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化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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9(1) 介護の基本的な考え方 9() 介護に関するこころのしくみの基礎的理解 9() 介護に関するからだのしくみの基礎的理解 9(4) 生活と家事 5 9(5) 快適な居住環境整備と介護 9(6) 整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 4 4 理論と法的根拠に基づき介護を行うこと

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いて認知 社会機能障害は日々の生活に大きな支障をきたしますが その病態は未だに明らかになっていません 近年の統合失調症の脳構造に関する研究では 健常者との比較で 前頭前野 ( 注 4) などの前頭葉や側頭葉を中心とした大脳皮質の体積減少 海馬 扁桃体 視床 側坐核などの大脳皮質下領域の体積減少が報告

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5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

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Transcription:

スマート エイジング 東北大学加齢医学研究所スマート エイジング国際共同研究センター 川島隆太 http://www.fbi.idac.tohoku.ac.jp/fbi/index.html?lang=en http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/sairc/

スマート エイジングという考え方 伝統的な老化の概念 スマート エイジングの思想 加齢は失うことである 加齢は退化である 灰色になっていく等々 アンチエイジング 年をとることは病気である 年をとることは醜い 若者は年寄よりも優れている 加齢現象は成長であり より賢くなることである 加齢は何かを得ることである 加齢は人間の発達である

スマート エイジングとは何か? エイジングによる経年変化に賢く対処し 個人 社会が知的に成熟すること 年齢と共に人生が豊かになっていく明るく輝くエイジング ~ 高齢者の活力 ~ 豊かな 知縁 社会の創生 誰もが知的好奇心によって繋がり お互いを支えあう社会 ~ 世代間の知恵の共有 ~ アンチエイジングのように 高齢期を認めたくない 遭遇したくないという意味が込められたネガティブな概念ではなく 高齢期を人生の収穫期として積極的に受容しようというもので 高齢社会に対する考え方のパラダイムシフトの提案である

健やで穏やかな生活を送るための四大要素 脳を使う習慣 身体を動かす習慣 バランスのとれた栄養 人と積極的に関わる習慣

大脳は 4 つの部分で構成されている 前頭葉 運動 触覚 頭頂葉 視覚 後頭葉 聴覚 側頭葉

前頭前野が何を行っているのか? 思考創造 行動 情動の制御 コミュニケーション 記憶学習 自発性 身辺自立 意欲 集中力

脳の機能は加齢と共に低下する? 1.0 知識を問うテストの成績 0.0 Z-score -1.0 前頭前野の働きを必要とするテストの成績 -2.0 20 30 40 50 60 70 80 90 年齢 Salthouse 2006 より改編

東北大学加齢医学研究所のシーズ 脳機能イメージング技術

ラット用脳波計測装置 + 神経細胞活動記録 Simultaneous recoding by multi-channel EEG and multi-unit recording

小動物用 MRI 装置 + 脳波計測 & 神経細胞活動記録 10

機能的 MRI 装置 (fmri) 研究専用超高磁場 (3T)MRI 装置の稼働 精緻な解剖情報取得 神経線維連絡の解析 個人の脳活動の評価が可能に

近赤外計測装置 (NIRS) より自由度の増したウエアラブルタイプの導入 日立基礎研究所試作機 従来型 NIRS +

ヤマハ発動機 ( 株 ) との産学連携 ~ 自動二輪運転中の脳活動計測 ~

脳磁計測装置 (MEG) 脳波計測装置 160 チャンネル MEG 192 チャンネル EEG

写真を見ている時の脳活動計測 (fmri 実験 ) + 好き? 普通? 嫌い? +

結果 (fmri 実験 ) 好きな写真を見ている時の脳活動 (5 名の平均活動 )

写真を見ている時の前頭前野の活動 前頭前野の前 ~ 下面 好き 普通普通好き普通嫌い + + + + + (time)

写真を見ている時の前頭前野の活動 前頭前野の前 ~ 下面 好き 普通普通好き普通嫌い + + + + + (time)

写真を見ている時の前頭前野の活動 前頭前野の前 ~ 下面 好き普通普通好き普通嫌い + + + + + (time) 1.5-1.5 好き判断 (Attractive) に関連する脳活動 普通判断 (Neutral) に関連する脳活動 嫌い判断 (Nonattractive) に関連する脳活動

超小型近赤外計測装置の開発 Under Development 20

脳を鍛えるとは何か? Takeuchi et al. Training of working memory impacts structural connectivity. Journal of Neuroscience, 30: 3297-303, 2010.

作動記憶 理解 学習 推論など認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム 学習効果作動記憶のトレーニング作動記憶力アップ! 流動性知能アップ! 転移効果 新しい場面に適応する新しい問題を解決する方法を見つけ出す さまざまな認知力アップ!

作動記憶トレーニング 視空間スパン課題 ( 空間位置の記憶 ) N バック課題 ( 計算負荷 ) ( 数字の記憶 + 二重課題 ) 3+2 1+1 6+1 1+2 答えを記憶 (5) 答えを記憶 (2) 答えを記憶 (7) 2 つ前の答えを回答 =>5 答えを記憶 (3) 2 つ前の答えを回答 =>2 10 名の若年健常被験者 ( 平均年齢 19.6 歳 ) 認知機能検査脳画像検査 作動記憶トレーニング (2 カ月 ) 1 日約 25 分週 3~5 日間 認知機能検査脳画像検査

視空間スパン課題

N バック課題 ( 計算負荷 ) 3 + 2 1 + 1 5 + 1 => 5 1 + 2 => 2. 53 12 7 + 31 4 => 課題の説明 ( 再記 )

スケルトン競技成績が向上 冬季オリンピックの正式採用競技 スケルトンはソリに加速を与え ソリに頭部から乗り込み 頭を前にしたうつ伏せの姿勢で滑走する 標高差 100~140m 全長 1200~1500mの氷壁のコースの滑走タイムを競い 最高時速は130km/hにも達する 59 秒)ベス 58 トタ 57 イ y = -0.56x + 62.71 56 ム R 2 = 0.8174 (55 r=0.9041 P<0.01 54 8 9 10 11 12 13 14 空間記憶トレーニング達成レベル 未経験者 09 年度 08 年度 03~06 年度 n=4 n=5 n=17 WMトレーニング実施群 WMトレーニング非実施群 *(P<0.05) 56 57 58 59 60 57 58 59 60 平均タイム ( 秒 ( 秒 ) ) * *

作動記憶トレーニングの効果 訓練していないさまざまな認知課題の成績の向上 + 脳形態の変化 2 か月間のトレーニングによって大脳皮質体積が増加した領域 2 か月間のトレーニング量と相関して大脳皮質体積が増加した領域

どうすれば前頭前野を活性化し 鍛えることができるか?

Functional MRI

脳機能イメージング研究のレビュー 単純計算例 : 2 + 3, 5 + 8 左脳 右脳 音読

手紙を書く 手書きパソコン携帯電話メール

料理 考える 切る 炒める 盛る

テレビやビデオは脳のリラクゼーション テレビを見ている時に活性化する領域 テレビを見る時間が長い高齢者の認知機能は低い (Wang ら 2006) アルツハイマー型認知症になるリスクが高くなる (Lindstrom ら 2005) テレビを見ている時に活動が抑制される領域

読み書き計算の効果 認知症を改善する効果

学習療法とは何か? NHK スペシャル 2007.02.25

高齢者専用教材の開発

症例 混合型認知症 78 歳女性 37

症例 脳血管性認知症 76 歳女性 38

近赤外計測による音読中の 前頭前野機能測定 学習療法前 学習療法開始 1 ヵ月後 82 歳女性アルツハイマー MMSE15 FAB7 学習療法によって 脳の可塑性が生じ 前頭前野の活動性が増強 ( 改善 ) した

学習療法 6 ヶ月間の成果 MMSE の変化 FAB の変化 22 21 20 19 18 17 16 15 前 学習群 (16 名 ) 追跡調査 (2004 名 ) n.s. p < 0.001 p < 0.05 6 カ月後 対照群 (16 名 ) 10 9 8 7 6 5 前 p < 0.001 p < 0.05 n.s. 6 カ月後 学習群と対象群は DSM-IV にてアルツハイマー型認知症と診断された症例 Kawashima et al. J Gerontology 2005

護保険給付額削護保険負担額削減( 個前 5 年後介護度学習療法の経済的効果 1 2 3 4 5 対照群 (19 名 ) ~ 介護保険費用の観点からの試算 ~ 学習群 (16 名 ) 1 年間の平均をすると 学習群の方が 0.17 介護度の低下を緩やかにした 2 介0-2 人) 万円減( 国) 介学習費用( 教材費) -4 介護度が 1 上がると介護保険費用は平均年間約 62 万円増額になる 学習療法を行うことにより 年間約 10 万円の介護保険費用の削減ができる (62 万円 / 年 x 0.17) -6-8 -10

学習療法は世界へ 2011 年トライアル開始予定 トライアル検討中 トリノ工科大学 ( イタリア ) AARP( 米国 ) トライアル検討中 トライアル検討中 >60 Design Center at Tamasek politechiniq ( シンガポール ) THL( フィンランド ) 2011 年トライアル開始予定 ロンドン大学 ( 英国 )

読み書き計算の効果 認知症を予防する効果

脳の健康教室 学習の様子 鶴谷小学校 鶴谷東小学校

使用した教材の例

脳の健康教室 6 ヶ月間の成果 ( 仙台 ) 30 29 28 27 MMSE 得点 対照群 (n = 47) pre p = 0.80 p = 0.055 post 学習群 (n = 51) p = 0.05 15 14 13 FAB 得点 p < 0.001 p = 0.078 p = 0.49 pre post 47 46 45 44 43 42 41 40 DST 得点 p = 0.0044 p = 0.19 p = 0.13 pre post MMSE: Mini-mental state examination ( 全般的認知機能検査 ) FAB: Frontal Assessment Battery at Bedside ( 前頭前野機能検査 ) DST: Digit symbol substitution test of WAIR-R ( 全般的脳機能検査 ) Uchida & Kawashima, Age 2005

大垣健康道場 6 ヶ月間の成果 軽度認知障害疑い参加者の全般的認知機能検査 MMSE 得点の変化 30 29 28 18 名 正常範囲 27 26 25 24 23 20 名 2 名 軽度認知障害疑い 22 21 20 前 6 ヵ月後 認知症疑