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1 2009 年度修士論文 液状化を含む軟弱地盤軟弱地盤の地震応答挙動及地震応答挙動及びその応答挙動応答挙動が建物応答建物応答に与えるえる影響 - 高知市の実地盤実地盤を対象対象としとした検討 - Influence that earthquake response behavior and the response behavior of soft subsoil including liquidizing give to building response -Examination intended for spot board of Kochi City- 高知工科大学大学院工学研究科基盤工学専攻社会システム工学コース 松下司 主審査員中田愼介 副審査員那須清吾 副審査員大谷英人 2010 年 1 月

2 論文要旨 内閣府中央防災会議により作成された南海地震のシナリオ波に対して 高知市の実地盤を対象に 全応力時刻歴非線形解析 全応力等価線形解析 有効応力解析 等価有効応力解析を実施し液状化を含む軟弱地盤がどのような地震応答挙動を示すかについて検討を行った また その検討により得られた地表面加速度波形を入力波として 建物の時刻歴弾塑性応答解析を実施し最大塑性率に着目し検討を行った 更に 地盤 建物の検討に基づき正弦波パルスを作成し 建物応答について試算 考察を行った これらの検討による結果および知見を以下に示す 1) 液状化地盤や工学的基盤までの深度が深い軟弱地盤の挙動によって 長周期側で加速度 速度成分の増幅する傾向が見られた 特に 液状化発生によって最大加速度は低下し短周期側で加速度 速度成分が減少するが 長周期側で加速度 速度成分は大きく増幅し 比較的耐力の低い建物に対して大きな影響を与えた 定性的には 低耐力の建物ほどその傾向が顕著に見られた 2) 有効応力解析による地表面加速度波形を建物モデルに入力して検討を行った結果 過剰間隙水圧比が 1 に達し 液状化に至る時刻以前の卓越した加速度によって低耐力の建物モデルは塑性化に至る 正弦波パルスによる試算 考察から 液状化を含む軟弱地盤の強震時等価固有周期程度に相当する周期の入力パルス波は 塑性化した建物に対して大きな影響を与え また その周期は建物モデルの塑性時固有周期と比較的近い周期であった さらに 周期が長いパルス波は低耐力の建物の固有周期を パルス波の周期に近づけるよう巻込む ( 引込む ) 現象が見られた これらの結果は 強震時に液状化を含む軟弱地盤の非線形化に伴う長周期化に 建物の塑性化に伴う長周期化が追随することに起因すると考えられた 特に 液状化地盤が建物応答に与える影響について 液状化発生前の卓越した加速度によって 建物が塑性域に入り長周期化すると 強震時の液状化地盤の非線形化に伴い長周期側で増幅した加速度 速度により 建物応答は更に大きくなる可能性があり 液状化を建物の応答低減要因とすることは非常に危険であることが示唆された

3 Thesis summary Whether nonlinear all stress time analysis, all stresses equivalent, linear analyses, the effective stress analyses, and the equivalent effective stress analyses were executed to the scenario wave of the Southern sea earthquake having been made by the Cabinet Office Central Disaster Prevention Council for the spot board of Kochi City and what earthquake response behavior the soft subsoil including liquidizing showed were examined. Moreover, the ground level acceleration crimp obtained by the examination was made an input wave, bounce plasticity response analysis of the time of the building was executed, it paid attention to the maximum plasticity rate, and it examined it. The sine wave pulse was made based on the examination of the ground and the building, and in addition, the building response was calculated provisionally and considered. The result and the finding by these examinations are shown below. 1)The tendency that the acceleration and the speed element amplified on the length cycle side was seen by the behavior of the soft subsoil with deep depth to the liquidizing ground and a technological base. Especially, the acceleration and the speed element amplified greatly, and had a big influence on a low building of the bearing force comparatively on the length cycle side though decreased by the liquidizing generation the maximum acceleration and decreased on the short cycle side the acceleration and the speed element. Qualitatively, it was thought that the tendency was remarkable like the building of a low bearing force. 2)It reaches one compared with the excess pore water pressure since the ground level acceleration wave type by the effective stress analysis is input to the building model and it examines it, and the building model of a low bearing force becomes making to plasticity by the acceleration that the time to liquidizing former is superior. The input pulse wave at the cycle that corresponded at the equivalent proper period level at the severe earthquake of the soft subsoil including liquidizing had a big influence from the trial calculation and consideration by the sine wave pulse on the building that had been made plasticity, and the cycle was a cycle comparatively near the proper period at the plasticity of the building model. In addition, the phenomenon involved to bring the proper period in the building of a low bearing force close at the cycle of the pulse wave (Withdraw) was seen as for the pulse wave with a long cycle. It was thought that these results originated the fact that the length cycle according to making of the building plasticity making followed to the length cycle according to making of the soft subsoil including liquidizing nonlinear making at the severe earthquake.

4 Especially, when the building is made an entering length cycle in the plasticity region according to the acceleration that it is superior before liquidizing of the influence that the liquidizing ground gives to the building response is generated, the building response has the possibility of growing further depending on the acceleration and the speed amplified on the length cycle side along with making of the liquidizing ground of the severe earthquake nonlinear. It was suggested that it be very dangerous to assume liquidizing to be a response decrease factor in the building.

5 目次 1. 序論 研究背景 研究目的 地盤物性の違いによる表層地盤応答について せん断波速度 Vs 密度 ρの違いによる表層地盤応答について 地盤モデルと解析条件 地盤の解析結果および考察 全応力解析による軟弱地盤の地震応答挙動および液状化判定 等価線形解析と非線形解析による軟弱地盤の地震応答解析 サイト 2 についての考察 ( 後背湿地 ) サイト 1 についての考察 ( 鏡川扇状地 ) サイト 3 についての考察 ( 三角州 ) 液状化判定 等価有効応力解析による液状化地盤の応答について 等価有効応力解析 解析概要 解析条件 等価有効応力解析による液状化地盤の応答挙動 サイト 4 における液状化地盤の応答挙動 ( 三角州 ) 地下水位を G.L-1.8m と設定したケースの液状化地盤の応答挙動 地下水位を G.L0m と設定したケースの液状化地盤の応答挙動 サイト 5 における液状化地盤の地震応答挙動 ( 自然堤防 ) 層目の水圧上昇を考慮しない場合の液状化地盤の応答挙動 層目の水圧上昇を考慮した場合の液状化地盤の応答挙動 サイト 6 における液状化地盤の応答挙動 ( 三角州 ) ,2 層目の水圧上昇を考慮しない場合の液状化地盤の応答挙動 ,2 層目の水圧上昇を考慮する場合の液状化地盤の応答挙動 ひずみ依存特性に着目した免震効果の考察... 36

6 5. 解析手法の違いによる液状化地盤応答 解析条件 解析結果 サイト サイト サイト 有効応力解析と等価有効応力解析の特徴 液状化を含む軟弱地盤が木造建物に与える影響 木造建物モデルの解析条件及び結果 考察 階建て木造建物モデルと解析条件 解析結果および考察 液状化を含む軟弱地盤が建物応答に大きな影響を与えるメカニズムの考察 軟弱地盤 液状化地盤 正弦波パルスによる試算 考察 液状化を含む軟弱地盤が中低層 RC 造建物に与える影響 液状化を含む軟弱地盤が 3 階建中低層 RC 建物に与える影響 階建て RC 造建物モデルと解析条件 解析結果および考察 液状化を含む軟弱地盤が 5 階建中低層 RC 建物に与える影響 階建 RC 造建物モデルと解析条件 解析結果および考察 液状化を含む軟弱地盤が 5 階建中低層免震 RC 建物に与える影響 階建免震 RC 造建物モデルと解析条件 解析結果および考察 結論 参考 引用文献 謝辞... 84

7 図目次 図 1-1 液状化危険区域... 1 図 1-2 木造住宅の耐力分布... 2 図 1-3 検討対象サイト... 3 図 2-1 各地盤モデルの最大応答の深さ方向分布図... 7 図 2-2 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%)... 7 図 2-3 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%)... 8 図 3-1 最大応答の深さ方向分布... 9 図 3-2 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-3 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-4 最大応答の深さ方向分布 図 3-5 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-6 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-7 加速度伝達関数 ( 重複反射理論 ) H/V スペクトル比によるピーク周期比較 図 3-8 最大応答の深さ方向分布 図 3-9 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-1 液状化強度 R20 と相対密度 Dr が等価有効応力比 - せん断ひずみ関係 およびせん断剛性 - せん断ひずみ関係に与える影響 (4.1~4 式 ) 図 4-2 最大応答の深さ方向分布 図 4-3 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-4 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-5 最大応答の深さ方向分布 図 4-6 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-7 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-8 最大応答の深さ方向分布 図 4-9 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-10 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-11 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期... 28

8 図 4-12 深さ方向の最大応答分布 図 4-13 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-14 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-15 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 図 4-16 最大応答の深さ方向分布 図 4-17 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-18 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-19 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 図 4-20 深さ方向の最大応答分布 図 4-21 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-22 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-23 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 図 4-24 深さ方向の最大応答分布 図 5-1 最大応答の深さ方向分布 図 5-2 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 図 5-3 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 図 5-4 最大応答の深さ方向分布 図 5-5 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 図 5-6 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 図 5-7 最大応答の深さ方向分布 図 5-8 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 図 5-9 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 図 6-1 解析質点モデル 復元力特性モデル 図 6-2 Takeda-Slip モデル簡略図 図 6-3 ベースシア係数 Cy0=0.2 最大塑性率 μ 図 6-4 ベースシア係数 Cy0=0.4 最大塑性率 μ 図 6-5 ベースシア係数 Cy0=0.6 最大塑性率 μ 図 6-6 減衰の与え方の違いによる最大塑性率 μ( 全応力非線形解析波形入力 )... 51

9 図 6-7 時刻歴の地表面加速度波形 建物モデル 1 階加速度波形および最大相対変位 図 6-8 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-9 地盤の入力と地表のフーリエ振幅スペクトル比による増幅率および 建物モデルの各剛性における 1 次 2 次減衰固有周期 図 6-10 地表加速度応答スペクトル (5%) および層間変形角に対応する加速度 α 図 6-11 主要動の抽出加速度波形 図 6-12 各抽出加速度波形のフーリエ振幅スペクトル 図 6-13 時刻歴過剰間隙水圧比 (4 層目細分割 5 層 ) および地表面加速度波形重ね合わせ. 59 図 6-14 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-15 建物モデル (1F) の時刻歴相対変位 図 6-16 入力正弦波パルス nw= 図 6-17 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-18 入力正弦波パルス nw= 図 6-19 建物モデル (1F) の時刻歴応答加速度 相対変位 図 6-20 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-21 正弦波パルスおよび建物モデル (1F) のフーリエ振幅スペクトル 図 6-22 正弦波パルスと建物モデル 2F の伝達関数 図 6-23 入力パルス波 図 6-24 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-25 位相遅れ角 α 図 6-26 動的変位増幅率 図 7-1 解析質点モデル 復元力特性モデル 図 7-2 ベースシア係数 Cy0=0.2 最大塑性率 μ 図 7-3 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 7-4 ベースシア係数 Cy0=0.4 最大塑性率 μ 図 7-5 ベースシア係数 Cy0=0.6 最大塑性率 μ 図 7-6 解析質点モデル 復元力特性モデル 図 7-7 ベースシア係数 Cy0=0.2 最大塑性率 μ... 75

10 図 7-8 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 7-9 ベースシア係数 Cy0=0.4 最大塑性率 μ 図 7-10 ベースシア係数 Cy0=0.6 最大塑性率 μ 図 7-11 免震層の最大層間変形角 1/R... 78

11 表目次 表 2-1 各モデルの初期 1 次固有振動数およびβ... 5 表 2-2 サイト 1 におけるモデル の解析地盤モデル ( 鏡川扇状地 )... 5 表 2-3 土質別密度 ρ( 高知市地盤調査会 )... 6 表 3-1 サイト 2 の地盤モデル パラメタ ( 後背湿地 )... 8 表 3-2 サイト 3 地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) 表 3-3 サイト 4 における液状化判定結果 ( 三角州 ) 表 3-4 サイト 5 における液状化判定結果 ( 自然堤防 ) 表 3-5 サイト 6 における液状化判定結果 ( 三角州 ) 表 4-1 細粒分含有率 FC 補正 N 値増分 FC 表 4-2 サイト 4 の地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) 表 4-3 サイト 5 の地盤モデル パラメタ ( 自然堤防 ) 表 4-4 サイト 6 の地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) 表 4-5 各モデルのせん断波速度 Vs 各減衰定数 h 表 6-1 ベースシア係数 Cy 0 弾性時 1 次固有周期 T 表 6-2 建物モデルの各剛性における塑性時 1 次 2 次減衰固有周期 表 6-3 各層間変形角に対応する加速度 α 表 6-4 塑性域における建物モデル (Cy 0 =0.2) の固有周期 表 7-1 ベースシア係数 Cy 0 弾性時 1 次固有周期 T 表 7-2 ベースシア係数 Cy 0 弾性時 1 次固有周期 T 表 7-3 免震層の復元力特性パラメタ 表 7-4 RC 造建物 1 次固有周期 免震 RC 造建物 1 次固有周期... 78

12 1. 序論 1.1 研究背景 1995 年に発生した兵庫県单部地震の被害調査報告書 1) によれば, ポートアイランドや六甲アイランドでは, 大規模な液状化現象が生じていたが, 一戸建てから超高層建物及び商業施設建物では, 外見上無被害に近い状況であったと記されている. また,1964 年に発生した新潟地震, トルコ コジャエリ地震 (1999 年 ) において, 液状化が発生した地域では, 建物被害が尐なかったことが知られている. このようなことから, 液状化が生じると建物応答が低減するといった知見もあり, 液状化層が免震効果として働く可能性について, 注目されるようになっている. しかし, このような知見に反して, 内閣府中央防災会議 東单海, 单海地震等に関する専門調査会 [2002 年 ] の発表によれば, 東单海 单海地震が同時に発生した場合, 震度 6 弱以上の強い揺れが発生し, 揺れ及び液状化によって甚大な被害が生じると想定されており, 液状化は建物応答に対して危険側に働くことが予想されている. ここで, 図 1-1 に高知平野において液状化が発生する危険性が高い地域を示す. 図 1-1 から, 液状化が発生する危険性が高い地域は広範囲にわたっており, 高知市市街地はこの範囲内に位置している. 図 1-1 液状化危険区域 ( 文献 2 より引用 ) 次に, 高知平野は厚い沖積層が堆積した軟弱地盤であるとされている. 一般的に, 同じ軟弱地盤でも地盤構造の違いによって建物の被害様相は, 変わってくることが知られており, このことは, 文献 1 に 伊丹市から神戸市にかけて, 被害の規模でゾーニングできる 1

13 と思えるほど地震被害が部分的な地域, 地区, 地点に集中していたと感じた と記されていることからも分かる. 先述したとおり, 近い将来, 大規模な单海大地震が発生すること, 及びその被害について想定されているが, その被害の具体的なメカニズムについては報告されていない. また, 将来発生すると予測されている单海地震は, 継続時間が長い長周期地震動であるとされており, このような地震波に対し, 液状化を含む軟弱地盤がどのような挙動を示すかについて, 高知市の実地盤を対象とした検討は, 既往の研究においては見られない. さらに, 大規模な单海地震が発生すると予測されているにもかかわらず, 高知県において建物の耐震化は進んでいない. ここで, 図 1-2 に高知県における木造建物のベースシア係数 Cy- 頻度分布関係を示す. 図 1-2 から, 高知県においてベースシア係数 Cy=0.2 程度の耐力の低い木造建物が, 多く分布していることが分かる. したがって, 液状化を含む軟弱地盤が, このような比較的耐力の低い建物に対して, どのような影響を与えるかについて検討する必要がある. さらに, 高知平野における液状化地盤が建物応答に与える影響が, 先述した知見のどちらと整合するかについて, 検討する必要性は高いと考えられる. 図 1-2 木造住宅の耐力分布 ( 文献 3 より引用 ) 2

14 1.2 研究目的先述したような背景から本研究では, 高知市の実地盤 ( 図 1-3 参照 ) を対象とし, 内閣府中央防災会議により作成された单海地震のシナリオ波に対して, 液状化を含む軟弱地盤が, どのような挙動を示すかついて, 設計 安全の観点から検討を行う. ここで, 地盤は不規則 不均質性を併せ持つ不確定要素の多い性質を持っていることは周知の事実である. そのため,1つの解析手法を用いた結果により検討を行うことは, 非常に危険であると判断した. したがって, 本検討では, 軟弱地盤について 1 次元の全応力非線形解析, 及び重複反射理論に基づく全応力等価線形解析 (SHAKE) 4), また, 液状化地盤について 1 次元の有効応力解析 5),6),7) 及び等価有効応力解析 ( 提案法 SHAKE) 8) による地震応答解析を実施 検討を行う. また, 高知市の液状化を含む軟弱地盤上において, 建物の耐震化が進んでいないことは, 先述したとおりである. そこで, 比較的耐力の低い建物モデルを想定し, 地盤の地震応答解析により得られた地表面加速度波形を, 基礎固定として入力し動的弾塑性解析を実施し, 設計 安全の観点から検討を行う. この際, 建物モデルについて,2 階建木造建物, 中低層 RC 造建物を想定する. また, 参考までに中低層免震 RC 造建物についても検討を行う. つぎに, それらの検討に基づいて正弦波パルスを作成し, 建物応答について試算 考察を行う. これにより, 建物応答の大小が何に起因し, どのようなメカニズムであるかについて明らかにする. 図 1-3 検討対象サイト 3

15 2. 地盤物性の違いによる表層地盤応答について この章では, せん断波速度 Vs, 密度 ρ の違いが表層地盤の応答にどのような影響を与え るかについて参考までに検討する. せん断波速度 Vs および密度 ρ は, 地盤の動的応答解析 を行うにあたって重要なパラメタであり, せん断波速度 Vs と密度 ρ およびせん断弾性係数 G には次のような関係がある. G Vs (2.1) 2 G Vs (2.2) 当然ではあるが,Vs および の値は, 運動方程式の質量マトリクスM, せん断バネマ K に感係するため, 加速度, 速度, 変位, 及びi 次固有円振動数 に大きく影響 トリクス を与える. また, 波動の透過性に関係してくる波動インピーダンスは Vs で表され, 波動 が系 1 から系 2 へ伝播する場合, 系 1 および系 2 の密度とせん断波速度をそれぞれ 1, 2, Vs1, Vs2 で表すと,2 つの物体の波動インピーダンス比 2 Vs2 / 1Vs1 i により透過性は 決定される. そして, 基盤面へ波動エネルギーが逸散する地下逸散減衰を表現するために, 波動インピーダンス Vs を粘性係数としたダッシュポットを付加し波動エネルギーを吸 収する方法が用いられている. さらに, レイリー減衰は,α βおよび質量 剛性マトリックスM Kにより表現される比例減衰であり, 内部減衰である粘性減衰を表現する. し たがって,Vs および が粘性減衰係数マトリクスC に関係する. これらのことから, せ ん断波速度 Vs および密度 ρ は, 地盤の地震応答解析を行う上で重要なパラメタであること が分かる. 2.1 せん断波速度 Vs 密度 ρの違いによる表層地盤応答について 地盤モデルと解析条件この検討では, 地盤調査が実施されているサイト 1 を, 解析対象サイトして, 地盤について 3 種類のモデル化を行う. そして, 各モデルについて, せん断波速度 Vs, 密度 ρをそれぞれ違う値で設定する. 地盤の解析手法は,1 次元成層多質点モデルによる全応力時刻歴非線形解析を採用する. 直接積分法について, ニューマークβ 法 (β=1/6) で線形加速度法とし, 積分時間刻みは 0.001sec で不釣合い力については, 次のステップに持ち越しとする. なお, 入力地震動の定義位置である工学的基盤は, せん断波速 700m/s 以上の層とし. 入力波は, 中央防災会議により 1Km メッシュで作成された想定单海模擬地震波 NS 方向 ( NS) を用い, この入力波を解放基盤条件 (2E 入力 ) として工学的基盤に入力する. 境界条件は, 基盤粘性境界としてダッシュポットを付加することにより地下逸散減衰を評価する. また, 内部粘性減衰については, 履歴減衰に加えてレイリー減衰の係数 α の値を 0 とおき瞬間剛性比例型として, 初期 1 次固有振動数に対し 0.5% を与えた. なお, 初期 1 次固有振動数を求めるにあたって, 線形解析における基盤と地表面のフーリエ振幅スペクトル比から求めた. 表 2-1 に, 各モデルの初期 1 次固有振動数, 及びβの値を示す. 4

16 表 2-1 各モデルの初期 1 次固有振動数および β ここで減衰を与える理由について, ひずみ依存特性に土の構成式 ( 修正 R-O,H-D モデ ル ) を用いてフィッティングさせる場合, 微尐ひずみ領域で減衰を h 0 と評価するが, 実 際の土の減衰は微尐ひずみ領域において h=0 とはならず, 地盤の内部粘性減衰には散乱減 衰があるからである. 表 2-2 サイト 1 におけるモデル 1,2,3 の解析地盤モデル ( 鏡川扇状地 ) 表 2-2 に, 解析における地盤モデル パラメタを示す. 層厚について, 各モデルとも文献 9 を参考に設定する. 基準ひずみについて, 文献 9 を参考に平均有効拘束圧 98kPa における平均的な値を基に仮定し, 礫質土, 砂質土については, 拘束圧依存性を考慮する. ひずみ依存特性について土の構成式は, 修正 R-O モデル,H-D モデルを用いた. せん断波速度 Vs は, モデル 1 について文献 9 を参考に設定し, モデル 2 について道路橋示方書式, モデル 3 について太田 後藤式を用い, 標準貫入試験 N 値 9) を基に換算した値を設定した. ただし,N 値 60 以上の層についてそれ以上の記載がないため, この層についてはモデル 1 と同じく PS 検層データ 9) を用いた. なお, 砂質土層の N 値に補正した値を用いなければならないが, ここではこれを考慮しない場合について検討する. 次に, 密度 ρは, モデル 1 について PS 検層データ 9) を基に設定し, モデル 2,3 について表 2-3 を参考に設定した. ここで, せん断波速度 Vs を算出するにあたって採用した経験式を以下に示す. 5

17 表 2-3 土質別密度 ρ( 高知市地盤調査会 ) - 道路橋示方書 - - 太田 後藤式 - 沖積粘性土 Vs 102N (1.1) 洪積粘性土 Vs 114N (1.3) 沖積砂質土 洪積砂質土 Vs N H E F (1.5) ここに, H : 深度 m E : 時代区分による係数 洪積層 :1.303 F : 土質区分による係数 沖積層 :1.000 粘土 :1.000 粗砂 :1.086 細砂 :1.086 砂礫 :1.135 中砂 :1.066 礫 : Vs 80.6N (1.2) Vs 97.2N (1.4) 地盤の解析結果および考察図 2-1(a)(b)(c) に, 最大加速度, 最大せん断ひずみ, 最大相対変位の深さ方向分布図を示す. 図 2-1(a)(b)(c) から, 初期せん断波速度が大きく違う層で, 各モデルの解析結果に大きな差異が生じていることが確認できる. 特にせん断波速度の値が小さい層では, 最大せん断ひずみが大きく, 最大加速度が小さくなることが分かる. そして, 最大せん断ひずみが各層で大きくなると地表の相対変位も大きくなる. この傾向は, モデル 1 よりモデル 2,3 について顕著に見られる. また, 表 2-1 から初期 1 次固有周期が長いことが分かり, モデル 2,3 はモデル 1 と比較して, 軟弱な地盤モデルであることが分かる. ここで参考までに, モデル 1 について初期せん断波速度 Vs0, 密度 ρをそれぞれ変更したケースの解析を行っている. この場合, せん断波速度 Vs0 の違いによるケースが, 解析結果の違いに大きく起因することを確認している. 密度 ρ, せん断波速度 Vs を過小評価することは, せん断剛性 Gを過小評価することになり, そのような層が厚く堆積している地盤は, 軟弱地盤として評価されることになる. 次に, 図 2-2, 図 2-3 に各モデルの地表面加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%), 地表面速 6

18 度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 各図から, モデル 2,3 は長周期側で加速度, 速度 を増幅していることが確認でき, 軟弱な地盤モデルであることが分かる. 図 2-1 各地盤モデルの最大応答の深さ方向分布図 図 2-2 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 2-3 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 7

19 3. 全応力解析による軟弱地盤の地震応答挙動および液状化判定 3.1 等価線形解析と非線形解析による軟弱地盤の地震応答解析 サイト 2 についての考察 ( 後背湿地 ) この節では, 全応力時刻歴非線形解析および全応力等価線形解析 (SHAKE) の 2 手法を用いて設計 安全の観点から検討する. さらに, 解析手法の違いにより解析結果にどのような違いが生じるかについて参考までに考察する. サイト 2 について, 文献 9 を参考に地盤モデル パラメタを表 3-1 のとおりに設定した. この解析対象サイトは, 軟岩上に N 値 5 以下の非常に軟弱な沖積泥質層が地表面まで堆積しているが, 他の対象サイトと比較して工学的基盤までの深度は浅い地盤である. 表 3-1 サイト 2 の地盤モデル パラメタ ( 後背湿地 ) 非線形解析の解析条件は, 基本的に 2 章と同じ条件とする. 入力地震動は想定单海模擬地震波 NS 方向 ( NS) とする. 散乱減衰は, レイリー減衰の係数 αの値を 0 とおき, 瞬間剛性比例型として初期 1 次固有振動数 f 3.584( Hz) に対し 1% を与えた. なお, β= である. また, 軟岩のひずみ依存特性については線形弾性体と仮定した. 次に,1 次元の重複反射理論に基づく等価線形解析 (SHAKE) の解析条件については, 入力地震動の定義位置となる工学的基盤や入力地震動および入力条件は非線形解析と同じ条件としている. また, 非線形解析における剛性比例型減衰の高周波数領域に相当する減衰を各層一律に 2% 与えた. つぎに, 収斂計算において有効ひずみを決定する係数は 0.75 としている. ここで, この係数については seed のマジッグナンバーとよばれ, 振幅ランダムな波をパワーが等価となる等振幅の波に置き換える係数であり, 想定单海地震のような震動型の波形が数分間続くような場合には,0.65 より大きな値を用いるべきという見方 10) がある. そこで今回, 係数を 0.7,0.75 と変化させて解析を実施した結果, 顕著な違いは見られないが, 非線形解析結果の加速度波形のピーク値と多尐一致度が高くなった. したがって, この係数の値を 0.75 とし, 等価線形解析を実施した. 図 3-1 に, 地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 3-1 から最大加速度について, 地表面で等価線形解析結果が約 17% 程度大きな値となっていることが分かる. これは, ひずみの最大値付近で剛性を過大に評価したことによるものと考えられる. ここで, 等価線形解析の特徴として, 等価線形解析は周波数領域の解析手法で, 収斂計算によって得られた有効ひずみに一致する等価せん断剛性, 等価減衰定数を全時刻に与えて線形解析する. そのため, 8

20 ひずみの最大値付近では剛性を過大評価するため, 加速度が大きくなる傾向が表れる. また, その物性値を用いる結果, 高振動数領域では剛性を低く評価し, 減衰を過大評価するため振幅を過小評価するといった特徴もある. 次に, 図 3-1(b)(c) の最大せん断ひずみ, 最大相対変位について, 非線形解析結果が等価線形解析結果を概ね包絡している. これについても, 先述した等価線形解析の特徴によるものと考えられる. 図 3-1 最大応答の深さ方向分布図 3-2,3-3 に, それぞれ地表加速度応答スペクトル (5%), 地表速度応答スペクトル (5%) を示す. 図 3-2 の加速度応答スペクトルから両解析とも周期 0.1~0.3s,0.5~0.7s 間で卓越しており, 周期 1s より短周期側で加速度を増幅している. 特に, 両解析結果を比較すると, 等価線形解析がその範囲で加速度を大きく増幅している. また, 図 3-3 の速度応答スペクトルの 0.4~1sec の周期範囲についても等価線形解析が, その範囲で速度を大きく増幅している. このサイトは, 非常に軟弱な沖積泥質層が軟岩上に堆積しているが, 他のサイトと比較して工学的基盤までの深度が比較的に浅いため, 短周期側で加速度 速度が増幅したと考えられる. ここで, 一般的な建築物の弾性時 1 次固有周期は, 図 3-2 で加速度が増幅している範囲にあり, このことから等価線形解析は, 建築物の耐震設計を行う上で, 安全側にファクターを与えることができると考えられる. 9

21 図 3-2 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-3 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) サイト 1 についての考察 ( 鏡川扇状地 ) この節では, サイト 1 を解析対象サイトとし全応力時刻歴非線形解析, 及び全応力等価線形解析 (SHAKE) の 2 手法を用いて, 設計 安全の観点から検討する. 地盤の解析モデル パラメタおよび時刻歴非線形解析の解析条件については,2 章で示している. 等価線形解析 (SHAKE) の解析条件は,3.1.1 と同じ考え方であり減衰については各層一律に散乱減衰 2% を与え, 有効ひずみを決定する係数を 0.75 とした. 解析する振動数の上限は 20Hz とし, 10

22 収斂計算における許容誤差は 0.1% とした. 図 3-4 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 3-4(a) の最大加速度について, 両解析結果ともに G.L-13.7m 位浅の沖積層から増幅し始め,G.L-3.8m 以浅の軟弱層で大きく増幅している. また, 地表面最大加速度は等価線形解析結果が多尐大きな値となっている. 次に, 図 3-4(b)(c) の最大せん断ひずみ, 最大相対変位について, 全層で非線形解析による結果が概ね包絡している. 図 3-4 最大応答の深さ方向分布次に, 図 3-5, 図 3-6 に加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 図の加速度応答スペクトルから, 両解析手法によって大きな違いではないが周期 0.2~1s で等価線形解析による結果が概ね包絡している. また, 両解析手法ともに周期 1s より短周期側で加速度を増幅することが分かる. また, 速度応答スペクトルから周期 0.4~1s で等価線形解析結果が, 僅かに速度成分を多く含んでいることが分かる. 図 3-5 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 11

23 図 3-6 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 12

24 3.1.3 サイト 3 についての考察 ( 三角州 ) この節では, サイト 3 を解析対象サイトとし全応力時刻歴非線形解析および全応力等価線形解析 (SHAKE) の 2 手法を用いて設計 安全の観点から検討する. 文献 9 に基づき, サイト 3 の地盤モデル パラメタを表 3-2 のとおり設定した. 表 3-2 サイト 3 地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) ここで, 工学的基盤を表 3-2 のように設定した理由について述べる. 当然のことではあるが, 入力地震動定義位置によって地盤の地震応答解析結果に差異が生じることは言うまでもない. 一般的に入力地震動の定義位置となる工学的基盤は, せん断波速度 Vso400m/s 以上の層とされることが多い. しかし, 表 3-2 から確認できるように, せん断波速度 Vso400m/s 以上の層が, 最下層まで連続的でないため一義的に入力地震動の定義位置を決めることはできない. そこで, 入力地震動の定義位置となる工学的基盤を決定するにあたり, 定義位置を表 3-2 に示してある Bl,Bm,Bn と仮定した. そして, これらの定義位置を基準とした地表の加速度伝達関数 ( 重複反射理論 ) による増幅率を求め, この増幅率のピーク周期と, 岡崎 11) らによって実施された常時微動観測による H/V スペクトル比の増幅率のピーク周期を比較した. 図 3-7 から,H/V スペクトル比の増幅率のピーク周期と, 加速度伝達関数 ( 重複反射理論 ) による増幅率のピーク周期の一致度が高くなる基準位置は,Bn を基盤位置と仮 13

25 定した場合であることが確認できる. したがって, このサイト 3 において Bn 以深を工学的 基盤と仮定し, 入力地震動定義位置とした. 図 3-7 加速度伝達関数 ( 重複反射理論 ) H/V スペクトル比によるピーク周期比較非線形解析の解析条件は, 基本的に 2 節と同じ条件とする. 入力地震動は想定单海模擬地震波 NS 方向 ( NS) として, 入力地震動定義位置については先述したとおりである. 散乱減衰は, レイリー減衰の係数 αを 0 とおき, 瞬間剛性比例型減衰として初期 1 次固有振動数 f 0.952( Hz) に対して 0.2% を与えた. なお,β= である. 等価線形解析 (SHAKE) の解析条件は,3.1.1 と同じ考え方であり減衰については各層一律に散乱減衰 h=2% を与え, 有効ひずみを決定する係数を 0.75 とした. 解析する振動数の上限は 20Hz とし収斂計算における許容誤差は 0.1% とした. 図 3-8 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 3-8(b) から, 最大せん断ひずみについて, 等価線形解析結果が非線形解析結果より大きな値となっている層が見られる. この層の特徴は, 軟弱層であることと, その下層にせん断波速度の値がある程度大きい硬質地盤が存在していることである. つまり, 軟弱層と硬質層の波動インピーダンスのコントラストが大きいといった特徴がある. また, これらの軟弱層と硬質層がある程度の層圧を有しているといった特徴がある. したがって, 硬質層から軟弱層に対して, 透過波は大きくなるが, 軟弱層から硬質層への透過波は尐なくなり, 返って反射波が大きくなると考えら, 地震エネルギーが軟弱層に集中することによって, せん断ひずみが大きく評価された可能性が考えられる. さらに, ひずみの最大値付近で加速度を大きく評価するといった, 等価線形化手法の特徴により, 軟弱層以深で加速度を大きく評価したことが影響し, 軟弱層に対する透過波を大きく評価したことも起因したと考えられる. また, 図 (a) から, せん断ひずみが大きく生じた辺りで, 最大加速度の低下し免震効果が確認できる. さらに, 図 (b) から相対 14

26 変位について多尐ではあるが, 等価線形解析結果が非線形解析結果を包絡している. 図 3-8 最大応答の深さ方向分布つぎに, 図 3-9, 図 3-10 に加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 図 3-9 の加速度応答スペクトルから両解析手法ともに, 工学的基盤面の加速度応答スペクトル (2E) と比較して, 周期 0.1~0.4s 間で加速度成分が減尐しており, それより長周期側で加速度を増幅していることが確認できる. また, 周期 0.6~2s 間で等価線形解析結果が非線形解析結果を概ね包絡している. また, 図 3-10 の速度応答スペクトルから同じように周期 0.6~2s までの間で等価線形解析結果が非線形解析結果よりも速度成分を多く含んでいる. ここまでの検討から等価線形解析は, 非線形解析よりもサイト 3 を軟弱地盤として評価したことが分かる. サイト 3 は, サイト 1,2 と比較して工学的基盤までの深度が深く, さらに軟弱層が厚く堆積している地盤であり, 両解析手法とも長周期側で加速度, 速度を増幅する結果となった. 15

27 図 3-9 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 3-10 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 3.2 液状化判定 高知市のような軟弱地盤上で防災に資する対策を検討するうえで, 液状化問題を切り離 して考えることはできない. 文献 12 から, 検討対象サイト 4,5,6 を含む三角州及び自然堤 防の沖積砂質土について, 塑性指数は I P =N.P を示し, 細粒分含有率 Fc は 4~24%, 平均 N 値 10 程度以下と液状化の危険性が高い層であることが分かる. さらに, 沖積礫質土につい て, 細粒分含有率 Fc は 35~84% と比較的大きい値を示しているが, 塑性指数は I P =N.P,N 値について 4~7 を示し極めて液状化の危険性が高いことが分かる. さらに, 九州喜界カル デラから飛来した火山灰は, 細粒分含有率 Fc は 62% であるが, 塑性指数は I P =0 を示し極 16

28 めて低塑性を示していることが確認できる. 通常, 関東ローム等の火山灰は, 水はけがよ く粘土層に分類され液状化の危険性は低いとされているが, 高知平野における火山灰は液 状化の危険性が高いと考えられる. また, 高知市内の地下水位は比較的高く地表面から 2~5m に位置している. これらのことを踏まえ, 解析対象とする全サイトについて道路橋示方書 同解説 13) に準 拠した液状化判定を実施した. ここで, 地震時せん断応力比 L を算出する際の最大せん断 応力 max は, 地震応答解析により計算された数値を用いた. また, 液状化判定を行うにあ たり, 解析手法の選定について, 等価線形解析を採用した. この理由は,3.1 で示した等価 線形解析の特徴から, 液状化に対して厳しい判定を与え安全側にファクターを与えること ができると判断したからである. 表 3-3~5 に液状化判定結果 ( 液状化層 FL 値 ), 及び地下水 位を示す. ここで, 高知市内において地下水位は 2~5m に位置しているとされているが, 文献 9,12, 14 には地下水位についての記載がないため, 弾性波速度 ( 疎密波 )Vp の値を参考 に地下水位を仮定したケースについても検討を行っているが, これについて次章で示す. 表 3-3 サイト 4 における液状化判定結果 ( 三角州 ) 表 3-4 サイト 5 における液状化判定結果 ( 自然堤防 ) 表 3-5 サイト 6 における液状化判定結果 ( 三角州 ) 17

29 4. 等価有効応力解析による液状化地盤の応答について 4.1 等価有効応力解析 解析概要先にも述べたように高知市のような軟弱地盤上で防災に資する対策を検討するうえでは, 液状化問題を切り離して考えることはできない. 液状化地盤の地震応答解析手法としては, 1 次元の有効応力解析や重複反射理論に基づく等価線形解析 (SHAKE) など様々な地震応答解析に基づく方法が検討されている. しかし, 有効応力モデルの多くは, 物理的な意味が明快でないパラメタが必要であったり, パラメタ設定の違いで解析結果が大きく変動するといった問題がある. また, 解析者の力量によって解析結果が大きく異なるなど, 簡便性 実用性に欠ける等の指摘がある. このような背景から, 建築物の耐震設計への利活用を前提に, 等価有効応力の概念 15),16) に基づいて, 液状化地盤の地震動増幅率と最大変形を簡便に評価する方法が提案されている. 本研究では, 文献 8 の提案法 SHAKE を用いて液状化地盤の動的応答解析を実施した. 文献 8 には, 提案法 SHAKE の妥当性 有効性が示されており, さらに, 優れた提案法であることを確認できる. なお, 本検討ではこの提案方法を等価有効応力解析と位置づけて, 液状化地盤の地震応答解析を実施する. 文献 8 に示されている等価有効応力解析の手順を以下に示す. 1: 全応力等価線形解析 ( 繰り返し収斂計算 ) 手順 1の方法として 1 次元重複反射理論に基づく全応力等価線形解析 (SHAKE) を行う. 2: 等価有効応力に基づく液状化地盤物性の評価手順 1の全応力等価線形解析 ( 収斂計算 ) で得られた地盤各層の有効せん断歪をγE 対応する等価せん断剛性をGE とする. また, 間隙水圧の変化によって地盤の拘束圧が初期値 σ m0 からσ m に変化したとする. このとき, 水圧の影響を考慮した地盤の等価せん断剛性 G E を次式で算定する. m G E G E m0 0.5 (4.1) m N E 1 m0 20 R R E 20 4 (4.2) R (4.3) E G E E mo ただし, 初期せん断剛性を G 0 18

30 G E G D r (4.4) また, 水圧の影響を考慮した地盤の等価減衰定数 h E を次式で算定する. G E h h max 1 E (4.5) G 0 ここに, h max は最大減衰定数である. 3: 液状化地盤物性を用いた線形解析 (4.1) 式,(4.5) 式から求めた地盤各層のG E および h E を用いて, 手順 1の計算を 1 回のみ 行う. 手順 1 で繰り返し収斂計算を行わない場合に相当する. (4.2) 式は, 間隙水圧上昇の影響を表す式となっている.(4.4) 式は,Cyclic Mobility によ る有効応力の回復 ( 水圧下降 ) とポスト液状化 ( 有効応力ゼロ状態におけるせん断歪進行 ) の影響を簡便に考慮して, せん断剛性低下率 G E G0 の下限値を与えることのできる式とな っている. 下限値は, 相対密度 D =50% で 1/50, D =70% で 1/40, D =90% で 1/30 となる r ように定式化されている 15),16 ),17). ここで, 文献 8 に倣い等価有効応力比 σ m/σ m0 とせん 断ひずみγE 関係およびG 関係を (4.1)-(4.4) 式を用いて計算した例を図 4-1 に示す. この 際, 平均有効拘束圧 98kPa における基準ひずみ γref0=5 10-4, 最大減衰定数 hmax=0.24 と し, 初期平均有効拘束圧 =49kPa, 密度 =1.8Mg/m m0 3, 初期 S 波速度 Vs0=120m/s, 液状化強度 R20=0.3, 相対密度 Dr=70%, 等価繰り返し回数 N =15 と仮定した. 図 4-1 から, 液状化強度 R20 が小さいほど, ひずみ増大に伴う水圧上昇 ( 剛性低下 ) が顕著 であること, また, 相対密度 Dr が大きいほど,Cyclic Mobility による水圧下降 ( 剛性回復 ) が顕著であることが確認できる. なお, 図 4-1(a)(c) において (σ m/σ m0)-γe 関係の極小点 は, 液状化の発生 ( 初期液状化 ) を意味している. 詳細な内容については, 文献 8 を参照され たい. r E r 19

31 図 4-1 液状化強度 R20 と相対密度 Dr が等価有効応力比 - せん断ひずみ関係および せん断剛性 - せん断ひずみ関係に与える影響 (4.1~4 式 ) 解析条件 解析する地盤モデル パラメタは, 基本的に文献 9,12,14 などを参考に設定した. また, 液状化強度 R20 と相対密度 Dr および等価有効応力解析に必要なパラメタは, 文献 14,19,20, 21,22 等を参考に仮定した. 以下にその例の一つとして (4.6),(4.7) 式を示す. なお, 地震動 の等価繰り返し回数 NE については, 文献 18 を参考に仮定した. 14 R Cr 0.16 N a N a (4.6) D 16 (4.7) r N a ここで, N は細粒分含有率 FC を考慮した基準化 N 値, C は地震波の多方向入力に対 a する補正係数 (=0.9) である. N は文献 18 を参考に次式により求められる. N C 1 N N (4.8) a r CN 98 (4.9) z N N 1 (4.10) a N f 20

32 表 4-1 細粒分含有率 FC, 補正 N 値増分 FC FC (%) N f 0 ~ ~ FC 5 10 ~ ( FC 10) 20 ~ ( FC 20) ここに,N1 は換算 N 値,Cn は拘束圧に関する換算係数, Nf は細粒分含有率 FC に応 じた補正 N 値増分で,N はトンビ法やまたは自由落下法による実測 N 値とする.σ z は検 討深さにおける鉛直有効応力 (kpa) である. 次に, 砂質土 砂礫土の基準ひずみ γ0.5 について, 拘束圧依存性を考慮する. 文献 10,20 を参考に (4.11) 式を用いて拘束圧依存性を考慮する. m 0 (4.11) mi i n ここで, 本研究において n=0.5 とし γ0.5i は平均有効拘束圧 σ mi=98kpa における基準ひ ずみである. また, 検討深さにおける有効拘束圧 σ m は次式により仮定した. m 1 0 2K z 3 (4.12) ここで, 静止土圧係数 K0 および内部摩擦角 φ は (4.13~16) 式により算出できるが, 原位置 における値と比較して大きく異なる場合があることが知られている 19). したがって, 基本 的には推奨値 19) を用い, 砂質土, 礫質土について静止土圧係数 K0=0.5, シルト及び粘土に ついては静止土圧係数 K0=1 と置く. K 1 sin (4.13) 0 ここで, 内部摩擦角 は次式により得られる. 20N1 20 (3.5 N1 20) (4.14) 40 ( N1 20) (4.15) N 2 1 N 98/ zi kn / m (4.16) 検討サイトの地盤モデル パラメタについて, 表 4-2~4 のとおりに仮定した. ただし, 地下水の仮定については後述する. 21

33 表 4-2 サイト 4 の地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) 表 4-3 サイト 5 の地盤モデル パラメタ ( 自然堤防 ) 表 4-4 サイト 6 の地盤モデル パラメタ ( 三角州 ) ここで, 等価有効応力解析を実施するにあたって, 全応力等価線形解析の解析条件を変更している. 減衰については, 各層一律に 0% として散乱減衰は考慮しない. また, 有効ひずみを決定する係数を 0.65 としている. これは, 設計 安全の観点から検討を行う上で危険側を考慮し液状化地盤の応答挙動を厳しく評価するためである. 22

34 4.2 等価有効応力解析による液状化地盤の応答挙動 サイト 4 における液状化地盤の応答挙動 ( 三角州 ) 地下水位を G.L-1.8m と設定したケースの液状化地盤の応答挙動本節では, 想定单海地震波 ( NS) に対して液状化する危険性が高いサイト 4 において, 地下水位を G.L-1.8m と仮定したケースの等価有効応力解析結果を示す. また, 過剰間隙水圧の影響を考慮しない, すなわち全応力の時刻歴非線形解析, 等価線形解析 (SHAKE) による解析結果についても参考までに示し, 液状化が地盤の地震応答挙動にどのような影響をもたらすかについて, 設計 安全の観点から検討を行う. 図 4-2 に, 地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 4-2(a)(b)(c) から地表面の最大加速度は, 各解析手法ともに大した差異は生じておらず, また, 最大せん断ひずみについて液状化対象層で各全応力解析結果よりもやや大きな値となっているが, 最大相対変位について水圧上昇による大きな影響は見られない. このように, 水圧上昇 ( 剛性低下 ) による影響は等価有効応力解析結果にあまり表れていないが, これは, 図 4-2(d) に示してあるように, 液状化対象層の水圧上昇は約 0.7 で液状化に至っておらず, また, 水圧を考慮する対象層の層厚が薄いためと考えられる. 図 4-2 最大応答の深さ方向分布次に, 図 4-3 の加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%) からは, 周期 0.5~2s 間で全応力等価線形解析, 等価有効応力解析結果は, 全応力の時刻歴非線形解析結果を概ね包絡している. なお, 工学的基盤における加速度応答スペクトル (2E) と比較して, 各解析手法ともに周期 0.6s までの短周期側で加速度成分が減尐しており, 長周期側で増幅していることが確認できる. また, 当然ながら, 図 4-4 の速度応答スペクト ( 減衰定数 5%) についてもこの傾向が見られる. このように, サイト 4 では, 加速度 速度ともに長周期側で増幅することが分かるが, これは, サイト 3 ほどではないものの工学的基盤までの深度が深いこと, 及び軟弱層である沖積層が G.L-22m と厚く堆積していることに起因すると考えられる. 23

35 図 4-3 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-4 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 地下水位を G.L0m と設定したケースの液状化地盤の応答挙動弾性波速度 ( 疎密波 )Vp は, 間隙比や水の弾性波速度と関係しており, この値は地下水位の有無により大きく左右される. 表 4-2 から,G.L-5.6m 以浅の各層において,P 波速度は約 1500m/s と大きな値であり, 地表面まで飽和土層が堆積している可能性が高いと考えられる. したがって, 設計 安全の観点から危険側を考慮し, 地下水位を G.L0m と仮定した場合の検討を行う. なお, 地下水位以外の解析条件について と同条件とし, 過剰間隙水圧の影響を考慮しない, すなわち全応力の時刻歴非線形解析, 等価線形解析 (SHAKE) による解析の結果についても参考までに示す. 図 4-5 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 等価有効応力解析 (1 層目液状化あり ) による結果は, 図 4-5(b)(d) から G.L.0~3,-15.5~16.1m で過剰間隙比が 1 に達し, 液状化に至り, 24

36 最大せん断ひずみが,4% 程度となっている層が見られ, 図 4-5(c) から, 大きな地表変位が生じたことが確認できる. また, 図 4-5(a) から, 地表面から G.L-3m までの液状化層で加速度が大きく増幅している. これは, 地表面でせん断波速度が全反射していることに起因したと考えられ, さらに, 図 (b)(c) の最大せん断ひずみ, 最大相対変位から確認できるように, 液状化層に地震エネルギーが集中していることを確認できる. つまり, 液状化層の剛性は低く, その下層との波動インピーダンスのコントラストが大きくなったことで, 加速度振幅が大きくなったと考えられる. 図 4-5 最大応答の深さ方向分布次に, 図 4-6 の加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%) から, 等価有効応力解析 (1 層目液状化あり ) による結果は, 周期 0.7s より長周期側で加速度を大きく増幅しており, 各解析結果を包絡している. また, 図の速度応答スペクト ( 減衰定数 5%) からも同じことが確認でき, 等価有効応力解析結果は周期 0.7s より長周期側で速度を大きく増幅している. これらのことから, 液状化層の非線形化 ( 剛性低下 ) に伴い地盤の固有周期が長周期化すると, 加速度, 速度ともに長周期側で大きく増幅することが分かる. 図 4-6 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 25

37 図 4-7 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) サイト 5 における液状化地盤の地震応答挙動 ( 自然堤防 ) 層目の水圧上昇を考慮しない場合の液状化地盤の応答挙動想定单海地震波 ( NS) に対して液状化する危険性が高いサイト 3 における等価有効応力解析の結果を示す. ここで,4 層目は泥質層でありシルト質砂は粘性土に分類されているため,4 層目で液状化が発生するかについて判断し難い. したがって, ここでは 4 層目の液状化対象を考慮しない場合の, 等価有効応力解析結果を示す. また, 水圧を考慮しない, すなわち全応力の等価線形解析, 時刻歴非線形解析結果について参考までに示し, 液状化発生が地盤の地震応答挙動にどのような影響を与えるかについて, 設計 安全の観点から検討する. 図 4-8 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 4-8(b)(c)(d) から水圧上昇を考慮した層で, 他の全応力解析結果よりも最大せん断ひずみ, 最大相対変位が大きな値となることが確認でき, 最大せん断ひずみが 4% 程度となる層が見られ, 液状化が発生すると地表変位は大きくなることが分かる. ここで, 最大せん断ひずみについて, 水圧を考慮しない層で等価有効応力解析結果は, 他の全応力解析結果よりも低い値となっている. これは, 液状化層や水圧が上昇 ( 剛性低下 ) した層に地震エネルギーが集中し, それ以外の層に対する地震エネルギーが減尐したためと考えられる. つぎに, 図 4-8(a) から, 等価有効応力解析結果について水圧上昇を考慮した層 GL-13.3~-19.5m で, 免震効果が見られ加速度が減尐している. ただし, 地表面付近の液状化層 GL-1.5~-5m で加速度が増幅している. 26

38 図 4-8 最大応答の深さ方向分布図 4-9,10 に加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す.5% 加速度応答スペクトルから等価有効応力解析による結果は, 各全応力解析結果と比較して, 加速度成分が短周期側で減尐し長周期側で増幅している. これは, 地盤の液状化発生に伴う非線形化 ( 剛性低下 ) によって, 地盤の等価固有周期が長周期化するためと考えられる. このことは,5% 速度応答スペクトルにも表れており, 周期 1s より短周期側で速度成分が消えて, それより長周期側で増幅している. 図 4-9 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 27

39 図 4-10 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-11 に線形解析 ( 弾性 ), 全応力等価線形解析, 等価有効応力解析による増幅率 ( 加速度伝達関数 ), 及び等価固有周期を示す. 図 4-11 から, 初期の 1 次固有周期及び増幅率と比較して, 非線形化 ( 剛性低下 ) に伴い等価固有周期が長周期側に移行し, 増幅率が減尐している. また, この傾向は液状化が発生した場合について顕著に見られる. ここで, 液状化が発生した場合に増幅率の減尐が見られるのは, 液状発生に伴うせん断ひずみの進行により, 履歴減衰が増加するためと考えられる. 図 4-11 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 層目の水圧上昇を考慮した場合の液状化地盤の応答 想定单海地震波 ( NS) に対して, 液状化する危険性が高いサイト 5 において 4 層目を液状化対象層とした場合の等価有効応力解析結果を示す. ここで,4 層目は泥質層で 28

40 ありシルト質砂は粘性土に分類されており,4 層目で液状化が発生するかについて判断が難しい. この層は, 細粒分含有率 Fc は高い値を示しているが, 塑性指数 Ip の 12 を下回り低塑性であるため, 危険側を考慮する場合には,4 層目を液状化層として検討する必要があると判断した. ここで,4 層目のシルト質砂層のひずみ依存特性について, 層序区分及び細粒分含有率から判断し, 平均有効拘束圧 98kPa におけるシルトの基準ひずみを用い, 拘束圧依存性を考慮しない. また, 全応力の等価線形解析, 時刻歴非線形解析結果について参考までに示し, 液状化が地盤の地震応答挙動にどのような影響をもたらすかについて, 設計 安全の観点から検討を行う. 図 4-12 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 4-12(d) の過剰間隙水圧比から分かるように,GL-1.5~-10.2m,GL-13.3~-14.4m, GL-17.6~-19.5m で間の層で過剰間隙水圧比は 1 に達し液状化が発生している. さらに,6 層目の火山灰層の GL-14.4~-17.6m で, 水圧が大きく上昇していることが分かる. また, 図 4-12(b)(c) から,4 層目の液状化層で, 最大せん断ひずみが 2~3% 程度となっており,4 層目で液状化を考慮しない等価有効応力解析結果と比較して, 更に大きな地表変位をもたらしている. ただし,4 層目を除く液状化対象層を含めたそれ以外の層では, 最大せん断ひずみが小さくなっている. これは,4 層目で液状化が発生すると, この層に地震エネルギーが集中し, それ以外の層に対する地震エネルギーが減尐したことに起因すると考えられる. つぎに, 最大加速度について 4 層目を液状化対象層とした等価有効応力解析結果は,4 層目を液状化対象層としない場合と比較すると, 更に大きな免震効果が現れており, 地表面最大加速度は各解析結果と比較して, 最も小さな値となっている. 図 4-12 深さ方向の最大応答分布図 4-13,14 に加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 加速度応答スペクトルから,4 層目で液状化が発生すると加速度成分は, 短周期側で減尐し, 長周期側で増幅している. この傾向は,4 層目の液状化を考慮しない場合と比較して, さらに顕著に表れることが分かる. このことは, 速度応答スペクトルからも確認できる. 29

41 図 4-13 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-14 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-15 に線形解析 ( 弾性 ) 解析, 全応力等価線形解析, 等価有効応力解析によつ増幅率 ( 加速度伝達関数 ) 及び, 等価固有周期を示す. 図 4-15 から初期の 1 次固有周期及び増幅率と比較して, 非線形化 ( 剛性低下 ) に伴い等価固有周期が長周期側に移行し, 増幅率の減尐が確認できる. また, この傾向は 4 層目の液状化を考慮したケースについて, 最も顕著に表れている. ここで,4 層目の液状化を考慮する場合, 及び, 考慮しないケースの等価有効応力解析による増幅率を比較すると,4 層目で液状化が発生したケースの増幅率は, 大きくなる結果となった. 液状化発生により履歴減衰が増加することで, 増幅率が減尐すると推測したが, それに反して増幅している. これについて,4 層目の液状化を考慮すると, この層に地震エネルギーが集中するため, 他の層に対する地震エネルギーが減尐する. その結果, 水 30

42 圧を考慮しない層の履歴減衰が増加せず, 地盤全体としての減衰効果が減尐し, 増幅率が 増加した可能性が考えられる. 図 4-15 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 サイト 6 における液状化地盤の応答 ( 三角州 ) ,2 層目の水圧上昇を考慮しない場合の液状化地盤の応答挙動想定单海地震波 ( NS) に対して液状化する危険性が高いサイト 4 において,1 層目と 2 層目の層境界に地下水位を仮定したケースの等価有効応力解析結果を示す. また, 全応力による等価線形解析, 時刻歴非線形解析結果について参考までに示し, 液状化が地盤応答挙動にどのような影響をもたらすかについて, 設計 安全の観点から検討を行う. 図 4-16 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 4-16(b)(c)(d) から,GL-7.7~-13.5m の砂質土層で過剰間隙水圧が 1 に達し, 液状化に至り, 最大せん断ひずみが 2% 程度を超え, 大きな地表変位が生じることが確認できる. 次に, 最大加速度について等価有効応力解析結果は, 液状化層以深の軟弱層で増幅し, 液状化層で多尐の免震効果が表れ, 各全応力解析と比較して逆の結果となっている. これは, 地震エネルギーが集中する層のトレードオフが生じたことに起因すると考えられる. このことは, 図 4-16(b) の最大せん断ひずみから, 全応力解析結果および等価有効応力解析結果の比較からも分かる. 31

43 図 4-16 最大応答の深さ方向分布図 4-17,18 に加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 加速度応答スペクトルから全応力解析結果と比較して, ピーク周期およびピーク値の変化は尐ない. これは, 先述したとおり, エネルギーが集中する層のトレードオフが生じたことによって, 大きな変化が表れなかったと考えられる. ただし, 等価有効応力解析結果について, 液状化発生による地盤の非線形化に伴い加速度成分は, ピーク周期より短周期側で減尐し, それより長周期側で増幅していることが確認できる. また, 図 4-18 の速度応答スペクトルについても同様に速度成分は, ピーク周期より短周期側で減尐し, それより長周期側で増加していることが確認できる. 図 4-17 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 32

44 図 4-18 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-19 に線形解析 ( 弾性 ), 全応力等価線形解析, 等価有効応力解析による増幅率 ( 加速度伝達関数 ) 及び, 等価固有周期を示す. 図 4-11 から初期の 1 次固有周期及び増幅率と比較して, 非線形化 ( 剛性低下 ) に伴い等価固有周期が長周期側に移行し, 増幅率の減尐が確認できる. また, この傾向は液状化が発生した場合について顕著に見られる. ここで, 液状化が発生した場合に増幅率の減尐が見られるのは, 液状発生に伴うせん断ひずみの進行により, 履歴減衰が増加したことによるものと考えられる. 図 4-19 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 ,2 層目の水圧上昇を考慮する場合の液状化地盤の応答挙動 ここでは, 危険側を考慮してサイト 6 の地下水位を G.L.0m と仮定したケースの等価有 効応力解析結果について考察する. これは, で先述した理由と同じであり, 表に示 33

45 してある P 波の値を参考に仮定した. さらに, 粘性土である 2 層目のシルト質砂について水圧上昇を考慮している. ただし, ひずみ依存特性について文献 9)12) を参考に, 層序区分および細粒分含有率から判断し, 平均有効拘束圧 98kPa におけるシルトの基準ひずみを用い, 拘束圧依存性については考慮しない. また, 過剰間隙水圧の影響を考慮しない, すなわち全応力の時刻歴非線形解析, 等価線形解析 (SHAKE) による解析結果についても参考までに示す. 図 4-20 に地盤応答の深さ方向分布図を示す. 図 4-20 から, 前節の等価有効応力解析結果と比較して,1,2 層目において過剰間隙水圧が 1 に達し, 液状化に至り,2 層目で最大せん断ひずみが 1% を超え, 地表において更に変位が大きくなり, 地表の最大加速度についても大きな値となることが分かる. 地表の最大加速度が大きくなる理由について, と同様のことが考えられる. 図 4-20 深さ方向の最大応答分布図 4-21,22 に加速度応答スペクト ( 減衰定数 5%), 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) を示す. 加速度応答スペクトルのピーク周期およびピーク値について, 液状化発生による変化は尐ない. ただし,1,2 層目の水圧を考慮するケースは, 考慮しない等価有効応力解析結果と比較して加速度成分が長周期側だけでなく, 短周期側でも増幅していることが確認できる. 当然ながら, この傾向は速度応答スペクトルにも表れている. さらに, 図 4-23 から, 1,2 層目の液状化を考慮しない場合と比較して等価固有周期の変化は尐ないが, 増幅率は大きくなり, 特に短周期側でその傾向が見られる. これは, と同じことが考えられ, 地表面付近で液状化が発生することにより, 増幅率が大きくなったと考えられる. 34

46 図 4-21 加速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-22 速度応答スペクトル ( 減衰定数 5%) 図 4-23 増幅率 ( 加速度伝達関数 ) および等価固有周期 35

47 4.3 ひずみ依存特性に着目した免震効果の考察 本節では, 液状化層の免震効果について, ひずみ依存特性に着目して考察する で示したサイト 3 の全応力等価線形解析, 等価有効応力解析結果をそれぞれモデル 1,2 と する. そして, モデル 3 はモデル 2 で免震効果が表れた GL-13.3~-19.5m の層に対して, 全応力等価線形解析における有効ひずみに一致する等価せん断波速度 Vs, 水圧の影響を考 慮した等価減衰定数 h E を設定する. さらに, モデル 2 について水圧の影響を考慮した地盤 の物性値を設定する. そして, モデル 4 はモデル 2 で免震効果が表れた GL-13.3~-19.5m の層について, 水圧の影響を考慮した等価せん断波速度 V, 減衰定数については全応力解 析結果における有効ひずみに一致する等価減衰定数 h を設定する. これにより, 免震効果 に与える影響が, せん断剛性および履歴減衰にどの程度起因するかについて考察する. 表 4-5 に, 各モデルの GL-13.3~-19.5m の層の層厚 H, 密度, 等価せん断波速度 Vs E, 等価せん断波速度 Vs E, 等価減衰定数 h E, 等価減衰定数 h E を示す. また, 図 4-24 に各モデ ルの解析結果による最大加速度, 最大せん断ひずみ, せん断波速度, 減衰定数を示す. 表 4-5 各モデルのせん断波速度 Vs, 各減衰定数 h E se E 図 4-24 深さ方向の最大応答分布図 4-24(a) の最大加速度について, モデル 2,4 を比較する両モデルともに免震効果がみられるが, モデル 4 はモデル 2 より免震効果が大きく, 減衰定数が大きいと免震効果が大きくなることが分かる. つづいて, モデル 3 については多尐の免震効果がみられるが, モデル 2 と比較するとその効果は顕著でない. また, モデル 1 と比較して地表最大加速度が 36

48 大きく, モデル 1~4 の中で最も大きな値となっている. これは, 図 4-24(b) から GL-1.5~-5m の液状化層で最大せん断ひずみが, モデル 1~4 の中で最も大きな値となっており, この層 にエネルギーが集中したことが分かる. このことから,GL-13.3~-19.5m の層の減衰増加に よって地表面の最大加速度が増幅したことが分かる. つぎに, 最大加速度ついて, モデル 3, 4 を比較するとモデル 4 は, モデル 3 よりも免震効果が顕著に表れている. このことから, 免震効果に与える影響は剛性低下が, 減衰定数増加よりも大きいことが分かる. つづいて, 図 4-24(c) のせん断波速度からモデル 2,4 について GL-13.3~-19.5m の層とその上下層でせ ん断波速度のコントラストが大きいことが分かり,GL-13.3~-17.6m の層の密度 は t / m と低い値である. ここで, Vs を波動インピーダンス, 2Vs2 1Vs1 において を波動インピーダンスという. この は, 重複反射理論において透過波と反射波に関係す る. 波動インピーダンス比 が液状化層とその上下層の間で大きいことにより免震的効果 が生じたと考える. つまり, 下層から液状化層への透過波は大きくなるが, 液状化層から 上層への透過波は小さくなり反射波は増える. 結果として, 液状化層内での重複反射が大 きくなり, 液状化層内にエネルギーが集中し増加した等価減衰定数 h E によって消費された と考える. ただし, 図 4-24(c) のせん断波速度からモデル 2,4 について,GL-1.5~-5m の液 状化層とその上下層でせん断波速度のコントラストが大きいことが分かるが, 同図 (a) の最 大加速度から液状化層で加速度が増幅していることが分かる. これは, この液状化層の上 層の層圧が薄いためと考えられ, 免震効果が現れる層とその上下層の層厚も免震効果に関 係する. これらは, 重複反射理論からもイメージできる. 37

49 5. 解析手法の違いによる液状化地盤応答 本章では, 前章で示した液状化する危険性が高い地盤を対象に, 等価有効応力解析に加 え 1 次元の有効応力解析 5),6),7) を実施した. これにより, 各解析手法の特徴を把握する. 5.1 解析条件有効応力解析の解析手法は, 地盤を卖位面積の土柱とした多質点系でモデル化する. 直接積分法について, ニューマークβ 法でβの値を 1/4 で平均加速度法とし, 中立軸にずれが生じ残留変位が大きくなる場合には, 速度の再計算を SDOF 系 (1 自由度系 ) とする. 積分の時間刻みは,0.001s とし, 不釣り合い力の処理については, ひずみ増分が許容値を超える場合, 前ステップに戻り時間分割を細分割し処理を行う. 境界条件は, 基盤粘性境界としダッシュポットを付加し地下逸散減衰を評価する. 土の構成則は, 非液状化層について R-O モデル, 液状化層について社本モデル ( 有効応力モデル ) を採用している. 地盤モデルのパラメタは, 液状化強度 R20 と相対密度 Dr については等価有効応力解析で用いた値とした. その他に必要なパラメタは, 文献 12,13,15,19,20,21 等を参考に推奨値及び標準貫入試験 N 値と細粒分含有率などに基づいて以下のように仮定した. 破壊角 Mf 変相角 M0 を砂についてそれぞれ 40,37, 礫について 50,45 と仮定した. なお, 浸透流解析について透水係数 k= (cm/s) と置き, ほぼ非排水条件とした.C は過剰間隙水圧比が 100% に達するせん断応力比と繰返し回数の両対数軸上の勾配で, この値を-0.25, 体積圧縮係数 mv を (cm 2 /gf),αf は過剰間隙水圧の上昇度を決定する値で 0.7 とした. また, 最大間隙比 emax, 最小間隙比 emin の値をそれぞれ 1,0.6 と仮定した. 減衰については, 初期剛性比例型とし 1 次の固有周期に対して 0.5~2% 内で与えた. なお, 等価有効応力解析の解析条件は 4 章で示したとおりである. 5.2 解析結果 サイト 4 図 5-1(a)(b)(c) にそれぞれ, 最大せん断ひずみ, 最大相対変位, 過剰間隙水圧比の深さ方向分布図を示す. 図 5-1(c) から,1 層目で両解析手法とも水圧比が 1 に達し液状化に至っている. また, 有効応力解析結果について 7 層目の火山灰層で水圧上昇がみられるが, 水圧比は 1 に達しておらず, 液状化は発生していないが, 等価有効応力解析結果について水圧比が 1 に達し, 液状化に至っている. 図 5-1(a),(b) の最大せん断ひずみ, 最大相対変位比較図から, 等価有効応力解析はポスト液状化を考慮し,7 層目液状化層の応答を除いて有効応力解析結果と良く対応していることが分かる. なお, 図 5-1(a)(b) で各解析による最大せん断ひずみは, ポスト液状化時の有効応力に依存しないせん断ひずみを考慮した結果を示してある 23). 図 5-2(a)(b) に, 有効応力解析による 1 層目液状化層 ( 細分割層 4 層目 ) の時刻歴過剰間隙水圧比, 及び各解析による地表面加速度波形の主要動重ね合わせを示す. 図 5-2(a) から時刻 38

50 40s 程度から水圧の上昇がみられ, 図 5-2(b) から等価有効応力解析は有効応力解析より, ピークが大きいことが分かる. このことは, 等価有効応力解析は建物の耐震設計において, 安全側に評価を与えることができると考えられる. ここで, 等価有効応力解析において有効ひずみに一致する係数を 0.9 に変えることや, 減衰を与えることでピーク値が, 有効応力解析に多尐近い値となることを確認しているが, 建物の設計 安全の観点から, その必要はないと判断した. 次に, 図 5-3(a)(b) に有効応力解析による 1 層目 ( 細分割層 4 層目 ) の, 有効応力経路, せん断応力 -せん断ひずみ関係を示す. 図 5-3(a) の有効応力経路から, この層が繰返しせん断による水圧上昇によってせん断耐力が低下し, 有効応力, せん断力ともに 0 に近づくことが確認できる. なお, この破壊線の移動に相対密度が関係し, この値が小さく, さらに, 破壊角, 変相角が低ければ, 液状化が発生し易いことになる. また, 有効応力解析による最大残留変位は, 深度 1.88m で約 3.4cm である. 図 5-1 地盤の最大応答の深さ方向分布 図 5-2 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 39

51 図 5-3 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 サイト 5 図 5-4 (a)(b)(c) にそれぞれ, 最大せん断ひずみ, 最大相対変位, 過剰間隙水圧比の深さ方向分布図を示す. 図 5-4(c) から,3,6 層目の砂礫層, 火山灰層を除く液状化対象層で両解析手法とも水圧比が 1 に達し液状化に至っていることが分かる. 図 5-4(a) から 7 層目を除く液状化対象層で等価有効応力解析結果が概ね包絡している. そして, 図 5-4(b) から地表面の最大相対変位は, 両解析結果ともに大きな値となり, 液状化が生じると杭, 基礎に大きな影響を与えることが示唆される. なお, 有効応力解析による最大残留変位は, 深度 1.5m で約 6.5cm である. 図 5-5(a)(b) に, 有効応力解析による 1 層目液状化層 ( 細分割層 5 層目 ) の時刻歴過剰間隙水圧比, 及び両解析による地表面加速度波形 ( 主要動 ) の重ね合わせを示す. 図 5-5(a) から時刻 40s 程度から水圧の上昇がみられ,60s 程度から Cyclic Mobility による間隙水圧の消散がみられる. つぎに, 図 5-5(b) から各解析による地表面加速度波形について, ピーク値の一致度が高いことが確認できる. ただし, 位相差や初動の立ち上がりに差異があるが, これは, 等価有効応力解析の手法上, 全時刻に対して液状化層に液状化物性値を与えることによるものと考えられる. しかし, 建物の接触等の問題を除けば位相差や立ち上がり時刻は, さほど問題にならないと考えられる. 更に, 建物の応答は主要道の卓越した加速度に左右されると考えられ, 主要動前後の加速度が与える影響は, 比較的尐ないと考えられる. 次に, 図 5-6(a)(b) に有効応力解析結果の 7 層目 ( 細分割層 2 層目 ) における, 有効応力経路, せん断応力 -せん断ひずみ関係を示す. 図 5-6(a) から Cyclic Mobility による間隙水圧の消散がみられ, 図 5-6(b) のせん断応力 -せん断ひずみ関係から, せん断ひずみ 2% 程度で有効応力の回復が見られる. 等価有効応力解析は, これらの影響を簡便に考慮できており, ロバスト性が高いと考えられる. 40

52 図 5-4 地盤の最大応答の深さ方向分布 図 5-5 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 図 5-6 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 41

53 5.2.3 サイト 6 図 5-7 (a)(b)(c) にそれぞれ, 最大せん断ひずみ, 最大相対変位, 過剰間隙水圧比の深さ方向分布図を示す. 図 5-7(c) から, 液状化対象層のほぼ全層で各解析による水圧比が 1 に達し液状化に至っていることが分かる. また, 図 5-7(a)(b) から最大せん断ひずみが 4 層目液状化層で,2-3% 程度に至り, 地表に過大変位が生じていることが分かる. なお, 最大せん断ひずみ, 最大相対変位ともに液状化層で, 各解析結果の一致度が高いことを確認できる. ここで, 減衰の与え方を初期剛性比例型に変更しているが, 全応力解析と比較して で述べたトレードオフが生じることを参考までに確認している. 次に, 図 5-8(a)(b) に, 有効応力解析による 4 層目 ( 細分割層 5 層目 ) 液状化層の時刻歴過剰間隙水圧比, 各解析による地表面加速度波形の主要動の重ね合わせを示す. 図 5-8(a) から時刻 40s 程度から水圧の上昇がみられ時刻 45s 程度でポスト液状化に至っており, この時刻間で図 5-8(b) から, 各解析によるピーク値の一致度が高いことが確認できる. ただし, それ以降から 60s までの間で多尐ではあるが, 等価有効応力解析の波形のピークは大きいが, このことは, 建物の耐震設計において安全側に評価を与えることができると考えられる. 次に, 参考までに図 5-9(a)(b) に有効応力解析結果の 4 層目 ( 細分割層 5 層目 ) における, 有効応力経路, せん断応力 -せん断ひずみ関係を示すが,5.2.2 で述べたことと同じことが言える. なお, 有効応力解析による最大残留変位は, 地表面で約 7.2cm である. 図 5-7 地盤の最大応答の深さ方向分布 42

54 図 5-8 時刻歴の主要動加速度波形重ね合わせおよび過剰間隙水圧比 図 5-9 有効応力経路およびせん断応力 - せん断ひずみ関係 5.3 有効応力解析と等価有効応力解析の特徴ここでは, 建物応答の検討を行う上で設計 安全の観点から, 有効応力解析と等価有効応力解析の特徴についてまとめる. 本検討で用いた有効応力解析プログラムは, 液状化地盤の応答をよくシュミレートできていることが文献 5,8 等から確認でき, さらに, 物理的に重要な意味を持つパラメタのみを必要とし, 優れた解析プログラムであることが分かる. しかし, このように優れた解析プログラムでも, それを使う解析者に幅広い経験や深い知識, 高い能力がなければ, 本来プログラムが持つ性能を十分に発揮することはできず, 不安定な解析手法となる可能性がある. 例えば, ポスト液状化時に生じるスパイク状のピーク ( ひげ ) と不釣り合い力により生じるノイズの区別や, せん断ひずみの値をどの程度まで許容範囲とするかの判断, パラメタの仮定等, それら以外にも液状化解析には, かなりの知識や経験を必要とする. したがっ 43

55 て, 筆者のように知識 経験, 能力が低い解析者が液状化解析を行うと, 液状化地盤の応答を過小評価しかねない. 破壊角 摩擦角及び減衰を与える方法や値をある程度変えることで, 都合の良く, 悪戯に解析結果をコントロールできてしまうといった問題もある. また, 物理的に明快な意味を持つパラメタを必要とするが, 原位置における精度の良い物性値を調査するには, 凍結サンプリング等による資料の採取や, 適切な室内試験等の相当な時間とコスト, 技術を要する. さらに, 水平地盤とみなすこと卖位面積当たりの土柱とする方法で解析を行うが, 地盤は不規則 不均質であり不確定要素が多いため, このように非常に優れた解析手法を用いても完全に液状化挙動を再現しきることは, 解析者の能力が高くなければ難しいと考えられる. これらのことから, 優れた解析プログラムであるが, 実用性に欠けていると考えられる. 次に, 等価有効応力解析は全応力解析で必要とするパラメタに加えて, 等価繰返し回数 NE, 物理的に重要な意味を持つパラメタである液状化強度 R20 と相対密度 D20 のみで, 液状化地盤の応答挙動の再現性が高められている. また, 有効応力解析と比較して必要とするパラメタが尐ないため, 設計において問題となる時間やコストを尐なく抑えることができ, また, 人によって解析結果に大きな違いが表われ難く, 安定した解析手法と考えられることから, 実用性 ( ロバスト性 ) に優れていると言える. さらに, 先述したように不確定要素の多い地盤の性質や筆者の能力を踏まえると, 前章で示した傾向から等価有効応力解析は, 安定性 安全性に優れた解析手法であり, 有用性が高いと言え, 過小評価する危険性について回避できる可能性が高い. これらのことからも, 等価有効応力解析は非常に優れた解析手法であると言える. また, 液状化物性値を評価できることは,SR モデルによる解析を行う際に必要となる, 地盤の動的ばね定数を求められる, といったメリットもある. これらのことから, 本研究の主旨から外れる可能性を避けるためには, 等価有効応力解析による地表面加速度波形が妥当であると判断した. したがって, 主に等価有効応力解析を用いて, 設計 安全の観点から建物応答の検討を行う. 44

56 6. 液状化を含む軟弱地盤が木造建物に与える影響本章では, 前章までの地盤応答解析結果から得られた地表面加速度波形を入力波として, 標準的な 2 階木造建造物を多質点系にモデル化し, 時刻歴非線形解析を実施した. この際, ベースシア係数 Cy0 を,0.2,0.4,0.6 としモデル化を行っている. これにより, 液状化を含む軟弱地盤の応答挙動による地震荷重が, 耐力の低い木造建物にどのような影響を与えるかについて, 動的弾塑性解析結果の最大塑性率に着目し検討を行った. 6.1 木造建物モデルの解析条件及び結果 考察 階建て木造建物モデルと解析条件この節で対象とする建物モデルは, 標準的な 2 階建て木造住宅を想定し 2 質点系モデルを基礎固定とする. つぎに, 復元力特性は木造建物について低下荷重時に剛性が低くなるスリップ性状を示す特徴を考慮するために, トリリニア型のスケルトンとし履歴特性は Takeda-Slip モデルを適用した. このモデルのパラメタには, 各剛性 K, 第一折点の耐力 Qc, 第二折点 ( 降伏点 ) の耐力 Qy, 変位 δy, 塑性域のせん断剛性低下率 α2,α3, 徐荷剛性低下指数 γ, スリップ剛性低下指数 λ, スリップ剛性硬化係数 δがある. ここで, ケーススタディを行えなかったこと, および解析ソフトの制約上, 本稿ではスリップ剛性硬化係数 δの値を 1 とおいた. ただし,Takeda-Slip モデルについて, 本来は RC 造建物に用いるが, 本検討で用いるソフトの制約上, このモデルが妥当であると判断し採用した. このことについて, これ以上議論しない. これらの解析モデル パラメタについて, 文献 24 を参考に, 図 6-1, 図 6-2 および以下の式に示すように仮定した. ただし, 包絡線の負の勾配について考慮しない. 図 6-1 解析質点モデル, 復元力特性モデル 図 6-2 Takeda-Slip モデル簡略図 45

57 Qc Qy (6.1) K 1 2 K0 (6.2) (6.3) K 0 : 弾性域におけるせん断剛性 K 1 : 塑性域におけるせん断剛性 2 : 塑性域のせん断剛性低下率 K 2 3 K 0 (6.4) (6.5) K 2 : 塑性域におけるせん断剛性 3 : 塑性域のせん断剛性低下率 K d Q c Q y max y1 y2 y2 (6.6) 0.4 (6.7) : 徐荷剛性低下指数 K S K S max y2 (6.8) (6.9) : スリップ剛性低下指数 46

58 つぎに, 減衰について, 内部粘性減衰で評価し瞬間剛性比例型として 1 次の固有周期に 対して一定の 3% とした. 2h 1 C K 1 (6.10) 瞬間剛性に対する 1 次の固有円振動数 ω1 を次式に示す. T k T k 1 1e (6.11) e C : 瞬間減衰マトリクス K : 瞬間剛性マトリクス K e : 初期剛性マトリクス h 1 :0.03 で一定 1e : 初期剛性による 1 次の固有円振動数 : 初期剛性による 1 次の固有ベクトル この 2 質点系モデルに, 前章までに得られた地表面加速度波形を与え, 直接積分法による動的弾塑性解析を実施した. なお, 数値積分についてニューマークβ 法で平均加速度法としβ=0.25, 積分時間刻みを 0.001sec とした. また,1 階の降伏せん断力係数, すなわちベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 に対する, 解析モデルの固有値解析から得られた弾性時 1 次固有周期を表に示す. 表 6-1 ベースシア係数 Cy 0, 弾性時一次固有周期 T0 47

59 6.1.2 解析結果および考察ベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 にモデル化した 2 階建木造建物について, 動的弾塑性解析により得られた最大層間変形角 1/Rを, 第二折点に対応する層間変形角 1/R2 で除した値を最大塑性率 R2/Rとし,R2/R=μと置く. この節では, 前節までの地盤の地震応答解析によって得られた地震荷重が,2 階建木造建物を想定したモデルに対し, どのような影響を与えるかについて, 最大塑性率 μに着目し考察を行う. 図 6-3 に木造建物モデルの動的弾塑性解析による各サイトの最大塑性率 μを示す. ここで, 図 6-3 で等価有効応力波形 ( 危険側考慮 ) は 4.2.1,2,3 において, 危険側を考慮した検討により得られた地表面加速度波形である ( 以下同様 ). 図 6-3 ベースシア係数 Cy 0 =0.2, 最大塑性率 μ 図 6-3 から, ベースシア係数 Cy0=0.2 の建物モデルについて, 全サイトで各最大塑性率 μが 5 を超えており, 大変形に至っていることが分かる. また, サイト 3,4,5,6 における建物の各最大塑性率 ( 全応力波形入力 ) は, サイト 1,2 における建物の各最大塑性率よりも大きい値となっていることが確認でき,3,4 章の各全応力解析による検討から, 長周期側で加速度を増幅するサイト ( 軟弱地盤 ) ほど, その傾向が顕著に見られる. 特に, サイト 3 では両ケースともに最大塑性率が 15 以上であり, このことから, 工学的基盤までの深度が深い軟弱地盤ほど, 比較的耐力の低い木造建物に対して与える影響が大きくなると示唆される. ここで, 各サイトによって入力地震動に多尐の違いはあるが, ここでは地盤の増幅特性 ( 加速度伝達関数 加速度フーリエ振幅スペクトル比 ) に着目していることに留意されたい ( 以下同様 ). なお, 長周期側で加速度を増幅する傾向については,3,4 章で示した両全応力解析における地表面加速度応答スペクトル (5%) により示してある. つぎに, サイト 4,5,6 のそれぞれのケースに着目すると, 等価有効応力解析における地表面加速度波形を入力したケースは, 各全応力解析における地表面加速度波形を入力したケースと比較して, 最大塑性率が大きい値となっている. このことから, 液状化が発生 48

60 すると比較的耐力の低い建物に対して, 大きな影響を与えることが示唆される. したがって, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる. 一般的に, 現代工法による木造軸組みの倒壊基準は, 層間変形角 1/30, 最大塑性率 μ= 4を超える辺りが安全限界の目安とされており, また, 伝統工法による木造軸組みは, 低耐力であるが変形能力に富んでいる場合が多いため, 層間変形角 1/15, 最大塑性率の値 8 を超える辺りが安全限界の目安とされている. したがって, 本検討からCy0=0.2 程度の耐力の低い木造建物は, 倒壊する危険性が高いと言える. 図 6-4 ベースシア係数 Cy 0 =0.4, 最大塑性率 μ つぎに, 図 6-4 からベースシア係数 Cy0=0.4 の建物モデルについて, 工学的基盤まで深度が深い軟弱地盤であるサイト 3( 全応力等価線形解析波形 ) と, サイト 4 で危険側を考慮した液状化地盤 [ 等価有効応力解析波形 ( 危険側考慮 )] において, 最大塑性率が他のサイトの各解析結果より大きいことが分かる. したがって, 工学的基盤まで深い軟弱地盤や液状化地盤は,Cy0=0.4 程度の耐力の低い木造建物に対して大きな影響を与えることが示唆される. サイト 5,6 から全応力解析波形を入力したケースと比較して, 液状化により応答が低減しているケースが見られるものの, サイト 4 で等価有効応力解析波形 ( 危険側考慮 ) のケースを考えると, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると言える. ここで, 建物の弾塑性解析について減衰の与え方を, 瞬間剛性比例型から初期剛性比例型としたケースで解析を行っているが, サイト 3 において全応力非線形解析における地表面加速度波形を入力した場合, 建物モデルは耐力を失い, 最大層間変形角が 1/0 という結果になった. これについては, 次節で示すこととする. 49

61 図 6-5 ベースシア係数 Cy 0 =0.6, 最大塑性率 μ つぎに, 図 6-5 からベースシア係数 Cy0=0.6 の建物モデルについて, サイト 2 における各最大塑性率は, 他のサイトにおける各最大塑性率よりも, 大きな値であることが確認できる. これは, 先述したように 3 章の検討からサイト 2 は, 両全応力解析結果ともに短周期側で, 加速度を大きく増幅したことに起因するものと考えられる. つぎに, サイト 4,5,6 の各最大塑性率に着目すると, サイト 5 において等価有効応力解析波形を入力した場合で最大塑性率が最も大きな値となり, このことから, 液状化が必ずしも変形を抑止するとは言えず, ベースシア係数 Cy0 が 0.6 程度の建物についても, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる. 6.2 液状化を含む軟弱地盤が建物応答に大きな影響を与えるメカニズムの考察 軟弱地盤前節の で先述したように, サイト 3 において全応力非線形解析により得られた地表面加速度波形を入力した場合に, ベースシア係数 Cy0=0.4 の木造建物モデル 1 階の最大変位が, 時刻 43.06s で 1007cm を超え, 耐力を失う結果となった. ここでは, その結果についても検討を行う. サイト 3 においてCy0=0.4 より耐力が低いCy0=0.2 の建物モデルの解析結果について, 大変形に至っているが, 計算値に異常は見られず, また, 他のサイトにおいてCy0=0.2,0.4,0.6 の木造建物モデルについて, 減衰の与え方を初期剛性比例型に変更し解析を行っているが, それぞれ計算値に異常は見られなかった. ここで, 図 5-6 にサイト 3 において, 建物モデルに全応力非線形解析による, 地表面加速度波形を入力した解析結果を示す. なお,Cy0=0.2,0.4,0.6 の木造建物モデルについて, 瞬間剛性比例型, 初期剛性比例型の 2 ケースで減衰を与えた解析結果について示してある. 50

62 図 6-6 減衰の与え方の違いによる最大塑性率 μ( 全応力非線形解析波形入力 ) 図 6-6 から, 減衰を初期剛性比例型で与えたケースは, 最大塑性率 μが小さい値であることが確認できる. 瞬間剛性比例型は, 剛性マトリクス [K] を各ステップにおいて評価し直す方法であるため, 剛性が低下すると減衰を小さく評価する. このことから, 必ずではないが, 初期剛性比例型と比較して応答は大きくなる場合が多いと考えられる. しかし, 図 6-6 から分かるようにCy0=0.4 の建物モデルの最大塑性率に着目すると, そうでない場合があることが分かる. 初期剛性比例型減衰を与え解析した場合に, 耐力を失った原因について, 同じ建物モデルに瞬間剛性比例型減衰を与えた解析結果の考察を行い, これを参考にする. 図 6-7(a)(b)(c) に瞬間剛性比例減衰を与えた解析結果における, 建物モデル 1 階の時刻歴相対変位, 加速度波形および地表面加速度波形を示す. 図 6-7(c) から地表面最大加速度は, 時刻 42.65s で最大値を示し, この近傍の卓越した加速度によって, 建物モデルは塑性域に入っていることが, 図 6-7(a) から確認できる. その後, 地盤の非線形化に伴い長周期側で増幅した加速度は, 塑性域に入り長周期化した建物に対して, 更に大きな影響を与える. このことは, 図 6-7(b)(c) の地表最大加速度発生時刻 42.65s から, 建物 1 階最大加速度発生時刻 52.58s までの約 10s 間の両加速度波形図の比較からも確認できる. つまり, 建物が塑性域に入ると 1 階応答加速度が急激に増幅し始めていることが分かる. 51

63 図 6-7 時刻歴の地表面加速度波形, 建物モデル 1 階加速度波形および最大相対変位 図 6-8 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 52

64 ここで, 建物の固有周期と変動と地盤の固有周期の関係について考察を行う. 建物の固 有周期 T は, 質量 m 及び剛性 k により次式により表わされる. T 2 m k (6.12) 式の剛性 K は, 図 6-8 から分かるように, 地震力が加わることによって, 時々刻々変化し, 塑性域において固有周期は, 長周期化することが分かる. 本検討に用いたソフトの制約上, 時刻歴で変化する瞬間剛性を, 剛性マトリクスKに与えて固有値解析を行うことができな い. そこで, 簡卖のため除荷時剛性やスリップ剛性等については考慮せず, 図 6-1 の第 1 折れ点, 及び第 2 折れ点以降の剛性をそれぞれ K1,K2 とし, それぞれ 1,2 階について求 め, この剛性を用いて固有値解析を行った. また, 塑性域において 2 次モード的な挙動に よる影響も無視できないと考え,2 次固有周期についても求め, これらを表 6-2 に示す. た だし, 非減衰自由振動の方程式における固有値解析である. ここで,1 自由度系 1 質点の減 衰自由振動をする建物モデル考える. ただし, 減衰力, 復元力について一定の場合を仮定 し, 次式 (6.13) に示す. m x cx kx 0 (6.13) ここに, 第 1 項 mx は慣性力, 第 2 項 c x は減衰力, 第 3 項 kxは復元力である. 式 (6.13) を 質量 m で除して整理する. 2 x 2h x x 0 (6.14) ここに, h c 1 2m 2 m k m h は減衰定数であり, は減衰のない系の固有円振動数である.(6.14) 式の変位変数 x は, 時間 t の関数 x(t) であり, この変位関数 x に e 関数を用いて解く. st x Ge (6.15) 誘導過程における途中式ついて割愛するが,(6.15) 式を用いて 2 つの特殊解を求め, 重ね合 わせの原理によって,2 つの特殊解を重ね合わせると (6.14) 式の一般解が得られる. 更に三 角関数を用いて表わすと次式を得る. x Ce ht cos t (6.16) d ここに, C は積分定数であり, これも同じ条件から定まる. C b ah ( ) a0 d (6.17) b0 a0h tan (6.18) a 0 d 53

65 (6.16) 式により, 変位 x は h t 振幅: Ce (6.19) 減衰固有円振動数: d 2 1 h (6.20) 減衰固有周期: T d h (6.21) d の周期関数となる. ここで, 建物モデルに用いた初期剛性比例型減衰について次式に示す. ここに, K C a (6.22) 2h 1 a (6.23) 1 (6.22) 式の剛性マトリクスKの変更は行わず, 初期における剛性であり, 減衰項 C を一 定としている. これらの関係から,(6.20) 式における減衰定数 h を初期の 1 次固有円振動数 に与えた値とし, 減衰のない固有円振動数 について, 先述した塑性域における剛性 K 1 を用いて, 塑性域における減衰固有円振動数 d を求め, さらに d を用いて減衰固有周期 Td 2 を求める. ここで, 本検討において (6.20) 式に減衰定数 h =0.03 を与えるため, 1 h 1 となり減衰固有周期 Td と減衰のない固有周期 T の値に大きな差異はないが, 減衰固有周期 Td の値を表 6-2 に示す. また, 入力 ( 工学的基盤 ) と地表面の加速度フーリエ振幅スペクトル 比を両対数軸表示とし, 増幅率による地盤の周期特性を示し, 表 6-2 の弾塑性時固有周期を 図 6-9 に対応させる. 表 6-2 建物モデルの各剛性における 1 次,2 次減衰固有周期 図 6-9 地盤の入力と地表のフーリエ振幅スペクトル比による増幅率および 建物モデルの各剛性における 1 次,2 次減衰固有周期 54

66 図 6-9 から, 剛性 K1,K2 を用いた場合における 2 次固有周期近傍で増幅率が卓越している. そして, 地盤の弾性時 1 次固有周期について で示してあるが, 剛性 K2 の 2 次固有周期は, 地盤の弾性時 1 次固有周期近傍である. ただし, これにより共振が起こるかについては分からない. 次に, 建物塑性域における剛性 K2 の 1 次 2 次固有周期の間で, 地表加速度が増幅していることが分かる. このことから, 建物が塑性域に入り長周期化すると, 建物の応答加速度が増幅し, 損傷度が大きくなる可能性があると考えられる. ここで,1 自由度系 1 質点モデルの減衰強制振動で, 地盤からの絶対変位による質点の運動方程式を考える. 絶対変位を次式のように仮定する. mx cx kx cx G kx G (6.24) ここに, X : 質点の地盤基準点からの水平方向の絶対変位 x G: 地動による地盤支持点の水平方向の変位 x: 質点の水平方向の相対変位 復元力 kx について, 層せん断力 Q と慣性力 m の関係を使い は次式のように表わせる. Q m kx k( x x) (6.25) G k k 2 X ( xg x) ( xg x) x G x (6.27) m m 本検討では, 多自由度系運動方程式を直接積分法で解くため, 復元力 [K]{δ} 項は, 剛性マトリクス [K] について 1,2 階および変位ベクトル {δ} について地動,1,2 階の変位要素等が複雑に関係する. ここでは, 簡卖のため質点 1(1F) における層せん断力 変位関係のみによる加速度 αを仮定する. ベースシア係数 Cy, 層せん断力 Qy, 重量 Wの関係により (6.28) 式を介して, 層間変形角 1/R に対応する 1 階の加速度 α(k-δ 関係のみによる ) を求め, 表 6-3 に示す. ここで, 重力加速度 gを 980cm/s 2 として, 第 2 折れ点以降の加速度 αとする. Qy m Cy (6.28) W mg g 表 6-3 建物モデル 1 階 (Cy0=0.4) のK δ 関係による各層間変形角に対応する加速度 α 55

67 図 6-10 地表加速度応答スペクトル (5%) および層間変形角に対応する加速度 α 図 6-10 に, 地表加速度応答スペクトル (5%) を示し, さらに, 層間変形角に対応する表 6-3 の加速度 αを示す. ここで, 簡卖のため 1 階の最大層間変形角 1/120 について,1,2 階ともに δ 前の極限に対応する剛性 K1 を用いた固有周期とし, また, 最大層間変形角 1/5 について, 剛性 K2 を用いた固有周期を, それぞれ加速度 αに対応させ, その間の周期について線形補完とし, それぞれの加速度 αに対応させている. 図 6-10 から, 仮に示した建物の固有周期が変動していく過程の長周期間で, 地表の加速度波形は加速度成分を多く含んでいることが確認できる. このことからも, 地盤の非線形化に伴う長周期化に, 建物の塑性化に伴う長周期化が追随すると, 建物モデルの応答加速度 変位が大きくなると考えられる. このことは, 先で示した解析結果にも表れており, 地盤の非線形化に伴い長周期化した地盤固有周期と, 建物の塑性化に伴い長周期化した建物固有周期が近い場合に, 定性的に建物応答は大きくなると言える. なお, 図 6-10 に示したラインは, 耐力の高い建物であれば左上に移行し, 耐力の低い建物であれば, 右下に移行することを参考までに確認している. これまでの考察を参考に, 初期剛性比例型減衰を与えた解析ケースで, 建物モデルが, 耐力を失った原因について考察を行う. 建物モデル 1 階において, 時刻 43.06s で最大相対変位が 1007cm を超え, 耐力を失う計算結果となったが, この時刻は, 図 6-7(c) の地表最大加速度発生時刻 42.65s の 0.59s 後であり, 地表最大加速度をもつ波やその時刻近傍の卓越した加速度をもつ周期と, この時刻近傍における建物の固有周期が近くなり, 共振的挙動を示した可能性も考えられる. ここで, 地表面最大加速度近傍の波形を図 6-11 に示すように波形を抽出して, それぞれの波についてフーリエ変換 25) を行う. その周期と表 6-2 に示すように仮定した建物モデルの塑性域固有周期を比較する. ただし, ここで問題とする周期について建物モデルの仮定した塑性域固有周期近傍に着目するために, 高振動数領域については無視し, 平滑化は行わない. 図 6-12 に各波形のフーリエ振幅スペクトルを示す. 56

68 図 6-11 主要動の抽出加速度波形 図 6-12 各抽出加速度波形のフーリエ振幅スペクトル 57

69 図 6-12 から, 建物モデルの耐力を失った時刻に近い加速度波形ほど長周期化していることが分かる. これは, 地盤の非線形化に伴う長周期化に起因している可能性が高いと考えられ, 長周期化する周期は, 表 6-2 に示した建物モデルのK2 時塑性域 1 次固有周期に段階的に近づいている. 特に, 最大加速度をもつ波形 ( 抽出 : 緑 ) のピーク周期と塑性域固有周期は, 比較的近い周期であり, また, 建物が耐力を失った時刻と最大加速度発生時刻は比較的近い. 更に, 最大加速度発生時刻近傍の卓越した全加速度波形 ( 抽出 : 黒 ) の卓越振動数 ( ピーク周期 ) は約 0.03s 程度の差である. 一般的に共振現象は, 入力波の周期 ( 2 p ) と建物の固有周期 ( 2 ) が一致する時ではなく, むしろ,β=p/ω 1 の時に生じる. 図 6-12 のピーク周期 T p ( 黒 ),T p ( 緑 ) を表 6-2 の剛性 K2 時 1 次固有周期で除すると ( 黒 ), 0.851( 緑 ) と, 非常に近い値となる. これらのことから, 主要動初期から建物モデルが耐力を失う時刻までの間で段階的に変位振幅が大きくなるような, ある種の分布的共振状態となり, 最終的に最大加速度をもつ波によって共振現象が生じた可能性が高いと考えられる. 瞬間剛性比例型と初期剛性比例型で減衰の与え方や値の違いによって, 建物固有周期の変動過程も変わってくると考えられる. ここで, 初期剛性比例型で弾性時 1 次固有周期に対し h=0.032 で減衰を与えると, 層間変形角 1/47 となり計算値に異常が見られなかった. 瞬間剛性比例型減衰の特徴として, 高次の振動数領域で減衰を大きく評価することや (6.10) 式 (6.11) 式から剛性低下に伴って瞬間固有円振動数が小さくなると減衰定数が一定であるため塑性域では減衰を過大評価することが考えられる. 初期剛性比例型減衰は, 塑性域に入っても減衰項 [C] が一定であるので, 初期剛性比例型減衰と比較して瞬間剛性比例型減衰が塑性域で減衰力を大きく評価し共振しなかった可能性も考えられる. いずれにしても, 本考察では建物モデルの固有周期変動過程 位相遅れ角等を含めた定量的な説明はできておらず, 未だ想像の域を出ない. 今後の課題としたい. ただし, これまでの検討から短周期側だけでなく, 長周期側において加速度, 速度を増幅する地盤は, 比較的耐力の低い建物に対して大きな影響を与えると, 定性的に言えそうである 液状化地盤前節で行った検討において, 液状化地盤が比較的耐力の低い木造建物モデルに, 大きな影響を与えた原因について考察を行う. ここでは, サイト 4 に 4 層目の液状化を考慮するケースで, 有効応力解析を実施し, それにより得られた地表面加速度波形と, 全応力非線形解析による地表面加速度波形を, それぞれCy0=0.2 の建物モデルに基礎固定として入力する. ただし, 地盤の地震応答解析について減衰の与え方を, 両解析ともに初期剛性比例型とし, 地下水位を地表面に仮定したケースである. 図 6-13(a)(b) に有効応力解析により得られた 4 層目 ( 細分割 5 層目 ) における, 時刻歴過剰間隙水圧比, 及び全応力非線形解析, 有効応力解析による地表面加速度波形を示す. 58

70 図 6-13 時刻歴過剰間隙水圧比 (4 層目細分割 5 層目 ) および地表面加速度波形重ね合わせ図 6-13(a) から, 時刻 40s 前後で水圧が上昇し, それに伴い加速度が徐々に低下していることが分かる. さらに, 時刻 45s 程度で過剰間隙水圧比が 1 に達し, ポスト液状化に至ることで, 加速度が急激に低下していることが分かる. 建物の動的弾塑性解析結果における最大層間変形角は, 各入力波を用いたケースともに 1/11 であり, 大変形に至る結果となった. 次に, 図 6-14, 図 6-15 に建物応答 1F におけるせん断力 - 変位関係の履歴ループ, 時刻歴相対変位をそれぞれ示す. 履歴ループ, 時刻歴相対変位の比較から分かるように, 最大相対変位の値に大きな違いは見られない. 図 6-15 から, 両ケースとも入力波における主要動初期近傍の卓越した加速度によって, 大変形に至っていることが確認できる. 液状化が発生する要因は, 初期の卓越した加速度による繰返しせん断に起因すると考えられ, 比較的耐力の低い建物は液状化の発生前に大変形に至る. 更に, 水圧上昇 ( 剛性低下 ) による地盤の長周期化に, 塑性化に伴う建物の長周期化が追随すると, 建物応答はより大きくなることが考えられる. したがって, 液状化を応答低減要因とすることは危険であると言える. 図 6-14 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 59

71 図 6-15 建物モデル (1F) の時刻歴相対変位 正弦波パルスによる試算 考察ここでは, これまでの検討に基づき正弦波パルス波を作成し, 入力波の違いによる建物応答の挙動について検討する. ある振幅 A, 固有円振動数 をもち位相無しの正弦パルス波を仮定し, 加速度, 速度, 周期の関係を求める. Asin t (6.29) A V dt A sin tdt cost C (6.30) ここで, 初期条件として時間 t =0, 速度 V (0) =0 を与えれば, 積分定数 C は次式となる. A C (6.31) (6.30) から最大速度 V は, 明らかに (6.31) 式の右辺であり,(6.29) 式の最大加速度 は, 振 幅 A である. したがって,(6.29~31) 式から次式を得る. V p A Tp Ap 2 (6.32) (6.32) 式を介して正弦波パルスを作成する際, 建物モデルの弾塑性域における固有周期の変 60

72 動, および,3,4 章で行った地盤応答挙動の検討における地盤の固有周期 ( 強震時 ) および最大速度を参考に, 最大速度 Ⅴp=100cm, 周期 Tp=1,1.5,2,2.5s, の正弦波パルスを仮定し, 波数 nw=1,4 とした. 図 6-16 に, 波数 nw=1 の入力正弦波パルスを示す. なお, 周期 2.5s について液状化時における地盤の等価固有周期より, やや長い周期の正弦波パルスを仮定している. この正弦波パルスを前節のCy0=0.2 の 2 階建木造建物モデルに基礎固定として入力し, 弾塑性動的応答解析を実施した. 減衰については, 瞬間剛性比例型として 1 次固有周期に対し,h=0.03 として与えた. 図 6-17 に建物モデル 1 階における, せん断力 - 変位関係の履歴ループを示す. 図 6-16 入力正弦波パルス,nw=1 図 6-17 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ図 6-17 の履歴ループの第 4 象限に着目すると, 建物モデルの弾性時 1 次固有周期に近い周期をもつ入力正弦波パルスほど, 応答変位が大きな値となっている. この応答変位に着目すると, 建物モデル 1F は塑性域に入っていることが分かり, このことからも建物全体の 61

73 固有周期は多尐長周期化していること考えられる. その後, 建物の固有周期が長周期化したことにより, 周期の長い正弦波パルスによる影響が, 強くなる表れる傾向にある. ただし, 周期 Tp=2.5s の正弦波パルスによる影響が, 他の周期の正弦波パルスによる影響と比較して小さいのは, 建物モデルの初期 1 次固有周期と正弦波パルスの周期が 2s 程度と大きく離れていたため, この正弦波パルスの半波目が与える影響が小さいことによるものと考えられ, また, 建物モデル 2F の剛性および挙動を含めて, それに対する固有周期での建物モデルの運動 ( 振動 ) と正弦波パルスの周期や共振時の位相遅れ角と多尐離れていたことが考えられる. なお, 参考までに, 正弦波パルス終了後も 2F を含めた建物全体の振動 ( 運動 ) が続き, 建物減衰によって静止するまでの挙動および残留変位が図 6-17 から確認できる. 次に, 図 6-18 に波数 nw=4 として作成した入力正弦波パルスを示し, 図 6-19 に建物モデル 1 階における, 時刻歴加速度波形 相対変位を示す. また, 図 6-20 に建物モデル 1F のせん断力 変位関係を示す. 図 6-18 入力正弦波パルス,nw=4 図 6-19 建物モデル (1F) における時刻歴応答加速度 相対変位 62

74 図 6-20 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ図 6-19(b), 図 6-20 から, 周期が長い正弦波パルスほど建物モデルの応答に与える影響が大きいことが分かり, 大変形に至っている. ここで, 周期 1s,1.5s の正弦波パルスを入力したケースでは,1 波目で最大変位に至り, それ以降の波による影響は小さくなっている. これは, 建物モデルが塑性域に入ることで固有周期が長周期化し, パルス波の周期および位相角と離れることによるものと考えられる. また, 周期 1.5s の正弦波パルスを入力した場合の最大変位に着目すると, 波数 nw=1 の場合と比較して最大変位が小さくなっているが, これは, 入力正弦波パルスの 2 波目との遅れ位相差に起因するものと考えられる. つぎに, 周期 2s,2.5s の正弦パルス波を入力したケースでは, それぞれ 2 波目,4 波目で最大変位に至っている. 周期 4s の正弦波パルスを入力したケースに着目すると, 時刻歴で変位振幅が段階的に大きくなっている. これは, 塑性域に入った建物モデルの固有周期と正弦波パルスの周期が近付き共振のような状態となっていると考えられる. このことから, 周期の長い地震波が建物モデルの固有周期を近づけるように引込む ( 巻込む ) 現象が, 現実に生じる可能性についても示唆される. 次に, 文献 25 を参考に正弦波パルスと建物モデル 1F のフーリエ振幅スペクトルの計算結果を図 6-21 に示す. また, 文献 27 を参考に入力パルス波と建物モデル 2F の伝達関数を (6.33) 式より求め, 伝達関数および伝達関数から求めた塑性域の等価固有周期を図 6-22 に示す. ただし, 低周波数領域に着目するため平滑化は行わない. また, 表 6-4 に建物モデルの塑性領域における各剛性 K( 第 1,2 折れ点以降 ) を用いて固有値解析した結果を示す. 63

75 H( ) S o ( ) S( ) (6.33) i H (): 正弦波パルスと建物モデル 2F の伝達関数 S () o : 建物モデル 2F 応答加速度波形のフーリエ振幅スペクトル S i () : 正弦波パルスのフーリエ振幅スペクトル 図 6-21 から, 表 6-4 に示してある剛性 K2 を用いた固有値解析結果の塑性域 1 次固有 周期近傍の振動数領域 ( 周期域 ) において, 周期が長い正弦波パルスによるケースほど振幅が 大きい. このことから, 長周期側の地震波は比較的耐力の低い建物の固有周期を, 地震波 の周期に近づけるように巻込む ( 引込む ) 現象が生じているとも考えられ, 長周期地震動や長 周期側で地震波を増幅させる液状化を含む軟弱地盤は, 耐力の低い建物に対して大きな影 響を与える可能性が示唆される. また, 周期 1s,1.5s の正弦波パルスによるケースは, 入 力よりも加速度振幅が小さくなり低振動数 ( 長周期 ) 側で大きくなる傾向にあることが分か る. そして, 周期 2,2.5s によるケースは, 塑性域において多尐の 2 次モード的挙動や K1 時塑性域 1 次固有周期による影響が伺える. 次に, 図 6-22 から建物モデルの塑性域における明瞭な固有振動数を判断することはでき ないが, 尐なくとも低振動数 ( 長周期 ) 側で卓越した振動数が確認できる. 特定の固有振動数 を判断することができない原因として, スペクトルの平滑化を行っていないことや, 建物 モデルの固有周期が複雑に変化したことが考えられる. 本検討において, 割線剛性ではな く接線剛性に着目しているが, スリップ剛性 K s を一義的に定めることはできず, その剛性 K s を考慮した塑性域固有周期を求めていない. 実際には, 支配的となるかについては分か らないが剛性 K s 時の塑性域固有周期が最も長い周期と考えられ, その周期による影響が同 図に表れている可能性も考えられる. ただし, 同図に示してあるように仮定した周期 2.5s の正弦波パルスによるケースの建物モデルの塑性域等価固有周期と, 表 6-4 に示してある剛 性 K2 を用いた固有値解析結果の塑性域 1 次固有周期の値は, 比較的近いことが確認でき, 先に示した結果を説明できる可能性がある. また, 周期 1s の正弦波パルスによるケースは, その周期 ( 振動数 ) 領域で入力損失が見られる. これは, 建物モデルが塑性化して長周期化す ることで, 正弦波パルスの周期と離れることに起因すると考えら, 先述した傾向と比較的 一致している. 64

76 図 6-21 正弦波パルスおよび 1F 応答加速度のフーリエ振幅スペクトル 図 6-22 正弦波パルスと建物モデル 2F の伝達関数 65

77 表 6-4 塑性域における建物モデル (Cy0=0.2) の固有値解析結果 次に, 図 6-23 に周期が短い正弦波パルスから順に, 波数 nw=1 ずつ組み合わせて作成し た入力パルス波を示し, 図 6-24 に建物モデル 1 階における, せん断力 - 変位関係の履歴ル ープを示す. 図 6-23 入力パルス波 図 6-24 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 6-24 から, 入力パルス波が長周期化していくことによって, 建物モデルの応答変位が 大きくなり, 時刻 7.11s で最大変形に至っている. このことからも, 建物が塑性域に入り長 66

78 周期化すると, 長周期側のパルス波は建物応答に大きな影響を与えることが分かる. ここで, 文献 26 を参考に建物の固有周期と入力波の周期の関係について, 動的変位応答増幅率を計算し検討する. 簡卖のため 1 自由度系 1 質点モデルの地震動による減衰振動で, 支持地盤が地動により強制的に水平変位した場合を考える. なお, 剛性項, 減衰項について一定の場合を仮定する. 質点の地盤基準点に対する絶対変位 X と, 質点の基礎からの相対変位 x との関係は次式となる. X x x (6.34) G ここに, X: 質点の地盤基準点からの水平方向の絶対変位 x G: 地動による地盤支持点の水平方向の変位 x: 質点の水平方向の相対変位 (6.34) 式を (6.13) 式に代入すると, 地盤の水平加速度 x G による慣性力が外力として質点に作 用した場合の強制振動方程式 (6.35) 式が求まり, さらに,m で除して整理すれば質点の地盤 からの相対変位による運動方程式 (6.36) が得られる. mx cx kx mx G (6.35) x 2h x x (6.36) 2 x G また,(6.35) 式を (6.37) 式とし,(6.13) 式に代入して整理すれば, 質点の地盤からの絶対変位 による運動方程式 (6.38) が得られる. x X (6.37) x G mx cx kx cx G kx G (6.38) ここで, 誘導過程における途中式について割愛するが, x G Dsin pt と置き (6.36) 式,(6.38) 式の定常応答 ( 特殊解 ) について考えると, それぞれの動的応答変位増幅率, 及び位相差は次式のように求まる. 2 Et (6.39) tan ( 1 ) (2h) 2 2h 1 (6.40) 67

79 Ea h (1 ) 4h (6.41) ここに, p (6.42) (6.39) 式は, 地動の動的相対変位による質点の動的変位増幅率であり,(6.40) 式における は質点の地動に対する位相差である. なお,(6.41) 式は, 地動の動的絶対変位による質点の動的変位増幅率である. 図 6-25, 図 6-26 に, 正弦波外力による位相差曲線および各動的変位増幅率を示す. 図 6-25 位相遅れ角 α 図 6-26 動的変位増幅率 68

80 図 6-25から,β が1より小さい場合で位相差はほとんど生じず,β=1では位相差は90 となり,βが1より大きい場合に位相差は180 に近づくことが分かる. また, 図 6-26から, β 1, すなわち, 地震波と建物の固有円振動数が著しく近いと共振し, 絶対変位, 相対変位ともに増幅率が大きくなることが分かる. また, 前節の検討において, 正弦波パルスの周期が小さい, つまり p が小さい場合で, 建物モデルの塑性化に伴い が大きくなる場合には, 相対変位が小さくなったことを説明できる. さらに, p が大きかった場合で, 建物モデルの塑性化に伴って が大きくなる場合, 図 6-26で右側からβ 1 近くに移行し, 増幅率は大きくなることが分かる. これらのことから, 地盤の非線形化に伴い長周期側で加速度を増幅し, 更に建物の塑性化に伴い固有周期がそれに追随する場合には, 共振に近い状態が続くことが分かる. さらに, 長周期側で増幅した地震波は耐力の低い建物の固有周期を地震波の周期に巻き込む現象が起こると共振現象が生じる可能性も考えられる. なお,3, 4 章の検討における地盤の強震時等価固有周期および表 6-4の建物モデル塑性域における固有周期の関係から, 液状化を含む軟弱地盤の応答挙動が, 比較的耐力の低い建物に対して大きな影響を与えたことを定性的に説明できる. 69

81 7. 液状化を含む軟弱地盤が中低層 RC 造建物に与える影響本章では, 前章までの地盤応答解析結果から得られた地表面加速度波形を入力波として, 標準的な 3 階,5 階建て中低層鉄筋コンクリート ( 以下,RC 造 ) 建物を解析対象とし多質点系にモデル化を行い, 時刻歴非線形解析を実施した. この際, ベースシア係数 Cy0 を, 0.2,0.4,0.6 としモデル化を行っている. これにより, 液状化を含む軟弱地盤の応答挙動による地震荷重が, 耐力の低い RC 造建物にどのような影響を与えるかについて, 動的弾塑性解析結果の最大塑性率に着目し検討を行った 階建て中低層 RC 建物に液状化を含む軟弱地盤の応答結果が与える影響 階建て RC 造建物モデルと解析条件この節で対象とする建物モデルは, 標準的な 3 階建て中低層 RC 造建物を想定し 3 質点系モデルを基礎固定とする. つぎに, 復元力特性はトリリニア型のスケルトンとし履歴特性は Takeda モデルを適用した. ここで, 徐荷剛性低下指数 γを 0.4, 降伏点に対応する層間変形角 R2 を 1/150 で固定とし, 初期剛性 K 0 と塑性域における各剛性の関係を図 7-1 のように仮定した. ただし, 包絡線の負の勾配については考慮しない. 減衰について, 内部粘性減衰で評価し瞬間剛性比例型として 1 次の固有周期に対して 3% とした 27). 図 7-1 解析質点モデル, 復元力特性モデルこの 3 質点系モデルに前章までに得られた地表面加速度波形を与え直接積分法による動的弾塑性解析を実施した. なお, 数値積分についてニューマークβ 法で平均加速度法とし β=0.25, 積分時間刻みを 0.001sec とした. また,1 階の降伏せん断力係数, すなわちベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 に対する, 解析モデルの固有値解析から得られた弾性時 1 次固有周期を表 7-1 に示す. 表 7-1 ベースシア係数 Cy 0, 弾性時一次固有周期 T 70

82 7.1.2 解析結果および考察ベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 にモデル化した 3 階建て RC 造建物について, 動的弾塑性解析により得られた最大層間変形角 1/Rを, 第二折点に対応する層間変形角 1/R2 で除した値を最大塑性率 R2/Rとし,R2/R=μと置く. この節では, 前節までの地盤の地震応答解析結果によって得られた地震荷重が,3 階建中低層 RC 造建物に対し, どのような影響を与えるかについて, 最大塑性率に着目し検討を行う. 以下に,3 階建て中低層 RC 造建物モデルの各サイトにおける, 時刻歴非線形解析結果から算出した最大塑性率を以下の図 7-2 に示す. ここで, 図 7-2 で等価有効応力波形 ( 危険側考慮 ) は 4.2.1,2,3 において, 危険側を考慮した検討により得られた地表面加速度波形である ( 以下同様 ). 図 7-2 ベースシア係数 Cy 0 =0.2, 最大塑性率 μ 図 7-2 から, ベースシア係数 Cy0=0.2 の建物モデルについて, 全サイトで各最大塑性率が 6 を超える値となり, 大変形に至っていることが確認できる. また, サイト 3,4,5,6 における建物の各最大塑性率 ( 両全応力波形入力 ) は, サイト 1,2 における建物の各最大塑性率よりも大きい値となっている. 特に, サイト 3 で両ケースともに, 他の各サイトにおける全応力解析の各ケースと比較して, その傾向は顕著に見られ, このことから, 工学的基盤までの深度が深い軟弱地盤ほど, 比較的耐力の低い中低層 RC 建物に対して, 大きな影響を与えると示唆される. つぎに, サイト 4,5,6 のそれぞれのケースに着目すると, 等価有効応力解析における地表面加速度波形を入力したケースは, 両全応力解析における地表面加速度波形を入力したケースと比較して, 最大塑性率の値は大きく, このことから, 液状化が発生すると比較的耐力の低い中低層 RC 建物に対して, 大きな影響を与えることが示唆される. したがって, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる. ここで, 有効応力解析により得られた地表面加速度波形を入力し,6.2.2 と同様の検討を実施しているが, やはり液状化を建物の応答低減要因とすることは危険であることが分か 71

83 る. 参考までに, 図 7-3 に 3 階 RC 建物モデルの 1 階における履歴ループを示す. 図 7-3 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 7-4 ベースシア係数 Cy 0 =0.4, 最大塑性率 μ つぎに, 図 7-4 からベースシア係数 Cy0=0.4 の建物モデルについて, 工学的基盤まで深度が深い軟弱地盤であるサイト 3( 全応力等価線形解析波形 ) と, サイト 4 で危険側を考慮した液状化地盤において, 最大塑性率が他のサイトの各解析結果より大きいことが分かる. したがって, 工学的基盤まで深い軟弱地盤や液状化地盤は,Cy0=0.4 と比較的耐力の低い中低層 RC 建物に対して, 大きな影響を与えることが示唆される. サイト 5,6 から全応力解析波形を入力したケースと比較して, 液状化により応答が低減しているケースがみられるものの, サイト 4 のケースを考えると, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 72

84 危険であると考えられる. 図 7-5 ベースシア係数 Cy 0 =0.6, 最大塑性率 μ つぎに, 図 7-5 からベースシア係数 Cy0=0.6 の建物モデルについて, サイト 2 における各最大塑性率は, 他のサイトにおける各最大塑性率よりも, 大きな値であることが確認できる. これは, 先述したように 3 章の検討からサイト 2 は, 両全応力解析結果ともに短周期側で加速度を大きく増幅しており, このことに起因するものと考えられる. また, サイト 1,3,5,6 の各ケースで, 最大塑性率は 2 を超えておらず, 大変形には至っていない. つぎに, サイト 4,5,6 の各最大塑性率に着目すると, サイト 5 において等価有効応力解析波形を入力した場合の最大塑性率が最も大きな値となった. したがって, 液状化が必ずしも変形を抑止するとは言えず, ベースシア係数 Cy0 が 0.6 程度の建物についても, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる 階建て中低層 RC 建物に液状化を含む軟弱地盤の応答結果が与える影響 階建て RC 造建物モデルと解析条件この節で対象とする建物モデルは, 標準的な 5 階建て中低層 RC 造建物を想定し 3 質点系モデルを基礎固定とする. つぎに, 復元力特性はトリリニア型のスケルトンとし履歴特性は Takeda モデルを適用した. ここで, 徐荷剛性低下指数 γを 0.4, 降伏点に対応する層間変形角 R2 を 1/150 で固定とし, 初期剛性 K 0 と塑性域における各剛性の関係を図 7-6 のように仮定した. ただし, 包絡線の負の勾配については考慮しない. 減衰について, 内部粘性減衰で評価し瞬間剛性比例型として 1 次の固有周期に対して 3% とした 27). 73

85 図 7-6 解析質点モデル, 復元力特性モデルこの 5 質点系モデルに前章までに得られた地表面加速度波形を与え直接積分法による動的弾塑性解析を実施した. なお, 数値積分についてニューマークβ 法で平均加速度法とし β=0.25, 積分時間刻みを 0.001sec とした. また,1 階の降伏せん断力係数, すなわちベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 に対する, 解析モデルの固有値解析から得られた弾性時 1 次固有周期を表 7-2 に示す. 表 7-2 ベースシア係数 Cy 0, 弾性時一次固有周期 T 解析結果および考察ベースシア係数 Cy 0,0.2,0.4,0.6 にモデル化した 5 階建て RC 造建物について, 動的弾塑性解析により得られた最大層間変形角 1/Rを, 第二折点に対応する層間変形角 1/R2 で除した値を最大塑性率 R2/Rとし,R2/R=μと置く. この節では, 前節までの地盤の地震応答解析結果によって得られた地震荷重が, 5 階建て中低層 RC 造建物に対し, どのような影響を与えるかについて, 最大塑性率に着目し考察を行う. 以下に,5 階建て中低層 RC 造建物モデルの各サイトにおける時刻歴非線形解析結果から算出した最大塑性率を以下の図 7-7,9,10 に示す. 74

86 図 7-7 ベースシア係数 Cy 0 =0.2, 最大塑性率 μ 図 7-7 から, ベースシア係数 Cy0=0.2 の建物モデルについて, 全サイトで各最大塑性率が 8 を超える値となり, 大変形に至っていることが確認できる. ここで, サイト 3 において全応力等価線形解析波形を入力したケースは, 他の各サイトにおける各ケース ( 全応力解析波形 ) と比較して最大塑性率が大きく, このことから, 工学的基盤までの深度が深い軟弱地盤ほど, 比較的耐力の低い中低層 RC 建物に対して, 大きな影響を与えると示唆される. つぎに, サイト 4,5,6 のそれぞれのケースに着目すると, 等価有効応力解析における地表面加速度波形を入力したケースは, 両全応力解析における地表面加速度波形を入力したケースと比較して, 最大塑性率が大きいことが分かり, 液状化が発生すると比較的耐力の低い建物に対して, 大きな影響を与えることが示唆される. したがって, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる. ここで, 有効応力解析により得られた地表面加速度波形を入力し,6.2.2 と同様の検討を実施しているが, やはり液状化を建物の応答低減要因とすることは危険であることが分かる. 参考までに, 図 7-8 に 5 階 RC 建物モデルの 1 階における履歴ループを示す. 75

87 図 7-8 建物モデル (1F) のせん断力 - 変位関係の履歴ループ 図 7-9 ベースシア係数 Cy 0 =0.4, 最大塑性率 μ つぎに, 図 7-9 からベースシア係数 Cy0=0.4 の建物モデルについて, 工学的基盤まで深度が深い軟弱地盤であるサイト 3( 全応力等価線形解析波形 ) と, サイト 4 で危険側を考慮した液状化地盤において, 最大塑性率が他のサイトの各解析結果より大きいことが分かる. したがって, 工学的基盤まで深い軟弱地盤や液状化地盤は,Cy0=0.4 と耐力の低い中低層 RC 建物に対して大きな影響を与えることが示唆される. サイト 5,6 から全応力解析波形を入力したケースと比較して, 液状化により応答が低減しているケースがみられるものの, サイト 4 のケースを考えると, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる. 76

88 図 7-10 ベースシア係数 Cy 0 =0.6, 最大塑性率 μ つぎに, 図 7-10 からベースシア係数 Cy0=0.6 の建物モデルについて, サイト 1 における全応力等価線形解析波形入力ケースと, サイト 2 における各最大塑性率は, 他のサイトにおける各最大塑性率よりも, 大きな値であることが確認できる. これは, 先述したように 3 章の検討からサイト 2 は, 両全応力解析結果ともに短周期側で, 加速度を大きく増幅したことに起因するものと考えられる. つぎに, サイト 4,5,6 の各最大塑性率に着目すると, サイト 4 では等価有効応力解析波形 ( 危険側考慮 ), サイト 5 において等価有効応力解析波形を入力ケースの最大塑性率が最も大きな値となった. したがって, 液状化が必ずしも変形を抑止するとは言えず, ベースシア係数 Cy0 が 0.6 程度の建物についても, 液状化を建物の応答低減要因とすることは, 危険であると考えられる 階建て中低層免震 RC 建物に液状化を含む軟弱地盤の応答結果が与える影響 階建て免震 RC 造建物モデルと解析条件この節で対象とする建物モデルは, 前節で示したベースシア係数 Cy0 が 0.6 の 5 階建て中低層 RC 造建物の最下層に, オイレス工業のLRB 統一型の鉛プラグ入り天然積層ゴム設計式の免震層を設定して, 中低層免震 RC 造建物を想定した.5 階建て RC 造建物の 5 質点系モデルについての各パラメタは, 前節で述べている. この 5 階建て RC 造建物の 5 質点系モデルの隅柱にφ600, 中柱についてφ650 の免震層を仮定した.LRB 統一型免震層についての復元力特性のパラメタ ( ひずみγ=100%) を以下の表 7-3 に示す. なお, 免震層の層厚を 1.5m とし, ゴムの層厚については 20cm とした. また, 免震層の設計用クライテリアは層間変形角 1/R が 1/3 である. 77

89 表 7-3 免震層の復元力特性パラメタ ベーシア係数 Cy0=0.6 の 5 階建中低層免震 RC 造建物モデルに, 前章までに得られた地表面加速度波形を与え, 直接積分法による動的弾塑性解析を実施した. なお, 数値積分についてニューマークβ 法で平均加速度法としβ=0.25, 積分時間刻みを 0.001sec とした. ここに, 前節で得られたベースシア係数 Cy0 が 0.6 の 5 階建て中低層 RC 造建物モデルと, 中低層免震 RC 造建物モデルの解析モデルの固有値解析から得られた弾性時 1 次固有周期を示す. 表 7-4 RC 造建物 1 次固有周期, 免震 RC 造建物 1 次固有周期 解析結果および考察ベースシア係数 Cy 0 を 0.6 とした 5 階建て中低層免震 RC 造建物モデルに, 前節までの地盤の地震応答解析により得られた地表面加速度波形を入力し, 動的弾塑性解析により得られた, 免震層の最大層間変形角 1/Rの値に着目して考察を行う. 以下の図 7-11 に, 免震層の最大層間変形角 1/Rを示す. 図 7-11 免震層の最大層間変形角 1/R ベースシア係数 Cy 0 =0.6 とした 5 階建て中低層免震 RC 造建物モデルの免震層の設計 用クリアランスが, 最大層間変形角 1/3 であることは先述してある. 78

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