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2018 年 10 月 23 日第 6 回 (14:15-15:45) 探査に基づく資源量の推定 可採資源量 埋蔵量 回収率 ミニ演習 1

資源量 資源量 (resources) ある地域内に理論的に存在する資源の極限量あるいは将来の探鉱によって付加されると考えられる量 原始資源量 非可採量を含む全量 究極資源量 可採 既発見 + 未発見 未発見資源量 可採 未発見 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termsearch/index.html https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=17151 2

可採資源量 埋蔵量 可採資源量 (recoverable resources) 貯留岩中に存在する資源総量 ( 原始資源量 ) のうち 技術的 経済的に採掘が可能な量 経済的に採掘が可能な量のうち その存在が確からしいものが埋蔵量高 確認埋蔵量 (Proved) 推定埋蔵量 (Probable) 確度の違い 予想埋蔵量 (Possible) 低 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termsearch/index.html https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=17151 3

回収率 可採資源量の原始資源量に対する比率 原油 :30% 前後 溶解ガス押し型 (12 ~ 25%) ガス キャップ押し型 (20 ~ 40%) 水押し型 (20 ~ 60% 以上 ) 天然ガス :60~80% ガス 油 水 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termsearch/index.html 4

資源量と埋蔵量 原始資源量 回収率 = 可採資源量 可採資源量のうち その存在が確からしいものが埋蔵量 石油の埋蔵量が減少するどころか増加しているのは何故か? 技術進歩により回収率が向上している 油価の高騰により 経済的に採掘可能なケースが増えている 新たな貯留岩が発見されている 5

資源量の推定 面積法 探鉱が進んでいない地域や 未探鉱地 広い地域を概略的に推定する場合の手法 油層の単位平面積あたりの炭化水素鉱量をいろいろなデータから推測し 油層全体の平面積に乗じて埋蔵量を推定 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termsearch/index.html 貯留層の面積 : *km 2 単位面積あたりの究極資源量 : bbl/km 2 究極資源量 : bbl 6

資源量の推定 堆積物容積法 主に未探鉱地域についての炭化水素資源量予測の手法の一つ 物理探鉱によって堆積物の総容積の概略が把握されている場合 あらかじめ経験的に定められた単位容積あたりの究極資源量の値を対象地域の堆積物容積に掛けて究極資源量を算出 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/termsearch/index.html 貯留岩の容積 : *km 3 単位容積あたりの究極資源量 : bbl/km 3 究極資源量 : bbl 7

ミニ演習 1 比抵抗検層を行った結果 地層の比抵抗値は 12.8 ohm-m だった この時の油飽和率をアーチーの式を用いて求めよ ただし 孔隙には水と油のみが存在すると仮定し 地層水の比抵抗値を 0.2 ohm-m 孔隙率を 0.25 a=1 m=2 n=2 とする 物理探査の結果 上記の貯留層が 平均層厚 100 m で 100 km 2 の範囲に広がっていることがわかった この時の原油の原始資源量を求めよ ただし 貯留層特性は均質とする 8

問 1 アーチーの式に各値を代入すると SSSS 2 = 1 0.2 =0.25 0.25 2 12.8 ミニ演習 1 解答 SSSS 0 なので SSSS = 0.5 孔隙中は原油と水で飽和されているので 原油飽和率 :SSSS は SSoo = 1 SSSS = 0.5 問 2 貯留岩の容積は 100 100,000,000 = 1.0 10 10 (mm 3 ) 単位体積あたりの原油の割合は 孔隙率 原油飽和率なので 0.25 0.5 = 0.125 貯留層特性は均質と仮定するので 原油の総体積 ( 原始資源量 ) は 1.0 10 10 0.125 = 1.25 10 9 (mm 3 ) 9

具体例 : メタンハイドレートの探査 石油 天然ガス探査と基本は同じ 地震探査 試掘 地震探査で メタンハイドレート特有の反射面を探す メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 10

海底疑似反射面 海底擬似反射面 (Bottom Simulating Reflector: BSR) 周辺の順序良く重なった地層層理面記録とは関係なく延びる音波反射面 海底の反射記録に並行 通常の地層反射面とは反射の性質が異なる ( 専門用語では位相が逆転している ) メタンハイドレート層の最下部を示す メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 11

日本周辺海域におけるメタンハイドレート起源 BSR 分布図 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 12

メタンハイドレート濃集帯の探査手法 BSR( 海底疑似反射面 ) 面積 タービダイト砂泥互層の分布 強振幅反射波 高速度異常 貯留層の体積 検層 コアリング MH の品位 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 13

混濁流により 水深の深い所に運ばれ 堆積した主に陸源の堆積物 海底扇状地 MH は砂の中に存在 砂の容積比率 : ネットグロス比が重要 タービダイト砂泥互層 石油天然ガス 鉱物資源機構用語辞典 https://oilgasinfo.jogmec.go.jp/termsearch/index.html Butler et al., Journal of the Geological Society doi:10.1144/jgs2014-150, Vol. 173, pp. 46 58, 2016 14

地震波の特徴 強振幅反射波 メタンハイドレートを含む地層と含まない地層では物性が異なり 地震探査で用いる音波の反射 伝わり方が異なるため 地震探査記録上で 強振幅反射波 として出現 高速度異常 大水深浅層の堆積物中を音波が進む速度は 1,500-1,700m/s 程度 メタンハイドレート濃集帯を形成するようなメタンハイドレート品位が高い地層では音波が 2,000m/s 以上 地震探査データに特殊な処理を加え 音波の進む速度を導出 周辺の地層よりも高速度であればメタンハイドレート濃集帯の可能性大 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 15

掘削調査 BSR が認められる海域で掘削調査を実施 1999 年度海上基礎試錐 南海トラフ 2003 年度海上基礎試錐 東海沖 ~ 熊野灘 LWD ワイヤーライン検層 コアリング等を実施 高品位の砂質層孔隙充填型メタンハイドレート層を発見 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 16

検層 コアリングの結果例 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 17

検層による品位の推定 比抵抗 電流を流すことで 電気を通さない物質 ( メタンハイドレート ) の割合を推定 密度 照射したガンマ線の拡散を利用して地層密度を推定 孔隙率 飽和率を推定 18

非在来型資源 : メタンハイドレートの資源量評価 メタンハイドレートの商業的な生産は実施されていない 埋蔵量は定義できない 回収率も不明 可採量もわからない 非可採量を含む理論的に存在する極限量 : 原始資源量 19

堆積物容積法を応用 東部南海トラフの資源量評価 メタンハイドレート原始資源量 = 総岩石容積 x ネットグロス比 x 孔隙率 x メタンハイドレート飽和率 x 容積倍率 x ケージ占有率 総岩石容積 : ネットグロス比 : 容積倍率 : ケージ占有率 : メタンハイドレート濃集帯の全体の容積メタンハイドレート濃集帯の中の砂の容積比率理想的なメタンハイドレートが分解したときのガスの体積倍率メタンハイドレートのケージ中のメタン占有率 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 20

メタンハイドレートの構造 メタンハイドレート :Ⅰ 型 単位格子あたり 小ケージ :2 大ケージ :6 の計 8 個のメタン分子を内包 単位格子は 46 個の水分子から構成 CH 4 :H 2 O=8:46 CH 4 5.75H 2 O Sloan, Nature 426, 353 363, 2003 21

容積倍率 理想的なメタンハイドレートが分解したときに発生するメタンの体積倍率 CH 4 5.75H 2 O の場合 172 (0 1 気圧 ) メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/mh/03-2/ 22

ケージ占有率 自然界のメタンハイドレートは すべてのケージにメタン分子が内包されているわけではない ( 空ケージの存在 ) 自然界では ケージの 90 数 % をメタンが占有 CH 4 6.1~6.2H 2 O 1 単位体積のメタンハイドレートから実際に得られるメタンは 160 ~162 23

東部南海トラフにおけるメタンハイドレートの原始資源量 各パラメータの確度も統計的に考慮し算定 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム http://www.mh21japan.gr.jp/pdf/toubunankai_mh-2007.pdf 24

ミニ演習 2 以下のメタンハイドレート貯留層の資源量 (m 3 ) を求めよ 密度検層で測定したハイドレート砂層の密度 :1.9408 kg/m 3 ただし 砂の真密度 :2.6 kg/m 3 水密度 :1.0 kg/m 3 ハイドレート密度 : 0.92 kg/m 3 とし 孔隙は水とハイドレートで飽和されているとする 比抵抗検層で測定したハイドレート砂層の比抵抗値 :7.8125 ohm-m ただし 地層水の比抵抗値 :0.2 ohm-m アーチーの式のパラメータ :a=1 m=2 n=2 とする 物理探査 検層から 貯留層は平均層厚 100 m で 100 km 2 の範囲に分布 ただし ネットグロス比は 0.4 とする ハイドレートの容積倍率は 172 ケージ占有率は 0.95 とする 25

ミニ演習 2 解答 水飽和率 :SSww ハイドレート飽和率 :SSh 孔隙率 :φ とする 孔隙は水とハイドレートで飽和されているから SSSS+ SSS=1 (1) ハイドレート砂層の密度 :1.9408 kg/m 3 は以下の式で求められる 1.9408=2.6 (1-φ) + 0.92 φ Sh + 1.0 φ Sw (2) ハイドレート砂層の比抵抗値 :7.8125 ohm-mをアーチーの式に代入すると SSSS 2 = 1 0.2 (3) φ 2 7.8125 SSSS, SSh, φ 0 なので (1)~(3) を解くと SSSS = 0.4, SSS = 0.6, φ = 0.4 貯留層は平均層厚 100 m で 100 km 2 の範囲に分布し ネットグロス比は 0.4 なので 砂層の体積は 100 100,000,000 0.4 = 4.0 10 9 (mm 3 ) ハイドレートの容積倍率は 172 ケージ占有率は 0.95 なので 資源量 ( メタン量 ) は 4.0 10 9 0.4 0.6 172 0.95=1.56864 10 11 (m 3 ) 26

まとめ 資源の量は 既発見 未発見 技術的な回収可能性 経済的な回収可能性に基づき定義されている メタンハイドレートなど 商業化されていない資源 ( 厳密には資源になる可能性のあるもの ) は 回収の可能性が技術的 経済的に未知であるため 埋蔵量は定義できない 物理探査 検層を通じて資源量を推定し 評価井による調査を通じて埋蔵量としていく 27