1 肝機能検査 9 3. 予備能 1 血清アルブミン 3.5g/dL 以下 コリンエステラーゼ (ChE)0.5 ph 以下 プロトロンビン活性 (PT) 50 % 以下 肝不全 基準値血清アルブミン 3.8 ~ 5.2 g/dl ChE 男性 242 ~ 495 U/L 女性 200 ~ 459 U/L PT 活性 70 ~ 130 % 肝細胞は再生能も肝機能予備能も十分にありますが その能力の限界を過ぎると肝不全となります 肝疾患の重症度の判定は AST ALT の値ではなく 上記の肝予備能をみる検査値で判断されます アルブミンは肝のみで合成される蛋白で重要な肝予備能検査なのですが アルブミンが正常な代償期にも微妙な低下を示す ChE( コリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素 ) と アルブミンと同じく肝で合成され半減期がアルブミンの 15 ~ 20 日より短く数時間から 3 日くらいの凝固因子プロトロンビン ( 第 Ⅱ 因子 ) 第 Ⅴ 因子 第 Ⅶ 因子 第 Ⅹ 因子を反映するプロトロンビン時間が用いられます 薬剤との関連をリアルタイムでみるには凝固系の検査が
32 3 腎機能検査 1. 血液検査 尿素窒素 (BUN) 20mg/dL 以上 クレアチニン (Cr)1.2mg/dL 以上 ( 女性 0.9mg/dL 以上 ) クレアチニンクリアランス (Ccr) 70mL/min 以下 シスタチン C(Cys) 0.96mg/L 以上 糸球体濾過値 (GFR) 基準値 BUN Cr Ccr Cys GFR ( 女性 0.87mg/L 以上 ) 60mL/min/1.73m 2 以下 8.0 ~ 22.0 mg/dl ( 女性 10 ~ 20 % 低値 ) 男性 0.61 ~ 1.04 mg/dl 女性 0.47 ~ 0.79 mg/dl 80 ~ 120 ml/min 男性 0.63 ~ 0.95 mg/l 女性 0.56 ~ 0.87 mg/l 90 ml/min/1.73 m 2 以上 腎機能障害 BUN は血中の尿素に含まれる窒素分を表してい ます 尿素はアミノ酸の脱アミノによって生じたア
52 one point 1 各腎機能を反映する一般的検査 腎血漿流量糸球体濾過値近位尿細管遠位尿細管 ( 集合管 ) PSP 排泄試験 15 分値 ( 正常では 25 % 以上 ) クレアチニンクリアランス ( 正常では 80 120/min) PSP 排泄試験 120 分値 ( 正常では 55 % 以上 ) 尿中 NAG 正常では<7.0U/L MCP NGA 法尿中 β2 ミクログロブリン ( 正常では 230μg/L 以下 ) フィシューバーグ濃縮試験 ( 正常では水の制限後尿比重 1.025 以上尿浸透圧 850mOsm/kgH20) 2 Cr の産生量は筋肉量に比例するため, 筋肉量の少ない人では Cr 生成量が少なく糸球体濾過値がかなり低下しても血清 Cr は正常域に入るのでシスタチン C を使用 3 肉食後は Cr は午後に上昇する傾向がある 4 血清 Cr が有意の上昇を示すのは糸球体濾過値が 30 40mL/min になってからであるが, 末期腎不全
3 腎機能検査 53 では, わずかな糸球体濾過値の減少によっても血清 Cr が上昇するので 1/Cr を時間経過に沿ってみると進行速度を把握しやすいため慢性の進行性腎障害の管理に利用される シスタチン C(cystein protease の機能を抑制する塩基性小分子蛋白 ) は糸球体濾過値が 70mL/min 以下の早期に上昇するため,1/ 血清シスタチン C も 1/Cr よりも糸球体ろ過値との相関性がよいとされている 5 血清 Cr シスタチン C は残存腎機能のバイオマーカーであるため, 急性腎不全での変化には時間がかかるので, 急性腎不全を早期に診断できる新しいマーカー, 尿中 L FABP(liver type fatty acid binding protein) が期待されている L FABP は近位尿細管の細胞質に局在する脂肪酸結合蛋白で, 虚血や酸化ストレスで管腔内に排出され, 尿細管障害を鋭敏に反映する 特に糖尿病性腎症の早期発見に有用と考えられる 6 BUN Cr は糸球体濾過値に反比例はするが BUN の変動には他のファクターも関与する BUN/Cr> 10 では前腎性,BUN/Cr<10 では腎性とされているが,BUN/Cr 比が増加では蛋白過剰, 消化管出血, 蛋白異化亢進, 脱水を考慮し,BUN/Cr 比低下では, 嘔吐 下痢, 低蛋白食, 肝不全, 筋破壊も考慮する 3
6 血液ガス関係 117 one point 1 酸塩基平衡動脈血 ph は 7.35 7.45 の狭い範囲に調節されている 食物摂取や細胞内代謝は生体に酸の負荷をもたらすが, 生体は, 物理化学的緩衝作用, 呼吸器系の調節, 腎による生理学的調節の 3 つの防御機構で対処している 2 代謝性アシドーシスを重炭酸 Na で急激に是正すると, 急速な ph 上昇でイオン化 Ca が減少し痙攣が発生することがあるので注意 乳酸 Naは体内で NaHCO3 になるため, アシドーシスの補正に役立つ 3 代謝性アルカローシスでは血漿 H + を補うため細胞内 H + が細胞外へ出され, 細胞内へ入る陽イオンのうち Na + は細胞膜を通過しにくいため K + が細胞内へ移動する 4 酸塩基平衡障害時の検査所見 6 種類 ph HCO3 - PaCO2 Cl - K + 代謝性アシドーシス代謝性アルカローシス呼吸性アシドーシス呼吸性アルカローシス
13 骨代謝マーカー 231 13 骨代謝マーカー 13 骨吸収マーカー 尿中 DPD 男性 >5.6 骨粗鬆症, (nmol/mmolcr) 閉経前 >7.6 骨転移 ( 骨量減少リスク大 ) 閉経後 >13.1 尿中 NTX 男性 >66.2 骨粗鬆症, (nmolbce/mmolcr) 閉経前 >54.3 骨転移 ( 骨量減少リスク大 ) 閉経後 >89.0 尿中 CTX 男性 >299.0 骨粗鬆症 ( g/mmolcr) 閉経前 >301.4 ( 閉経後の骨吸収リスク大 ) 閉経後 >508.5 血清 TRACP-5b 男性 >590 代謝性骨疾患, (mu/dl) 閉経前 >420 骨転移 ( 骨吸収リスク大 ) 閉経後 >760 DPD: デオキシピリジノリン NTX:I 型コラーゲン架橋 N- テロペプチド CTX:I 型コラーゲン架橋 C- テロペプチド TRACP-5b: 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ 基準値 DPD 30 44 歳女性 2.8 ~ 7.6 nmol/mmolcr NTX 30 44 歳女性 9.3 ~ 54.3 nmolbce/mmolcr CTX 30 44 歳女性 40.3 ~ 301.4 g/mmolcr TRACP-5b 20 44 歳女性 120 ~ 420mU/dL ( 日本骨粗鬆症学会 : 骨粗鬆症における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン 2012 より改変 )
付録 1 処方箋記載の検査値利用の際の one point advice 付録 1 処方箋記載の検査値利用の際の one point advice 1. 疾患の重複, 多剤服用の高齢者について, 副作用情報として検査値を継続的に把握する 2. 加齢に伴う生理機能の変化と薬物動態の変化 薬物動態 加齢に伴う生理機能変化 GER 体内動態変化 341 付 録1
分類商品名頻度等注意事項必要な検査 付録 3 検査が必要と添付文書に記載のある主な薬剤 付録 3 検査が必要と添付文書に記載のある主な薬剤 A Ca 403 付 P Ca ALP 6 1 1 1 TG 3 2 1 1 録3