実践事例 学校名 ( 世羅町立せらひがし小学校 ) テーマ ( 道徳的行為に関する体験的な学習 ) 1 学年第 1 学年 2 主題名 友達と助け合って (B(9) 友情, 信頼 ) 3 ねらい相手の気持ちを考え, 友達と仲よくすることは, 自分も友達も気持ちがいいことを理解し, 友達の気持ちを考えて仲よくし, 助け合おうとする心情を育てる 4 教材名 しっぱいしたって ( 出典 : きみがいちばんひかるときどうとく 1 年 光村図書 ) 5 本時の主題について 本主題は, 小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編 に示された内容項目 (B 友情, 信頼 ) の概要の 友達と仲よくし, 助け合うこと に基づくものである これは, 第 3 学年及び第 4 学年で は, 友達と互いに理解し, 信頼し, 助け合うこと, 第 5 学年及び第 6 学年では, 友達と互いに 信頼し, 学び合って友情を深め, 異性についても理解しながら, 人間関係を築いていくこと に繋が っていく 友達は, 家族以外で特に深い関わりのある存在である 友達関係は, 遊びや学習など多くの場面で影 響し合って構築されるものである 友達とよりよい人間関係を築いていくためには, 互いを認め合い, 理解し合い, 協力し助け合うことが大切である しかし, この時期の児童は自己中心的なところがまだ 強く, 友達と仲よく遊びたいと思う反面, 相手のことをよく考えないような言動をとってしまうことも ある そこで, 自分のことばかり考えず, 相手の気持ちになって考え, 友達と仲よくし, 助け合おうと する心情を育てたいと考え, 本主題を設定した 6 本時の主題に係る児童生徒の実態について 本学級の児童は, 内容項目 (B 友情, 信頼 ) を中心に, 関連項目 (A 善悪の判断, 自律, 自由と責任 ), (C 公正, 公平, 社会正義 ) を関連させた総合単元的道徳学習プログラムを通して, 遊びや学習の中で 友達とかかわることを通して, 自分や友達のよさを見つけ, 友達と仲よくし, 助け合おうとすることの 大切さについて考えてきた 児童は, 新しく始まった小学校生活に期待を膨らませて意欲的に楽しんで生活している 1 学期は, 初めて出会う友達, 初めての活動に対して不安を感じ, 緊張してしまう児童がいたが, だんだん学校生 活にも慣れ, 友達との関わりが増えてきた その中で, 困った時に助けたり, 助けられたりする経験も している また, 友達を傷付けるような言動をしてしまう時があるが, きちんと反省し, 謝ることがで きている 友達との関わり方 についてアンケート調査を行ったところ, 次のような結果になった 実施日 7/23 実施人数 22 人 1 国語の時間, 上手く音読をすることができず, 止まってしまった友達がいたら, どうするか 教えてあげる (11 人 ) 助けてあげる (3 人 ) 間違えてもいいよと言う (1 人 ) 頑張れと言う (1 人 ) 次, 頑張ればいいよと言う (1 人 ) 大丈夫だよと言う (1 人 ) 先生は怒らないよと言う (1 人 ) もっと大きな声で言おうと言う (1 人 ) 何もしない (2 人 ) 2 友達と仲良くするためには, どんなことが大切だと思うか いじめないこと (4 人 ) 一緒に遊ぶこと (3 人 ) 口で言うこと (2 人 ) 喧嘩をしないこと (2 人 ) 優しくすること (1 人 ) 仲間外れにしないこと (1 人 ) 誘ってあげること (1 人 ) きまりを守ること (1 人 ) 分からない (7 人 )
質問 1 から, 児童は, 友達のことを気遣った行動を取ろうとしていることが分かる 質問 2 で は, 分からない と回答した児童が 7 人いた この児童らは, 友達とどう接したら良いか, 分かってい ないと思われる 授業中に, 間違えたり失敗したりした友達をからかったり, 笑ったりするような言動 は見られないが, 休憩時間などに友達を傷つけてしまうこともある 思い通りにいかないと腹を立てた り, 思ったことをすぐに口に出したりするといった友達のことを考えない自己中心的な言動は, まだ相 手の気持ちを考えた行動が大切だということが, 十分理解できていないことの現れだと考えられる この学習を通して, 自分のことだけでなく, 友達の気持ちを考えて行動できるようになってほしいと 考える 7 教材について 本教材は, 算数の時間, 問題に答えられないひろみさんを, だいすけくんが相手の気持ちを十分考え られないまま, からかってしまう 次の日, だいすけくんは得意なこま回しがうまくできずに周りから からかわれるが, ひろみさんが助けてくれたことを通して, 昨日のできごとを思い出し, ひろみさんを 傷つけてしまっていた自分に気付き, 仲直りしようとするという内容である 登場人物 2 人の言動を通 して, 相手の気持ちを考え, 友達と仲よくし, 助け合うことの大切さに気付かせることができる 8 指導過程の工夫 1 テーマに係っての工夫 だいすけくん の変容を中心に学習する 展開前段では, へただなあ と言われている場面で 動作化を取り入れ, いやなことを言われている場面を体験させることで, 実感を伴いながら, その時の気持ちを考えられるようにする そして, 学習したことを基に, 展開後段では, 体験的な学習として役 割演技をさせる だいすけくん になり, 助けてくれた ひろみさん にどのように声かけをするか を考えさせることで, 自分事として, 友達と仲よくし, 助け合うことの大切さに気付かせ, 日常の生活 場面につながるようにする 2 発問の工夫 中心発問では, 昨日のことを思い出してはっとしただいすけくんが どんなことに気付いたか を考 えさせる 自分がひろみさんを傷つけてしまっていたこと, それでもひろみさんは自分をかばってくれ たことなど, だいすけくんが気付いたことを考えさせることにより, 友達と仲よくし, 助け合うことの 大切さに気付かせる 解きほぐしの発問として, 下校の時間に, だいすけくんはひろみさんにどのような話をしたのかを問 い, ひろみさんに助けてもらってうれしかっただいすけくんの気持ちを考えることを通して, 友達を助 けると相手に喜んでもらえることにも気付かせる 3 導入 展開 終末の工夫 導入では, アンケート結果を提示し, ねらいとする道徳的価値への方向付けを行うとともに, 友達 と仲よくするためには, どうしたらよいか という課題意識を持たせる 展開前段では, 答えられないひろみさんをからかうだいすけくんの気持ちやこま回しができなくてか らかわれるだいすけくんの気持ちを動作化して考えさせることで, 相手の気持ちを考えない言動は, 人 を傷つけることに気付かせる 中心発問では, 昨日のことを思い出してはっとしただいすけくんが どんなことに気付いたか を考 えさせることを通して, 友達と仲よくし, 助け合うことの大切さに気付かせる その際, ワークシート に書かせることで, 自分の考えをはっきり持たせる また, 多くの人と関わり, 様々な考えに触れさせ
るためにペアトークを取り入れる 展開後段では, だいすけくんの立場で役割演技をさせることで, 実際にどのような言葉をかけるのか を考えさせ日常の生活場面につながるようにする 終末では, 自分との 新しく分かったことや考えたこと, 今の自分について振り返り, これから生かしたいこと という 2 つの視点で振り返らせることで, 自分とのかかわりで本時の学習が振り返られるようにする 9 準備物場面絵, 中心発問やキーワードのカード, ワークシート, 感情カード ( 顔のカード ) 10 授業の展開例 導 入 展 開 学習活動 1 アンケート 結果から, 課題 意識を持つ 2 教材を読み, 友達との接し方について話 し合う 主な発問と予想される児童の心の動き ( 中心発問 ) 友達と仲よくするためには, どん なことが大切だと思いますか いじめないこと 一緒に遊ぶこと 算数の時間, ひろみさんに, そ んなのもわからないの と言った とき, だいすけくんはどんな気持ち だったでしょう 簡単なのにな 早く答えたらいいのに ぼくはすぐ答えられるのに, どうし て分からないの 指導上の留意点 ( 評価の観点 ) アンケート結果を活用するこ とで, 友達 についての課題意 識につなげる ともだちとなかよくするためには, どうしたらいいだろう 全文を範読後, 場面ごとに再 度範読することにより, 教材理 解を図る そんなの とはどんなもの かを確認することにより, だい すけくんの気持ちを考えやすく する だいすけくんの気持ちを考え させることにより, 自分本位の 言動をしていて, 言われたひろ みさんの気持ちを考えていない ことに気付かせる 顔を赤くしているひろみさん はどんな気持ちでいるかを確認 することにより, だいすけくん の言葉に傷ついているひろみさ んの気持ちにも気付かせる 生活の時間に へただなあ と言われただいすけくんは, どんな気持ちだったでしょう いつもならできるのに うまくいかないことを周りから責められたときの気持ちを考えさせることにより, だいすけくんの気持ちに共感させる
そんなこというなんて, ひどいよ できなくて恥ずかしいな へただなあ と言われている場面を動作化させることにより, いやなことを言われている場面体験をさせ, その時の気持ちを考えられるようにする 昨日のことを思い出しただいすけくんは, はっとしてどんなことに気付いたのでしょう ぼくは, ひろみさんにひどい言葉を言っていたんだ ひろみさんは, ぼくを助けてくれたんだ ありがとう ひろみさんは優しいな ぼくもひろみさんみたいになりたいな ぼくもひろみさんみたいに優しく助けてあげたらよかった 場面理解を図るために, 昨日 のこと について確認する 昨日のことを思い出してはっ としただいすけくんの気持ちを 考えさせることにより, 友だち に優しくしたり, 友達を助けた りするなど友達の気持ちを考え て行動することの大切さに気付 かせる ワークシートに書かせた後, ペアトークを行う 考えを交流した後, 比べたり, 質問したり, 感想を伝えたりさせることによ り, 自分の考えを深めさせる キーワード 下校の時間に, だいすけくんはひろみさんにどんな話をしたのでしょ う 昨日は, ひろみさんの気持ちを考え ずにひどいことを言ってごめんね もう昨日みたいなことは言わないよ 今日は, 助けてくれてありがとう 友達にやさしくする 友達を助ける 友達の気持ちを考えて行動する 解きほぐしの発問として, ひ ろみさんに助けてもらってうれ しかっただいすけくんの気持ち を考えることにより, 友達を助 けると相手に喜んでもらえるこ とにも気付かせる 役割演技をさせる どんな言 葉をどのようにかけるかを考え させることにより, 生活に結び つくようにする 友達と仲よくするためには, どう したらいいと思いますか 教材を通して学習したことを もとに, 本時の課題について考
4 ふり返りをする 終末 11 板書例 友達に優しくする 友達の気持ちを考えて, 行動をする 友達が嫌がることをしない 今日の学習をふり返りましょう 友達と仲よくするには, 友達の気持 ちを考えて行動したらいいことが分 かった 今までは, 友達の気持ちを考えず, すぐに思ったことを言っていたけ ど, これからは友達の気持ちを考え て行動したい えさせることにより, 自分なり の考えをもたせる 自分の生活をふり返り, 自分 が仲よくできてうれしかった経 験なども話させる 1 今日新しく分かったこと, 考えたこと 2 今の自分について ふり返り, これから生かしたい こと という視点を明確にして ふり返らせる ワークシートに ともだちと なかよくするには という書き出しを示すことにより, ふり返 りを書きやすくする 友達の気持ちを考えて, 仲よ く助け合うことの大切さに気付 いている ( ワークシート )
20 しっぱいしたってしっぱいしたってしっぱいしたってしっぱいしたって きのうのことをおもいだしただいすけくんは, はっとしてどんなことにきづいたのでしょう きょうのがくしゅうをふりかえりましょう ともだちとなかよくするには, 12 ワークシート