A case of unusual herpes gingivostomatitis Tadamitsu KAMEYAMA E Yoshiaki NAKAMURA E Michio OKUSU Shunichi TANAKA E Chokudo SUJAKU E Akira TANIMURA Abstract: We experienced an unusual case of primary herpetic gingivostomatitis having deep, beltlike ulcers developed on the upper and lower gingiva in a patient with ulcerative collitis and reported the clinical and laboratory findings of this case. Also, by peroxidase antiperoxidase method HSV antigen was obserbed in neurofibrill of submucosa. We may suggest that this finding demonstrated a neural spread of HSV through the intra-axon. Department of Oral Surgery, Kurume University School of Medicine (Chief: Prof. Chokudo Sujaku)
Vol.35 1585 非 特 異 的 なヘ ル ペ ス性 歯 肉 口内炎 の1例 No.6 図1 写 真1初 E. H.例 写 真2細 診 時 口腔 内 め た(写 真2). 臨床検 査 所 見 と その 推 移: 血液検 査 所 見;初 診 日(2月 は,血 色素 量9.79,ヘ 胞診写真 ウ イル ス 学 的検 査;入 院 翌 日,上 下 唇 粘膜(写 真3) 日)の 末 梢 血 検 査 で マ トク リッ ト値31.3%と な らび に 右 舌側 縁 に ア フ タ ー の形 成 を 認 め た た め,HSV 貧血を 認 め る他 には,白 血球 増 多 症 は 認 め られ な か った.尿 検 の分 離 を 試 み た.す なわ ち,ア フ タ ー病 変 部 を 滅菌 骨 膜 査 では 便潜 血++で,CRPは 剥 離 子 に て 擦 過 す る よ うに して,ぬ 冊 で あ った.血 査 は正 常範 囲 内 で あ った.11日 もCRPが+と 目(2月 液 生 化 学検 日)の 検 査 で 改 善 され た 以 外 は,初 診 日 と同 様 の値 を 示 した.ま た,血 1,3299/dl IgA325/dlと 胞 に 接 種 した.37 と,翌 日に はCPEが 出 現 し,ウ イル ス分 離 が 確 認 され で培養す る た(写 真4). 清 免 疫 グ ロ ブ リン の 定 量 で はIgG 軽 度 の高 値 を示 しIgMは ぐい 液 を 採 取 し,通 法 の ご と くGMK細 ウ イル ス分 離 は,入 院 翌 日 よ り退 院 ま で行 った が2日 正 間 分 離 され た(図1).分 常範 囲 内で あ っ た(図1). の結 果HSV-1型 剥 離 細胞 学 的 検査;初 診 日に潰 瘍 面 の擦 過 に よ る細 胞 HSVに 診 を行 った と ころ,核 内 封 入 体 を 有 す る多 核 巨 細 胞 を認 213 離 ウ イル ス は,中 和反 応 試 験 で あ っ た. 対 す るペ ア 血清 に よる補 体 結 合(CF)抗 体価
日 本 口 腔 外 科 学 会 雑 誌 1586 写 真3下 写 真4 CPE写 写 真5病 唇粘膜 のアフター 真(ウ June 理 組 織像(PAP法 日は く4で,2月 に は16倍 と明 らか な上 め,ス 昇 を示 した, 目 に43部 唇 側 歯 肉部 り,潰 よ り一 部 健 康 粘 膜 を 含 め,潰 瘍 部 の生 検 を行 っ た. HE染 腸 ファ イ パ ー 写 真 テ ロ イ ド軟 膏 の 使 用 を 中 止,ポ 嗽 に 変 更 し た.そ 病 理 組 織 学 的 検 査;入 院4日 100) イ ル ス分 離) 写 真6大 は,2月 1989 瘍 の 縮 小 傾 向 が 始 ま り,14日 失 して き た た め,16日 色 で は,浅 い 潰瘍 を認 め,血 管 周 囲 に リンパ 球 ピ ド ン ヨ ー ドの含 の 日 よ り 発 熱 も 消 失 し,9日 目 に は,ほ 目 に 退 院 と な っ た.以 目頃 よ と ん ど消 後,現 在ま で 再 発 は 認 め られ な い. の浸 潤 あ るい は 粘 膜 固有 層 に好 酸 球 の浸 潤 を 認 め,上 皮 考 内 水疱 な どの 上 皮細 胞 の異 常 は 認 め られ な か った. また,PAP法 一般的に 上 皮 内 に は,陽 性 所 見 は 認 め られ な か った(写 真5). 大 腸 フ ァイ バー 検 査;直 腸 よ りS字 状,下 行 結腸 へ か,HSV感 染 症 は,ほ とん どが不 顕性感染 と され,顕 性 感 染 で も軽 症 が多 い. け て,び ま ん性 の び らん を 認 め,易 出 血 性 で,潰 瘍 性 大 顕 性 感 染 は,顎 腸炎 の 急性 期 の所 見 を呈 した(写 真6). 診 察 で は,粘 膜 固有 層 内 神 経 に 陽 性 を 示 し, 顔 面 領域 に発 現す る ことが多 く,中 で も疱 疹 性 歯 肉 口内 炎 は,HSVの 断:疱 疹 性 歯 肉 口内 炎(初 感 染) 初 感 染病 塚 と して重 要 な も のの 一 つ で ある.そ の臨 床 像は,歯 肉の発赤 を伴 処 置 な らび に経 過:潰 瘍 性 大 腸 炎 に合 併 す る 口腔 潰 瘍 う浮 腫 性 の 腫 脹 と歯 肉縁 の腫 脹 な らびに び らん形成 とそ を疑 い,発 熱 もみ られ た た め,直 ち に 入 院 させ た.抗 生 の他 の粘 膜 の ア フ タ病変 が特 徴 と される1 3) 剤 の投 与 を開 始 す る と と もに 局 所 に は 副 腎皮 質 ホ ル モ ン 本 症 例 の よ うに,上 下 歯 肉の 固着 歯 肉 を中 心に長期に 剤 軟 膏 を塗 布 し,ポ ピ ドン ヨ ド に よ る 含 嗽 を行 わ せ わ た る 浮 腫 を 伴 う幅 広い 深 い 潰 瘍形 成 のみ られた本症例 た.翌 視 鏡検 査 で 潰瘍 性 大 腸 炎 は,従 来 の 考 え よ りす れ ば特 異 な臨 床 例 とい える.し か は,急 性 期 と診 断 され た.そ の 日 よ り,口 唇,舌 の 粘膜 も,可 動 粘 膜 部 の ア フタ ー病 変 の 出現 が 遅 く少な かった に 数 個 の ア フ タ ーが 出 現 した た め,ウ イル ス感 染症 を疑 こ と も本 症 例 の診 断 に苦 慮 した点 で あ った. い,ウ 目にHSV-1が 日,内 科 へ 紹 介 し,内 イル ス 分離 を 行 った.治 療3日 分 本 症 例 で,病 変 が せ ん 延 し,し か も特 異 な 病像 を呈 し 離 され,細 胞 診 の結 果 も ウ イル ス 感 染症 と診 断 され た た た要 因 と して,ま ず 第 一 に 考 え られ る ことは,潰 瘍性大 214
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