インフルエンザ院内感染対策

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2. 予防 1) 予防接種 入院している多くの免疫不全患者への感染源にならないためにも 病院で勤務するすべての 職員に対してインフルエンザワクチンの接種を推奨する ただし過去にインフルエンザワクチンで 重症なアレルギー反応があった者は禁忌である 接種可能かどうかの相談は感染管理担当課で 行う 患者へ

インフルエンザ定点以外の医療機関用 ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点以外の医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております

インフルエンザ

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

日本医師会作成版を元に北上医師会会員向けに一部修正を加えました ( 以下赤文字及び下線部は 各医療機関の実情に応じて記載 変更する ) 新型インフルエンザ等発生時における診療継続計画 ( 案 ) 医院 本計画は当院 新型インフルエンザ等に関する院内対策会議 により平成 年 月 日作成され たものであ

( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

針刺し切創発生時の対応

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

4 耐性ウイルス添付文書によれば, タミフルを投与した患者の1.4%( 小児では4.5 %) に耐性ウイルス, つまりタミフルが効かないウイルスが出現しています ( 1) また, 後述のように, 乳幼児の場合は18~33% と報告されています ( 4) 2 タミフルの副作用はタミフルが承認されるまで

水痘(プラクティス)

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

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彼を知り己を知れば 百戦殆うからず 彼 = 感染症 己 = カラダの仕組み取り巻く環境など 百戦殆うからず は少し言い過ぎですが 感染症を未然に防ぐことや重症化を防ぐには非常に重要です

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7 月 20 日に発表されました ヨーロッパ CDC のリスクアセスメントでは 今後の人口当たりの推定感染率が30% 重症化に一致する推定入院率が1~2% 推定死亡率が0.1~ 0.2% です これは初期の混乱期の対応や誤差を省いたヨーロッパでの推計なので今後の対策の目安になると考えられます 重症例


インフルエンザ施設内感染予防の手引き

2 抗インフルエンザウイルス薬と異常行動の議論と今後の予定 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて報告書にまとめ 以下の議論がなされた 平成 21 年以降の非臨床研究及び 10 年に及ぶ疫学研究の科学的な知見を総括し 以下の事実から タミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係がある

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70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

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インフルエンザ

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を よくみかけます シーズン初期の A 型流行では 急激に 度台に発熱して ぐったりというエピソードが重要です ついで始まる B 型では 頭痛や吐き気が主体で 発熱は最初 38 度台にとどまるため インフルエンザを疑われない例も多く認めます 結局 治療のタイミングが遅れ 細菌混合感染をお

感染症の基礎知識

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン

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別紙 平成 25 年 11 月 1 日 各医療機関御中 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究班 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究に対する協力のお願いについて 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます さて 平成 25 年度厚生労働科学研究地球規模保健課

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葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

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さらに 職場における感染防止対策の検討を行うに当たっては 産業医等の助 言を受けることや 衛生委員会において対策を審議するなど 労働安全衛生法上 の安全衛生管理体制を活用し 実施していくことが望まれます Q2 発熱や呼吸器症状等のインフルエンザ様症状を呈した労働者にはどのような注意をすればよいですか

外来部門

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

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サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

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表 1. 抗インフルエンザ薬 オセルタミビルザナミビルラニナミビルペラミビル 新生児 乳児 (1 歳未満 ) 推奨 * 推奨されない 幼児 (1 歳から 4 歳 ) 推奨 吸入困難と考える 小児 (5 歳から 9 歳 ) 推奨 吸入が出来ると判断された場合に限る 10 歳以上 原則として使用を差し控

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平成 28 年度健康診断について 基本健康診断 ( 一次検査 ) 健康保険組合は疾病予防事業として被保険者 被扶養者の皆様の健康診断を実施しています 健診種類 ( いずれかを選択 ) 生活習慣病健診 人間ドック 被保険者 対象者 対象年齢 ( 該当年度末日 (3 月 31 日 ) 基準 ) 年齢制限

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減量・コース投与期間短縮の基準

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

それでは具体的なカテーテル感染予防対策について説明します CVC 挿入時の感染対策 (1)CVC 挿入経路まずはどこからカテーテルを挿入すべきか です 感染率を考慮した場合 鎖骨下穿刺法が推奨されています 内頚静脈穿刺や大腿静脈穿刺に比べて カテーテル感染の発生頻度が低いことが証明されています ただ

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

Ⅰ. ウイルス感染症の持込防止 1. ウイルス感染症の持込防止 感染症で緊急入院する場合は この限りではない 1) 入院時の問診 診察 (1) 入院時 ウイルス感染の罹患歴 ワクチン歴 ウイルス感染症患者との 1 ヶ月以内の接触歴について問診するとともに 発疹の有無など診察を行う インフルエンザ ノ

医院名 XFL-C-0007(V01) 審

や反応速度が異なりますので その特徴を理解した上でキットの選択が必要です 3. 検査は医師 検査技師 看護師の誰でも実施可能ですが いずれも技術的に熟練した者が行う必要があります それにより精度も上がり 被験者の苦痛も軽減されることになります 以上のように検査を行うとき どのキットで どんな方法で安

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ハイリスク患者 免疫抑制者における播種性水痘 悪性腫瘍患者の死亡率は 7-17% 成人 妊婦 新生児 肺臓炎 年齢による水痘の頻度と死亡率 0~4 5~14 15~44 45~64 >65 頻度 ( 対人口

A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 第 50 週の報告数は 前週より 39 人減少して 132 人となり 定点当たりの報告数は 3.00 でした 地区別にみると 壱岐地区 上五島地区以外から報告があがっており 県南地区 (8.20) 佐世保地区 (4.67) 県央地区 (4.67) の定点当たり報告数は

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2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

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通常の市中肺炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌に加えて 誤嚥を考慮して口腔内連鎖球菌 嫌気性菌や腸管内のグラム陰性桿菌を考慮する必要があります また 緑膿菌や MRSA などの耐性菌も高齢者肺炎の患者ではしばしば検出されるため これらの菌をカバーするために広域の抗菌薬による治療が選択されるこ

Press Release 平成 29 年 11 月 27 日 照会先 医薬 生活衛生局医薬安全対策課安全使用推進室長江野英夫 ( 内線 :2755) 課長補佐大井恒宏 ( 内線 :2748) ( 代表 )03(5253)1111 ( 直通 )03(3595)2435 報道関係者各位 小児 未成年者

この薬は 細菌感染症には効果がありません この薬を予防に用いる場合は 原則としてインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である下記の人が対象となります 高齢の人 (65 歳以上 ) 慢性心疾患の人 代謝性疾患の人 ( 糖尿病等 ) 腎機能障害の人 この薬は 治療に用い

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も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

6/10~6/16 今週前週今週前週 インフルエンザ 2 10 ヘルパンギーナ RS ウイルス感染症 1 0 流行性耳下腺炎 ( おたふくかぜ ) 8 10 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎 0 0 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 流行性角結膜炎 ( はやり目 )

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

メンテナンスマニュアル 5-1 環境設定 環境設定では 文書管理の動作環境や表示項目 印字項目の設定を行ないます 項 目 概 要 1 画面タブ 設定する画面をタブで切り替えます 2 設定項目 タブ毎に動作環境や表示項目 印字項目の設定を行います 3 戻る 設定した内容を保存せずに画面を閉

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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す ウイルスの中で検出頻度の高いものはライノウイルス コロナウイルスが多く これに続くのが RS ウイルス インフルエンザウイルス パラインフルエンザウイルス アデノウイルスです また これらのウイルスには季節的流行の特徴があり ライノウイルスは春と秋 RS ウイルス コロナウイルス インフルエンザ

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Ⅷ. 季節性インフルエンザ院内感染対策 このマニュアルは季節性インフルエンザに対応するものであり 新型インフルエンザ 鳥インフ ルエンザ等については状況に応じて別途定めることとする 1. 臨床 感染経路 : 飛沫感染経路をとる 潜伏期 :1~3 日 症状 : インフルエンザを疑う下記の症状 1. 突然の発症 2. 38 を超える発熱 3. 上気道炎症状 4. 全身倦怠感等の全身症状発熱 ( 通常 38 以上の高熱 ) 頭痛 全身の倦怠感 筋関痛などが突然現われ 咳 鼻汁などの上気道炎症状がこれに続き 約 1 週間の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザで いわゆる かぜ に比べて全身症状が強いのが特徴である ハイリスクグループ : 高齢者 年齢を問わず呼吸器 循環器 腎臓に慢性疾患を有する患者 糖尿病などの代謝疾患 免疫機能が低下している患者 従って当院に入院中の患者はほと んどハイリスクグループと考えられる 小児ではライ症候群およびインフルエンザ脳炎 脳症に厳重な注意が必要 治療 : 抗インフルエンザ薬 ザナビル オセルタミビル 商品名 リレンザ R タミフル R 対象ウイルス A, B 型 A, B 型 作用点 ノイラミニダーゼ阻害 ノイラミニダーゼ阻害 投 与 量 成人 治療 1 回 10mg 1 日 2 回 5 日間 1 回 75mg 1 日 2 回 5 日間 小児 治療 成人と同量 1 回 2mg/kgを1 日 2 回,5 日間 1 回最高用量は75mg 投与方法吸入経口 半減期 2 時間約 5~7 時間 重大な副作用アナフィラキシー 気管支攣縮消化器症状 不整脈

禁忌 慎重投与喘息患者には慎重投与腎障害患者には投与量を調整する ラニナビル ペラミビル 商品名イナビル R ラピアクタ R 対象ウイルス A, B 型 A, B 型 作用点ノイラミニダーゼ阻害ノイラミニダーゼ阻害 投 与 量 成人 小児 1 回 40mg 1 日 1 回 1 日間 1 回 300mg 1 日 1 回 1 日間 10 歳未満 ;20mg を単回吸入 10 歳以上 ;40mg を単回吸入 重症化例には 600 mgを連日投与 1 日 1 回 10mg/kg 1 日間 投与量の上限は 1 回量として 600mg 重症化例には連日投与 投与方法吸入静注 15 分以上かけて 半減期 41 時間約 8~20 時間 重大な副作用アナフィラキシー 気管支攣縮ショック 白血球減少 禁忌 慎重投与喘息患者には慎重投与腎障害患者には投与量を調整する

2. 院内感染対策 Ⅰ. ワクチンの接種 1. 職員のワクチン接種 職員は アレルギー等で接種が適当でないと判断された者以外は インフルエンザシーズン の前に (11 月 ~12 月半ば ) 当院で実施するインフルエンザワクチン接種を必ず受ける 2. 患者のワクチン接種 ハイリスクグループと考えられる患者には シーズンの前にワクチン接種を薦める 1) 患者のワクチン接種は 患者にインフォームドコンセントを取り問診票 を記入してもらう 問診票 スキャンメニューの帳票印刷から 同意書 説明書 フォルダ 共通 フォルダ ワク チン予診票 フォルダ内のインフルエンザワクチン予診票を 対象に応じて選択 印刷し 患者に記載してもらう 2) 個人注射オーダーを行い 接種する 入院中の患者は病棟オペレータにワクチン接種の情 報を伝える ( ワクチンは自己負担となる ) 3) 接種後 問診票にロット No. を記載し 実施サイン後 スキャンし診療録として残す Ⅱ. 入院病棟における対応 1. 職員にインフルエンザ罹患を疑う場合 1) 出勤前に 38 を超える発熱があった場合は 職場責任者に電話連絡し 必ず近医を受診する インフルエンザ と診断された場合は勤務を控える 当該職員は解熱後 2 日間の自宅療養の後 職場復帰する 2) 勤務中に 38 を超える発熱および上気道症状 あるいは全身倦怠感を自覚した場合は 下記事項を厳守する (1) サージカルマスクを着用する (2) 職場責任者に症状を報告する (3) 速やかに外来受診の手続きを行い インフルエンザ抗原検査を行う 平日 8:30~17:15 総合診療外来あるいは感染制御部に連絡のうえ受診する 受診の際に選定療養費が発生する場合は免除されるので 外来受診手続き前に感染制御部に連絡する 休祝日 8:30~17:15 夜間 17:15~ 翌 8:30 1 時間外受診手続きを行う ( 夜間事務当直にて ) 2 臨床検査部の職員に電話にて検査を申し込み 2F 臨床検査部に採取綿棒を施行責任者が取りに行く < 連絡先 > 休祝日 8:30~17:15 感染微生物検査室夜間 17:15~ 翌 8:30 臨床検査部当直者

3) 対応 3 感染症迅速検査画面よりインフルエンザウイルス抗原検査をオーダーし バーコード を出力する 4 バーコードを滅菌試験管に貼付し 鼻腔ぬぐい液を採取する ( 検体の採取方法参 照 ) 5 検体をビニール袋に入れて検査申込みした検査室に持参する 選定療養費免除を希望する場合は 時間外職員インフルエンザ受診報告書 を 検査室で受け取る 6 検体提出の約 20 分後 責任者の PHS に検査部の職員より判定結果が報告される 7 選定療養費免除が必要な場合は 翌朝 8 時までに 時間外職員インフルエンザ受診報 告書 を感染制御部に FAX する (1) 抗原検査陽性の場合 当該職員は解熱後 2 日間の自宅療養の後 職場復帰する 感染制御部に連絡し 濃厚接触者の確認を行い 抗ウイルス薬の予防投与を検討する ( 3. 二次発症予防の項参照 ) (2) 抗原検査陰性の場合 当該職員は自宅にて解熱まで療養し 通常の感冒と同様に解熱後勤務に復帰する 念 のため職場復帰 2 日間はマスク着用の上勤務する 発熱が持続する場合 近医を再度 受診し 加療を受ける 2. 入院患者にインフルエンザ罹患を疑う場合 1) 抗原検査平日 8:30~17:15 (1) 感染症迅速検査画面よりインフルエンザウイルス抗原検査をオーダーし バーコードを出力する (2) 鼻腔ぬぐい液を採取する ( 検体の採取方法参照 ) (3) 検体をビニール袋に入れて感染微生物検査室に持参する (4) 約 20 分後 病院端末の検査結果照会画面にて判定結果を確認する 休祝日 8:30~17:15 夜間 17:15~ 翌 8:30 (1) 臨床検査部の職員に電話にて検査を申込み 2F 臨床検査部に採取綿棒を取りに行く < 連絡先 > 休祝日 8:30~17:15 感染微生物検査室夜間 17:15~ 翌 8:30 臨床検査部当直者 (2) 感染症迅速検査画面よりインフルエンザ検査をオーダーし バーコードを出力する (3) 鼻腔ぬぐい液を採取する ( 検体の採取方法参照 ) (4) 検体をビニール袋に入れて 検査申込みした当直者または感染微生物検査室に持参する

(5) 約 20 分後 院内端末の検査結果照会画面にて判定結果を確認する 2) 対応 (1) 抗原検査陽性の場合 1 患者の状態を考慮し 可能な場合は抗ウイルス薬を処方し 退院や外泊を検討する 2 入院を継続する場合は 解熱後 2 日目まで個室管理を原則とする 3 感染制御部に連絡し 同室患者は濃厚接触者として抗ウイルス薬の予防投与を検討 する ( 3. 二次発症予防の項参照 ) (2) 抗原検査陰性の場合 インフルエンザを臨床的に疑う場合には 個室管理とし 主治医の判断で治療を 行う 検体の採取方法後鼻腔ぬぐい液採取方法 (1) 手袋 マスクを着用する 咳嗽などが強く 飛沫による汚染が考えられる場合や検体採取時はゴーグルやガウンを使用する (2) 外鼻孔から耳孔を結ぶ平面を想定し 細い専用滅菌綿棒を鼻腔の奥 ( 突き当たるところ ) まで挿入後 数回回転させて擦過する (3) 綿棒を滅菌試験管に入れて ビニール袋に表面を汚染しないように清潔操作にて封入する 3. 二次発症予防 職員や入院患者にインフルエンザが発生した場合 濃厚接触者の患者に対して 主治医の判断で抗ウイルス薬の予防投与を考慮する 医学上の利益が副作用を上回ると判断された場合のみ考慮する 投与する抗インフルエンザ薬として オセルタミビル ( タミフル (75mg))1 カプセル連日 1 週間の投与により80% 程度の予防効果があると報告されている 患者に説明を行い 希望する場合に予防投与を行う 1) 対象濃厚接触者とは 発症者と同室患者 発症者とマスク無しで1m 以内で会話した患者

2) 投与方法 抗インフルエンザ薬の予防投与の保険適応 予防に用いる場合には 原則としてインフルエンザウイルス感染症を発症し ている患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする 高齢者 (65 歳以上 ) 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者 代謝性疾患患者 ( 糖尿病等 ) 腎機能障害患者 薬剤オーダーにて患者に応じた以下の薬剤をオーダーする 3) 投与薬剤 [ 入院患者予防用 ] タミフル カプセル 75mg [ 入院患者予防用 ] タミフル ドライシロップ ( 成分量 ) [ 入院患者予防用 ] リレンザ 5mg(4 吸入 5) [ 入院患者予防用 ] イナビル 20mg 上記薬剤名を使用すると治療費用は課金されない この薬剤名のオーダーは 入院患者にのみ可能であり 外来処方は不可である 通常の薬剤 ([ 入院患者予防用 ] と付記のない薬剤 ) をオーダーした場合 感染制御部 に連絡する 予防投与として以下のいずれかの薬剤を投与する リレンザ R 成人 1 回 10 mg 1 日 1 回 10 日間 小児 成人と同量 タミフル R 成人 1 回 75mg 1 日 1 回 10 日間 小児 イナビル R 成人 1 回 40mg または 1 回 2mg/kg を 1 日 1 回 10 日間 1 回最高用量は 75mg 1 回 20 mg 1 日 1 回 2 日間 小児 <10 歳以上 > 1 回 40mg または 1 回 20 mg 1 日 1 回を 2 日間 <10 歳未満 > 1 回 20 mg 同一部署で複数の患者や職員からインフルエンザの発症がみられた場合 予防 投与を希望する職員には院内感染対策として行うことを考慮するので 感染制御 部に連絡する Ⅲ. 外来での対応 発熱 咳などの上気道症状のある患者には サージカルマスクを着用させ 個室に隔離する ( 個室がない場合は感染制御外来を使用する )

優先診療により インフルエンザ抗原検査を行う サージカルマスクを着用させ 診察後は院内を歩き回ったりしないよう 速やかに帰宅させる Ⅳ. 来院者への注意の喚起 受診患者にはマスク着用の上来院してもらうように病院玄関にポスターを掲示する 有症状者へは総合案内や受付にてサージカルマスクを配布し着用してもらう 病棟入り口に面会者へ院内感染防止のための注意を促すために ポスターを掲示する