ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

Similar documents
シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン

テイカ製薬株式会社 社内資料

2.0 概要治験情報 : 治験依頼者名 : 武田薬品工業株式会社 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号 治験課題名 : 健康成人男性を対象に TAK-536TCH の最終製剤を単回経口投与したときの食事の影響を検討する第 1 相無作為化非盲検クロスオーバー試験 治験課題名の短縮

記載データ一覧 品目名 製造販売業者 BE 品質再評価 1 マグミット錠 250mg 協和化学工業 2 酸化マグネシウム錠 250mg TX みらいファーマ 3 酸化マグネシウム錠 250mg モチダ 持田製薬販売 # 4 酸化マグネシウム錠 250mg マイラン マイラン製薬 # 5 酸化マグネシ

解析センターを知っていただく キャンペーン

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

医療用医薬品最新品質情報集 ( ブルーブック ) 初版有効成分リトドリン塩酸塩 品目名 ( 製造販売業者 ) 後発医薬品 品目名 ( 製造販売業者 ) 先発医薬品 効能 効果用法 用量添加物 1) 解離定数 (25 ) 1) 溶解度 (37 ) 1 ウテロン錠 5mg サンド 2

目次 生物薬剤学試験及び関連する分析法 背景及び概観 製剤開発過程 バイオアベイラビリティ メマンチン塩酸塩の絶対バイオアベイラビリティ メマン

<4D F736F F F696E74202D A975E82C982E682E992E188DD8E5F94ED8CB18ED282F096CD82B582BD97D58FB08E8E8CB18FF08C8F82CC8D5C927A2E707074>

Microsoft Word - 第14回定例会_平田様_final .doc

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

を評価し 治療効果を指標に用いる課題を明らかにした 次に第二部では 第一部で明らかにした知見を踏まえ 新規に開発した抗 HIV 治療薬の PK/PD を考慮し 臨床効果の同等性を評価するバイオマーカーとして血中濃度を選択し 臨床試験のデザイン及び適切な統計手法に基づく評価法を構築した 更に第三部では

<4D F736F F F696E74202D D95698EBF B C8B4B8A698E8E8CB181698D828BB4816A44325F D9770>

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

(別 添)

添付文書の薬物動態情報 ~基本となる3つの薬物動態パラメータを理解する~

添付文書がちゃんと読める 薬物動態学 著 山村重雄竹平理恵子城西国際大学薬学部臨床統計学

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

使用上の注意改訂のお知らせ スピーゲル


タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

記載データ一覧 品目名 製造販売業者 BE 品質再評価 溶出 検査 1 ジフェニドール塩酸塩錠 25mg CH 長生堂製薬 * 2 シュランダー錠 25mg 鶴原製薬 * 3 ジフェニドール塩酸塩錠 25mg TYK 武田テバ薬品 * 4 ジフェニドール塩酸塩錠 25mg タイヨー 武田テバファーマ

8 A B B B B B B B B B 175

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

減量・コース投与期間短縮の基準

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

Microsoft Word - sa_niflec_ doc

第2章マウスを用いた動物モデルに関する研究

Microsoft Word _2180AMY10104_K104_1.doc

5 がん化学療法に附随する消化器症状への対応 下痢, 便秘および 重篤な消化管症状への対応 後藤歩, 小栗千里, 光永幸代, 市川靖史 小林規俊, 前田愼, 遠藤格

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード]

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

トリアムシノロンアセトニド マキュエイド硝子体内注用 40mg 医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請書 添付資料 CTD 第 2 部 ( 資料概要 ) 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 薬物動態試験の概要文 わかもと製薬株式会社 1

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

スライド 1

Microsoft Word 各試験まとめ01赤.doc

現況解析2 [081027].indd


デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

検査項目情報 1171 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090. トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブユニット ) トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブ

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

医療用医薬品最新品質情報集 ( ブルーブック ) 初版 有効成分 ニカルジピン塩酸塩 品目名 ( 製造販売業者 ) 1 ニカルジピン塩酸塩徐放カプセル20mg 日医工 日医工 後発医薬品 2 ニカルジピン塩酸塩徐放カプセル40mg 日医工 日医工 品目名 ( 製造販売業者 )

「中小企業・ベンチャー挑戦事業の内実用化研究開発事業」の進め方について

検査項目情報 γ-gtp ( ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ ) [ 血清 ] gamma glutamyl transpeptidase 連絡先 : 3487 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 3B090 分析物 γ-

菌種 報告年 株数 MIC(μg/mL) Range MIC50 MIC > ( 幾何平均 ) C.tropicalis >

数理システムユーザーコンファレンス (Fri) 医薬品の臨床薬理試験におけるモデリング & シミュレーションー S-PLUS とほかのソフトウェアの連携ー サターラ合同会社笠井英史

Ⅰ One-compartmentmodel( 静脈内急速投与 ) [ シミュレーション実験上の全般的注意点 ] 実習書をよく読み 適切な器具 ( フラスコ, メスシリンダー ) を使用する の流速を 実際の実験状態に近い位置で 別々にしっかりと合わせる ( 最低 3 回 ) 精製水の補給用のチュー

Microsoft Word - 第14回定例会_金納様_final.doc

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

負荷試験 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時 )

検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

TDM研究 Vol.26 No.2

™…0ケ0ン0?トyム[f}

Microsoft Word - オーソ_201302_Final.docx

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

検査項目情報 1174 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090.HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) Department of Clinical Lab

審査報告 (1) 別紙 平成 29 年 4 月 3 日 本申請において 申請者が提出した資料及び医薬品医療機器総合機構における審査の概略等は 以下 のとおりである 申請品目 [ 販売名 ] ジャドニュ顆粒分包 90 mg 同顆粒分包 360 mg [ 一般名 ] デフェラシロクス [ 申請者 ] ノ

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

Microsoft Word - 茬çfl�宛玺0618第1å‘·_æŠ¥èŒ¬é•£å®łã†¦é•ıç�¥ï¼‹ã…¡ã…‹ã…łã…«ã…�ㅳ;.doc

14栄養・食事アセスメント(2)

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

<4D F736F F D2082A8926D82E782B995B68F E834E838D838A E3132>

検査項目情報 6475 ヒト TARC 一次サンプル採取マニュアル 5. 免疫学的検査 >> 5J. サイトカイン >> 5J228. ヒトTARC Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 thymus a

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

JUSE-StatWorks/V5 活用ガイドブック

本書の読み方 使い方 ~ 各項目の基本構成 ~ * 本書は主に外来の日常診療で頻用される治療薬を取り上げています ❶ 特徴 01 HMG-CoA 代表的薬剤ピタバスタチン同種同効薬アトルバスタチン, ロスバスタチン HMG-CoA 還元酵素阻害薬は主に高 LDL コレステロール血症の治療目的で使 用

検査項目情報 6158 CK アイソザイム 一次サンプル採取マニュアル 3. 生化学的検査 >> 3B. 酵素および関連物質 >> 3B025.CKアイソザイム Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital Ver.6 cr

PowerPoint プレゼンテーション

目次 1. 総合評価 1 2. 湿度に対する安定性 2 3. 温度に対する安定性 4 4. 光に対する安定性 6 5. 粉砕時の安定性 8 総合評価分類 分類 分類基準全ての試験項目で変化を認めないいずれかの試験項目で 規格内 の変化を認めるいずれかの試験項目で 規格外 の変化を認める 評価基準 外

この試験情報は一般公開のみを目的に作成されたものです この試験情報はあくまで単一の試験から得られた結果であり この試験の医薬品から得られるすべての情報を基にした全体的なベネフィットとリスクを反映したものではない可能性があります 医療関係者の皆様は 武田薬品の医薬品のご使用にあたり 必ずそれぞれの国ま


検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

参考1中酪(H23.11)

2.0 概要 治験情報 : 治験依頼者名 : 武田薬品工業株式会社 (TPC) 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号 治験課題名 : びらん性食道炎の患者を対象にした TAK-438 の 20 mg を 1 日 1 回経口投与したときの有効性及び安全性を 1 日 1 回経口投与

スライド 1

EBNと疫学

2.7.3(5 群 ) 呼吸器感染症臨床的有効性グレースビット 錠 細粒 表 (5 群 )-3 疾患別陰性化率 疾患名 陰性化被験者数 / 陰性化率 (%) (95%CI)(%) a) 肺炎 全体 91/ (89.0, 98.6) 細菌性肺炎 73/ (86

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

講義「○○○○」

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

検査項目情報 1208 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital 一次サンプル採取マニュアル 3. 生化学的検査 >> 3B. 酵素および関連物質 >> 3B190.PSTI ( 膵分泌性トリプシンインヒビター ) PS

検査項目情報 P-ANCA Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital 一次サンプル採取マニュアル 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G552.P-ANCA Ver.7 perinucl

血球数算定 ( 血算 ) NTT 東日本関東病院臨床検査部 栗原正博

豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

セレコキシブ 臨床概要 個々の試験のまとめ アステラス製薬株式会社ファイザー株式会社 医薬品第一部会用資料

13章 回帰分析

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

Transcription:

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル 1mg は 1 カプセル中ロペラミド塩酸塩 1 mg を含有し消化管から吸収されて作用を発現する このことから 吸収により作用を発現する製剤の生物学的同等性試験を目的としてロペミン カプセル 1mg( ヤンセンファーマ株式会社 ) に対するロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK ( 辰巳化学株式会社 ) の 2 剤 2 期のクロスオーバー法により健康な成人男子に経口投与したときのロペラミドの血中濃度を測定し AUCtおよび Cmaxについて比較検討した 1) Ⅰ. 試験方法 1. 治験薬試験製剤としてロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK ( 辰巳化学株式会社 )( 以下 試験製剤 という ) を 標準製剤としてロペミン カプセル 1mg( ヤンセンファーマ株式会社 )( 以下 標準製剤 という ) を用いた 2. 被験者健康な成人男子志望者の中から 事前の健康診断および臨床検査において臨床的に問題がないと判断された 14 名を被験者とした 被験者の年齢および体重を Table 1 に示した 3. 実験計画投与スケジュールを Table 1 に示した 試験は 2 群 2 期のラテン方格法により行い 休薬期間は 9 日間とした また被験者 14 名は 7 名ずつの 2 群に無作為に割り付けた 4. 投与方法および投与量投与スケジュールに従い 各製剤とも 6 カプセル ( ロペラミド塩酸塩 6 mg) を水 18 ml と共に服用した なお投与前 1 時間および投与後 4 時間は絶食とした 5. 血液試料採取方法血清中薬物濃度測定用の採血は 投与前 投与後 2 4 6 8 1 12 24 3 36 および 48 時間の計 11 回行った 真空採血管を用いて採血後 冷蔵庫内で一晩放置して 遠心分離し血清を得た 血清は分析時まで凍結保存した 6. 測定対象物および測定方法ロペラミドを測定対象として RIA 法により測定した 7. データ解析生物学的同等性を検討する比較項目として AUCtおよび Cmaxを用いた AUCtは台形法により Cmaxは血清中ロペラミド濃度の最高実測値とし算出した 統計解析は ラテン方格法の分散分析を行い 実験精度および試験製剤と標準製剤との差の標準製剤に対する比率の 95% 信頼区間を算出し 同等性の判定は江島らの報告 2-4) に従った Table1 投与スケジュール投与スケジュール年齢体重被験者休薬 ( 歳 ) (kg) Ⅰ 期 Ⅱ 期期間 1 24 55 2 2 64 試験標準 3 22 65 製剤製剤 4 2 65 5 2 67 6 23 72 9 7 2 74 日 8 22 6 間 9 25 65 標準試験 1 23 68 製剤製剤 11 22 69 12 19 71 13 26 73 14 31 77 Ⅱ. 結果試験製剤と標準製剤投与後の平均の時間的推移を Fig 1 および Table 2 に 各被験者における推移を Fig 2 および Fig 3 に 薬物動態パラメータについては Table 3 に示した 試験製剤および標準製剤における AUCt の平均値は 274.4±166.5 pg hr/ml 2697.±172.9 pg hr/ml であり Cmaxの平均値は 167.3±64.3 169.6±72.1 であった AUCtにおける試験製剤と標準製剤の差の標準製剤に対する比率は.27 % であり Cmaxの比率は 1.35 % であった また 試験製剤および標準製剤における Tmaxの平均値は 5.57±1.79 hr 7.±7.9 hr であり T1/2 の平均値は 12.72±1.2 hr 19.72±23.74 hr であった 分散分析の結果を Table 4 に示した AUCtおよび Cmax にはいずれも有意水準 1 % で群又は持込効果に有意差は認められなかった また時期および薬剤においても AUCt Cmax にはいずれも有意水準 5 % で有意差は認められなか

った 実験精度を Table 5 に示した 有意水準を 5 % としたときの AUCtの実験精度は 最小検出差を 2 % としたときの件出力が 77.98 % であり 検出力を 8 % としたときの最小検出差は 2.53 % であり 最小検出差 2 % 検出力を 8 % 以上とするために必要な最小被験者例数は 16 名 (1 群 8 名 ) であった 一方 Cmax の実験精度は検出力が 97.91 % 最小検出差は 13.12 % であり 最小被験者例数は 8 名 (1 群 4 名 ) であった AUCtおよび Cmaxについて 試験製剤と標準製剤との差の標準製剤に対する比率の 95% 信頼区間を Table 6 に示した AUCtの 95 % 信頼区間は ±16.95 % であった 一方 Cmaxの 95 % 信頼区間は ±11.13 % であった Ⅲ. 考察試験製剤および標準製剤の経口投与後における血中濃度を測定し比較検討した 分散分析の結果 AUCtおよび Cmaxのいずれにおいても群又は持込効果がなかったことより 本実験における 2 群 2 期のラテン方格法は適切であったと判断された AUCtにおける試験製剤と標準製剤との差の標準製剤に対する比率は.27 % であり Cmaxでは 1.35 % であった 従って いずれも 2 % 以内であり十分に基準を満たしていた 統計学的に生物学的同等性を保証するためには 製剤間に有意差がなく 更に一定の実験精度を持つことが必要である そこで生物学的同等性に関する基準では 分散分析の検定を有意水準 5~1 % として行い そのときの実験精度は検出力 8 % 以上 最小検出差が 2 % となることが望ましいとされている AUCt においては検出力が 77.98 % 最小検出差は 2.53 % であり Cmaxでは検出力が 97.91 % 最小検出差は 13.12 % となり AUCtにおいて基準にやや満たなかった また AUCtの 95 % 信頼区間は ±16.95 % であり Cmax では ±11.13 % となり ±2 % の範囲内にあり実験精度の点で十分に基準を満たしていた AUCtでやや基準に満たなかったが これは吸収された薬物の大部分が代謝されて胆汁中に排泄され血中への移行が少なく極めて微量となり また腸管腔および肝臓における薬物代謝能の個体差が血中濃度に大きく影響することによるものと考えられる しかし 本剤は腸管に直接作用してその蠕動を抑制する薬剤で重篤な副作用も少なく比較的安全であり また Cmax では基準を満たしていたことから AUCtでみられたわずかなバラツキは 臨床上特に問題にならないものと考えられる 以上のことより ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK と標準製剤は生物学的に同等であると判断された Fig 1 平均推移

Table 2 ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK および標準製剤の平均 () 薬剤名 2 4 6 8 1 12 24 3 36 48 ロペラミド塩酸塩 平均値 119. 133.4 141.1 122.3 14.1 75.8 27.7 4. 32.6 25.3 カプセル 1mg TCK ±S.D. 67.2 76.9 73.8 64.5 6.8 47.7 32.6 47. 35.6 3.7 標準製剤 平均値 123.4 125.9 143.1 16.7 88.5 69.3 34.7 38.9 36. 27.9 ( カプセル剤 1mg) ±S.D. 74.6 83.9 85. 62. 63.7 42.4 42.4 51.4 45.6 41.5 (n=14) Fig 2 各被験者における推移 ( 試験製剤先行群 ) 血清 中 濃 度 被験者 No.1 被験者 No.2 被験者 No.3 被験者 No.4 被験者 No.5 被験者 No.6 被験者 No.7

Fig 3 各被験者における推移 ( 標準製剤先行群 ) 被験者 No.8 被験者 No.9 被験者 No.1 被験者 No.11 被験者 No.12 被験者 No.13 被験者 No.14 Table 3 ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK と標準製剤の AUCt Cmax Tmax および T1/2 薬剤名ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK 標準製剤 ( カプセル剤 1mg) AUCt (pg hr/ml) 274.4± 166.5 2697.± 172.9 Xt-Xs /Xs (%) Cmax () Xt-Xs /Xs (%) T max.27 167.3±64.3 1.35 5.57±1.79 12.72±1.2 (hr) T 1/2 (hr) 169.6±72.1 7.±7.9 19.72±23.74 ( 平均値 ±S.D.,n=14)

Table 4 分散分析の結果 パラメータ 変動要因 自由度 平方和 平均平方 分散比 検定 被験者間変動 13 69726892 536367 17.417 * 群又は持込効果 1 119194 119194.29 被験者 / 群 12 68535798 5711316 18.546 * AUCt 時期 1 11869 11869.385 薬剤 1 379 379.1 残差 12 3695513 37959 総変動 27 73541474 被験者間変動 13 11361.86 8697.7 17.498 * 群又は持込効果 1 531.57 531.57.57 被験者 / 群 12 11253.29 9377.52 18.867 * Cmax 時期 1 234.14 234.14 4.636 薬剤 1 36.57 36.57.74 残差 12 5964.29 497.2 総変動 27 121366.86 F.5( 1,12)=4.747 F.5(12,12)=2.687 F.5(13,12)=2.66 F.1( 1,12)=3.177 *:P<.5 :P<.1 Table 5 実験精度 パラメータ 検出力 1-β 最小検出差 必要被験者例数 =2 % 1-β=8 % 1-β 8 % =2 % AUCt 77.98 % 2.53 % 8 Cmax 97.91 % 13.12 % 4 Table 6 ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK と標準製剤の対数値の平均値の差の 95% 信頼区間 パラメータ 95 % 信頼区間 AUCt ±16.95 % Cmax ±11.13 % 1) 辰巳化学株式会社社内資料 2) 江島昭他 : 生物学的同等性の試験方法についての解説. 医薬品研究 13:116-1119,1982 3) 江島昭他 : 生物学的同等性の試験方法についての解説 統計解析その 2. 医薬品研究 13:1267-1271, 1982 4) 江島昭他 : 生物学的同等性の試験方法についての解説 統計解析その 3. 医薬品研究 15:123-133,1984