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NJU779 絶対最大定格 ( 指定無き場合には Ta= C) 項目 記号 定格 単位 電源電圧 V D D. V 消費電力 P D ( 注 ), 7( 注 ), 9( 注 ), ( 注 ) mw 出力尖頭電流 I O P m A 同相入力電圧範囲 V I C M V S S-. ~ V D D+.

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出力 V [V], 出力抵抗 [Ω] の回路が [Ω] の負荷抵抗に供給できる電力は, V = のとき最大 4 となる 有能電力は, 出力電圧が高いほど, 出力抵抗が小さいほど大きくなることがわかる 同様の関係は, 等価回路が出力インピーダンスを持つ場合も成立する 出力電圧が ˆ j t V e ω

図 2.Cat2 ケーブルの減衰特性 通常伝送線路の減衰特性は 1-1) 式のように 3つのパラメータで近似されます DC 抵抗表皮効果誘電損失 A + f*b + f*c 1-1) ところが仕様書の特性を見ると0~825MHz までは-5dB でフラット 5.1GHz までは直線的な減衰になってい

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絶対最大定格 (T a =25 ) 項目記号定格単位 入力電圧 V IN 消費電力 P D (7805~7810) 35 (7812~7815) 35 (7818~7824) 40 TO-220F 16(T C 70 ) TO (T C 25 ) 1(Ta=25 ) V W 接合部温度

~.15) Nylon12 樹脂 ( 比誘電率 2.1 等組成により異なる 誘電正接.3 等 ) ポリプロピレン樹脂 ( 比誘電率 2.2~2.6 誘電正接.5~.18) ポリカーボネート樹脂 ( 比誘電率 3.1 誘電正接.1) などがある これらのうち 高周波特性に影響する誘電正接が比較的低い材

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. 回路定数の決め方. トランス インピーダンス ゲインを決める p R 00k 5 IG 0p R 00M - F U OPA656 5 フォト ダイオードの等価回路 や,R の値は, フォトダイオードのデータシートから判断します. 図 一般的なトランス インピーダンス アンプ 図 に一般的なトラ

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2. 測定対象物 ( 単層ソレノイド コイル ) 線径 mm の PEW 線を 50mmφ の塩ビパイプに 0 回スペース巻きしてコイルを作製しま した Fig. Single layer coil under test 計算によると (

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アクティブインダクタを用いた コモンモードノイズ低減フィルタ 北海道大学大学院情報科学研究科准教授池辺将之

研究背景 アナログ回路におけるインダクタ 高インダクタ部品は 外付けでサイズが大きい オンチップ用途では インダクタンスとQ 値が低い 開発目標 アクティブインダクタを用いた 小面積 チューナブルな有用回路の実現 ( 本提案 ) 増幅機能も有するコモンモードノイズ低減フィルタ アクティブインダクタ回路 トランスコンダクタンスアンプとキャパシタによりインダクタ動作を模擬する回路 高インダクタンスコイルを LSI 上に高集積化 H(f) インダクタンス値のチューナブル化 チップインダクタ プリント基板用コイル スパイラルインダクタ ミックスド シグナル LSI f 特性のチューナブル化

新技術の基となる研究成果 技術 1 マルチバンド無線 複数の通信規格 周波数帯に対応する無線 単一のI/LSI 上で実現する技術 (So) 成果例 : アクティブインダクタを用いた 広帯域 LNA の開発 マルチバンドレシーバー用 MOS フロントエンドの構成例 マルチバンド無線イメージ 本提案 MIX LPF 成果例 AD RF-BPF LNA 0 90 VO DSP PLL AD MIX LPF

新技術の基となる研究成果 技術 2 提案回路構成試作チップ 200 um 400 um 測定系 TSM 0.18um MOS プロセスにより試作 P D =21.4[mW] @V DD =2.5[V] IIP3=-6.2[dBm] @2.4[GHz] hip Area(ore):0.2mm 0.4mm

新技術の基となる研究成果 技術 3 Forward Transmission Schematic simulation Post layout simulation (PAD + Electromagnetic analysis) Measurement Schematic simulation Post layout simulation (PAD + Electromagnetic analysis) Measurement Measurement 入力反射損失 :S11< -10[dB] 600[MHz]~4.5[GHz] 利得 :S21=10-12[dB] (600[MHz]~4.5[GHz]) 3dB 帯域幅 =5.7[GHz] 回路シミュレーション ポストレイアウトシミュレーション (PAD+ 電磁界解析 ) 測定結果 5

新技術の基となる研究成果 技術 3 Output Reflection oefficient Noise Figure Schematic simulation with noise cancelling Schematic simulation w/o noise cancelling Post layout simulation (PAD + Electromagnetic analysis) Measurement Schematic simulation Post layout simulation (PAD + Electromagnetic analysis) Measurement Measurement 出力反射損失 :S22< -10[dB] (600[MHz]~4.5[GHz]) 雑音指数 :NF=2.9-5.39[dB] (600[MHz]~4.5[GHz]) 回路シミュレーション ( 雑音除去有り ) 回路シミュレーション ( 雑音除去無し ) ポストレイアウトシミュレーション (PAD+ 電磁界解析 ) 測定結果 6

技術内容 ジャイレータ回路 トランスコンダクタンスアンプとキャパシタによりインダクタ動作を模擬する回路 ( アクティブインダクタ ) G m2 V 1 Gm2 等価的に L を実現できる V in 2 1 -Gm1 L Or L -G m1 V 2 Z V I in in s G G m1 m2 Z sl L G m 1Gm2

コモンモードフィルタ 1 コモンモードノイズ除去方法 差動信号処理 V in+ V in- 回路 環境 ( 外来 ) ノイズ = コモンモードノイズ トランス ( 絶縁 ) コモンモードチョーク ( コモンモードフィルタ ) 従来は 受動素子であるコイルを用いて構成 サイズが大きく外付けとなってしまう オンチップインダクタでは 低い周波数に対応不可

コモンモードフィルタ 2 コモンモードノイズ除去方法 アクティブインダクタ回路によるアクティブトランス -Gm1 Gm2 -Gm1 Gm2 トランス ( 絶縁 ) Gm3 Gm3 コモンモードチョーク ( コモンモードフィルタ ) 差動伝送を保持したまま同相ノイズを除去できるアクティブトランスによるコモンモードフィルタを提案

フローティングアクティブインダクタ フローティングアクティブインダクタ V IN_P G m1 G m1 V OUT_P V OUT _ P V IN _ P V OUT _ N V IN _ N 2 1 1 G G m1 m2 V IN_N V OUT_N L G m 1Gm2 G m2 G m2 (G m アンプに損失が無い場合 ) L 等価的には L による 2 次 LPF V IN_P V IN_N L V OUT_P V OUT_N D レベルに注意し 多段接続することで 高次フィルタの設計が可能 ( ラダーフィルタ ) 利得は G m1 と G m2 のバランスで決まる

アクティブトランス フローティングアクティブトランス V IN_P -G m3 G m1 -G m3 G m1 V OUT_P M n p m1 G G 2 m3 G 1 G G m3 m1 m2 G m1 G m2 V IN_N G m2 G m2 -G m3 -G m3 V OUT_N M pn L G G G m 1Gm2 m3 m2 G m1 G m2 V IN_P M p-n V IN_N L L M n-p V OUT_P V OUT_N 差動信号に対して周波数フィルタ 同相信号に対して位相フィルタ コモンモードチョークコイルと等価の働き

アクティブトランス動作 フローティングアクティブトランス G m1 G m1 V IN_P X P V OUT_P -G m2 -G m2 1 -G m 3 -G m 3 -G m 3 -G m 3 G m1 G m1 1 V IN_N V OUT_N X N -G m2 -G m2 差動信号 同相信号 位相の違いを利用して同相信号のみを除去

提案する回路 6 次 L ラダーフィルタ V IN_P L V OUT_P V IN_N V OUT_N L MOS アナログインバータ ジャイレータによるラダーフィルタ 負荷容量 : L =5pF 消費電力 :14.8mW@V DD =2.5V DMFB&DMFF=0.6mW, MFB 用オペアンプ =3mW, ジャイレータ =11.2mW

OUTPUT Voltage [V] Gain [db] INPUT Voltage [V] 提案フィルタの静特性と動特性 A 解析結果 ( ゲイン ) 過渡解析結果 0.03 0.02 0-50 差動信号 0.01 0-0.01-100 -150-200 同相信号 -0.02-0.03 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [110-6 ] 1.19-250 10 5 10 6 10 7 10 8 10 9 Frequency [Hz] MRR=80dB ( 差動信号を保持した状態 ) 1.2 同相信号のみ除去できることを確認 1.21 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 [110-6 ] Time [s]

IFtone/IMD Power [dbm] Vnoise [V] 提案フィルタの線形性とノイズ HB シミュレーション結果 A ノイズ解析結果 0 [110-6 ] -50 1-100 -150 0-50 -40-30 -20-10 0 Input Power [dbm] IIP3=8.8 [dbm] @Differential Gain=0.3 db 10 5 10 6 10 7 10 8 10 9 Frequency [Hz] Output Vnoise=103 nv/hz 1/2 @100kHz 15

400 um チップ写真 6 次 L ラダーフィルタ 700 um

新技術の特徴 従来技術との比較 従来技術では サイズが大きい オンチップ化しても 低い信号周波数 電磁放射による信号損失が大きい問題点があった 差動信号増幅器を用いる場合 出力端子は単相となってしまうため 最終段の出力としてのみの適用範囲となる 本技術の適用により コモンモードノイズを除去し ノーマルモードに対しては高周波ノイズ除去を行い さらには利得と周波数帯域の可変特性機能を持たせることができる

想定される用途 本技術を無線受信機のフィルタ部に適用することで 受信機全体の雑音耐性を大きく高め 後段の AD 変換器に対する要求性能を緩和できる 同様にセンサ信号のフィルタ部への適用も可能である MOS プロセスにより設計されているため 外付けフィルタを必要とせず アナログ ディジタル混載集積に適している

想定される業界 アナログ デジタル集積回路 無線通信分野 ( 携帯電話 無線 LAN 等 ) センサ用途

実用化に向けた課題 現在 性能指標については シミュレーションで確認している 回路は試作済みである 今後 試作チップの詳細な動作 検証を行う 実用化に向けて 実検証 シミュレーション結果を考慮しながら 製造バラツキ等に強固な設計手法を確立する

企業への期待 コモンモードチョークコイルは非常に大きい オンチップインダクタでは 低周波で面積が大きく かつ信号損失が大きい 本発明はそれらを解決する 無線通信関連企業 センサ分野への展開を考えている企業には 本技術の導入が有効と思われる よって 本発明を商用利用して下さる技術移転先を希望する

本技術に関する知的財産権 発明の名称 : アクティブコモンモードフィルタ 出願番号 : 特願 2011-155167 出願人 : 北海道大学 発明者 : 池辺将之 近藤亮

産学連携の経歴 2006 年 -2008 年 NEDO 若手研究グラントに採択 2007 年 -2008 年 JST シーズ発掘試験に採択 2005 年 -2012 年 A 社と共同研究実施

お問い合わせ先 北海道大学 国際戦略スタッフ田中紗奈 国立大学法人北海道大学産学連携本部 001-0021 札幌市北区北 21 条西 10 丁目 TEL : 011-706-9554, 9551( 代表 ) FAX : 011-706-9550 MAIL : sana@mcip.hokudai.ac.jp URL : http://www.mcip.hokudai.ac.jp