン 5 mg 反復経口投与後の定常状態でのリナグリプチン血漿中濃度 - 時間推移 ( 試験 28.2, 平均値 ±SD)

120 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 4 臨床用量を上回る用量 (25~600 mg) におけるリナグリプチン単回投与後の曝露は,25~00 mg では用量比を上回って上昇し,00~600 mg ではほぼ用量比例的に上昇した [CTD , 試験 28.] 一方, 臨床用量である 5 mg を含む ~0 mg では, 単回投与および反復投与後のリナグリプチンの薬物動態はいずれも非線形性を示し, および AUC の増加は用量比以下であった この非線形性は種々の試験において一貫して認められた 図 3.2.3: 3 に用量と投与量補正した および AUC の関係を示す ( 試験 28.,28.2,28.3,28.33 および母集団薬物動態解析 ) 単回投与後に認められた上昇は, では mg 用量群の 3.3 nm から 0 mg 用量群の 9.69 nm へと約 3 倍に過ぎず,AUC 0-24 の上昇は, mg 用量群の 40.2 nm h から 0 mg 用量群の 6 nm h へと約 4 倍に過ぎなかった および AUC の増加が用量比以下となる傾向は, 反復投与後ではさらに顕著であり, 上記の用量範囲において で約 3 倍の上昇, で 2 倍の上昇であった ( mg:4.53 nm; 0 mg:3.6 nm; mg: 8.7 nm h; 0 mg:90 nm h; 試験 28.2[CTD ])

121 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 5,norm AUC 0-24,norm ,norm [nm/mg] AUC 0-24,norm [(nm h)/mg] Dose [mg] Dose [mg] 母集団薬物動態モデル,norm,norm 8 00,norm [nm/mg] ,norm [(nm h)/mg] Dose [mg] Dose [mg] 母集団薬物動態モデル 母集団薬物動態解析による値は,000 回のシミュレーションによって得た 吸収速度定数が 0.44L/h( 第 IIb 相試験の値 ), メトホルミン非併用, 男性, リナグリプチン 5 mg 日 回投与という条件とした 体重, 年齢, γグルタミルトランスフェラーゼおよびベースライン DPP-4 活性については, データの中央値を用いた 引用元 :CTD , 試験 28.,Table : -2;CTD , 試験 28.2,Table :-0; CTD ,U 535-0,Table. より作成 図 3.2.3: 3 白人の健康被験者および患者におけるリナグリプチン ~0 mg 単回投与および反復投与後の投与量補正した AUC および の幾何平均値

122 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 時間に及ぶ長い終末相における半減期 (t /2 ) が認められ, これは単回投与および反復投与, ならびに 2.5 mg から 0 mg の全用量群を通して一貫していた [CTD , 試験 28.3] t /2 と濃度が定量可能な最終時点 (t z ) の関係を検討したところ, より短いサンプル採取期間で実施した試験の t /2 の値はより短縮し, サンプル採取期間が短いと長い t /2 を追跡できていないことが示唆された 異なるサンプル採取計画で測定した t /2 ( 幾何平均値 ) のグラフを図 3.2.3: 4 に示す t /2 の t z 依存性 t /2 [hours] t z [hours] Single dose Multiple dose 注 : 図 3.2.3: 4 にはリナグリプチン 5 mg 単独投与後の t /2 を算出した試験の結果のみを示している 引用元 :CTD , 試験 28.,Table 5.5..: 2 and : 2;CTD , 試験 28.2,Table 5.5..: 9 and : 7;CTD , 試験 28.3,Table 5.5..: 7 and : 5;CTD , 試験 28.,Table 5.5..: 2, 6 and : 3 and 6;CTD , 試験 28.25,Table 5.5..: 7 to 9;CTD , 試験 28.26, Table : 4, 5, to 3;CTD , 試験 28.27,Table : 4, 9 to ;CTD , 試験 28.30, Table : ;CTD , 試験 28.3,Table : 3;CTD , 試験 28.34,Table : and 2,CTD , 試験 28.58,Table : and 2;CTD , 試験 28.67,Table : より作成 図 3.2.3: 4 サンプル採取期間の異なるデータを用いて算出した単回投与および反復投与後のリナグリプチンの半減期 単回投与および反復投与後の終末相における半減期は用量によって変化しないことから,AUC の非線形性は見かけのクリアランスおよび見かけの分布容積の上昇を反映していると考えられる 定常状態における見かけのクリアランスは, mg の約 43 ml/min から 0 mg の約 850

123 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 7 ml/min へと約 4 倍上昇し, 定常状態における見かけの分布容積も, mg の約 450 L から 0 mg の約 L へと同程度上昇した [CTD , 試験 28.2] 200 時間にもおよぶ長い終末相半減期にもかかわらず, リナグリプチン mg 反復投与後の累積係数は約 2 であり, 用量の増加とともに 0 mg では約.2 に低下した このためリナグリプチンの累積係数から算出した半減期 (τ ln2/ln(r A,AUC /(R A,AUC ) として算出 ) は, 用量の増加とともに mg の約 24 時間から 0 mg の約 9 時間へと低下した [CTD 5.4-7,P ] また定常状態に到達する時間も用量の増加とともに mg の約 4~7 日間から 0 mg の 2 日間へと短縮した [CTD , 試験 28.2] In vitro 試験および非臨床試験の結果 (3. 項参照 ) から, 臨床用量付近で認められる非線形性の原因は濃度依存的な蛋白結合であると考えられる 濃度依存的な蛋白結合は, 血漿および組織中の DPP-4 に対するリナグリプチンの強い結合によるものであり, この結合は低い nm レベルの濃度で飽和すると推察される (in vitro での DPP-4 活性に対する IC 50 は約 nm; 第 IIb 相試験で測定したベースライン時の血漿中 DPP-4 濃度の中央値は 5.7 nm[ctd , U ];3.5.2 項も参照 ) これまでに,ACE 阻害剤であるトランドラプリルや ramipril の活性体であるトランドラプリラートや ramiprilat もリナグリプチンと同様の非線形な薬物動態特性を示すことが報告されている [CTD 5.4-0,R05-078;CTD 5.4-5,R ] またリナグリプチンの血漿中濃度は, 血漿および組織中の結合標的 (DPP-4 と考えられる ) に対するリナグリプチンの濃度依存的な蛋白結合を仮定したモデルによって最も良く説明されることからも, 濃度依存的な蛋白結合は, 血漿および組織中の DPP-4 に対するリナグリプチンの強い結合によるものであると考えられる [CTD ,U ] 母集団薬物動態解析の結果, 非結合型のリナグリプチンの見かけのクリアランスは高いと予測された (CL/F:258 L/h)[CTD ,U ] このため DPP-4 との結合が飽和している濃度域では, 非結合型のリナグリプチンは速やかに排泄されると考えられる リナグリプチン濃度が低下するにつれて DPP-4 結合型の割合が増加し, リナグリプチンの排泄は DPP-4 とリナグリプチンの複合体からの解離の影響を大きく受けるようになる DPP-4 との複合体からのリナグリプチンの解離は緩徐であることが示されており,in vitro で測定した解離速度定数 K off の値は /sec であった [CTD 5.4-5,P ] リナグリプチンを.5 時間で持続静脈内投与した後にも同様の非線形的な薬物動態が認められた 0.5~0 mg(20 倍 ) において,AUC 0- は 422 nm h から 480 nm h へと上昇し ( 約 3.5 倍 ), は.7 nm から 76 nm へと上昇し ( 約 5 倍 ), 総血漿クリアランスは 4.8 ml/min から 239 ml/min へと上昇し ( 約 5.7 倍 ), 分布容積 (V ss ) は 380 L から 540 L へと上昇した ( 約 4 倍 ) 静脈内投与後のリナグリプチンの分布容積は大きいことから, ヒトでの組織分布が広範に及ぶことを示唆している リナグリプチン 0.5 mg 静脈内投与時の投与 20 時間後までのリナグリプチンの尿中排泄率は 2.72% であり, リナグリプチン 2.5 mg,5 mg および 0 mg の静脈内投与時の尿中排泄率はそれぞれ 7.6%,2.8% および 23.0% であった [CTD , 試験 28.0] 非結合型の薬剤のみが腎臓から排泄されるので, 腎排泄は蛋白結合の濃度依存的な変化の影響を受ける 0 mg までの経口投与後の尿中排泄率の幾何平均値は, 健康被験者および患者なら

124 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 8 びに検討したすべての人種 ( 白人, 日本人, 中国人 ) で単回投与および反復投与後ともに 8% 未満であった またリナグリプチン 0.5 mg 単回静脈内投与後の尿中排泄率は 3% 未満であり, 血漿中濃度 (.7 nm) は 5 mg 経口投与後の血漿中濃度と同程度であった ( 表 3.2.3: 参照 ) 0 mg の静脈内投与 ( 76 nm) および 600 mg の経口投与 ( 4340 nm) 後にみられたように, 血漿中濃度が高い場合は未変化体の尿中排泄率はそれぞれ 23.0% および 32.7% まで上昇した [CTD , 試験 28.0;CTD , 試験 28.] 血漿および組織中の DPP-4 に対するリナグリプチンの結合率は腎排泄へ影響を及ぼし, 尿中排泄率は用量依存的に上昇する 臨床用量では尿中排泄率の割合は低く, これはヒト [ 4 C]ADME 試験 [CTD , 試験 28.7] および腎機能障害試験 [CTD , 試験 28.26;3.3.3 項も参照 ] からも確認された [ 4 C] リナグリプチンを用いた試験 28.7 において, ヒトにおける排泄, マスバランス, および代謝の検討を行った [CTD , 試験 28.7;CTD ,U -75] [ 4 C] リナグリプチンの経口投与および静脈内投与後, 検討した全試料中で最も多く認められたのは親化合物であった 経口投与後, リナグリプチンは, 血漿中において試料 (.5,3, および 6 時間後の試料をプール ) 中の放射能の 74% を占めており, 静脈内投与後には試料中の放射能の 94%(.5 時間後 ) および 84%(3 および 6 時間後の試料をプール ) を占めていた [ 4 C] リナグリプチン 0 mg 経口投与後の放射能は主に糞中に排泄され, 投与量の 83.8% が 6 日以内に排泄された 投与後 9 日目までの尿中排泄率は 6.6% であった 放射能の回収率は, 投与量の 86.~95.%( 平均値 :90.4%) であった [ 4 C] リナグリプチン 5 mg 静脈内投与後に投与量の 30.5% および 58.5% が 3 日目および 34 日目までに尿および糞中に排泄された これは静脈内投与後リナグリプチンはすべて体内循環血に入ること, および臨床用量を上回る用量ではリナグリプチンの尿中排泄率が多くなるという非線形な尿中排泄を示すためであると考えられた 放射能の回収率は平均で 89.%( 範囲 :86.7~9.6%) であった ラットおよびマウスでのデータ [CTD 2.6.4,5 項 ] と同様に, ヒトでもリナグリプチンの消失に対する代謝の寄与は少なかった リナグリプチンの経口投与後に, ヒト血漿中に最も多く ( プール試料において試料の放射能の 6.9%) 存在する代謝物は, ピペリジン部分のアミノ基がヒドロキシル基に置換された代謝物である CD 790 であった [CTD ,U -75]( 本代謝物の生成を図 3.2.3: 5 に示す )

125 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 9 リナグリプチン 図 3.2.3: 5 薬理活性をもたないリナグリプチンの代謝物 CD 790 の生成 [ 4 C] リナグリプチン 5 mg および 0 mg を経口投与および静脈内投与した際, いずれも CD 790 を含む個々の代謝物の尿中および糞中の放射能に占める割合は 0% 未満であった [CTD ,U -75] 生じた代謝物の種類は検討した動物種およびヒト間で違いはみられなかったが, 代謝物 ( 特に生成量がわずかな代謝物 ) の生成する相対割合は動物種間および動物種とヒト間で異なっていた [CTD 2.6.4,5 項 ] 健康被験者にリナグリプチン 5 mg を反復経口投与したとき, リナグリプチンの曝露量に対する CD 790 の曝露量の割合は 0% 以上であった (3.3%[CTD , 試験 28.33]) ことから, 主要代謝物 に分類した 酸化によって生成される代謝物は一般的に親化合物より親水性が高く, このため分布容積がより小さくなることを考えれば, 血漿中における CD 790 のリナグリプチンに対する曝露量の比からは,CD 790 の生成する相対割合が実際より高く予測されると考えられる ヒトでのリナグリプチンの排泄において, そのほかの代謝経路は重要ではないと考えられる CD 790( ラセミ体として試験を実施 ) は DPP-4 を阻害せず [CTD , U -453,CTD ,U 24-0], それぞれ 3 µm および 0 µm の濃度において受容体結合法または酵素測定法のいずれの方法でも 33% を上回る阻害作用はみられなかったため [CTD ,U -33], 薬理活性をもたないと判断された in vitro において CD 790 の生成の律速段階は CYP3A4 であることが示されている [CTD ,U ] in vivo における CD 790 の定常状態での曝露は, 用量の増加に伴って用量比をわずかに上回って上昇した リナグリプチン 5 mg 経口投与後の CD 790 の終末相における半減期は 7.4 時間であり, これはリナグリプチンの終末相における消失半減期よりも短かった [CTD , 試験 28.33] リナグリプチン 5 mg 経口投与後の薬物動態パラメータ 上述したとおり健康被験者および患者におけるいくつかの単回投与試験および反復投与試験においては, 臨床用量であるリナグリプチン 5 mg を投与した これらの試験で算出した薬物動態パラメータは試験を通してほぼ同程度であり, 健康被験者および患者間でも大きな違いはなかった 種々の試験 ( 母集団薬物動態解析を含む ) における空腹時単回投与後および定常状態における AUC および の値の比較を図 3.2.3: 6 に示す AUC および の差の一部は, 個

126 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 20 体間変動に由来するものと考えられる リナグリプチン 5 mg 単回投与後の AUC および の個体間変動は 8.%~89.%( ) および.0%~50.3%(AUC 0-24 ) であり, リナグリプチン 5 mg 反復投与後では 2.7%~60.8%( ) および 0.%~43.8%( ) であった 被験者数の少ないいくつかの第 I 相試験で他の試験との曝露量の違いが認められた

127 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 2 Linagliprin Cmax[nM] Linagliptin AUC0-24[nM h] 母集団薬物動態解析 ( 食事の条件なし ) および試験 A( 食後投与 ) を除き, 空腹時投与のデータを示す *: 母集団薬物動態解析による値は,000 回のシミュレーションによって得た 吸収速度定数が 0.44L/h( 第 IIb 相試験の値 ), メトホルミン非併用, 男性, リナグリプチン 5 mg 日 回投与という条件とした 体重, 年齢,γ グルタミルトランスフェラーゼおよびベースライン DPP-4 活性については, 中央値を用いた 試験 28.26:A 健康対照 ;B 軽度腎機能障害患者 ;C 中等度腎機能障害患者 ;D 高度腎機能障害患者 ;E 末期腎機能障害患者 ;F 高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者 ;G 腎機能正常の 2 型糖尿病患者試験 28.27:A 健康対照 ;B 軽度肝機能障害患者 ;C 中等度肝機能障害患者 ;D 高度肝機能障害患者 図 3.2.3: 6 健康被験者および患者におけるリナグリプチン 5 mg の単回投与および反復投与後の AUC および (/2)

128 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 22 Linagliprin Cmax,ss[nM] Linagliptin AUCτ,ss[nM h] 母集団薬物動態解析 ( 食事の条件なし ) および試験 A( 食後投与 ) を除き, 空腹時投与のデータを示す *: 母集団薬物動態解析による値は,000 回のシミュレーションによって得た 吸収速度定数が 0.44L/h( 第 IIb 相試験の値 ), メトホルミン非併用, 男性, リナグリプチン 5 mg 日 回投与という条件とした 体重, 年齢,γ グルタミルトランスフェラーゼおよびベースライン DPP-4 活性については, 中央値を用いた 試験 28.26:A 健康対照 ;B 軽度腎機能障害患者 ;C 中等度腎機能障害患者 ;D 高度腎機能障害患者 ;E 末期腎機能障害患者 ;F 高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者 ;G 腎機能正常の 2 型糖尿病患者試験 28.27:A 健康対照 ;B 軽度肝機能障害患者 ;C 中等度肝機能障害患者 ;D 高度肝機能障害患者 図 3.2.3: 6 健康被験者および患者におけるリナグリプチン 5 mg の単回投与および反復投与後の AUC および (2/2)

129 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 23 定常状態におけるリナグリプチンの薬物動態パラメータとして, 単一施設で実施して良好な管理状況下で単回および反復投与の両方の薬物動態評価が行われたと考えられる 2 型糖尿病患者を対象とした試験 28.2[CTD ] の結果を示す ( 表 3.2.3: ) 試験 28.2 で算出された および の値は, 母集団薬物動態解析の結果 ( 59 nm h; 3.6 nm) [CTD ,U 535-0], および市販予定製剤を用いた試験 28.33[CTD ] の結果 ( 53 nm h; 2.9 nm) と良く一致した 表 3.2.3: リナグリプチン 5 mg 日 回経口投与後のリナグリプチンの定常状態での薬物動態パラメータ ( 試験 28.2) リナグリプチン 5 mg(n=8) gmean (gcv[%]) [nm h] 58 (0.) [nm]. (2.7) t ½,ss 3 (7.4) a),ss.50 ( ) fe τ,ss [%] 6.27 (42.2) Vz/F,ss [L] 2700 (7.7) CL R,ss [ml/min] 70.0 (35.0) CL/F,ss [ml/min] 20 (0.) R A,Cmax.33 (30.0) R A,AUC.33 (5.0) Accumulation t b) /2.4 (37.4) a) 中央値および範囲を示す b)τ ln2/ln(r A,AUC /(R A,AUC -) を用いて算出した [CTD 5.4-7,P ] 引用元 :CTD , 試験 28.2,Table : 7 より作成 5 mg 投与時の薬物動態パラメータの個体間変動は低度 ~ 中程度であり ( 試験 28.2 では gcv: 5.%~42.4%), 種々の試験を通して同程度であることから, 全ての患者に対して同一用量を投与可能であると考えられた

130 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 内因性要因および特別な集団 3.3. 年齢,BMI, 体重および性別母集団薬物動態解析において, 年齢,BMI, 体重および性別の影響を評価した [CTD , U ] 解析には 302 例の男性患者および 60 例の女性患者からのデータを用いた 年齢は 30~78 歳, 体重は 57~32 kg,bmi は 20.4~42.2 kg/m 2 であった 年齢, 体重および性別は, 統計学的に有意な共変量であった シミュレーションの結果から得られたこれらの個々の共変量が曝露に与える影響 ( データセットの 5 パーセンタイルおよび 95 パーセンタイルの共変量の影響 ) は 8.7%~6.8% であった これらの個々の共変量による影響は, 生物学的同等性の基準の範囲内であり, 臨床的に問題となる影響はないと考えられた BMI は体重と高い相関を示すが, 視覚的な検討からは, リナグリプチンの曝露に対する BMI の明らかな影響は認められなかった (2.22 項参照 ) 以上から, 年齢,BMI, 体重および性別の内因性要因に基づく用量調節は不要であると考えられる リナグリプチン投与の効果が, 年齢,BMI および性別の影響を受けないことは, 主たる有効性検討試験の統合データに基づく層別解析でも確認された [CTD 2.7.3,3.3 項 ] 肝機能障害試験 28.27[CTD ] において, 様々な程度の肝機能障害が単回投与時 ( 対照被験者, 軽度, 中等度および高度肝機能障害患者で検討 ) の薬物動態および薬力学, または反復投与時 ( 対照被験者, 軽度および中等度肝機能障害患者で検討 ) の薬物動態および薬力学に及ぼす影響を検討した 試験には軽度 (Child Pugh スコア :6 ポイント ), 中等度 (Child Pugh スコア :7 ~9 ポイント ) および高度 (Child Pugh スコア :0~5 ポイント ) の肝機能障害患者を組み入れ, 年齢, 体重および性別を合わせた健康被験者と比較した リナグリプチン単回投与後の様々な程度の肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は, 健康被験者よりやや低く, 肝機能の低下による曝露の上昇はみられなかった 軽度肝機能障害患者では定常状態での曝露 ( および ) は健康被験者と比較して約 25% および 36% 低く, 中等度肝機能障害患者では約 4% および 8% 低かった 高度肝機能障害患者の定常状態での薬物動態パラメータを予測したところ, 反復投与時の曝露の上昇は示唆されなかった 高度肝機能障害患者での曝露の予測値は, 軽度および中等度肝機能障害患者で認められた曝露とほぼ同程度であった 健康被験者と比較してすべての肝機能障害患者群で曝露がやや低下したが,DPP-4 阻害率に対する影響はみられず, 健康被験者, 軽度肝機能障害患者および中等度肝機能障害患者における定常状態でのトラフ時の DPP-4 阻害率の中央値はいずれも 80% を上回っていた ( それぞれ 90.6%, 90.4% および 88.7%) 高度肝機能障害患者では, 単回投与 24 時間後の血漿中 DPP-4 阻害率の中央値は既に 80% を上回っていた (84.%) 試験 の結果から, 肝機能障害患者に対してリナグリプチンを投与した時, 安全性の懸念はなく, 肝機能正常な患者と同程度の有効性が得られると考えられた 第 III 相試験データを用いた層別解析結果からも, 肝機能障害患者での安全性の懸念事項は示されなかった [CTD 2.7.4,5 項 ] さらに, 母集団薬物動態解析にお

131 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 25 いて, 肝機能障害の指標となる肝酵素 (ALT,AST,GGT) の影響を検討した結果, リナグリプチンの曝露に対する臨床的に問題となる影響はないことが示された 試験 の肝機能障害患者の血漿検体において, リナグリプチンの蛋白結合は肝機能の低下によって変化しなかった [CTD ,U ] したがって現在得られているデータからは, いずれの重症度の肝機能障害患者においてもリナグリプチンの用量調節は不要であると考えられる 腎機能障害試験 28.26[CTD ] において, 様々な程度の腎機能障害がリナグリプチンの薬物動態および薬力学に及ぼす影響を評価した まず, 各 6 例の軽度, 中等度もしくは高度腎機能障害患者または ESRD 患者における薬物動態および薬力学を, 年齢, 体重および性別を合わせた健康被験者と比較した 軽度および中等度腎機能障害においては反復投与を行ったが, 高度腎機能障害および ESRD 患者にはリナグリプチン単回投与のみを行った また, これとは別に高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者 0 例の単回投与時および反復投与時の薬物動態を, 腎機能正常の 2 型糖尿病患者 例と比較した (0 例の患者は年齢, 体重および性別を高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者と合わせた ) リナグリプチンを単回投与した際, いずれの程度の腎機能障害患者群においても曝露は同程度であり, 腎機能の低下に伴うリナグリプチン曝露の上昇はみられなかった 健康被験者と比較した場合, 腎機能障害患者群では 26%~57% の曝露の上昇が認められたが, この程度の差は, 種々の試験間でみられた変動の範囲内であった (3.2.3 項参照 ) 定常状態での, 軽度腎機能障害患者のリナグリプチンの曝露は健康対照被験者と同程度であった ( : 健康被験者 54 nm h, 軽度腎機能障害患者 66 nm h) 中等度腎機能障害では, 健康被験者と比較して約 7% の曝露の上昇 ( :263 nm h) が認められた これに伴う累積係数から算出した半減期もしくは終末相における半減期の対照からの延長, および累積係数の上昇はみられなかったことから, リナグリプチンのクリアランスに対して中等度腎機能障害はほとんど影響しないと考えられた 高度腎機能障害患者での定常状態での曝露データは得られなかったので, この時点では薬物動態に及ぼす腎機能の影響について結論を下すことはできなかった このため試験 のプロトコールを改訂して, 高度腎機能障害を有する 0 例の 2 型糖尿病患者を対象として, 高度腎機能障害患者におけるリナグリプチンの定常状態での曝露に対する影響を検討した 併用薬および疾患の影響をなるべく除くため, 正常腎機能の 2 型糖尿病患者 例を対照患者とした これら高度腎機能障害を有する 2 型糖尿病患者における曝露は, 腎機能正常の 2 型糖尿病患者と比較して 42% 上昇した ( : 腎機能正常 85 nm h, 高度腎機能障害患者 262 nm h) 累積係数から算出した半減期および累積係数は両患者群とも同程度であったことから, リナグリプチンのクリアランスに対して腎機能障害は大きな影響は与えないと考えられた 中等度および高度腎機能障害患者データを用いた定常状態での薬物動態パラメータの予測値から,ESRD 患者の定常状態での曝露は中等度または高度腎機能障害患者と同程度であることが示唆された 最も曝露が上昇すると予測された ESRD 患者の定常状態での AUC の上昇は 2 倍未満であった ( 正常腎機能の 2 型糖尿病患者の.6 倍未満, 健康対照被験者の.9 倍未満 )

132 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 26 定常状態条件でのリナグリプチンおよび主な代謝物である CD 790 の尿中排泄率は, いずれの患者群とも 7% 未満であった 試験 の腎機能障害患者の血漿検体において, リナグリプチンの蛋白結合は腎機能の低下によって変化しなかった [CTD ,U ] 以上より, 様々な程度の腎機能障害患者における定常状態の曝露は健康対照被験者と比較して. 倍から.7 倍上昇した この上昇の理由の一部は, 腎排泄の低下によるものと考えられる これまでに, 吸収および腎以外のクリアランス ( たとえば代謝酵素またはトランスポーターの関与するクリアランス ) も腎機能障害の影響を受けると考えられることが報告されている [CTD 5.4-6,P ] リナグリプチンのこれまでの試験結果からは, リナグリプチンの消失において代謝の寄与はわずかであることが示されている [CTD , 試験 28.7] が, 高度腎機能障害の 2 型糖尿病患者で CD 790 の生成の低下が認められており, リナグリプチンの曝露が上昇する原因とも考えられる 曝露の上昇は, 初回投与後数時間以内からみられており, 吸収の変化または ( 全身循環に到達前の ) 代謝の変化が寄与している可能性も考えられる 試験 28.26[CTD ] の結果は, 軽度腎機能障害患者および正常腎機能の患者を組み入れた第 IIa 相および第 IIb 相データに基づく母集団薬物動態解析の結果とも一致していた [CTD ,U ] 母集団薬物動態解析では, 腎機能の低下によるリナグリプチンの曝露への大きな影響はみられなかった (2.23 項参照 ) また第 III 相試験でのリナグリプチンのトラフ濃度の解析からも, トラフ時のリナグリプチンの血漿中濃度に対する軽度および中等度腎機能障害の影響は小さいことが示されている [CTD , 試験 28.6;CTD , 試験 28.23] 第 III 相試験データを用いた層別解析結果からも, 腎機能低下患者における安全性の懸念事項は示されず, リナグリプチンの有効性は腎機能障害による影響を受けないことが示された ( 正常腎機能, 軽度腎機能障害および中等度腎機能障害患者間の比較 )([CTD 2.7.3,3.3 項 ;CTD 2.7.4, 5 項 ] も参照 ) 現在の FDA のガイダンス [CTD 5.4-4,R ;CTD ,R0-25] に, 透析によって除去される可能性が低い薬剤の場合は薬物動態に対する透析の影響を検討しなくても良いと記載されていること, および以下に述べるように透析によってリナグリプチンが除去される可能性は低いと予測されることから,in vivo での薬物動態に対する透析の影響は検討しなかった 項で述べたように, リナグリプチンは非結合型の分布容積が大きい 単回静脈内投与試験 [CTD , 試験 28.0] のデータを用いた母集団薬物動態解析モデルから推定された分布容積 (402.2 L) をリナグリプチンの分布容積と仮定し, 血液透析による非結合型のクリアランスを 200 ml/min, 透析時間を 3 時間と仮定すると, 血液透析により除去されるのは, 最初に体内に存在した薬剤の 0% 未満 (8.95%) と考えられる 仮定した分布容積には蛋白結合は考慮されていないので,70~80% の非特異的蛋白結合を考慮すると, 血液透析により除去される割合はさらに低下して 2% 未満になる

133 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 27 また非結合型のリナグリプチンの腎以外でのクリアランスが大きいことを考えれば, 透析によるクリアランスが非結合型の総クリアランスに占める割合は極めて小さいと考えられる したがって体内に存在する薬剤のうち血液透析によって除去されるのは, ごく一部であると考えられる 腹膜透析の場合も同様であると予想される したがって, リナグリプチンは, 血液透析または腹膜透析により臨床的に問題となる程度に除去される可能性は低いと考えられる 結論として, 現在得られているデータからは, いずれの重症度の腎機能障害患者においてもリナグリプチンの用量調節は不要と考えられる 人種白人, 日本人および中国人における薬物動態を比較した その結果, 薬物動態は非線形であること, 消失相における半減期は長いが薬物動態的な特徴を表す半減期ではないこと, および尿中排泄率は低いことなどのリナグリプチンの薬物動態的な特性は, いずれの民族でも同様であった 単一施設で実施された薬物動態試験である試験 28.2( 空腹時, 白人,2 型糖尿病患者, 男性 ), 試験 28.( 空腹時, 日本人, 健康成人, 男性 ) および試験 28.58( 空腹時, 中国人, 健康成人, 男女 ) の結果を比較したところ, 日本人および中国人における および は白人より 8% から 29% 高かった ( 表 3.3.4: ) しかし, 白人および日本人における薬力学的反応は同程度 ( トラフ時に DPP-4 阻害率が 80% を上回る ) であったことから, これらの曝露の差は臨床的に問題にはならないと推察される (3.7.2 項参照 ) 表 3.3.4: 白人, 日本人および中国人にリナグリプチン 5 mg を反復投与時の定常状態での曝露の比較 白人 日本人 中国人 28.2 (N=8) 28. (N=6) (N=2) gmean (gcv[%]) gmean (gcv[%]) gmean (gcv[%]) [nm h] 58 (0.) 93 (6.2) 日本人または中国人 / 白人 [nm]. (2.7) 2.0 (29.) 日本人または中国人 / 白人 引用元 :CTD , 試験 28.2,Table : 7;CTD , 試験 28.,Appendix Table 3.6; CTD , 試験 28.58,Table : 2 より作成 さらに, 第 III 相試験から得られたトラフ血漿中リナグリプチン濃度を外国人患者 (28.6 試験 ) および日本人患者 (28.23 試験 ) で比較したところ, 日本人のトラフ血漿中濃度は外国人より 0% から 2% 高かった ( 表 3.3.4: 2) しかし, 外国人でも日本人でも薬力学的反応は同程度 ( トラフ時に DPP-4 阻害率が 80% を上回る ) であった ( 表 3.5.2: 2) この結果から, 外国人と日本人で血漿中濃度および薬力学的反応に大きな違いはないと考えられた

134 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 28 表 3.3.4: 2 外国人 2 型糖尿病患者および日本人 2 型糖尿病患者にリナグリプチン 5 mg を反復投与時の定常状態でのトラフ時の血漿中濃度の比較 トラフ時の外国人日本人日本人 / 血漿中濃度 ( 試験 28.6) ( 試験 28.23) 外国人 [nm] N gmean (gcv [%]) N gmean (gcv [%]) Week (63.3) (30.5).2 Week 24 / (68.6) (26.4).0 引用元 :CTD , 試験 28.6,Table 5.6: ;CTD , 試験 28.23,Table.5.2: より作成 リナグリプチンの薬理活性をもたない代謝物である CD 790 の曝露のリナグリプチンの曝露に対する割合は, 日本人および白人とも同程度であった 母集団薬物動態解析 [CTD , U ] に用いたデータから, 黒人患者の個々のリナグリプチン血漿中濃度を非黒人患者の値と視覚的に比較した 黒人患者の例数は 8 例と少なかったが,45 例の非黒人患者と探索的に比較したところ, 特に違いは認められず, 大部分の黒人患者のリナグリプチン濃度は, 非黒人患者で認められた濃度の範囲内であった ( 図 3.3.4: を参照 ) 第 III 相試験データを層別解析した結果, リナグリプチンはすべての人種 ( 白人, 黒人およびアジア人 ) ならびに検討を行ったすべての民族 ( 非ヒスパニック系およびヒスパニック系 ) において安全であることが示された [CTD 2.7.4,5 項 ]

135 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 29 Linagliptin plasma concentration [nm] mg mg mg Time after dose (steady state) Linagliptin plasma concentration [nm] mg mg mg Time after dose (steady state) 黒丸 : 黒人患者, 白丸 : 非黒人患者上図 : 試験 28.5 の用量群ごとの図, 下図 : 試験 28.6 の用量群ごとの図 引用元 :CTD ,U 535-0,Figure 0.2: 3 より作成 図 3.3.4: 定常状態における薬物動態プロファイル ( 血漿中リナグリプチン濃度と投与後の時間 ) 3.4 外因性要因 3.4. 薬物相互作用リナグリプチンの in vitro 試験の結果 (3. 項参照 ) に基づき, リナグリプチンの曝露に対する併用薬の影響について,CYP3A4 および P- 糖蛋白の強力な阻害剤であるリトナビル [CTD , 試験 28.3](2.2 項参照 ), および CYP3A4 および P- 糖蛋白の強力な誘導剤であるリファンピシン [CTD , 試験 28.67](2.3 項参照 ) を用いて検討した ま

136 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 30 た P- 糖蛋白の基質であるジゴキシン [CTD , 試験 28.29](2.9 項参照 ) および CYP3A4 の基質であるシンバスタチン [CTD , 試験 28.9](2.7 項参照 ) に対するリナグリプチンの影響も検討した このほかにもリナグリプチンの曝露に対する併用薬の影響およびその併用薬に対するリナグリプチンの影響 ( 糖尿病治療薬のみ ) を検討した 検討した薬剤は, メトホルミン [CTD , 試験 28.4](2.4 項参照 ), ピオグリタゾン [CTD , 試験 28.3](2.4 項参照 ), グリブリド ( グリベンクラミド )[CTD , 試験 28.30](2.5 項参照 ), ワルファリン [CTD , 試験 28.28](2.7 項参照 ), およびエチニルエストラジオールとレボノルゲストレルの配合剤 [CTD , 試験 28.44](2.9 項参照 ) であった 開発の早期に実施した薬物相互作用試験では, リナグリプチンの投与量として, その時点で予測された臨床用量の最高用量である 0 mg を使用した リナグリプチン 0 mg による影響は, リナグリプチン 5 mg による影響と少なくとも同等以上と予想されるので, リナグリプチン 0 mg で実施した薬物相互作用試験の結果は 5 mg を併用した場合にも適応できると考えられる またリナグリプチン 0 mg を投与したとき, トランスポーターまたはチトクロム P450 との相互作用を受けやすい非結合型のリナグリプチン濃度が大きく上昇するので, リナグリプチン 0 mg 投与により実施した薬物相互作用試験ではリナグリプチンに対する他の薬剤の影響をより高感度に検出できると考えられる リナグリプチンは P- 糖蛋白の基質であることが明らかにされており (3. 項参照 ), リナグリプチンの薬理活性を持たない主な代謝物である CD 790 は, 主に CYP3A4 によって生成すると考えられている このため P- 糖蛋白および CYP3A4 の強力な阻害剤および強力な誘導剤の併用による薬物動態に対する影響を検討した 試験 28.3[CTD ] において, リナグリプチン 5 mg 単回投与時の薬物動態に対する CYP3A4 および P- 糖蛋白の強力な阻害の影響をリトナビルの併用投与により検討した リトナビルとの併用によりリナグリプチンの は約 3 倍に上昇し,AUC 0-24 は約 2 倍に上昇した リトナビル 200 mg 併用時の投与 24 時間後のリナグリプチンの血漿中濃度は, リナグリプチン単独投与時と比較して 5% 高値であった 終末相における半減期に対する影響はみられなかった 母集団薬物動態解析の結果, リトナビル併用による曝露の上昇はリナグリプチンのバイオアベイラビリティの上昇により最も良く説明でき, 一方, リナグリプチンの排泄に対するリトナビルの影響はほとんどみられなかった リトナビル併用時のリナグリプチン反復投与後の血漿中濃度の予測から, リトナビル併用時の累積はリナグリプチンの単独時と同程度であると予測された 第 III 相試験 ( 試験 28.6 および試験 28.23) において,CYP3A4 および P- 糖蛋白阻害剤の併用によるトラフ時の血漿中リナグリプチン濃度への影響はみられなかった これまでに得られている非臨床試験および臨床試験の結果から, リナグリプチンの安全域は広いと考えられる ( 安全域は, 毒性試験では少なくとも AUC で 32 倍 [CTD 2.6.6], ヒトでは AUC で約 90 倍 [CTD , 試験 28.] 臨床用量投与後の を 38 倍上回る濃度において QT 間隔に対する影響はみられていない [CTD , 試験 28.32])

137 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 3 したがって 2 倍の曝露上昇は臨床的に意味のある影響を及ぼさないと考えられ, 患者の安全性 に対する影響はないと予想される 第 II 相および第 III 相データを用いて,P- 糖蛋白および CYP3A4 の阻害剤の併用投与の影響を検討するための層別解析を行った この結果, リナグリプチンの安全性プロファイルは CYP3A4 および P- 糖蛋白の阻害剤の併用による影響を受けないことが明らかとなった [CTD 2.7.4,5 項 ] CYP3A4 および P- 糖蛋白の強力な誘導剤であるリファンピシン 600 mg を 日 回反復併用投与すると, リナグリプチンの および はそれぞれ 40% および 44% 低下した CYP3A4 の誘導により,CYP3A4 で生成される CD 790 の曝露は上昇すると予想されたが,CD 790 のリナグリプチンに対する AUC から算出した相対曝露は約 % から約 3% へと約 70% 低下した から算出したリナグリプチンに対する CD 790 の相対曝露は, リファンピシン併用投与により約 22% から約 2% へと約 50% 低下した [CTD , 試験 28.67] CYP3A4 による CD 790 の生成はリナグリプチンの用量依存的であり, 低用量では相対曝露がより低くなる [CTD , 試験 28.33] このため試験 でみられたリナグリプチンおよび CD 790 の曝露をこれまでの試験で検討した種々の用量の結果と比較することで, リファンピシンの作用が CYP3A または P- 糖蛋白のどちらの誘導によるものかを推察することができる 試験 28.33[CTD ] のリナグリプチン mg 単独投与後のリナグリプチンおよび CD 790 の曝露は, 試験 でリファンピシン 600 mg とリナグリプチン 5 mg の併用投与後と同程度であった したがってリファンピシン併用下でみられた影響は, バイオアベイラビリティの低下, すなわち P- 糖蛋白の誘導によるものである可能性が高いと考えられる リファンピシン併用時の薬物動態の違いを反映し, トラフ時の DPP-4 阻害率は, 非併用時の 8.% から併用時の 52.7% へと約 30%,24 時間の平均阻害率は非併用時の 85.6% から併用時の 67.6% へと約 2% 低下した リファンピシン併用投与時のトラフ時 DPP-4 阻害率の中央値は, 50% を上回っていた リファンピシン併用時と同程度の曝露および DPP-4 阻害率が得られるリナグリプチン mg 投与により, 統計学的に有意に HbAc が低下することが第 II 相試験で示されている [CTD , 試験 28.6;CTD 2.7.3,4 項 ] リファンピシン併用投与下においてもリナグリプチンは臨床的に有効であると予想されるが, 最大の効果は得られない可能性がある [ 4 C] リナグリプチンを用いた試験 28.7[CTD ] の結果から, リナグリプチンの消失における代謝の寄与はわずかであったこと, ならびに CYP3A4 と P- 糖蛋白の強力な阻害剤および強力な誘導剤の併用による薬物動態への影響は主に腸管の P- 糖蛋白を介したバイオアベイラビリティの変動によるものと考えられることから, リナグリプチンの薬物動態に対する CYP3A4 の阻害または誘導の影響は小さいと考えられる したがってリトナビルおよびリファンピシンの併用時にみられた程度のリナグリプチンの曝露に対する影響は,P- 糖蛋白の強力な阻害剤または誘導剤を併用する場合に限られると予想される また, このことは, リナグリプ

138 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 32 チンの腸管または肝臓における初回通過効果はわずかであるという非臨床データとも一致している [CTD 2.6.4,5 項 ] リナグリプチンは in vitro において弱 ~ 中程度の CYP3A4 の不可逆的な阻害剤であることが示されているので (3. 項参照 ),20 例の健康男性被験者を対象としたシンバスタチン 40 mg との薬物相互作用試験 [CTD , 試験 28.9] において, シンバスタチン (CYP3A4 の基質 ) およびシンバスタチン酸の定常状態での薬物動態に対するリナグリプチン 0 mg 反復投与の影響を検討した リナグリプチンとシンバスタチンの併用投与によって, シンバスタチンおよびシンバスタチン酸の は, それぞれ 34.2 および 33.3% 上昇した に対する影響は, に対する影響より小さかった (0.0 および 20.7%) リナグリプチンの併用による AUC および の上昇は 35% 未満であったことから,in vivo において臨床用量に近い用量を投与後の血漿中濃度付近では, リナグリプチンは CYP3A4 の弱い阻害剤に過ぎず, リナグリプチンの併用による CYP3A4 の基質となる薬剤の代謝に対する影響は小さいと考えられる また本試験は 0 mg のリナグリプチンを用いて実施されており,5 mg から 0 mg にかけて非結合型リナグリプチン濃度が用量比を上回って上昇することを考慮すると, シンバスタチンの薬物動態に対するリナグリプチン 5 mg の影響はかなり小さいと予想される In vitro におけるリナグリプチンの CYP3A4 に対する K i ( テストステロンの 6β-ヒドロキシル化に対する K i [CTD , U -02]) は 5µM であること, および in vivo でのシンバスタチンのクリアランスに対する影響がみられなかったことをもとに, 他の CYP3A4 の基質に対するリナグリプチンの影響を予測した場合, リナグリプチンによる CYP3A4 活性の阻害による薬物動態への影響は臨床的に問題にならない程度であると考えられる In vitro 試験の結果, リナグリプチンは P- 糖蛋白の弱い阻害剤である (3. 項参照 ) と考えられた このため試験 28.29[CTD ] において,P- 糖蛋白の良い基質であり 2 型糖尿病患者において併用される薬剤であるジゴキシンの定常状態での曝露に対する影響を検討した リナグリプチン反復併用投与によるジゴキシンの薬物動態に対する影響はみられなかった したがって, リナグリプチンは,P- 糖蛋白または in vivo においてジゴキシンの薬物動態に関与する他のトランスポーターの阻害剤ではないと考えられた メトホルミンおよびリナグリプチンの単独投与に対する, メトホルミン 850 mg 日 3 回投与とリナグリプチン 0 mg 反復併用経口投与後のメトホルミンおよびリナグリプチンの相対バイオアベイラビリティを試験 28.4 で検討した [CTD ] メトホルミンの の 90% 信頼区間は生物学的同等性の基準である 80~25% の範囲に含まれていたことから, リナグリプチン併用投与によるメトホルミンの曝露量への影響はないと考えられた リナグリプチンの併用により, メトホルミンの は約 % 低下した (90% 信頼区間 :78.2~00.4%) メトホルミン併用時にリナグリプチンの定常状態での曝露量 ( ) は約 20% 上昇したが, に変化はみられなかった 母集団薬物動態解析の結果からも, 同様にメトホルミンの併用によりリナグリプチンの曝露量は 9.8% 上昇することが示されている [CTD ,U 535-0]

139 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 33 リナグリプチンの安全域は広く, 第 III 相試験でメトホルミン併用時の安全性データが得られ ている [CTD 2.7.4,5 項 ] ことから, メトホルミン併用によるリナグリプチンの AUC の上昇 に臨床的な問題はないと考えられる 試験 28.3[CTD ] において, ピオグリタゾンおよびリナグリプチンの定常状態での薬物動態に対するピオグリタゾン 45 mg またはリナグリプチン 0 mg の反復併用投与の影響を, 単独投与との比較により検討した ピオグリタゾンの併用投与はリナグリプチンの定常状態の薬物動態に影響しなかった リナグリプチンの および の幾何平均値比および 90% 信頼区間は,80~25% の生物学的同等性の基準内であった 同様にピオグリタゾンの ならびにその 2 種類の活性代謝物の および は, リナグリプチン併用投与による影響を受けなかった リナグリプチンと併用投与時に, ピオグリタゾンの は約 4% 低下した の低下により安全性に問題が生じることはないと考えられ, 一般的に糖尿病治療薬の有効性は より AUC と相関すると考えられていることから, この結果は臨床的に問題にならないと考えられた 試験 28.30[CTD ] において,2 型糖尿病の治療のために併用投与される可能性が高いグリブリド ( グリベンクラミド ) の.75 mg 単回併用投与がリナグリプチンの定常状態薬物動態に及ぼす影響を検討した リナグリプチンの および の幾何平均値の比および 90% 信頼区間は, 生物学的同等性の基準である 80%~25% の範囲内であった したがって, 健康被験者においてグリベンクラミド単回併用投与によるリナグリプチンの定常状態での薬物動態に対する変化はないと考えられた グリベンクラミドの AUC 0- および はいずれも約 4% 低下した 2 型糖尿病患者を対象とし 年間グリベンクラミドを投与した試験において, 投与量と血清中薬物濃度の間に明確な相関が示されなかったこと [CTD ,R0-2430], および曝露の低下により低血糖事象のリスクは高くならないことを考えれば, これらの変化は臨床的に問題にならないと考えられる 糖尿病患者で併用投与される可能性が高い糖尿病治療薬以外の薬剤に対するリナグリプチンの影響についても, 試験 28.28( ワルファリン [CTD ]) および試験 ( : エチニルエストラジオールとレボノルゲストレルの配合剤 [CTD ]) において検討を行った これらの試験では, すべての幾何平均値の比の 90% 信頼区間が 80%~ 25% の生物学的同等性の許容範囲内であったことから, リナグリプチンの併用によるエチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの定常状態での薬物動態 (, ) またはワルファリンの単回投与時の薬物動態 (AUC 0-, ) に対する影響はないと考えられた 食事リナグリプチンの薬物動態に対する食事の影響を 2 つの臨床試験で検討した ( 試験 [CTD ] および試験 28.8[CTD ]) 詳細については CTD 2.7.,3.2 項に記載されている 要約すると, 食事によりリナグリプチンの曝露は臨床的に意味のある影響は受けず, リナグリプチンは食後または食間に投与することができると考えられる

140 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 薬力学を検討した試験およびその結果 3.5. QT 間隔に対する影響 Thorough QT 試験において,QT 間隔に対するリナグリプチンの影響を検討した [CTD , 試験 28.32] 健康被験者に対して, 臨床用量である 5 mg の 日 回単回投与および臨床用量の 20 倍の用量である 00 mg の 日 回単回投与を行った 両投与量および検討した全時点でプラセボ補正した個々の心拍数で補正した QT 間隔のベースラインからの変化の 90% 信頼区間の上限は 0 ms 未満であった ( 表 3.5.: 参照 ) ことから, リナグリプチンは臨床的に問題となる QT 間隔の延長をおこさないと考えられた さらにプラセボの QTc 間隔と比較して, 心拍数, 補正を行っていない QT 間隔またはその他の方法による補正 QT 間隔にも臨床的に問題となる延長はみられなかった また,QTcI 間隔の最大値が 480 ms を上回る被験者およびベースラインから 60 ms を上回る延長もみられなかった リナグリプチンおよび CD 790 の最高血漿中濃度到達時間付近でも心電図の測定を行っており, リナグリプチン投与時の QT 間隔に対する影響を検出するのに適切であると考えられた 臨床用量を 20 倍上回る用量 (00 mg) では, 臨床用量である 5 mg と比較して最高血漿中濃度が約 38 倍であり, リナグリプチンの安全域が広いことがさらに裏付けられた [CTD 2.6.6,;CTD 2.7.4] 試験 の結果は, 単回投与試験である試験 28.[CTD ] および反復投与試験である試験 28.2[CTD ] で探索的に検討した結果を裏付けるものであった さらに, 第 II 相および第 III 相試験においても, 臨床的に問題となるような心電図の変化はみられていない

141 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 35 表 3.5.: 試験 で測定した主要 QT 評価項目および副次的 QT 評価項目の概要 評価項目 間隔 / 時点 プラセボに対する変化 [SE] 両側 90% 信頼区間 [ 時間 ] [ms] 下限 [ms] 上限 [ms] リナグリプチン 5 mg(n=43) QTcI 間隔 ~4.2 (0.96) QTcI 間隔 0.5~ (0.8) QTcI 任意時点リナグリプチン 00 mg(n=44) b) -2.0 to 0.2 a) -2.0 to -4.4 a) 0.3 to 2.4 a) QTcI 間隔 ~ (0.96) QTcI 間隔 0.5~ (0.8) QTcI 任意時点モキシフロキサシン 400 mg(n=44) b) -0.9 to -4.7 a) -3.2 to -7.2 a) -2. to 2.0 a) QTcI 間隔 ~ (0.96) QTcI 間隔 0.5~24 NC NC NC QTcI 任意時点 a) 範囲を示す b) 0.0 to 0.5 a) -2.0 to 8. a) 2. to 2.8 a) b) それぞれリナグリプチン 5 mg および 00 mg またはモキシフロキサシン 400 mg の投与後,6 および 3 時間目の最大の変化 引用元 :CTD , 試験 28.32,Table.5.3.:,.5.3.2:,.5.3.2: 2,.5.3.2: 3,.5.2.3: DPP-4 阻害 DPP-4 は,Glucagon-like peptide-(glp-) および Gastric Inhibitory Polypeptide(GIP) を含むインクレチンを切断して不活化する酵素である [CTD 4.3-6,R0-0834] 食後, 腸管から放出されるこれらのホルモンにより, インスリン分泌の促進および膵臓からのグルコース依存的なグルカゴン分泌の阻害がおこる [CTD ,R0-2432;CTD ,R0-2434] したがって, DPP-4 を阻害するとインクレチンの分解が抑制され, これによりインスリン分泌促進およびグルカゴン分泌阻害がおこり血糖値が低下すると予想される DPP-4 阻害剤の作用機序を図 3.5.2: に示す

142 Linagliptin 臨床薬理試験 Page 36 インスリン分泌促進 インクレチン 血糖の低下 グルカゴン分泌阻害 DPP-4 によるインクレチンの不活化 リナグリプチンによる DPP-4 阻害 図 3.5.2: リナグリプチンの作用機序 いくつかの臨床試験において, リナグリプチンの薬理作用の直接的なマーカーとしてリナグリプチンによる DPP-4 阻害の測定を行った 他の DPP-4 阻害剤において,80% 以上の DPP-4 阻害が 24 時間以上持続すると最大のインクレチン反応および血糖低下の効果が得られることが非臨床試験により示されている [CTD ,R09-602;CTD ,R ] 臨床試験でリナグリプチン投与後, 血漿中 DPP-4 は速やかに阻害され, その阻害は強力かつ長時間持続した リナグリプチンの単回投与後の最大 DPP-4 阻害率は,2.5 mg で 72%,5 mg で 88.5%,25 mg 以上で 95% を上回っており, リナグリプチンは既に単回投与後でも DPP-4 を強力に阻害していた [CTD , 試験 28.] 定常状態ではリナグリプチン 5 mg または 0 mg 日 回反復投与後の血漿中 DPP-4 阻害率は投与後 24 時間を通して 80% を上回っていた [CTD , 試験 28.2;CTD , 試験 28.3] 日本人患者においてもリナグリプチン 5 mg によってトラフ時に 80% を上回る DPP-4 阻害がみられ [CTD , 試験 28.23, 表 3.5.2: 2], 白人および日本人の健康被験者も同様であった ( 表 3.5.2: 参照 ) 第 III 相試験 (5 mg 投与 ) から得られたトラフ時 DPP-4 阻害率を外国人患者 (28.6 試験 ) および日本人患者 (28.23 試験 ) で比較したところ, トラフ時の DPP-4 阻害率はいずれの民族でも 80% を上回っていた ( 表 3.5.2: 2) この結果から, 外国人と日本人で血漿中濃度および薬力学的反応に大きな違いはないと考えられた メトホルミンの併用投与, 腎機能障害, また肝機能障害によって, 定常状態 DPP-4 阻害率に対する変化はみられなかった 種々の被験者において mg,2.5 mg,5 mg および 0 mg 反復投与 ( 投与期間 4 週間以下 ) 後のトラフ時における DPP-4 阻害率を以下の表 3.5.2: にまとめる

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ 1. 血漿中濃度 (1) 健康成人の血漿中濃度 ( 単回経口投与 ) 8) 健康成人男子にスイニー 100mg 又は200mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中アナグリプチン濃度は 投与後約 1~ 2 時間で C maxに達した後 二相性の消失を示し t 1/2αは約 2 時間 t 1/2βは約 6 時間であった C max 及びAUC0- は投与量の増加に伴って増加した 血漿中アナグリプチン濃度推移

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