公益法人の寄附金税制について

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< 用語の解説 > 税額控除制度従来 公益社団法人及び公益財団法人への個人からの寄附金については 所得控除制度が適用されていたが 平成 23 年 6 月より 公益社団法人及び公益財団法人への個人からの寄附金について 寄附文化の醸成を図るため 税額控除制度が導入された 税額控除は 寄附金額を基礎に算出

税制について

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新・NPO法人申請マニュアル.pwd

所得控除 雑損控除 医療費控除 社会保険料控除等 旧生命保険料控除 旧個人年金保険料控除 ( 実質損失額 - 総所得金額等の合計額 10%) 又は ( 災害関連支出の金額 -5 万円 ) のうち いずれか多い方の金額医療費の実質負担額 -(10 万円と総所得金額等の 5% のいずれか低い金額 ) 限

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

新長を必要とする理由今回合理性の要望に設 拡充又は延⑴ 政策目的 資源に乏しい我が国にあって 近年 一層激しさを増す国際社会経済の変化に臨機応変に対応する上で 最も重要な資源は 人材 である 特に 私立学校は 建学の精神に基づき多様な人材育成や特色ある教育研究を展開し 公教育の大きな部分を担っている

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市民公益税制 PT 中間報告書 平成 22 年 4 月 8 日 ( 木 ) 市民公益税制 P T

平成18年度地方税制改正(案)について

早わかり認定NPO法人制度

目 次 はじめに 2 1 所得税の税額控除制度の導入 (1) 認定 NPO 法人への寄附に係る税額控除の導入 4 (2) 認定 NPO 法人以外の法人への寄附に係る税額控除の導入 4 2 認定 NPO 法人制度の見直し (1) 平成 23 年度より税制上対応する措置 6 1 認定要件の見直し 6 イ

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

本要望に対応する縮減案 ページ 2 2

スライド 1

平成19年度税制改正.xls

イ税務署へ確定申告書を提出し 所得税の住宅ローン控除の適用を受けている 退職所得 山林所得がある方 所得税の平均課税の適用を受けている方は 住宅ローン控除申告書を提出することにより控除額が大きくなる場合があります 申告書を提出される方は3 月 15 日 ( 月 ) までに申告してください 申告しなけ

1 給与所得控除額を算出する計算式は給与収入金額によって異なります 今回は給与収入金額 3,600,000 円以上 6,599,999 円以下の場合の式を用いています 2 調整控除額は合計課税所得金額 2,000,000 円超と 2,000,000 円以下で算出方法が異なります 今回は 2,000,

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平成20年2月

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

1 認定 NPO 法人制度とは? NPO 法人への寄附を促す制度です その目的は NPO 法人への寄附を促すことにより NPO 法人の活動を支援すること です 以前は 租税特別措置法という法律に基づき国税庁が認定を行う制度でしたが 平成 24 年 4 月の特定非営利活動促進法の改正により 所轄庁が認

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

平成26年度税制改正要望(案

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

平成23年度税制改正の主要項目

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

平成19年度分から

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

NPO 法活動状況等アンケート ( 案 ) 下記のアンケートにご協力をお願いいたします ( 右の に数字をご記入ください ) ご協力いただいた結果については 奈良市及び奈良県における指定制度の検討資料として使用させていただきます 1. (1) あなたの団体は 法の設立 ( 設立登記の日 ) から何年

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

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このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成 24 年度税制改正に関する要望 Ⅰ 寄附金税制について 1 公益法人に係る税額控除制度における PST 要件の撤廃 公益社団法人 公益財団法人 ( 以下 公益法人 ) が税額控除制度の適用を受けるためには1 認定 NPO 法人の認定要件であるPST( パブリック サポート テスト ) と同様の

妙高市 税に関するWEBページ

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

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Microsoft Word 寄付アンケート記者報告.docx

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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第5回基礎問題小委員会 礎5-4

土地建物等の譲渡(マイホームの売却による譲渡損)編

新設 拡充又は延長を必要とする理⑴ 政策目的 地震等の災害からの復旧に際して 公的補助が公立学校に比べて少なく 自主財源の確保が求められる私立学校にとって 寄附金収入は極めて重要な財源である 災害時には 大口の寄附だけでなく 広く卒業生や地域住民を中心に 義援金 募金という形で小口の寄附を集める必要

2 税金から控除される額 市区町村や都道府県に対する寄附金は 特定寄附金 と呼ばれ 所得税や住民税を計算するときに 寄附金控除が適用され 税が軽減されます 所得税の控除 総所得金額等の 40% が限度 2,000 円 所得税率 住民税の控除基本控除 総所得金額等の 30% が限度 2

目次 1. みなし譲渡所得税非課税について 1 2. 公益法人において必要な準備 3 ⑴ 基金の設置 ⑵ 2の基金の業務に充てることについて ⑶ 3の基金内の運用益の考え方について ⑷ 4の合議制の機関について ⑸ 5の基金明細書について 3. 承認特例の申請から承認後までの全体像 8 ⑴ 寄附者と

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投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

平成16年版 真島のわかる社労士

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

I 申請準備 ~ 申請 ~ 証明までの流れ この手引きは 公益社団 財団法人のうち 個人からの寄附金について税額控除制度が適用される対象法人となることを希望する法人の方が 行政庁の証明を受けるために必要な申請作業内容を御案内しています 手続の流れは 以下のとおりです 税額控除制度の概要 要件について

各年の住宅ローン控除額の算出 所得税から控除しきれない額は住民税からも控除 当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額 ( 住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額 ) を控除した際に 残額がある場合については 翌年度分の個人住民税において 当該残額に相当する額が 以下の控除限度額の

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Ⅱ 義援金を募集する募金団体の確認手続 [Q7] 当団体は 関係する個人 法人から義援金を預かり これを取りまとめた上で 一括して地方公共団体に対して支払います 預かった義援金が 国等に対する寄附金 に該当することについて税務署の確認を受けた場合 当団体に寄附をした個人 法人に対して発行する預り証に

平成27年度税制改正要望結果について

【完成版】認定特定非営利活動法人制度のあらまし(H29.4)

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

所得税確定申告セミナー

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

Microsoft Word - 個人住民税について(2018~2022)

平成19年度市民税のしおり

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ナショナル・トラスト税制関係通知

平成23年度税制改正大綱(閣議決定)における要望実現項目

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

妙高市 税に関するWEBページ

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%



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社会福祉法人 社会福祉協議会の経営者 役職員の皆様 社会福祉法人への寄附金の税額控除制度を活用してください 社会福祉法人への寄附金 ( 平成 23 年分 ~) について 税額控除制度が導入されました 社会福祉法人の公益性や存在意義を地域の人々や社会にアピールしていくために 税額控除対象法人になること

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

03 平成29年度文部科学省税制改正要望事項

平成23年度税制改正要望

日本の富裕層は 122 万世帯、純金融資産総額は272 兆円

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資料2-1(国保条例)

住宅借入金等特別控除の入力編

Transcription:

公益法人の寄附金税制について

平成 26 年 10 月 15 日 内閣府 公益法人行政担当室 1

公益法人の寄附税制の考え方 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方 ( 抜粋 )( 平成 19 年 11 月政府税制調査会 ) 社会の活力は人々が自発的に社会参画することで生まれる 社会の多様化が進み 様々な社会のニーズに柔軟 に対応していくことが求められている中 行政部門だけでなく 民間による公益活動がその役割を担うことは 今後の我が国の社会の活力を引き出すためにも望ましい 民間が担う公益活動 への支援の重要性を踏まえ 公益法人制度改革に対応した税制の整備や寄附金税制の改革を行っていく必要がある ( 中略 ) 4. 公益法人税制我が国の社会を活力あるものとしていくために 行政部門だけでなく 民間が担う公益 の重要性が今後ますます増大すると考えられる 現在 その担い手となる公益法人に係る制度改革が進められており 来年 12 月から新制度 ( いわゆる公益法人関連三法 ) が施行予定である これに伴い 税制面でも 民間が担う公益 を支える制度の構築が求められている この点については 当調査会では 平成 17 年 6 月に基礎問題小委員会 非営利法人課税ワーキンググループにおいて 新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方 をまとめており そこで示された考え方に即して税制上の措置が講じられるべきであるが 改めて以下の点を指摘しておきたい ( 中略 ) 第三に 民間が担う公益活動を資金面で支えるうえで寄附の役割は重要である このため 特定公益増進法人の中に公益社団法人 公益財団法人を位置付けることにより 寄附を行った個人 法人が寄附金控除等を受けることができるようにするとともに 個人による現物の寄附に配慮するなど 寄附を行うための環境整備を進めるべきである なお 個人住民税における寄附金税制のあり方については 前述した方向性も踏まえ 検討を進めるべきである 2

公益法人の寄附金受入の現状 2013 年度に公益法人が受け取った寄附金収入の総額は計約 2,157 億円 (1 年間の活動実績があり財務データの得られた 5,484 法人 ) でした 日本の寄附金総額は 2012 年に約 1.4 兆円との推計があります これは 個人寄附 6,931 億円 ( 日本ファンドレイジング協会 寄付白書 2013 ) 法人寄附 6,755 億円 ( 国税庁 会社標本調査 ( 平成 24 年度分 ) ) という数字を足したものです 寄附金総額 についてのこの推計によると 公益法人が受け取った善意の寄附金総額 2,157 億円は 日本の寄付金総額の 15% に相当します 一方で 半数を超える公益法人においては寄附金収入額がありません 寄附文化の醸成に向けて まだまだ開拓の余地は大きいと言えます < 寄附金収入額規模別の公益法人の割合 > 1000 万円以上 1 億円未満, 14.0% 100 万円以上 1000 万円未満, 17.2% 1 円以上 100 万円未満, 13.5% 1 億円以上, 4.0% 公益法人 5,484 0 円, 51.4% ( 注 ) 過去 1 年間に提出された事業報告等 ( 平成 25 年 12 月 1 日時点の入力確認済みデータ ) による ( 出典 ) 内閣府 平成 25 年公益法人に関する概況 ( 移行期間の総括 ) 3

公益法人に寄附をした個人に対する税制優遇 1 所得税 1 所得控除 ( 全公益法人共通 ) 所得金額 -( 寄附額 -2,000 円 ) 所得税率 = 税額 ( 注 1) 所得控除額 2 税額控除 ( 税額控除対象法人のみ ) 所得金額 所得税率 -( 寄附額 -2,000 円 ) 40%= 税額 ( 注 1) ( 注 1) 寄附額のうち 所得控除額は総所得金額等の40% 相当額が限度 ( 注 2) 税額控除額は所得税額の25% が限度 税額控除額 ( 注 2) 1 所得控除と 2 税額控除は寄附者がいずれかを選択できます 4

税額控除制度導入の効果 平成 23 年度に税額控除制度が導入されたことにより 税額控除対象法人の個人からの寄附金は一法人当たり約 3 倍 ( 非税額控除対象法人は約 2 倍 ) 同じく寄附件数は約 3 割増 ( 非対象法人は約 2 割増 ) となっています 寄附金収入額 ( 税額控除制度導入前後の比較 ) 寄附件数 ( 税額控除制度導入前後の比較 ) 調査回答法人の一法人当たり平均額 ( 千円単位 ) 調査回答法人の一法人当たり平均件数 ( 個人寄附 ) 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 約 3 倍 対象 非対象 導入前 ( 平成 20~22 年度 ) 導入後 ( 平成 23 24 年度 ) 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 対象 約 3 割増 非対象 導入前 ( 平成 20~22 年度 ) 導入後 ( 平成 23 24 年度 ) 5

税額控除対象法人数の推移 税額控除の証明を受けた公益法人数は 平成 26 年 9 月末時点で 858 法人となっている 1000 900 800 700 600 564 593623 642 671691 743 768786799801 719 817823 833 839 849858 500 400 300 200 100 224 237249263 186 155 114 77 417 442455472 376 334 291 486 502511527539 18 0 平成 23 年 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 平成 24 年 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 平成 25 年 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 平成 26 年 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 6

公益法人に寄附をした個人に対する税制優遇 2 個人住民税 都道府県又は市区町村が条例により指定した寄附金 ( 公益法人に対する寄附金等 ) は 以下の金額が個人住民税の額から控除されます ( 税額控除のみ ) ア都道府県が条例指定 ( 寄附金額 2,000 円 ) 4% イ市区町村が条例指定 ( 寄附金額 2,000 円 ) 6% 重複指定であれば ( 寄附金額 2,000 円 ) 10% 7

公益法人に寄附をした個人に対する税制優遇 3 相続税個人が相続財産を公益法人に贈与した場合 非課税となります ただし 当該贈与を受けた法人が 当該贈与から 2 年を経過した日までに非課税措置対象法人でなくなった場合 また 当該財産を同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していない場合には 課税対象となります 8

公益法人に寄附をした個人に対する税制優遇 4 みなし譲渡所得課税 個人が 土地 建物などの資産を法人に寄附した場合には これらの資産は寄附時の時価で譲渡があったものとみなされ これらの資産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課税されます しかし 個人が財産を公益法人に贈与した場合 その贈与が教育又は科学の振興 文化の向上 社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認をうけたときは 非課税となります ( 注 ) ただし 当該贈与を受けた法人が 当該贈与から 2 年を経過した日までに当該財産を公益目的事業の用に直接供さなかったときは 承認は取り消され 課税対象となります 9

公益法人に寄附をした法人に対する税制優遇 法人税 法人が支出する寄附金は その法人の資本金等の額 所得の金額に応じた一定の限度額までが損金に算入されます このとき 公益法人に対する寄附については 一般寄附金の損金算入限度額とは別に 別枠の損金算入限度額が設けられています A: 公益法人への寄附金の特別損金算入限度額 ( 所得金額の 6.25%+ 資本金等の額の 0.375%) 1/2 B: 一般寄附金の損金算入限度額 ( 所得金額の 2.5%+ 資本金等の額の 0.25%) 1/4 公益法人に対する寄附金は A+B の額が損金算入できます 10

消費税 消費税の特定収入に係る特例 ~ 平成 26 年 4 月 1 日以降に募集する寄附金から適用 ~ 募集した寄附金をそのまま他団体への助成に使用する場合 改正前 改正後 その寄附金は 特定収入にカウントされ 法人全体収入に占める割合に応じて 仕入控除できる税額が減少 納付する消費税額の増加 全額を他団体への助成に使用することが募集要綱等で明らかにされているなど一定の要件を満たすことにつき 行政庁の確認を受けた場合 特定収入から除外されるため 消費税額が増えない 対象となる寄附金の主な要件 1 寄附金を募集する主体が公益社団法人又は公益財団法人であること 2 寄附金が特定の活動に係る特定支出のためにのみ使用されること 3 寄附金が期間を限定して募集されること 4 寄附金が他の資金と明確に区分して管理されること 上記要件を全て満たすことにつき 寄付金募集要綱等で明らかにされていることに関し 募集開始前に行政庁の確認を受ける必要があります 11