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Transcription:

平成 26 年 1 月 15 日 社会保障審議会介護給付費分科会 介護給付費分科会長田中滋殿 社会保障審議会介護給付費分科会 委員内田千惠子 ( 公益社団法人日本介護福祉士会副会長 ) 介護職員処遇改善に関する調査の概要について 平素より公益社団法人日本介護福祉士会へ深いご理解を賜り 厚く御礼申し上げます 私たち介護福祉士は 介護現場で様々な立場から利用者に最も近い専門職として介護保険制度のより良い発展のために尽力してきました 今回 会員に対して標記の調査を平成 22 年度に引き続き実施しました その概要は 別紙のとおりです 介護保険制度の見直しにおいての参考資料として提出いたします 1

別紙 平成 25 年 (2013 年 )12 月 公益社団法人日本介護福祉士会 公益社団法人日本介護福祉士会 介護職員処遇改善に関する調査結果 ( 概要 ) Ⅰ. 調査概要 1. 調査目的平成 21 年度からの処遇改善交付金と平成 24 年度の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善にどのような影響を及ぼしたのか検証し 今後の介護福祉士の処遇改善に向けて 本会が政策提言していくための基礎資料とすることを目的とする 2. 調査対象および調査方法調査対象 : 日本介護福祉士会会員調査方法 :1 日本介護福祉士会ホームページ上で回答する WEB 調査 2 日本介護福祉士会および都道府県介護福祉士会主催の研修参加者に対して研修会場で配布して当日回収 3. 調査期間 平成 24 年 11 月 ~ 平成 25 年 9 月 4. 調査回収数 2,171 件 5. 調査項目 (1) 回答者の属性 (2) 介護職員処遇改善交付金における介護従事者の処遇状況 (3) 介護報酬改定 (4) 介護福祉士の処遇について (5) 介護人材の確保及び定着について 2

Ⅱ. 調査結果概要 1. 介護職員処遇改善交付金における介護従事者の処遇状況平成 23 年以降介護職員処遇改善交付金の申請は半数以上 申請したところで処遇改善が行われたのは9 割にとどまっている 行われた処遇改善としては一時金の支給が最も多い 勤務先施設 事業所における平成 21 年度以降の介護職員処遇改善交付金の申請状況をみると 申請した 割合は平成 21 年度で 37.0% 22 年度で 42.1% 23 年度で 50.1% 平成 24 年度では 50.5% となっている 平成 21 年度 ~23 年度に介護職員処遇改善交付金を 申請した 施設 事業所においては いずれの年度も処遇改善は 9 割にとどまっている 問 9 介護職員処遇改善交付金の申請状況 (n=2171) 申請した 申請しなかった 0% 20% 40% 60% 80% 100% 3.5 平成 21 年度 37.0 31.3 28.1 2.9 平成 22 年度 42.1 26.9 2.8 28.1 平成 23 年度 50.1 22.6 24.5 Q9-1 介護職員処遇改善交付金による処遇改善の実施状況 行われた行われていない 平成 21 年度 n=804 平成 22 年度 n=913 平成 23 年度 n=1088 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2.9 92.2 91.5 91.2 3.0 4.1 0.9 4.2 1.4 2.6 5.1 1.1 3.2 平成 24 年度 50.5 24.5 21.8 各年度に処遇改善が 行われた と答えた人について その処遇改善の内容をみると いずれの年も 一時金が支給された が最も多くなっている 問 9-2 行われた処遇改善について 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 給与表 ( 賃金表等 ) を改定して賃金水準を引き上げられた 定期昇給 ( 毎年一定の時期に施設の昇給制度に従って行われる昇級 ) が実施された 各種手当ての引上げ又は新設された 一時金 ( 賞与 その他臨時支給分 ) が支給された 昇級又は昇進 昇格要件が明確になった 職場での研修計画が示されるようになった 資格取得や外部研修参加に係る費用 ( 一部負担も含む ) を負担してもらえるようになった 腰痛対策やメンタルヘルス等を含めた健康管理面が充実した 出産 子育て 家族等の介護を行う職員への支援強化が図られるようになった 事故やトラブルへの対応に関する業務体制の整備がされた 平成 21 年度 n=804 平成 22 年度 n=913 平成 23 年度 n=1888 年度別行われた処遇改善の内容 カテゴリ 給与表 ( 賃金表等 ) を改定して賃金水準を引き上げられた 定期昇給 ( 毎年一定の時期に施設の昇給制度に従って行われる昇級 ) が実施された 各種手当ての引上げ又は新設された 一時金 ( 賞与 その他臨時支給分 ) が支給された 昇級又は昇進 昇格要件が明確になった 職場での研修計画が示されるようになった 資格取得や外部研修参加に係る費用 ( 一部負担も含む ) を負担してもらえるようになった 腰痛対策やメンタルヘルス等を含めた健康管理面が充実した 出産 子育て 家族等の 介護を行う職員への支援強化が図られるようになった 事故やトラブルへの対応に関する業務体制の整備がされた 平成 21 年度 n=804 16.5 15.4 22.5 57.5 6.3 16.8 13.2 8.5 8.1 7.0 11.7 平成 22 年度 n=913 14.8 15.1 19.6 58.1 6.0 18.5 13.7 8.5 7.9 6.8 13.3 平成 23 年度 n=1888 18.1 17.1 21.1 58.3 8.2 21.6 16.0 10.9 10.1 8.9 12.0 3

2. 平成 24 年度報酬改定後の処遇改善の状況 (1) 処遇改善の状況介護報酬改定後においても 処遇改善が行われているが恒久的なものになっていない 介護報酬改定による処遇改善が行われたかをみると 行われた が 45.3% 行われていない が 13.0% が 30.1% であった 平成 23 年度調査における平成 22 年度の介護職員処遇改善交付金による処遇改善が行われた割合 (69.8%) と比較すると 介護報酬改定により処遇改善が行われた割合が低いことがわかる その処遇改善の内容についてみると 一時金が支給された が 57.6% と最も多く 以下 手当てが増えた (35.6%) 基本給に反映された (10.6%) となっている 平成 23 年度調査と比較すると 一時金が支給された や 手当が増えた 割合は 23 年度調査の方がやや高いものの 特に際立った差異ではないことから 報酬改定後の処遇改善内容も引き続き一時的な内容が中心となり 処遇改善が恒久的なものとはなっていないことが推察される 手当が増えた と答えた 350 人について 引き揚げ又は新設された手当をみると 資格手当 が 30.0% と最も多く 以下 夜勤手当 (22.3%) 職務手当( 役職手当等 ) (19.1%) と続いている 引き揚げ又は新設された手当の その他 の内訳としては 処遇改善手当 ( 処遇手当等 ) が 46.6% と最も多くなっている 問 11 介護報酬改定による処遇改善実施の有無 (n=2171) 11.5% 30.1% 行われた 45.3% 行われていない 13.0% 問 12 平成 22 年度の介護職員処遇改善交付金による処遇改善の有無 H23 年調査 (n=2465) 14.0% 1.6% 行われていない 14.6% 行われた 69.8% 問 11-2 引き上げ又は新設された各種手当 (n=350) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 夜勤手当 22.3% 時間外手当 ( 早朝 深夜 休日等 ) 7.7% 家族 ( 扶養 ) 手当通勤手当職務手当 ( 役職手当等 ) 資格手当その他 0.9% 3.4% 4.3% 19.1% 30.0% 41.7% 4 その他の内訳カテゴリー 件数 % 処遇改善手当 ( 処遇手当等 ) 68 46.6 日常業務に関する手当 ( 皆勤手当 職種手当等 ) 19 13.0 特別手当 臨時手当 調整手当等 11 7.5 交付金 ( 介護処遇改善交付金等 ) 8 5.5 処遇改善加算 4 2.7 その他 13 8.9 23 15.8 全体 146 100.0

(2) 平成 23 年と平成 24 年の給与の状況 介護報酬改定後に全体の平均で 4,410 円上がっている 平成 23 年 9 月と平成 24 年 9 月の月収 ( 月の総支給額 ) をみると 全体の平均では 平成 23 年 9 月が 197,406 円 平成 24 年 9 月は 201,186 円となり 平成 24 年 4 月の介護報酬改定後 全体の平均月収は 4,410 円上がっている 平成 23 年と 24 年の給与額の差を施設 事業所別にみると 介護療養型医療施設 の 1,535 円から 介護老人保健施設 の 8,027 円と 6 千円以上の開きがみられる 平均在籍 H24 年 9 月の H23 年 9 月の今回調査施設 事業所別調査数平均年齢月収の差年数月収月収全体 2,171 41.6 8.3 201,816 円 197,406 円 4,410 円 介護老人福祉施設 647 39.1 8.6 215,946 円 210,641 円 5,305 円 介護老人保健施設 386 36.4 8.1 205,422 円 197,395 円 8,027 円 介護療養型医療施設 106 40.4 8.6 194,944 円 193,410 円 1,535 円 訪問介護事業所 219 50.0 9.3 177,474 円 170,951 円 6,523 円 通所介護事業所 146 43.2 8.1 193,779 円 185,900 円 7,880 円 認知症対応型共同生活介護事業所 144 44.4 7.0 188,720 円 186,237 円 2,484 円 3. 介護人材の状況 (1) 介護福祉士の定着について給与 将来への展望 人間関係 不規則勤務が継続の阻害要因今後の仕事の継続意向については 今後も今の現場で働き続けたいと思う が 50.6% と半数を超え 今後も介護の現場で働き続けたいが 職場を変えたい が 19.2% 介護の現場で働き続けたいとは思わない が 5.6% となっており 介護の仕事自体を辞めたいと思う人は少ない 介護の現場で働き続けたいとは思わない理由は 給与 将来への展望が持てない 労働条件の順となっている 一方 介護の現場で働き続けたいが 職場を変えたい理由としては 給与に次いで職場の人間関係 将来の展望が持てないの順となっており 介護職の継続意向のある人は 給与だけの要因で職を変えたいと思っているわけではないことがわかる 問 17 介護の仕事の継続意向 (n=2171) Q17 介護の仕事の継続意向別現在の職場で働き続けたいと思わない理由 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 8.8% 給与に対する不満 48.4 67.8 15.8% 介護の現場で働き続けたいとは思わない 5.6% 今後も今の職場で働き続けたいと思う 50.6% 夜勤など不規則勤務に対する負担 休暇制度 労働時間など労働条件に対する不満 職場の人間関係等に対する不満 職位 昇級などキャリアパスの仕組みがない 18.5 24.9 21.5 39.7 36.5 43.0 42.7 33.1 今後も介護の現場で働き続けたいが 職場を変えたい (n=417) 今後も介護の現場で働き続けたいが 職場を変えたい 19.2% 能力向上 研修体制が不十分 将来の展望が持てない その他 23.3 15.7 14.6 18.2 42.0 47.1 介護の現場で働き続けたいとは思わない (n=121) 5

(2) 介護福祉士の評価約 3 割が介護福祉士に対して人事面での評価がなされていない 介護福祉士に対する給与手当の加算 人事面での評価の状況をみると 評価が なされている が 55.8% と半数以上を占める一方 なされていない 割合が 29.7% と全体の約 3 割を占めている 評価の内容としては 給与手当の加算 が 78.6% 人事面での評価が 21.2% となっている 23 年調査では 評価が なされている が 61.6% なされていない が 28.0% と なされている 割合が約 5 ポイント低下する一方 なされていない 割合は約 2 ポイント増加しており 23 年調査結果と比較して 介護福祉士に対する人事面での評価は低下しているとみられる 問 16 介護福祉士に対する給与手当の加算 人事面での評価等 (n=2171) 14.5% 問 18 介護福祉士に対する評価 H23 年調査 (n=2465) 10.4% なされていない 29.7% なされている 55.8% なされていない 28.0% なされている 61.6% 問 16-1 介護福祉士に対する評価の内容 (n=1211) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 給与手当の加算 78.6% 人事面での評価 21.1% その他 5.0% 16.7% 問 16-2-2 給与手当の加算の内容 (n=761) 回答者ベース 問 16-2-3 人事面での評価の内容 (n=238) 回答者ベース 2 万 ~3 万円未満 3.0% 1 万 5 千 ~2 万円未満 4.2% 3 万円以上 1.6% 5 千円未満 24.7% 4.6% その他 11.8% 昇給 賞与 32.4% 1 万 ~2 万円未満 22.7% 人事考課 21.8% 5 千 ~1 万円未満 43.8% 昇進 昇格の条件 20.6% 社員への登用の条件 8.8% 6

(3) 職場環境についてキャリアパスの仕組み 労働負担の軽減 人事制度の整備 休暇制度 労働時間の改善が求められている今後のキャリアパスの仕組みの必要性については 必要と 思う との回答が 61.7% となった また 職場に求められる事項について特に重要だと思うことについてみると 職員の増員による業務負担の軽減 が 45.4% と最も多く 以下 賃金体系等の人事制度の整備 (34.0%) 休暇制度 労働時間等の改善 (32.0%) 人材育成環境の整備 (26.7%) と続いている 問 18 キャリアパスの仕組みの必要性 (n=2171) 問 19 職場に求められている特に重要な事項 (n=2171) 24.2% 思わない 2.4% 11.7% 思う 61.7% 賃金体系等の人事制度の整備 非正規職員から正規職員への転換 短時間正規職員制度の導入 昇級又は昇格等の要件の明確化 休暇制度 労働時間等の改善 職員の増員による業務負担の軽減 人材育成環境の整備 資格取得 能力向上のための措置 能力向上が認められた職員への処遇 配置の反映 出産 子育て支援の強化 ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化 事故 トラブルへの対応マニュアル等の作成 介護補助器具等の購入 整備等 健康診断 腰痛対策 こころの健康等の健康管理面の強化 職員休憩室 喫煙スペース等の整備 労働安全衛生対策の充実 業務省力化対策 0% 10% 20% 30% 40% 50% 9.7% 9.0% 25.1% 26.7% 17.1% 21.2% 11.3% 12.9% 4.0% 10.3% 13.1% 8.0% 4.6% 7.7% 9.0% 32.0% 34.0% 45.4% 介護職員処遇改善交付金制度導入から平成 24 年の介護報酬改定による処遇改善状況としては 約半数が 処遇改善が行われたと回答しており一定の成果がみられるが 行われた処遇改善の内容としては 一時金が支給された が 6 割近くと最も高い一方 基本給への反映は 10.6% 定期昇給は 6.9% と 必ずしも恒久的な処遇の改善となっているとはいえない また 介護福祉士の人事面での評価が なされていない 介護福祉士が 3 割近くを占め 平成 23 年調査と比較すると 介護福祉士の人事面での評価はやや低下している 現職の継続意向は約 5 割 介護の現場では働きたいが職場を変えたい人は約 2 割を占める一方 介護職を辞めたい人は 5.6% と 介護の現場を離れたい人は少ない また 介護の現場で働き続けたいが 職場を変えたい 人の理由をみると 介護職の継続意向のある人は 給与だけの要因で職を変えたいと思っているわけではないことがわかる 職場環境については 業務負担の軽減や休暇制度や労働時間の改善といった負荷の軽減を求める一方で キャリアパスや人材育成環境など 自身の介護福祉士としての資質向上も含めた処遇の改善が職場に求められている 介護職員処遇改善交付金が多くの介護保険事業所において活用され また平成 24 年の介護報酬改定による処遇改善も一定の効果が現れているものと考えられる しかしながら 調査結果からも明らかなとおり 給与面や 職場環境において その効果は充分とはいえない 他方 キャリアパスや人材育成環境などの必要性が高いことから 今後 給与 職場環境に加え キャリアパス キャリアラダーの整備 人材育成等が求められる 介護保険制度を持続可能にするためには さらに介護職員の処遇改善を行い 介護人材確保対策を講じるべきであり それを実現できるよう介護報酬の仕組みについて工夫を講ずべきである 7