体幹トレーニング

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を高めるとされているからである またトレーニ アでコアトレーニングという方法が紹介され ングにより体幹の安定が保証されることで 四肢 Local muscles の中でも 特に腹横筋の活動性向 に素早い正確な動きや動作能力が向上すると考え 上を求めることが トレーニングの目標となって られている い

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田口 深瀬 皆さま はじめまして リハビリデイサロン 海 MIHARU は リハビリの専門家 (PT) によるプログラムの下で お身体の機能維持や 状態改善を目的とした施設です 最新のマシンを中心とした自主訓練 専門家によるお身体に合わせた個別の訓練 レクリエーションを取り入れた全身をケアする体操

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264 理学療法科学第 26 巻 2 号 I. はじめに腰痛は, その高い発症率 再発率や原因の特定が困難であることなどから, 多くの人々を慢性的に苦しめている 1,. 近年, 近代化にともない座位で過ごす時間が増えている. 座位での作業は腰痛と関連が深い 3,4). Kelsey ら 4) は,

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1. はじめに骨盤底筋は, 骨盤の最下部に位置し, 呼吸と連動する筋である. 近年, 周辺筋群や腹腔内圧との関わりから, 姿勢のコントロール, 腰痛の予防改善, 種々の動作のスタビリティやモビリティに関わる筋としても注目されている 1). 超高齢社会に入ったわが国において, 男女問わず, 健康寿命の

姿勢分析 姿勢分析 お名前 北原有希様 体重 45.0 kg 運動レベル 中 生年月日 1977 年 9 月 18 日 身長 cm オレンジ色の項目は 優先度の高い項目です 最適な状態にするための姿勢矯正プログラムが提供されます 頭が前に 18.3 出ています / 前に 2.9 cm 傾

はじめに 骨盤商品ブランド Labonetz( ラボネッツ ) は 2015 年 10 月 8 日 ~11 月 1 日の期間 インターネットによるアンケート調査 ニッポンのコツバン 骨盤実態大調査を実施した 回答総数は 1,952 名 骨盤への意識 知識や 身体の症状 日常の動作ぐせについて 多岐に

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札幌鉄道病院 地域医療連携室だより           (1)

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これまでに大腰筋研究の対象として多く扱われてきた短距離陸上競技選手とした 1) 横断的研究 目的 大腰筋は近年 大腰筋が陸上競技などで注目を集め大腰筋面積と疾走速度が比例するとされているが これまでに跳躍力を求められる競技と大腰筋の関わりはあまり研究されていない そこでバレーボール選手における大腰筋


演題 1 妊娠に伴う腰背部痛 骨盤痛のメカニズム 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース理学療法士梶原由布 1. はじめに 妊娠中はつわり 便秘 頻尿や尿漏れ 腓 ( こむら ) がえり 浮腫 動悸や息切れ 貧血 そして腰背部痛や骨盤痛など様々なマイナートラブルが発生

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

VI 参考資料

コンセントレーションカール 腕を鍛える筋トレメニュー 鍛えられる筋肉 : 上腕二頭筋 前腕屈筋 1. ベンチに座り 片手でダンベルを持ち 上腕を太ももの内側に固定します 2. ゆっくりとひじを曲げてダンベルを上げ ゆっくりと戻します フレンチプレス 鍛えられる筋肉 : 上腕三頭筋 1. 片手にダンベ

氏名 ( 本籍 ) 中 川 達雄 ( 大阪府 ) 学位の種類 博士 ( 人間科学 ) 学位記番号 博甲第 54 号 学位授与年月日 平成 30 年 3 月 21 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条第 1 項該当 学位論文題目 股関節マイクロ牽引が腰下肢部柔軟性に及ぼす影響 - 身体機能および腰痛

Transcription:

体幹トレーニング 論文紹介 (The myth of core stability[2010]) Functional Training 理論 体幹の Functional Training H26.5.17 舘利幸

体幹とは 身体の軸となる部分の総称 体の主要部分 胴体のこと 具体的な関節や筋を指してはいない 腹腔を囲む部分 ( 腹横筋 多裂筋 横隔膜 骨盤底筋群 ) 深層 表層の筋を含めた胴体部分 lumbo-pelvic-hip complex( 腰椎 - 骨盤 - 股関節複合体 ) lumbo-pelvic complex( 腰椎 - 骨盤複合体 ) 研究者によって様々な説明がなされている

体幹筋の機械的役割 Bergmark は体幹筋を構造学的特徴から LM と GM に分類 ローカルマッスル (Local Muscle: 深層筋 ) 腹横筋や多裂筋など グローバルマッスル (Global Muscle: 浅層筋 ) 腹直筋 内腹斜筋 外腹斜筋など 近年では 脊柱安定化に関与するとされる LM の収縮に焦点を絞ったトレーニングが積極的に実施されている

The myth of core stability [ コアスタビリティーの ( 根拠のない ) 神話 ] Journal of Bodywork & Movement Therapies 14(1):84-98,2010 Lederman E コアスタビリティー ( 主に LM) について様々な噂や今まで信じられていた話を再検討

コアトレーニングの原理に否定的な立場で再考 腹横筋のトレーニングは脊柱の安定化に有用 腹筋群の弱化は腰痛につながる 体幹筋の強化は腰痛の改善につながる コアと呼ばれる筋群を鍛えることで腰痛の改善につながる 安定化と腰痛には密接な関係がある 先行研究を基に検証し 根拠がないと結論

安定性についての仮説 腹筋群は 妊娠中 肥満などでも著しい生理的変化を示す 腹筋群に対する損傷は LBP に関与しないようである コアトレーニングは 10 年間の研究にもかかわらず理論モデルのままである

タイミングの問題 コアトレーニング発展のきっかけとなった腰痛患者の Local Muscle(LM) の活動遅延に対するコアトレーニングの有効性に関して 数十ミリ秒というわずかな筋収縮のタイミングの遅れを セラピストが評価したり 患者自身がコントロールしたりすることは不可能である 体幹筋の開始タイミングをリセットしそうにない

強さの問題 体幹筋力と耐久性の減少が LBP の素因になるというエビデンスはない 腹筋の弱さや機能不全は腰痛に導かない

1 つのコアマッスルを活性化させる問題 正常な動きにおいて 他の体幹筋からそれぞれに作用するコアマッスルがあるというエビデンスはない 人が 1 つの体幹筋を起動させることを効果的に学ぶことができるというエビデンスはない

類似性の原則 体幹コントロールは 被験者が実行している特異的な活動によって変化する 背臥位で腹横筋などの腹部筋群の収縮トレーニングを行っても 立位やランニング時の腹横筋の活動に貢献することは保障されない

注意の焦点化の原則 マイケルジョーダンがスラムダンクを決める時や 腰痛患者がバスを追いかける際 LM に対して難しい意識を持ち続けることは出来ない 腹横筋などに対する難しい意識の内的焦点化を多用したコアトレーニングは運動パフォーマンスを低下させる可能性がある

腰痛予防のためのコアトレーニング 腰痛予防に対するコアスタビリティーエクササイズは その他の治療 ( 運動や理学療法 ) の 1 つにすぎない 安定性がでるよりはむしろ 何らかの治療的な影響が運動効果に関連がある 患者がどんな運動を喜ぶかについて知って それを処置計画に加えなさい

結論 日常生活及びスポーツ活動中 体幹を連続的に緊張することで 脊椎に損傷を与える潜在的な危険がある可能性がある 複雑なドローインやブレイシング操作を用いるために訓練された患者はそれらを用いることを思いとどまらなければならない

FUNCTIONAL TRAINING 理論

FUNCTIONAL TRAINING とは ファンクショナルトレーニングは動きのトレーニング テクニックではなく 原理原則である ( トレーニング方法ではなく トレーニング理論 )

FUNCTIONAL TRAINING の 5 原則 1) Use of Gravity( 重力の利用 ) 2) Integrate & Dissociate( 協同と分離 ) 3) Kinetic Chain( キネティックテェーン ) 4) 3 Dimension Movement(3 面運動 ) 5) Loading & Unloading( 力の吸収と発揮 )

1) USE OF GRAVITY( 重力の利用 ) 動作における基本姿勢は立位であるため 常に重力を考慮した動作に着目するべきである 動作の中での筋活動は無意識で行われる 機能を上げるためには 重力に対して反応できる筋力にしなければ機能的でない 重力に対して使える筋を教育する

2) INTEGRATE & DISSOCIATE( 協同と分離 ) ファンクショナルな動作は 適切な関節が 適切な可動域内において適切なタイミングと適切な強度で利用されたときに実現する 関節の役割を大きく分けると 大きな動きに適している関節をモビリティ関節 適していない関節をスタビリティ関節とすることができる 動作において筋は 関節を動かすためにも必要だが 固定させるためにも必要

2) Integrate & Dissociate( 協同と分離 ) 脊椎の回旋可動域 ( カパンジー ) 胸椎 :75 腰椎 :10

3) KINETIC CHAIN( キネティックチェーン ) キネティックチェーンとは 運動連鎖 動作をするときには複数の筋が働いている 筋肉の動きは連鎖している 動作はキネティックチェーンで行なわれるため 運動機能をあげるならば 単関節よりも複合関節でトレーニングをする必要がある

4) 3 DIMENSION MOVEMENT(3 面運動 ) 動作は基本的に 3 面 ( 矢状面 前額面 水平面 ) で成立しているため その機能を改善するファンクショナルトレーニングも 3 面で実施するべきである 動きの機能を上げるならば どこの筋肉 どこの部位をトレーニングするという考えでなく どの関節を どの面に動かすかという考え方をする

5)LOADING & UNLOADING( 力の吸収と発揮 ) 重力に抗した動きの場合には 力の発揮 (Unloading) の前に 力の吸収 (Loading) を行なっている 力の吸収では 重力を利用してあらかじめエキセントリック収縮させて関節を動かし その後コンセントリック収縮をする 動作のトレーニングにおいて 筋に伸張後 すぐに収縮するという筋の反応の教育もしなければならない

機能的な動き とは スタビリティ関節とモビリティ関節が関節ごとに分離して機能し キネティックチェーンにて協同して機能する ( 動作が生じる ) その動作は 3 面運動であり 力の発揮の前に必ず 力の吸収が行なわれる

体幹の ファンクショナルトレーニング 体幹の機能向上

体幹のファンクショナルトレーニング 体幹 :lumbo-pelvic complex( 腰椎 - 骨盤複合体 ) 1. ファンクショナルな動作の中で 体幹筋群は重力に抵抗する力が発生したときに自動的に機能する 2. 体幹は 可動性の少ないスタビリティ関節のため ファンクショナルな動作を行う際の役割は 固定 である また 体幹自体を固定するだけでなく 固定によって体幹に隣り合う関節である股関節および胸椎に適切な動きを促す機能を持っている 3. ファンクショナルな動作は 全身のキネティックチェーンを利用して生み出されるが そのほとんどは体幹を通過している 4. 体幹はスタビリティ関節であるが 動作の中で正常な可動域内において動くことができる為 体幹自体も 3 面運動にて機能する必要がある

胸椎 股関節の可動域改善 体幹を安定させるためには 胸椎 股関節の可動域確保が必要 ( 胸椎可動域訓練の例 )

体幹トレーニング フロントブリッジ ( フロントブリッジ ) ( 不適切なフロントブリッジ ) ( フロントブリッジ応用 ) ( フロントブリッジシングルアーム ) ( 不適切なフロントブリッジシングルアーム )

体幹トレーニング サイドブリッジ ( サイドブリッジ ) ( 不適切なサイドブリッジ ) ( サイドブリッジ応用 ) ( サイドブリッジヒップフレクション )

体幹トレーニング ブリッジ ( ブリッジ ) ( 不適切なブリッジ ) ( シングルレッグブリッジ ) ( 不適切なシングルレッグブリッジ )

体幹トレーニング 立位 座位などでの体幹の 分離と協同 ランジポジションで体幹を固定しながら 胸椎の側屈を行う ランジポジションで体幹を固定しながら 胸椎の回旋を行う

参考 引用文献 Lederman E:The myth of core stability. Journal of bodywork & movement therapies,14(1):84-98,2010 Michael Boyle( 中村千秋監訳 ): 写真でわかるファンクショナルトレーニング, 大修館書店,2007 渡部賢一, 鈴木岳ら : ファンクショナルトレーニング機能向上と障害予防のためのパフォーマンストレーニング, 文光堂,2010 Carolyn Richardson ほか ( 齋藤昭彦翻訳 ): 脊椎の分節的安定性のための運動療法 - 腰痛治療の科学的基礎と臨床, 産学社エンタプライズ出版部,2 002