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「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容

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よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎


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は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

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1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

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染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

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細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法およびそれに用いるシステム

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(2) 黄色ブドウ球菌感染による前眼部感染症モデルに対する点眼投与の効果 添付資料ホ-2 [ 方法 ] 日本白色種雄性ウサギ ( 体重約 2kg) の角膜実質内に細菌性結膜炎患者の結膜囊内より分離された黄色ブドウ球菌 ( 臨床分離株 ) を1.6 10 3 CFU 接種して実験的前眼部感染症モデルを作製し GFLX の用量効果の検討及び 0.3% OFLX 点眼液 ( タリビッド 点眼液 ) との効力比較を行った なお 接種した臨床分離株に対する GFLX 及び OFLX の MIC は 0.10 及び 0.39 µg/ml であった 被験物質の投与は菌接種 5 17 29 及び 41 時間後に行い 1 眼あたり 1 回 50 µl ずつ点眼投与した なお 被験物質である 0.03% 0.1% 0.3% 及び 0.5% GFLX 点眼液の ph は順に 7.0 6.5 6.0 及び 5.5 であった また 比較対照薬である 0.3% OFLX 点眼液及び陰性対照物質である生理食塩液も被験物質と同様に点眼投与した (1 群 7 例 : ただし 0.3% GFLX 点眼液投与群は角膜組織中生菌数について異常値を示した 1 例を除外したため 6 例 ) 眼感染症状の観察は菌接種 5 12 24 36 及び 48 時間後に肉眼及びスリットランプにて行い 表ホ-8 に示す基準に従って各眼を採点してその合計点を眼感染症スコアとした また 菌接種 48 時間後には眼球を摘出し 角膜組織中の生菌数をマンニット食塩培地を用いた寒天平板混釈法により測定した [ 成績 ] 生理食塩液投与群の眼感染症スコアは菌接種 5 時間後より急激に上昇し 菌接種 36 時間後に最高値に達した 主な症状として まず眼瞼結膜の外反を伴う強度の浮腫及び多量の分泌物が顕著になり 続いて眼瞼結膜 球結膜 瞬膜及び虹彩の赤みが強くなった さらにやや遅れて中等度の角膜混濁が起こり 角膜潰瘍や前房蓄膿が認められる例もあった このような実験条件において GFLX は症状 ( 各観察時点における眼感染症スコア及び菌接種前から 48 時間後までのスコア下面積 [AUC]) を用量依存的に抑制し 0.03% 以上の濃度で生理食塩液と比較して統計学的に有意な抑制効果を示した その効果は 0.3% 濃度において最大となり 0.5% 濃度では用量に依存した効果の増強はみられなかった また 0.3% OFLX 点眼液との効力比較では 0.03% GFLX 点眼液で同程度 0.1% 濃度以上の GFLX 点眼液では統計学的にも有意に優れた抑制効果を示した ( 表ホ-9 10 図ホ-3 4) 菌接種 48 時間後の生理食塩液投与群における角膜組織中生菌数は 接種時の生菌数と比較して 1000 倍以上に増殖していた GFLX 点眼液はこの角膜組織中生菌数の増加を用量依存的に抑制し 0.03% 以上の濃度で生理食塩液と比較して有意な抑制効果を示した その効果は眼感染症スコアと同様に 0.3% 濃度においてプラトーに達し 0.3% GFLX 点眼液投与群の角膜組織中生菌数は生理食塩液投与群の 1/10000 以下であった また 0.3% OFLX 点眼液投与群の角膜組織中生菌数は 0.03% GFLX 点眼液投与群と同程度であり 0.3% GFLX 点眼液投与群の角膜組織中生菌数は 0.3% OFLX 点眼液投与群の角膜組織中生菌数の 1/1000 以下であった ( 表ホ-10 図ホ-5) - 104 -

1,2) GFLX 0.1% 0.3%OFLX GFLX OFLX MIC 4 in vitro MIC 50 MIC 90 6 GFLX OFLX GFLX 0.3% GFLX 0.5% GFLX 0.3% 1) Callegan MC et al. : Topical antibiotic therapy for the treatment of experimental Staphylococcus aureus keratitis. Invest Ophthalmol Vis Sci 33 : 3017-3023, 1992. 2) :. 103 : 506-511, 1999.

表ホ -1 ウサギ前眼部感染症採点基準 * 角膜混濁 = 程度 面積 項目採点基準採点 角膜結膜 * 角膜混濁 角膜潰瘍 菌接種痕 程度 面積 眼瞼結膜発赤度 眼瞼結膜浮腫 球結膜発赤度 瞬膜の状態 分泌物 虹彩充血 前房蓄膿 わずかに混濁している 1.0 軽度の混濁を認める 2.0 虹彩の細部を識別しにくく 前房内は見にくい 3.0 前房内が透視できない 4.0 1/4 以下であり 0 ではない 0.5 1/4 より大きく 1/2 以下である 1.0 1/2 より大きく 3/4 以下である 1.5 3/4 より大きい 2.0 表面にクレーター様の凹凸を認める 1.0 角膜が突出し 表面に潰瘍を認める 2.0 角膜に穿孔を認める 3.0 軽度の菌接種痕を認める 0.5 顕著な菌接種痕を認める 1.0 菌接種痕が角膜混濁と区別できない 2.0 粘膜は軽度の赤味を帯び 眼縁部の血管に軽度の拡張を認める 1.0 粘膜の赤みが明瞭で 血管の拡張を顕著に認める 2.0 粘膜の赤みが顕著になり 末端部の血管の走行が不明瞭 3.0 強度の充血を示し びまん性の牛肉様発赤を認める 4.0 わずかに浮腫の傾向を認める 0.5 正常以上のいくらかの膨潤を認める 1.0 明らかに膨潤して 眼瞼の一部外反を伴う 2.0 膨潤して眼瞼の約半分を閉じている 3.0 強く膨潤し 眼瞼がほぼ完全に閉じている 4.0 角膜周囲の血管がやや拡張する程度 0.5 更に顕著な血管拡張をきたす 1.0 眼瞼縁に向かう血管の拡張が著明か 著しい赤色を帯びた場合 2.0 血管の拡張及び浮腫の傾向を認める 1.0 血管の拡張を認め 眼縁部が赤色を呈する 2.0 血管の拡張が著明になり 瞬膜全体が赤みを帯びる 3.0 多少の量 ( 内眼角にみられる少量のものは除く ) 1.0 分泌物が眼瞼と眼瞼に接する毛をぬらしている 2.0 分泌物が眼瞼の毛と眼周囲をぬらしている 3.0 ごく軽度の充血 0.5 中程度の充血 1.0 強度の充血 2.0 さらにひどい充血 3.0 角膜半径の 1/4 まで 1.0 角膜半径の 1/2 まで 2.0 角膜半径の 1/2 以上 3.0 各項目において正常所見は 0 と採点 - 106 -

表ホ-2 ウサギ実験的前眼部感染症モデルを用いた GFLX 点眼液の用量効果の検討及び 0.3%OFLX 点眼液との効力比較 ( 各時点の眼感染症スコアによる評価 ) 薬剤 ( 例数 ) 菌接種後の時間 ( 時間 ) 5 12 24 36 48 生理食塩液 (7) 0.07±0.07 11.43±0.47 17.29±1.11 19.57±1.01 18.07±1.38 GFLX 点眼液 0.03% (7) 0.00±0.00 6.36±1.13 * 11.57±1.16 * 15.14±1.70 * 15.79±2.29 0.1% (7) 0.21±0.22 4.21±1.15 ** 6.07±1.22 ** @ 9.64±2.09 ** 12.14±2.53 0.3% (6) 0.00±0.00 3.33±0.79 ** 5.17±0.86 ** @@ 5.58±1.44 ** @ 6.17±1.44 ** @ 0.5% (7) 0.00±0.00 3.71±1.01 ** 5.71±0.59 ** @@ 5.93±1.46 ** @ 5.14±1.19 ** @ 0.3% OFLX 点眼液 (7) 0.00±0.00 4.07±0.46 ** 11.07±0.84 ** 16.14±1.77 18.07±2.20 平均値 ± 標準誤差 * :p<0.05 ** :p<0.01 生理食塩液を対照とした GFLX 点眼液及び OFLX 点眼液との Steel 検定 ( 片側 ) @ :p<0.05 @@ :p<0.01 OFLX 点眼液を対照とした GFLX 点眼液との Steel 検定 ( 両側 ) 20 生理食塩液 18 16 14 0.3% OFLX 点眼液 0.03% GFLX 点眼液 眼感染症スコア 12 10 8 6 4 点眼 0.1% GFLX 点眼液 0.3% GFLX 点眼液 0.5% GFLX 点眼液 2 点眼点眼点眼 0 0 5 12 17 24 29 36 41 48 菌接種後経過時間 ( 時間 ) 図ホ -1 ウサギ実験的前眼部感染症モデルを用いた GFLX 点眼液の用量効果の検討及び 0.3%OFLX 点眼液との効力比較 ( 眼感染症スコアの経時的変化 ) 各点は平均値を示す (n=6-7). - 107 -

表ホ -3 ウサギ実験的前眼部感染症モデルを用いた GFLX 点眼液の用量効果の検討及び 0.3%OFLX 点眼液との効力比較 (AUC 及び角膜組織中生菌数による評価 ) 薬剤 ( 例数 ) AUC ( 眼感染症スコア 時間 ) 角膜組織中生菌数 (log 10 CFU/ 角膜 ) 生理食塩液 (7) 659.71±30.93 6.95±0.36 GFLX 点眼液 0.03% (7) 475.68±37.63 ** 5.75±0.62 * 0.1% (7) 302.75±55.52 @ @@ 3.50±0.62 0.3% (6) 197.67±41.31 2.06±0.20 0.5% (7) 205.86±37.00 2.02±0.32 0.3% OFLX 点眼液 (7) 473.68±40.14 5.82±0.54 平均値 ± 標準誤差 ( 接種時の生菌数は 3.20Log 10 CFU/ 角膜 ) * :p<0.05 ** :p<0.01 :p<0.001 生理食塩液を対照とした GFLX 点眼液との Williams 検定 ( 片側 ) @ :p<0.05 @@ :p<0.01 :p<0.001 OFLX 点眼液を対照とした GFLX 点眼液との Dunnett 検定 ( 両側 ) 800 AUC [ 眼感染症スコア 時間 ] 700 600 500 400 300 200 ** @ 100 0 生理食塩液 0.03% 0.1% 0.3% 0.5% 0.3% OFLX GFLX 点眼液点眼液 図ホ-2 ウサギ実験的前眼部感染症モデルを用いた GFLX 点眼液の用量効果の検討及び 0.3%OFLX 点眼液との効力比較 (AUC を指標とした評価 ) 平均値 + 標準誤差 (n=6-7) ** :p<0.01 :p<0.001 生理食塩液を対照とした GFLX 点眼液との Williams 検定 ( 片側 ) @ :p<0.05 :p<0.001 OFLX 点眼液を対照とした GFLX 点眼液との Dunnett 検定 ( 両側 ) - 108 -

8 7 角膜組織中生菌数 (log 10 CFU/ 角膜 ) 6 5 4 3 2 1 * @@ 0 0.03% 0.1% 0.3% 0.5% 0.3% OFLX 生理食塩液 GFLX 点眼液点眼液図ホ-3 ウサギ実験的前眼部感染症モデルを用いた GFLX 点眼液の用量効果の検討及び 0.3%OFLX 点眼液との効力比較 ( 菌接種 48 時間後の角膜組織中生菌数を指標とした評価 ) 平均値 + 標準誤差 (n=6-7) * :p<0.05 :p<0.001 生理食塩液を対照とした GFLX 点眼液との Williams 検定 ( 片側 ) @@ :p<0.01 :p<0.001 OFLX 点眼液を対照とした GFLX 点眼液との Dunnett 検定 ( 両側 ) - 109 -

(3) 作用機序及び耐性機構 ( ガチフロ 錠承認時提出資料より ) 1) Ⅱ 型トポイソメレースに対する阻害作用キノロンの抗菌作用機序の主なものは Ⅱ 型トポイソメレースの阻害と考えられている そこで 細菌のⅡ 型トポイソメレースである DNA ジャイレース及びトポイソメレースⅣ( トポⅣ) に対する GFLX の阻害作用を調べた さらに 動物細胞に存在するⅡ 型トポイソメレースであるトポイソメレースⅡ( トポⅡ) に対する阻害作用を調べ 細菌及び動物細胞の酵素に対する選択性を検討した 1 細菌酵素 (DNA ジャイレース トポイソメレースⅣ) に対する阻害作用黄色ブドウ球菌の DNA ジャイレース及びトポⅣ 活性に対する GFLX の IC 50 値はそれぞれ 15 及び 13.8 µg/ml であり 両酵素に対して同程度の阻害活性を示した ( 表ホ-11) CPFX の両酵素に対する IC 50 値はそれぞれ 58 及び 11.8 µg/ml であり 両酵素に対する阻害活性の比は約 5 倍であった DNA ジャイレースに対する阻害活性 (IC 50 ) は GFLX が CPFX よりも約 4 倍強く 両薬物間で酵素阻害パターンに違いが認められた 一方 SPFX は GFLX と同程度の抗菌力 (MIC) を示したが 両酵素に対する阻害活性 (IC 50 ) は GFLX の約 2 分の 1 であった 大腸菌及び緑膿菌 ( 感受性株由来 ) の DNA ジャイレース活性に対する GFLX の IC 50 値はそれぞれ 0.58 及び 29.2 µg/ml であった ( 表ホ-12) 両菌株の gyra 変異株由来 DNA ジャイレースに対する GFLX の IC 50 値は感受性株と比較して 28 及び 9.5 倍に上昇したが その上昇率は CPFX より 3~5 倍小さく 耐性変異の影響を受けにくかった 表ホ-4 黄色ブドウ球菌の DNA ジャイレース及びトポⅣに対する阻害作用 細菌酵素 DNA ジャイレーストポⅣ DNA ジャイレース IC 50 [MIC] IC 50 [MIC] 薬物 IC 50 / トポⅣ IC 50 (µg/ml) (µg/ml) GFLX 15 [0.05] 13.8 [0.05] 1.1 SPFX 43 [0.05] 22.3 [0.05] 1.9 CPFX 58 [0.39] 11.8 [0.39] 4.9 DNA ジャイレース :S. aureus SA113 由来 トポⅣ:S. aureus MS5935 由来 表ホ-5 大腸菌及び緑膿菌の DNA ジャイレースに対する阻害作用 GFLX CPFX 菌株 IC 50 [MIC] 変異株酵素 IC 50 / IC 50 [MIC] 変異株酵素 IC 50 / (µg/ml) 感受性株酵素 IC 50 (µg/ml) 感受性株酵素 IC 50 E. coli KL-16 (wild) 0.58 [0.025] 28 0.37 [0.025] 84 N-51 (gyra) 16.3 [0.39] 31.0 [0.39] P. aeruginosa PA01840 (wild) 29.2 [1.56] 9.5 15.3 [0.39] >52 PKH-T477 (gyra) 277 [12.5] >800 [6.25] - 110 -