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日本内科学会雑誌第98巻第12号

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

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より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

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AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

アブストラル舌下錠100µg・200µg・400µg

Ⅱ章 背景知識 しかし 骨転移の体動時痛を 動いても痛くないようにすることは難しい場合が ある また神経障害性疼痛の場合 症状の完全な緩和が困難な場合もある これら のことを患者に理解してもらえるように 繰り返し丁寧に説明することが重要であ る 鎮痛薬の使用法 の治療は薬物療法と非薬物療法の組み合わ

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BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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表 Ⅲ 46 診療記録調査 対象患者背景 n % n % 性別 1) 専門的緩和ケアの診療日数 男性 % 平均 ± 標準偏差 79.5 ± 女性 % 緩和ケア病棟入院回数 年齢 1 回 % 平均 (± 標準偏差 ) 70.4 ± 12

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目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

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食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

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放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

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表1

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はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

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SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

2 成分が同一の剤形変更 例 タケプロンOD 錠 15mg タケプロンカプセル 15mg ユリーフOD 錠 4mg ユリーフ錠 4mg コカールドライシロップ 40% カロナール細粒 20% ( 粉砕 ) レボフロキサシン錠 500mg レボフロキサシン細粒 10% 患者に説明 ( 価格 服用方法等

アトピー性皮膚炎の治療目標 アトピー性皮膚炎の治療では 以下のような状態になることを目指します 1 症状がない状態 あるいはあっても日常生活に支障がなく 薬物療法もあまり必要としない状態 2 軽い症状はあっても 急に悪化することはなく 悪化してもそれが続かない状態 2 3

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2 成分が同一の剤形変更 例 タケプロンOD 錠 15mg タケプロンカプセル 15mg ユリーフOD 錠 4mg ユリーフ錠 4mg コカールドライシロップ 40% カロナール細粒 20% ( 粉砕 ) レボフロキサシン錠 500mg レボフロキサシン細粒 10% 患者に説明 ( 価格 服用方法等

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困難となり意識レベルも低下する やがて 下 顎呼吸が始まり その生を全うする これらが くれ 何もできなくなることもある 常に寄り添い 傾聴する それだけでも家族 には大きな力になり やがて自ら立ち直ること 一般的な死に至るプロセスである このような死に至るプロセスそのものをコン が多い トロールす

神経障害性疼痛の特徴 神経障害性疼痛と炎症性疼痛は混同されることがあるが 特徴が異なる 神経障害性疼痛 1 神経障害性疼痛の定義には 治療反応性 ( 抵抗性 ) は関係ない 2 神経障害性疼痛の病態と炎症性疼痛の病態が混在している患者もいる 炎症性疼痛 陽性症状 / 徴候 自発痛 ある ある 熱痛覚

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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次の人は 慎重に使う必要があります 使い始める前に医師または薬剤師にその旨を告げてください 低カルシウム血症の人または低カルシウム血症をおこす可能性のある人 腎臓に重い障害がある人 肺に転移がある骨巨細胞腫の人 この薬には骨粗鬆症の薬であるプラリア皮下注 60mg シリンジと同じ成分のデノスマブが含

別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

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浜松がん薬物療法セミナー < 処方解説 > 坪井久美浜松医療センター薬剤科 症例 1 処方解説 1

< 背景 > 71 歳女性 腎機能 肝機能 : 問題なし 血算 : 問題なし 進行乳癌 (T4bN3aM1: 骨 Th5 転移 ) ER0% PgR0% HER2 0 Ki67:72% 組織学的異形度 3 < 疼痛部位 > Th5 転移による脊髄圧迫あり 腰部 左足に疼痛あり < 治療 > 今回使用されるオピオイドはオキシコンチン オキノーム ゼローダ (A 法 ) ゾメタ開始 疼痛コントロール Rp.1 ゼローダ錠 300mg 8 錠 1 日 2 回 朝夕食後 7 日分 代謝拮抗薬 : カペシタビン 抗腫瘍薬 Rp.2 ピドキサール錠 10mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 7 日分 ビタミンB 6 : ピリドキサール ゼローダのHFS 予防 Rp.3 オキシコンチン錠 5mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 7 日分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 持続性製剤 ) 鎮痛 Rp.4 ノバミン錠 5mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 7 日分 ドパミンD 2 受容体拮抗薬 : プロクロルペラジン 制吐 Rp.5 マグミット錠 330mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 7 日分 浸透性下剤 : 酸化マグネシウム 便秘予防 Rp.6 オキノーム散 5mg 1 包 疼痛時 5 回分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 即効性製剤 ) 鎮痛 Rp.7 ロキソニン錠 60mg 1 錠 非ステロイド性抗炎症薬 : ロキソプロフェン 鎮痛 ムコスタ錠 100mg 1 錠 疼痛時 5 回分 防御因子増強薬 : レバミピド 胃粘膜保護 (NSAIDs 潰瘍予防 ) 2

1. オピオイド使用中に出現する副作用は何か? どのような説明が必要か? 症状嘔気 嘔吐眠気便秘せん妄 幻覚呼吸抑制排尿障害掻痒感ミオクローヌス 留意点投与初期に30-50% に現れる症状数日以内に耐性を生じ 症状が治まってくることが多い D 2 受容体を介して嘔吐中枢を刺激するほか ヒスタミン遊離を介しても引き起こされる投与初期や増量時に現れる症状速やかに耐性を生じ 数日以内に消失することが多いまた 除痛されたことによる不眠解消である場合もあるモルヒネの場合 代謝物 (M6G) の蓄積が原因となることがあるオピオイド使用中 ほぼ100% に出現し 継続する症状耐性はほとんど形成されないため 継続的な排便コントロールが必要さまざまな要因との鑑別が必要だが オピオイド投与開始初期や増量時に出現しやすい用量依存的な呼吸中枢への直接の作用による呼吸回数の減少 1 回換気量の増加を認める但し過量投与となっている場合 低酸素血症と成り得る ( 眠気が先行する ) 排尿反射の低下と外尿道括約筋の収縮及び膀胱用量を増加させる脊髄後角のオピオイド受容体を介した機序が考えられている一つあるいは複数の筋肉が短時間であるが不随意に収縮する 1. オピオイド使用中に出現する副作用は何か? どのような説明が必要か? 1 鎮痛 モルヒネの各種薬理作用における 50% Effective Dose(ED50) の比較 鈴木勉, 武田文和 : オピオイド治療 課題と新潮流ー :2001 3

2. 出現する副作用に対する標準的あるいは一般的な対応は何か 症状対処方法嘔気 嘔吐 D 2 拮抗薬 ( プロクロルペラジン ハロペリドールなど ) 体動時にふらつき感を伴って出現する場合 抗ヒスタミン薬を使用することもある 消化管運動亢進薬 非定型抗精神病薬 オピオイドローテーションも有効な場合がある眠気投与初期は経過観察 痛みがなく強度の眠気がある場合 オピオイド減量痛みがあるが眠気が強い場合 オピオイドローテーション 便秘浸透性下剤 ( 酸化マグネシウム ラクツロースなど ) 大腸刺激性下剤 ( ピコスルファート センノシド ) 水分摂取 運動 食物繊維の摂取コントロール不良例は摘便 浣腸 オピオイドローテーション ( フェンタニルに変更 ) せん妄 幻覚オピオイドの減量もしくはオピオイドローテーション抗精神病薬の投与を検討する環境の整備呼吸抑制酸素投与 患者の覚醒と呼吸を促す 重篤時はナロキソンを投与排尿障害コリン作動薬 α 1 受容体遮断薬掻痒感第 1 世代抗ヒスタミン薬 外用剤 ( ステロイド 亜鉛華軟膏 サリチル酸軟膏など ) 5HT 3 受容体拮抗薬が有効な場合もあるオピオイドローテーションミオクローヌスクロナゼパム ミダゾラムなどが有効な場合がある もしくはオピオイドローテーション 2. 出現する副作用に対する標準的あるいは一般的な対応は何か いずれにおいても明確なエビデンスはないが 1 オピオイドのアドヒアランスを悪化させるので積極的に予防するほうがよい 2 予防することによる有益性が高い場合があると考えられるため 推奨される 4

3. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.3 オキシコンチン錠 5mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 7 日分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 持続性製剤 ) 鎮痛 Rp.6 オキノーム散 5mg 1 包 疼痛時 5 回分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 即効性製剤 ) 鎮痛 オピオイドの導入 腎障害があればモルヒネ コデインは使用しづらいが 今回は問題なし オキシコンチンで開始 初回用量は 10 mg / 日 食後 や 疼痛時 ではなく 時間を決めて定期服用することが基本 1 日 2 回であれば 12 時間毎の服用 レスキューの使い方 定期投与と同じ種類のオピオイドを用いる ( 今回はオキシコドン ) 内服 坐薬の場合には 定期投与 1 日量の 1/6~1/4 量を 1 回量とする オキノームは 2.5 mg / 回が適当 < レスキューの使用方法 > レスキューを使用する目的 1 疼痛の悪化への対応 2 タイトレーション ( オピオイドを至適用量に到達させる ) レスキューの反復使用内服 坐薬では 反復投与は 1 時間を空ければ可能 ( 注射の早送りは 30 分 ) レスキューの最大使用回数定期投与量の 25-100% を目安内服の場合には最大 1 日 4 回程度とし これを越えて投与したい場合には受診を勧める ( この場合には定期投与量の増量が必要と考えらえる ) レスキューを使用するタイミング 痛みが強くなってからではなく 少し痛いと感じたら使用する OPTIM 編 : ステップ緩和ケア (p21 p31) 5

3. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.4 ノバミン錠 5mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 7 日分 ドパミンD 2 受容体拮抗薬 : プロクロルペラジン 制吐 Rp.5 マグミット錠 330mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 7 日分 浸透性下剤 : 酸化マグネシウム 便秘予防 オピオイドによる嘔気の対策 (QC10) 内服可能ならノバミン 1~3 錠 内服できなければナウゼリン坐薬 予防的な使用のため 吐き気がなくても服用する 制吐剤による錐体外路症状を避けるため 嘔気がなければ 2 週間で中止 2 週間を目途に問い合わせ 食前服用でも良い? オピオイドによる便秘の対策 (QC11) 酸化マグネシウムによる予防投与 便の硬さに合わせて調節することを説明 必要に応じて 大腸刺激性下剤を併用する 3. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.7 ロキソニン錠 60mg 1 錠非ステロイド性抗炎症薬 : ロキソプロフェン 鎮痛ムコスタ錠 100mg 1 錠疼痛時 5 回分防御因子増強薬 : レバミピド 胃粘膜保護 (NSAIDs 潰瘍予防?) NSAIDs の服用方法 (QC12) オピオイドの使用が開始された疼痛のある患者 NSAIDs の併用が推奨される (2B) 胃潰瘍 腎障害があればアセトアミノフェン 今回は問題なし NSAIDs の副作用が問題なければ定期服用? オキノームのとの使い分けを確認 迷うようなら疑義照会? NSAIDs 潰瘍の予防 (QC5) PG 製剤 ( サイトテック ) プロトンポンプ阻害薬 または高用量 H 2 ブロッカーのいずれかとの併用が推奨される (1A) 薬剤変更? 6

症例 1 のポイント 症例 2 処方解説 7

< 背景 > 37 歳女性 腎機能 肝機能 : 問題なし 血算 : 問題なし 進行乳がん 骨転移 < 疼痛部位 > 腰背部 < 治療 > コルセット装着 タモキシフェン内服 疼痛コントロール 今回使用されるオピオイドはオキシコンチン オキノームでしたが Rp.1 タスオミン錠 20mg 1T1 日 1 回 朝食後 7 日分 抗エストロゲン薬 : タモキシフェン 抗腫瘍 Rp.2 オキシコンチン錠 5mg 2T1 日 2 回 12 時間毎 (8 時 20 時 ) 7 日分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 持続性製剤 ) 鎮痛 Rp.3 ロキソニン錠 60mg 3T1 日 3 回 毎食後 7 日分 非ステロイド性抗炎症薬 : ロキソプロフェン 鎮痛 ムコスタ錠 100mg 3T1 日 3 回 毎食後 7 日分 防御因子増強薬 : レバミピド 胃粘膜保護 (NSAIDs 潰瘍予防 ) Rp.4 ノバミン錠 5mg 3T1 日 3 回 毎食後 7 日分 ドパミンD 2 受容体拮抗薬 : プロクロルペラジン 制吐 Rp.5 マグミット錠 330mg 3T1 日 3 回 毎食後 7 日分 塩類下剤 : 酸化マグネシウム 便秘予防 Rp.6 オキノーム散 2.5mg 1 包疼痛時 10 回分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 即効性製剤 ) 鎮痛 上記処方を服用後 頻回の嘔吐 便秘が出現したため オキシコンチン錠 5mg から以下の処方に変更となった ( オキシコンチン以外は変更なし ) Rp.1 フェントステープ1mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛 8

1. オキシコドンとフェンタニルの副作用に違いはあるか? どのような説明が必要か? 受容体タイプ 生理作用 μ 受容体 μ1 受容体 鎮痛 ( 脊髄より上位 ) 悪心 嘔吐 多幸感 掻痒感 縮瞳 尿閉 κ 受容体 δ 受容体 μ2 受容体 鎮痛 ( 脊髄レベル ) 鎮静 呼吸抑制 依存形成 消化管運動抑制 鎮咳 鎮静 鎮痛 身体違和感 気分不快興奮 幻覚 鎮咳 呼吸抑制 縮瞳 利尿 鎮痛 依存形成 呼吸抑制 モルヒネ :μ 受容体に κ δ 受容体の数 ~ 数十倍の選択性を有するオキシコドン : 主に μ 受容体を介して薬理作用を発現するフェンタニル :μ 受容体の完全作動薬 特に μ1 受容体への選択性が高い血液脳関門を速やかに移行するコデイン : 代謝によりモルヒネに変換されて μ 受容体に作用するトラマドール :μ 受容体に弱い親和性を示すが 代謝物も μ 受容体に作用する オピオイドによるがん疼痛緩和より 1. オキシコドンとフェンタニルの副作用に違いはあるか? どのような説明が必要か? 9

2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.2 オキシコンチン錠 5mg 2T1 日 2 回 12 時間毎 (8 時 20 時 ) 7 日分 医療用麻薬 : オキシコドン ( 持続性製剤 ) 鎮痛 Rp.1 フェントステープ1mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛 オピオイドローテーション オキシコドンからフェンタニルの換算経口オキシコドン 40 mg = 経口モルヒネ 60 mg = フェンタニル 0.6 mg < 定常状態における推定平均吸収量 (mg/ 日 ) からみた換算量 > フェントステープ2mgデュロテップMTパッチ4.2mgワンデュロパッチ1.7mgオキシコドン10mg / 日 フェントステープ0.5mg ( 換算値 ) となる 痛みの残存があれば増量と同時に剤型変更となっている可能性 2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? オキシコドン注 * 30 mg モルヒネ注 20-30 mg フェンタニル注 0.6 mg 経口オキシコドン 40 mg 経口モルヒネ 60 mg デュロテップ MT パッチ 4.2 mg (3 日間 ) フェントステープ 2 mg モルヒネ坐薬 40 mg ワンデュロパッチ 1.7 mg ** コデインは 360 mg程度に相当 がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2010 年版オピオイドによるがん疼痛緩和 10

2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? 外袋を手で破ります ( はさみは使用しない ) 薬剤を貼った日付 時間を記入してください 薬剤には台紙 ( ライナー ) がついていますので 使用時に半分はがしてください 胸 腹 上腕 または大腿部のいずれかの部位に 薬剤を貼ってください ( 毎回 貼付部位をずらす ) 台紙 ( ライナー ) の残り半分をはがして貼ります 貼った後 パッチの上から手のひらで ( デュロテップMT ワンデュロは30 秒間 ) しっかりと押さえます はがれそうなときは 再度手のひらで押さえつけたり ばんそう膏などで縁を押さえてください 貼り終わったら 水道水で手を洗ってください 各患者向パンフレットより 2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? はがし忘れがないようにしましょう ( 過量投与の恐れがある ) 発熱や激しい運動によって体温が上がると体内へ吸収されやすくなります この薬を貼っている部位が熱源 ( 電気パッド 電気毛布 加温ウォーターベッド 赤外線灯 湯たんぽ こたつなど ) に接しないようにしてください 集中的な日光浴 サウナは控えてください 熱いお風呂に長時間入浴することは避けてください 眠くなったりめまいがおこったりすることがあるので 自動車の運転などの危険を伴う機械の操作はしないでください 警告!! 貼付部位の温度上昇に伴い フェンタニル吸収量が増加し 過量投与になり死に至る可能性 <1 日製剤の貼り換えのタイミング> 入浴等の時間を考慮することが望ましい各患者向パンフレット添付文書 11

2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? フェンタニル貼付剤の血中濃度上昇までに12 時間程度かかるため オキシコンチン最終内服と同時に貼付する オキシコンチンを服用せず貼付開始する場合には 疼痛出現に備えて レスキューの積極的な使用を勧める フェントステープ 添付文書より 2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? 上記処方を服用後 頻回の嘔吐 便秘が出現したため オキシコンチン錠 5mg から以下の処方に変更となった ( オキシコンチン以外は変更なし ) 嘔吐の原因と対策 オキシコンチン開始に伴う嘔吐 その他の薬剤による嘔吐 消化管閉塞 便秘 胃潰瘍による嘔吐 病状 ( 脳転移 高カルシウム血症 腎障害など ) による嘔吐 対策として制吐剤追加 オピオイドローテーション (CQ27 嘔気嘔吐が発現した場合のローテーション :1B) 便秘の原因と対策 オキシコンチン開始に伴う便秘 オピオイドローテーション フェンタニルでも便秘は出現する 下剤の使用方法を再確認!! (CQ31 便秘が発現した場合のローテーション :1B) 12

症例 2 のポイント 症例 3 処方解説 13

< 背景 > 54 歳女性 腎機能 肝機能 : 問題なし 血算 : 問題なし 右乳がん術後 ( リンパ郭清後 ) 再発 皮膚浸潤 < 疼痛部位 > 右上肢 ~ 胸部の痛み 右上肢の可動域制限あり デュロテップ MT パッチ 16.8mg を 1 回 2 枚貼付していた < 患者のコメント > デュロテップパッチを貼った日は眠くなっていました 3 日目は痛くなるので 薬を変更すると聞きました Rp.1 フェントステープ8mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛フェントステープ4mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛 Rp.2 アンペック坐剤 30mg 1 回 1 個 痛いとき 20 回分 医療用麻薬 : モルヒネ塩酸塩 鎮痛 Rp.3 リンデロン錠 0.5mg 1T1 日 1 回 朝食後 7 日分 副腎皮質ホルモン : ベタメタゾンリン酸塩 抗炎症 浮腫軽減 Rp.4 リリカカプセル75mg 4Cp1 日 2 回 朝食後 夕食後 7 日分 プレガバリン 神経障害性疼痛軽減 Rp.5 タケプロンOD 錠 15mg 1T1 日 1 回 朝食後 7 日分 プロトンポンプ阻害剤 : ランソプラゾール ステロイド潰瘍予防 Rp.6 プルゼニド錠 12mg 2T1 日 1 回 夕食後 7 日分 刺激性下剤 : センノサイド 便秘予防 14

1. デュロテップ MT パッチ (3 日貼替 ) からフェントステープ (1 日貼替 ) への切り替え時の注意点はあるか 眠気 この間のいずれかが至適用量 鎮痛できない デュロテップ MT パッチ添付文書より 1. デュロテップ MT パッチ (3 日貼替 ) からフェントステープ (1 日貼替 ) への切り替え時の注意点はあるか デュロテップ MT パッチワンデュロパッチフェントステープ < 貼付剤剥離後の血中濃度推移 > 剥離後の血中フェンタニル濃度が 50% に減少するのに 17 時間以上かかる いずれの薬剤でも 剥離後の血中濃度推移は変わらない 各製剤の切り替え時も通常どおり 貼り替えて良い 血中濃度が定常状態に至るまでにフェントステープ約 5 日 ( ワンデュロパッチ 6~9 日 ) 一時的な疼痛出現があるかもしれない 本症例では デュロテップ MT パッチ貼付初日で眠気があったため 眠気の改善が期待できる 各製剤添付文書より 15

2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.1 フェントステープ8mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛フェントステープ4mg 1 枚 1 日 1 回 7 日分 医療用麻薬 : フェンタニルクエン酸塩 鎮痛 Rp.2 アンペック坐剤 30mg 1 回 1 個 痛いとき 20 回分 医療用麻薬 : モルヒネ塩酸塩 鎮痛 デュロテップからフェントスへの変更 デュロテップMTパッチ33.6mg /3 日 =フェントステープ16mg / 日 デュロテップ貼付初日に眠気があるため 換算通りだと過量の可能性? レスキューの使用方法 フェントステープ12mg=レスキュー : モルヒネ坐薬 40mg / 回 アンペック坐薬では30mg製剤が最も高用量 1 回 2 個の使用は? 他に内服薬もあり 服用できているのであれば経口製剤? 右上肢の動かしにくさがあることによる貼付 挿入の確認を 内服薬については一包化も? アクレフ口腔粘膜吸収剤 < 規格 >200μg 400μg 600μg 800μg < 剤形 > バッカル < 適応 > 強オピオイド鎮痛薬を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛 本薬は 長さ 10cm の手持ち部分に薬剤部分が取り付けられた形状で 薬剤部分を頬と歯茎の間に挟み 持ち手部分を前後左右に動かしたり回転させて薬を溶解させ 口腔粘膜から吸収させる 症状に応じて 800μg までのいずれかの製剤を使用するが 効果不十分な場合には 15 分以降に同一用量を 1 本追加できる 1 回の突出痛には最大 2 本までとなっている 承認時までに 50.3% に何らかの副作用が認められている 主な副作用は 傾眠 (11.7%) 便秘 (9.8%) 口腔内出血 (7.0%) 口内炎 (6.3%) 嘔吐 (6.3%) などであり 重大な副作用としては 依存性 呼吸抑制 意識障害 ショック アナフィラキシー様症状 痙攣などが認められている 16

2. 今回の処方で処方監査する際の注意点および疑義照会するべき点はあるか? Rp.3 リンデロン錠 0.5mg 1T1 日 1 回 朝食後 7 日分 副腎皮質ホルモン : ベタメタゾンリン酸塩 抗炎症 浮腫軽減 Rp.4 リリカカプセル75mg 4Cp1 日 2 回 朝食後 夕食後 7 日分 プレガバリン 神経障害性疼痛軽減 鎮痛補助薬による疼痛緩和 (QC19 QC44) 神経障害性疼痛のある患者に対して抗痙攣薬 コルチコステロイドは痛みを緩和する可能性 (2B) コルチコステロイドは脊髄圧迫症候群など神経への圧迫や炎症による痛みの場合に有効であることが経験的に示唆されている 抗痙攣薬はがんによる神経障害性疼痛に対して中等度痛みを緩和する可能性 (P189) 服薬指導時には 鎮痛目的 であることを説明 鎮痛補助薬 < 定義 > 主たる薬理作用には鎮痛作用を有しないが 鎮痛薬と併用することにより鎮痛効果を高め 特定の状況下で鎮痛効果を示す薬物である * 質の高い臨床試験は少なく 適正な使用方法については未だ確立されていない 17

鎮痛補助薬 分類 薬剤 副作用 抗うつ薬 アミトリプチリン ( トリプタノール ) 眠気 口腔乾燥 便秘 排尿障害 霧視など アモキサピン ( アモキサピン ) パロキセチン ( パキシル ) 嘔気 ( 開始初期に多い ) 食欲不振 頭痛 不眠 フルボキサミン ( ルボックス ) 不安 興奮など 抗痙攣薬 カルバマゼピン ( テグレトール ) ふらつき 眠気 めまい 骨髄抑制など バルプロ酸 ( デパケン ) 眠気 嘔気 肝障害 高 NH 3 血症など フェニトイン ( アレビアチン ) 眠気 運動失調 嘔気 肝障害 皮膚症状など クロナゼパム ( リボトリール ) ふらつき 眠気 めまい 末梢性浮腫など ガバペンチン ( ガバペン ) ふらつき 眠気 めまい 運動失調など プレガバリン ( リリカ ) 眠気 めまい 肥満 浮腫 視覚異常など 抗不整脈薬 メキシレチン ( メキシチール ) 嘔気 食欲不振 腹痛 胃腸障害など リドカイン ( キシロカイン ) 不整脈 耳鳴 興奮 痙攣 無感覚など NMDA 拮抗薬 ケタミン ( ケタラール ) 眠気 ふらつき めまい 悪夢 嘔気 せん妄など コルチコ ベタメタゾン ( リンデロン ) 高血糖 骨粗鬆症 消化性潰瘍 易感染など ステロイド デキサメタゾン ( デカドロン ) 抗不安薬ジアゼパム ( セルシン ) ふらつき 眠気 運動失調など 症例 3 のポイント 18