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Transcription:

輸血後 HBV 感染事例とその対策 香川県赤十字血液センター 所長本田豊彦 2013 年 9 月 30 日

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肝炎ウイルスと感染経路 1) 経口感染 HAV と HEV で 急性肝炎を起こし 慢性化はしない 2) 血液 体液による感染 HBV と HCV で 慢性肝炎 肝硬変 肝癌の原因となる

輸血による HBV 感染経路 1 急性 B 型肝炎のウインドウ期の献血者か らの感染 2 HBV 既感染者 (Occult HBV Carrier) から の感染

急性 B 型肝炎ウインドウ期の事例 事例 1

症例 30 歳代男性 複数回献血者で 今回の献血時に HBs 抗原陽転化と ALT 高値を指摘され 献血翌日に入院加療となった 献血当日は体調良好との問診回答であったが 献血翌日には全身倦怠感あり 献血時検査結果 HBs 抗原陽性 HBc 抗体陽性 ALT 4038 IU/L HCV 抗体陰性 梅毒陰性

入院時検査結果 (1) 入院時検査結果 WBC 6200 /μ L RBC 5.48X10 6 /μ L PLT 19.6X10 4 /μ L TP 7.2g/dL ALB 4.5 g/dl A/G 1.66 T-BIL 10.9mg/dL T-CHO 155mg/dL AST 3163 IU/L ALT 4348 IU/L ALP 509 IU/L ChE 223 IU/L γ -GTP 475 IU/L LDH 1186 IU/L PT 活性 55% NH3 60μ g/dl

入院時検査結果 ( ウイルス検査 ) HBs 抗原 250 IU/mL HBs 抗体陰性 HBe 抗原陽性 HBe 抗体陰性 HBc 抗体 9.4 S/CO 陽性 IgM-HBc 抗体 30.7 S/CO 陽性 IgM-HA 抗体陰性 HCV 抗体陰性 CMV 既感染 EBV 既感染抗ミトコンドリア抗体陰性

HBV 関連検査経過 (33 日目に軽快退院 ) 献血翌日 ( 入院時 ) HBs 抗原 250 IU/mL HBs 抗体陰性 HBe 抗原陽性 HBe 抗体陰性 IgM-HBc 抗体 (30.7 S/CO) 陽性 HBc 抗体 (9.4 S/CO) 陽性 ALT(IU/L) 4348 HBV PCR 7.1 Logコヒ ー /ml 33 日後 ( 退院時 ) 241.23 IU/mL 陰性陰性陽性 41 4.1 Logコヒ ー /ml HBV genotype B

遡及調査検査結果 (1) 今回献血時 HBs 抗原 陽性 HBc 抗体 陽性 ALT 4038 NAT 検査 (20 本プール ) 検査せず NAT 検査 ( 個別 ) 陽性 77 日前 ( 前回 ) 陰性 陰性 35 陰性 陽性 * *TaqMan 法にてシグナル陽性で ウイルス量は測定感度 20 IU/mL (116.4copy/mL) 以下であった

血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン ( 改定版 )

遡及調査検査結果 (2) HBs 抗原 HBc 抗体 ALT 77 日前 180 日前 ( 前回 ) ( 前回の103 日前 ) 陰性 陰性 陰性 陰性 35 32 NAT 検査 (20 本プール ) NAT 検査 ( 個別 ) 陰性 陽性 陰性 陰性

受血者情報 77 日前に献血された血小板製剤は すでに輸血に使用されていた 受血者は 当該輸血前から HBs 抗体 HBc 抗体共に陽性で HBs 抗原は陰性であった 輸血約 3 か月後の検査でも HBs 抗体 HBc 抗体陽性で HBs 抗原は陰性であった

急性まとめ 1 献血者が急性 B 型肝炎を発症した事例 発症 77 日前に献血していたが その時の保管検体で HBV 個別 NAT がすでに陽性であった 受血者は B 型肝炎既感染者で 感染は認めなかった

急性 B 型肝炎ウインドウ期の事例 事例 2

事例 2 20 歳代女性 ( 献血者 ) 急性 B 型肝炎を発症したとの連絡が県外の医療機関よりあり 献血は 47 日前で 保管検体にて個別 NAT 検査施行し HBV-DNA 陽性であった HBV-DNA 濃度は 134 copy/ml その前の献血は 上記献血の 317 日前で 遡及期間 125 日を超えていた

血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン ( 改定版 )

事例 2 受血者 70 歳代女性 貧血にて当該献血者由来赤血球製剤の輸血を受けた 輸血後 26 日目の検査から AST, ALT の異常あり 輸血前 HBV-DNA 陰性 輸血後 26 日目 未検査 AST 14 AST 47 ALT 16 ALT 75

事例 2 受血者経過 55 日後 103 日後 HBV-DNA 510 2.8X10*8 (copy/ml) HBs 抗原 陰性 陽性 HBs 抗体 陰性 陰性 HBc 抗体 陰性 陰性 (IgM 型 )

事例 2 HBV 精査結果 塩基配列の解析より献血者と受血者のウイルスは同一のものと推定された Genotype C Subtype adr Mutant type

全国の集計 供血者から始まる遡及調査実施状況平成 22 年度 調査対象献血件数 1852 件 (HBV 1730, HCV 74, HIV 48) その内 遡及調査対象の個別 NAT 検査が陽性であった献血件数 100 件 ( すべて HBV 陽性 )

急性まとめ 2 医療機関より献血者発症の連絡あり 直近の献血保管検体で HBV 個別 NAT 陽性 受血者も B 型肝炎発症

ウンドウ期対策 ー初感染の場合ー 検査でウインドウ期を短縮する全検体の個別 NATを行う NAT 検査の感度を上げるウイルス保有者を減らす HBVワクチンを広く接種する ( 世界的には実施されている国が多い )

6.7 4.5 2.3

B 型肝炎既感染者からの感染 事例 1

Occult HBV carrier からの輸血による 急性 B 型肝炎の 1 例

はじめに Occult HBV carrier では HBs 抗原陰性かつ HBV-DNA 陽性であり そのウイルス量は 200 IU/mL 以下の低濃度である 今回 occult HBV carrier が原因の輸血後急性 B 型肝炎の 1 例を経験した

事例 患者は 30 歳代男性 27 歳で特発性門脈圧亢進症と診断された 今回 食道離断術と摘脾術を受け 赤血球製剤 3 本 凍結血漿 10 本 血小板製剤 1 本の輸血を受けた

患者の経過 表 1 に示すように 輸血前に HBV-DNA は検出されず HBs 抗体 HBc 抗体ともに陰性であった 輸血後 1 か月目までは肝機能異常は認めなかった 輸血後 199 日目の検査で肝機能異常を認めた 213 日目の検査で輸血後急性 B 型肝炎と診断され エンテカビルの内服を開始した

表 1 患者検査結果 輸血前 37 日後 199 日後 213 日後 AST(IU/L) 23 25 113 823 ALT(IU/L) 17 14 73 677 HBV-DNA 陰性 6.8 logcopy/ml HBs 抗体 陰性 陰性 HBc 抗体 (IgM) 陰性 陽性 HBe 抗原 陰性 陽性 HBe 抗体 陰性 陰性

原因製剤の同定 当該事例で使用された血液製剤 14 本全ての保管検体の HBV 個別 NAT を施行し 1 検体が陽性であった しかし この検体ではウイルス量が少なく 定量下限値 (20 IU/mL) 以下であった また ウイルスの DNA 解析もできなかった 当該献血者 (60 歳代男性 ) の遡及調査結果を表 2 に示す

表 2 献血者遡及調査結果 献血日個別 NAT RCC FFP 原料血漿 HBc 抗体 HBs 抗体 190 日前陰性使用済送付済 1.3 9.5 当該献血陽性使用済当該製品 1.4 4.7 106 日後陰性使用済送付済 9.6 7.9 202 日後陰性使用済送付済 8.1 4.6 500 日後陰性 PCR 実施 5.6 2.0

HBV ウイルス塩基配列の解析 比較 ( 図 1) 個別 NAT 陽性保管検体ではウイルス量が少なく DNA 解析ができなかったため 500 日後の FFP を用いて PCR を行った 1 献血者検体はウイルス量が少なく α 領域は PCR で増幅できなかったので S 領域 193bp(nt.475-667) について解析 比較した 献血者株と患者株の塩基配列を比較したところ相違は 2 か所のみであった ( 一致率 99.0%) 両者の HBV-DNA は Genotype C であった 2 献血者検体の CP/PreC 領域は PCR で増幅できなかった 患者株の CP/PreC 領域の塩基配列は Wild type であった

既感染まとめ 1 本事例は HBs 抗原陰性 HBV-DNA 陽性の occult HBV carrier が感染源である Occult HBV carrier からの輸血で HBV が感染する頻度は低く 患者が免疫不全状態にあることが多いと報告されているが 本事例では免疫不全状態ではなかった 並存する HBs 抗体が低値であったことが HBV 感染成立に関与したと思われる 本事例では 個別 NAT 陰性の献血血液から HBV- DNA の解析が行われ 患者のそれと相同性が高いと判定された すなわち 個別 NAT 陰性であっても HBV が存在することが示された

B 型肝炎既感染者からの感染 事例 2

HBc 抗体陽転化の遡及調査で 輸血から 1 年 10 か月後に判明し た HBV 感染の一例

はじめに 2012 年 8 月より HBs 抗体が 200mIU/mL 以下の場合 HBc 抗体価の陽性判定基準が 12(C.O.I 以下省略 ) から 1 に変更になった このため HBc 抗体陽転化献血者の遡及調査事例が最近増加している この遡及調査で 輸血後 1 年 10 ヶ月目で判明した HBV 感染の一例を経験した

事例 献血者は 50 歳代女性で 今回献血時に HBc 抗体陽転化で遡及調査となった 遡及調査で実施した 2 年半前の前回献血時の保管検体で HBV 個別 NAT が陽性であった

献血検査履歴 HBs 抗原 HBs 抗体 HBc 抗体 個別 NAT (miu/ml) (C.O.I) 今回献血 陰性 35.3 8.3 陰性 2 年 6ヵ月前 陰性 22.3 6.2 陽性 7 年前 陰性 陰性 陰性 陰性

患者 ( 受血者 ) 患者は 70 歳代女性 原疾患は多発性外傷 ( 交通事故による膵頭部挫滅 胃破裂 脾破裂 ) 緊急手術時に当該献血者由来の FFP の輸血を受けた 既往歴高脂血症 高血圧

受血者 ( 患者 ) 検査結果 輸血前 10 週後 1 年 10ヶ月後 HBs 抗原 陰性 陽性 HBs 抗体 陰性 陰性 HBc 抗体 陰性 陽性 (IgM-HBc 抗体陽性 ) HBe 抗原 陽性 HBe 抗体 陰性 HBV-DNA 陰性 6.39E+6 IU/mL ALT(IU/L) 69 19 38 患者は HBe 抗原陽性無症候性キャリアの状態であった

HBV-DNA 解析結果 献血者検体はウイルス量が少ないため S 領域 193bp(nt.475-667) を解析対象とした 献血者株と患者株の S 領域の塩基配列はすべて一致した 両者とも Genotype C で Subtype は adr と推定された 献血者検体の CP/PreC 領域の塩基配列は検体量不足で決定できなかった ウイルス濃度も検体量不足で測定できなかった

赤血球製剤の遡及調査 前回献血の赤血球製剤はすでに使用されていたが その受血者の輸血 4 ヵ月後の HBs 抗原検査は陰性であった

既感染まとめ 2 HBc 抗体弱陽性既感染者からの HBV 感染事例 患者は無症候性キャリアーの状態で 自覚症状が無いため 輸血 1 年 10 ヶ月後の遡及調査で HBV 感染が初めて判明した 輸血による HBV 感染の有無の確認には 症状や検査異常の有無にかかわらず 輸血前後での HBV 関連検査の実施が重要である

3.6 3.3 3.5

2012 年 8 月より HBc 抗体価制限強化 目的は HBV 既感染者排除

おわりに すでに HBc 抗体弱陽性既感染者からの献血は制限しており 今後 全献血検体の HBV 個別 NAT が実施されれば 輸血による HBV 感染は 殆ど発生しなくなると思われる