はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

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役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

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6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

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目 次 セットアップ前に 1 税制改正の概要 2 プログラムの変更内容 3 改正別表 7 別表一 ( 一 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 9 別表一 ( 二 ) 平成 26 年 10 月 1 日以後開始事業年度分 21

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

第一問 -50 点 - 問 1 (25 点 ) (1) について (15 点 ) 概要 次の規定の適用を受ける場合には 納税義務が課されることとなる 1. 課税事業者の選択 2. 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例 3. 新設法人の納税義務の免除の特例 4. 特定新規設立法人の納税

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特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

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設例 [ 設例 1] 法定実効税率の算定方法 [ 設例 2] 改正地方税法等が決算日以前に成立し 当該改正地方税法等を受けた改正条例が当該決算日に成立していない場合の法定実効税率の算定 本適用指針の公表による他の会計基準等についての修正 -2-

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

スライド 1

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また 会社の税金に関する判断は 会社だけにとどまらず 経営者の個人の税金にも関係します 税金の問題は複雑で 税制は毎年改正されるため 経営者や経理担当者が常に適切な判断をすることは簡単ではありません そのような場合には 専門家である税理士に相談して アドバイスを受けることによって 適切な経営判断をすることができます ただし相談する場合でも 早い時期に正しい情報を伝えなければ 税理士も正しい判断ができません 税理士の立場からの声として もっと早く相談してくれれば 相談された内容と事実が違う ということもよく耳にします 日頃から税理士とのコミュニケーションをとっておくことも重要でしょう この冊子では 設立時 日常経営 相続や事業承継といった 会社の様々な局面で発生する課題 起こりがちな間違いに対する 税理士のアドバイス 適切な経営判断をするための留意点を事例でまとめました この冊子を通じて 会社経営者や経理担当者の皆さんが 税金に関する経営判断の重要性をご認識いただき 今後の経営に役立てていただければ幸いです 1

1. 4 8. 19 1 2 1 2 2. 6 9. 21 1 2 1 2 3. 8 10. 23 1 2 1 2 4. 10 11. 25 1 2 1 2 5. 12 12. 27 1 2 1 2 6. 15 13. 29 1 2 1 2 7. 17 14. 31 1 2 1 2

15. 33 22. 47 1 2 1 2 16. 35 23. 49 1 2 1 2 17. 37 24. 51 1 2 1 2 18. 39 25. 53 1 2 1 2 19. 41 26. 55 1 2 1 2 20. 43 27. 58 1 2 1 2 21. 45 1 2

1. POINT! 1 個人事業と法人 ( 株式会社 ) の主な違いは 以下のとおりです 4

12 政府管掌健康保険とは 自社または業種別等の健康保険組合がない 中小企業の従業員を対象と して 全国健康保険協会が運営する健康保険 愛称は 協会けんぽ という 2 個人事業では 事業主に個人の所得税が課税されます 所得税の税率は 5 % から45% まで ( その他 住民税 事業税等も課税されます ) で 所得が高くなるほど 税率も高くなります 法人の場合 社長の給与には個人所得税が課税され 法人の所得には法人税が課税されます 法人税の税率は 中小企業の場合 所得 800 万円までの部分は15%( 平成 30 年 4 月 1 日以後開始事業年度は19%) 800 万円超の部分は23.4%( 平成 30 年 4 月 1 日以後開始事業年度は23.2%) です ( その他 法人住民税 法人事業税 地方法人特別税等も課税されます ) その他 個人事業と法人の税金計算には違いがありますが 一般的に 利益が大きくなれば 法人のほうが税務面で有利となることが多いでしょう 6642 3 2 1. 5

2. 1 000 POINT! 1 法人の設立登記をする際には 以下の事項を決めなければなりません ( 法人の種類には 株式会社の他 合同会社等の形態もありますが 以下では株式会社を前提にしています ) 6

2 法人設立時の決定事項は その後の経営上 いずれも重要です そのうち資本金については 会社法では最低金額は定めていませんが 資本金の額によって 税金面で以下のような違いがあります 1 資本金 1,000 万円未満の法人は 最長で設立事業年度と翌事業年度について 消費税の申告義務が免除されますが 資本金 1,000 万円以上の場合 設立事業年度から消費税の申告が必要となります 2 資本金等 ( 資本金と資本剰余金の合計 ) が 1,000 万円以下か 1,000 万円超かによって 法人住民税の均等割 ( 所得に関わらず課税される税金 ) の額が違います 資本金の額を決める際には 対外的な信用 手元資金の他 このような税金面の違いも考えるべきでしょう また 役員や株主は 法人の意思決定機関であると同時に 一定の責任も負担することになります 共同経営等の場合を除けば 中小企業の場合 設立当初は親族にしておき ある程度軌道に乗ってから 友人や取引先に加わってもらうほうが無難でしょう 9 12 2 2. 7

3. 4 3 9001 000 3 POINT! 1 000 1 新規に法人を設立し 設立時の資本金が1,000 万円以上の場合 初年度から消費税の申告をする必要があります 一方 資本金 1,000 万円未満の場合 申告 納税義務が免除されます この場合 納税が免除され 8

るだけでなく 受け取った消費税より支払った消費税のほうが多くても 還付を受けることはできません ただし 自ら課税事業者となることを選択して届け出た場合 申告義務が発生して 還付を受けることが可能です この場合 消費税課税事業者選択届出書 ( 以下 届出書 ) を設立事業年度末までに提出しなければなりません 設立初年度は赤字になったり 設備投資が多額になることにより 消費税が還付になることも少なくないでしょう 届出書の提出期限は事業年度末なので 決算が確定してからでは遅く 事前に業績のチェックをして 届出をするかどうかの判断をしなければなりません なお この届出書を提出すると 売上に関係なく 最低 3 年間は免税事業者になることができないので 1 年間だけでなく 最低 3 年間の見込みも考慮して判断する必要があります 2 届出書以外に 設立初年度から申告義務がある法人が 小規模事業者に認められている 簡易課税制度 を選択する場合にも 設立事業年度末日までに 消費税簡易課税制度選択届出書 を提出する必要があります なお これらの提出期限は 新規開業の場合は事業年度末日までですが 既存の法人の場合 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで とされています したがって 決算前に翌事業年度の計画や見込を検討しておく必要があります 9 12 2 37 3. 9

0. 4. 12 POINT! 1 会社は決算の結果としての利益に基づいて所得を計算し 法人税を納税します 利益が増加した場合は法人税も増加し 逆に赤字になった場合は法人税は発生しません 会社は毎年同じように利益が出るわけではないので 利益が多額になった場合に節税対策を検討して 利益が低くなる年度に利益を繰り延べることにより 会社の内部留保 財務体質を強化することができます 10

節税対策の基本は 翌期に予定していた支出の前倒し 決算処理での調整といった 利益の繰延べ といえます よく 納税するくらいなら使ったほうがよい という社長がいますが 必要のない支出は 結果的に会社の資金繰りにはマイナスの影響を与えるということを認識しなければなりません また節税対策は 会計や税法のルールに沿って考えなければならないことはいうまでもありません 2 節税対策は タイミングでみると 決算期末までにしなければならない対策と申告期限まで可能な対策に分けて考えることができます 決算期末までにしなければならない対策は 資金の増減を伴うものがほとんどです 逆に決算後から申告期限までにできる対策もありますが 選択肢は限られてしまいます 月次決算をタイムリーに行い 正確な決算予測を早めに試算することで 効果的な節税対策が可能となります 4. 11

0. 5. 3 12 1 10030 POINT! 1 役員に対する給与 ( 役員報酬 役員賞与等 ) は 以下の三つに分類され それぞれの要件を満たすもの以外は 支給した法人の損金に算入することができません 12