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BSA(m 2 )= 体重 (kg) 身長 (cm) =1.27m 2 となり 173.6mL/min/1.73m 2 を 1.27m 2 である患者個人の腎機能に換算 ( で補正を外すと ) すると 127.4mL/min になりますが これでも実測 CCr

生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

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福岡大学薬学部薬学疾患管理学教授

基準範囲の考え方 ph 7.35~ mmHg pco2 mmhg po2 mmhg HCO3 mmol/l BE mmol/l 35~45 85~105 60> 呼吸不全 21~28-2~+3 so2(%) 95~99% 静脈 pco2=45mmhg po2=40mmhg 動脈 pco

(Microsoft PowerPoint - ASC-WTQ[\223\307\202\335\216\346\202\350\220\352\227p] [\214\335\212\267\203\202\201[\203h])

症例 A: 30 歳 女性 半年くらい前から徐々に全身倦怠感が増強 診察時の検査で BUN 130 mg/dl ( 正常値 : 9~20) クレアチニン 11.4 mg/dl ( 正常値 : 0.5~1.0) である 症例 B: 38 歳 男性 10 年前から高血圧を指摘され 6 年前から高血圧が悪

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1 血中アンモニア高値 : 新生児 >120μmol/L(200μg/dl) 乳児期以降 >60μmol/L(100μ g/dl) 以上 2アニオンギャップ正常 (<20) であることが多い 3 血糖が正常範囲である ( 新生児期 >40mg/dl) 4BUN が低下していることが多い 5OTC 欠

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ページつき

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1治療 かっていたか, 予想される基礎値よりも 1.5 倍以上の増加があった場合,3 尿量が 6 時間にわたって 0.5 ml/kg 体重 / 時未満に減少した場合のいずれかを満たすと,AKI と診断される. KDIGO 分類の重症度分類は,と類似し 3 ステージに分けられている ( 1). ステー

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目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1

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299 P1NP 骨芽細胞 プロコラーゲン分解 Ⅰ 型コラーゲン TRACP-5b BAP OC ucoc OC 類骨 細胞活性化による分泌 1 増殖期 P1NP 2マトリックス形成 成熟期 3 石灰化期 OC 破骨細胞 肝臓 腎臓代謝 尿中 NTX CTX 血中 NTX コラーゲン断片 CTX α

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デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

表 2 解析対象患者の背景因子 ( 解析対象因子 その 1) 透析時間 ( 時間 / 回 ) < 小計 記載なし 合計 患者数 ( 人 ) 14,161 13, ,219 9,977 9,057 1, , ,6

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2.7.6 MJR a MRI CT b 2 Beecham r-afs mg/ mg/ Gn-RH 742

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egfr(ml/min/1.73 m2 ) が標準体形に補正してある意義は何か? 小柄な体格の方は体格なりの小さな GFR で十分なのに 体表面積未補正値を用いると腎機能を過小評価して分類されてしまうことを防ぐためです かつては日本人の体表面積は 1.49m 2 が用いられていましたが 国際的に 1

者における XO 阻害薬の効果に影響すると予測される 以上の議論を背景として 本研究では CKD にともなう FX および尿酸の薬物体内動態 ( PK ) 変化と高尿酸血症病態への影響を統合的に解析できる PK- 薬力学 (PD) モデルを構築し その妥当性を腎機能正常者および CKD 患者で報告さ

15 検査 尿検査 画像診断などの腎障害マーカーの異常が3ヶ月以上持続する状態を指すこととしている その病期分類方法は成人と小児では若干異なり 成人では糖尿病性腎障害が多い事からこれによる CKD 患者ではアルブミン尿を用い その他の疾患では蛋白尿を用いてそのリスク分類をしている これに対し小児では

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歴史 きっかけは Cholera pandemic(1829 年 ~) 酸の定義 (acid:acidus=sour taste) 1880 年代 ~ Arrhenius 酸とは水に溶けたときに H + を増加させるもの (HCl が酸 ) Naunyn は イオン自体の性質が酸を定義する (Cl

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はじめに イヌリンクリアランス (GFR) で用いるイヌリンは生体内で代謝されず タンパクと結合せず 完全に糸球体濾過され 尿細管で全く再吸収も分泌もされないため糸球体濾過量の gold standard になります チオ硫酸 Na や造影剤のイオヘキソールなどでもほぼ GFR に近い値が得られます

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原著論文

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「血液製剤の使用指針《(改定版)

血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

生化学検査 臨床検査基準値一覧 近畿大学病院 (1) 検査項目 基準値 単位 検査項目 基準値 単位 CRP mg/dl WBC /μl Na mmol/l M RBC K mmol/l F 3.86-

2 CKD 1. 不適当な食事 2. 感染症 : 尿路感染, 肺炎, 敗血症など 3. 急激な循環状態の変動 : 高血圧, 低血圧 4. 水 電解質異常 : 脱水, 溢水, アシドーシス 5. 尿路疾患 : 尿路結石 狭窄 感染 6. 腎毒性薬剤 : 造影剤, 抗生物質,NSAIDs 7. 手術およ

平成 26 年 ₇ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 579 号付録 ) 2.NT-proBNP の臨床的意義 1 心不全 ( 収縮及び拡張機能障害 ) で早期より測定値が上昇するため 疾患の診断や病状の経過観察さらには予後予測等に活用できます 2NT-proBNP の測定値は疾患の重症度

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平成22 年1月平成 22 年 ₁ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 525 号付録 ) 3. 健常人の蛋白分画パターンと各分画の主要な成分 以下に健常人の分画パターン ( 図 1) と各分画の主な成分 ( 表 1) をお示しします 図 1 健常人の分画パターン 基準値 : Alb 60.

総論 2 腎不全患者に特徴的な薬物動態の変化 薬効 薬物名 商品名 尿中排泄率 (%) 副作用 リバビリン レベトール 50 骨髄抑制, 意識障害 禁忌 アマンタジン シンメトレル 90 不穏, せん妄, 幻視 禁忌 抗ウイルス薬 オセルタミビル タミフル 70( 活性代謝物 99 悪心, 嘔吐,

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尿検査のみかた、考えかた

腎動脈が瘤より分枝し腎動脈再建を要した腹部大動脈瘤の3手術例

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Transcription:

1 肝機能検査 9 3. 予備能 1 血清アルブミン 3.5g/dL 以下 コリンエステラーゼ (ChE)0.5 ph 以下 プロトロンビン活性 (PT) 50 % 以下 肝不全 基準値血清アルブミン 3.8 ~ 5.2 g/dl ChE 男性 242 ~ 495 U/L 女性 200 ~ 459 U/L PT 活性 70 ~ 130 % 肝細胞は再生能も肝機能予備能も十分にありますが その能力の限界を過ぎると肝不全となります 肝疾患の重症度の判定は AST ALT の値ではなく 上記の肝予備能をみる検査値で判断されます アルブミンは肝のみで合成される蛋白で重要な肝予備能検査なのですが アルブミンが正常な代償期にも微妙な低下を示す ChE( コリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素 ) と アルブミンと同じく肝で合成され半減期がアルブミンの 15 ~ 20 日より短く数時間から 3 日くらいの凝固因子プロトロンビン ( 第 Ⅱ 因子 ) 第 Ⅴ 因子 第 Ⅶ 因子 第 Ⅹ 因子を反映するプロトロンビン時間が用いられます 薬剤との関連をリアルタイムでみるには凝固系の検査が

32 3 腎機能検査 1. 血液検査 尿素窒素 (BUN) 20mg/dL 以上 クレアチニン (Cr)1.2mg/dL 以上 ( 女性 0.9mg/dL 以上 ) クレアチニンクリアランス (Ccr) 70mL/min 以下 シスタチン C(Cys) 0.96mg/L 以上 糸球体濾過値 (GFR) 基準値 BUN Cr Ccr Cys GFR ( 女性 0.87mg/L 以上 ) 60mL/min/1.73m 2 以下 8.0 ~ 22.0 mg/dl ( 女性 10 ~ 20 % 低値 ) 男性 0.61 ~ 1.04 mg/dl 女性 0.47 ~ 0.79 mg/dl 80 ~ 120 ml/min 男性 0.63 ~ 0.95 mg/l 女性 0.56 ~ 0.87 mg/l 90 ml/min/1.73 m 2 以上 腎機能障害 BUN は血中の尿素に含まれる窒素分を表してい ます 尿素はアミノ酸の脱アミノによって生じたア

52 one point 1 各腎機能を反映する一般的検査 腎血漿流量糸球体濾過値近位尿細管遠位尿細管 ( 集合管 ) PSP 排泄試験 15 分値 ( 正常では 25 % 以上 ) クレアチニンクリアランス ( 正常では 80 120/min) PSP 排泄試験 120 分値 ( 正常では 55 % 以上 ) 尿中 NAG 正常では<7.0U/L MCP NGA 法尿中 β2 ミクログロブリン ( 正常では 230μg/L 以下 ) フィシューバーグ濃縮試験 ( 正常では水の制限後尿比重 1.025 以上尿浸透圧 850mOsm/kgH20) 2 Cr の産生量は筋肉量に比例するため, 筋肉量の少ない人では Cr 生成量が少なく糸球体濾過値がかなり低下しても血清 Cr は正常域に入るのでシスタチン C を使用 3 肉食後は Cr は午後に上昇する傾向がある 4 血清 Cr が有意の上昇を示すのは糸球体濾過値が 30 40mL/min になってからであるが, 末期腎不全

3 腎機能検査 53 では, わずかな糸球体濾過値の減少によっても血清 Cr が上昇するので 1/Cr を時間経過に沿ってみると進行速度を把握しやすいため慢性の進行性腎障害の管理に利用される シスタチン C(cystein protease の機能を抑制する塩基性小分子蛋白 ) は糸球体濾過値が 70mL/min 以下の早期に上昇するため,1/ 血清シスタチン C も 1/Cr よりも糸球体ろ過値との相関性がよいとされている 5 血清 Cr シスタチン C は残存腎機能のバイオマーカーであるため, 急性腎不全での変化には時間がかかるので, 急性腎不全を早期に診断できる新しいマーカー, 尿中 L FABP(liver type fatty acid binding protein) が期待されている L FABP は近位尿細管の細胞質に局在する脂肪酸結合蛋白で, 虚血や酸化ストレスで管腔内に排出され, 尿細管障害を鋭敏に反映する 特に糖尿病性腎症の早期発見に有用と考えられる 6 BUN Cr は糸球体濾過値に反比例はするが BUN の変動には他のファクターも関与する BUN/Cr> 10 では前腎性,BUN/Cr<10 では腎性とされているが,BUN/Cr 比が増加では蛋白過剰, 消化管出血, 蛋白異化亢進, 脱水を考慮し,BUN/Cr 比低下では, 嘔吐 下痢, 低蛋白食, 肝不全, 筋破壊も考慮する 3

6 血液ガス関係 117 one point 1 酸塩基平衡動脈血 ph は 7.35 7.45 の狭い範囲に調節されている 食物摂取や細胞内代謝は生体に酸の負荷をもたらすが, 生体は, 物理化学的緩衝作用, 呼吸器系の調節, 腎による生理学的調節の 3 つの防御機構で対処している 2 代謝性アシドーシスを重炭酸 Na で急激に是正すると, 急速な ph 上昇でイオン化 Ca が減少し痙攣が発生することがあるので注意 乳酸 Naは体内で NaHCO3 になるため, アシドーシスの補正に役立つ 3 代謝性アルカローシスでは血漿 H + を補うため細胞内 H + が細胞外へ出され, 細胞内へ入る陽イオンのうち Na + は細胞膜を通過しにくいため K + が細胞内へ移動する 4 酸塩基平衡障害時の検査所見 6 種類 ph HCO3 - PaCO2 Cl - K + 代謝性アシドーシス代謝性アルカローシス呼吸性アシドーシス呼吸性アルカローシス

13 骨代謝マーカー 231 13 骨代謝マーカー 13 骨吸収マーカー 尿中 DPD 男性 >5.6 骨粗鬆症, (nmol/mmolcr) 閉経前 >7.6 骨転移 ( 骨量減少リスク大 ) 閉経後 >13.1 尿中 NTX 男性 >66.2 骨粗鬆症, (nmolbce/mmolcr) 閉経前 >54.3 骨転移 ( 骨量減少リスク大 ) 閉経後 >89.0 尿中 CTX 男性 >299.0 骨粗鬆症 ( g/mmolcr) 閉経前 >301.4 ( 閉経後の骨吸収リスク大 ) 閉経後 >508.5 血清 TRACP-5b 男性 >590 代謝性骨疾患, (mu/dl) 閉経前 >420 骨転移 ( 骨吸収リスク大 ) 閉経後 >760 DPD: デオキシピリジノリン NTX:I 型コラーゲン架橋 N- テロペプチド CTX:I 型コラーゲン架橋 C- テロペプチド TRACP-5b: 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ 基準値 DPD 30 44 歳女性 2.8 ~ 7.6 nmol/mmolcr NTX 30 44 歳女性 9.3 ~ 54.3 nmolbce/mmolcr CTX 30 44 歳女性 40.3 ~ 301.4 g/mmolcr TRACP-5b 20 44 歳女性 120 ~ 420mU/dL ( 日本骨粗鬆症学会 : 骨粗鬆症における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン 2012 より改変 )

付録 1 処方箋記載の検査値利用の際の one point advice 付録 1 処方箋記載の検査値利用の際の one point advice 1. 疾患の重複, 多剤服用の高齢者について, 副作用情報として検査値を継続的に把握する 2. 加齢に伴う生理機能の変化と薬物動態の変化 薬物動態 加齢に伴う生理機能変化 GER 体内動態変化 341 付 録1

分類商品名頻度等注意事項必要な検査 付録 3 検査が必要と添付文書に記載のある主な薬剤 付録 3 検査が必要と添付文書に記載のある主な薬剤 A Ca 403 付 P Ca ALP 6 1 1 1 TG 3 2 1 1 録3