第3回 情報化社会と経済学 その3

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テレワーク制度等 とは〇 度テレワーク人口実態調査 において 勤務先にテレワーク制度等があると雇用者が回答した選択枝 1 社員全員を対象に 社内規定などにテレワーク等が規定されている 2 一部の社員を対象に 社内規定などにテレワーク等が規定されている 3 制度はないが会社や上司などがテレワーク等をす

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

第3節 重点的な取り組み

Microsoft Word - H29 結果概要

中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

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3.HWIS におけるサービスの拡充 HWISにおいては 平成 15 年度のサービス開始以降 主にハローワーク求人情報の提供を行っている 全国のハローワークで受理した求人情報のうち 求人者からインターネット公開希望があったものを HWIS に公開しているが 公開求人割合は年々増加しており 平成 27

第第第ライフスタイルに対する国民の意識と求められるすがた50 また 働いていないが 今後働きたい と回答した人の割合は 男性では 7.4% であるのに対し て 女性は19.1% である さらに 女性の中では 30 代の割合が高く ( 図表 2-1-2) その中でも 特に三大都市圏で高い割合となってい

報通信の現況 コンテンツ市場の動向 マルチユース市場の内訳をみると 映像系コンテンツ 1 兆 4,243 億円の主な内訳は 地上テレビ番組が 5,074 億円 映画ソフトが 4,884 億円 衛星 CATV 番組が 3,530 億円となっている 音声系コンテンツの内訳は 音楽ソフトであり 1,353

労働力調査(詳細集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の概要

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「MS Office Online on あずけ~る」の提供開始について

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トピックス

日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

目次. 独立行政法人労働政策研究 研修機構による調査 速報値 ページ : 企業調査 ページ : 労働者調査 ページ. 総務省行政評価局による調査 ページ

2. 女性の労働力率の上昇要因 М 字カーブがほぼ解消しつつあるものの 3 歳代の女性の労働力率が上昇した主な要因は非正規雇用の増加である 217 年の女性の年齢階級別の労働力率の内訳をみると の労働力率 ( 年齢階級別の人口に占めるの割合 ) は25~29 歳をピークに低下しており 4 歳代以降は

平成29年度     地域経済動向調査      調査報告書

スライド 1

( 情報化がもたらす仕事の変化 ) 情報化が急速に進展した 21 世紀初頭において 企業における情報関連投資の目的をみると 業務のスピード向上や全体的な情報共有化のためが多く 次いでコスト削減となっている ( 付 2 (1) 2 表 ) 企業の情報関連投資は 人員削減などのコスト抑制を目的としたもの

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

我が国中小企業の課題と対応策

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

情報経済論

目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民


02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

Microsoft Word - 4AFBAE70.doc

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第5回 「離婚したくなる亭主の仕事」調査

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

Microsoft 365 Business 中小企業のお客様に最適な 統合ソリューション 日本マイクロソフト株式会社

平成 年 2 月 日総務省統計局 労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 24 年 10~12 月期平均 ( 速報 ) 結果の概要 1 Ⅰ 雇用者 ( 役員を除く ) 1 1 雇用形態 2 非正規の職員 従業員の内訳 Ⅱ 完全失業者 3 1 仕事につけない理由 2 失業期間 3 主な求職方法 4 前職の

リスモン調べ 第4回 離婚したくなる亭主の仕事

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3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

自主調査レポート

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厚生労働省発表

女性活躍による中小企業の生産性向上の余地

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

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図 3 世界の GDP 成長率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas Piketty ホームページ 図 4 世界の資本所得比率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas P

働き方の現状と今後の課題

労働力調査(詳細集計)平成24年平均(速報)結果の要約

庁内文書

第2章 食品卸売業の経営指標

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統計トピックスNo.96 登山・ハイキングの状況 -「山の日」にちなんで-

40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 25 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 25 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 25 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

調査結果 1. 働き方改革 と聞いてイメージすること 男女とも 有休取得 残業減 が 2 トップに 次いで 育児と仕事の両立 女性活躍 生産性向上 が上位に 働き方改革 と聞いてイメージすることを聞いたところ 全体では 有給休暇が取りやすくなる (37.6%) が最も多く 次いで 残業が減る (36


図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

第 1 部 施策編 4

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

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40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 24 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 24 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

26公表用 栃木局版(グラフあり)(最終版)

人口動態から見た2025年問題

4章ICTによるインクルージョン促進52 企業においても労働者の不足が顕在化し始めている 帝国データバンクの調査 *3 によると 27 年時点で 企業の43.9% が正社員不足を感じており 過去 年で最も高い水準を示した 日銀短観でも 近年は雇用 D.I. *4 が負の方向に動いており 雇用人員が不

計画の今後の方向性

2018年度の雇用動向に関する道内企業の意識調査

ダイバーシティ 年に向けた政策展開のポイント テレワークが当たり前になる社会 の実現に向け 多様な主体と連携した普及啓発や導入支援への取組を強化 地域での就労支援やマッチング強化により 女性や高齢者の就業を推進 働き方改革と併せて時差 Biz の定着に向けた取組を推進 強化した政策

4 子育てしやすいようにするための制度の導入 仕事内容への配慮子育て中の社員のため以下のような配慮がありますか? 短時間勤務ができる フレックスタイムによる勤務ができる 勤務時間等 始業 終業時刻の繰上げ 繰下げによる勤務ができる 残業などの所定外労働を制限することができる 育児サービスを受けるため

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

資料2(コラム)

2 業務請負 1980 年代 ~

女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等 役員 管理職等への女性の登用促進 М 字カーブ問題の解消には企業の取組が不可欠 このため 企業の自主的な取組について 経済的に支援する 経営上のメリットにつなぐ 外部から見えるようにし当該取組の市場評価を高めるよう政

40,000 人 36,000 人 32,000 人 被保険者 被保険者数の年間推移 [ 年齢階層別 ] ( 5 カ年比較 / 平成 25 年 ~ ) 被保険者数が多い年齢層は 25~49 歳で 中でも最も多いのは 40~44 歳の階層となっています 28,000 人 24,000 人 20,000

ソーシャルセクター組織実態調査 2017 特定非営利活動法人新公益連盟 2017 年 12 月 6 日 Copyright 2017 Japan Association of New Public All Rights Reserved,

第2回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

平成13年8月29日

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1 教育研修費用総額と従業員 1 人当たりの教育研修費用 (1)1 社当たりの教育研修費用総額 1 社当たりの教育研修費用総額は 2014 年度は予算額 5,458 万円 ( 前回調査 5,410 万円 ) 同実績額 4,533 万円 ( 同 4,566 万円 ) であり 2015 年度は予算額 5

参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

秋季問題サンプル

最終デジタル化への意識調査速報

調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

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職場環境 回答者数 654 人員構成タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % タイプ % % 質問 1_ 採用 回答 /654 中途採用 % 新卒採用 % タ

参考資料 第 1 回メディア ソフト研究会参考資料 平成 21 年 11 月 20 日 総務省情報通信政策研究所調査研究部

市からのお知らせについて 市からのお知らせについて 西宮市では 市民のみなさまに市政への理解と関心を深めてもらうために 市政ニュー スやホームページなどさまざまな媒体を活用して情報発信をしています みなさまからい ただいたご意見を踏まえ より効果的で分かりやすい情報提供に努めてまいります 問 22

H25見える化 Ⅰ

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

EITC: Earned Income Tax Credit Ⅱ 韓国における雇用動向 , , ,451.41, ,01

2. 調査結果 1. 回答者属性について ( 全体 )(n=690) (1) 回答者の性別 (n=690) 回答数 713 のうち 調査に協力すると回答した回答者数は 690 名 これを性別にみると となった 回答者の性別比率 (2) 回答者の年齢層 (n=6

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平成25年度 高齢期に向けた「備え」に関する意識調査結果(概要版)2

結果概要 Ⅰ 人手不足への対応について 1. 人員の過不足状況について 社 % 不足している 1, 過不足はない 1, 過剰である 合計 2, 全体では 半数以上の企業が 不足している と回答 n =2,

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第 10 回情報格差 (Digital Divide) とその克服 ( 労働 企業 ) 1 IT と情報格差 (Digital Divide) IT 革命の象徴であるインターネットの利用は拡大し続けている 2011 年末のインターネット利用者数 3 は 2010 年末より 148 万人増加して 9,610 万人 ( 前年比 1.6% 増 ) 人口普及率は 79.1%( 前年差 0.9 ポイント増 ) となった ( 図表 4-3-1-2) また 端末別インターネット利用状況をみると 自宅のパソコン が 62.6% と最も多く 次いで 携帯電話 (52.1%) 自宅以外のパソコン (39.3%) となっており スマートフォンは 16.2% となっている また 携帯電話 PHS1 及び パソコン の世帯普及率は それぞれ 94.5% 77.4% となっている 特に 携帯電話 PHS の内数である スマートフォン は 29.3%( 前年比 19.6 ポイント増 ) と急速に普及が進んでいる 49

平成 24 年度版情報通信白書 より 一方 インターネットの利用には 情報機器の購入と利用に関する知識が必要 であるため 世代別 性別 地域別 年収別 さらに障がいの有無などの面での利用格差 = 情報格差 (Digital Divide) が生じるのが現状である 50

これはインターネット利用自体の格差であるが 情報化社会においてはインターネットの利用が生活 労働 企業活動 ( ビジネス ) 地域間など さまざまな分野で格差が広がっていく インターネットの利用格差 = 情報格差 (Digital Divide) はそのまま経済格差につながっていく 一方で IT を活用することによってこれらの格差を克服しようとする取組みもみられる 2 IT 革命と SOHO テレワーカー IT 革命による生産過程 流通過程の情報化は生産のオンライン化 ネットワーク化と併行した生産単位の小規模化をもたらす そこで登場してきた小規模生産形態のひとつが 1990 年代後半から登場してきた SOHO(Small Office Home Office) であり これは市場構造の変化に柔軟に対応する生産形態 雇用形態として注目されてきた また 2000 年代に入ってからは インターネットや携帯電話等の進展により 在宅でも働きやすい環境が整備されることによる テレワーカー という勤務形態も注目されている IT 革命は女性の職場への進出を進めてきた しかしながらこれは男女間の賃金格差を利用するという側面もある また IT は急速な技術進歩を伴うため 女性の場合は結婚や出産 育児によるキャリアや賃金水準の非連続性を伴いやすい (%) 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 図 13-6 年齢階級別にみた女性の労働力比率 (2007 年 ) 15-19 歳 20-24 歳 25-29 歳 30-34 歳 35-39 歳 40-44 歳 45-49 歳 50-54 歳 55-59 歳 60-64 歳 日本米国韓国ドイツスウェーデン 厚生労働省 平成 20 年版働く女性の実情 より 51

デンマークオランダイタリアフランススペイン国(%) トガルブルクンド そこで 企業でキャリアを積みながらも様々な理由で職場を離れざるを得なくなった女性のために 仕事が在宅でも自らのキャリアを利用して仕事に結び付けようとする取り組みや そのための仕事を紹介するネットワークの取り組みが見られる インターネットの普及によって 情報化の進んだ地域ほど女性の社会参加が高まる傾向が見られる 図 13-7 各国のテレワーカー比率 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 35.0 0.0 米フィンラ英国日本ドイツスウェーオーストアイルラベルギーデンリアンドルクセンポル国土交通省 平成 17 年度テレワーク実態調査 より テレワーカー比率 図 13-8 ICT 競争力指数とテレワーカー比率の相関 ( 相関係数 =0.74) 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 ICT 競争力指数 日本 ジェンダー エンパワーメント指数 図 13-9 百人当たりインターネット加入率とジェンダー エンパワーメント指数の相関 ( 相関係数 =0.68) 1.00 0.90 0.80 0.70 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 0.00 0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 百人当たりインターネット加入率 日本 52

3 IT 革命と格差克服の取り組み (1)IT 革命と女性の取組み別紙資料に見られるように IT 革命は女性の職場への進出を進めてきた しかしながらこれは男女間の賃金格差を利用するという側面もある また IT は急速な技術進歩を伴うため 女性の場合は結婚や出産 育児によるキャリアや賃金水準の非連続性を伴いやすい そこで 企業でキャリアを積みながらも様々な理由で職場を離れざるを得なくなった女性のために 仕事が在宅でも自らのキャリアを利用して仕事に結び付けようとする取り組みや そのための仕事を紹介するネットワークの取り組みが見られる 女性の声を商品の企画 開発に結びつける キャリアマム http://www.c-mam.co.jp/ 女性の在宅ワーク支援ネットワーク ハーストーリー http://www.herstory.co.jp/ (2)IT 革命と高齢者の取組みニューメディアやマルチメディアに代表される地域情報化政策の中で IT が情報発信や新しい地域活性化政策として位置づけられてきたが その中で登場した最新の情報インフラや情報機器が地域の活性化に活用されてきたとは言い難い ( 第 7 回参照 ) 一方 ニューメディアの実験の 最先進地 であった三鷹市では 最新のインフラや情報機器を利用するのではなく パソコンの普及やパソコン利用の講習などを高齢者中心に行い パソコン講習 や企業を退職した高齢者のノウハウなどを活かした仕事 事業展開を目指した取組みを始めた 団塊の世代 の退職に伴い 同様の事業が全国各地で行われている 53

シニアの社会参加 就労支援とまちづくり シニアSOHO 三鷹 http://www.svsoho.gr.jp/ (3)IT 革命と障がい者の取組み現代の IT 革命を象徴するユビキタス ネットワークは いつでも どこでも なんでもつながるネットワークであるが それは だれでも が 女性でも高齢者でも そして障がい者でも使えるものでなければならない そこで IT を利用した障がい者のための福祉機器の開発は進められている 一方 障がい者自身が IT を活用して 仕事や就労に結び付けようという取組みも注目される ナミねえ こと竹中ナミ代表が主宰する プロップステーション ) は 障がいを持つ人 (challenged: チャレンジド ) の自立と社会参加 とりわけ就労の促進や雇用の創出を目的に活動する社会福祉法人が代表的である ITによる障がい者就労支援組織 プロップステーション http://www.prop.or.jp/ 54

4 IT 革命と中小企業ネットワーク (1)IT 投資と企業間格差経済低迷が長期化する中 特に中小企業の不況は深刻である 一方で IT( 情報技術 ) は格段に進展し 多くの企業は IT 投資 IT 導入を進めている IT 専門調査会社の IDC Japan が発表した国内中堅中小企業ユーザーに関する調査結果 (2009 年 9 月 16 日 2009 年 7 月に実施 ) によると 従業員数 999 人以下の中堅中小企業において 43.6% が 2009 年度 IT 投資予算が前年度から 減少する ( 前年度比 97% 未満 ) と回答 また 41.4% が 2010 年度の IT 投資予算が 減少する と回答した 前回 2009 年 2 月の調査の結果 (2009 年度 40.9% 2010 年度 35.8%) と比較すると 減少する と回答した企業がさらに増加している 一方 大企業では 2009 年度 2010 年度ともに IT 投資予算の前年度からの増減の回答結果は改善しており 中堅中小企業と大企業間で IT 投資回復で格差が拡大している パソコンやインターネットの出現により 大規模で高価なコンピューターシステムも高度な専門的知識も不要となり パソコンでインターネットに接続し 他の企業や個人とアクセスし取引もできるようになった このような近年の IT 革命により 中小企業でも大企業と対等に取引を行うことができるようになるとも言われている ところが 企業の情報化 =IT 投資は情報格差 ~ 経済格差の克服につながっていないのが現実である (2)IT 投資と中小企業ネットワーク一方で 中小企業同士が独自のネットワークを作って注文 取引を拡大し さらに製品開発と新市場拡大につなげようとする試みもある 中小企業ネットワークとして代表的なの NC ネットワークの事例について調べてみよう NC ネットワーク http://www.nc-net.or.jp/ 55