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E. faecalis E. faecium とも全ての株が 感性 であった 肺炎球菌 (S. pneumonia) におけるペニシリン耐性株の割合は 40%(PISP33% PRSP7%) で耐性株の頻度は従来の成績より約 15% 減 少した インフルエンザ菌 (H. influenzae) におけるアンピシリン (ABPC) 耐性株の割合は 菌株数が 15 株と少なかったことから 25% と従来 の成績より大幅に減少していた なお ABPC 耐性インフルエンザ菌 (H. influenzae) の原因としては β ラクタマーゼ産生株と BLNAR 菌が良く知られているが 今回のサーベイランスでは明らかにできなかった 大腸菌 (E. coli) や肺炎桿菌 (K. pneumoniae) では近年第三世代セフェム系抗菌薬に耐性を示すESBL 産生菌が院内感染の原因菌として注目されてきている 今回の調査における第三世代セフェム系抗菌薬耐性株の割合は 大腸菌 (E. coli) でセフォタキシム (CTX) 耐性株 5% セフタジジム(CAZ) 耐性株 2% セフポドキシム(CPDX-PR) 耐性株 11% セフトリアキソン(CTRX) 耐性株 0% 肺炎桿菌 (K. pneumoniae) でセフォタキシム (CTX) 耐性株 3% セフタジジム(CAZ) 耐性株 4% セフポドキシム(CPDX-PR) 耐性株 0% セフトリアキソン (CTRX) 耐性株 31% であり CTRX 耐性株が大幅に増加した 緑膿菌では多剤耐性菌の動向に注意を払う必要がある 中でもカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すメタロ β ラクタマーゼ産生 菌は今後広まることが危惧されている 今回の調査では緑膿菌 (P. aeruginosa) のイミペネム (IPM) 耐性株の割合は 22% で 今ま での成績とほとんど同様であった また メタロ β ラクタマーゼ産生菌はセラチア マルセッセンス (S. marcescens) にもみら れているが セラチア マルセッセンス (S. marcescens) におけるイミペネム (IPM) 耐性株の割合は 2% であった しかし これらのイミペネム (IPM) 耐性緑膿菌 (P. aeruginosa) とセラチア マルセッセンス (S. marcescens) の中にどのくらいの頻度でメタロ β ラクタマーゼ産生菌が存在するのかは本サーベイランスでは明らかにできなかった 表. 血液から分離された菌における汚染菌の頻度 菌名 Propionibacterium spp. Bacillus spp. Corynebacterium spp. Coagulase-negative staphylococci Clostridium perfringens Viridans streptococci Clostridium spp. Enterococcus spp. Staphylococcus aureus Group B streptococci Lactobacillus spp. Enterobacter spp. Candida spp. Hemophilus influenzae Serratia marcescens Acinetobacter spp. Group A streptococci Escherichia coli Pseudomonas aeruginosa Bacteroides spp. Stenotrophomonas maltophilia Proteus spp. Klebsiella spp. Listeria monocytogenes Streptococcus pneumoniae 汚染菌の頻度 99.0~100.0% 91.7~94.7% 79.0~96.2 % 58.0~94.0% 50.0~76.9% 23.8~49.3 % 20.0~33.0% 1.8~16.1% 1.7~25.0% 0~20.0% 0~18.2% 0~15.0% 0~11.8 % 0~7.1% 0~7.0% 0~6.7% 0~5.0% 0~2.0% 0~1.8% 0% 0% 0% 0% 0% 0% Clin Infect Dis 1997;24:584-602 Rev Infect Dis 1991;13:34-46 Rev Infect Dis 1988;203-210 Rev Infect Dis 1983;35-53 132

図 1. 主要菌種分離率 ( 分離件数 / 総検体数 ) 総検体数 =58,690 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータは集計から除外してあります ( 注 ) グラフには分離件数の多い方から上位 15 菌種のみ掲載しています 図 2. 主要菌種分離頻度 ( [ 分離件数 / 総分離菌数 ] X100) 133

総分離菌数 :8,195 件 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています 図 3-1. 主要菌種別年齢分布グラム陽性球菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 図 3-2. 主要菌種別年齢分布グラム陰性桿菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 134

図 3-3. 主要菌種別年齢分布グラム陽性桿菌 / 真菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 図 4-1. 主要菌種別耐性頻度 S. aureus ( 注 ) 感受性試験で広く一般に使用されている薬剤について選択したため 保険適用とは必ずしも合致しません ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) グラフのバーには株数が表示されています ( 注 )"S 以外 " の判定が含まれていないため 総分離株数とグラフバーの株数の合計に差異が生じる場合があります ( 注 ) 株数の割合により I IR R の数値が微小の場合 グラフバーに表れない場合があります 135

MSSA と MRSA が含まれています MPIPC の判定基準が R のものを MRSA とします VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-2. 主要菌別耐性頻度 S. epidermidis 136

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-3. 主要菌別耐性頻度 CNS (S. epidermidis を含まない ) 137

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-4. 主要菌別耐性頻度 E. faecalis 138

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-5. 主要菌別耐性頻度 E. faecium 139

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-6. 主要菌別耐性頻度 S. pneumoniae 140

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 4-7. 主要菌別耐性頻度 H. Influenzae 141

図 4-8. 主要菌別耐性頻度 E. coli 142

NCCLS では FOM の感受性は寒天希釈法 あるいは ディスク拡散法によって測定することになっています また 腸内細菌属では 大腸菌にのみ breakpoint が設定されています 相当数の報告がありましたので 参考のため寒天希釈法あるいは 大腸菌に準じた breakpoint で判断し集計しました 図 4-9. 主要菌別耐性頻度 K. pneumoniae 143

NCCLS では FOM の感受性は寒天希釈法 あるいは ディスク拡散法によって測定することになっています また 腸内細菌属では 大腸菌にのみ breakpoint が設定されています 相当数の報告がありましたので 参考のため寒天希釈法あるいは 大腸菌に準じた breakpoint で判断し集計しました 図 4-10. 主要菌別耐性頻度 P. aeruginosa 144

図 4-11. 主要菌別耐性頻度 S. marcescens 145

146

図 5. 主要菌種分離率 ( 分離件数 / 総検体数 ) 総検体数 =4,712 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータは集計から除外してあります グラフには分離件数の多い方から上位 10 菌種のみ掲載しています 図 6. 主要菌種分離頻度 ( [ 分離件数 / 総分離菌数 ] X100) 147

総分離菌数 :250 件 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています 図 7-1. 主要菌種別年齢分布グラム陽性球菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 図 7-2. 主要菌種別年齢分布グラム陰性桿菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 148

図 7-3. 主要菌種別年齢分布グラム陽性桿菌 / 真菌 ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) 年齢不詳データは除いて表示しています 図 8-1. 主要菌種別耐性頻度 S. aureus ( 注 ) 感受性試験で広く一般に使用されている薬剤について選択したため 保険適用とは必ずしも合致しません ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) グラフのバーには株数が表示されています ( 注 )"S 以外 " の判定が含まれていないため 総分離株数とグラフバーの株数の合計に差異が生じる場合があります ( 注 ) 株数の割合により I IR R の数値が微小の場合 グラフバーに表れない場合があります ( 注 )VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 149

MSSA と MRSA が含まれています MPIPC の判定基準が R のものを MRSA とします 図 8-2. 主要菌別耐性頻度 S. epidermidis 150

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 8-3. 主要菌別耐性頻度 CNS (S. epidermidis を含まない ) 151

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 8-4. 主要菌別耐性頻度 S. pneumoniae 152

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 8-5. 主要菌別耐性頻度 H. influenzae 153

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 8-6. 主要菌別耐性頻度 P. aeruginosa 154

155

図 9-1. 主要菌種別耐性頻度 S. aureus + ( 注 ) 感受性試験で広く一般に使用されている薬剤について選択したため 保険適用とは必ずしも合致しません ( 注 ) 陽性検体のみを報告している施設のデータも含まれています ( 注 ) グラフのバーには株数が表示されています ( 注 )"S 以外 " の判定が含まれていないため 総分離株数とグラフバーの株数の合計に差異が生じる場合があります ( 注 ) 株数の割合により I IR R の数値が微小の場合 グラフバーに表れない場合があります MSSA と MRSA が含まれています MPIPC の判定基準が R のものを MRSA とします VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-2. 主要菌別耐性頻度 S. epidemidis + 156

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-3. 主要菌別耐性頻度 CNS (S. epidermidis を含まない ) + 157

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-4. 主要菌別耐性頻度 E. faecalis + 158

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-5. 主要菌別耐性頻度 E. faecium + 159

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-6. 主要菌別耐性頻度 S. pneumoniae + 160

VCM と TEIC の注射薬の適応は MRSA 感染症のみに限られています 図 9-7. 主要菌別耐性頻度 H. Influenzae + 161

図 9-8. 主要菌別耐性頻度 E. coli + 162

NCCLS では FOM の感受性は寒天希釈法 あるいは ディスク拡散法によって測定することになっています また 腸内細菌属では 大腸菌にのみ breakpoint が設定されています 相当数の報告がありましたので 参考のため寒天希釈法あるいは 大腸菌に準じた breakpoint で判断し集計しました 図 9-9. 主要菌別耐性頻度 K. pneumoniae + 163

NCCLS では FOM の感受性は寒天希釈法 あるいは ディスク拡散法によって測定することになっています また 腸内細菌属では 大腸菌にのみ breakpoint が設定されています 相当数の報告がありましたので 参考のため寒天希釈法あるいは 大腸菌に準じた breakpoint で判断し集計しました 図 9-10. 主要菌別耐性頻度 P. aeruginosa + 164

図 9-11. 主要菌別耐性頻度 S. marcescens + 165

166

特定抗菌薬に対する薬剤感受性 バンコマイシン ( バーの中の数字は該当する株数 ) ( 注 )CNS による感染症の治療薬としてバンコマイシンは保険適用になっていないが 参考データとして示した アミカシン 167

エリスロマイシン イミペネム 168

セフタジジム セフォタキシム 169

レボフロキサシン ミノマイシン 170

アンピシリン 171