測量学の基本事項 実際のジオイド面 地球の形 ( 測地学的見地 ) ジオイド (geoid): 平均海面を陸地にまで延長したと仮定したときの全地球を覆う仮想的海面. 28 地球全体のジオイド 29 回転楕円体 地球楕円体 扁平率 : 短径長径 b f = 離心率 : e = 2 b 2 地球の形状を回転楕円体で近似したもの 地心座標系 : 地球の重心と地球楕円体の中心を一致させた座標系. 地球全体のジオイドにフィットさせた場合, 最大で楕円体表面とジオイド面の隔たりは 50m, 鉛直線偏奇は 30" この方法であるたとえば日本全土などの地域だけのジオイドとフィットさせることもできる. 世界測地系 (WGS84) 局所座標系 : 地表の特定の地域でジオイドと楕円体をフィットさせるように選んだ座標系. 旧日本測地系 (Bessel の回転楕円体 ) 30 31 地心座標系と局所座標系の比較 地球上の位置の表示 (1) 旧 局所座標系 測地学的座標系 グリニッジ子午面 N 緯度は太陽高度からわかるが, 経度は時刻を正確に測らないとわからないので, 昔の地図は東西方向の縮尺が不正確 λ ϕ P 地心座標系 32 経度 λ (±180 ): グリニッジ天文台を通る子午面とある地点を通る子午面とのなす角. 東経と西経 緯度 ϕ (±90 ): 基準回転楕円体の法線 ( 楕円体中心を通らない ) が赤道面となす角. 北緯と南緯. 33 1
地球上の位置の表示 (2) 距離の相対誤差 (1) 平面直角座標系 投影面地表面 距離の相対誤差を 10 6 とする 投影面 地表面 R α l L P P' O 全体が全体が中央端部 地表面は曲率をもっているので, 平面に投影をするとまたはされる. 34 35 距離の相対誤差 (2) 平面への地表面の投影 投影面 地表面 R O α l L P P' 曲面の平面への投影法 角, 距離, 面積, 方位のすべてを保存して投影することはできない. 角度を保存 : 等角投影 距離を保存 : 正距投影 面積を保存 : 正積投影 方位の保存 : 正方位投影 メルカトール図法は等角投影法の一種 円筒を横向きにした横メルカトール図法 (Guß Krüger 投影法 ) も, 等角投影法の一種 36 37 横メルカトール図法 (1) 横メルカトール図法の投影法 区域の中央に原点 Oを定め, 原点を通る基準子午線に接する横向きの円筒で覆い, 基準楕円体表面の地形を円筒面に投影する. 横円筒図法またはGuß Krüger 投影法ともいう. 横メルカトール図法 (2) 横メルカトール図法の特徴 円筒面上で, 原点を通る子午線に沿って北向きにX 軸, これに直角方向の東向きにY 軸をとる. 距離が正しいのはX 軸上のみ. 南北には歪まない 方向が正しいのは X 軸上と赤道上のみ. 北 基準子午線 左手系に注意! 東 38 39 2
日本の 19 の平面直交座標系 第 8 系 第 9 系 40km 90km 西投影面地表面 90km 40km 東 0.9999 1.0001 1.0000 m: 縮尺係数 わが国では, 投影面を上図のように設定しているため,10 4 の精度でも東西方向は L 130 kmにまで広げられる. 14~19 系は南方洋上 全国を 19 の平面直交座標系でカバーしている. 野尻湖は第 8 系内座標原点 : N: 36 度 0 分 0 秒 E: 138 度 30 分 0 秒 ( 八ヶ岳近傍 ) 野尻湖セミナーハウス N 36 度 48 分 55 秒 21 E 138 度 12 分 54 秒 07 X= 90503.89m Y= 25425.32m m=0.99990796 野尻湖 X 8 系 X Y 9 系中央大学 Y 東京は第 9 系内座標原点 : N: 36 度 0 分 0 秒 E: 139 度 50 分 0 秒 ( 野田市内のGC) 5 号館入り口 N 35 度 42 分 31 秒 59 E 139 度 44 分 53 秒 52 X= 32306.64m Y= 7703.35m m=0.99990073 40 41 ユニバーサル横メルカトール図法 (1) 特徴 投影誤差は 5/10,000 程度 西経 180 を基準とし, 東に向かって全世界を経度 6 きざみで60のゾーンに分割, 各ゾーンは北緯 84 ~ 南緯 80 を緯度 8 きざみで22 区間に分割 170km 180km 180km 170km 地表面 投影面 日本は第 51 帯 ~56 帯 赤道上に原点を持つ平面直交座標系 投影法は,Guß Krüger 投影法 1つの系で赤道上で最大東西 700kmをカバー 0.9996 1.0000 東 1.0006 m: 縮尺係数 ユニバーサル横メルカトール図法 (2) 42 43 ユニバーサル横メルカトール図法 (3) ユニバーサル横メルカトール図法 (4) T S R 44 45 3
北 測量で扱う 北 には3 種類ある 真北 (True North): 自転軸の北 その地点を通る子午線の北極方向. 北極星の方向 座北 (Grid North): 地図上の北 地図上でY=const. の方向. 座標原点を含む子午線上でのみ真北と一致する. 真北とのずれを子午線収差といい,Yが大きいほど大きくなる. 磁北 (Mgnetic North): 磁石の示す方向 真北との西向きのずれを偏角という. 場所により異なり, また時間により変化する. 偏角の近似式 磁気偏角を近似的に求める公式 (2000 年版 ) ϕ を緯度,λ を経度とする. Δϕ = ϕ 37 N,Δλ = λ 138 E とおくと, 偏角 D は, ( 例 ) 東京は, 北緯 35 度 41 分, 東経 139 度 42 分 Δϕ = 35. 68 37 = 1. 37,Δλ = 139. 70 138 =1. 70 D=6 55.'1 7 北海道では,8~9, 九州は,5~6 46 47 方位角と方向角 水平位置の基準 点 Pにおける種々の角 1 点 Qの方位角 : 点 Pにおける真北の方向から右回りに測った点 Qに対する角 2 点 Q の方向角 : 点 P における座北の方向から右回りに測った点 Qに対する角 3 点 Rから点 Qへの方向角 : 点 Rの方向から右回りに測った点 Qに対する角 N 真北 M 磁北 X 座北 1 2 点 P 点 R 3 点 Q 測量法施行令第 2 条 日本経緯度原点の地点及び原点数値 地点東京都港区麻布台 2 丁目 18 番 1 地内日本経緯度原 点金属標の十字の交点 原点数値次に掲げる値 経度東経 139 度 44 分 28 秒 8759 緯度北緯 35 度 39 分 29 秒 1572 原点方位角 32 度 20 分 44 秒 756 ( 前号の地点において真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷一番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角 ) 筑波基準点 日本経緯度原点 48 49 高さの基準 日本近傍のジオイド高 地表面標高ジオイド高 標高 : ジオイド面上のある点 (G) から地表面 () まで, ジオイド面に垂直にのばした線分の長さ ジオイド高 : ジオイド面上のある点 (G) から回転楕円体面 (B) まで垂直に伸ばした線分の長さ GとBGはほぼ平行で, 両者の長さの和を楕円体高という 変動する東京湾の海面の平均高さ ( 中等海面 ) を標高ゼロとし, これより三宅坂記念公園の水準原点の標高を 21.4140m としている. 50 51 4
国家基準点 国家基準点の外観 国家基準点 : 19 の座標系の原点と北の方向のみを与えられただけでは地形図を作製することが不自由であるので, 地表面をカバーするように, 国土地理院の基本測量により定められている. 三角点 : 一等三角点二等三角点三等三角点四等三角点 972 5,062 32,423 68,616 水準点 : 基準水準点一等水準点二等水準点 86 14,689 3,582 電子基準点 : 1,231 基 このほかに, 公共測量の成果なども多数存在する 三角点 電子基準点 水準点 52 53 点の記の例 平面三角形の辺と角の関係 正弦則 余弦則 c b 無名則 ( よく使う ) B C 無名則 54 55 測定値の処理 前回の宿題の解答 測量で計測するもの : 長さ巻き尺, 光波測距儀と反射鏡 角度トランシット 高低差レベルとスタッフ いずれも誤差が含まれ, 計算結果にも伝播する 誤差の処理 ' α β B C C' 誤差理論 (theory of errors) 誤差の性質の理解 誤差伝播理論 (error propgtion theory) G 最小自乗法 (method of lest squre) 誤差の調整法 56 57 5
誤差理論 測定の分類 性格による分類 独立 ( な ) 測定 : 測定値がある条件を満たさなければならないなどの拘束や制約を持たないで独立して行う測定 条件 ( 付き ) 測定 : 三角形の 3 つの内角の和のように, 個々の測定値間に満たすべき条件式が存在する場合の測定 方法による分類 直接測定 : 距離や角度などを機器を用いて直接行う測定 間接測定 : 求めるべき量を直接測定するのではなく, 他の測定値を計算式に代入することによって間接的に行う測定 方法 性格 直接測定 独立測定 測定の例 1 巻き尺で 2 点間の距離を直接測る 条件測定 3 三角形の 3 つの内角を測定する. が条件式 2 塔までの水平距離 d と先端の高度角 ( 仰 4 2と同じ測定を別の地角 ) θ を直接測定して, 点からも行うと, 間接測定間接的にその高さという条件がつく. を求める. 58 59 等精度 : 精度による測定の分類 測定された値に含まれる誤差の生ずる確率が等しいと考えられる測定 異精度 : 測定に用いた機器の性能が異なっていたり, 測定回数が異なる測定値の平均値を用いたりして, 測定値に含まれる誤差の確率が異なると考えられる測定 誤差の分類 (1) 定誤差 (systemtic error) 原因が明らかで, ある条件の下では常に一定の質と量で生ずる誤差 測定者のくせによるもの, 機器に固有なもの, 温度上昇による膨張などの物理的なものなどがある. 原因と特性を究明すれば理論的に除去が可能 過誤誤差 (mistke) 測定者の不注意によって生ずる誤り 目盛りの読み違い, 記帳や計算の誤りなどがある. 十分に注意するかデータチェックにより除去が可能 60 61 誤差の分類 (2) 誤差の法則 偶然誤差 (rndom error) 原因が明らかでなく, 定誤差や過誤誤差を取り除いてもなお残る小さな誤差で, 符号や大きさがランダムなもの. 理論的に真値に接近させることが可能 誤差理論の対象となる誤差 測量でいう誤差とは, この偶然誤差のこと 偶然誤差についての3 法則 1 絶対値の小さな誤差の生ずる確率は, 絶対値の大きな誤差の生ずる確率より大きい. 2 絶対値の等しい正負の誤差は同じ回数だけ生ずる. 3 絶対値の非常に大きな誤差はほとんど生じない. 以上の 3 法則から正規分布 (Guss 分布, 誤差分布ともいう ) の数式を導くことができる. 62 63 6