所沢 : 平成 28 年 9 月 1 日 ( 木 ) 熊谷 : 平成 28 年 9 月 7 日 ( 水 ) 越谷 : 平成 28 年 9 月 15 日 ( 木 ) さいたま : 平成 28 年 10 月 5 日 ( 水 ) 事例から学ぶ輸血基礎 (Q & A) -2015 年に医療施設から血液センターに入った問い合わせ - 埼玉輸血セミナー
反復輸血患者の同意書とその有効期間 Q1 A1 毎週あるいは毎月と定期的に輸血をしている患者の同意書は その都度取ったほうが良いですか 輸血の同意書は 当該患者に対する一連の輸血につき 1 回同意を取るとされています ( 一連の輸血とは概ね 1 週間を指す ) ただし 再生不良性貧血や白血病など ( 血液疾患 ) の治療において 輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りではありません 輸血に伴う患者に対する説明については平成 24 年保医発 0305-1 で通知され 診療点数早見表に記されています Q2 A2 輸血同意書の有効期間はどれくらいですか 上記のとおり 有効期間は患者により変わります
血液製剤の発注 Q3 血液センターに発注した際の発注票は どの程度とっておけばいいのでしょうか A3 指針にも載っておらず 法的根拠もないため 病院で決めていただくことになります Q4 患者と一緒に血液も転送してもよいですか A4 原則 できません 販売や譲渡になり法律に抵触する可能性だけでなく 遡及調査面でも製剤の追跡ができなくなります
血液製剤の返品 1 Q5 輸血用血液製剤は なぜ 返品できないのですか A5 一度出庫された血液は その品質を保証できないため返品を受けてません Q6 クロスマッチで副試験陽性となりました 返品したい A6 返品はできません 血液センターの不規則抗体検査では 臨床的意義のある抗体については検査 不適 として出庫していません 副試験は省略してください 赤血球の使用時において 患者の血液型検査が適正に行われていれば ABO 同型血使用時の副試験は省略してもよい ( 輸血療法の実施に関する指針 交差適合試験の省略の項 に記載 )
Q7 血液製剤の返品 2 赤血球製剤のクロスマッチで陽性となり DAT を実施したところ陽性となりました 返品したい A7 院内で製品の DAT 陽性が確認できているのであれば 輸血しても臨床上問題ありません 血液の有効利用のためにご使用いただきたい 製品の臨床的意義のある不規則抗体検査は実施して陰性を確認しています 健康な献血者血液の DAT 陽性は不規則抗体以外による IgG が原因と考えられ 輸血しても赤血球寿命は短くなりません ( 参考 ) 直接抗グロブリン試験が陽性であるからといって 必ずしも赤血球寿命が短縮しているというわけではない 少量の IgG や補体は全ての赤血球上に存在しているようである 新しい試薬や高感度な方法を使用すれば タンパク (IgG など ) が少量であっても検出できることがある 入院患者で 6~8% 供血者 ( 献血者 ) の 1/1,000~14,000 で直接抗グロブリン試験陽性であるが 免疫性溶血を示す臨床所見は認められない (Venglen-Tyler( 著 ), 柴田洋一 ( 監 ): 20 章直接抗グロブリン試験陽性の意義と免疫性溶血, AABB テクニカルマニュアル日本語版, 456, オリンパス光学工業, 2002 に記載 )
血液製剤の外観異常 1 Q8 最近 FFP のセグメントに血球が混入しているものが多いがどうしてですか A8 製造工程の変更があり セグメントに血球が混入することがあります 製品内容は変わりません Q9 A9 血小板製剤の輸血口に少量の赤血球が溜まっています 使用して問題ないですか 血小板製剤には少量の赤血球が混入しており 振とうの際 動きの少ない部分に溜まったものです 使用して問題ありません
血液製剤の外観異常 2 Q10 FFP を融解したら白濁しているが使用できますか A10 献血者の脂肪食由来による乳びのため使用可能です
血液製剤の外観異常 3 Q11 A11 病棟へ払い出した RBC の色調が黒かったので検査科に返却されました 細菌汚染のリスクはありますか 個人差があるため色調に幅はあります マニュアルの色調範囲内であること セグメントと本体色調がほぼ同等であれば細菌に汚染されている可能性は低いと考えられます それでも細菌汚染を疑うのであれば調査します 接種当日 7 日後 AM 7 日後 PM 11 日後
血液型 交差適合試験 1 Q12 A12 金曜日にクロスマッチを出して水曜日に輸血することは可能ですか 連日あるいは過去 3 カ月に輸血歴のある患者では 輸血の 3 日前の検体でクロスマッチすることが望ましいとされています 検体の採取時期 連日にわたって輸血を受けている患者では 少なくとも 3 日ごとに検査用検体を採血する また 過去 3 カ月以内に輸血歴あるいは妊娠歴のある患者では 輸血予定日に先立つ 3 日以内を目安に患者から検査用検体を採血する ( 赤血球型検査 ( 赤血球系検査 ) ガイドライン改訂版に記載 )
血液型 交差適合試験 2 Q13 PC を輸血するにあたり 不規則抗体検査は必要ですか A13 必要ありません 血小板製剤には患者の不規則抗体と反応する赤血球を殆ど含んでおりません
血液型 交差適合試験 3 Q14 2 か月前に陽性だった不規則抗体 ( 抗 E) が陰性になりました 陰性血の選択が必要ですか A14 E 抗原陰性血を使った方が良いと思います 発症時間 概要 遅発性溶血性副作用 輸血後 24 時間以降 輸血前の抗体検査が陰性で二次免疫応答により 増加した Ig G 同種抗体が原因となる典型的な遅発性溶血性副作用は輸血後 3~14 日程度で溶血所見を認める
血液型 交差適合試験 4 Q15 A15 クロスマッチの際 ABO 血液型検査をオモテ検査 ( 試験管法 ) のみ実施し その結果をろ紙に落として保存しています ろ紙に落として保管する必要はありません 血液型の検査は 同一検体について異なる 2 人の検査者が独立に検査し 2 重チェックを行なうとされています Q16 A16 クロスマッチで 3 本中 1 本が陽性になったので 不規則抗体同定検査を出したところ 抗 E と同定されました クロスマッチで陽性となった血液は使用することができますか 交換してもらえますか クロスマッチ陽性の血液は使用することが出来ません また 別の製剤と交換することも出来ません 次にオーダーするときは E(-) の血液を頼んでください
血液型 交差適合試験 5 Q17 A17 PC の副試験で陽性となりました 他の患者とクロスすると陰性となるが 患者は不規則抗体陰性 DAT 陰性で考えられる原因がありません 輸血できますか 患者と同型の製剤であれば輸血できます 血小板はクロスマッチを省略できます Q18 血小板濃厚液及び新鮮凍結血漿の輸血に当たっては 交差適合試験は省略してもよい ( 輸血療法の実施に関する指針 交差適合試験の省略 に記載 ) 交差試験は陰性だが 不規則抗体擬陽性 外注 ( 検査センター ) で確認しているが 2 日くらいかかります Hb2.7 なので輸血したいが入れても大丈夫ですか A18 同定を待った方が良いが 緊急時は 輸血を実施することもやむを得ません
血液型 交差適合試験 6( 赤血球製剤 ) Q19 A19 事前に抗 D を持っていることが判っている患者で 緊急時に D 陽性血を輸血して副作用が出た場合 過失が問われますか 指針では緊急時は生命を優先し 救命後に溶血性副作用に注意しながら患者の観察を続けると書いてあります Rh 陰性患者に Rh 陽性の血液を輸血した場合には 担当医師は救命後にその事由及び予想される合併症について 患者又はその家族に理解しやすい言葉で説明し 同意書の作成に努め その経緯を診療録に記載しておく 緊急に大量輸血を必要とする患者で 事前に臨床的に意義のある不規則抗体が検出された場合であっても 対応する抗原陰性の血液が間に合わない場合には ABO 同型血を輸血し 救命後に溶血性副作用に注意しながら患者の観察を続ける ( 輸血療法の実施に関する指針 緊急時の輸血, 大量輸血時の適合血 に記載 )
血液型 交差適合試験 7( 赤血球製剤 ) Q20 Rh(-) の RBC を Rh(+) の患者に輸血しても問題ないという文献はありますか 医師に納得してもうための資料を探しています Q21 A20 文献等はないが 血液製剤の使用指針の中に Rh 陽性患者に Rh 陰性赤血球を使用しても抗原抗体反応をおこさないので 投与することは医学的に問題ない と記載されています Rh(+) で納品された血液に RhD 検査を実施したところ 直後判定で (-) となりました この血液は D 陰性血なのですか A21 Week D および partial D は Rh(+) として供給しています
血液型 交差適合試験 8( 血小板製剤 ) Q22 心臓血管外科の手術で使用予定だった O 型 PC が余ってしまった 血液内科の患者 AB 型に使用することを検討しているがどうですか HLA は異型で供給してるので A22 原則として同型をお使いください 緊急性がなければ異型血小板を使用することは出来ません 血小板濃厚液及び新鮮凍結血漿の輸血に当たっては 原則として ABO 同型血を使用する ( 輸血療法の実施に関する指針 交差適合試験の省略の項 に記載 ) ABO 血液型同型血小板濃厚液が入手困難な場合には ABO 血液型不適合を使用する ( 血液製剤の使用指針 血小板濃厚液の適正使用,ABO 血液型不適合輸血 に記載 )
血液型 交差適合試験 9( 血小板製剤 ) Q23 A23 至急で Rh(-) の PC を頼んだところ在庫がなく Rh(+) の血液であれば準備できます と血液センターから言われました 原則は Rh も同型ですが 緊急時は Rh(-) の患者に Rh(+) の血小板を輸血しても良いとされています Q24 Rh(-) の患者に Rh(+) の PC を輸血しました 抗 D 産生のリスクはありますか A24 混入する赤血球は僅かで抗 D の産生する可能性は低いです
患者が Rh 陰性の場合には Rh 陰性の血小板濃厚液を使用することが望ましく 特に妊娠可能な女性では推奨される 緊急の場合には Rh 陰性患者に Rh 陽性の血小板濃厚液を使用してもよい Rh 陽性の血小板濃厚液を使用した場合には 抗 D 人免疫グロブリンを投与することにより 抗 D 抗体の産生を予防することができる場合がある ( 血液製剤の使用指針 血小板濃厚液の適正使用,ABO 血液型 Rh 型と交差適合試験 に記載 ) 血小板自体には RhD 抗原を発現していないため RhD 陰性患者に RhD 陽性の PC を輸血しても効果は得られます しかし微量ですが赤血球が混入しているので抗 D 抗体産生に注意が必要です Rh 陰性患者に Rh 陽性の血小板濃厚液を輸血した場合 19% に抗 D が産生されたとの報告があります ( このときの赤血球混入量は 0.2~0.5mL) しかし 血小板製剤を反復輸血を要する患者は免疫抑制剤の投与例が多く 抗 D 抗体産生頻度は低いと言われています
赤血球製剤の室温放置 1 Q25 冷蔵庫から取り出した RBC を輸血するまでの室温放置時間はどれくらいですか A25 冷蔵庫から取り出した後 室温放置する必要はありません 直ぐに輸血を開始して大丈夫です 加温が必要な場合は新生児や大量急速輸血患者です 赤血球製剤の加温 1 100mL/ 分を超える急速輸血 2 30 分以上にわたる 50mL/ 分を超える成人の急速輸血 3 心肺バイパス術の復温期における輸血 4 新生児の交換輸血 5 15mL/kg/ 時を超える小児の輸血 6 重症寒冷自己免疫性溶血性貧血患者への輸血
Q26 A26 赤血球製剤の室温放置 2 1.RBC の室温放置時間はどれくらいまで許容されますか? そのまま輸血する場合はどれくらい時間をかけてもよいですか 2.RBC を払い出して 30 分以上室温に放置した血液は廃棄になると思うのですが 30 分以内の血液は再度冷蔵庫にしまうことは可能ですか 室温放置が 30 分を超えたら 冷蔵庫に戻せません そのまま使用するのであれば 6 時間以内に終了してください 使用の予定がなければ廃棄してください 各種の輸血用血液は それぞれ最も適した条件下で保存しなければならない 温度管理が不十分な状態では 輸血用血液の各成分は機能低下を来たしやすく 他の患者への転用もできなくなる 病棟や手術室などに持ち出した後はできるだけ早く使用するが 手術室などに 30 分以上血液を手元に置く場合にも各製剤の保管温度条件下で保存する ( 輸血療法の実施に関する指針 輸血用血液の保管法 に記載 ) 血液バッグ開封後は 6 時間以内に輸血を完了する 残余分は廃棄する ( 血液製剤の使用指針 新生児 小児に対する輸血療法, 長時間を要する輸血 に記載 )
血小板製剤の振とう保存 1 Q27 本日使用予定で血小板を取り寄せましたが 明日の使用に変更となりました 振とう機が無いがどうしたら良いですか A27 振とう機がない場合は 数時間であれば 30 分おきに手で少し振とうすることで良好に血小板の機能が保たれます 保管温度は 20~24 ですが 室温で数時間なら問題ありませんが 一晩 振とうなしで保管することはできません 使用当日に納品されるようご注文ください 使用日の変更等については血液センターにご相談ください
血小板製剤の振とう保存 2 Q28 血小板を 12 時から 13 時までの約 1 時間冷蔵庫に保管した 使用できますか A28 冷蔵庫に保管すると凝集して使用できません 血小板製剤を保存する場合には 血小板振とう機を用いて 20 ~24 でゆるやかに水平振とうしてください 冷所で保存すると血小板寿命の低下や不可逆的な形態変化を引き起こし 輸血効果が低下します また血小板製剤を静置保存しておくと ph が低下し これに伴って血小板に傷害が起こり 輸血効果が低下します ( 輸血用血液製剤取り扱いマニュアルに記載 )
FFP の融解後の保存 1 Q29 FFP を融解し 冷蔵保管していたが使用するまでに融解後 3 時間を超えてしまいました この血液は使用できますか また 使用することによって副作用の原因となりますか A29 FFP は融解後 2~6 に保管し 3 時間以内に使用するとされています 融解後 3 時間を経過すると 凝固因子活性が低下し FFP としての十分な効果が得られません また 3 時間を経過した FFP を輸血しても副作用の直接的な原因にはなりません
FFP の融解後の保存 2 Q30 FFP240 を融解し 看護部へ引き渡しました 翌日 看護部より 使用しなかったので冷凍庫に入れておいた と連絡がありました この製剤は使用可能ですか A30 FFP の再凍結はできません ゆえに使用できません 参考 ) 米国では 融解後の使用期限は 24 時間です さらに凝固因子を必要としない場合は 5 日間とされています
輸血セット ( 通常のセットと PC 用 )1 Q31 A31 PC を輸血する時のラインは RBC と一緒でいいのですか 輸血セットとの違いは何ですか 一緒でも大丈夫ですが PC を輸血する際は PC 用輸血セットの使用を推奨します 大きな違いはデッドボリュームです Q32 同一輸血セットで PC と FFP と RBC はどれを先に輸血すべきでしょうか これらの製剤を輸血する順番はあるのですか A32 同じ輸血セットを用いて続けて輸血する場合は PC を先に輸血した後 RBC FFP を輸血します
輸血セット ( 通常のセットと PC 用 )2 Q33 A33 赤血球輸血を実施中に血小板を輸血したい どうしたら良いですか 一旦赤血球を止めて生食でフラッシュ後 側管から投与してはどうでしょうか 輸血セットは別で血小板用を使ってください 患者さんの状態によっては 別のラインで同時に入れる場合もあります Q34 A34 PC を赤血球用輸血セットで輸血してしまった 何か対処が必要か 赤血球用セットで輸血して問題ありません デッドボリュームを考慮して PC 用輸血セットの使用を推奨します
同じ輸血セットを使用する場合は PC を先に投与した方が良いと考えます その際には PC の輸血後に輸血セットを生理食塩液でフラッシュしてから RBC を輸血した方が良いと思われます 以下の海外情報も参考にしてください 海外情報 ( イギリス ) 製剤ごとに新しい輸血セットか血小板輸血セットを使用 赤血球製剤等で使用したセットは凝集や詰まりを起こす事があるので使用しない ( オーストラリア & ニュージーランド ) 血小板には新しいセットを使用する 赤血球破片により血小板が捕捉されるため赤血球使用後のセットは使用禁止 血小板使用後に同じセットで赤血球を輸血するのは可 ( オランダ ) 赤血球輸血に使用したセットでは血小板が捕捉される 血小板輸血後のセットで赤血球輸血を行っても問題はない 血液製剤の使用指針では 赤血球や血漿製剤の輸血に使用した輸血セットを引き続き血小板製剤に使用すべきでない とされています ( 血液製剤の使用指針 血小板濃厚液の適正使用, 使用上の注意 に記載 )
( 参考 ) 輸血方法 - 輸血セットの違いについて 輸血セット 輸血セット ( 血小板用 ) 赤血球製剤 血漿製剤 血小板製剤 注意 輸血に使用できない輸液セットのフィルター 20-40μm 除菌フィルター 0.2μm 輸血セット 輸血セット ( 血小板用 ) メッシュの口径 175~210μm 140~170μm メッシュの位置点滴筒上部先端コネクター 容量 25 ml 9 ml デッドボリューム 8 ml 3.5 ml 輸血セットの規格はメーカーによって違います 各製剤に適した輸血セットをお使い下さい
輸血セットの使用方法 1 Q35 PC10 と PC5 を連続輸血したいが輸血セットは 1 本でよいか 刺し直して使ってよいですか A35 輸血セットは 1 回限りの使い捨てとなっています 輸血セットは 人全血液等の血液製剤の輸血に適当と認められた器具であって そのまま直ちに使用でき かつ 1 回限りの使い捨てるものをいう ( 生物学的製剤基準通則 44, 血液製剤の取り扱いマニュアルに記載 ) 標準フィルターでは 2~4 単位が使用可能となるように設計されていますが 白血球除去製剤では 製剤の状態にもよりますが 5 バッグまで使用可能とあります ( 稲葉頌一 ; 徹底分析シリーズ 輸血フィルター. Lisa,2001; VOL.08 No.11: p998.)
輸血セットの使用方法 2 Q36 A36 マニュアルでは 輸血セットのろ過筒に血液を満たすとなっていますが 満たそうとすると 点滴筒に流れ出てしまい満たせません 満たす と書かれていますが 10 割満たすことは出来ないようです 7~8 割で十分です
Q37 A37 輸血セットの使用方法 3 生後 1 日の新生児に輸血を実施するのでシリンジ輸血を実施したい その場合 輸血セットはどのように使えばいいですか 血液バッグに輸血セットを接続して フィルターを通した血液を吸引するとあります 新生児への赤血球輸血においては 輸血セットを用いてシリンジに採取した血液を輸血できる ( わかりやすい周産期 新生児の輸血治療 ( メジカルビュー社 ) p105. に記載 ) Q38 A38 輸血の際に事前に輸血セットに生食を通した後 使用しているのですが 必要性はありますか 新しく使用する際には生理食塩液を通す必要はありません しかし 別製剤の使用後であったり薬剤の使用後等の場合はリンスする必要があります
輸血ライン 1 Q39 A39 輸血で 24G を使用している患者がいるのですが 輸血速度はどのくらいまで大丈夫ですか 24G の注射針を通して約 0.3mL/ 秒を超える速度で注入されると赤血球が破壊されやすくなります Q40 小児や血管が細く穿刺が不可能な場合は 23G 程度までは可能です また 物理的溶血については 24G の注射針を通して約 0.3mL/ 秒を超える速度で注入されると赤血球が破壊されやすくなり 22G の注射針を使用すると 1.5mL/ 秒を超えるまでは溶血はほとんどないとされています 輸血後にライン全体を生食で流す必要がありますか A40 流す必要はありません 輸血セットの刺し直しが必要であり細菌汚染リスクを高めてしまいます
輸血ライン 2 Q41 A41 CV ポートから輸血してよいですか 以前に聞いたときは 輸血は単独ラインで 細菌汚染に注意して と言われました 末梢血管からの輸血が原則です 輸血はカテーテル関連血流感染のリスク因子であったり 輸液が残っている場合は凝固やライン閉塞の原因となります 参考 ) 超低出生体重児等で輸血ルートが確保できない場合に やむを得ず CV ラインから輸血することがあります その際 注意することは 1) 血液製剤と高カロリー輸液との配合変化です 混注は避けるべきで 輸液 血液製剤切替え時の生食によるラインフラッシュ が必要となります 2) 中心静脈カテーテルを介する急速大量輸血時には 冷たい血液が心臓に直接還流されることから心停止の危険性があるので 血液製剤の加温の適応とされています さらに 高カリウム血症のリスクも高まります
点滴漏れの対処法 Q42 1. RBC で点滴漏れが発生しました 少し腫れているがどう対処したらよいですか 2. FFP で点滴漏れが発生 2cm 2cm 程度に少し腫れています どう対処したらよいですか A42 特に手当てはなく 自然に吸収されるのを待つしかありません 腫れていて痛みがあるなら冷やすとよいです
カリウム値 Q43 A43 カリウム値が 5.9mEq/L の患者に輸血したいが どうしたら良いですか 洗浄赤血球をお勧めします 急いでいるのであればカワスミカリウム吸着フィルターを使用する選択があります カリウム吸着フィルターの適応は 新生児や胎児 未熟児 新生児 交換輸血又は体外循環を受ける小児及び救命上緊急な急速大量輸血が必要な患者に対し カリウム値が上昇しているおそれのある赤血球製剤 ( 照射血 長期保存血 ) を輸血する場合とされています 赤血球製剤は保存に伴い上清カリウム濃度が上昇します ( カリウム濃度の上昇 照射 > 未照射 )
輸血後感染症検査 1 Q44 輸血後感染症検査を実施した場合は保険で認められますか A44 最終輸血日を記載することにより 保険算定できます Q45 A45 輸血前の感染症検査は何ヶ月前まで有効ですか たとえば 1 年前の検査は有効ですか 輸血後はどうですか 輸血前の検査については決まりがありません 指針には輸血前検体は輸血前 1 週間程度のものを保管するとされています 参考にしてください 輸血後は 2~3 ヵ月後です
輸血後感染症検査 2 Q46 A46 他院から転院してきた患者が 輸血後感染症検査をしてください というカードを持っていました 輸血後感染症検査は必ずやらなければいけなくなったのですか 義務ではありませんが 指針に基づき実施していただきたいと思います 輸血後の感染症検査は 早期治療を図るため 医師が感染のリスクを考慮し 感染が疑われる場合などには 以下の表のとおり 肝炎ウイルス関連マーカーの検査等を行う必要がある ( 輸血療法の実施に関する指針に記載 )
輸血後感染症検査 3 Q47 輸血が終了したバッグは何日くらい保管したら良いですか A47 指針では細菌感染が発生した場合を考慮し 数日間冷蔵保管します 1 週間保管してる施設が多いようです 医療機関においては 輸血に使用したすべての 使用済みバッグ に残存している製剤をバッグごと 清潔に冷蔵保存しておくことが望まれる なお 使用後数日経過しても受血者 ( 患者 ) に細菌感染症発症のない場合は廃棄しても差し支えない ( 血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン 細菌, 医療機関の対応 に記載 )
輸血後感染症検査 4 Q48 リンパ腫の患者で輸血後に HBs 抗体のみ陽転化した どのように理解したらよいですか 輸血製剤の移行抗体という可能性はありますか A48 移行抗体の可能性があります 輸血した 7 製剤の HBs 抗体を調べた結果 HBs 抗体価が 8080 のものがありました HBs 抗体は中和抗体であり 医療従事者など HBV 感染予防のワクチン接種によって抗体価の高い献血者が存在します
副作用発生時の対応 Q49 A49 副作用発生時は輸血を中止して輸血セットを抜いた方がよいですか 軽微な副作用の場合は輸血を継続してもよいですか 副作用の発生に気付いた場合 副作用の重篤度にかかわらず輸血を中止し ( 抜針をせずにクランプするだけ ) 医師に連絡し 適切な処置を行います 直ちに抜針をしてしまうと 処置のための血管確保が難しい場合もありますので 副作用が発生した場合には 輸血を中止し 血管を確保したまま医師へ連絡を行い指示を仰ぐことが第一と考えられます
ご清聴ありがとうございました