2013 年 7 月 6 日製鉄記念広畑病院市民講座 ピロリ菌感染症が全員除菌対象に 胃がんの撲滅をめざして第一歩! 製鉄記念広畑病院内科藤澤貴史 1
本日の内容 ピロリ菌感染症について ピロリ菌について 診断 治療 胃がん撲滅を目指した胃がん検診 2
ヘリコバクター ピロリ菌 Helicobacter Pylori 胃内に棲息する らせん状のグラム陰性桿菌 長さ2.5~5.0μm 4~8 本の鞭毛をもつ 強力なウレアーゼ活性により高濃度アンモニアを産生し, 胃酸を中和する. H. pylori ウレアーゼ ( 尿素分解酵素 ) 尿素 アンモニア 胃酸を中和 3
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ピロリ菌感染症 H. pylori 感染症は全身に影響を及ぼす感染症である! 萎縮性胃炎 胃癌 胃潰瘍 蕁麻疹 胃ポリープ H. pylori ITP 血小板減少症 機能性ディスペプシア 十二指腸潰瘍 胃 MALT リンパ腫 5
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完全予防のためには,20 歳で全員検査, 全員除菌 8
ヘリコバクター ピロリ菌 Helicobacter Pylori H. pylori 1982 年 Warren と Marshall により初めて胃粘膜から分離培養された. 2005 年ノーベル生理学 医学賞を受賞した. 微好気性グラム陰性らせん状桿菌 Barry J. Marshall J. Robin Warren 9
Helicobacter Pylori ヘリコバクター ピロリ 名前の由来 Helico 螺旋 Bacter バクテリア, 細菌 Pylori 幽門 生息部位 胃の粘膜層 十二指腸球部粘膜層への感染例もある 10
ピロリ菌の年代別感染率 11
リコバクター ピロリ菌感染2)Kawai T. et al: J. Gastroenterol. Hepatol. 25 Suppl 1, S80-85, 2010より作成ヘ日本における年齢別 H. pylori 感染率 わが国の H. pylori 感染率の割合は急速に低下している 100 80 60 40 20 0 率(%) 0~9 10~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~ ( 歳 ) 年齢 12 どの年代でも感染率は低下しているが中でも 40 歳台以下の若年で著明低下 1974 1) 1984 1) 1994 1) 2003/2004 2) 2030( 予測 ) 12 1)Fujisawa T. et al: Am. J. Gastroenterol. 94(8), 2094-2099, 1999
なぜ強酸性の胃の中でも生きられるのか? 胃の酸度は ph1~2 です ピロリ菌が活動するのに最適な ph は 6~7 で 4 以下では ピロリ菌は生きられません ではなぜピロリ菌は胃の中で生きられるのでしょうか? 秘密はピロリ菌の持つウレアーゼという酵素です この酵素によって胃の中の尿素という物質からアンモニアを作り出すのです アンモニアはアルカリ性です このアンモニアが胃酸を中和するのです そのようにしてピロリ菌は自分の周りに中性に近い環境を自分で作り出すことができるので 強酸性の胃の中でも生きていられるのです 13
口から侵入してくるピロリ菌 食べ物や飲み物からも感染しやすいと考えられていて 基本的に口から侵入する経口感染がピロリ菌の侵入経路とされています 上下水道の普及率が低く 衛生状態の悪い地域ではピロリ菌に感染する確率が高いことが判明しています 両親がピロリ菌に感染していない場合 子供への感染率は約 3% に留まりますが 両親がピロリ菌に感染している場合 子供への感染率は40% に達しています 同じ家庭内の上水道を使用しているためだと考えられます 通常の日常生活で夫婦間や恋人間でのキスによるピロリ菌の感染はないです ピロリ菌は幼児期に感染し 成人になってから感染することはほとんどない 免疫力が不完全な乳幼児ではちょっとしたことでも感染の可能性は捨てきれないのが現状です 噛み砕いたものを子供に口移しで与えるといった行為は ピロリ菌を感染させる可能性があります 14
ピロリ菌感染と疾病 H.pylori 感染 約 6000 万人 約 30% 約 0.4% 胃 十二指腸潰瘍 180 万人 胃がん 24 万人 15
ピロリ菌感染と胃がん 胃がん発症は感染者中の年間約 0.4% 10 人に 1 人が胃がんを発症 16
胃の年齢は実際の年齢とは異なる! ピロリ菌感染の有無により, 胃粘膜の一生が異なる ピロリ菌悲感染者の胃は老化現象を認めない. 胃年齢? 20 歳 50 歳 80 歳ピロリ菌感染者は, 胃炎が持続する. 次第に胃粘膜も老化する. ( 老化の速度は個人差が有る ) 17
ピロリ菌感染は何をする 組織学的胃炎, 慢性活動性胃炎を惹起し, 永年持続する H.pylori 感染者と非感染者の内視鏡像 ピロリ菌陰性 ピロリ菌陽性 両者とも特有な症状はない 18
ピロリ菌の有無はおおむね内視鏡観察のみでわかります 19
感染したらみんな病気になるのか? 組織学的胃炎 ( 慢性活動性 ) 菌種の違い 感染時期の違い 宿主の反応性の違い 酸分泌能免疫能 異なる病態の発生 20
胃がんのリスクファクター 喫煙 ピロリ菌感染 + 糖尿病 高濃度食塩 胃がんの発生率 高血糖 : ピロリ菌感染 + 高血糖 の人は ピロリ菌感染なし+ 血糖正常 の人の4 倍 ピロリ菌感染 + 血糖正常 の人の2.2 倍胃がんになりやすい 喫煙 : ピロリ菌感染 + 喫煙 の人は ピロリ菌感染なし+ 非喫煙 の人の11 倍 ピロリ菌感染あり+ 非喫煙 の人の1.6 倍胃がんになりやすい塩分のとりすぎ : ピロリ菌感染 +がんになりやすい薬 + 塩分とりすぎ のネズミは ピロリ菌 21 +がんになりやすい薬 + 塩分正常 に比べて3 倍も胃がんになった ( スナネズミ )
内視鏡観察でピロリ菌感染を診断 陽性と判断すれば, 5mm 以下の小胃がんをターゲットに綿密に観察 22
ピロリ菌感染診断法 侵襲的内視鏡的 非侵襲的 検査法感度特異度除菌判定 培養法 68-98% 100% 組織鏡検法 87-96% 79-99% 迅速ウレアーゼ試験 61-100% 91-100% 抗体測定法 91-100% 50-91% 尿. 血液. 唾液 便中抗原測定法 96-96% 97% 尿素呼気試験 98% 97% 感度は非侵襲的な検査の方がやや高い 診断 :1 尿中ピロリ菌抗体 ± 尿素呼気試験 2 血中ピロリ菌抗体 ( 検診時 ) 除菌判定 : 尿素呼気試験または便中抗原測定法 23
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尿素呼気試験 非侵襲的 簡便で感度 特異度ともに高い 尿素製剤は非放射性同位元素であり放射能を発生しない 尿素製剤服用前後で呼気を採取する ピロリ菌のウレアーゼ活性を利用している プロトンポンプ阻害薬 ( パリエット, タケプロン, ネキシウム, オメプラール ) は本試験の値を低下させる. 軽度のピロリ菌除菌作用があるため. 尿素呼気試験陰性の場合は 除菌成功の信頼性は高い. 除菌判定は除菌治療薬中止後 6~8 週後に行う. PPI や一部の防御因子増強薬等 ピロリ菌に対する静菌作用を有する薬剤が投与されている場合 除菌前後の感染診断の実施に当たっては 当該静菌作用を有する薬剤投与を少なくとも2 週間は中止することが望ましい 25
ピロリ菌感染症 胃 十二指腸潰瘍胃 Malt リンパ腫早期胃がんの内視鏡的治療後萎縮性胃炎過形成性ポリープ 血小板減少症鉄欠乏性貧血慢性蕁麻疹動脈硬化症 機能性ディスペプシア逆流性食道炎 胃食道逆流症 26
日本のピロリ菌除菌治療の適応疾患日本ヘリコバクター学会ガイドライン 2000 年版 2003 年版 2009 年版 2013 年 2 月 ~ 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 A A A A 胃 MALT リンパ腫 B A A A 早期胃癌の内視鏡切除後 C B A A 萎縮性胃炎 C B A A 胃過形成性ポリープ C B A A 機能性胃腸症 (FD) C C A A 逆流性食道炎 (GERD) C 消化管以外の疾患特発性血小板減少症 C A A A 保険適応 A: 除菌治療が勧められる疾患 B: 除菌が望ましい疾患 C: 除菌の意義が検討されている疾患 27
菌判ピロリ菌除菌治療のフロー 染診H. pylori 感一次除菌治療 タケプロンOD30mg H. パリエット10mg ネキシウム20mg pylori 除アモキシシリン断750mg クラリスロマイシン 200~400mg 1 日 2 回 7 日間 除菌不成功 H. パリエット10mg ネキシウム20mg pylori 除アモキシシリン定750mg 除菌成功 二次除菌治療 メトロニダゾール 250mg 1 日 2 回 7 日間 OD30mg 菌判定タケプロン 28
除菌治療におけるプロトンポンプ阻害薬の役割 プロトンポンプ阻害薬 抗菌薬の胃内濃度を上げる 酸分泌抑制 胃内 ph 上昇 抗菌作用 ( 弱い ) 抗菌薬の安定化 29
ピロリ菌除菌率 ( 一次除菌 ) 一次除菌治療では 20~30% の除菌不成功患者に対する治療が課題であった 除菌不成功 19.4% 現在では除菌不成功例は 30% に増加している薬剤耐性増加が原因 除菌成功 80.6% 対象 : H. pylori 陽性の瘢痕期の胃潰瘍または十二指腸潰瘍患者 288 例方法 : オメプラゾール20mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン200mgまたはオメプラゾール20mg アモキシシリン750mg クラリスロマイシン400mgを1 日 2 回 7 日間経口投与した 30 Higuchi K. et al: Clin. Drug Invest. 26(7), 403-414, 2006 改変
副作用の報告 頻度として最も多いには下痢, 軟便で約 10~20% の方に起こります. 1 日 2~3 回の下痢, 軟便であれば, 薬の量を減らしたり中止せず最後まで服用してください. その他, 食べ物の味がおかしく, 苦みや金属のような味がするなどの味覚異常や舌炎 口内炎が5% 未満, 皮疹が 2% 未満の方に起こります. 腹痛 放屁 腹鳴 便秘 肝機能障害 めまいなどの副作用が起こりえます. 合計で40~50% です. 治療中止を余儀なくされる副作用が約 2~5% の頻度で認められ, ひどい下痢や便に血が混じる ( 出血性大腸炎 ), 皮膚のひどい異常, 喉頭浮腫, 発熱などが起こり得ます. 整腸剤の併用も考慮します. ペニシリンアレルギーなどの薬剤アレルギーについて使用する薬剤の中にペニシリン製剤が含まれます. ペニシリンアレルギーのある方は申し出て下さい. 治療法を変更する必要があります 高齢者における副作用発生頻度について高齢者で特に高いという結果ではなかった 高齢者で副作用を懸念して除菌を控える必要はな 31 いと考えられる
一次除菌で失敗したら どうしたらいいの? 32
二次除菌法について 除菌不成功の最大の原因はクラリスロマイシン ( CAM ) 耐性菌であり 二次除菌においてはCAM を含んだレジメでは低い除菌率しか期待できない 一次除菌としてPPI+AMPC+CAM で除菌失敗した症例に対して 二次除菌としてCAM をメトロニダゾール (MNZ) に変えた PPI+AMPC+MNZ の除菌率が検討され 7 日間投与で約 95% と有効性が認められている クラリスロマイシン メトロニダゾールに変更する 飲酒によりジスルフィラムーアルコール反応が起き 腹痛 嘔吐 ほてり等が現れることがあるので メトロニダゾール内服中は飲酒を避ける必要がある 33
H. pylori 除菌後の再感染率 中国における検討 184 例を 24 ヵ月観察 年率 1.08% Mitchell HM. et al: Gastroenterology 114(2), 256-261, 1998 日本における検討 337 例を 1 年間 133 例を 2 年間観察 1 年後 1.2% (4/337) 2 年後 1.5% (2/133) Adachi M. et al: J. Gastroenterol. Hepatol. 17(1), 27-31, 2002 再感染率は約 1% ほとんど問題にならない 34
本邦の除菌治療の現状 一次レジメン PPI+AMPC+CAM PPI 2 倍量 アモキシシリン 1500mg クラリスロマイシン 800mg 分 2 7 日間 二次レジメン PPI+AMPC+MNZ PPI 2 倍量 アモキシシリン 1500mg メトロニダゾール 500mg 分 2 7 日間 日本ヘリコバクター学会 H.pylori 感染の診断と治療ガイドライン 2003 年改訂版 35
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三次除菌法について 三次除菌法もありますが, これは保険適応外です. 当院ではピロリ菌専門外来 ( 月午後 ) で, 自由診療による三次除菌法を行っています. しかし, 成功率は6-7 割です. 37
ピロリ菌除菌と胃がん 38
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異時性胃がん発現抑制効果 Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric carcinoma: an open label, randomised controlled trial. 早期胃癌の内視鏡的治療を受けたH. pylori 陽性患者ではH. pylori 除菌により異時性胃癌の発生が有意に抑制された 10 異時性癌の累積発現(%) 12 8 6 4 対照群 除菌群 ハザード比 0.339 [95%CI 0.157 0.729] p=0.003 除菌により発癌が 1/3 以下に抑制 非除菌群 24/250(9.6%) 2 率0 0 1 2 3 除菌群 9/255(3.5%) ( 年 ) 対照群 ( 例 ) 除菌群 ( 例 ) 250 250 213 167 255 237 196 157 対象 :H. pylori 陽性の早期胃癌の内視鏡的治療実施予定患者または内視鏡的治療実施後経過観察中の患者 (20~79 歳 )505 例方法 : 多施設無作為化比較試験 除菌治療群 (PPI アモキシシリン水和物 クラリスロマイシン投与) と対照群に割り付け 6ヵ月 1 年 2 年 3 年目に内視鏡検査を実施し 異時性胃癌の発生を調査した 40 Fukase K. et al: Lancet 372, 392 397, 2008
除菌成功後の問題点 除菌後に逆流性食道炎が新たに発生 または増悪する症例が 3 ~ 19% 存在したと報告されている しかし現状では 除菌治療後に一時的に逆流性食道炎または胃食道酸逆流症症状が出現または増悪することがあるが除菌治療の妨げにはならない 除菌成功後に 肥満やコレステロール上昇など 生活習慣病の出現が報告されており 除菌成功後も患者の生活指導が大切である 除菌後にピロリ菌が再陽性化する症例も報告されているが 再感染率は年 0 ~ 2% 程度で問題とならない. 除菌後の胃がん発生が今後問題となる. 胃がん発生は1/3 以下に抑制されるがゼロとはならない. 除菌後 10 年して胃がん発生した例も報告されている. 除菌後も粘膜萎縮の進展の程度により定期的な内視鏡検査が必要です. 41
血液検査 ABC(D) 検診 ピロリ菌抗体検査 (HP) ピロリ菌に感染しているかどうか陽性 :HPIgG 10U/ml 以上 ペプシノゲン抗査 (PG) 萎縮性胃炎が進行しているかどうか陽性 :PGⅠ 70nm/ml 以下かつ PGⅠ/Ⅱ 比 3.0 以下 42
ABC(D) 検診 ABC(D) 検診はピロリ菌感染の有無と萎縮性胃炎の進行度から, 胃がんのリスクを層別化し, リスクに応じた二次精査を行う検診方法である. A 群 : ピロリ菌非感染健常者 B 群 : ピロリ菌感染成立 萎縮性胃炎非合併群 C 群 : ピロリ菌感染成立 萎縮性胃炎合併群 D 群 : 萎縮性胃炎進展による高度腸上皮化生合併群, ピロリ菌は自然除菌 ピロリ菌抗体 ペプシノゲン 胃癌のリスク 血清 A 群 (-) (-) 低 血清 B 群 (+) (-) 中等度 血清 C 群 (+) (+) 高度 血清 D 群 (-) (+) 高度 43
従来の検診と ABC 検診 従来の検診 B B A C B A A B A A A A B B A A C B A A A A A A B A A A B A A A A A A A B B C A B A A A A B A B B A A A A B B B A B A A B B A B C A A A A B C A A C A A C B B B B B C B B B B ピロリ菌の有無, リスクの程度に関わらず, 毎年一律に XP 検査をを行う A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B C D D D D ABC 検診 A A A A A A A A A A A C C C C C C C C C 検診から外す リスクに応じた画像診断と除菌指導 44
胃 X 線検診の利点と欠点 利点 胃癌死亡抑制効果のエビデンスがある 設備を備えている医療機関や検診設備が十分にある 1 日に多くの人を検診できる 検診は医師がいなくても技師がいればできる 多くの経験と蓄積があり, 広く認められている 一般的に経口内視鏡より苦痛が少ない ダブルチェックや見直しが出来る 内視鏡より 1 回あたりの検査費用を安価に施行できる 高度の胃炎や萎縮は診断できる 欠点 受診率が低下してきている 設備が効果である 誤診がある X 線被ばくがある バリウムがの飲めない, または検査を嫌がる人がいる 検診の質は放射線技師と読影医に左右される 写真の質は受検者の胃の状態に左右される 最終診断として内視鏡検査を必要とする 粘膜の肉眼診断や生検診断ができない 読影医が減少してきている 軽度の委縮は診断が困難である 45
胃底腺ポリープ 胃のポリープも色々 過形成性ポリープ ピロリ菌陰性にしか起こらない ピロリ菌陽性にしか起こらない 46
胃内視鏡検診の利点と欠点 欠点 利点 診断力で圧倒的優位を誇る 粘膜の肉眼診断や生検診断ができる 早期胃癌を多く発見できる 慢性胃炎の程度やピロリ菌感染 ( 既感染を含む ) が診断できる 放射線被ばくがない 色素内視鏡や NBI などの特殊技術が併用できる 厚労省が推奨していない 受診率が低い 前処置や前投薬が必要である 受診者に苦痛がある ( 経口 ) 内視鏡設備が必要である 専門の医師とメディカルスタッフが必要である 1 日の検診人数に制限がある 1 回あたりの検査費用が大きい 医師の技術や能力に左右される 生検をした場合, 費用と出血のリスクが生じる 47
ABC(D) 分類と H.pylori 関連胃炎病期分類と胃癌発生率 前北隆雄, 他.Helicobacter Research 15:409-14,2011 48
松江赤十字病院の場合 1996 年 10 年後 H.Pylori 抗体価 H.Pylori 抗体価 (-) (+) (-) (+) PG 法 (-) (+) 0% (0/260) 0.96% (3/312) 0.18% (1/571) PG 法 (-) (+) 0% (0/260) 4.17% (13/312) 1.49% (8/571) n=1143, H.Pylori 抗体価 ± 75 例を除く 井上和彦, 他. 日消集検誌 43;442 8,2005 井上和彦.Helicobacter Research 11;562 7,2007 49
H.Pylori 感染と ABC(D) 分類 H.Pylori 感染 ( 幼小児期 ) あり なし 胃粘膜炎症 (+) 胃粘膜萎縮 (+) B 群 十二指腸潰瘍胃潰瘍胃 Malt リンパ腫未分化型胃癌 炎症 (-) 萎縮 (-) A 群 C 群 過形成性ポリープ胃腺腫分化型胃癌 胃食道逆流症機能性ディスペプジア 50
ピロリ菌検診または ABC 検診を一次検診とした場合の個別化胃がん予防検診 ピロリ菌検診 ABC 検診 絞り込み 胃がん低危険群 対象者を減らす 検査回数を減らす 対象者から除外 対象者を選んで効率的に行う 感染者は除菌 胃がん高危険群 囲い込み 繰り返し胃 X 線または内視鏡検査 51 中島滋美.Helicobacter Research 15:448-57,2011
早期の除菌が望ましい = 二十歳の除菌キャンペーン 52
ピロリ菌感染症全員除菌をめざして 胃がんと萎縮性胃炎のチェックを目的に内視鏡検査を受ける ピロリ菌感染の疑いがあれば, ピロリ菌感染の診断を行う ピロリ菌感染 + なら, 除菌を行う 粘膜萎縮の程度によって, 定期的に内視鏡検査を行う 除菌治療を受けた方は, 次回の検査時にその旨を伝えて下さい 必ず, 除菌判定を受けて下さい ( 尿素呼気試験 ) ピロリ菌感染の診断だけを行うことはできませんまえもって内視鏡検査が必要です 53
除菌するならいつですか? ご清聴ありがとうございました 54