ジェブタナ による治療を受けられる方へ 知っておきましょう! 窓口負担の豆知識ジェブタナ ( 一般名 : カバジタキセル ) 平成 30 年 8 月 1 日改訂版 SAJP.CAB.18.08.1985 2018 年 8 月作成
目 次 はじめに 抗がん剤治療は 患者さんの身体的 精神的な負担に加えて 医療費も大きな負担の一つとなっているのではないでしょうか 1. 制度とは 2. 制度を利用するには 1 限度額適用認定証を提示すると 窓口での支払いが自己負担限度額までとなります 2 の払い戻し 参考自己負担限度額を計算してみましょう 本邦では 患者さんの経済的負担を軽減するための健康保険制度が設けられています この冊子は 医療費が一定額以上になった場合に支給を受けられる についてまとめています ジェブタナ による治療を受けられる患者さんにも 是非知っていただきたいものです この冊子をお読みいただく 参考ジェブタナ の事例 3. 自己負担額を軽減できる場合があります 4. 手続きチェックシートあなたの利用可能な制度と手続きについて確認してみましょう 5. についてどこに相談すればよいですか? ことで 医療費に対する患者さんの不安が少しでも軽減 され 安心して治療に取り組んでいただけることを願って います 2018 年 8 月現在の制度に基づいて作成しています 本冊子で紹介する制度は 加入されている健康保険 市区町村によって内容が異なる場合があります 詳しくは 保険加入先 ( 健康保険証をご確認ください ) にお問い合わせください 1 2
制度とは A 医療機関や薬局の窓口で支払った自己負担金 * が ひと月 ( 月のはじめから終わりまで ) で被保険者の所得区分に応じて一定の金額 ( 自己負担限度額 ) を超えた場合に その超えた金額が払い戻される制度です * 入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません は 個人ごと 医療機関ごと 入院 外来別 暦月 ( 月の 1 日 ~ 末日 ) ごとに計算します ( 医療費が 1 ヵ月で 100 万円と仮定した場合 ) 自己負担額が高額になった場合でも 窓口での支払いが自己負担限度額までとなる制度もあります 限度額適用認定証を提示すると窓口での自己負担額が約 9 万円になります 窓口負担約 9 万円 限度額適用認定証 の交付申請 限度額適用認定証を提示した場合 健康保険 7 割 窓口での支払い額が自己負担限度額までとなります 医療費 (100 万円と仮定 ) 払い戻し申請 一旦窓口で窓口負担金を全額支払いますが 申請後自己負担限度額を超えて支払った金額が払い戻されます 窓口負担金 : 窓口で支払う自己負担金 ( 医療費の 3 割 ~1 割 ) 後日 払い戻し申請を行う場合 窓口では一時的に自己負担限度額を超えて支払いますが 申請してから約 3 ヵ月後に分は払い戻されます 自己負担限度額を超えて支払った金額が払い戻されます 払い戻し申請を行う場合 健康保険 7 割 医療費 (100 万円と仮定 ) 窓口負担 30 万円 3 ヵ月後に払い戻し 3 4
制度を利用するには 限度額適用認定証を提示すると 窓口での支払いが自己負担限度額までとなります * 平成 24 年 4 月 1 日より外来診療費についても限度額適用認定証が使えるようになりました 限度額適用認定の手続きの流れ 1 事前に保険者 ( 健康保険証をご確認ください ) へ申請します 2 保険者から 認定証 を交付してもらいます 3 認定証 を医療機関の窓口で提示します 手続きの流れ 窓口での支払い 医療機関の窓口での支払い額は 通常は 3 割 ~1 割ですが 制度を利用すると自己負担限度額までとなります 窓口負担約 9 万円 1 事前に 認定証 の申請 限度額適用認定証を提示した場合 健康保険 7 割 医療費 (100 万円と仮定 ) 健康保険組合の窓口 健康保険組合など 2 認定証 の交付 ( 医療費が 1 ヵ月で 100 万円と仮定した場合 ) 申請先 病院など 医療機関の窓口で 認定証 を提示 加入している健康保険 ( 保険者 ) に申請します 保険者名や連絡先は健康保険証 ( 健康保険被保険者証 ) に記載されています 3 注意 1: 限度額適用認定証を提示しなかった場合は 医療機関の窓口で窓口負担金を支払いますが 後日払い戻し申請を行うことで 自己負担限度額を超えて支払った金額が払い戻されます 注意 2: 70 歳以上の方は限度額適用認定証を提示しなくても窓口での支払いは自動的に自己負担限度額までとなっています しかし 70 歳以上でも所得区分が低所得者 Ⅰ Ⅱに該当する方は 窓口での支払いを低所得者 Ⅰ Ⅱの自己負担限度額まで軽減するために 限度額適用 標準負担額減額認定証を提示する必要があります 自己負担限度額については 9ページ以降をご参照ください 5 6
制度を利用するには の払い戻し 払い戻し申請 事前に限度額適用認定を受けなかった場合でも 加入している 健康保険に申請すると 自己負担限度額を超えて支払った金額 が払い戻されます 自己負担限度額を超えて支払った金額が 払い戻されます 払い戻し申請を行う場合 健康保険 7 割 医療費 (100 万円と仮定 ) 窓口負担 30 万円 3 ヵ月後に払い戻し 申請先加入している健康保険 ( 保険者 ) に申請します 保険者名や連絡先は健康保険証 ( 健康保険被保険者証 ) に記載されています 健康保険 ( 保険者 ) によって異なりますので 詳細は加入している健康保険 ( 保険者 ) にご確認ください < 例 > 印鑑 保険証 医療機関の領収書 振込先口座 支給申請に関する保険者からの通知 医療機関の領収書は大切に保管してください ( 医療費が 1 ヵ月で 100 万円と仮定した場合 ) 高額医療費貸付制度 申請から払い戻しまでは 3 ヵ月ほどかかります (2 年前の分まで申請可能です ) 医療機関で支払う 2 年 申請 3 ヵ月後 受け取り 払う金額 医療費の支払いが困難な場合は が払い戻されるまで の間 の支給見込み額 ( 見込みの8 割程度 ) を無利子で 借りることができる制度です 支申請に必要なもの自約 8 割 無利子で借りられる 約 2 割 自分で支払う 一時的に限度額己負担申請月 返金されます 3 ヵ月後 1 ヵ月の医療費 7 8
役並み一般住民税非課税等厚生労働省保険局資料より現参考 自己負担限度額を計算してみましょう 医療費の自己負担は 年齢と所得区分によって計算式が決まってい ます 70 歳以上の場合 69 歳以下の場合 所得区分 外来 ( 個人ごと ) 1 ヵ月の負担の上限額 ( 世帯ごと ) 多数回該当 所得区分 1 ヵ月の負担の上限額 ( 世帯ごと ) 多数回該当 年収約 1,160 万円 ~ 標報 83 万円以上 252,600 円 +( 医療費 -842,000) 1% 140,100 円 年収約 1,160 万円 ~ 課税所得 690 万円以上 健保 : 標報 83 万円以上 252,600 円 +( 医療費 -842,000) 1% 140,100 円 年収約 770 万 ~ 約 1,160 万円 国保 : 旧ただし書き所得 901 万円超 標報 53 万 ~79 万円 167,400 円 +( 医療費 -558,000) 1% 93,000 円 年収約 770 万 ~ 約 1,160 万円 課税所得 380 万円以上 健保 : 標報 53 万 ~79 万円 167,400 円 +( 医療費 -558,000) 1% 93,000 円 年収約 370 万 ~ 約 770 万円 国保 : 旧ただし書き所得 600 万 ~901 万円 標報 28 万円 ~50 万円 80,100 円 +( 医療費 -267,000) 1% 年収約 370 万 ~ 約 770 万円 課税所得 145 万円以上 健保 : 標報 28 万 ~50 万円 80,100 円 +( 医療費 -267,000) 1% 年収約 156 万円 ~ 約 370 万円 18,000 円 国保 : 旧ただし書き所得 210 万 ~600 万円 標報 26 万円以下 年間上限 57,600 円 ~ 年収約 370 万円 課税所得 145 万円未満等 14 万 4,000 円 健保 : 標報 26 万円以下 57,600 円 Ⅱ 住民税非課税世帯 24,600 円 - 国保 : 旧ただし書き所得 210 万円以下住民税非課税者 35,400 円 24,600 円 Ⅰ 住民税非課税世帯 ( 年金収入 80 万円以下など ) 8,000 円 15,000 円 - 厚生労働省保険局資料より 現役並み所得者とは下記の条件のいずれかに当てはまる方です ( 注 )1 つの医療機関等での自己負担 ( 院外処方代を含みます ) では上限額を超えないときでも 同じ月の別の医療機関等での自己負担 (69 歳以下の場合は 2 万 1 千円以上であることが必要です ) を合算することができます この合算額が上限額を超えれば の支給対象となります 1 国民健康保険及び後期高齢者医療制度に加入している方市 ( 区 ) 町村民税の課税標準金額が145 万円以上かつ年収が複数世帯で520 万円 ( 単身者は383 万円 ) 以上の方とその扶養者 2 健康保険に加入している方被保険者の月収 ( 標準報酬月額 ) が28 万円以上多数回該当 : ここ1 年間で3 回以上の払い戻しがあった場合 9 10
参考 ジェブタナ の事例 69 歳以下の場合 65 歳で所得区分が年収約 370 万 ~ 約 770 万円の方が 入院し てジェブタナ による治療を開始した場合 ( 概算 ) 70 歳以上の場合 70 歳で所得区分が一般の方が 入院してジェブタナ による 治療を開始した場合 ( 概算 ) 入院医療費 ( お薬の費用も含まれます ) 1,000,000 円 入院医療費 ( お薬の費用も含まれます ) 1,000,000 円 200,000 円 (2 割負担 ) 300,000 円 (3 割負担 ) 69 歳以下の通常の窓口負担 医療費 1,000,000 円 健康保険 7 割 70 歳以上の通常の窓口負担 医療費 1,000,000 円 健康保険 8 割 自己負担限度額 80,100 円 +( 医療費 -267,000 円 ) 1%=87,430 円 標準報酬月額 ( 健保 )28 万 ~50 万円の場合 (9 ページ参照 ) 自己負担限度額 57,600 円 (6 ページ注意 2 9~10 ページ参照 ) 70 歳以上の方は限度額適用認定証を提示しなくても窓口での支払いは自己負担限度額までとなります 窓口での支払い金額 窓口での支払い金額 窓口で支払った後での払い戻しを受ける場合 300,000 円 自己負担額 57,600 円 限度額適用認定を受けた場合 87,430 円 11 12
自己負担額を軽減できる場合があります 世帯合算 1 人の 1 回分の窓口負担では の支給対象とはならなく ても 複数の受診や同一世帯の他の方 ( 同じ健康保険に加入して いる場合 ) の受診について それぞれ支払った自己負担額をひと月 (1 日 ~ 月末 ) 単位で合算することができます 75 歳以上 ( 一般区分 )/A さんと B さんが同じ世帯にいる場合 被保険者A 被保険者B 甲病院自己負担額 24,000 円 ( 医療費 :240,000 円 ) 乙病院自己負担額 8,000 円 ( 医療費 :80,000 円 ) 丙薬局自己負担額 42,000 円 ( 医療費 :420,000 円 ) 世帯合算 世帯合算後の自己負担額 +24,000 円 +8,000 円 +42,000 円 =74,000 円 の支給対象となる 厚生労働省保険局資料より 複数の医療機関で支払った自己負担額を合算して 自己負担限度額を超えている分がとして支給されます 入院で支払った自己負担額と外来で支払った自己負担額を合算して 自己負担限度額を超えている分がとして支給されます 同じ世帯で 同じ月に 2 人以上がそれぞれ 21,000 円以上の一部負担金を支払い その合計が自己負担限度額を超える場合は として支給されます 基準額多数回該当自同一世帯で1 年間 ( 直近 12 ヵ月間 ) に 3 回以上の支給を受けている場合 4 回目からは自己負担限度額が下がります 4 回 3 回 4 回目から 2 回基準額が下がる 1 回 払い戻し己負担医療費 8 月 ( 一部負担金 ) < 自己負担限度額 > 9 月 10 月 11 月 12 月 所得区分本来の負担の上限額多数回該当の場合 年収約 1,160 万円 ~ の方 年収約 770 万 ~ 約 1,160 万円の方 年収約 370 万 ~ 約 770 万円の方 ~ 年収約 370 万円 住民税非課税者 252,600 円 +( 医療費 -842,000 円 ) 1% 167,400 円 +( 医療費 -558,000 円 ) 1% 80,100 円 +( 医療費 -267,000 円 ) 1% 57,600 円 35,400 円 ( 注 ) 住民税非課税 の区分の方については 多数回該当の適用はありません 70 歳以上の方については 平成 30 年 8 月以降の診療分が対象です 140,100 円 93,000 円 24,600 円 厚生労働省保険局資料より 13 14
手続きチェックシート あなたの利用可能な制度と手続きについて確認してみましょう 69 歳以下の場合 70 歳以上の場合 これから治療 支払いをする これから治療 支払いをする はい いいえ ( すでに治療 支払いが終了 ) はい いいえ ( すでに治療 支払いが終了 ) 入院のみ 通院のみ 同月内に入院と通院両方 住民税非課税世帯などの方は手続きが必要 入院のみ 通院のみ 同月内に入院と通院両方 合算不可入院費 通院費を分けて計算 69 歳以下のみの世帯で同じ月に自己負担額 21,000 円以上が 2 人以上 手続きは不要 入院費 通院費を分ける必要なし 病院ごと 診療科ごとに分けて計算 世帯合算の払い戻し申請 (13 ページ ) 病院ごと 診療科ごとに分ける必要なし 限度額適用認定証の交付申請 治療を受けた方ごとに計算しての払い戻し申請 (5~6 ページ ) の払い戻しが 3 回以上 (1 年以内 ) 多数回該当が適用 (14 ページ ) 同一世帯内に介護保険の受給者がいる 高額介護合算療養費の払い戻し申請が可能 ( 毎年 8 月以降 ) 15 16
Q についてどこに相談すればよいですか? A 制度を利用するには 様々な条件があり 制度自体複雑でわかりにくくなっています また 今後も自己負担限度額が変更されたり 制度の内容が変わる可能性もあります さらに健康保険 ( 保険者 ) によって独自の制度がある場合もあります 制度を利用する際には 加入している健康保険 ( 保険者 ) にお問い合わせください また 医療機関においても医療相談窓口や医療ソーシャルワーカーなどに相談することができます 監 修 : 順天堂大学医学部総合診療科特任教授久岡英彦 詳しくは厚生労働省のホームページでご確認ください 厚生労働省 検索 担当医氏名 医療機関名 住所 電話 17 18