2017 年 ( 平成 29 年 )9 月実施 (2017 年 9 月 10 日 ) ファイナンシャル プランニング技能検定 3 級実技試験 < 保険顧客資産相談業務 > 解答 解説集 --------------- ご注意 ---------------- 1. 本冊子は3 級 FP 技能士試験の解答 解説集です 2. 試験問題 模範解答は ( 一社 ) 金融財政事情研究会より利用許諾を得た上で転載しています 出典 :( 一社 ) 金融財政事情研究会 http://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/list/fp/test 許諾番号 :1708K000003 3. 解説文は正確を期すよう努力しておりますが 分かりやすさ 読みやすさを重視していることから 記載を省略したり 平易な用語に読み替えている場合があります 4. 本冊子に記載されている情報については 利用者の責任に基づいてお取り扱いください 5. 本冊子に記載されている情報による損害については一切責任を負いません 6. 解説文に間違いを発見された場合や ご意見 ご感想などは 下記 URL よりご連絡頂けますと 大変ありがたいです 連絡先 :http://fp3test.ninpou.jp/contact.html -------------- Copyright(C) 3 級 FP 過去問解説. All rights reserved. ------------ - 1 -
第 1 問 会社員のAさん (50 歳 ) は 妻 Bさん (50 歳 ) 長男 Cさん (19 歳 ) および長女 Dさん (15 歳 ) との4 人暮らしである Aさんは 今年 4 月に長男 Cさんが大学に入学したことを機に 生命保険の見直しを考えている Aさんは その前提として 自分が死亡した場合に公的年金制度から遺族給付がどのくらい支給されるのかを知りたいと思っている また 健康保険の保険給付についても確認したいと考えている そこで Aさんは 懇意にしているファイナンシャル プランナーのMさんに相談することにした Aさんの家族構成等は 以下のとおりである <Aさんの家族構成 > Aさん : 昭和 42 年 6 月 12 日生まれ 会社員 ( 厚生年金保険 全国健康保険協会管掌健康保険に加入 ) 妻 Bさん : 昭和 42 年 5 月 16 日生まれ 国民年金に第 3 号被保険者として加入している 長男 Cさん : 平成 10 年 9 月 5 日生まれ長女 Dさん : 平成 14 年 4 月 22 日生まれ < 公的年金加入歴 ( 平成 29 年 8 月分まで )> 妻 Bさんは 現在および将来においても Aさんと同居し 生計維持関係にあるものとする また 就業の予定はないものとする 家族全員 Aさんと同一の世帯に属し Aさんの健康保険の被扶養者である 家族全員 現在および将来においても 公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 2 -
問 1 現時点 ( 平成 29 年 9 月 10 日 ) においてAさんが死亡した場合 妻 Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額 ( 年額 ) を算出する計算式は 次のうちどれか なお 遺族基礎年金の年金額は 平成 29 年度価額に基づいて計算することとする 1) 779,300 円 +224,300 円 +74,800 円 2) 779,300 円 +224,300 円 3) 779,300 円 - 3 -
問 1 < 解答 解説 > 遺族基礎年金の支給額に関する問題です 遺族基礎年金は 子供や子供のいる配偶者が支給対象で 支給要件は以下全てを満たすことが必要です 配偶者の場合 : 被保険者 ( 夫 妻 ) が死亡した当時 生計維持関係にあり 子どもと同一生計 子の場合 : 被保険者 ( 父 母 ) が死亡した当時 生計維持関係にあり 18 歳未満 (18 歳到達年度末まで可 ) または 20 歳未満で障害有り かつ 結婚していない また 遺族基礎年金の支給額は 基本額 ( 満額の老齢基礎年金と同額 )+ 子の加算額です よって A さんが死亡した場合 妻 B さんには老齢基礎年金額に子の加算額 ( 平成 29 年度は第 1 子 第 2 子 (1 人当たり ):224,300 円 第 3 子以降各 74,800 円 ) を加えた金額が遺族基礎年金として支給されます 子 2 人のうち 長女 D さんは 15 歳ですので加算対象ですが 長男 C さんは既に 19 歳です ので 加算対象とはなりません 従って正解は 2) 779,300 円 +224,300 円 - 4 -
問 2 Mさんは 現時点 ( 平成 29 年 9 月 10 日 ) においてAさんが死亡した場合に妻 Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した MさんのAさんに対する説明として 次のうち最も適切なものはどれか 1) 妻 B さんに支給される遺族厚生年金の額は 原則として A さんの厚生年金保険の 被保険者記録を基に計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額に相当する額になりま す 2) 妻 B さんに支給される遺族厚生年金は その年金額の計算の基礎となる被保険者期 間の月数が 480 月に満たないため 480 月として計算した額になります 3) 長女 D さんの 18 歳到達年度の末日が終了し 妻 B さんの有する遺族基礎年金の受給 権が消滅したときは 妻 B さんがその後に受給する遺族厚生年金には中高齢寡婦加算 が加算されます - 5 -
問 2 < 解答 解説 > 遺族厚生年金の支給額 中高齢寡婦加算に関する問題です 1) は 不適切 遺族厚生年金は 被保険者の老齢厚生年金の 報酬比例部分の額の 4 分の 3 相当額が支給されます 2) は 不適切 遺族厚生年金は 被保険者期間が 300 月未満の場合は 300 月とみなして計 算する最低保障がついています 被保険者期間が 300 月以上の場合は その数字で支給 額が計算されます 3) は 適切 夫死亡時に 40 歳以上で子のいない妻や 子があってもその子が遺族基礎年 金における加算対象外となったときに 40 歳以上 65 歳未満の妻には 遺族厚生年金に中 高齢寡婦加算が加算されます ( 加算される期間は 65 歳になるまで ) - 6 -
問 3 M さんは 健康保険の保険給付についてアドバイスした M さんの A さんに対するアドバ イスとして 次のうち最も不適切なものはどれか 1) A さんに係る医療費の一部負担金の割合は 入院 外来を問わず 原則 3 割となり ます 2) 同一月に 同一医療機関等の窓口で支払った医療費の一部負担金等の額が自己負担 限度額を超える場合は 所定の手続により 自己負担限度額を超えた額が高額療養費 として支給されます 3) A さんが私傷病による療養のために 連続 4 日以上 業務に就くことができず 当 該期間について事業主から報酬が支払われない場合は 所定の手続により 1 日につ き標準報酬日額の 4 分の 3 に相当する額が傷病手当金として支給されます - 7 -
問 3 < 解答 解説 > 健康保険の自己負担割合 高額療養費 傷病手当金に関する問題です 1) は 適切 サラリーマンなどの会社員が加入する健康保険では 70 歳未満の場合 医療 費の自己負担は原則 3 割です 2) は 適切 同じ病院で 1 ヶ月に支払った医療費が 自己負担限度額を超えた場合 申請 手続きをすることで 高額療養費として超えた分の金額が払い戻されます 3) は 不適切 健康保険の傷病手当金を受けるには ケガや病気で休んだ日が 3 日間連続すること ( 待期 ) が必要で 4 日目以降から手当が支給されます また 健康保険の傷病手当金は 1 日につき標準報酬日額の3 分の2が支給され 支給期間は1 年 6ヶ月が限度です - 8 -
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第 2 問 会社員のAさん (37 歳 ) は 勤務先の借上げ社宅で専業主婦である妻 Bさん (35 歳 ) および長女 Cさん (0 歳 ) との3 人暮らしである 長女 Cさんの誕生を機に Aさんは生命保険の見直しが必要と考え 生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル プランナーのMさんに相談することにした Mさんは 生命保険の見直しをする前に 必要保障額を正しく把握する必要があると考え 下記の< 算式 >を基に Aさんから必要な情報をヒアリングした 現時点でAさんが死亡した場合の必要保障額を試算した結果 その額は3,400 万円となった < 算式 > 必要保障額 = 遺族に必要な生活資金等の総額 - 遺族の収入見込金額 <A さんが加入している生命保険 > こくみん共済 ( 全労済 ) 総合タイプ : 死亡保険金額 400 万円 ( 病気死亡 ) 1,200 万円 ( 交通事故 ) <Mさんが提案した生命保険に関する資料 > 保険の種類 :5 年ごと配当付終身保険 (65 歳払込満了 ) 月払保険料 ( 集団扱い ):15,751 円契約者 (= 保険料負担者 ) 被保険者 :Aさん/ 死亡保険金受取人 : 妻 Bさん ( 注 1) 最低支払保証期間は5 年 ( 最低 5 回保証 ) ( 注 2) 所定のがん ( 悪性新生物 ) 急性心筋梗塞 脳卒中 重度の糖尿病 重度の高血圧性疾患 肝硬変 慢性腎不全 慢性すい炎のいずれかを保障する 重度疾病保険金を支払った場合 本特約は消滅する 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 10 -
問 4 はじめに M さんは 必要保障額の考え方についてアドバイスした M さんの A さんに対 するアドバイスとして 次のうち最も不適切なものはどれか 1) 必要保障額の算出は A さんがお亡くなりになったときのご家族の生活資金等が不 足する事態を回避するための判断材料となります 必要保障額は 通常 長女 C さん の成長とともに逓減します 2) 必要保障額を大きく左右する項目として 住居費用が挙げられます 仮に 夫が住宅ローン ( 団体信用生命保険に加入 ) を利用して自宅を購入した後に死亡した場合 通常 住宅ローン債務は妻が弁済することが多いため 必要保障額の計算上 住宅ローンの残債務は遺族に必要な生活資金等の総額に含めます 3) 遺族の収入見込金額を計算する際には 公的年金の遺族給付のおおよその金額を把 握することが必要です そのほか 妻 B さんの就労収入については 現実的な範囲内 の金額を見込んでおくとよいでしょう - 11 -
問 4 < 解答 解説 > 必要保障額に関する問題です 1) は 適切 死亡時の必要保障額の計算式は 必要保障額 = 死亡後の総支出 - 総収入で すから 末子の成長につれて必要保障額は逓減します 2) は 不適切 団体信用生命保険に加入すると 住宅ローンを借りた人が被保険者となり 万一の場合でも死亡保険金でローン残高が弁済されるため 必要保障額に見込む必要が 無くなります 3) は 適切 必要保障額を算出する際は 遺族の収入見込金額を考慮することが必要ですが 遺族基礎年金や遺族厚生年金は 長期安定した収入となるため おおよその支給額を事前に把握しておき 遺族の就労収入については 正社員 パート等の就労形態で大きな差異が生じるため 育児 介護の可能性を考慮して現実的な範囲で想定することが必要です 妻 B さんは現在専業主婦ですが 夫に万一のことがあってシングルマザーとなった場合 0 歳児を抱えながらフルタイムの会社員として勤務することは難しい可能性が高く 収入見込額も抑えめしておくことが必要です - 12 -
問 5 次に M さんは M さんが提案した生命保険の内容について説明した M さんの A さんに 対する説明として 次のうち最も不適切なものはどれか 1) 収入保障特約は 最低支払保証期間を除き 保険期間の経過とともに年金受取総額 が減少していく特徴を持っています 2) 所定の重度疾病に罹患した場合 重度疾病保障定期保険特約により 300 万円を受 け取ることができます さらに その後 死亡した場合には当該特約により死亡保険 金 300 万円が妻 B さんに支払われます 3) 総合医療特約において 疾病 災害入院給付金 手術給付金等の保障は準備されて いますが がん保障に特化したものや退院後の通院保障など A さんのニーズに合わ せて医療保障を充実させることも検討事項の 1 つになります - 13 -
問 5 < 解答 解説 > 収入保障特約 重度疾病保障特約 総合医療特約に関する問題です 1) は 適切 収入保障保険や収入保障特約は 保険期間の経過とともに保険金が逓減するため 死亡保障が一定額で変わらない通常の定期保険よりも 保険料が割安で 子どもの成長に合わせて保障を減らす目的に加入することも多いです ( いわゆる三角の保険ですね ) 2) は 不適切 重度疾病保障特約は ガン 心筋梗塞 脳卒中という三大疾病に加えて 肝臓 腎臓病や糖尿病等になった際に給付金を受け取ることが可能な特約で 重度疾病保険金を受け取ると 特約は消滅します よって 一度重度疾病になって保険金をもらうと その後死亡した際に受け取れるのは 主契約やその他の特約による保険金のみとなります 3) は 適切 総合医療特約は 不慮の事故 ( 災害 ) や病気 ( 疾病 ) による入院 手術等を 保障するものです さらに 再発しやすいガンに対する保障や通院保障等も合わせて加 入することで 医療保障をさらに充実させることが可能です - 14 -
問 6 最後に M さんは 生命保険の見直しについてアドバイスした M さんの A さんに対する アドバイスとして 次のうち最も不適切なものはどれか 1) 生命保険は 一度見直したら終わりではありません 第 2 子の誕生や住宅の取得な ど ライフイベントに合わせて 保障内容を定期的に見直すことが大切です 2) A さんの葬儀費用や子どもの教育資金は 終身保険や定期保険特約等の一時金タイ プで準備し 残されたご家族の生活費は収入保障特約等の年金タイプで準備するな ど ご遺族の生活設計に応じて保障内容を組み立てることをお勧めします 3) 生命保険の見直しは 生命保険の商品改定に合わせて行ってください 特に 医療 保障 介護保障は商品改定が頻繁に行われていますので 新商品が発売されたら 新 商品に乗り換えてください - 15 -
問 6 < 解答 解説 > 生命保険の見直しに関する問題です 1) は 適切 死亡時の必要保障額の計算式は 必要保障額 = 死亡後の総支出 - 総収入ですから 末子の成長につれて必要保障額は減っていきます よって 第 2 子の誕生や住宅の取得 子どもの進学 就職等のライフイベントの節目となる時点で改めて必要保障額を算出し 定期的に見直すことが必要です 2) は 適切 終身保険や定期保険特約等の一時金タイプの保障は 葬儀費用や教育資金といった限定した時期に多額の費用を要する事態に備えることに適しており 収入保障特約等の年金タイプの保障は 遺族の生活費などの長期間安定した収入の確保が必要な事態に備えることに適しているため 保険契約の際は 遺族のライフプランに応じて保障を組み立てることが必要です 3) は 不適切 生命保険の商品改定は 必ずしも保険契約者に有利な条件になるとは限らず 新商品への乗り換えにより 以前の契約より不利な条件で契約してしまうこともあり得ます 原則として 生命保険の見直しは 自分自身や家族のライフイベントに合わせて行うことが必要です - 16 -
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第 3 問 株式会社 X 社 ( 以下 X 社 という ) の代表取締役社長であるAさん (40 歳 ) は 現在 生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル プランナーのMさんから退職金準備や事業保障資金の確保等を目的とした2つの生命保険契約の提案を受けている < 資料 >Mさんから提案を受けている生命保険の内容 (1) 長期平準定期保険 ( 特約付加なし ) 契約形態 : 契約者 (= 保険料負担者 ) 死亡保険金受取人 =X 社被保険者 =Aさん保険期間 保険料払込期間 : 98 歳満了死亡保険金額 :1 億円年払保険料 :200 万円 65 歳時の解約返戻金額 :4,780 万円 (2) 無配当定期保険 ( 特約付加なし ) 契約形態 : 契約者 (= 保険料負担者 ) 死亡保険金受取人 =X 社被保険者 =Aさん保険期間 保険料払込期間 :10 年 ( 自動更新タイプ ) 死亡保険金額 :1 億円年払保険料 :28 万円 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 18 -
問 7 仮に 将来 X 社がAさんに役員退職金 5,000 万円を支給した場合 Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額の計算式として 次のうち最も適切なものはどれか なお Aさんの役員在任期間 ( 勤続期間 ) を29 年 3カ月とし これ以外に退職手当等の収入はなく 障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする 1) 5,000 万円 -{800 万円 +70 万円 (30 年 -20 年 )} 1/2=1,750 万円 2) 5,000 万円 -{800 万円 +70 万円 (29 年 -20 年 )} 1/2=1,785 万円 3) 5,000 万円 -{800 万円 +40 万円 (30 年 -20 年 )} 1/2=1,900 万円 - 19 -
問 7 < 解答 解説 > 退職所得に関する問題です 退職所得 =( 退職収入 - 退職所得控除 ) 1/2 で計算されますが 退職所得控除額は 勤続年数が20 年以下の期間は1 年当たり40 万円 ( 最低 80 万円 ) 20 年を超える期間は1 年当たり70 万円です また 勤続年数が 1 年に満たない場合は切り上げられますので 29 年 3 ヶ月の A さんは 30 年とされます よって問題文での退職所得の計算式は =[5,000 万円 -{40 万円 20 年 +70 万円 (30 年 -20 年 )}] 1/2 ={5,000 万円 -(800 万円 +700 万円 )} 1/2 =(5,000 万円 -1,500 万円 ) 1/2 =1,750 万円 従って正解は 1) 5,000 万円 -{800 万円 +70 万円 (30 年 -20 年 )} 1/2=1,750 万 円 - 20 -
問 8 設例 の < 資料 >(1) 長期平準定期保険の第 1 回保険料払込時の経理処理 ( 仕訳 ) とし て 次のうち最も適切なものはどれか 1) 2) 3) - 21 -
問 8 < 解答 解説 > 長期平準定期保険の経理処理に関する問題です 長期平準定期保険とは 保険期間満了時に 70 歳を超え かつ加入時の年齢に保険期間の 2 倍の数を加えると 105 を超える定期保険のことです 長期平準定期保険では 前半 6 割期間での保険料支払い時は 保険料の 2 分の 1 を定期保 険料として損金算入し 2 分の 1 を前払保険料として資産計上です 問題文では年払保険料 200 万円ですから 半額の 100 万円が定期保険料として損金算入され 残りの100 万円が前払保険料として資産計上されます また 保険料は通常現金か預金から支払いますから 貸方に現金 預金として 200 万円を計上します 従って正解は 3) - 22 -
問 9 設例 の < 資料 >(2) 無配当定期保険に関するアドバイスとして 次のうち最も不適切な ものはどれか 1) 保険期間および保険料払込期間を 10 年間とする定期保険の払込保険料は 期間の経 過に応じて全額を損金の額に算入します 仮に 当該生命保険を解約し 解約返戻金 を受け取った場合 その全額を雑収入として益金に計上します 2) 当該生命保険は 生存退職金の準備には適していませんが 割安な保険料で高額保 障を確保することはできます 3) 10 年後に死亡保険金を同額で更新する場合 改めて告知等が必要となるため 告知 内容等によっては更新できないこともありますので 注意が必要です - 23 -
問 9 < 解答 解説 > 無配当定期保険の経理処理 商品性 自動更新に関する問題です 1) は 適切 設例の 無配当定期保険 とは 保険会社からの配当金支払いがない定期保険のことで 掛捨て型の保険であることから 支払った保険料全額を損金算入することができます よって これまでの資産計上額は0 円ですから 受取保険金 ( 解約返戻金 )= 保険差益 = 雑収入となるわけです 2) は 適切 設例の 無配当定期保険 とは 保険会社からの配当金支払いがない定期保険のことで 掛捨て型の保険であることから 解約返戻金は保険期間の経過に従って 一定期間まで増加するものの その後は逓減し 払込保険料総額を上回ることはありません 従って役員退職金を準備する方法としては不適切ですが 保険料は割安で 万一の際の高額保障の確保が可能です 3) は 不適切 自動更新タイプの保険は 更新時に医師の診断や告知が不要で 保障内容 金額 期間を同内容で継続可能です ( 保険料は更新時に再計算されて高くなります ) - 24 -
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第 4 問 会社員のAさんは 妻 Bさん 長女 Cさんおよび母 Dさんとの4 人家族である Aさんは 住宅ローンを利用して平成 29 年 8 月に新築マンションを取得し 同月中に入居した Aさんとその家族に関する資料等は 以下のとおりである <Aさんとその家族に関する資料 > Aさん (39 歳 ) : 会社員妻 Bさん (37 歳 ) : 平成 29 年中にパートにより給与収入 100 万円を得ている 長女 Cさん (7 歳 ) : 小学生 平成 29 年中の収入はない 母 Dさん (71 歳 ) : 平成 29 年中の収入は 老齢基礎年金のみであり その収入金額は 72 万円である <Aさんの平成 29 年分の収入等に関する資料 > (1) 給与収入の金額 : 700 万円 (2) 一時払養老保険 ( 保険期間 10 年 ) の満期保険金契約年月 : 平成 19 年 5 月契約者 (= 保険料負担者 ) 被保険者 : Aさん死亡保険金受取人 : 妻 Bさん満期保険金額 : 330 万円一時払保険料 : 300 万円 <Aさんが利用した住宅ローンに関する資料 > 借入年月日 : 平成 29 年 8 月 1 日平成 29 年 12 月末の借入金残高 :2,000 万円 住宅借入金等特別控除の適用要件は すべて満たしているものとする <A さんが平成 29 年中に支払った損害保険料に関する資料 > 上記の保険は いずれも A さんの自宅を補償対象とする損害保険である 家族は A さんと同居し 生計を一にしている A さんとその家族は いずれも障害者および特別障害者には該当しない A さんとその家族の年齢は いずれも平成 29 年 12 月 31 日現在のものである 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 26 -
問 10 A さんの平成 29 年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄 (1)~(3) に入る 数値の組合せとして 次のうち最も適切なものはどれか ⅰ) 地震保険料控除の控除額は ( 1 ) 円である ⅱ) 妻 B さんの合計所得金額は ( 2 ) 万円を超えていないため A さんは配偶者控除 の適用を受けることができる ⅲ) 扶養控除の控除額は ( 3 ) 万円である 1) (1)12,000 (2)38 (3)58 2) (1)12,000 (2)103 (3)63 3) (1)39,000 (2)38 (3)38-27 -
問 10 < 解答 解説 > 地震保険料控除 配偶者控除 扶養控除に関する問題です ⅰ) 地震保険料控除の上限は所得税 5 万円 住民税 2.5 万円で 所得税では支払った保険料全額が控除され 住民税では保険料の2 分の1 が控除されます よって A さんが支払った地震保険料 12,000 円は 全額が所得税の地震料保険料控除の対象となります ⅱ) 所得税の配偶者控除は 生計同一で年間の合計所得額が 38 万円以下 ( 給与収入だけな ら 103 万円以下 ) の配偶者であれば適用され 控除額は 38 万円です よって 給与収入 100 万円の妻 B さんは 配偶者控除の対象です ⅲ) 扶養控除は16 歳以上が適用対象で 控除額は 38 万円です また 70 歳以上の人を扶養する場合 老人扶養親族として 同居する老親等の場合は 58 万円 同居する老親以外の場合は48 万円の扶養控除が適用されます また いずれも生計同一で合計所得金額 38 万円以下 ( 年金収入だけなら158 万円以下 ) であることが必要です よって 収入ゼロで 7 歳の長女 C さんは 扶養控除の対象外であり 71 歳で年金収入 72 万円の母 D さんは 同居老親等の老人扶養親族として 扶養控除 58 万円の適用対象です (65 歳以上で受け取る公的年金は 年 120 万円までは公的年金等控除により所得ゼロ ) 従って正解は 1) (1)12,000 (2)38 (3)58-28 -
問 11 A さんの平成 29 年分の所得税の確定申告 ( 住宅借入金等特別控除の適用 ) に関する次の記 述のうち 最も不適切なものはどれか 1) 住宅ローンを利用して自己の居住用住宅を取得した場合 住宅ローンの年末残高に 所定の割合 ( 控除率 ) を乗じて得た金額をその年分の所得税額から控除することがで きます 2) A さんは 平成 29 年分の所得税から最長で 10 年間 住宅借入金等特別控除の適用を 受けることができます 適用を受けるためには 毎年 確定申告を行う必要がありま す 3) 平成 29 年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには 確定 申告をしなければなりません 確定申告書は 原則として 平成 30 年 2 月 16 日から 3 月 15 日までの間に A さんの住所地を所轄する税務署長に提出してください - 29 -
問 11 < 解答 解説 > 住宅ローン控除 確定申告の申告期限に関する問題です 1) は 適切 住宅ローン控除の控除率は 1% で 各年の住宅ローンの年末残高に乗じて 各 年の控除額を計算します また 住宅ローン控除は 税額控除 ですので 所得金額を 計算して算出された所得税額から 当該金額を差し引きます 2) は 不適切 給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合 最初の年分は確定申告が必要 ですが 翌年分からは必要書類を勤務先に提出することで年末調整されます ( 控除期間 10 年間 ) 3) は 適切 給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合 最初の年分は確定申告が必要です また 所得税の確定申告の期限は 所得の生じた年の翌年の 2 月 16 日から3 月 15 日までの間で 申告書の提出先は 住所地の所轄税務署です A さんの住宅ローンの借り入れ日は 平成 29 年 8 月 1 日ですので 平成 29 年分は確定申告が必要で 翌年以降は年末調整されます - 30 -
問 12 A さんの平成 29 年分の所得税における総所得金額は 次のうちどれか < 資料 > 1) 510 万円 2) 525 万円 3) 540 万円 - 31 -
問 12 < 解答 解説 > 総所得金額に関する問題です 総所得金額は 大雑把に言うと 総合課税の所得を合計し 損益通算した後の金額です Aさんの所得は 給与所得と一時所得 ( 一時払養老保険の満期保険金 ) です 給与所得 = 給与収入額 - 給与所得控除額 =700 万円 -(700 万円 10%+120 万円 ) =700 万円 -190 万円 =510 万円 一時所得 = 収入額 - 収入を得るために支出した額 - 特別控除 50 万円 = 解約返戻金 330 万円 - 払込保険料 300 万円 - 特別控除 50 万円 = 20 万円 控除し切れない額は 0 円扱い なお 総所得金額を計算する際に 一時所得はその 2 分の 1 が合算対象ですので 総所得金額 =510 万円 +0 円 1/2=510 万円 よって正解は 1)510 万円 - 32 -
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第 5 問 未上場企業 X 社の代表取締役社長であったAさんは 平成 29 年 7 月 20 日に病気により死亡した Aさんの親族関係図等は 以下のとおりである なお Aさんは 平成 20 年 10 月に二女 Dさんの配偶者であるEさんを普通養子としている <A さんの親族関係図 > <Aさんの相続財産 ( みなし相続財産を含む )> 預金等の金融資産 3,000 万円 ( 相続税評価額 ) 自宅 ( 敷地 ) 1,000 万円 ( 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 適用後の相続税評価額 ) 自宅 ( 建物 ) 1,000 万円 ( 固定資産税評価額 ) X 社株式 1 億 2,000 万円 ( 相続税評価額 ) 死亡退職金 6,000 万円死亡保険金 3,000 万円 ( 下記の生命保険契約によるもの ) <Aさんが加入していた生命保険に関する資料 > 保険の種類 : 終身保険契約者 (= 保険料負担者 ) 被保険者 : Aさん死亡保険金受取人 : 妻 Bさん死亡保険金額 : 3,000 万円 上記以外の条件は考慮せず 各問に従うこと - 34 -
問 13 A さんの相続に関する以下の文章の空欄 (1)~(3) に入る語句の組合せとして 次のうち最も 適切なものはどれか ⅰ) 普通養子 E さんの法定相続分は ( 1 ) である ⅱ) 配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合 妻 B さんが相続により取得した 財産の金額が配偶者の法定相続分相当額と ( 2 ) とのいずれか多い金額までであれ ば 納付すべき相続税額は算出されない ⅲ) 相続税の申告書は 原則として その相続の開始があったことを知った日の翌日から ( 3 ) 以内に提出しなければならない 1) (1)4 分の 1 (2)1 億 6,000 万円 (3)1 年 2) (1)6 分の 1 (2)1 億 6,000 万円 (3)10 カ月 3) (1)8 分の 1 (2)2 億 1,000 万円 (3)10 カ月 - 35 -
問 13 < 解答 解説 > 法定相続分 相続税の配偶者控除 申告期限に関する問題です ⅰ) 配偶者は常に法定相続人となり それ以外の親族は 子 直系尊属 兄弟姉妹の順に 先の順位者がいない場合に 法定相続人となります 配偶者と子が相続人の場合 法定相続分は 配偶者が 2 分の1 子が 2 分の1( 子の人数分で分割 ) となります よって本問の法定相続人は 配偶者である妻 B と 長女 C と二女 D さらに A さんの養子である配偶者 E の計 4 人ですから 法定相続分は 以下の通りです 配偶者 :1/2 長女 C:1/2 1/3=1/6 二女 D:1/2 1/3=1/6 養子 E:1/2 1/3=1/6( 養子の法定相続分は 実子と同一 ) ⅱ) 配偶者に対する相続税額の軽減 ( 相続税の配偶者控除 ) は 被相続人の配偶者が財産 を取得した場合に 法定相続分相当額 または 1 億 6,000 万円のいずれか高い方までは 相続税がゼロになる特例です ⅲ) 相続税の申告期限は 相続開始があったことを知った日の翌日から 10 ヵ月以内です 従って正解は 2) (1)6 分の 1 (2)1 億 6,000 万円 (3)10 カ月 - 36 -
問 14 A さんの相続税における遺産に係る基礎控除額は 次のうちどれか 1) 4,800 万円 2) 5,400 万円 3) 8,000 万円 - 37 -
問 14 < 解答 解説 > 相続税の基礎控除に関する問題です 相続税の基礎控除は 3,000 万円 + 法定相続人の数 600 万円ですが 養子の場合は実子が いる場合は 1 人まで 実子がいない場合は 2 人まで法定相続人とすることができます 本問の場合 子は実子 2 人と養子 1 人ですから 法定相続人としてカウントできる養子は 1 人分までですので 法定相続人は配偶者 実子 2 人 養子 1 人分の計 4 人です よって 相続税の基礎控除 =3,000 万円 +4 人 600 万円 =5,400 万円 従って正解は 2)5,400 万円 - 38 -
問 15 A さんに係る相続税における課税価格の合計額は 次のうちどれか 1) 2 億 2,000 万円 2) 2 億 4,000 万円 3) 2 億 6,000 万円 - 39 -
問 15 < 解答 解説 > 相続税の課税価格に関する問題です 相続税の課税価格の合計は 各種特例適用後の相続財産を合計して算出しますが 死亡退職金と死亡保険金については非課税枠適用前の価額です 死亡退職金と死亡保険金の非課税金額は いずれも以下の通りです 死亡退職金 ( 死亡保険金 ) の非課税額 =500 万円 法定相続人の数本問の法定相続人は 配偶者である妻 B と 長女 C と二女 D さらに A さんの養子である配偶者 E の計 4 人ですので 非課税額 =500 万円 4 人 =2,000 万円です よって 死亡退職金と死亡保険金の課税価格は以下の通り 死亡退職金 :6,000 万円 -2,000 万円 =4,000 万円 死亡保険金 :3,000 万円 -2,000 万円 =1,000 万円 よって 相続税の課税価格の合計額 = 預金等 3,000 万円 + 敷地 1,000 万円 + 建物 1,000 万 円 + 株式 1 億 2,000 万円 + 退職 4,000 万円 + 保険 1,000 万円 =2 億 2,000 万円 よって正解は 1) 2 億 2,000 万円 - 40 -