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目次 周産期は全ての縮図... 1 周産期疾病は廃用につながる... 1 周産期疾病からの脱却... 2 改善事例 1 飼料給与と環境改善は効果有り... 2 改善事例 2 カルシウムとリン酸バランスの改善... 4 改善事例 3 ケトーシスの早期診断は役立つ... 6 周産期疾病のメカニズム... 7 周産期病の源は乾乳期... 7 早期発見をするために疾病を理解しよう... 9 ケトーシス... 9 乳熱 ( 低カルシウム血症 )... 11 第四胃変位... 12 周産期疾病を防ぐための飼養管理... 14 乾乳期の管理... 14 分娩前後の管理... 18 泌乳期の管理... 19 環境がDMIを左右する... 20 休息できる環境... 20 食べて 飲む... 22 DMIを高めるためのモニタリング... 23 ボディコンディションスコア... 23 喰い込みのモニタリング... 26 肢蹄のモニタリング... 26 糞からのモニタリング... 30 牛体表被のモニタリング... 30 飼槽のモニタリング... 31 乾乳牛が食べられる草... 32 乾乳用牧草の高カリウムは禁物... 32 酪酸発酵サイレージはケトーシスを招く... 33 基本は土壌診断と石灰施用... 34

周産期は全ての縮図 周産期疾病は廃用につながる 周産期疾病とは分娩後 21 日以内に招く疾病をいい 第四胃変位 乳熱 ( 低カルシウム血症 ) ケトーシスが三大疾病です 宗谷管内では周産期疾病の 55% が乳熱です 次に第四胃変位 25% ケトーシス 19% となっています ( 図 1) 周産期疾病を煩い死亡廃用に至るケースは第四胃変位が 51% 次に乳熱 42% ケトーシス 4% で 経営に大きなダメージを与えています ( 図 2) 図 1 病名別周産期疾病割合 周産期の三大疾病は 乳熱 第四胃変位 ケトーシス周産期疾病を煩い死亡廃用となった頭数 第四胃変位 51% 乳熱 42% ケトーシス 4% ダウナー 3% 経産牛の廃用は分娩後日数の経過と廃用割合の関係からみても 分娩後 20 日以内の短い間に集中していることがわかります ( 図 3) 図 2 病名別死廃頭数割合 廃用頭数は分娩後 20 日以内が多い 一乳期を通じて分娩後 20 日以内に廃用割合が集中する 図 3 病名別死廃頭数割合 1

周産期疾病からの脱却 改善事例 1 飼料給与と環境改善は効果有り 宗谷北部 A 牧場では乾乳期の 飼料 と 飼養スペース を改善することで 分娩後のケトーシスや乳熱 ( 低カルシウム血症 ) の発症低下を実現しました 疾病発生率が低下したことで 生乳生産に大幅な改善がみられました 給与飼料の見直し 取組内容は乾乳期間の飼料給与 1 群メニューから 分娩前 60 日 ~14 日まで と 分娩前 14 日 ~ 分娩まで の 2 群メニューに変更しました ( 表 1) 表 1 取組前後の飼料給与メニューと量 飼料給与量 飼料名 取組前 乾乳前期 取組後 乾乳後期 1 番草細切グラスサイレージ 飽食 飽食 飽食 2 番草ロールラップサイレージ 飽食 飽食 飽食 乳配 16 号 2.50kg 1.00kg - 圧ペンとうもろこし - 1.00kg 2.00kg 乾乳用配合 17 号 - - 2.00kg リン酸カルシウム 8 号 0.15kg - - リン酸カルシウム 0 号 - 0.20kg - TDN 63.4% 61.3% 66.6% 栄養濃度 (DM 中 ) CP 13.4% 12.7% 14.7% カルシウム (Ca) 0.66% 0.80% 0.35% リン酸 (P) 0.40% 0.37% 0.43% 2 群に分ける目的 乾乳前期はカルシウム含量の高い飼料に変え 給与量も増やし 体内への蓄積を促す 乾乳後期はカルシウム剤給与を止め 乾乳用配合に変える事で 分娩後の骨からのカルシウム動員を円滑にする 2

飼養環境の見直し 繋ぎ飼い牛舎内で乾乳牛と搾乳牛を一緒に管理していたことを止め 乾乳牛を別棟で管 理するようにしました 別棟にする目的 ストレス無く ゆったりと過ごせる 食い込みを高められる ( 乾物摂取量アップ!) 盗食防止となり 乾乳 2 群管理が行いやすい 第 1 段階 野外での飼養 乾乳前期の牛を放牧地で管理することで 安楽性を確保! ディッピング溶液が入っていた大型の空容器を切断し 飼料用の桶として活用! 野外の乾乳牛 第 2 段階 乾草庫を乾乳用フリーバーンに改造 改造前 改造後 ( 採光を意識した ) 図 4 乾乳牛舎内部の広さ 乾乳牛の行動もゆったりとし 採食量の向上にもつながった 搾乳牛舎 乾乳牛舎に分けたことから それぞれの作業効率が高まった 疾病減少 乳量アップ 図 5 周産期疾病による除籍率 分娩後の疾病発生頭数が減少し 牛群からの除籍が激減 ( 図 5)! 分娩後に良いスタートが切れることから出荷乳量 個体乳量ともアップ ( 図 6)! 経産牛頭数が 11% 増頭! 3 図 6 出荷乳量 個体乳量の伸び率

改善事例 2 カルシウムとリン酸バランスの改善 宗谷南部 B 地区では分娩後の乳熱 ( 低カルシウム血症 ) が年間 15% 以上発生し 地区全体の生乳生産に影響を与えていました その原因は泌乳期間中からのカルシウム不足によって蓄積が足りず あわせて 乾乳期間中のカルシウムとリン酸のバランスが崩れていることが考えられました また 乾乳前期でのカルシウムの過不足は 飼料用タンカルを給与し嗜好性をモニタリングすることで判断でき 改善に向け有効でした 給与飼料の見直し 表 2 取組前後の飼料給与メニューと量 飼料給与量 飼料名取組後取組前乾乳前期乾乳後期 1 番草乾草 飽食 飽食 飽食 乳配 18 号 2.00kg 2.00kg 2.00kg 圧ペンとうもろこし 0.50kg 0.50kg 0.50kg 飼料用タンカル - 0.10kg - DMI 11.1kg 11.1kg 10.2kg TDN 62.6% 62.0% 63.3% 栄養濃度 CP 12.4% 12.2% 12.5% (DM 中 ) カルシウム (Ca) 0.27% 0.65% 0.28% リン酸 (P) 0.34% 0.33% 0.35% Ca/P 0.79 1.97 0.80 ( 乾乳前期 : 乾乳直後 ~ 分娩予定 3 週間前まで乾乳後期 : 分娩予定 3 週間前 ~ 分娩 ) 取組後の給与ミネラルの考え方 乾乳前期のカルシウム (Ca)/ リン酸 (P) 比を 1.5 ~2.0 以内に収まるようにした 乾乳前期だけはカルシウムの自由採食を行い 不足を防いだ 乾乳後期はカルシウム給与を止め カルシウム (Ca)/ リン酸 (P) 比を 0.7~0.9 以内に収まるようにした 採食量を落とさないように 粗飼料品質 環境に配慮した 4

カルシウム充足のモニタリング方法 表 3 飼料用タンカル嗜好性に対する評価基準 評価項目評価基準他の牛を押しのけ 奪い合いながら食べたり 配合飼料よりも嗜好非常に好む性を示すなど 非常に強い採食行動をとる 好む 強い嗜好性を示さないが与えると食べる 自由採食の様子 好まない 全く食べない もしくは 2 日目以降から食べない 乾乳前期 ( 乾乳直後 ~ 分娩予定 3 週間前 ) の乳牛に対して飼料用タンカルを飼槽に置き 採食させてください もし無我夢中で貪るように採食するなら ( 評価項目 : 非常に好む ~ 好む ) カルシウムの不足です 自由摂取出来るようにします もし採食しないのなら ( 評価項目 : 好まない ) カルシウムは足りています 通常の飼料給与 (Ca/P=1.5~2.0 DM 中 ) を行う 充足の目安は 給与開始直後は興味を示し貪るように採食するが 給与開始 1 週間後には興味を示さなくなります カルシウムとリン酸バランスを取った結果 図 7 分娩後 30 日目の除籍 廃用率の比較 図 8 個体乳量 出荷乳量の増加 乾乳前期に飼料用タンカルを飽食し その後カルシウムとリン酸のバランスを取った農家では 分娩後の乳熱が減少しました その結果 分娩後 30 日以内の除籍 廃用率が低下しました ( 図 7) さらに個体乳量 出荷乳量とも大幅に伸びました ( 図 8) 5

改善事例 3 ケトーシスの早期診断は役立つ 宗谷南部の C さんでは分娩後のケトーシスの発症がみられ 泌乳初期の飼料摂取が悪く 乳量の立ち上がりや繁殖成績に問題を抱えていました そこで 早期に状態を知る手段として判定フィルム ( サンケトンフィルム ) を用い 乳牛の状態を評価することにしました 診断方法 分娩直後に搾った初乳を判定フィルムに浸け 2 分後に色をみて判定します 1 2 3 判定フィルム ( サンケトンフィルム ) を冷蔵庫から取り出し 常温に戻す 乳汁にフィルムの試薬部分を 2 秒間浸け 2 ~ 3 回乳汁を振るい落とす 乳汁浸漬 1 分後に色を見て判定する 早期発見した結果 早期発見のメリット 発症後の重篤化を阻止 複数頭の反応が続く場合 後に分娩を迎える母牛も警戒することが可能となり 対策を講じやすい ボディコンディション 分娩前の馴らし飼い 添加剤投与など予防策が取りやすくなった 表 4 取組前後の生産性 管理乳量 授精回数 空胎日数 分娩間隔 発情兆候が不明瞭日数 取組前 31.3kg 3.1 回 206 日 464 日 37 日 基準値 100 100 100 100 100 取組 1 年目 31.5kg 2.7 回 174 日 458 日 32 日 取組前対比 101 87 84 99 87 取組 2 年目 31.9kg 2.4 回 160 日 449 日 27 日 取組前対比 102 77 78 97 73 6

周産期病のメカニズム 周産期疾病の源は乾乳期 図 9 乳牛の生産サイクル 周産期疾病は分娩後の産褥期に煩う代謝性疾患です 分娩に至るまでには様々な環境変化や生理的な変化が起こります 分娩予定日の 60 日位前から乳牛の体内では胎子の成長が著しくなり 特に分娩予定の 40 日前から急激に成長します 一方 乾乳後期から分娩にかけて乾物摂取量は減少し 分娩を迎えます ( 図 9) 分娩後産乳量は増えますが 乾物摂取量は伴いません このギャップを埋めるために飼養者は慌てて様々な事を行いますが 手遅れになりがちです その一つがルーメンアシドーシスです この疾病は第一胃の発酵が安定しないことで 第一胃内の ph が酸性に傾きます ph が低下する要因は急激に分解発酵する澱粉質飼料の過剰給与が関係します 乾乳期では粗飼料主体で管理されていること じゅうもうの から澱粉質を多く含む穀類が少なく そのため第一胃内絨毛 表面積は少ない状況です この絨毛は栄養を吸収する機能を備 周産期疾病は 乾乳期の管理が一乳期に影響した結果の産物 食滞を招く 分娩後の乾物摂取量が高まらない 乾物 栄養摂取が不足 発情が飛ぶ 空胎日数が伸びる BCSがオーバー 次産に周産期疾病 7

えるため 表面積の広さが重要になります 粗飼料主体では絨毛の長さは 1cm 前後ですが 穀類を併給した状態では 3cm 前後の長さになります ( 写真 ) 写真給与飼料別絨毛の長さ ( ミシガン大学提供 ) 分娩後 泌乳量の増加に併せて穀類を増やしますが 絨毛の表面積が狭い中で増やしても吸収されず 胸焼け状態になり食滞症状が現れます これを回避するためには乾乳後期からの馴らし飼いが重要となります 分娩後スムースにスタートするための絨毛を得るには 3 週間必要と言われています この生理機能が整わない状況で泌乳生産に向かうことがルーメンアシドーシスを誘発する一つの要因になります ルーメンアシドーシスになると乾物摂取量の低下を招きます 同時に様々な疾病につながり その影響からホルモンバランスや免疫力低下 繁殖成績低下 蹄病などを誘発します ( 図 10) ルーメンアシドーシスになると 食欲の減退 周産期疾病誘発 ホルモンバランスが崩れる 免疫力低下 繁殖成績低下 蹄病誘発 図 10 ルーメンアシドーシスと疾病の関係 これに伴ってボディコンディションスコア (BCS) がオーバーになったり 逆にアンダーになったりという状態になります このような状況が今産次あるいは次の産次での周産期疾病に結びついていきます 8

早期発見をするために疾病を理解しよう ケトーシス 乳熱 第四胃変位は分娩がらみ疾病の代表格です これらをコントロールすることでお産を恐れず 健康な立ち上がりにつながります この 3 つの疾病メカニズムを理解しておくことで餌や環境 牛への対応が早まります 疾病からの早期回復は 早期発見 早期対応 早期治療 が鉄則です 重症化すると 泌乳量はもちろん繁殖サイクルが狂い 生涯の生産性を落とすことになりかねません 疾病からの早期回復の鉄則 早期発見 早期対応 早期治療 ケトーシス ケトーシスは糖質や脂質の代謝障害によって体内でケトン体が異常に生成された状態で 低血糖状態となり発症します 乾乳期のボディコンディションスコア 3.75 以上の過肥牛に多く見られます 主な症状は食欲の減退や泌乳量の低下がありますが 病因が複雑なため大きく衰弱型 神経型 継発型の 3 つに分類されます ( 図 11) 主な症状は 食欲の減退 泌乳量の低下 急激に痩せる 被毛が粗くなる 皮膚の弾力が無い 糞便が硬い 尿や乳汁から甘酸っぱいアセトン臭 衰弱型 代謝障害の発現から 2~4 日後に食欲停滞 濃厚飼料 サイレージの順に採食低下 乾草などの乾いた物は採食する 代謝障害の発現から 2~4 日後に乳量低下 乳汁中の乳糖 乳脂肪含量が低下 体脂肪動員による乳脂肪率増加 体重の減少が急激 急激に痩せ被毛が粗く 皮下脂肪の減少から皮膚の弾力性が無くなる 重篤な時は呼気や尿 乳汁にアセトン臭 甘酸っぱい臭気 神経型 衰弱型の症状に加えて神経症状がある よだれを流す そしゃく 舐癖 歯ぎしり 視力消失 頭部下垂 歩様の異常 開帳や四肢の交差 旋回運動など目的の無い動作 狂騒 斜頸 代謝障害 継発型 慢性疾患や潜在性疾患の経過中に発現する 衰弱性 神経性の発現で症状は複雑になる 図 11 ケトーシスの 3 つの症状 9

体脂肪動員からケトン体まで 乳牛はエネルギーが不足すると体脂肪を分解し利用します 肝臓内で分解される過程でアセチルコエンザイムA( アセチル CoA) という形態に変化します ここで過剰となったアセチルコエンザイムAからケトン体が合成され血中へ流れていきます 図 12 体脂肪動員からケトン体までの流れ 対応ポイント 周産期疾病のスタートはケトーシスから もしくは 他の疾病が引き金になった結果 ケトーシスになる場合もあります 次に対応に向けたポイントを示します 過肥からくる脂肪肝によるケトン体の増加 泌乳中後期からコンディションを整え 乾乳にする 乾乳中は粗い粗飼料を主体に適正な栄養を供給する 代謝を促すためにバイパスコリン等の製剤を給与する 過肥牛は分娩後乾物摂取量を落とすので注意する 産前産後に採食量が極端に落ちて栄養量 ( 乾物摂取量 ) の不足 乾乳期間中のコンディションは痩せさせない 太らせない 乾乳後期には泌乳用飼料に馴らし 乾物摂取量を最大にする ストレスの無い飼養環境を提供する 泌乳量が増え 足りない飼料量とアンバランスで栄養不足 泌乳量に見合った栄養量を給与する さらに飼料内容を確認する 劣悪サイレージによる肝機能負荷増大 酪酸発酵のサイレージは給与しない 代替え粗飼料を確保し給与する 不良発酵を招くようなサイレージ調製は行わない その他の疾病が要因で低栄養になり発症 疾病の発生要因を探り 改善する 嗜好性が良く 乾いた飼料を中心に給与する 10

乳熱 ( 低カルシウム血症 ) 乳熱は分娩後の泌乳開始により 血液中のカルシウムが乳汁と共に排出され 体内のカルシウムが欠乏状態になることで筋肉の収縮が出来なくなり起こります この疾病は骨に貯蔵されたカルシウムを動員できないことが原因です 全身症状を現すことが多く 神経症状や筋肉の震えが起こり 運動機能が麻痺します 乳牛は加齢と共に乳量も増加しますが 骨からカルシウムを動員する機能も低下してきます そのため必然的にカルシウム濃度が低下し 高齢牛には乳熱が多くなります 初期症状は ふらつき 体温の低下 食欲の減退 寝たままの姿勢になり意識が弱まる 起立不能 脈拍増える どのようなメカニズムなのか 分娩時 ~3 日後の血中カルシウム濃度の急激な低下はなぜおこるのでしょうか? さかのぼると乾乳期に原因があります カルシウム濃度が高いエサを給与し続けると 血中カルシウム濃度が高まります このことを副甲状腺にあるホルモンが察知し 今は過剰と判断します 沢山あるのだから 腸管からも取りすぎないように! 骨から貯金 ( カルシウム ) を出すこともないよ とブレーキをかけます 骨からの流入は分娩後 1 週間からであり 飽和状態を維持すると動員に向けたスイッチが入りません この時 急激に乳中のカルシウムが奪われてしまう現象 ( 分娩 ) が起こります このことを副甲状腺で察知しても時すでに遅く 血中カルシウム濃度が一気に下がり カルシウム欠乏を招くことになります ( 図 13) 図 13 血中カルシウム不足 過剰時のメカニズム 乳熱は自己カルシウムコントロールシステムのタイムラグが招く疾病です 分娩後に発症するのは骨からのカルシウム動員が遅れ 筋肉の収縮が思うようにいかなくなるため 腰が抜ける症状などで現れます 11

対応ポイント 低カルシウムは各種筋力の低下を誘発し 第四胃変位やケトーシスとも深く関係しています また 後の繁殖まで影響を及ぼすため 乾乳期からの低カルシウム対策は必須です 乾乳中の管理は乾乳前期 ( 乾乳直後 ~ 分娩予定 3 週間前 ) と乾乳後期 ( 分娩予定 3 週間前 ~ 分娩 ) の 2 群に別け管理を行います 分娩予定 3 週間前の乾乳後期には給与飼料中のリン酸とカルシウム濃度比率を整えたカルシウムコントロールによって乳熱を防ぎます もしくは陽イオン陰イオン差 (D ディキャド CAD) をマイナスにし 血中のイオン化カルシウムを増すことで 乳熱を防ぎます どちらの方法も給与飼料中のミネラル含量から求めるため 定期的な粗飼料分析が必要です 乾乳は 2 群管理 乾乳前期分娩予定 3 週間前まで 乾乳後期分娩予定 3 週間前 ~ 分娩 乾乳期飼料はミネラルバランスを整える カルシウムとリン酸のバランス前期 :Ca/P=1.5~2.0 後期 :Ca/P=0.8~1.0 DCAD -32~+13(mEq/DM kg) ( 畜産試験場 ) 第四胃変位 分娩後 早期に発症する第四胃変位の多くは乾乳期の管理が影響します また 分娩 3 週間以降に発症の場合は分娩後の飼養管理が影響しています 第四胃変位は第四胃消化機能の異常によって拡張した第四胃が左方もしくは右方へ移動し 自力では戻らなくなるために起こります 物理的に胃がずれたままだと消化がうまく行われず 次の消化管である十二指腸へ内容物を送れなくなります 症状は 食欲減退 糞便無いか水様性 第一胃運動の減少 反芻停止 泌乳量減少 僅かに体温上昇 ケトーシス 低カルシウム血症の併発 どのようなメカニズムなのか 第四胃変位はバンクマネジメントや飼養スペースなどの飼養環境 穀類の多給に伴い第一胃 ( ルーメン ) 内異常発酵 これらに伴った乾物摂取量の低下が絡み合いスタートします この結果 第一胃から第四胃へ揮発性脂肪酸 ( 酢酸 プロピオン酸 酪酸 ) が流入し 第四胃アトニーという筋肉組織の緊張が弱まり ガスが生成 蓄積され拡 第四胃変位手術の様子 12

張されます 同時に第一胃容積が減少し空間が増すと同時に 胎子の排出によって空間が増えた状態になります このため 伸びきった第四胃が空いた空間へ動くことで第四胃変位が発症します ( 図 14) 図 14 第四胃変位のメカニズム 対応ポイント 総繊維 (NDF) 不足を防ぎルーメンマットを形成 乾乳期は嗜好性の良い粗飼料を給与し ルーメン ( 第一胃 ) の内圧を高める 分娩後も 嗜好性の良い粗飼料を給与し胎子のいた空間を埋める 過肥牛は分娩後乾物摂取量を落とすので食い込みに注意する 分娩前の馴らし飼いを行う 分娩予定 2~3 週間前から良質粗飼料を与え 配合を徐々に増給し ルーメン微生物の活性化をはかる 分解性蛋白質の過給と濃厚飼料の多量摂取を避ける 分娩後の配合飼料の増給は採食量を見てゆっくりと行う 高水分サイレージ等分解性蛋白質の高い飼料を給与する時は すぐに発酵にま わる糖蜜等の高エネルギー飼料で余剰蛋白の生成をおさえる 乾乳牛には心地よい環境を提供する 採食 飲水が十分に摂取できるように 飼槽スペース 水槽を提供する 通路や寝起きの安楽性を確保する 移動スペースや運動スペースを確保する ケトーシス 低カルシウム血症に注意 ケトーシス 低カルシウム血症の予防を行う 13

周産期疾病を防ぐための飼養管理 周産期疾病を回避するためには 乳牛の乳期やボディコンディションスコア (BCS) の状態 乾物摂取量を考慮した栄養管理が必要です 胎児の急激な成長と乾物摂取量が低下する乾乳期と 次乳期に向け体調を整える泌乳期の栄養管理は両輪です どちらかを改善しただけで済むと言うことではありません 乾乳期の管理 ボディコンディションスコアは変化させない 乾乳期は 乳量が 0 ゼロ であるため 養分要求量が低くなります 特に乾乳前期では粗飼料の成分や併給する濃厚飼料量によってBCSがオーバーになったり 減少したりします 一方 乾乳後期では胎児の成長によって栄養要求量が高まりますが 逆に乾物摂取量は減少します この結果栄養不足になる傾向があります このように乾乳期間中のBCS 変化は 体脂肪が肝臓を通じて行われることから 肝臓に負担をかけてしまい分娩時に肝機能低下を招くことになります BCS 変化させない BCS 変化を防ぐために粗飼料と濃厚飼料給与量は調整する 乾乳後期は乾物摂取量が低下するため 不足を防ぐ 変化が大きいと肝機能低下を招く 乾乳は 2 群に分けて管理する 乾乳期は分娩までの週数によってエネルギーや粗タンパク質の要求量が異なります また カルシウムやマグネシウム カリウムなどのミネラルの要求量も変わります この変化に対応するためには乾乳前期群と乾物摂取量が低下する乾乳後期群の 2 群に分けての栄養管理が重要となります ( 表 5) もし 1 群管理となる場合は 飼槽面積や休息スペースは 3 割以上の余分な面積を確保します 粗飼料は酪酸発酵サイレージを避け 乾物摂取量を高めます 2 群管理も同様ですが 高水分サイレージを給与する場合は乾草も併給し 乾物摂取を高めます ( 表 6) 乾乳期間が 60 日を超える乳牛が多頭数いたり BC S が 3.5 を超える乳牛が多数いる場合は 1 群管理は避けましょう 2 群に分けて栄養管理を行う 乾乳前期乾乳直後 ~ 分娩予定 3 週間前まで 乾乳後期分娩 3 週間前 ~ 分娩まで ( 初産牛は 4 週間前 ~ 分娩まで ) 乾乳日数が長い乳牛やオーバーコンディションが在籍時の 1 群管理は避ける 14

表 5 乾乳前期 後期における栄養の目安とポイント 項 目 乾乳前期 ( 乾乳直後 ~ 分娩予定 3 週間前 ) 乾乳後期 ( 分娩予定 3 週間前 ~ 分娩 ) 乾物摂取量の目安 体重の 2.0% 程度 体重の 1.6% 栄養濃度 TDN 60~63% CP 12~13% Ca 0.60 TDN 65~68% CP 13.5~15% NFC 25~35% Ca 0.30~0.35 P 0.30~0.40 P 0.40 CP/TDN 0.22 以下 CP/TDN 0.22 以下 カルシウムバランス Ca/P 1.5~2.0 (Ca/P 濃度比 ) Ca/P 0.80~1.0 陽イオン 陰イオンバランス -32~+13mEq/DM kg (DCAD) 飼料給与 ( 例 ) グラスサイレージ+ 乾草 + 配合飼料 (2kg)+タンカル 低水分グラスサイレージ+ 乾草 (+ 状況に応じ コーンサイレージ )+ 配合飼料 ( 乾乳用 3-6kg)+ 酸化マグネシウム ポイント BCSを変動させないためエ 乾物摂取量を落とさないよ ネルギーの過不足に注意する う飼養環境に注意する 嗜好性の良い粗飼料を給与 嗜好性の良い粗飼料を給与 グラスサイレージ+ 乾草 などの組み合わせで できるだけ乾物摂取量を低下さないよう し高水分サイレージ 酪酸発酵サイレージは避け 乾物摂取量を低下させない 注意する エネルギー タンパクの要 求量も高まる時期なので 乾乳期用の配合飼料または 単味飼料を組み合わせて 充足させる (H20 根室農業改良普及センター H15 道立畜産試験場 ) 表 6 乾乳 1 群管理で周産期疾病 5% 以下 目標時の栄養ガイドライン ( 暫定 ) 項 目 栄養濃度 DMI 13.2kg 以上 TDN 63.20% ±1.6 CP 12.50% ±1.1 NFC 25.50% ±1.9 Ca 0.42% ±0.15 P 0.31% ±0.06 Ca/P 1.35% ±0.34 解放された環境下の 1 群乾乳牛たち 競争の無い飼槽で採食する 1 群乾乳牛 (H24 根室農業改良普及センター課題解決研修資料より ) 15

乾乳期のミネラル管理は重要 乾乳期におけるミネラル管理 特にカルシウムとリン酸のバランスやカリウムが高い粗ディキャド飼料給与時の陽イオン 陰イオンバランス (DCAD ) が周産期疾病対策として上げられます カルシウムとリン酸のバランス ( カルシウムコントロール ) 乾乳前期でカルシウム過不足を採食行動で知るポイント 図 15 乾乳期における Ca/P 比の考え方 飼料用タンカルを飼槽に置き 採食させてください もし無我夢中で貪るように採食するなら 不足です 自由摂取出来るようにします もし採食しないのなら 足りています 通常の飼料給与 (Ca/P=1.5 ~2.0 DM 中 ) 充足の目安は給与開始 1 週間位で落ち着きます 乾乳後期に 2 番草を給与する場合は注意が必要です マメ科率が 1 番草よりも多いためカルシウム濃度が高くなります これに伴い カルシウム濃度を下げることが難しくなり カルシウムとリン酸のバランスが崩れます 陽イオン 陰イオンバランス (DCAD) カルシウムの多いマメ科牧草や 糞尿施用によってカリウム含量が高い粗飼料を給与しなければならない場合には 陰イオン塩を添加し 低カルシウム血症を防ぎます 陰イオン塩を給与することで 陽イオンであるカルシウムは尿中へ移行し排泄されます また マグネシウムとカリが結合することで マグネシウムが吸収されないようにする作用もあります 陰イオン塩は酸性で舌がピリピリするなど嗜好性が悪いため 単体での給与は難しいことからTMR 給与が適しています 陰イオン塩 (DCAD) 給与時の注意点 給与飼料のミネラル含量を分析する 乾物摂取量を低下させない カルシウム給与量を減らさない 定期的に尿のpHを測定する (10 日間隔で測定 ) 牛群平均でpH6.3±0.6 が適正 21 日以上陰イオン塩を給与しない 長期間給与でアシドーシス 骨粗鬆症的状態になる 表 7 陰イオン塩給与時のミネラルの ガイドライン ミネラル 濃度 (DM 中 ) カルシウム Ca 1.2~1.5% リン酸 P 0.35% マグネシウム Mg K の 1/3~1/4 カリウム K 1.3% 以下 ( ウイリアムマイナー農業研究所 Da iry Sc ien ceu pd ate より抜粋 ) 16

低水分の粗飼料を給与する 乾乳期の管理として重要なことは 腹いっぱいに食い込ませることです 給与する粗飼料は低水分 ( 水分 60% 以下 ) のサイレージ 乾草が適しています 粗飼料の水分が多い場合 腹いっぱい食べていてもルーメン内は水分で膨れてしまい 必要な乾物摂取量が確保できません また ルーメン内で速やかにアンモニアに分解される溶解性タンパク質 (SIP) が多く含まれています 溶解性タンパクが多くなると 分解されるアンモニアが過剰になりルーメン内のpH 上昇を招き マグネシウムやカルシウムの吸収が抑制されます その結果 骨から血液中へスムースにカルシウムが移動できず 乳熱 ( 低カルシウム血症 ) の発生につ 低水分粗飼料のメリットは 乾物摂取量を高められる 嗜好性が安定している ルーメンの充満度が確保できる 必要な栄養素を供給できる ミネラルバランスを保ちやすい ながります ( 図 16) 乾乳後期の給与飼料中の粗タンパク質濃度が 15% 以上になると疾病が発生しやすくなるので粗飼料の成分を確認し 給与することが重要です また この時期は泌乳に向けてルーメン内環境を馴らす期間になるので 泌乳期に給与する粗飼料も併せて給与します 図 16 低水分 高水分サイレージの違いによるミネラル吸収の仕組み 採食量が足りないと 逆三角形にくぼんでいる 食い込んでいるかを確認 17

分娩前後の管理 分娩 ~ 泌乳初期にかけては 泌乳量の増加により栄養要求量は高くなりますが 乾物摂取量はなかなか上がりません 乾物摂取量を高めるには 泌乳期に向けた馴らし飼いがポイントとなります 分娩前後の馴らし飼い 分娩前後の期間に濃厚飼料給与量を急激に高めるとアシドーシス状態になり 食い止まりを招きます この原因はデンプン質飼料 ( 小麦 大麦 コーン等 ) を先行して増給していくことにあります デンプン質はルーメン内で急激に発酵する性質です 泌乳に向けたルーメンの準備ができていないところに 急激に発酵する飼料が給与されることでルーメン内 ph は急激に低下しますが これに伴い乾物摂取量も低下します このことを回避するためには分娩前後の馴らし飼いが重要になります ( 図 17) 分娩前後の馴らし飼い 分娩予定 14 日前 ~ 分娩後 4 日目までは配合飼料 単味飼料の給与量を変えない 食い込ませる順番を意識する 配合飼料 単味飼料の増給は急激に行わない < アシドーシスを回避するための馴らし飼い > NDF 含量の低い粗飼料を給与し 消化性を高め 乾物摂取量を確保し 粗飼料からの栄養充足を高める 分娩前の馴らし給与開始は分娩予定日の 21 日前から行う 分娩予定 14 日前 ~ 分娩後 4 日までは配合飼料 単味飼料の給与量は変えない 急激に発酵しやすい配合飼料 デンプン質の高い単味飼料 ( 小麦 大麦 コーン等 ) は粗飼料を食い込むようになってから与える 分離給与の場合の増給ペースの目安はつぎのとおり 1 日 8kg までは 2 日で 1kg 増 1 日 8kg 以上は 3 日で 1kg 増 図 17 分娩前後の濃厚飼料給与の目安 18

泌乳期の管理 泌乳期は乳生産だけでなく 分娩後の体の回復や受胎などの大切な時期ですが 周産期疾病の対策も必要な期間です 次乳期における周産期疾病を招く要因の多くは 泌乳期間中の泌乳量と栄養供給のアンバランスから始まっています 泌乳量に対して栄養供給量が多い場合はいつの間にかオーバーコンディションである過肥になります 過肥にしない 泌乳期に過肥となる原因は 泌乳によって消費されるエネルギー量に対して摂取するエネルギー量が多いためです また 受胎するためにはエネルギーが必要であり 受胎が遅れると 搾乳期間も長くなります 搾乳期間が長くなると乳量を維持するために濃厚飼料を減らすのが難しく 結果 エネルギー量が過剰になりやすくなります ( 図 18) 過肥を防ぐ方法としては 受胎後に乳量やボディコンディション 毛づやなどを確認しながら 粗飼料の給与量を増やし 濃厚飼料をバランス良く減らす必要があります TMRによる搾乳牛 1 群管理の場合は 泌乳後期にエネルギー過剰により過肥になりやすいため 受胎を良くし搾乳日数が延びすぎないことが必要です 繋ぎ飼いでのTMR 給与の場合は 量を減らしてサイレージや乾草などを併給するなど 乾物摂取量が低下しないようにします 過肥を招く原因 泌乳に向けられる栄養と与えられる栄養供給が合っていない 発情が鮮明ではない 授精が遅れる 搾乳期間が長くなる 濃厚飼料給与量が過剰となっていく 過肥による乳牛のサイン 毛づやが良く 斑紋鮮明 給与飼料のエネルギー多い 毛づやが悪く フケが目立つ 給与飼料の粗タンパク質多い 図 18 泌乳量と栄養充足の過不足状況 (A 牧場事例 ) ( 農業改良普及センター調べ ) 19

環境が DMI を左右する 乾乳後期は胎子が急激に成長する時期で消化器が圧迫され さらに分娩や泌乳開始のためにホルモンバランスが崩れるため 食欲が落ちる時期です この時期に低下し易い乾物摂取量 (DMI) を高めるには 乳牛を取り巻く環境ストレスの軽減が必要です ( 図 19) 分娩前の飼養環境は泌乳牛以上に配慮が必要です DMI を高めるには 痛みや不安が無い 行動の制限が無い 食べられる餌がある 飲める水がある 運動スペースがある 乾いた敷料がある 図 19 乾乳牛の乾物摂取量に与える要因 休息できる環境 乾乳期の飼養密度は周産期疾病と密接な関係にあります ( 図 20) フリーストールでは 80% 以上の飼養密度になると 周産期疾病の注意が必要となります また 空間が広いフリーバーンでも密度が高まると疾病を招き易くなります 過密が引き起こす問題は 飼槽 水槽の競合によるDMI 低下 序列の低い牛への負担増加 運動量の減少 周産期疾病の増加 図 20 周産期疾病と一頭たり面積の関係 飼養密度を守る 飼養密度は 80% 以下飼養密度 (%) = 乳牛頭数 ストール数 100 20

乾乳牛のためのフリーストール スムースに寝起きができることは採食量に大きく影響します 乾乳牛は搾乳牛と比べ胎児の成長もあり体格 体重差は明らかに乾乳牛の方が大きく 同じストールサイズにはなりません そのため 乾乳牛専用のサイズを設け 安楽性を高める必要があります ( 右写真 ) 乾乳牛のためのフリーバーン フリーバーンで注意すべきことは飼養密度と敷料管理です ストールが無いことから収容面積以上の頭数を入れ 周産期疾病を招く例が多く見られます 過密飼養に伴って寝る場所の汚れや敷料不足も発生します 一頭当たり 10 m2以上を確保しましょう 安楽性が確保されたフリーバーン 乾乳牛のための群分け 乾乳前期群と後期群の 2 群に分ける もし 1 群管理になるなら連動スタンチョンを設ける 分娩房を併設し 分娩間際に移動させられる位置にする 乾乳舎での連動スタンチョン フリーストール & フリーバーン注意事項 通路は定期的に除糞し 蹄を汚さない 滑りやすい通路は目地を切るか バーク等 を敷き 滑らないようにする 敷料は多めに入れる 乾乳後期群隣に併設された分娩房 21

乾乳牛のための繋ぎ 繋ぎ飼いでは行動の制限を軽減することが大切です また 搾乳牛と同じ牛舎内で飼養するときは 乾乳を並べて係留し 搾乳牛の中に混ぜての管理は避けます 繋ぎ牛舎での 注意点は 盗食防止策を行う 盗食防止板またはロープをもくしと繋ぎ行動制限 盗食による過肥に注意 狭い環境なら 隣を空けスペースを確保する 図 21 繋ぎ飼いでの群分け例 食べて 飲む パドック草架はロスが多い DMI 不足に注意 競争が無い環境はたっぷりと採食できる ルーメンの充満度を保つためにも 飼槽管理 水管理は大切です 草架での給与では 30% も引き落とし 敷料となるので 全部食べている は禁物です 残飼量が減ると食べに行く頭数も減少するため ( 図 22) 食べられる飼料が常に飼槽上にあることが大切です 水槽は常に衛生を保ち沢山飲むことで DM I 向上につながります 水槽内の飼料の食べ残しは飲水量の低下! 一日に 76~114 リットル飲む 水槽はキレイに管理することで DMI 向上! 暑熱ストレス回避し DMI を落とさない ( 農業改良普及センター調べ ) 図 22 残飼量と採食頭数の関係 温湿度指数 ( ヒートストレスメーター ) で乳牛のストレス度合いが予測できます 気温 湿度から評価された指数で強制換気の強弱を行い D MI 低下を防ぎます THI 70~76 77~89 90~ ストレスの度合い軽い強い非常に強い 22

DMI を高めるためのモニタリング モニタリングは牛体や糞の状態 あるいは歩様や採食行動などから 牛が発している様々なサインを読み取る手法です 乳牛からのサインを早期に読み取ることで周産期疾病に罹患するのを未然に防ぐための対策や カウコンフォート対策を講じることが可能となります 牛を観察することで 疾病の早期発見 早期対応 損害の減少 ボディコンディションスコア ボディコンディションスコア (BCS) は 牛体の肉付き状況をスコア化し 栄養充足状況や体調などを判断します このスコアから今後の栄養供給や疾病対策を検討する基本となる指標です BCS 肉付きをスコア化する 栄養充足 体調管理の指標 スコアをつけるポイント ざこつかんこつスコアをつけるための判断ポイントは坐骨から寛骨 ( 大腿骨ようかくせんこつ関節部 ) 腰角を結ぶライン ( 図 23) 背骨から腰角の間の仙骨じんたいびこんぶびこつじんたい靭帯 尾根部から坐骨の間の尾骨靭帯 ( 図 24) です どこを観るのか 坐骨 ~ 寛骨 腰角にか けての肉付き 坐骨 腰角 仙骨靱帯 尾骨靱帯まわりの肉付き 寛骨 図 23 BCS の判断ポイントその 1 尾骨靭帯 坐骨 仙骨靭帯 腰角 図 24 BCS の判断ポイントその 2 23

BCS 判定のフローチャート BCSは 3.0 を基準として概ね 2.5 から 4.0 の間で肥っているか 痩せているかをスコア化します スコア間隔は 0.25 刻みです 判断に慣れるまでは骨盤側望をみる Vにみえるなら 3.0 以下 U にみえるなら 3.25 以上 ( 骨端の触診もしながら ) 重要なことは BCSの変動傾向 牛群でのBCS 変化 各ステージでのBCS 変化 図 25 BCS の診断方法 STEP1 STEP2 坐骨から寛骨 腰角を結ぶラインがV 字型 またはU 字型に見えるかで判断します V 字型なら 3.0 以下 U 字型なら 3.25 以上です 腰角や坐骨の角張りや 仙骨靭帯と尾骨靭帯の見え方により 0.25 刻みで判定を行います 腰角 腰角 坐骨 坐骨 BCS 2.5 BCS 3.0 尾骨靭帯 仙骨靭帯 尾骨靭帯 仙骨靭帯 BCS 3.5 BCS 4.0 24

BCS の適正範囲 BCSは 3.0~3.25 程度が望ましい値です しかし 分娩を経てからの乳量の増減によりエネルギー収支が激しく変動するため BCSを一定にコントロールするのはなかなか難しいことです 一定の BCS で推移 BCS3.0~3.25 当然分娩後はエネルギーを消耗し さらに子牛のために一生懸命泌乳しようと我が身を削るわけですから BCSはさらに低下します それでは 分娩前に十分肥らせてから分娩を迎えればよいのでは と考えるところですが 乾乳後期にオーバーコンディション (BCS3.75 以上 ) で分娩を迎えることは 御法度です 乾乳後期にオーバーコンディションである ことは 泌乳によるエネルギー消費が無く 胎児への成長エネルギー消費があることを差し引いても 余剰のエネルギーが中性脂肪として蓄積することになります この中性脂肪を処理することが肝臓に余計な負担を強いる 脂肪肝 へつながります 泌乳後期を意識した栄養管理 BCS3.5 目標オーバーコンディション BCS3.75 以上で乾乳期を迎えさせない 分娩後脂肪肝のリスク高まる 周産期疾病を招きやす い なぜオーバーコンディションになるのか 乾乳後期の馴らし飼いに問題ないのか 周産期疾病はなかったのか 泌乳量と栄養充足バランスが崩れていなかっ 図 26 BCSの適正範囲これら一連の牛体への負担が 分娩後にケトーシスや代謝障害などの周産期疾病を招くことになるのです 周産期疾病を招かないためにも 乾乳期に入るまでにBCS を 3.0~3.5 の間に調整出来る様な栄養管理が必要となります ( 図 26) たのか 分娩後 BCS 変動が 1.0 以上あったのか 繁殖に問題は無かったのか 25

喰い込みのモニタリング 飼料の喰い込み状況の良否を評価する手法として 第 1 胃 ( ルーメン ) の張りを見る方法があります 第 1 胃は体壁に対し左側に位置しています 乳牛の前後から第 1 胃側の肋部の膨らみを観察し 見え方によって飼料の喰い込み具合を3 段階で評価します ルーメンの張り具合を見よう 体の左側を観る張り具合を 3つに別ける 四角く箱のようだ <ボックス型 > エサが足りない 洋ナシのように楕円 < 洋ナシ型 > まあまあ足りている スコア1 ボックス型 スコア2 洋ナシ型 スコア3 リンゴ型 スコア 1 ボックス型前から見るとルーメンが張っておらず 四角く箱のように見える 十分に飼料を食い込めておらず 栄養が充足していないと判断する スコア 2 洋ナシ型前から見るとルーメンが張り 適度に採食していると判断する スコア 3 リンゴ型前から見るとルーメンが十分に張り 飼料の食い込みが良好と判断する 飼料の喰い込み量は周産期疾病の発生に大きく関与します 乾乳後期にボックス型と判断される乳牛が散見される場合は 粗飼料の品質が原因なのか 給与量が不足なのか あるいは飼養密度が高く飼料が喰い込めていないのか など原因を突き止め 早急に改善する必要があります リンゴのように丸い <リンゴ型 > 十分足りているなぜボックス型なのかを調べ改善する 牛群 産次構成 飼槽面積 飼養密度 粗飼料品質 給餌回数 給与量 肢蹄のモニタリング してい肢蹄は採食や寝起きなど様々な行動を掌る重要な運動器官です 肢蹄は栄養状態や飼養環境により 様々なトラブルが生じまはこうす このトラブルを診断するモニタリング手法として 跛行スコていかんひせつア 蹄冠スコア 飛節スコア があります 肢蹄モニタリング 跛行スコア 蹄冠スコア 飛節スコア 26

跛行スコア はこう跛行とは左右がそろわない歩き方で この歩様状態を5 段階に分けて評価する手法を 跛行スコア といいます ( 表 8) しひふえんしかんかけいせいていてい跛行が起こる要因は 趾皮膚炎 (DD) や趾間過形成 蹄底かいようていようえん潰瘍 蹄葉炎など蹄の炎症が関係します 速やかに各種蹄病に応じた治療処置を講じ 外蹄と内蹄の間に糞尿が常に付着することのないように 通路の除糞や牛舎通路の乾燥化 除糞通路の消毒に取り組みましょう 跛行行動は蹄病の症状 趾皮膚炎 (DD) 趾間過形成 蹄底潰瘍 蹄葉炎 表 8 跛行スコア スコア 静止時 背線の状況 歩行時 評価基準 Ⅰ 背線が水平で立ち姿勢 歩様ともに正常である 正常 Ⅱ 背線は静止時には水平だが 歩行時はアーチ型にする 歩様は正常なままである やや跛行 Ⅲ 立位 歩行時の背中のアーチ型姿勢が明瞭 歩様は歩幅が短いことに影響される 中度跛行 Ⅳ アーチ型の背中は常に明瞭 歩様は一歩々々と慎重で 1 本以上の肢をかばうように歩く 跛行 Ⅴ 牛は歩けないことを示そうとし ある特定の肢に加重することを嫌がる 重度跛行 ( 写真出典 :Steven L Belly, Univ. of Davis, CA, and Zinpro Corp.) 27

蹄冠スコア ていかん蹄冠は蹄 ( 爪 ) の上部に位置し ( 図 5) 正常な場合では腫れも無く白い状態です 飼養管理に問題がありルーメンアシドーシスが進行すると 蹄冠部が濃いピンク色を呈します 皮膚が蹄冠から蹄蹄冠部に覆いかかるようなたるみと腫脹が生じた症状は著しく生産性の低下を招きます この蹄冠部の赤み具合や腫脹の度合いを5 段階評価したものが蹄冠スコアです ( 図図 27 蹄冠部 28) 蹄冠スコアを付けることで日常の飼養管理を評価出来るとともに 改善へ向けた取組へとつながります 蹄葉炎と趾皮膚炎 ( DD) は深い関係 ( 根室農業改良普及センター 根室生産連 根室削蹄師会調べ ) 一方の蹄病が増えると もう一方の蹄病も増える傾向にある 図 28 蹄冠スコア 28

飛節スコア ひせつ飛節は人間で言うとくるぶしの部分にあたります ( 写真赤丸部分 ) 写真飛節部 正常な状態であれば 飛節は皮毛に覆われた状態です しかし 窮屈な牛床や 敷料が少なくクッション性の劣る硬い牛床で寝起きする牛たちの飛節は毛が擦りむけて 皮膚が露出し やがて野球ボール大の大きな腫れが現れます この進行状況を表現したのが飛節スコアです ( 図 29) 牛群の中に飛節の毛が擦りむけ皮膚が露出している乳牛 ( 飛 飛節を悪くする要因は牛床牛床の硬さが増に従い飛節スコアは高まる 節スコア3 以上 ) が多く見られる場合は 牛床で佇立したまま反芻を行い 乳量の減少を招きます 牛床でより快適に長時間横臥し 安定した泌乳量と乳牛の健康を維持するためには 牛床へのゴムマットだけでなく 敷料を投入しマットと皮膚 被毛の擦れを解消します 図 29 飛節スコア 29

糞からのモニタリング 糞は乳牛が摂取した栄養成分の状態を反映します 糞の硬さや性状をモニタリングすることにより 繊維質 ( 粗飼料 ) の摂取状況や溶解性タンパク質 澱粉質の摂取程度を推測することができます この糞の性状からモニタリングに利用する指標をマニュアスコアといいます ( 表 9) 糞の中身を見ることで飼料が消化され エネルギーとして利用されたか 未消化のまま糞の中に現れ 消化されなかったかが確認できます 糞のモニタリング 軟便は栄養過剰 バランス悪い 硬い性状は栄養不足 表 9 マニュアスコアによる診断 牛体表被のモニタリング 牛体表皮のモニタリングは 牛体表被の毛ヅヤやフケの状況により乳牛のエネルギー収支がプラスなのかマイナスなのかを BCSと関連づけながら判断します ( 表 10) 表 10 表被による診断エネルギー状態毛ヅヤフケ被毛 表被の観察部位はどこ? 仙骨靭帯から尾根部にかけた後躯を観る プラスの方向へ滑らかで光沢ありなし体表面に沿い流れている マイナスの方向へ乾燥して光沢なしあり逆立ち ボサボサしている観察部位は仙骨靭帯から尾根部にかけた後躯で判断します エネルギー不足のときは皮毛に油気がなくボサボサしている ため でん部から腰角にかけて糞の汚れが牛体に付着して鎧状 にこびりついている牛が多く見られます よろい エネルギー不足にあるときは 被毛に油気がない 毛がボサボサ ホコリが落ちない 30

飼槽のモニタリング 健康な体を維持し安定した泌乳生産に向けるには 一口でも多くのエサを食べ 乾物摂取量を最大にすることです そこで 乾物摂取量を最大にするための条件が整っているかを計るモニタリング手法として 飼槽上の飼料の残り具合を診断するために バンクスコア ( 表 11) を用います 表 11 バンクスコアスコア飼槽の状態 0 飼槽にエサが全く残っていない 飼槽表面のほとんどが露出している 1 コーンサイレージの芯や 乾草の茎部など堅い部分だけ残る 飼槽全体に薄くエサの層が残っている 2 残飼は給餌したときの状態と同じ内容で残る バンクスコア1 直ちに飼料給与バンクスコア2 1 時間以内に給与バンクスコア3 4 エサ寄せを定期的に行っているなら マル エサ寄せを行わず残っているなら バツ 3 飼槽全体に給餌量の 50% 以下程度のエサの層が残っている 4 給飼量の 50% 以上のエサが全体に残っている 5 給餌直後の状態 ラップサイレージを TMRにすると選び食いし易い バンクスコアは飼槽にエサを給与した直後の状態を スコア 5 飼槽に何も残っていない状態を スコア0 ゼロ とした6 段階で診断します 飼槽のエサを選び喰いしている牛が多く見られる場合は 給与した粗飼料の品質やカビの有無を確認しましょう ラップサイレージをTMR 調整した場合 粗飼料の切断長が長いため 採食行動によって飼槽上で粗飼料と配合飼料が分離します このことが選び食いにつながり 蹄冠スコアの悪化 蹄葉炎の発生へつながります 飼槽上で乳牛が鼻を大きく左右に振るい 飼槽を舐めるように濃厚飼料を選び食いする前に エサ寄せ 作業を行いましょう バンクスコア 3 でも食べなければ 31

乾乳牛が食べられる草 乳牛にとって牧草は主食ですが 品質の良否で乾物摂取量を左右します 特に牧草が主体で乾物摂取量が低い乾乳期は 周産期を無事に乗り越えるかの重要なファクターになります 乾乳用牧草の高カリウムは禁物 カリウム (K) 過剰は血液をアルカリ化し 体内でのマグネシウム (Mg) やカルシウム (Ca) の吸収や利用を妨げます その結果 低マグネシウム血症の危険性が高まり さらにはカルシウム代謝が崩れ 低カルシウム血症など周産期病の一因となります 牧草中のカリウム濃度が乾物中で 2% 以上になると注意が必要であり 併給飼料との組合せにもよりますが乾物中カリウム濃度が 2.5% 以上は乾乳牛への給与は控えてください 乾乳用の牧草中カリウム過剰は疾病の素 低マグネシウム血症 乳熱 ( 低カルシウム血症 ) 過剰なスラリー施用がカリウム過剰を招く スラリー施用は草地の窒素やカリウムの供給源として有効ですが 過剰施用になると牧草中の粗タンパク質やカリウム濃度が高くなります また 早春のスラリー施用は牧草に付着し サイレージ発酵品質の低下を招きます ( 表 12) 牧草に付着したスラリーの洗い水 表 12 スラリー過剰施用時の品質 スラリー施用量 ph 粗タンハ ク質カリウムアンモニア態窒素 (DM 中 %) (DM 中 %) ( 原物中 %) 秋 3.5t/10a 5.2 12.13 2.06 8.55 秋 3.5t+ 春 2.5t/10a 5.6 17.82 4.20 23.21 適正範囲 4.2 以下 - 3.0% 以下 10.0% 以下 ( 宗谷農業改良普及センター調べ ) 左 : スラリー付着牧草洗浄水右 : スラリー無牧草洗浄水 過剰なスラリー施用はサイレージ ph が下がらない スラリーが牧草に付着すると ph が低下しづらくなります また ph が高く アンモニア態窒素も高まるため酪酸発酵の原因にもなり 嗜好性に影響します ph を下げるためにはギ酸が有効で 添加量は 0.3% 以上必要になります ph 測定を必ず行い添加してください 牧草にスラリー付着有無での ph 比較 項 目 ph スラリー無し 4.0 スラリー散布牧草に付着無し 4.4 スラリー散布牧草に付着有り 4.9 ( 宗谷農業改良普及センター調べ ) 32

酪酸発酵サイレージはケトーシスを招く 酪酸発酵サイレージは飼料摂取量の低下 乳量の減少 乳房炎 ケトーシスなどの疾病を誘発します 特に 乾乳期間中の給与は避けなければなりません 定期的に粗飼料分析を行い 発酵品質を把握することが大切です 酪酸増加はケトン体増加 ケトン体増加は疾病増加 酪酸発酵サイレージの摂取量が高まるに従い ルーメンを介して血液中のケトン体が多くなりケトーシスや第四胃変位を誘発します ( 図 30) 図 30 酪酸の過剰摂取がケトーシス症状になる仕組み 乳牛が 1 日に 100g 以上の酪酸を摂取すると臨床性ケトーシスの危険性が高まります ( 表 13) リスクを回避するためにサイレージ分析を実施し 酪酸含量を知る必要があります 良質サイレージの酪酸は原物中未検出 ~0.1% です 表 13 酪酸摂取量とケトーシスのリスク 酪酸摂取量 ケトーシスのリスク 50g 以下 ケトーシスの心配なし 50~99g 潜在性ケトーシス 99~199g 軽度で治療を必要とするケトーシス 200g 以上 重度で治療を必要とするケトーシス ( 精鋭牛群へのロードマップ酪農ジャーナル臨時増刊号 2006 年より ) 酪酸が多いサイレージは 分娩前後の牛には給与しない 良質な粗飼料と合わせて給与し 1 日 50g 以上給与しない 給与しない ( 例 ) 酪酸 0.5% のサイレージを 20kg 採食した場合の酪酸摂取量は? 20kg 0.005=100g ( 酪酸を 100g 摂取 軽度で治療を必要とするケトーシス ) 酪酸発酵を防ぐには不純物を混入させない 酪酸 は土壌や糞中に生息している酪酸菌がサイレージ発酵過程で生成した 乳酸 を栄養源に生成します スラリーや堆肥 土砂の混入リスクを高刈りで防ぐことで 酪酸菌の原料草への付着が押さえられます 刈り取り高さは最低 10cm 以上必要です スラリー散布後の収穫は 50 日以上空けることで リスクを軽減できます 33 スラリーの過剰施用草地

基本は土壌診断と石灰施用 乳牛がよろこんで食べる草を作るには 土壌 ph が重要です ph が低下すると牧草の質 量が低下します 逆に 土壌 ph が適正になると質 量ともに向上します そのためには 石灰資材の施用が有効です 表 14 に石灰施用前後の土壌診断値および収量を示します 施用することで牧草が利用できるカルシウム ( 置換性 CaO) やマグネシウム ( 置換性 MgO) が高まると共に 収量も高まります また 粗飼料のミネラル 特にカルシウム含量が高まる傾向があります ( 表 15) 表 14 石灰資材施用の効果 ( チモシー主体草地 ) 項 タンカル無施用タンカル施用基準値目 H27 年 H28 年 H27 年 H28 年低地土 台地土の場合 ph 4.90 4.81 4.95 5.20 5.5~6.5 置換性 CaOmg/100g 155 166 184 291 200~450 置換性 MgOmg/100g 21.3 26.4 33.2 43.8 10~20 置換性 K2Omg/100g 10.6 11.9 11.1 12.4 15~20 塩基飽和度 % 36.4 33.0 45.5 58.0 60~80( 更新時 ) 乾物率 % - 15.3-18.2-1 番草生収量 kg/10-1,720-1,770 - 乾物収量 kg/10-263 - 321 - ( 宗谷農業改良普及センター調べ ) 表 15 石灰散布前後の粗飼料分析結果 栄養タンカルタンカル単位項目無施用施用 乾物率 % 18.29 16.42 CP DM 中 % 15.61 14.59 TDN DM 中 % 64.08 63.97 NDF DM 中 % 59.21 57.90 NFC DM 中 % 18.32 20.38 Ca DM 中 % 0.31 0.44 P DM 中 % 0.46 0.40 Mg DM 中 % 0.16 0.19 P DM 中 % 2.20 2.31 ( 宗谷農業改良普及センター調べ ) 草地維持での土壌 ph の目安は 5.5~6.5 です 定期的な土壌分析を実施し 必要量に応じた石灰資材の施用が必要です ph 維持するための必要量 ph(h2o) 5.5~6.0 6.0~ 炭カル施用量 40kg/10a/ 年不要 ( 北海道施肥ガイド 2 01 5) 注 :40kg/10a は現状 ph 維持の必要量で 2~3 年に 1 回一括施用も可 用語説明 置換性 CaO( 置換性カルシウム ) 作物が利用できるカルシウムのこと 置換性 MgO( 置換性マグネシウム ) 作物が利用できるマグネシウムのこと 置換性 K2O( 置換性カリウム ) 作物が利用できるカリウムのこと 塩基飽和度土壌の CEC( 陽イオン交換容量 ) の何割が Ca,Mg,K の 3 つのイオンで満たされているかを % で示したもの CEC( 陽イオン交換容量 ) 土壌が陽イオンを吸着できる最大量のこと 塩基置換容量ともいう 塩基塩基とは 一般に陽イオンのことを指し土壌化学性では特にカルシウム マグネシウム カリウム ナトリウムの4つの陽イオンのことを指す 34

参考文献 釧路農業改良普及センター釧路中西部支所 2011 年技術資料 特集 乾乳牛 新乳牛の科学乳牛管理の基礎と応用 牛の解剖アトラス チクサン出版社 テレビ ドクター デーリィマン社 大場真人 (2012), 移行期を科学する~ 分娩移行期の達人になるために~, テ ーリィシ ャハ ン社 堂腰顕 (2003), 乳牛の跛行スコア活用による蹄疾患の早期発見, 道立根釧農試 根室農業改良普及センター (2014), 肢蹄改善ニュースレター No.2 最新サイレージバイブル 酪農ジャーナル臨時増刊号 2012 年 酪農学園エクステンションセンター 精鋭牛群へのロードマップ 酪農ジャーナル臨時増刊号 2006 年 酪農学園エクステンションセンター サイレージの達人 ~ 発酵品質改善に向けて取り組もう~ 2010 年 根室生産農業協同組合連合会 北海道農業を支える土づくりパートⅤ 草地の土づくり~ 土づくり技術情報 草地編 ~ 北海道農協 土づくり 運動推進本部 2016 年 北海道施肥ガイド 2015 北海道農政部 ダイセルファインケム株式会社ホームページ 日本飼養標準 乳牛 (2006 年版 中央畜産会 日本標準飼料成分表 (2009 年版 ) 中央畜産会 乳牛管理の基礎と応用 (2012 年改訂版 ) テ ーリィシ ャハ ン社 乳牛栄養学の基礎と応用 テ ーリィシ ャハ ン社 これだけは知っておきたい ~Q&Aでよくわかる! Dairy Japan 2005 年 10 月臨時増刊号 平成 24 年度根室農業改良普及センター課題解決研修資料 平成 28 年度地域課題解決研修資料 35

平成 28 年度営農技術資料 - 分娩の心配をへらす乾乳管理 - 編集 : 宗谷農業改良普及センター監修 : 宗谷地区農協生産事業専門委員会発行 : ホクレン農業協同組合連合会稚内支所