内分泌甲状腺外会誌 29(1):21-25,2012 特別企画 学会機関誌創刊に向けて 腎性副甲状腺機能亢進症に対する外科治療 名古屋第二赤十字病院移植 内分泌外科冨永芳博 Surgical Treatment for Renal Hyperparathyroidism Department of Transplant and Endocrine Surgery, Nagoya Second Red Cross Hospital Yoshihiro Tominaga Cinacalcet HCl(Cinacalcet) の登場はわが国の腎性副甲状腺機能亢進症 (RHPT) の治療方針にも少なからず影響を与えている 原則的にはCinacalcetを含めた内科的治療に抵抗する症例は副甲状腺摘出術 (PTx) の適応となる わが国では長期間の血液透析を要する症例が多いため, 長期的展望, 経済性も含め,PTxの適応を考えるべきである 一方, 手術でRHPTを改善させることが困難な病態が存在する それらの症例にはCinacalcetはrescuer 療法としてPTxに優先して適応になる Cinacalcet 導入後も術式には変化なく, 副甲状腺全摘出後前腕筋肉内自家移植術が適切である Cinacalcetが誘導すると考えられる組織学的変化は全ての副甲状腺の確認を困難とし, 反回神経を含む副甲状腺周囲の癒着が認められることがあるので留意が必要である Key words: 腎性副甲状腺機能亢進症, 副甲状腺摘出術,Cinacalcet HCl, 副甲状腺過形成 1 ) はじめに副甲状腺を刺激する要因が持続することによって発症する副甲状腺機能亢進症 (Hyperparathyroidism:HPT) を二次性副甲状腺機能亢進症 (SHPT) と呼ぶ 臨床的に問題となり, 外科手術の対象となるのは, 慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease:CKD) によって引き起こされる腎性 (Renal:R)HPTである 本稿ではRHPTに関して, 最近のこの分野のトピックスも交えて概説する カルシウム (Calcium:Ca), リン (Phosphate:P) 代謝に関しては, まだ解決されていない点が多々存在する 今日のトピックスは最近確認されたFGF23/Klotho 系であり, 活発に研究されている RHPTはCa,P 代謝の病態を別冊請求先 : 466-8650 名古屋市昭和区妙見町 2 9 名古屋第二赤十字病院移植 内分泌外科冨永芳博 E-mail address:ytomi@nagoya2.jrc.or.jp 解明する為に多くの情報を与えている CKDによるミネラル代謝 骨 異常 (CKD-MBD) は, 骨障害 ( 腎性骨異栄養症 :ROD) を引き起こすのではあるが, むしろ心血管系合併症により生命予後に著しい影響を与えることが注目されている CKD-MBDの病態の中で最も重大な要因はRHPTであり,RHPTの管理も心血管系合併症の進展阻止を目的に築かれてきた 日本透析医学会 (Japanese Society of Dialysis Therapy:JSDT) が提唱したガイドラインもこの見地に立って2006 年に作成され, さらに2011 年 versionrが提示されている [1] RHPTに対する治療は,(1) 内科的治療の進歩 (2) 治療ガイドライン (3) 医療経済によって影響を受ける 最近のRHPTに関する内科的治療の進歩は目覚しい 特に Ca 擬似性作動薬 (Calcimimetics) の一つであるCinacalcet HCl(Cinacalcet) は外科治療を含むRHPTの治療に大きな影響を与えている Cinacalcetを含めRHPTの内科的治療は高額であり, 国によっては薬剤の使用に制約がある 副甲状腺摘出術 21
表 1. 二次性副甲状腺機能症の治療手段 図 1. Pathogenesis of secondary hyperparathyroidism 1. リン吸着剤炭酸カルシウム, 酢酸カルシウム塩酸セベラマー炭酸ランタン 2. 活性型ビタミン D 製剤 1αOHD 3 (Alpacalcidol) 1,25(OH) 2 D 3 (Calcitriol) Falecailitriol 22-oxacalcitriol (Maxacalcitol) 19nor-1,25(OH) 2 D 2 (Paricaicitol) 1αOHD2 (Doxercalciferol) 3.Calcimimetics Cinacalcet HCl (Parathyroidectomy:PTx) の医療経済上の優位性についても幾つかの報告がある われわれは2008 年 10 月 RHTPに対して日常的にPTxを施行している109 施設が参加し, 二次性副甲状腺機能亢進症に対するPTx 研究会 (Parathyroid Surgeons Society of Japan:PSSJ) を設立した 本研究会ではわが国のRHPT に対する現況を症例登録制を基に把握すると共に, 外科医側より内科医側に統一してPTxの適応を提唱することを目的にしている 更に技術の研鑽, 情報の共有, 共同研究, 世界への発信を目指している 以上の点を以下に概説する 2 ) 腎性副甲状腺機能亢進症の発症機序とFGF23/ Klotho 系 RHPTの発症機序について図 1 に示す 要約すると, 低 Ca 血症,P の負荷 ( 高 P 血症 ) 活性型ビタミンD(vitamin: vitd) の欠乏が主たる病因であるが, 骨での副甲状腺ホルモン (Parathyroid hormone:pth) に対する抵抗性,Ca 受容体 (Ca sensing receptor:casr),vitamin D receptor(vdr) の発現低下が加わり, 病態は複雑である 最近のトピックスはFGF(fibroblast growth factor)23 である FGF23は骨細胞で産生され, 腎臓の近位尿細管に存在するFGF receptorと老化進展に関与するklothoとの複合体にbindingし,na-p transporter(napt2a,napt2c) の作用を抑制し尿中へのPの排泄を促進する また25(OH) D-1α- 水酸化酵素を阻害し, 活性型 vitdを低下させ, 腸でのPの吸収を低下させる またFGF23は副甲状腺にも作用しPTHを低下させ, 活性型 vitdを低下し, 腸管でのPの吸収を低下させる CKDでは血中 Pが上昇する以前より FGF23は上昇し,P 利尿を促進する 血液透析患者では FGF23は著しく高値を示すが,klothoの発現が副甲状腺細胞膜では減少しており,PTH 分泌が抑制されないと報告されている 血中 FGF23レベルが,CKD 患者の予後を予 図 2. Annual number of PTx for 2HPT in Japan 測可能との報告も散見される [₂] 3 ) 腎性副甲状腺機能亢進症に対する内科的治療 JSDT version 2011 年における透析患者におけるRHPT 推奨目標値は透析前で測定し, 血清 P 値 3.5-6.0mg/dL, 補正 Ca 値 8.4-10.0mg.dL,intact-PTH 値 60-240pg/mLである 十分な血液透析, 食事の管理, 薬物療法にて, 目標値に入るように管理する 表 1 に現在可能な薬剤を提示する 最近のRHPTに関する内科的治療の進歩は目覚しく, われわれは新しい武器を獲得することが出来た VDR activatorに始まり, カルシウム非含有リン吸着剤 (Sevelamer HCl, Lanthanum carbonate) そして,Calcimimetics(Cinacalcet) が挙げられる Cinacalcet( シナカルセト, 商品名レグパラ錠 ) はCaSR にallostericに作用し, 細胞外カルシウムに対する感受性を増強することによってPTHの分泌を抑制する薬剤である 欧米を中心に多くの基礎的研究成果, 臨床的有用性に関する論文が, 報告されている [₃ ₅] シナカルセトはわが国では2008 年 1 月より使用可能とな 22
表 2. シナカルセトの特性 1.PTH の分泌を強力に抑制するが, 中止すると PTH は rebound する 2. 症例により PTH の分泌を十分抑制することが困難である 3. 約半数の症例で消化器症状などの副作用が存在する 4. ある種の薬剤と drug interaction が存在する 5. 高価である った シナカルセト登場がわが国のRHPTに対するPTxに大きな影響を及ぼしていることは否めない 4 ) わが国の腎性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術の現況 図 2 にPSSJによるわが国のRHPTに対する年次別 PTx 件数を示す 2004 年 1,137 件, その後 2007 年まで年々増加し1,749 件となった 2007 年度の増加は2006 年 JSDTの透析患者におけるSHPTの治療ガイドラインが提示され, 内科的治療に抵抗するRHPTでは比較的早期にPTxが推奨された為と考える 2008 年 1 月にCinacalcetが使用可能となり, 以後 PTx 症例数は激減し,2010 年度は448 件となった Cinacalcet 導入後 PTxが激減した為, 当然各施設ごとの手術件数も減少した 2007 年度は年間 20 件以上施行していた施設が26 施設存在したが,2010 年度は6 施設に減少した 手術の技術習得を考えると問題である PSSJでは施設の枠を超えたPTxの研修 研鑽システムを構築している 詳細はPSSJのホームページ (http:// 2hpt-japs.jp) を参照されたい 5 )Cinacalcet 導入後の PTx 適応 JSDT ガイドライン2011 年 versionではi-pth>500pg/ mlをptxを選択する基準としている PTH 値がそれ以下の値でも, 高 Ca 血症, 高 P 血症が内科的治療で管理できない場合にはPTxを考慮すべきと提唱している 超音波検査 (US) にて測定した推定体積 >500mm 3 または最大径 >1 cmに腫大した副甲状腺が確認されることは, 内科的治療の抵抗性を判断するsupportive factorとなる もちろん QOLを妨げる自覚症状が存在する場合, 骨回転が著しく亢進している症例ではPTxが絶対適応となる [1] Cinacalcetの臨床的特性と, 注意点を表 2 に示す これを基にわれわれは,Cinacalcet 導入後のPTxの適応を表 3 に示す様に提唱してきた PTxの効果は (1) 最も劇的に SHPTを改善させる (2) 術後血清 P,Ca 値を示適濃度に維持しやすい (3)QOLを改善させる (4) 生命予後を改善させる (5) 経済性が高い に要約される QOL の改善, 生命予後の改善については多くの報告がある [6] PTxの経済性の高さについては幾つかの報告がある アメリカのシミュレーションではどのような条件を加味して 表 3. Cinacalcet 導入後の副甲状腺摘出術の適応 1. ビタミン D 製剤にて腎性副甲状腺機能亢進症の治療が困難な症例で長期生命予後が期待できる症例 (intact PTH>300-500pg/mL, 副甲状腺推定体積 > 300-500mm 3, または長径 >1cm, で内科的治療にても管理できない高カルシウム血症 (>10mg/dL), 高リン血症 (>6mg/dL) 2. 二次性副甲状腺機能症の臨床症状が高度な症例 ( 骨 関節痛, 神経 筋 精神症状, 高度な異所性石灰化, 高度な高回転骨,caiciphylaxis,Epo 抵抗性貧血,DCM like heart など ) 3.Cinacalcet にて充分 PTH 値が低下しない (intact-pth >300pg/ml) 症例 4.Cinacalcet 使用にても高カルシウム血症 (>10mg/dL), 高リン血症 (>6.0mg/dL) の内科的管理が困難な症例 5.Cinacalcet の内服継続が困難な症例 (GI symptoms, 低カルシウム血症,drug interaction, 内服コンプライアンスが悪いなど ) 6. 甲状腺腫瘍の摘出が必要な症例 表 4. 腎性副甲状腺機能亢進症の術式 1. 副甲状腺全摘出術 (without autograft) 2. 副甲状腺亜全摘出術 3. 副甲状腺全摘出後自家移植術移植部位前腕筋肉内胸鎖乳突筋内腹壁筋肉内, 皮下組織内 みても治療開始約 9ヶ月で,PTxはCinacalcetに経済効率で勝ると報告している [₇] ドイツの報告でも同様に治療開始後約 8ヶ月でPTxがCinacalcetに経済性的に勝ると報告している [₈] Cinacalcetを使用したが,PTHの改善が十分でない, あるいは消化器症状などでCinacalcetの継続が困難と考えられる症例では, 生命予後,QOLを考えると, 速やかに PTxに委ねるべきである [₉] 6 ) 腎性副甲状腺機能亢進症に対する PTx の術式 RHPTに対する術式を表 4 に示した われわれは従来より,(1) 術後も骨回転を考慮して適切な副甲状腺機能を維持する (2) 再発時低侵襲に移植副甲状腺組織を切除可能 と言った点より副甲状腺全摘出後前腕筋肉内自家移植術を採用してきた [₆] Cinacalcet 導入後も術式は変更していない PSSJの調査でもわが国のRPTHに対する初回手術の80 % の症例で本術式が採用されている Alternative procedureとしては全摘出術 (without autograft) が挙げられるが, 両者のrandom prospective studyは世界的にもなく, 両者の選択は腎移植を希望していなければ, 術者の好みとされている [₆] どちらの術式を用いても, 初回手術ですべての腺を確認切除することが求められる 頸部創か 23
表 5. 副甲状腺摘出術が困難で Cinacalcet を優先すべき症例 1, 手術, 全身麻酔に対するリスクが高い症例 ( 超高齢者 (>80 歳 ), 心機能障害, 高度な弁疾患, 高度な冠動脈疾患, 脳血管障害, 肝機能障害, 呼吸機能障害など ) 2, 摘出が侵襲的な部位 ( 縦隔内など ) に副甲状腺が存在する症例 3, すべての副甲状腺組織を摘出困難な症例 ( 副甲状腺癌, parathyromatosis などによる再発 ) 4, 再発, 持続性 HPT で PTH 過剰分泌 origin が画像診断で確認できない症例 5, 再手術困難な再発, 持続性 HPT 症例 ( 両側反回神経麻痺の危険性が高い症例など ) らの胸腺切除はルーチンに行われるべきである 外科医に は副甲状腺の発生, 解剖に熟知し, 副甲状腺を確認できる 眼が要求され, たゆまぬ努力が必要である [10,11] われわ れは全摘出後前腕筋肉内自家移植術施行約 3,000 例の経験を 有するが, 大きな問題はなく, 今後も同術式を継続する予 定である 7 )Cinacalcet 導入後の PTx の実際 Cinacalcet 導入後の PTx 症例の特徴で気になる点を以下 に示す (1) 十分な内科的治療のためか, 高骨回転 (AL-P 高値 ) 症例が少ない よって, 大量な術後カルシウム補充療法を必要とする症例は少ない (2) 不均一な副甲状腺の腫大例 (asymmetric enlargement) が多い つまり1,2 腺は著しく腫大しているが残りの腺は小さく, 時に正常大で, 探索, 摘出が困難である われわれは術中 PTH assayを施行し, 確実に全腺切除できたことを確認するとともに, 過度な侵襲的な操作を回避している (3)Cinacalcetによると考えられる副甲状腺の組織学的変化としてはfollicular degeneration, cystic change, 出血性梗塞, 線維化などが挙げられる 出血性梗塞は周囲組織に癒着し, 反回神経の同定, 温存を困難にする われわれは神経刺激装置をルーチンに使用し, 術中反回神経を同定するとともに, 副甲状腺確認のランドマークとしている [11] 特に上記 (2),(3) によりPTxは以前より難しくなったと感じている 各施設のPTxの件数が減少しているので, 施設の枠を超えた技術研修が必要と考えている 副甲状腺の組織変化については,Cinacalcet 特有なのか, その機序はどうなのかなど明らかにすべき点が多々存在する 8 ) 外科医の立場で Cinacalcet に期待すること 外科手術が困難な症例に対する rescuer therapy として Cinacalcetは期待される ( 表 5 ) ( 1 )High risk 症例長期透析患者がPTxの対象となる為, 全身麻酔, 手術に対するhigh risk 症例には日常的に遭遇する 高齢透析患者 ( 一概には言えないが生命予後を勘案すると80 歳以上が妥当か ), 高度な心血管系合併症, 呼吸機能障害, 肝障害, などを有している症例では, まずCinacalcetを使用するべきであろう [12] 実際には,high risk 症例に対しては Cinacalcetで対応したいのだが,Cinacalcetが内服困難, RHPTがCinacalcetで反応しない症例も少なからず存在し, Cinacalcet 導入前と同様心血管系合併症に留意しながら手術を施行している ( 2 ) 異所性副甲状腺の摘出副甲状腺が時に異所性に存在することはよく知られている [10] 問題となる位置は, 縦隔内, 甲状腺内完全埋没, 下降不全 ( 顎下部, 下咽頭, 上咽頭 ), などである [11] 原則的に副甲状腺がどこにあろうと部位診断が出来ていれば, 手術に臨む しかし, 縦隔内副甲状腺, 特にAortico- pulmonary windowに存在する腺の摘出は侵襲が大きくなる これらの症例に対してもCinacalcetは手術前に試してみる価値はあるであろう ( 3 ) 副甲状腺癌副甲状腺癌はまれな疾患である 副甲状腺癌の病理的診断は必ずしも容易ではない 所属リンパ節, 肺, 骨, 肝, 脳への転移が報告されており, 転移により副甲状腺癌の診断が得られる症例が半数を占めると報告されている 一般に, 化学療法, 放射線療法にも反応しない 死因は高 Ca 血症のため, 可及的に局所再発部位, 転移部位の切除が推奨されている [13] RHPTでの副甲状腺癌の頻度は原発性 HPTに比して更にまれである [14] われわれは5 /2,900 例で転移性副甲状腺癌を経験しており,2 例を高 Ca 血症で1 例をcalciphylaxisで失った [15] 欧米ではCinacalcetが切除不能な原発性 HPTの副甲状腺癌による高 Ca 血症に使用が認可されている [16] わが国でも外科的治療が困難な原発性 HPT, 副甲状腺癌で手術にて改善困難な高 Ca 血症にCinacalcetが治験の段階に入った ( 4 )Parathyromatosis parathyromatosisには2つのtypeが存在する 問題となるのはtype2で原発性, 腎性 HPT 共に見られる現象である 良性 ( 腺腫, 過形成 ) な副甲状腺細胞が, 手術時被膜が損傷などすることにより周囲に播種し, 増殖してくる病態である [17] parathyromatosisの術前画像診断は困難である 再発例で甲状腺表面に多発する結節が超音波検査で確認されれば parathyromatosisを疑う 甲状腺もen-blocに切除しても高 PTH 値を改善させることが困難であることが多い つま 24
り全ての副甲状腺組織の切除が困難である [18] このような症例に,Cinacalcetは有効と考えられる[19,20] ( 5 ) 再手術症例副甲状腺全摘出後前腕筋肉内自家移植術後に再発する場合, もっとも高頻度なのは移植副甲状腺由来の再発であり,PTx10 年後には約 20% 症例で移植腺の摘出が必要であった [21] 前腕からの移植副甲状腺の切除は局所麻酔下に低侵襲に可能であり,Cinacalcetの使用よりは原則的に手術を選択すべきである PTx 後の頸部に遺残した腺による再発, 持続性 HPTの再手術では反回神経麻痺のリスクが高くなる 特に再手術例, 経皮的エタノール注入療法,percutaneous ethanol injection therapy:peit 後の症例で, 既に反回神経麻痺が存在し, 再手術で, 両側反回神経麻痺, 気管切開の危険がある症例, 再発で病的副甲状腺組織の部位診断が困難な症例などでは, まずCinacalcetを使用し, その反応を観察することは意義あることと考える [22] おわりに Cinacalcetの導入はわが国のRHPTの治療に大きな影響を与えPTxの件数を減少させた しかしながら,PTxを選択した方が適切である症例も少なからず存在し,PTxの適応がより明瞭になってきた 今後医療経済を含めRHPTの治療戦略を構築する必要があるであろう Cinacalcet 導入後, 副甲状腺の組織学的変化により, 手術は難しくなった 各施設のPTxの件数が減少した現在, 施設の枠を超えた, PTxの研修 研鑽のシステム構築が必要である 文献 1. 透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン. 透析会誌 9:1435-1455,2006 2. 木戸慎介, 桑原頌治, 野村憲吾他 :FGF23の作用と作用機序. 腎と骨代謝 25:25-31,2012 3.Drüeke T, Martin D, Rodriguez M : Can calcimimetics inhibit parathyroid hyperplasia? Evidence from preclinical studies. Nephrol Dial Transplant 22 : 1828-1839, 2007 4.Fukagawa M, Yumita S, Akizawa T, et al. : Cinacalcet (KRN1493) effectively decreases the serum intact PTH level with favorable control of the serum phosphorus and calcium level in Japanese dialysis patients. Nephrol Dial Transplant 23 : 328-335, 2008 5.Cunningham J, Danese M, Olson K, et al. : Effect of calcimimetic, cinacalcet HCl on cardiovascular disease,fracture,and health related quality of life in secondary hyperparathyroidism. Kidney Int 67 : 760-771, 2005 6.Tominaga Y,Matsuoka S,Uno N : Surgical and medical treatment of secondary hyperparathyroidism in patients on continuous dialysis. World J Surg 33 : 2335-2342, 2009 7.Narayan R,Pekins RM,Berbano EP,et al. : Parathyroidectomy versus cinacalcet hydrochrolide-based medical therapy in the management of hyperparathyroidism in ESRD : a cost utility analysis. Am J Kidney Dis 49 : 801-813, 2007 8.Schneider R,Kolios G,Koch BM,et al. : An economic comparison of surgical and medical therapy in patients with secondary hyperparathyroidism-the German perspective. Surgery 148 : 1091-1099, 2010 9.Tominaga Y,Matsuoka S,Uno N,et al. : Parathyroidectomy for secondary hyperparathyroidism in the era of calcimimetics. Ther Apher Dial 12 (Supple1) : S21-S26, 2008 10.Pitayakorn R, McHenry CR : Incidence and location of ectopic abnormal parathyroid glands. Am J Surg 191 : 418-423, 2006 11. 冨永芳博 : 副甲状腺 ( 上皮小体 ) 摘出術のコツと注意点. 手術 60:1959-1964,2006 12. 冨永芳博 : 周術期の観察点とサポート. 臨床透析 23: 1707-1712,2007 13.Thompson SD, Prichard AJN : The management of parathyroid carcinoma. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg 12 : 93-97, 2004 14.Khan MW,Worcester EM,StrausII FH,et al. : Parathyroid carcinoma in secondary and tertiary hyperparathyroidism. Am Coll Surg 199 : 312-319, 2004 15.Tominaga Y,Tsuzuki T,Matsuoka S, et al. : Expression of parafibrominin dsitant metastatic parathyroid tumors in patients with advanced secondary hyperparathyroidism due to chronic kidney disease. World J Surg 32 : 815-821, 2008 16.Collins MT,Skarulis MC,Bilezikian JP, et al. : Treatment of hypercalcemia secondary to parathyroid carcinoma with a novel calcimimetic agent. J Clin Endocrinol Metab 83 : 1083-1088, 1998 17.Aeddick RL,Costa JO,Marx SJ : Parathyroid hyperplasia and parathyromatosis. Lancet 1 : 549, 1977 18.Matsuoka S,Tominaga Y,Sato T, et al. : Recurrent renal hyperparathyroidism caused by parathyromatosis. World J Surg 31 : 299-305, 2007 19.Daphnis E,Stylianou K,Katsipi I, et al. : Parathyromatosis and the challenge of treatment. Am J Kidney Dis 48 : 502-505, 2006 20.Eriguchi R,Umakoshi J,Tominaga Y, et al. : Successful treatment of inoperable recurrent secondary hyperparathyroidism with cinacalcet HCl. Nephrol Dial Transplant Plus 4 : 218-220, 2008 21.Tominaga Y,Matsuoka S,Uno N, et al. : Removal of autografted parathyroid tissue for recurrent renal hyperparathyroidism in hemodialysis patients. World J Surg 34 : 1312-1317, 2010 22.Tominaga Y : Surgical treatment of secondary hyperparathyroidism due to chronic kidney disease. UP J Med Sci 111 : 277-292, 2006 25