第 1 問 個人事業主のAさん (48 歳 ) は 妻 Bさん (47 歳 ) との2 人暮らしである Aさんは 最近 老後の生活について考えるようになり その前提として 公的年金制度について理解したうえで老後資金を準備するための方法を知りたいと考えている そこで Aさんは ファイナンシャル プラン

Similar documents
未成年者が口座開設者となり 原則として その親権者等が未成年者を代理して運用管理等を行います ジュニアNISA 口座に受け入れることができる上場株式等の新規投資による受入限度額 ( 非課税枠 ) は年間 80 万円です その非課税期間は最長で5 年間となります 一般のNISAの場合は 新規投資による

平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

平成 29 年 1 月度実施実技試験 ( 保険顧客資産相談業務 ) 73

金融商品と資金運用

Microsoft Word - "ç´ıå¿œçfl¨ docx

第 2 問問 4 2 < 遺族に必要な生活資金等の総額 > 生活費 30 万円 50% 12 カ月 29 年 =5,220 万円 死亡整理資金( 葬儀費用等 ) 200 万円 緊急予備資金 300 万円 住宅ローンについては団体信用生命保険に加入しているので計算に含めない合計 5,220 万円 +2

ていたものと推定されるので 所定の手続により, 雇用保険から基本手当を 150 日分 受給することができる < 問 3> 正解 3 1) 不適切 老齢厚生年金は 65 歳からの受給が原則であるが 男性の場合 昭和 36 年 4 月 1 日以前生まれの人は 65 歳前から特別支給の老齢厚生年金を受給す

一発合格!FP 技能士 3 級完全攻略実戦問題集 年版 別冊 FP 技能士 3 級 2018 年 9 月実施試験 解答 & 解説 実技試験個人資産相談業務 ( 金融財政事情研究会 ) 問題 解答 解説 第 1 問問 1 1 1) 適切 医療費の一部負担金等の額が自己負担限度額を超える場合

平成19年度市民税のしおり

18 歳で就職してから 20 歳になるまでの厚生年金保険被保険者期間 (20 月 ) は 老齢基礎年金の年金額には反映しない ただし 老齢厚生年金の年金額には反映 する < 問 2> 正解 3 1) 不適切 厚生年金保険の被保険者期間が 240 月 (20 年 ) 以上ある人が ( 昭和 24 年

特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 次の設例に基づいて 下記の各問 ( 問 1 ~ 問 3 ) に答えなさい 設例 Aさん (33 歳 ) および妻 Bさん (29 歳 ) は 民間企業に勤める会社員である 平成 29 年 3 月に第 1 子を出産予定の妻 Bさんは 産前産後休業および育児休業を取得

の合計 ( ただし 20 歳以上 60 歳未満の期間 ) なお 保険料免除期間がある場合 本人は保険料を支払っていなくても 一定の期間が分子に加算される A さんの場合 保険料納付済月数は 国民年金保険料納付済期間 35 月 + 厚生年金保険被 保険者期間 398 月 + 厚生年金保険被保険者期間

問 ,088( 円 ) 21,084,995 ( 円 ) 3662( 円 ) 41,475,457 ( 円 ) 最長で2 年間 全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができる 任意継続被保険者の保険料は Aさんが全額負担することになる 1. 老齢基礎年金の年金額

* 老齢基礎年金の額および付加年金の額 444 月 780,100 円 +200 円 138 月 749,200 円 480 月 < 問 2> 正解 2 1) 適切 国民年金基金には 47 都道府県に設立された 地域型基金 と 25 の職種別に設立された 職能型基金 の 2 種類があり 国民年金の第

Microsoft Word - FP2級法改正情報 doc

20年度「応用課程・ビデオ問題」

例題 1 下記の事項につき ア ~ エのうち正しいものを 1 つ 選んでください 所得税および住民税の生命保険料控除 地震保険料控除についてア. 平成 23 年 12 月締結契約で 一般生命保険料の年間正味払込保険料が75,000 円の場合 この契約に係る所得税の生命保険料控除額は 38,750 円

1 夫が亡くなったとき 40 歳以上 65 歳未満で 生計を同じくしている子がいない妻 2 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻 (40 歳に達した当時 子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る ) が 子が 18 歳到達年度の末日に達したため 遺族基礎年金を受給できなくなったとき

国民年金基金は国民年金の第1号被保険者(自営業の方やフリーで働く方、およびその配偶者の方)の保険料を納めている方で、20歳以上60歳未満の方が加入することができます

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

本書の特徴 本書は FP2 級実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 合格を支援します FP 技能士 2 級実技試験の特徴は 1 実技 というものの 出題形式は一つテーマが与えられ それに対し正誤問題 穴埋 め問題 計算問題の 3 種類の設問に解答する形式です 2 問題数はテーマごとに 5 問 1 テー

Microsoft Word - 個人住民税について

第14章 国民年金 

平成 29 年 5 月 3 級 FP 技能検定 / 実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答と解説 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 1> 正解 1 1) の語句の組み合わせが正しい 1 老齢基礎年金の年金額は 20 歳から 60

ライフプランニングと資金計画 問題 1. ファイナンシャル プランナーの顧客に対する行為に関する次の記述のうち 職 業倫理や関連法規に照らし 最も適切なものはどれか 1. 税理士資格を有しないファイナンシャル プランナーが 住宅ローン相談セミナーを開催し その出席者に対して無償で確定申告書の作成代行

平成 28 年 9 月 3 級 FP 技能検定 / 実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答と解説 第 1 問 番号 問 1 問 2 問 3 正解 配点 3 点 4 点 3 点 < 問 1> 正解 1 1) が正しい 老齢基礎年金の年金額は 20 歳から 60 歳になるまでの 40

Ⅰ 年の中途で行う年末調整の対象となる人 年末調整は 原則として給与の支払者に 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( 以下 扶養控除等申告書 といいます ) を提出している人について その年最後に給与の支払をする時に行うことになっていますので 通常は12 月に行うこととなりますが 次に掲


問 3 1 〇 2 〇 3 問 4 18,244( 万円 ) 2 3,356 ( 万円 ) 3 4,620 ( 万円 ) 金基金に加入する場合は 国民年金の付加保険料の納付をやめる手続が必要となります ⅲ) 小規模企業共済制度 小規模企業共済制度は 個人事業主が廃業等した場合に必要となる生活資金を準

平成16年度

特別障害者控除同居特別障害者寡婦控除特別寡婦控除寡夫控除 障害者控除に該当する場合のうち 障害の程度が身体障害者手帳 1 級または2 級の方や療育手帳 AまたはAの場合 また精神障害者手帳 1 級の場合等 納税者の配偶者その他の親族 ( 扶養親族や配偶者控除を受ける配偶者に限る ) が特別障害者でか

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分


ワコープラネット/標準テンプレート

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

平成 28 年度市民税 県民税申告の手引き 申告書を提出しなければならない人平成 28 年 1 月 1 日現在 幸手市内に住所を有する人 (1 月 2 日以降に幸手市に転入した人は従前の住所地で申告を行ってください ) ただし 次に該当する人は この申告をする必要はありません 1 平成 27 年分の

問 3 第 2 問 問 4 1ロ 2ト 3ヘ 1ロ 2ハ 3ヘ 4リ は 加給年金額は加算される 受給権者本人の厚生年金保険の被保険者期間が 20 年以上で 65 歳未満の配偶者がいる場合には加給年金額が加算される 3 適切 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合 老齢厚生年金の繰上げ支給の請求と同

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

妙高市 税に関するWEBページ

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

第 5 章 N

平成16年度

ご自身の加入限度額は? 加入条件 お さまの 性 自 者 年金 者種 1 者 に確定 年金や 確定拠出年金 ( 型 ) がない 確定拠出年金 ( 型 ) に加入している 2 者 加入できる 確定 年金がある 者 基本的には 60 歳未満のすべての方 にご加入いただけます 国民年金を免除されている方等

FP3級問題集2018_ダウンロードサービス_cs4.indd

FX取引に係る確定申告について

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

第 1 問 X 社に勤務するAさん (45 歳 ) は 妻 Bさん (42 歳 ) との2 人暮らしである Aさんは 平成 29 年 7 月末日付でX 社を早期退職し 個人事業主として事業を開業する予定である Aさんは X 社退職後に個人事業主となった場合における社会保険および老後資金の準備について

スライド 1

5 事業用の車両等を売却 ( 譲渡 ) した場合の売却益 ( 譲渡益 ) 売却損 ( 譲渡損 ) については 事業所得とはならない 総合課税の譲渡所得 ( 土地 建物以外 ) の扱いになり 所有期間 (5 年超か以下か ) によって長期譲渡所得 短期譲渡所得に区分される 6 使用可能期間が1 年未満

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

MR通信H22年1月号

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

PowerPoint プレゼンテーション

著作権について 本冊子は著作権法で保護されている著作物であり 本冊子の使用に関しては 以下の点にご注意くださ い 本冊子の著作権は 創企株式会社に属します 創企株式会社の許可なく 本冊子の全部又は一部をいかなる手段においても複製 転載 流用 転売 する事を禁じます 創企株式会社の許可なく 本冊子から

妙高市 税に関するWEBページ


PowerPoint プレゼンテーション

国民年金基金は国民年金の第1号被保険者(自営業の方やフリーで働く方、およびその配偶者の方)の保険料を納めている方で、20歳以上60歳未満の方が加入することができます

( メモ余白 ) - 2 -

Z-64-A 簿記論〔第一問〕-解 答-

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 16,490 円 ( 平成 29 年度 ) 付加保険料月額 400

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 15,250 円 ( 平成 26 年度 ) 付加保険料月額 400

年金・社会保険セミナー

第 1 問 会社員のAさん (50 歳 ) は 妻 Bさん (50 歳 ) 長男 Cさん (19 歳 ) および長女 Dさん (15 歳 ) との4 人暮らしである Aさんは 今年 4 月に長男 Cさんが大学に入学したことを機に 生命保険の見直しを考えている Aさんは その前提として 自分が死亡した

< 所得控除の詳細 > 1 所得控除額計算一覧表 控除名 控除の詳細 控除額町県民税 控除額 参考 所得税 次の イ と ロ のい 次の イ と ロ のい ずれか多い方の金額 ずれか多い方の金額 災害や盗難等により 本人や本 イ ( 損害金額 - 保険 イ ( 損害金額 - 保険 雑損控除 人と同一

< F2D A91B C FC90B38E9197BF>

あなたと生計を一にする配偶者やその他の親族が受け取る公的年金等から引き落とされている国民健康保険 料 後期高齢者医療保険料 介護保険料はあなたの控除の対象とはなりませんので御注意ください 5 生命保険料控除 地震保険料控除 について それぞれ該当する欄に昨年中に支払った金額を記入し 以下の計算方法に

(12) 1 適切 (13) 2 不適切 債券の信用格付がダブルB 格 ( BB 格) 相当以下である場合 一般に 投機的格付とされる (14) 2 不適切 オプション取引において 将来の一定期日または一定期間内に 株式などの原資産を特定の価格 ( 権利行使価格 ) で買う権利のことを コール オプ

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

地震保険料 寡婦控除寡夫控除 あなたやあたなと生計を一にする配偶者その他の親族が所有している居住用家屋 生活用動産を保険や共済の目的とする契約で かつ 地震 噴火又は津波等を原因とする火災 損壊等による損害の額を補てんする保険金や共済金が支払われる地震保険 また平成 18 年末までに結んだ保険期間

<4D F736F F D208A6D92E8905C8D9082CC E837C E646F63>

PG_第3期期末配当の取扱いに関するQA

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

第 1 問 Aさん (48 歳 ) は デザイン事務所を経営する個人事業主である Aさんは 丁寧な仕事が評判で取引先が多く 収入は安定している Aさんは これまで国民年金のみに加入しているが 収入が安定していることもあり 最近 老後の年金収入を増やすための方策を考えている 一方で Aさんは 過去に国

年金・社会保険セミナー

<4D F736F F D208F8A93BE90C520926D8EAF94BB92E E291E >

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

第 1 問 Aさん (53 歳 ) は, 妻 Bさんとの2 人家族である 大学卒業後, 建設会社に勤務していた Aさんは,43 歳のときに建築設計事務所を設立して個人事業主となり, 今日に至っている 事務所設立当初は収入も少なく, 公的年金のことを考えるゆとりがなかったAさんには, 国民年金の保険料

所得控除 所得控除とは個人の実情にあった税金を負担していただくために 所得金額から差し引くものです (1) 人的控除人的控除に該当するかどうかは 前年 12 月 31 日の現状によって判定されます ただし その判定の対象となる人が前年中にすでに死亡している場合には その死亡時の現状によって判定されま

平成 31 年度 ( 平成 30 年分 ) 所得控除 雑損控除 納税義務者又はその者と生計同一の配偶者 その他親族が有する資産について 災害 盗難 横領によ る住宅 家財 現金の損害一定額 控除計算 A B いずれか多い方の金額 A:( 損失額 - 保険金等による補てん額 )-( 総所得金額等の合計

<4D F736F F D E8482BD82BF82CC95E982E782B582C68CA790C52E646F6378>

中小企業の退職金制度への ご提案について

スライド 1

Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

第 1 問 Aさん (32 歳 ) および妻 Bさん (30 歳 ) は 民間企業に勤める会社員である 妻 Bさんが 平成 27 年 12 月に第 1 子を出産する予定であることから Aさんは 出産に関する健康保険等からの給付内容について知りたいと考えている また Aさんは 仮に自分が死亡した場合の

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

Transcription:

2016 年 ( 平成 28 年 )1 月実施 (2016 年 1 月 24 日 ) ファイナンシャル プランニング技能検定 3 級実技試験 < 個人資産相談業務 > 解答 解説集 ------------------------------------------------- ご注意 -------------------------------------------------- 1. 本冊子は3 級 FP 技能士試験の解答 解説集です 2. 問題文は ( 一社 ) 金融財政事情研究会が公式 HP 上で公開している試験問題より引用しております 出典 :( 一社 ) 金融財政事情研究会 http://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/list/fp/test 3. WEB 上での公開時の文字化けを回避するため 丸囲みの数字は (1)~(3) や というように表記を変更している場合があります 4. 解答 解説文は正確を期すよう努力しておりますが 分かりやすさ 読みやすさを重視していることから 記載を省略したり 平易な用語に読み替えている場合があります 5. 本冊子に記載されている情報については 利用者の責任に基づいてお取り扱いください 6. 本冊子に記載されている情報による損害については一切責任を負いません 7. 解説文に間違いを発見された場合や ご意見 ご感想などは 下記 URL よりご連絡頂けますと 大変ありがたいです 連絡先 :http://fp3test.ninpou.jp/contact.html -------------- Copyright(C) 3 級 FP 過去問解説. All rights reserved. ------------ - 1 -

第 1 問 個人事業主のAさん (48 歳 ) は 妻 Bさん (47 歳 ) との2 人暮らしである Aさんは 最近 老後の生活について考えるようになり その前提として 公的年金制度について理解したうえで老後資金を準備するための方法を知りたいと考えている そこで Aさんは ファイナンシャル プランナーのMさんに相談することにした Aさんおよび妻 Bさんに関する資料は 以下のとおりである Aさんおよび妻 Bさんに関する資料 (1) Aさん ( 個人事業主 ) 生年月日 : 昭和 42 年 9 月 19 日 公的年金の加入歴( 見込みを含む ) (2) 妻 Bさん ( 専業主婦 ) 生年月日 : 昭和 43 年 11 月 8 日 20 歳から国民年金に加入 平成 7 年 7 月から平成 10 年 6 月までの保険料全額免除期間を除き 保険料を納付している 妻 Bさんは 現在および将来においても Aさんと同居し 生計維持関係にあるものとする Aさんおよび妻 Bさんは 現在および将来においても 公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 2 -

問 1 Mさんは Aさんが60 歳に達するまで国民年金の保険料を納付した場合の老齢基礎年金の年金額を試算した Aさんが原則として65 歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額を算出する計算式は 次のうちどれか なお 老齢基礎年金の年金額は 平成 27 年 10 月時点の価額に基づいて計算するものとする 1) 780,100 円 {(444 月 +36 月 1/3)/480 月 } 2) 780,100 円 {(461 月 +36 月 1/3)/480 月 } 3) 780,100 円 {(461 月 +36 月 1/2)/480 月 } - 3 -

問 1 < 解答 解説 > 老齢基礎年金の支給額に関する問題です 65 歳から受給できる老齢基礎年金の計算式は以下の通り 老齢基礎年金 = 満額の基礎年金 ( 納付済月数 + 免除分調整月数 )/( 加入可能年数 12) まず 平成 27 年度の満額の基礎年金額は 780,100 円 次に 保険料納付済月数ですが Aさんは昭和 61 年 4 月から84 月厚生年金に加入し その後国民年金に加入予定です 老齢基礎年金の支給額にカウントされるのは 20 歳以上 60 歳未満の加入期間ですから 厚生年金加入期間のうち 20 歳未満と60 歳以降の期間は除外します よって A さんの保険料納付済月数は 20 歳以上 60 歳未満までの444 月です (20 歳 ~60 歳までの480 月から 免除 36 月を差し引いた数 ) 次に免除期間は 全額免除や半額免除等 保険料の免除分に応じて免除月数に一定数を乗じて 調整計算します 国民年金の免除分調整割合は 平成 21 年 3 月分までは 以下の割合です 全額免除 :1/3 4 分の3 免除 :1/2 半額免除:2/3 4 分の1 免除 :5/6 よって A さんの免除分調整月数は 全額免除 :36 月 1/3 A さんは昭和 16 年 4 月 2 日以降生まれですので 加入可能年数 は 40 年です ( 昭和 16 年 4 月 1 日以前生まれの場合 加入可能年数は 40 年を下回ります ) A さんの老齢基礎年金 =780,100 円 {(444 月 +36 月 1/3)/(40 年 12)} 従って正解は 1) 780,100 円 {(444 月 +36 月 1/3)/480 月 } - 4 -

問 2 M さんは 公的年金制度について説明した M さんの A さんに対する説明として 次のう ち最も不適切なものはどれか 1) A さんが 60 歳以上 65 歳未満の間に老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合 その 請求と同時に 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求することになります 2) A さんは 国民年金の定額保険料のほかに月額 400 円の国民年金の付加保険料を納 付することにより 老齢基礎年金の受給時に 付加年金を受給することができます 3) A さんが原則として 65 歳から受給することができる老齢厚生年金には 加給年金額 が加算されます - 5 -

問 2 < 解答 解説 > 年金の繰上げ 付加年金 加給年金に関する問題です 1) は 適切 老齢厚生年金の繰上げは 老齢基礎年金と同時に請求しなければならないた め 老齢基礎年金の支給開始年齢を繰り上げると 老齢厚生年金も同時に繰上げ受給す ることになります 2) は 適切 国民年金の第 1 号被保険者は 付加保険料として月額 400 円を納付すること で 老齢基礎年金受取り時に 付加年金として 加入した月数 200 円 を受給できま す 3) は 不適切 厚生年金の被保険者期間が20 年以上で 65 歳未満の配偶者がいる場合には 老齢厚生年金に加給年金が加算されます A さんの場合 厚生年金の被保険者期間が7 年 (84 月 ) ですので 加給年金の支給対象外です - 6 -

問 3 M さんは 確定拠出年金について説明した M さんが A さんに対して説明した以下の文 章の空欄 (1)~(3) に入る語句の組合せとして 次のうち最も適切なものはどれか 老後の生活資金を準備する方法の1つとして 確定拠出年金制度の活用が挙げられます 確定拠出年金は 加入者自身が掛金の運用方法を選択し その運用結果に基づく給付を受け取る年金制度です 国民年金の第 1 号被保険者であるAさんは 確定拠出年金の個人型年金に加入することができますが 掛金の限度額は月額 ( 1 ) となり 掛金はその全額が ( 2 ) として所得控除の対象となります また 60 歳から老齢給付金を受給するためには通算加入者等期間が ( 3 ) 以上あることが必要です 1) (1) 6 万 8,000 円 (2) 社会保険料控除 (3) 5 年 2) (1) 5 万 5,000 円 (2) 社会保険料控除 (3) 10 年 3) (1) 6 万 8,000 円 (2) 小規模企業共済等掛金控除 (3) 10 年 - 7 -

問 3 < 解答 解説 > 確定拠出年金の個人型に関する問題です 確定拠出年金の個人型は 60 歳未満の国民年金の第 1 号被保険者と 60 歳未満で企業年金のない会社に勤務する厚生年金加入者 ( 第 2 号被保険者 ) が加入対象です 掛金の上限は国民年金基金や付加年金の掛金と合わせて 合計 68,000 円で 掛金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です 確定拠出年金の加入者期間が 合算して 10 年以上あれば 60 歳から老齢給付金を受給で きますが 10 年に満たない場合は 60 歳よりも遅れて支給されます したがって正解は 3) (1) 6 万 8,000 円 (2) 小規模企業共済等掛金控除 (3) 10 年 - 8 -

- 9 -

第 2 問 会社員のAさん (55 歳 ) は 長男が社会人になったことを機に 余裕資金を利用して資産運用を行いたいと考えている Aさんは 電子部品製造業のX 株式会社の株式 ( 以下 X 社株式 という ) および先日証券会社の営業担当者から紹介を受けた Y 株式会社の社債 ( 以下 Y 社債 という ) を運用対象として検討している そこで Aさんは ファイナンシャル プランナーのMさんに相談することにした X 社株式およびY 社債に関する資料は 以下のとおりである X 社株式に関する資料 業種: 電子部品製造 特徴: 業界内では大手の事業規模であり 輸出中心の企業である 株価:2,000 円 当期純利益 :200 億円 純資産( 自己資本 ):2,500 億円 発行済株式数 :1 億株 前期の配当金の額( 年額 ):40 円 (1 株当たり ) Y 社債に関する資料 表面利率 :1.3% 残存期間 :3 年 購入価格 :101.5 円 ( 額面 100 円当たり ) 償還価格 :100 円 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 10 -

問 4 M さんは X 社株式について説明した M さんの A さんに対する説明として 次のうち最 も不適切なものはどれか 1) X 社は輸出中心の企業であるため 一般に円安の進行は株価にとって好材料となり ます 2) X 社は前期に 1 株当たり 40 円の配当金を支払っています この 1 株当たりの配当金 の額は会社の定款で定められているため 決算期ごとに同額が支払われます 3) X 社のような部品を製造する会社の株式を購入する場合 その会社の業績だけでな く その部品を使用した製品の市場動向についても着目することが重要です - 11 -

問 4 < 解答 解説 > 株価の変動要因 配当金等に関する問題です 1) は 適切 円安ドル高が進行すると 円ベースの販売額が増大するため 輸出型企業の株価の上昇要因となります 1 ドル80 円時に1 ドルで売ってた商品が 1 ドル100 円になれば円ベースでは100 円の売り上げに増大しますから 輸出型企業にはプラス要因となるわけです 2) は 不適切 配当金は会社の利益から支払われるため 金額は一定ではなく 決算期ご とに株主総会や取締役会で決定した額が支払われます ( 業績によっては無配 = 配当ゼロ も有り得ます ) 3) は 適切 会社の株式を購入する際は その会社の業績はもちろんのこと その会社が製造 販売している商品 サービスを活用している製品等の市場動向についても着目することが必要です 例えば 折り畳み式の携帯電話の折り畳み部分に最適なネジを作っていても 携帯電話の主流が折り畳み式からスマートフォンに移ってしまえば 部品メーカーの業績にも大きく影響してしまうわけです - 12 -

問 5 M さんは X 社株式の投資指標について説明した M さんが A さんに対して説明した以 下の文章の空欄 (1)~(3) に入る語句の組合せとして 次のうち最も適切なものはどれか 株価の相対的な割安 割高の度合いを測る指標としてPER( 株価収益率 ) や PBR ( 株価純資産倍率 ) がありますが X 社のPERは ( 1 ) PBRは ( 2 ) となっています また 株主への利益還元の度合いを測る指標として配当性向がありますが X 社の配当性向は ( 3 ) となっています 1) (1) 10 倍 (2) 1.25 倍 (3) 2% 2) (1) 10 倍 (2) 0.8 倍 (3) 20% 3) (1) 12.5 倍 (2) 0.8 倍 (3) 2% - 13 -

問 5 < 解答 解説 > 投資指標に関する問題です PER( 株価収益率 ) とは 現在の株価が 1 株当たりの当期純利益の何倍かを示すものです PER( 株価収益率 )= 株価 /1 株当たり利益 (EPS) = 株価 /( 当期純利益 / 発行済株式総数 ) よって X 社株式の PER=2,000 円 /(200 億円 1 億株 ) =10 倍 次に 株価純資産倍率 (PBR) の計算式は以下の通り PBR( 株価純資産倍率 )= 株価 /1 株当たり純資産 = 株価 /( 自己資本 / 発行済株式総数 ) よって X 社株式のPBR=2,000 円 /(2,500 億円 1 億株 ) =0.8 倍 最後に 配当性向は 当期純利益のうち配当に回した割合で 計算式は以下の通り 配当性向 =1 株当たり配当額 1 株当たり当期純利益 100(%) よって X 社株式の配当性向 =40 円 /(200 億円 1 億株 ) 100=20(%) 従って正解は 2) (1) 10 倍 (2) 0.8 倍 (3) 20% - 14 -

問 6 Y 社債を 設例 の条件で購入した場合の最終利回り ( 年率 単利 ) は 次のうちどれか なお 計算にあたっては税金や手数料等を考慮せず 答は % 表示における小数点以下第 3 位を四捨五入している 1) 0.79% 2) 1.28% 3) 1.77% - 15 -

問 6 < 解答 解説 > 債券の利回りに関する問題です 最終利回りとは 既発債を償還期限まで保有していた場合の利回りですが 単利の利回りの計算式は 利回り (%)=(1 年間の収益合計 / 投資金額 ) 100 です 1 年間の収益 =1 年分の利子 +1 年当たりの差益 1 年分の利子 : 額面 100 円 1.3%=1.3 円 1 年当たりの差益 :( 償還額 100 円 - 購入価格 101.5 円 )/ 所有期間 3 年 =-0.5 円 1 年間の収益合計 : 利子 1.3 円 + 差益 -0.5 円 =0.8 円利回り (%)=( 収益合計 0.8 円 / 投資金額 101.5 円 ) 100=0.7881 0.79%( 小数点以下第 3 位四捨五入 ) 以上により正解は 1)0.79% - 16 -

- 17 -

第 3 問 Aさん (54 歳 ) は X 株式会社に勤務する会社員である Aさんは 平成 27 年中に 加入していた下記の生命保険を解約し 解約返戻金を受け取っている Aさんの平成 27 年分の収入等に関する資料等は 以下のとおりである Aさんの家族構成 Aさん(54 歳 ) : 会社員 妻 Bさん (48 歳 ) : 専業主婦 平成 27 年中にパートタイマーとして給与収入 96 万円を得ている 長女 Cさん (20 歳 ) : 大学生 平成 27 年中に収入はない 二女 Dさん (15 歳 ) : 中学生 平成 27 年中に収入はない Aさんの平成 27 年分の収入等に関する資料 給与収入の金額 :900 万円 生命保険の解約返戻金:600 万円 Aさんが平成 27 年中に解約した生命保険に関する資料 保険の種類 : 一時払変額個人年金保険契約年月日 : 平成 18 年 5 月 1 日契約者 (= 保険料負担者 ) :Aさん解約返戻金額 :600 万円正味払込保険料 :500 万円 妻 Bさん 長女 Cさんおよび二女 Dさんは Aさんと同居し 生計を一にしている 家族は いずれも障害者および特別障害者には該当しない 家族の年齢は いずれも平成 27 年 12 月 31 日現在のものである 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 18 -

問 7 A さんの平成 27 年分の所得税の確定申告に関する以下の文章の空欄 (1)~(3) に入る語句の 組合せとして 次のうち最も適切なものはどれか Ⅰ) 給与所得者の給与から源泉徴収された所得税は 勤務先で行う年末調整によって精算されるため その年分の所得が給与所得だけであれば 通常 給与所得者は所得税の確定申告は不要である しかし その年分の給与収入の金額が ( 1 ) を超える給与所得者は 年末調整の対象とならないため 所得税の確定申告をしなければならない Ⅱ)Aさんの平成 27 年分の給与収入の金額は900 万円であり ( 1 ) を超えていないが Aさんは平成 27 年中に生命保険の解約返戻金を受け取っており この解約返戻金に係る所得金額が ( 2 ) を超えるため Aさんは所得税の確定申告をしなければならない なお 平成 27 年分の所得税の確定申告書の提出期限は 原則として 平成 28 年 ( 3 ) である 1) (1) 1,500 万円 (2) 10 万円 (3) 3 月 15 日 2) (1) 2,000 万円 (2) 20 万円 (3) 3 月 15 日 3) (1) 2,000 万円 (2) 10 万円 (3) 3 月 31 日 - 19 -

問 7 < 解答 解説 > 所得税の確定申告に関する問題です 給与所得者は通常年末調整されるため 確定申告は不要ですが 給与の年間総額が 2,000 万円を超える場合には 確定申告が必要です Aさんの給与収入は 900 万円ですので年末調整の対象者となり 所得が給与所得だけなら確定申告不要です しかし 年末調整を受けている給与所得者でも 給与を 1ヶ所から受けていて 給与所得や退職所得を除いた各種所得の合計が20 万円を超える場合には 確定申告が必要です Aさんには 給与所得以外に一時所得 ( 一時払変額個人年金保険の解約返戻金 ) がありますが 一時所得は総所得金額を計算する際に その2 分の1 が合算対象のため 確定申告の要否も2 分の1 が20 万円を超えるかで判断します 一時所得 = 収入額 - 収入を得るために支出した額 - 特別控除 50 万円ですので 一時所得 =600 万円 -500 万円 - 特別控除 50 万円 =50 万円 従って その 2 分の 1 の額 :25 万円 >20 万円ですので 確定申告が必要です また 所得税の確定申告の期間は 所得が生じた年の翌年 2 月 16 日から 3 月 15 日までで す 従って正解は 2)(1) 2,000 万円 (2) 20 万円 (3) 3 月 15 日 - 20 -

問 8 A さんの平成 27 年分の所得税における所得控除に関する次の記述のうち 最も不適切なも のはどれか 1) 妻 B さんは給与収入の金額が 38 万円を超えており 控除対象配偶者に該当しないた め A さんは 妻 B さんについて配偶者控除の適用を受けることはできない 2) 長女 C さんは特定扶養親族に該当するため A さんは 長女 C さんについて扶養控除 ( 控除額 63 万円 ) の適用を受けることができる 3) 二女 D さんは控除対象扶養親族に該当しないため A さんは 二女 D さんについて扶 養控除の適用を受けることはできない - 21 -

問 8 < 解答 解説 > 配偶者控除 扶養控除に関する問題です 1) は 不適切 所得税の配偶者控除は 生計同一で年間の合計所得額が 38 万円以下の配偶者であれば適用され 控除額は38 万円です 収入が給与のみの場合 年収 103 万円以下 ( 給与所得控除 65 万円適用後に38 万円 ) であれば 配偶者控除の適用対象です よって 妻 Bさんは給与収入 96 万円ですので 夫 Aさんは配偶者控除を受けることができます 2) は 適切 扶養控除は 生計同一で年間の合計所得額が 38 万円以下の親族であれば 適用されますが 特定扶養控除 63 万円は 19 歳以上 23 歳未満が対象です 収入が給与のみの場合 年収 103 万円以下 ( 給与所得控除 65 万円適用後に38 万円 ) であれば 扶養控除の適用対象です よって 20 歳で給与収入 0 円の長女 C さんは 特定扶養控除の対象です 3) は 適切 扶養控除は16 歳以上が適用対象で 控除額は38 万円です ( 被扶養者 1 人当たり ) また 生計同一で合計所得金額 38 万円以下 ( 給与収入だけなら103 万円以下 ) であることが必要です よって15 歳の二女 D さんは 扶養控除の対象外です - 22 -

問 9 A さんの平成 27 年分の総所得金額は 次のうちどれか 資料 給与所得控除額 1) 715 万円 2) 740 万円 3) 790 万円 - 23 -

問 9 < 解答 解説 > 総所得金額に関する問題です 総所得金額は 大雑把に言うと 総合課税の所得を合計し 損益通算した後の金額です Aさんの所得は 給与所得と一時所得 ( 一時払変額個人年金保険の解約返戻金 ) です 給与所得 = 給与収入額 - 給与所得控除額 =900 万円 -(900 万円 10%+120 万円 ) =900 万円 -210 万円 =690 万円 一時所得 = 収入額 - 収入を得るために支出した額 - 特別控除 50 万円 = 解約返戻金 600 万円 - 払込保険料 500 万円 - 特別控除 50 万円 =50 万円 なお 総所得金額を計算する際に 一時所得はその 2 分の 1 が合算対象ですので 総所得金額 =690 万円 +50 万円 1/2=715 万円 従って正解は 1)715 万円 - 24 -

- 25 -

第 4 問 会社員のAさん (50 歳 ) は 平成 27 年 10 月に 母親の自宅およびその敷地 ( 甲土地 ) を相続により取得した Aさんはすでに自宅マンションを所有しているため 母親の自宅を取り壊し 甲土地に賃貸アパートを建築したいと考えている 甲土地の概要は 以下のとおりである 甲土地の概要 指定建ぺい率および指定容積率とは それぞれ都市計画において定められた数値である 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 26 -

問 10 甲土地の取得および賃貸アパートの建築に関する次の記述のうち 最も不適切なものはど れか 1) 相続による甲土地の取得に対しては 不動産取得税が課されない 2) 甲土地に耐火建築物を建築する場合 建ぺい率の上限は緩和され 指定建ぺい率に 10% が加算される 3) A さんは 賃貸アパートを新築した日から所定の期間内に 新築建物に関する表題登 記の申請をしなければならない - 27 -

問 10 < 解答 解説 > 不動産取得税 建ぺい率 建物表題登記に関する問題です 1) は 適切 相続による不動産の取得に対しては 不動産取得税は課されません ( 相続税 の課税対象 ) 2) は 不適切 特定行政庁の指定した角地に建築する場合や 防火地域に耐火建築物を建 築する場合 10% の建ぺい率緩和を受けることができますが 甲土地は防火地域では なく また角地でもないため 建ぺい率緩和の対象外です 3) は 適切 建物を新築した際には 建築後 1 ヶ月以内に建物表題登記の申請が必要です ( 新築時は 当然登記簿にはその建物は登記されていませんから 建物の所有者を把握 して固定資産税や都市計画税を課すために 登記が義務付けられています ) - 28 -

問 11 A さんが甲土地に賃貸アパートを建築する際の最大延べ面積は 次のうちどれか 1) 300 m2 60%=180 m2 2) 300 m2 200%=600 m2 3) 300 m2 240%=720 m2-29 -

問 11 < 解答 解説 > 延べ面積の上限に関する問題です 延べ面積の上限 = 敷地面積 容積率で 容積率は 前面道路の幅が 12m 未満の場合に 用途地域によって制限されます 計算式は 住居系用途地域の場合 前面道路幅 4/10 その他の用途地域の場合 前面道路幅 6/10 この計算式結果と指定容積率を比べて 小さいほうが容積率の上限です 前面道路は 6m 用途地域は第一種中高層住居専用地域ですから 容積率の計算は 6m 4/10=240% > 指定容積率 200% よって容積率は 200% 従って 延べ面積の上限 =15m 20m 200%=300 m2 200%=600 m2 よって正解は 2) 300 m2 200%=600 m2-30 -

問 12 固定資産税に関する以下の文章の空欄 (1)~(3) に入る語句の組合せとして 次のうち最も適 切なものはどれか 毎年 ( 1 ) 現在において土地 家屋の所有者として固定資産課税台帳に登録されている者に対しては 土地 家屋に係る地方税である固定資産税が課される 固定資産税の税額は課税標準に税率を乗じて計算され その課税標準の基礎となる価格 ( 固定資産税評価額 ) は 原則として ( 2 ) に1 度評価替えが行われる また 土地 家屋に係る固定資産税の標準税率は1.4% であり 各市町村はこれを超える税率を条例によって定めることが ( 3 ) 1) (1) 1 月 1 日 (2) 5 年 (3) できない 2) (1) 4 月 1 日 (2) 3 年 (3) できない 3) (1) 1 月 1 日 (2) 3 年 (3) できる - 31 -

問 12 < 解答 解説 > 固定資産税に関する問題です 土地 家屋の固定資産税の納税義務者は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 ) 時点で土地 家屋の所 有者として固定資産課税台帳に登録されている者です また 固定資産税評価額は 固定資産税や都市計画税を算出する基礎となるもので 3 年ご とに見直され 市町村が決定します ( 公示価格の 7 割程度 ) なお 固定資産税の標準税率は 1.4% ですが 財政上その他の必要性に応じて 各市町村は 条例で税率を変更可能です 以上により正解は 3) (1) 1 月 1 日 (2) 3 年 (3) できる - 32 -

- 33 -

第 5 問 Aさん (70 歳 ) は 妻 Bさん (68 歳 ) との2 人暮らしである Aさん夫婦には長女 Cさん (38 歳 ) と二女 Dさん (35 歳 ) の2 人の子がおり,Aさんは 平成 27 年中に 二女 Dさん 孫 Eさん (10 歳 ) および孫 Fさん (8 歳 ) に対して現金の贈与を行っている Aさんの親族関係図等は 以下のとおりである A さんの親族関係図 Aさんが平成 27 年中に行った贈与の内容 二女 Dさんに対して 平成 27 年 6 月に自動車の購入資金として現金 500 万円を贈与した 孫 Eさんおよび孫 Fさんに対して 平成 27 年 3 月に 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税 の特例の適用を受けて それぞれ現金 500 万円を贈与した 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 34 -

問 13 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税 の特例に関する以下 の文章の空欄 (1)~(3) に入る語句の組合せとして 次のうち最も適切なものはどれか 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税 の特例の適用を受けるためには 受贈者の年齢は 教育資金管理契約を締結する日において ( 1 ) 未満でなければならない また この特例の適用を受けた場合 非課税拠出額の限度額は 受贈者 1 人につき ( 2 ) とされており その非課税拠出額のうち 一定の教育資金に支出し かつ 領収書等の提出により金融機関等に教育資金支出額として記録された部分が最終的に非課税となる なお 学校等以外の者に教育に関する役務の提供の対価として直接支払われる金銭で一定のものに係る支出については ( 3 ) を限度として非課税となる 1) (1) 25 歳 (2) 1,500 万円 (3) 1,000 万円 2) (1) 30 歳 (2) 2,000 万円 (3) 1,000 万円 3) (1) 30 歳 (2) 1,500 万円 (3) 500 万円 - 35 -

問 13 < 解答 解説 > 教育資金の非課税特例に関する問題です 教育資金の非課税特例は 受贈者は 30 歳未満 ( 教育資金管理契約の締結日時点 ) である必 要があります なお 贈与者には年齢要件はありません また 教育資金の非課税特例の非課税の限度額は 受贈者ごとに 1,500 万円までで 学校 等に直接支払われる入学金や授業料等ついては 1,500 万円まで利用できますが 学校等以 外の者に支払われる金銭については 500 万円が限度です 以上により正解は 3) (1) 30 歳 (2) 1,500 万円 (3) 500 万円 - 36 -

問 14 二女 Dさんが 平成 27 年中に Aさんから受けた現金 500 万円の贈与について二女 Dさんが納付すべき平成 27 年分の贈与税額は 次のうちどれか なお 二女 Dさんは相続時精算課税を選択せず 暦年課税を選択するものとする また 二女 Dさんはこれ以外の贈与を受けていないものとする 資料 贈与税の速算表 ( 特例贈与財産用 一部抜粋 ) 1) (500 万円 -110 万円 ) 15%-10 万円 =48 万 5,000 円 2) 500 万円 20%-30 万円 =70 万円 3) (500 万円 -30 万円 -110 万円 ) 20%=72 万円 - 37 -

問 14 < 解答 解説 > 暦年課税の贈与税に関する問題です 平成 27 年 1 月 1 日以降の贈与からは 20 歳以上の子 孫が直系尊属から受けた贈与財産は特例贈与財産として 税率と控除が優遇されます ( それ以外の贈与財産は一般贈与財産として従来通りの課税 ) よって35 歳の二女 D さんへの贈与については 父親であるA さんからの贈与ですので 特例贈与財産となります 暦年課税の贈与税の基礎控除は 110 万円ですので 資料の速算表により 二女 D さんの贈与税 =(500 万円 -110 万円 ) 15%-10 万円 =48.5 万円 以上により正解は 1)(500 万円 -110 万円 ) 15%-10 万円 =48 万 5,000 円 - 38 -

問 15 贈与税の申告 納付に関する次の記述のうち 最も適切なものはどれか 1) 贈与税の申告は 原則として 受贈者が その納税地の所轄税務署長に対して行うこ ととされている 2) 贈与税の申告書は 原則として 贈与を受けた年の翌年 2 月 1 日から 3 月 31 日までに 提出しなければならない 3) 贈与税は 贈与税の申告書を提出した日の翌日から 6 カ月以内に納付しなければなら ない - 39 -

問 15 < 解答 解説 > 贈与税の申告 納付に関する問題です 1) は 適切 贈与税の申告書の提出先は 財産を贈与した人の住所地の所轄税務署ではな く 財産を受け取った人 ( 受贈者 ) の住所地の所轄税務署です 2) は 不適切 贈与税の申告と納税は 贈与を受けた人が 贈与を受けた年の翌年の 2 月 1 日から 3 月 15 日までに行う必要があります 3) は 不適切 贈与税の申告と納税は 贈与を受けた人が 贈与を受けた年の翌年の 2 月 1 日から 3 月 15 日までに行う必要があります ( 申告期限と納付期限は同じです ) - 40 -