1 2 実際の飼養管理の要諦 1. 牛の満腹とはどういうことか 2. 3. 牛の食いかた牛と水の関係 4. 搾乳しているときの行動 5. 牛の起きかたと寝かた 6. 牛の歩きかた 7. 乾乳牛の見かた 8. 分娩後の低カルを防ぐ3つの手法 9. 分娩後のケトーシスを防ぐ2つの戦略 10. 乳房炎を防ぐための日々の注意点 11. 牛の調子はここに出る 12. 育成牛の養いかた 良質な粗飼料を収益に変える前提条件 牛の満腹とはどういうことか エサが牛の消化器官を通る順番 3 反芻動物の消化器官 4 人と同じ消化器官 第 4 胃 ( しわ胃 ギアラ ) 反芻胃第 1 胃 ( ルーメン こぶ胃 ミノ ) 第 2 胃 ( 網胃 ハチノス ) 小腸 ( コプチャン シロ ) 第 3 胃 ( 葉胃 センマイ ) 反芻動物だけの消化器官 ( 食道が発達した消化器官 ) 盲腸 大腸 ( テッチャン シマチョウ ) 1
人間の満腹感と空腹感 5 牛は炭水化物をブドウ糖として吸収できない 6 食べ始めてから約 20 分 牛は生理的に満腹感を感じない 7 物理的満腹で寝ている状態 8 牛はエサを食べても急激に血糖値が上がらないので満腹中枢は刺激されない 正常な牛が エサがあるのに食べるのを止めて寝るのは第 1 胃 ( ルーメン ) がエサで充満したとき = 物理的な満腹 2
腹いっぱい食べるとここが開く 9 ここが開く 10 乳牛の外貌が写真のようになっていれば 物理的な満腹になっている そうでなければ 採食行動を阻害しているなんらかの要因があることになる それらの要因を特定し 取り除くことができれば 乳牛の採食量は 再び増加するはずである 11 牛は腹いっぱいになったから寝ているとは限らない 12 人間ができることは 乳牛がエサを食べる環境を提供することだけである 3
牛が寝ている理由はどれだ! 13 14 1. 物理的な満腹 これ以上食べられないから寝ていようれな 2. 給与作業への馴致 飼槽に行っても食えないから寝ていよう=あきらめ 3. ルーメンアシドーシス おなかの調子が良くない 消化不良だ 4. ケトーシス 身体が思うように動かないから寝ていよう=だるい 5. 低カル 低マグ しびれているので立つのがオックウ 6. 蹄病の発生 つま先が痛いので立つのがいやだ 良質粗飼料を有効利用できない阻害要因 牛の食いかた よい食いかた 15 よい食いかた 16 4
エサ押しのタイミング 17 口が届かないとエサがあっても食べられない 18 この牛舎では 隔壁から 70cm 以上の部分は 牛の口がとどなない 隔壁から10cm 以内の部分も食い残す 隔壁から40±30 cmの範囲においてあるエサを食べていた 19 エサ押しのタイミングタイミングが遅いと 基本的には一緒の状態 20 5
エサが少なくなったら 21 牛は毎日同じ量は食べない ( 牧草サイレージの採食量 ) 22 14 粗飼料乾物摂取量 (kg) 13 12 11 10 9 8 7 6 37 42 47 52 57 62 67 72 77 82 87 92 分娩後日数 イネ科単播区 マメ科混播区 えらび食い 23 えらび食いの跡 24 6
搾乳乳乳えらび食いを起こしやすい TMR 25 えらび食いの原因 26 1. かたい粗飼料を 5 cm以上の長さに切断する 2. 濃厚飼料の割合を上げる 3. エサを薄く広くのばす 哺乳時に子牛をいじめる この条件のうち 二つ以上が重なると えらび食い をするようになる!! 健全な乳牛の採食行動 ( フリーバーン +TMR 給与 搾乳牛 1 日 1 頭当たり乳量 30kg) 27 給与量を制限されている乳牛の採食行動 ( フリーバーン +TMR 給与 搾乳牛 1 日 1 頭当たり乳量 28kg) 28 給与量が多く エサ押しの回数も多い農家の場合搾エサ押しの回数が少ない農家の場合搾( 広島県農業技術普及センター 乳牛の採食行動特性調査による TMR 給与のあり方 より抜粋 ) 搾乳( 広島県農業技術普及センター 乳牛の採食行動特性調査によるTMR 給与のあり方 より抜粋 ) 7
かため食いをしている乳牛の採食行動 ( タイストールバーン +TMR 給与 搾乳牛 1 日 1 頭当たり乳量 23kg) 29 ルーメンアシドーシス 30 給与量が少なく エサ押しの回数も少ない農家の場合 TMR 給与でアシドーシスを引き起こしていた搾乳搾乳亜急性アシドーシス (SARA) ルーメンpHが5.0~5.5 まで低下している状態を指す 臨床症状は一定でなくはっきりしないことが多いが 摂取量の減少やばらつき ボディコンディションの低下 下痢 鼻血 突然死 はっきりしない健康問題による高い淘汰率 跛行 蹄病 ルーメンの炎症 肝膿瘍 および細菌性肺塞栓が見られる ( 広島県農業技術普及センター 乳牛の採食行動特性調査による TMR 給与のあり方 より抜粋 ) 急性ルーメンアシドーシスシスルーメンpHが突然急激に低下したときや ルーメン内の乳酸濃度が上昇した状態を指す 臨床症状は 食滞 腹部の痛み 頻脈 ( 心拍数の増加 ) 呼吸数の増加 下痢 無気力 よろめき 起立不能 および突然死である ルーメンアシドーシスは複合的に酪農家の生産性を低下する 31 ルーメン発酵とルーメン絨毛組織 32 グラム陰性菌から発生するエンドトキシンの作用によって 毛細血管の血流が阻害され 蹄葉炎を起こしやすくなる 8
穀類の給与とルーメン ph 33 牛舎でこうなったら注意 34 ルーメン内で生産された VFA を絨毛組織で吸い上げ ph 値が 5.6 以上になるまで採食行動を停止する!! ストールで無意味に立ちっぱなしになっている乳牛が増えた 蹄 (?) 亜急性アシドーシス (?) 亜急性ルーメンアシドーシスの初期 35 亜急性ルーメンアシドーシスの末期 36 末期 : 下痢症になる 牛舎に酸臭が漂う この状態になったら 粗飼料のみの給与に切り替えて様子を見る 初期 : 未消化センイが増えるので きめが粗くなる 粘性が低下するので盛り上がらない 色は薄め 触るとザラザラする この状態であれば エサ押しの回数を増やしたり 給与の組み合わせを工夫すればなんとかなる 9
生産性を低下させる負の連鎖 37 38 かため食いえらび食い濃厚飼料過多 ルーメンアシドーシス 乳房炎の増加 エンドトキシンの発生 吸収 排卵遅延による受胎率の低下 肝機能低下 採食量の低下 血行障害による趾蹄障害の増加 空胎日数の増加 出荷乳量の低下 産乳量を上げるための前提条件 牛と水の関係 理想的な水 39 理想的な水質 40 10
理想的とはいえない ウォーターカップ 41 水槽の掃除 42 水槽のお掃除の後で 43 乳腺の構造 44 乳腺胞 乳腺小葉 動脈血 乳腺葉 腺胞上皮細胞 乳小管 支持靭帯 腺胞腔 筋上皮細胞 乳管 乳管槽 (400 ml) 静脈血 乳小管 乳頭槽 (30-40 ml) 乳頭括約筋 乳頭孔 11
45 塩の欠乏 46 最初の兆候は分娩後 2 週間以内から4 週間までに塩を欲しがる様子が見られる 分娩 2ヶ月後には 牛舎の世話をする人の手や衣服を舐めたり尿や厩肥から流れ出た液が浸みている土を食べ 牛舎の壁を舐め 他の牛が放尿している尿を飲むようになる この時には食欲はなくなり体重は減り 食べなくなる牛も出てくる 食欲が低下するに連れて乳の出も減ってくる 牛はやせ衰えてもの憂げになり 皮膚 ( 特に首周り ) はかさかさになり 毛はバサバサになる 最終的には震えが来て後ろ足がもつれ 弱って心臓が異常になり 体温が下がって死ぬ ( 突然死 ) 塩化ナトリウムの要求量は乾物飼料の0.46% 位である 47 搾乳風景 搾乳されながらゆっくり反芻しているのが理想的な姿 48 搾乳しているときの行動 12
問題のある搾乳前後の行動 49 50 搾乳 1 時間前には漏乳する牛が何頭もいる 搾乳をするために牛を立たせたのに搾乳の順番たが来る前に寝てしまう牛が多い 搾乳が終わるとエサを食べずにすぐに寝てしまう牛が多い 何かがおかしい!! 牛の起きかたと寝かた 牛の起きかた 51 牛の寝かた 52 倒れるように寝ると乳房炎が増える 後躯の神経麻痺? この姿勢で 2~3 秒もたつくのは問題がある この姿勢で 2~3 秒もたつくのは問題がある 低血糖? 後躯の神経麻痺? 低血糖? 13
牛の寝相 53 54 Adapted from Sprecher, D.J.; Hostetler, D.E.; Kaneene, J.B. 1997. Theriogenology 47:1178-1187 and contribution from Cook, N.B., University of Wisconsin. 牛の歩きかた どんな寝相でも基本的にはストールに対して平行になるのが原則 健全な歩きかた ( スコア 1) 55 軽度の被害 ( スコア 2) 56 静止時の背中の状態 : 平坦 歩行時の背中の状態 : 平坦 静止時の背中の状態 : 平坦 歩行時の背中の状態 : 湾曲 14
問題のある状態 ( スコア 3) 57 かなりひどい状態 ( スコア 4) 58 静止時の背中の状態 : 湾曲 歩行時の背中の状態 : 湾曲 静止時の背中の状態 : 湾曲 歩行時の背中の状態 : 湾曲 末期的な状態 ( スコア 5) 59 ジンプロスコアの解説 60 静止時の背中の状態 : 湾曲歩行時の背中の状態 : 湾曲 痛くて体重をかけられない スコア1 正常蹄病がない状態 スコア 2 軽度の跛行蹄病の発生開始 佇立時も歩行時も背線は平坦である 歩様はゆったりと大股で頭も水平に移動する 佇立時は背線が平坦であるが 歩行時に背線が前方に湾曲する 歩様はわずかに正常とは違う 繋ぎ飼いでは起立直後に背中を丸める動作をする 乳量は 2% 減 スコア3 佇立時も歩行時も背線が明瞭に湾曲する 一本以上の肢の歩幅が短い 典型的な跛行悪い方の足と反対側がわずかに沈みこむような様子が観察されるだろう 中程度の蹄病繋ぎ飼いでも採食パターンが変わり 起立回数の減少 かため食い等が起こる 乳量は4% 減 乳脂率の低下 MUNの上昇? スコア 4 背線の湾曲は常に明瞭 歩様が不自然で 頭の上下動が明確になる 明瞭な跛行蹄病の進行スコア5 厳しい跛行重度の蹄病 佇立時には悪くない肢に体重をかけている場合がおおくなる 繋ぎ飼いでは飛節の腫れが生じる場合が多くなるだろう 乳量は 9% 減 背線の湾曲は明瞭になる 移動を嫌がり 罹病した肢に完全に体重をかけないようにする ( 三本脚 ) 長い歩行時には立ち止まり 立ちつくす 繋ぎ飼いでは採食量が激減してしまう 乳量は 15% 減 15
蹄病の種類 ( 赤字のものが栄養管理と関係すると言われている ) 軟部組織に派生する疾病 趾間皮膚炎 ( 趾間腐爛あるいはまたぐされと一般的に呼ばれる蹄病 ) 趾皮膚炎 ( 疣状皮膚炎 趾間乳頭腫症 有毛イボなど様々な名称がある ) 趾間過形成 ( 趾間隆起あるいは趾間結節とも呼ばれる ) 趾間フレグモーネ ( 趾間壊死桿菌症 フットロット 放牧型腐蹄病と呼ばれる ) 61 効果的な蹄浴 ポイント 1 手前の蹄浴槽には洗剤を入れる ポイント 2 蹄浴どうしを 1.5~2m はなす ポイント 3 蹄浴剤の濃度と延頭数を守る 62 蹄角質に派生する疾病 蹄球糜爛 ( 蹄踵腐爛およびスラリーヒールとも呼ばれる ) 蹄底潰瘍 ( 限局性蹄皮炎とも呼ばれる ) 蹄葉炎 蹄専用洗剤と蹄浴剤の出どころと使いかた 63 64 蹄専用洗剤 オリオン カレイ蹄洗浄剤 (3.82l) デラバル HC40 蹄クリーナー 洗剤 1l / 水 100l 150~200 頭 蹄浴薬剤 オリオン ヘルシーフット 薬剤 1l / 水 100l 150 頭 オバナヤ フーフフィット バス 薬剤 3~5l / 水 100l 200 頭 ホクレン生産資材 消石灰特々選消石灰 20kg / 水 80l 200~300 頭 硫酸銅硫酸銅 5~10kg / 水 100l 150 頭 乾乳牛の見かた 現在の検討課題 : 特々選 + ロンテクト? 16
乾乳にすることによる利益 65 乾乳にするリスク 66 乾乳期間を経ると 2 産目の乳量が初産より増加する 3 産目の乳量が2 産目より増加する 4 産目以降は3 産目の乳量が維持される Swanson(1965) 乳房炎の新規感染 周産期病の発生 乳房内感染による乳房炎新規感染の頻度 (Green et al. In Practice 2002) 67 乾乳軟膏の挿し方 68 17
乾乳期におけるケラチンプラグの形成不全の割合 (Green et al. Journal of Dairy Science 2002) 69 乾乳牛の飼養環境が悪化しているときの対応策 ( ケラチンプラグの代用 ) 70 乾乳時の乳房炎対策 急速乾乳 乾乳直前の乳量をできるだけ 15kg/ 日以下にする 乾乳牛を乾燥した環境で管理し かつ 感染しやすい期間にはディッピング等の処理をする 分娩前後の乳房炎対策 乳房浮腫を防ぐ :Na + K + の過剰摂取による低カル状態 漏乳を防ぐ : 原因菌の増加とともに遊離脂肪酸の過度の動員による脂肪肝 ケトーシスの可能性が増大する 乳熱 原発性ケトーシスとその他トラブルの発生率 71 周産期病の原因 72 18
乾乳にする意味 73 ここまで食べていれば満足 74 産乳量増加による利益 乳房炎周産期病 ストレスの少ない乾乳牛の飼いかた 75 乾乳牛の見かたのまとめ 76 肋が張っていること 下腹が落ちていないこと 右腰が落ち込んでいないこと 肥った乾乳牛は繁殖が悪かった証拠 空胎が短い乳牛は肥れない 痩せた乾乳牛は病気 19
77 乳熱 ( 低 Ca 血症 ) 78 乾乳牛のリスク管理 その1 分娩後の低カルを防ぐ 3つの手法 乳熱 ( 低 Ca) を防ぐための乾乳管理の基本的な考え方 79 乾乳期を 2 群に分ける場合 Caを抜くやり方 (PTH, Vit D3) 安藤道雄の推奨値乾乳前期乾乳後期 DCADを -5 to -10meq にするやり方 Dr.Jesse Goff の推奨値乾乳後期 80 DIM 2.0%BW 1.6%BW NEl 1.57-1.61Mcal/kg 1.61Mcal/kg TDN 60% 68-70% TDN 69-70% CP 12% 14% CP 14-16 Ca >0.4% 0.35% 穀類 3.6-5.4kg/d P 0.30% <0.5% Ca 1-1.2% Ca/P 1.8-2.0% 0.7-0.9% P 0.4-0.5% 乳熱の発生を減らすためには乾乳後期に Ca 供給量を 減らす か 過剰にする かのどちらかに徹底する 米国が DCAD にこだわるのは 粗飼料がアルファルファ主体であるため 乾乳期にカリ (K) の過剰摂取となる そのため乾乳後期に酸性飼料を与えることで血液を弱酸性にし 分娩後に骨から Ca 動員をはかるやりかた DCAD(meq) = [(%Na/0.023+%K/0.039) (%Cl/0.0355+%S/0.016)]/100g Mg 0.40% K <0.7% ( 1.5-1.8%) Na <0.1% S 0.3-0.4% Cl >0.7% 20
乾乳期を 1 群で管理するやり方 Drackley の推奨値 81 82 NEl 1.30-1.32Mcal/kg TDN 58-64% CP 12-15% MP >1,000g/d デンプン 12-16% F-NDF 0.7-0.8%BW Mg >0.4% Ca 0.9% P 0.27-0.40% K <0.7% ( 1.5-1.8%) Vit.E >1,500IU 乾乳牛のリスク管理 その2 3 種類のケトーシスの対処と分娩後のケトーシスを防ぐ2つの戦略 牛群レベルのケトーシスの予兆 83 泌乳曲線の変化 84 1. 予定日より1 週間ほど早く分娩するようになった ( 特に初産が ) 2. 夜間分娩が増えた 3. 後産が半分落ちて半分残るような気がする 4. 分娩直後の潜在性乳房炎新規感染が増えた 5. 泌乳ピークが低く かつ 持続しない 6. パーチング姿勢と斜めに寝る個体が増えた 7. 初回発情が50 日以降になった 日乳 50.0 45.0 40.0 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 量(kg)1 3 5 7 9 11131517192123252729313335373941434547 分娩後 ( 週 ) 21
ケトーシスのタイプ別の特徴 85 タイプ Ⅰ ケトーシスへの対処 86 原因 項目タイプ Ⅰ タイプ Ⅱ タイプ Ⅲ 自然発生的なアンダーフィーディング 過肥牛 : 脂肪肝 高水分サイレージ 血中 BHBA 非常に高い 高い 非常に高い または 高い 血中 NEFA 高い 高い 標準 または 高い 血中グルコース 低い 低い ( 初期は高い ) さまざま 血中インスリン 低い 低い ( 初期は高い ) さまざま ボディコンディション おそらく痩躯 過肥 ( または 体脂肪を失っているかもしれない ) さまざま NEFA の動態 ケトン体 初期には肝臓の中性脂肪 その後ケトン体 さまざま 肝臓糖新生 高い 低い さまざま 肝臓病理 なし 脂肪肝 さまざま 最も危険な時期 分娩後 3~6 週目 分娩後 1~2 週目 さまざま 回復 非常に良好 困難 良好 濃厚飼料の増給によって分娩後のエネルギー不足を解消することで対処する 給与作業の改善によって かため食い 選び食いを防ぎ ルーメンアシドーシスを防ぐことがポイント 搾乳牛 1 群管理の設定乳量が低い場合に頻繁に発生している 分離給与では 乾乳後期に給与している濃厚飼料の不足によって多く発生する 診断分娩後の BHBA 分娩前の NEFA サイレージ VFA 分析 対策分娩後の管理と栄養分娩前の管理と栄養 サイレージの破棄 または 希釈 あるいは 分割給与 タイプ Ⅱ ケトーシスへの対処 87 タイプ Ⅲ ケトーシスへの対処 88 乾乳後期の糖蜜飼料 ( スイートタイム トランスミックス ) の給与が効果的 乾乳後期へのバイパスコリン ( トランスミックス ) の給与が効果的 ストロー類を補足することで 移行期のエネルギーコントロールをすることが有効とされるが ストロー類をTM Rに混合する場合は 短く ( 2.5cm) かつ 鋭利に切断 することが必須 ( 選び食いを防ぐため ) 酪酸の摂取量が50~100gで潜在的なケトーシスを引き起こす可能性がある 泌乳初期に酪酸の摂取量が200g 以上あると深刻なケトーシスを引き起こす可能性がある 泌乳初期に酪酸の摂取量が450~900gあると間違いなく深刻なケトーシスを引き起こす 分娩前後の給与を 避け 育成牛 泌乳後期 乾乳前期へ給与 分娩前後で酪酸の摂取量が 50g 以下になるようにする 酪酸発酵していないサイレージか乾草で 薄める 酪酸割合が現物中 0.5% であれば現物 10kgまでの給与注 : 糖蜜飼料か大麦を併給した場合には酪酸摂取量 100~200gまでは耐えられると思う 22
移行期 ( 乾乳後期 + 産褥期 ) にエネルギーをコントロールして泌乳初期における負のエネルギーバランスを軽減する手法 (N. A. Janovick and J. K. Drackley, 2010) 89 分娩後にタンパクコントロールをして泌乳初期における負のエネルギーバランスを軽減する手法 (R. A. Law,et all, 2009) 90 分娩直前の乾物摂取量の低下を防ぎ 分娩後の乾物摂取量を早く立ち上げることができることで産褥期のケトーシスを予防し かつ 繁殖を改善できる可能性が高い 産褥期の産乳量は高エネルギー飼料を与えた場合より低い フラット ラクテーション 分娩後のケトーシスを防ぐ 2 つの給与戦略 91 92 乾乳後期 ~ 産褥期ではタンパクを充足させるがエネルギー濃度を制限し 泌乳の立ち上がりを抑え 分娩直後の乾物摂取量を増大することで移行期における負のエネルギーバランスを縮小する 麦稈類の混合が有効とされる アルファルファ乾草を乾乳牛に給与することでカリ (K) の過剰摂取となるため 比較的カリ (K) 含量の低いとうもろこしサイレージで薄める必要がある その結果 乾乳期にエネルギー過剰になってしまうことが背景にある 分娩後 12 週間 (84 日間 ) 高エネルギー + 低タンパクにすることで泌乳前期の泌乳量を抑制し泌乳前期における負のエネルギーバランスを軽減する (University of Reading s Centre for Dairy Research) 泌乳ピークは 高エネルギー + 高タンパク飼料 を与えた場合より1.5kg / 頭 / 日程度低い 13 週目以降ににタンパクレベルを引き上げることで産乳量を回復することができる 空胎期間は 高エネルギー + 高タンパク飼料 を与えた場合より平均 32 日間短縮した (133 日 101 日 ) このアプローチは粗飼料がペレニアルライグラスサイレージ あるいは放牧であり 乾乳期に濃厚飼料をほとんど与えていないことが背景にある 乳房炎を防ぐための日々の注意点 23
乳頭 スコアリング システム 93 94 乳頭刺激後 ユニット装着まで短過ぎ (60 秒未満 ) ても長過ぎ (180 秒以上 ) でも乳頭口の過角化を助長する 95 乳房炎と初回受胎率 (David Wolfenson, Hebrew 大学, イスラエル ) 2000 年から 2005 年の 235,000 回の初回人工授精の結果 96 プレディッピング 乳頭先端のもみ洗い前搾り (5 回 ) 43.0% 40.4% 36.3% 非感染群 :AI 前後ともSCC < 150,000 治癒群 :AI 前 SCC > 150,000 AI 後 SCC < 150,000 新規感染群 AI 前 SCC < 150,000 AI 後 SCC > 150,000 慢性群 :AI 前後ともSCC > 150,000 36.5% 分娩後の子宮疾患を伴う場合は 4.1% さらに低下する 34.8% 32.4% 30.7% 乳頭の清拭 (1 頭 1 布 ) 乳頭刺激後 60~120 秒でユニットを装着 ポストディッピング 24
乳房炎と繁殖の関係 (David Wolfenson) ( 急性臨床型乳房炎作成モデルによる結果 ) 97 98 グラム陰性菌 ( 大腸菌など ) によって産生されたエンドトキシンにより血漿エストラジオール ( 卵巣から分泌される卵胞ホルモン ) 濃度の低下を招きLHサージ ( 排卵直前に黄体ホルモンが大量に分泌されること ) の低下と遅れ 排卵の遅れを引き起こす これによって受胎率の低下をまねく グラム陽性菌 (Streptococcus uberis) に感染してもその毒素により 発情発現が抑制され ホルモン濃度が変化し同様の結果を引き起こす 非感染群と乳房炎感染群の70% は発情から30 時間で排卵したが 乳房炎感染群の30% は排卵まで70 時間を要するか 無排卵であった 牛の調子はここに出る? 後乳房に赤味がさし 前乳房の毛足が短く 乳房表面に血管が走る 99 顔に血管が浮き出て見える 100 25
首筋に血管が透けて見える 101 たTMR(設定乳量三102 だ搾乳牛いにはまTMR平絶セ平均初ン均産回タ空乳分好十ー胎量か娩日ら三月数調供三齢育成牛の養いかた給一~二さ〇三三!れ一六みる日kgヶ月 八kg)給与の 牛群頭数維持のために必要な育成牛頭数 103 分娩月齢 体重と初産牛の産乳量 104 初産分娩月齢淘汰率 22 24 26 28 30 32 ( 更新率 ) 牛群頭数維持に必要な育成牛頭数 34 36 20 40 44 48 51 55 59 62 66 22 44 48 52 56 61 65 69 73 24 48 53 57 62 66 70 75 79 26 52 57 62 67 72 76 81 86 28 56 62 67 72 77 82 87 92 30 61 66 72 77 83 88 94 99 32 65 70 76 82 88 94 100 106 34 69 75 81 87 94 100 106 112 36 73 79 86 92 99 106 112 118 牛を殺すとエサ代が増える最大の理由!! 26
月齢ごとのインデックス 105 平均増体重 106 月齢体重 (kg) 体高 (cm) 体重 / 体高比 (kg/cm) 1 59 ~ 61 80.5 ~ 84.3 0.73 ~ 0.75 2 80 ~ 86 85.1 ~ 89.4 0.95 ~ 0.96 3 103 ~ 111 89.4 ~ 94.2 1.14 ~ 1.18 4 125 ~ 136 93.7 ~ 98.6 132 1.32 ~ 138 1.38 5 147 ~ 161 97.5 ~ 102.6 1.50 ~ 1.57 6 169 ~ 185 101.1 ~ 106.7 1.66 ~ 1.73 7 191 ~ 210 104.4 ~ 110.0 1.82 ~ 1.91 8 213 ~ 235 107.4 ~ 113.0 1.98 ~ 2.07 9 235 ~ 259 110.2 ~ 116.1 2.13 ~ 2.23 10 257 ~ 284 111.8 ~ 118.6 2.30 ~ 2.39 11 279 ~ 309 115.3 ~ 120.9 2.41 ~ 2.55 12 301 ~ 334 117.6 ~ 123.2 2.55 ~ 2.71 性成熟が起こる最も重要な時期 13 323 ~ 359 119.6 ~ 125.2 2.70 ~ 2.88 14 345 ~ 384 121.4 ~ 127.0 2.84 ~ 3.02 16 389 ~ 434 124.5 ~ 130.0 3.13 ~ 3.34 18 434 ~ 483 127.5 ~ 132.3 3.39 ~ 3.64 20 478 ~ 533 129.5 ~ 134.6 3.68 ~ 3.96 22 522 ~ 582 131.3 ~ 139.7 3.96 ~ 4.16 24 566 ~ 632 132.6 ~ 143.5 4.27 ~ 4.41 粗飼料の摂取量と濃厚飼料の給与量 (DG 0.74 を得るための ) 107 消化器官の容積比 108 粗飼料給与量 (kg) 乾草 10 1.0 20 2.0 30 3.0 40 4.0 50 5.0 60 6.0 70 7.0 80 8.0 ラップ 1.7 3.5 5.2 7.0 8.7 10.4 12.2 13.9 体重 TDN サイレージ 2.9 5.8 8.7 11.6 14.5 17.4 20.3 23.2 250-300 3.10 3.6 3.0 2.3 1.6 1.0 0.3-0.3-1.0 300-350 3.31 3.9 3.3 2.6 1.9 1.3 0.6-0.1-0.7 350- 配合飼料 394 3.94 400 (TDN72%) 48 4.8 41 4.1 35 3.5 28 2.8 21 2.1 15 1.5 08 0.8 02 0.2 400-500 4.31 5.3 4.7 4.0 3.3 2.7 2.0 1.3 0.7 500-650 5.03 6.3 5.7 5.0 4.3 3.7 3.0 2.3 1.7 哺乳時にスターター ( 食べやすい固形物 ) を食べさせることがルーメンを大きくする 9~11 ヶ月齢で粗飼料をよく食べることができる 27
初乳の給与量とタイミング 109 THANKS for COMMING!! 110 Let s Start Discussion. 子牛に下痢をさせないコツ 1. 初乳をできるだけ早く飲ませる 3. 柔らかい乾草を置いておく 2. 定時 定温で哺乳する 4. 清潔な水を自由に飲ませる 28