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4. 研究の方法についてこの研究を行う際は カルテより下記の情報を取得します 研究組織で策定した臨床指標を用いて 測定結果と取得した情報の関係性を分析し 脳卒中のアウトカム ( 死亡率など ) に対する影響を明らかにします 全国の脳卒中施設の入院 外来レセプトデータ もしくは DPC データの中から

脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能

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脳動脈瘤は 脳の底の部分のくも膜下腔の広い部分にある動脈にできるので 存在するだけでは症状は出ませんが 動脈瘤が動眼神経を圧迫することがあり 瞼が開かなくなったり 物が二重に見えたりすることが出血と同時に生じ あるいは 出血に先行することがあります ( くも膜下出血の症状 ) くも膜下出血の典型的な

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

重症度 HG 1 意識障害の程度 JCS 2 軽症 1 2 清明 ~ぼんやりしている 0~1 中等症 3 見当識障害 ( 返答まちがいあり ) 2~20 傾眠 ( うとうとしている ) 重症 4 半昏睡 ~ 昏睡 ( 返答なし~ 反応なし ) 30~200 劇症 5 深昏睡 ( 瀕死 ) 300 1

虎ノ門医学セミナー

terumo qxd :08 PM ページ 1 脳動脈瘤って何 脳動脈瘤とは 脳の血管にできる 血管のこぶ です こぶができただけでは 多くの場合 症状はありま けて手術で頭を開き 特殊なクリップで脳動脈瘤を せんが 破裂すると死亡率の高いクモ膜下出血や脳 はさみ

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3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞の診断が最も多く 2,524 件 (65.3%) 次いで脳内出血 868 件 (22.5%) くも膜下出血 275 件 (7.1%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 2,476 件 (64.0%) 再発が 854 件 (22

3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞合計が最も多く 3,200 件 ( 66.7%) 次いで脳内出血 1,035 件 (21.6%) くも膜下出血 317 件 ( 6.6%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 3,360 件 (70.1%) 再発が 1,100

プラザキサ服用上の注意 1. プラザキサは 1 日 2 回内服を守る 自分の判断で服用を中止し ないこと 2. 飲み忘れた場合は 同日中に出来るだけ早く1 回量を服用する 次の服用までに 6 時間以上あけること 3. 服用し忘れた場合でも 2 回量を一度に服用しないこと 4. 鼻血 歯肉出血 皮下出

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ER・ICU 100のdon'ts−明日からやめる医療ケア

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

< 目次 > Ⅰ 急性期及び回復期の機能を担う医療機関の状況 Ⅱ 維持期の機能を担う医療機関の状況 Ⅲ 地域連携クリティカルパスの利用状況 Ⅳ 急性期の機能を担う医療機関における専門的治療件数 Ⅴ 調査様式及び記入要領 付属資料 1 各調査項目の関係性( 概念図 ) 付属資料 2 急性期医療機関別実

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脳循環代謝第20巻第2号

要望

エントリーが発生 真腔と偽腔に解離 図 2 急性大動脈解離 ( 動脈の壁が急にはがれる ) Stanford Classification Type A Type B 図 3 スタンフォード分類 (A 型,B 型 ) (Kouchoukos et al:n Engl J Med 1997) 液が血管

盗血症候群について ~鎖骨下動脈狭窄症,閉塞症~

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例 vs 28 例で有意差なかったが 二次エンドポイントの mrs 例 vs 24 例と有意差を認め た この研究は倫理的問題のため中止となっている AHA のガイドラインでは局所動注療法は 全体として予後改善の効果があるが静注療法と治療成績に差はなかった 静注療法と局所動注療法を比較

GE ヘルスケア ジャパン 3D ASL( 非造影頭部灌流画像 ) の実践活用 IMS( イムス ) グループ医療法人社団明芳会横浜新都市脳神経外科病院画像診療部竹田幸太郎 当院のご紹介横浜新都市脳神経外科病院 ( 横浜市 青葉区 ) は 1985 年に開院し 患者さんの 満足 と 安心 を第一に考

岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し

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循環器系疾患 Dolichoectasia 1. 概要 Dolichoectasia は脳血管が異常に延長 蛇行 拡張する疾患であり 脳卒中や脳幹圧迫などを引き起こす 有病率や病態など これまでに確立された疾患概念は存在しない Dolichoectasia の疾患概念確立 病態解明 診断基準作成を目

ラクナ梗塞穿通枝の細動脈硬化アテローム血栓性脳梗塞大動脈弓 頚部動脈または頭蓋内主幹動脈の狭窄または閉塞心原性脳塞栓症心房細動 急性心筋梗塞 左室血栓 人工弁置換を伴った脳梗塞その他の脳梗塞血液凝固異常血管攣縮血管壁異常 21 Vol や薬物中毒のような血管が収縮しやすくなる疾患などで

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

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73 3クモ4~14 病日に発生し,2~4 週間持膜節を実施する 脳血管攣縮はクモ膜下出血後第下出血 続した後に徐々に回復する 2. 分類 クモ膜下出血を来す原因は, 外傷性と非外傷性 ( 突発性 ) に大別される ( 表 1) 外傷性クモ膜下出血は, 脳挫傷からの出血が原因で, 脳槽全体に出血を認

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124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症

< はじめに > この度 日本脳ドック学会編集の 脳ドックのガイドライン 2008 に基づいた より質の高い脳ドック検診を目指すことを目的として 当 脳ドックの意義と限界 を改訂しました 脳ドックの主たる目的は脳卒中予防です 脳卒中は 日頃元気であった ( 無症候の ) 人に突然予告なしに発症し 一

TAVIを受ける 患者さんへ

124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 概要 1. 概要皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 (Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

脳ドックは 病気が起こる前に 脳の健康診断を行うことが目的です 中高年層から起こる脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を早期に発見し予防に役立てるために 脳ドック をおすすめいたします 脳卒中の危険因子と言われる高血圧 糖尿病 高脂血症 肥満 長期の喫煙歴 家族に脳血管障害が有る方などは 特に注意が必要で

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ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

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FLONTA Vol.2 FlowGate 2 Balloon Guide Catheter technical assistant FlowGate 2 Balloon Guide Catheter を使用した臨床経験 佐世保市総合医療センター脳神経外科 林健太郎先生 FlowGate 2 Bal

海外での臨床試験のメタ解析の結果からは 発症後 4.5 時間以内にアルテプラーゼ静注療法を始める場合の良好な治療効果が示唆され ( 図 1)[8,9] 欧州での観察研究 (Safe Implementation of Treatments in Stroke-International Stroke

循環器 Cardiology 年月日時限担当者担当科講義主題 平成 23 年 6 月 6 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 17 日 ( 金 ) 2 限目 (10:40 12:10) 平成 23 年 6 月 20 日 ( 月 ) 2 限目 (10:40 1

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5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

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022 もやもや病

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

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佐賀大学附属病院 高度救命救急センター                 阪本雄一郎

脳血管疾患による長期入院者の受診状況~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

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レイアウト 1

医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

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夏休み親子脳卒中教室の開催 副院長 日本脳卒中協会石川県支部支部長 山本信孝 脳卒中には血管がつまる脳梗塞 ( のうこうそく ) 脳の中に出血する脳出血 脳と脳を包むくも膜の間に出血するくも膜下出血がありますが どれも突然前触れなく始まります そのため脳卒中は予防が一番大事です また脳梗塞の場合 血

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

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背屈遊動 / 部分遊動 装具の良好な適合性 底屈制動 重心移動を容易にするには継手を用いる ただし痙性による可動域に抵抗が無い場合 装具の適合性は筋緊張の抑制に効果がある 出来るだけ正常歩行に近付けるため 痙性が軽度な場合に用いる 重度の痙性では内反を矯正しきれないので不安定感 ( 外 ) や足部外

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

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案とれ 「機能区分コード」(事務連絡)

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本文/開催および演題募集のお知らせ

カテーテルアブレーション治療のご説明

臨 床 病 型 診 断 は 臨 床 経 過 と 画 像 所 見 を 参 考 にして 行 いますが 脳 血 栓 症 と 脳 塞 栓 症 の 鑑 別 は 困 難 なことも 少 なくありません さらに 脳 灌 流 障 害 の 発 症 機 序 から 血 栓 性 塞 栓 性 血 行 力 学 性 の 3 型 に

補足 : 妊娠 21 週までの分娩は 流産 と呼び 救命は不可能です 妊娠 22 週 36 週までの分娩は 早産 となりますが 特に妊娠 26 週まで の早産では 赤ちゃんの未熟性が強く 注意を要します 2. 診断 どうなったら TTTS か? (1) 一絨毛膜性双胎であること (2) 羊水過多と羊

5 直腸診 : 消化管出血による貧血からの起立性失神を疑う場合に施行 6 外傷の有無 : 失神して転倒した際に外傷を合併していないか全身を評価する 検査 12 誘導心電図検査を全例に行う その他に必要に応じて血液検査 心エコー 胸部 X 線写真 頭部単純 CT 大血管造影 CT 脳波 妊娠反応 抗け

監修 作成作成ご協力者 氏名 篠原幸人 所属 東海大学名誉教授国家公務員共済組合連合会及び同立川病院顧問 ( 神経内科 )

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京都第二赤十字病院 脳神経外科研修について 2016 年 8 月 16 日 脳神経外科部長 天神博志 1: 脳神経外科の位置付け私たちが属する日本脳神経外科学会は 脳神経外科とは脳 脊髄 末梢神経を含むすべての神経系およびそれらに関連する骨 筋肉 血管などの疾病の予防 診断 手術を含む総合的医療 リ

Transcription:

脳血管障害 脳神経外科谷浦晴二郎 モーニングレクチャー 2018.4.19

脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血

臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より

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脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血

脳梗塞 心原性脳塞栓症アテローム血栓性脳梗塞ラクナ梗塞 BAD( 分枝粥腫型梗塞 )

e840.net より (http://byoutaieiyou.e840.net/cerebral-infarction.html)

分枝粥腫型梗塞 (BAD) とは? Branch-atheromatous disease ラクナ梗塞と同様に穿通枝の梗塞なんですが この梗塞は 穿通枝が根元から詰まった病態です 画像診断まとめより (http:// 遠隔画像診断.jp/archives/14018)

t-pa 血栓溶解療法発症後 4.5 時間以内の急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法は t-pa という薬剤が用いられる この薬剤の使用にあたっては 施設基準があり また厳格な投与基準 ( 禁忌項目 / 慎重項目 ) がある 国立循環器病研究センター循環器病情報サービスより (http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/brain/pamph63.html)

アルテプラーゼ静注療法のチェックリスト適応外 ( 禁忌 ) 発症 ~ 治療開始時刻 4.5 時間超 発症時刻 ( 最終未発症確認時刻 ) 既往歴 : 非外傷性頭蓋内出血 1 ヵ月以内の脳梗塞 ( 一過性脳虚血発作を含まない ) 3 ヵ月以内の重篤な頭部脊髄の外傷あるいは手術 21 日以内の消化管あるいは尿路出血 14 日以内の大手術あるいは頭部以外の重篤な外傷治療薬の過敏症臨床所見 : くも膜下出血 ( 疑 ) 急性大動脈解離の合併出血の合併 ( 頭蓋内, 消化管, 尿路, 後腹膜, 喀血 ) 収縮期血圧 ( 降圧療法後も 185mmHg 以上 ) 拡張期血圧 ( 降圧療法後も 110mmHg 以上 ) 重篤な肝障害 急性膵炎血液所見血糖異常 (<50mg/dl, または >400mg/dl) 血小板 100,000/mm3 以下血液所見 :PT-INR>1.7 aptt の延長 ( 前値の 1.5 倍 [ 目安として約 40 秒 ] を超える ) CT/MR 所見広汎な早期虚血性変化圧排所見 ( 正中構造偏位 )

血栓回収ステント発作が起こってから長い時間が経過して 脳細胞や血管が傷んでしまった後に t-pa を使用しても 効果がないだけでなく 逆に正常な部位で脳内出血を起こしてしまい 悪化する可能性さえあります また t-pa は全身に作用するため 出血するリスクがあります そのため t-pa が無効もしくは適応外となる脳梗塞患者に対して 血栓回収用デバイスを用いた血管内治療が実施されています 先進医療.net より (http://www.senshiniryo.net/stroke_c/02/index.html)

再発予防 内科的治療 抗凝固療法 抗血小板療法 外科的治療血行力学的脳虚血に対するEC-IC bypass 頸動脈病変に対する頚動脈内膜剥離術 (CEA) および頸動脈ステント術 (CAS)

頚動脈ステント局所麻酔下に 足の付け根の血管 ( 大腿動脈 ) からカテーテルを通して 血管の中から狭窄部位を広げる治療です 頚動脈の狭窄部分に " ステント " と呼ばれる金属性の網状の筒を留置して 血管を拡張させ プラークを壁に押しつけ安定させる方法です Boston Scientific より (http://www.bostonscientific.com/jp-jp/health-conditions/cas/cas-04.html)

頚部内頚動脈内膜剥離術手術は全身麻酔で行います 頚部をできるだけしわに沿って約 10 センチ切開し 細くなった頸動脈を露出し 血管に数センチの切開を加え 肥厚した内膜のみを取り除きます メディックより (https://medick.biz/category/select/pid/97221)

ベーリンガープラス より (https://www.boehringerplus.jp/sites/all/themes/jp/nbi/pdf/productpage/pxa/chads2.pdf)

ABCD 2 スコアは 一過性脳虚血発作後に脳梗塞を早期に起こす危険性を予測する指標として開発されました 表 1 各項目の点数を合計したスコア (0~7 点 ) が高いほど 一過性脳虚血発作後 早期に脳梗塞を起こす危険性が高いとされています 特にスコア 3~4 点以上は要注意です 出典 : 脳卒中治療ガイドライン 2009

脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血

東海大学医学部脳神経外科より (http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/kumomakka/)

臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より

臨床のための神経機能解剖学 ( 後藤文男ほか中外医学社 ) より

クモ膜下出血 SAH 症状 : 髄膜刺激症状( 頭痛 嘔吐 項部硬直 ) 頭蓋内圧亢進症状( 意識障害 眼球内出血 : 硝子体出血 ) その他( 動眼神経麻痺 発熱 不整脈 肺水腫 etc.)

検査 : 頭部 CT( 動脈瘤の推定 水頭症 etc.) 腰椎穿刺(CTで出血が明らかでない時) MRI( 時間の経過した出血の診断に有用 )

脳血管攣縮 (Day4-14) 予防( 血腫摘出 ドレナージ ) 症状 検査 治療( 血管内治療等 )

重症度分類 Hund & Kosnik 分類 grade 0 未破裂動脈瘤 grade 1 無症状または軽度の頭痛および軽度の項部硬直を示す grade1a 急性の髄膜刺激症状または 脳症状を見ないが 固定した神経学的失調のある慢性例 grade 2 意識清明で 中等度ないし激しい頭痛 項部硬直を有するが 脳神経麻痺以外の神経学的失調無し grade 3 傾眠 錯乱状態または軽度の局所神経症状を示すもの grade 4 混迷 中等ないし高度の片麻痺 除脳硬直の始まり 自律神経障害を伴うこともある grade 5 深昏迷 除脳硬直 瀕死の状態

脳動脈瘤クリッピング術全身麻酔下で開頭して手術を行います 手術用顕微鏡を用い 脳動脈瘤の根もとの部分を 血管の外側からクリップではさみ 瘤の中に血液が入らないようにすることで破裂を防止する手術です テルモより (http://terumo-kumomakka.jp/cure/remedy/)

脳動脈瘤コイル塞栓術足の付け根から管を入れ その中にさらに細い管 ( マイクロカテーテル ) を挿入し 動脈瘤の中まで誘導します その後 プラチナで出来た柔らかい金属のコイルを動脈瘤の中に入れていき 瘤をつめてしまいます 血液が入らなくなったら終了です いずれ動脈瘤の中は血栓化してしまい 破裂しなくなります テルモより (http://terumo-kumomakka.jp/cure/remedy/)

来院時 朝 突然の頭痛 嘔吐その後数回意識消失を繰り返す 演者経験例

術前 Angio 左内頚動脈撮影 演者経験例

脳室ドレナージ 留置部は 側脳室から第 3 脳室 脳脊髄液の通過障害や吸収障害による急性水頭症に対して行う 疾患としては クモ膜下出血 脳室内出血を伴う脳出血 脳腫瘍に伴う水頭症などが対象となる 拍動は比較的はっきりとしている ドレナージの先端は 第 3 脳室付近にあり 横から見ると外耳孔の高さにあたる 脳槽ドレナージ 留置部は脳槽 クモ膜下出血のときに生じる血性の脳脊髄液を外に排出する 腰椎ドレナージ 留置部は脊髄内クモ膜下腔 クモ膜下出血 髄膜炎などのとき脳脊髄液を外に出す 非交通性の水頭症 ( 脳脊髄液の通過が障害された状態 脳腫瘍 小脳出血など ) では禁忌 とても細いチューブなので切断に注意が必要 背中で圧迫されてたり折れ曲がったりして 流出がなくなることもある

硬膜下ドレナージ 慢性硬膜下血腫の穿頭術後に 血腫のあった腔に留置 慢性硬膜下血腫の除去後には 洗浄に用いた生理食塩水や空気などが残留していることがあり これらを体外に排出するための役割もある 自然排出させる 頭元のベッドの脇に貼り付けることが多い 硬膜外 皮下ドレナージ 開頭術後に 骨弁の下 あるいは皮弁の下に留置 皮下や硬膜と骨の隙間にたまった血液を排出させる 通常自然流出させる 陰圧をかけることもある

開放式ドレーンは エアフィルターのクランプが閉まった状態になるとドレーン内に陰圧がかかり オーバードレナージになる 看護 roo より (https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2311)

サイフォン (siphon ギリシア語で チューブ 管 の意味 ) とは 隙間のない管を利用して 液体をある地点から目的地まで 途中出発地点より高い地点を通って導く装置であり このメカニズムをサイフォンの原理と呼ぶ TINKLE.jp より (http://tinkle.jp/plone/kingyo/siphon)

脳梗塞 クモ膜下出血 脳出血

東海大学医学部脳神経外科より (http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/kumomakka/)

脳出血 検査頭部 CT MRI 血液検査 救急処置呼吸管理 血圧管理 脳浮腫対策 被殻出血 視床出血 皮質下出血 小脳出血 脳幹出血

被殻出血 (40%) 片麻痺 感覚障害 同名性半盲などが主な症状で 進行すると意識障害がみられます 優位半球 ( 通常左半球 ) の出血の場合では失語症がみられます 家庭医学大全科 ( 高久史麿ほか法研 ) より

視床出血 (30%) 片麻痺 感覚障害は被殻出血と同じですが 感覚障害が優位のことがあります 視床出血では 出血後に視床痛という半身のひどい痛みを伴うことがあります 脳室内出血を伴うことが多いです 家庭医学大全科 ( 高久史麿ほか法研 ) より

池田脳神経外科より一部改変 (http://www.ikedansc.jp/column/noushukketsu03.html) 脳幹出血突然の意識障害 高熱 縮瞳 呼吸障害 四肢麻痺などがみられます 大きな橋出血の場合は予後が不良です 小脳出血突然の回転性のめまい 歩行障害が現れ 頭痛や嘔吐がよくみられます 皮質下出血頭頂葉 側頭葉 前頭葉などの皮質下がよく起こる部位です 症状は 出血する部位に応じて違いますが 軽度から中等度の片麻痺 半盲 失語などがみられます

神経内視鏡下手術頭蓋骨に小さな穴をあけることで行うことができ ( 頭蓋骨を大きく開くことは不要です ) 局所麻酔でも施行可能です 止血も内視鏡をみながら行うことができます 三重大学大学院脳神経外科学より (http://www.medic.mieu.ac.jp/neurosurgery/research/index/04.html)