[ 三多摩腎疾患治療医会 ] 第 68 回研究会 プログラム および 演題要旨 * 当日 参加費壱千円を徴収させて頂きます 平成 26 年 11 月 9 日 ( 日 ) 於 : 杏林大学大学院講堂
三多摩腎疾患治療医会 [ 第 68 回研究会プログラム ] 2014 年 11 月 9 日 ( 日 ) 13:00~16:35 於 : 杏林大学大学院講堂 < 開会の辞 > 理事長長澤俊彦 13:00-13:05 Ⅰ. 一般演題 ( 発表 8 分討論 3 分 ) 13:05-14:44 座長 : 吉田雅治 13:05-13:38 1. 著明な低カリウム血症とたこつぼ心筋症により無脈性心室頻拍を繰り返した 1 例 東京慈恵会医科大学附属第三病院腎臓高血圧内科 : 加藤順一郎高橋大輔田中舞末次靖子鈴木孝秀花岡一成 2. 長期 SLE 治療経過中に非典型 HUS を発症した一例 杏林大学医学部第一内科 : 前園知宏, 福岡利仁, 池谷紀子, 國沢恭平, 駒形嘉紀, 要伸也, 有村義宏 3. 入院中に ANCA 関連腎炎を発症した高齢者の 1 例 1) ( 医 ) 町田慶泉病院内科 同外科 2) 美好腎クリニック 3) 三嶋晃 1) 田中政枝 1) 中西泉 2) 3) 中西祥子 座長 : 檜垣昌夫 13:38-14:11 4. 膜素材によってダイアライザ残血状況が異なった一例 立川相互病院内科 : 小川亜季鈴木創大石学形山憲誠小泉博史 ME 科 : 中村秀樹 5. 当法人におけるエコー下および透視下シャント PTA の取り組み第 3 報 ~ 吻合部近傍病変に対するエコー下と透視下 PTA のストラテジー ~ ( 医社 ) 欅会北八王子クリニック : 菅野靖司河内直子猪俣耕太郎同東大和南街クリニック : 岡本真智子同東久留米クリニック : 古屋徹同小平北口クリニック : 海津明子 東ミヤコ 小沢尚 6. 腹膜透析患者における排便習慣と硫酸抱合型低分子尿毒症物質の関連性について 東京医科大学付属八王子医療センター腎臓内科 : 冨安朋宏 吉川憲子 山田宗治 尾田高志 吉田雅治公立福生病院腎臓病総合医療センター : 中林巌ヤクルト中央研究所 : 川上幸治
座長 : 小泉博史 14:11-14:44 7. 血液透析における抜針検知システムの開発( 第 3 報 ) 1 杏林大学大学院保健学研究科 2 杏林大学保健学部臨床工学科 3 床工学科 血液浄化療法学 山内大輔 1, 酒井恭平 2, 須田健二 3, 副島昭典 3, 杏林大学保健学部 臨 8. 当院における前希釈 On-Line HDF 導入後の溶質除去効果の評価 医療法人社団長尽会長久保病院 : 新栄俊尊, 和田啓, 中村わかな, 小竹はるみ, 鶴田重教, 三神孝子, 豊里友常, 中村健三, 塚本拓司, 桑原勝孝, 下村文彦 9. 当院における KM-9000 を用いた腹水濾過濃縮再静注法 (CART) の経験 武蔵野赤十字病院臨床工学技術科 : 釜谷英治 児玉晋一朗 山本和俊 島﨑雅史 河内直樹 時岡伸行腎臓内科 : 安藤亮一 Coffee Break 14:44-15:00 Ⅲ. 情報提供 1 15:00-15:25 座長 : 安藤亮一 ( 感染対策委員会委員長 ) 新型インフルエンザ等の発生時における透析医療体制について 東京都福祉保健局健康安全部医療体制整備担当課長武田文彦先生 Ⅳ. 情報提供 2 15:25-15:35 座長 : 杉崎弘章 ( 災害対策委員会委員長 ) 2014 年災害時情報伝達訓練結果報告 災害時情報副本部 : 富永正志 和氣政志 杉崎健太郎 小杉繁災害対策委員会 : 安藤亮一 要伸也 小泉博史 杉崎弘章 檜垣昌夫 山田明 吉田雅治 ( 社団 ) 三多摩腎疾患治療医会理事長長澤俊彦 Ⅴ. 特別講演 15:35-16:30 座長 : 要伸也 透析患者の栄養管理 電解質 ( ナトリウム リン カリウム ) のコントロール 川崎医科大学栄養科部長市川和子先生 < 閉会の辞 > 副理事長要伸也 16:30-16:35
演題要旨 1. 著明な低カリウム血症とたこつぼ心筋症により無脈性心室頻拍を繰り返した 1 例 東京慈恵会医科大学附属第三病院腎臓高血圧内科 : 加藤順一郎症例は 45 歳独身男性 平成 26 年に会社が破産して失職した 収入はアパート経営を行っており 食生活には困らなかった 以降 部屋に閉じこもり アルコール摂取量が増え 食事摂取量が減っていった 6 月 20 日に被帽性の頭痛と意識消失が自覚され 救急車で受診となった 受診時 GCS で E4V5M6 血圧は 154/68mmHg 心拍は 116 回 / 分 ( 整 ) であった 静脈血血液ガス分析でカリウム (K) 値が 1.8mEq/l と著明な低 K 血症を認め K40mEq/l の補液で点滴を開始した 同時に無脈性心室頻拍が数十分に 1 回の間隔で出現した ECG では QT が延長し 心エコーではたこつぼ心筋症の所見が認められた 21 日 K 値は 3.2mEq/l まで上昇したが 3 時間に 1 回の無脈性を含む心室頻拍が認められた 22 日は K 値 4.2mEq/l で心室頻拍は 12 時間に 1 回 23 日からは K 値 4.5mEq/l 以上で心室頻拍は消失した 今回 著明な低 K 血症にたこつぼ心筋症を合併したため無脈性心室頻拍を繰り返した1 例を報告する 2. 長期 SLE 治療経過中に非典型 HUS を発症した一例 杏林大学医学部第一内科 : 前園知宏症例は 39 歳女性 1993 年に顔面紅班が出現し 皮膚科にて SLE と診断 1996 年 12 月皮疹再燃時に腎機能悪化を認め 腎生検にてループス腎炎 (WHO 分類 :Ⅴb) と診断され ステロイドに加え タクロリムス MMF などの免疫抑制薬, 免疫吸着療法を併用したが 再発と寛解を繰り返した 2006 年頃からは溶血性貧血も見られたため IVCY300 mg /day 計 6 回施行 最近は SLE の活動性は抑えられていたが 2014 年 4 月より溶血性貧血と血小板数低下 腎機能悪化が進行し同年 8 月入院となる クームス試験, 高リン脂質抗体は陰性 ADAMTS13 活性 52.8%, ADAMATS13 インヒビター陰性などより非典型 HUS の合併が疑われた ステロイドパルス療法後も腎機能は改善せず透析導入となったが 血球異常は小康状態である 本症例以外に当科で経験した膠原病関連 HUS 症例も含め 報告する 3. 入院中に ANCA 関連腎炎を発症した高齢者の 1 例 町田慶泉病院内科 : 三嶋晃 症例 90 歳女性 AST/ALT446/416 と肝機能障害を認め 精査加療目的で 2013 年 11 月 26 日 当院入院となった 12 月 30 日には AST/ALT27/25 と改善した 肝機能障害の原因は不明であった その後 12 月 28 日から 38 台の発熱を認めた 感染症等を疑ったが否定的であった 2014 年 1 月 21 日肉眼的血尿を認めた 腎疾患を疑い精査した 尿 ; 蛋白 (4+) 潜血 ( 3+) 補体蛋白 C3/C4;46/5.4 MPO-ANCA334.0 を認め ANCA 関連腎炎と診断した プレドニン 50mg から内服を開始した 全身浮腫 貧血のコントロールの為 数回血液透析を施行した 2014 年 3 月 10 日 MPO-ANCA12.4 と低下 プレドニンを減量し 血液透析も 3 月 1 日で終了とした リハビリ後 ご家族の希望にて 7 月 24 日自宅に退院とした 結語 入院経過中の ANCA 関連腎炎の報告は無く 入院中発熱の原因として RPGN も考慮する必要がある
4. 膜素材によってダイアライザ残血状況が異なった一例 立川相互病院内科 : 小川亜季 80 歳女性 ADPKD の診断で外来経過観察されていた 73 歳時より M 蛋白血症 (IgG-κ) 指摘 78 歳時に血液透析導入 導入時より透析膜は CTA 膜で 抗凝固剤としてヘパリンを初回 750- 持続 750 単位使用して安定した透析を継続していた 導入一年後に CTA 膜から PMMA 膜 (BG-1.6PQ) に変更した 二週間ほど経過した頃よりダイアライザ残血が目立つようになりヘパリン増量 低分子量ヘパリンに変更などの対応を行っても持続した 採血ではクリオグロブリンを少量認め I 型クリオグロブリン血症を合併しているものと考えた ダイアライザを CTA 膜へ戻したところ改善し ヘパリン量を減らしても残血は認められなかった 膜素材により残血を認めたものと考えたが 同じ PMMA 膜の NF-1.6H を用いたところヘパリンを増やすことなく透析継続が可能であった PMMA 膜は吸着による尿毒素除去が見込めるという特色があるが 残血が多かった理由としてMタンパクやクリオグロブリンといった異常蛋白の吸着が悪影響を及ぼした可能性を考えることが出来る 膜表面の微細構造が残血に影響を与えた可能性があり 興味深いと考え報告する 5. 当法人におけるエコー下および透視下シャント PTA の取り組み第 3 報 ~ 吻合部近傍病変に対するエコー下と透視下 PTA のストラテジー ~ 北八王子クリニック : 菅野靖司慢性血液透析患者において透析シャント狭窄は頻度が高い合併症であり シャント PTA が必要となる症例は多い シャント PTA は X 線透視下で行われるのが通常であったが 昨今エコーガイド下 PTA が普及し 施設によっては造影剤アレルギーなどの一部の症例に限らず 優先的に行われている 当法人では 多摩地区 4 施設の慢性血液透析患者を対象に 2011 年 9 月よりシャント PTA を開始し 2014 年 9 月までにエコー下 :127 件 透視下 :123 件 エコー併用透視下 :5 件 合計 255 件の PTA を実施した エコー下と透視下 PTA には それぞれに長所 短所があり 手技にも若干の違いがあるため それぞれの特性を理解する必要がある 今回 シャント狭窄において頻度が高い吻合部近傍病変に対する それぞれのストラテジーについて言及する 6. 腹膜透析患者における排便習慣と硫酸抱合型低分子尿毒症物質の関連性について 東京医科大学付属八王子医療センター腎臓内科 : 冨安朋宏 目的 インドキシル硫酸(IS) やパラクレジル硫酸 (PCS) を代表とする硫酸抱合型低分子尿毒症物質は 酸化ストレスを亢進し 総死因死亡率の上昇と有意に相関することが報告されている 腹膜透析患者の排便習慣を調査 尿毒症物質 (IS と PCS) の蓄積との関連性について検討を行った 対象 腹膜透析患者 14 例 男 : 女 =6:8 平均年齢 60.8 歳 腹膜透析期間 22.6 カ月 方法 2 週間の排便調査を行い数値化 血清中の IS と PCS を測定し 尿毒症物質と排便習慣及び透析関連の各種パラメーターについてノンパラメトリック検定にて統計解析を行った 結果 腹膜透析患者の排便習慣としては 全体では正常に近い便が多く IS は 29.1mg/L PCS は 31.3mg/L であった IS は排便パラメーターと相関しなかったが β2mg 及び ipth と正の相関を示した PCS は排便が困難なほど高い傾向にあった 考察 腹膜透析患者において IS と PCS は 血清中へ蓄積を認め PCS は排便が困難と感じる患者で高い傾向がみられ 排便習慣の影響を受ける可能性が示唆された
7. 血液透析における抜針検知システムの開発( 第 3 報 ) 杏林大学大学院保健学研究科 : 山内大輔 目的 本研究では 抜針検知システムの開発を行っており 第 67 回研究会で第 2 報の報告を行った 今回は 本システムを利用して血液透析中に発生する再循環率の計測が可能であるか検討を行った 方法 模擬血管を作成し ローラーポンプで模擬血液を循環させた 模擬血管に穿刺針 電極アダプター 透析用血液回路を取付け 透析用患者監視装置の運転を行いながら計測を行った 模擬血管内の循環血液流量 ( ローラーポンプ ) を操作し 再循環率を 0% から 100% まで変化させた 再循環率の計測は 先ず 返血側血液回路内に生理食塩水をワンショットで 10mL 注入を行い 次に ワンショット直後から変化する電気的インピーダンスの変化を 脱血側と返血側の電極アダプターで計測した 結果および考察 再循環率と導電率 ( 抵抗率の逆数 ) の間には 有意な正の相関が示された 電気的インピーダンスを用いた再循環率測定の実用化の可能性が示唆された 8. 当院における前希釈 On-Line HDF 導入後の溶質除去効果の評価 長久保病院 : 新栄俊尊 目的 当院で導入した前希釈 On-Line HDF の評価を行った 方法 当院では全台 On-Line HDF 対応透析装置を導入した 導入から 9 か月間の血流量 補液量 血清 Alb, K, Ca, P, CaxIP 透析効率 β 2 MG を収集し その除去効果を検討した 結果 開始 3 か月では懸念した Alb の減少は認めず むしろ有意に上昇した しかし β 2 MG(26.3 26.2) の有意な低下は認めず IP(5.3 5.6) の有意な上昇がみられた IP の除去を目的として 補液量はほぼ変えず (10L/h) に血流量を平均 214 から 232ml/min へ増加したところ 透析効率は有意に改善し 血清 P, CaxIP, β 2 MG は有意に低下した 経過中 npcr %CGR は有意な変化はなかった 考察 前希釈 On-Line HDF において 補液量と血流量との相関を検討し至適条件を模索する必要があるが 今回は補液量の固定下の血流量の増加が小分子のみならず 小分子蛋白の除去にも有効であることが示唆された 9. 当院における KM-9000 を用いた腹水濾過濃縮再静注法 (CART) の経験 武蔵野赤十字病院臨床工学技術科 : 釜谷英治当院では昨年まで腹水濾過濃縮再静注法 (CART) には専用の装置や回路を用いずに施行してきたが 今年から CART のモードも備えた川澄化学工業社製の血液浄化用装置 KM-9000 の使用を始めたので その KM-9000 による CART の経験を報告する KM-9000 ではプライミング手順が画面に表示され 専用の一体化されたパネル式回路を用いるのでどのスタッフでも簡便かつ清潔に準備を行うことができた 腹水の処理は濾過から濃縮まで一つの閉鎖回路内で行われるため清潔であり 各圧力が常に装置でモニタリングされているため操作性にも大きな問題はなく安全に処理し腹水を回収した KM-9000 を使用した CART4 例の平均回収率は総蛋白量で 81.3% アルブミン量で 76.2% という結果が得られており 以前の方法と比較して平均回収率の増加が認められた 以上のことより KM-9000 による CART は操作が簡便で 効率も良いと考えられた