目 次 1.1. ロール 管 理 の 定 義... 5 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念... 5 1.1.2 ロールの 分 類 と 特 徴... 8 1.2. ロール 管 理 の 意 義... 15 1.2.1. ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果... 15 1.2.



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エンタープライズ ロール 管 理 解 説 書 ( 第 2 版 ) 特 定 非 営 利 活 動 法 人 日 本 ネットワークセキュリティ 協 会 標 準 化 部 会 アイデンティティ 管 理 ワーキンググループ 2014 年 7 月 17 日

目 次 1.1. ロール 管 理 の 定 義... 5 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念... 5 1.1.2 ロールの 分 類 と 特 徴... 8 1.2. ロール 管 理 の 意 義... 15 1.2.1. ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果... 15 1.2.2. ID 管 理 に 基 づくロール 管 理 の 重 要 性... 16 1.2.3. ロール 管 理 検 討 における 留 意 点... 17 2.1. ロール 管 理 導 入 の 流 れ... 20 2.1.1. 導 入 全 体 の 流 れ... 20 2.1.2. 現 状 調 査 企 画... 21 2.1.3. ロール 設 計... 21 2.1.4. 実 装 方 式 設 計... 21 2.1.5. 実 装 移 行 展 開... 22 2.2. ロール 管 理 導 入 における 課 題... 25 2.2.1. ビジネスロールとその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題... 25 2.2.2. システム 権 限 とその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題... 26 2.2.3. アクセス 制 御 の 全 体 ポリシーの 確 認 時 に 直 面 する 課 題... 26 2.2.4. ロールデータの 元 データとその 維 持 管 理 体 制 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.2.5. IT ロールのスコープ 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.2.6. IT ロール 付 与 ルールとその 例 外 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.3. 現 状 調 査 企 画 フェーズ... 30 2.3.1. 組 織 調 査... 30 2.3.2. 職 務 分 掌 調 査... 32 2.3.3. ライン 型 業 務 調 査... 34 2.3.4. プロジェクト 型 業 務 調 査... 36 2.3.5. 対 象 システム 調 査... 38 2.3.6. 対 象 法 規 制 調 査... 40 2.3.7. 目 的 目 標 の 明 確 化... 42 1 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4. ロール 設 計 フェーズ... 45 2.4.1. Top Down 型 モデリング... 46 2.4.2. Bottom Up 型 モデリング... 49 2.4.3. ハイブリッド 型 モデリング... 51 2.4.4. 組 織 型 ロール 設 計... 52 2.4.5. ライン 型 ロール 設 計... 55 2.4.6. プロジェクト 型 ロール 設 計... 58 2.4.7. システムアクセス 権 限 設 計... 61 2.4.8. IT ロール 設 計... 63 2.5. 実 装 方 式 設 計 フェーズ... 65 2.5.1. プロビジョニング 方 式 設 計... 65 2.5.2. ロール 運 用 設 計... 67 2.5.3. ロール 管 理 対 象 範 囲 の 確 定... 70 2.6. 実 装 移 行 展 開 フェーズ... 72 2.6.1. 実 装 移 行 展 開 の 計 画... 72 2.6.2. 実 装 移 行 展 開 の 実 施... 74 3.1. ロール 管 理 の 適 正 な 運 用 の 重 要 性... 77 3.2. ロール 管 理 運 用 の 観 点... 77 3.2.1. ロールのライフサイクル... 78 3.2.2. ロール 管 理 運 用 フロー... 80 3.2.3. ロール 管 理 運 用 におけるアクタとその 役 割... 86 3.3. トリガイベント 分 類 ごとのロール 管 理 運 用 ガイドライン... 89 3.3.1. トリガイベントが 最 初 に 組 織 型 ロールに 影 響 を 及 ぼすケース... 90 3.3.2. トリガイベントが 最 初 にプロジェクト 型 ロールに 影 響 を 及 ぼすケース... 99 3.3.3. トリガイベントが 最 初 にライン 型 ロールに 影 響 を 及 ぼすケース... 111 3.3.4. トリガイベントが 最 初 にアプリケーションロールに 影 響 を 及 ぼすケース...122 4.1. 金 融 業 の 仮 想 企 業 におけるロール 管 理 導 入 事 例 4.1.1. 金 融 業 の 仮 想 企 業 事 例 の 全 体 像...129 4.1.2. 本 事 例 でロール 管 理 導 入 にあたり 意 識 したポイント...130 4.1.3. 本 事 例 のスコープ...131 4.1.4. 現 状 調 査...132 4.1.5. ロール 設 計...148 2 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

はじめに 本 書 は エンタープライズロール 管 理 について その 基 礎 となる 考 え 方 や 実 施 の 意 義 ID 管 理 システムを 導 入 するにあたって 同 時 に 検 討 すべき ロール 管 理 について 実 用 的 な 導 入 指 針 (ガイドライン)を 示 している 本 書 の 作 成 にあたったワーキングループには ID 管 理 製 品 や ロール 管 理 製 品 の 開 発 販 売 ベンダ 導 入 経 験 のある SIer コンサルタント 等 が 多 数 参 加 してお り 特 定 の 製 品 に 偏 向 しないことを 留 意 しつつも ロール 管 理 を 導 入 するユーザ SIer 等 にとっ て 有 用 となる 知 識 ノウハウを 持 ち 寄 った その 結 果 本 書 はロール 管 理 とは 何 か?から 始 まり ID 管 理 におけるロール 管 理 の 重 要 性 を 解 説 し 実 際 のロール 管 理 の 実 装 ステップをステップごとに 解 説 をおこなっている また ロール 管 理 はその 運 用 が 重 要 になるため 運 用 のガイドラインとなるものを 解 説 した 第 2 版 ではロール 管 理 の 仮 想 企 業 導 入 事 例 を 追 加 し 読 者 がロール 管 理 のプロジェクトを 進 める ためのイメージができるものを 追 加 した これから ロール 管 理 を 導 入 検 討 する 人 には プロジェクトの 推 進 の 準 備 として また 現 在 ID 管 理 やロール 管 理 システムを 導 入 中 の 人 にとっては 現 在 のプロジェクトをよりよくするため のチェック ヒント 集 として 活 用 していただけると 考 えている なお 本 書 は 日 本 ネットワークセキュリティ 協 会 (JNSA) の アイデンティティ 管 理 ワーキンググループ にて 複 数 年 に 渡 って 検 討 した 内 容 となっており ワーキンググループに 参 加 いただいたすべての 方 々のご 協 力 に 深 く 感 謝 する また この 分 野 について 詳 細 に 書 かれた 書 籍 がほとんど 出 版 されておらず その 意 味 でも 本 書 の 内 容 は 多 くの 企 業 に 役 立 つ 内 容 となっている 本 書 があらゆる 企 業 において ロール 管 理 の 適 切 な 導 入 運 用 に 貢 献 できれば 幸 いである 特 定 非 営 利 活 動 法 人 日 本 ネットワークセキュリティ 協 会 標 準 化 部 会 アイデンティティ 管 理 ワーキンググループ リーダ 宮 川 晃 一 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 3

第 1 章 ロール 管 理 とは 1.1. ロール 管 理 の 定 義... 5 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念... 5 1.1.2 ロールの 分 類 と 特 徴... 8 1.2. ロール 管 理 の 意 義... 15 1.2.1. ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果... 15 1.2.2. ID 管 理 に 基 づくロール 管 理 の 重 要 性... 16 1.2.3. ロール 管 理 検 討 における 留 意 点... 17 4 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

1.1. ロール 管 理 の 定 義 本 節 では ロール 及 びロール 管 理 の 概 念 やロールの 分 類 と 特 徴 について 説 明 する 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念 ロール とは 何 か?ロール(role)は 役 割 と 訳 される 日 本 企 業 では 社 員 のロールつまり 役 割 が 具 体 的 な 職 務 や 権 限 として 明 確 に 定 義 されていることが 少 ないとされ ロールの 概 念 は 定 着 し づらいと 言 われてきた 実 際 例 えば 課 長 の 役 割 の 説 明 を 求 められた 場 合 に 具 体 的 にどのよ うな 職 務 が 課 長 の 担 うべきものなのか 即 列 挙 し 提 示 できる 企 業 は 決 して 多 くはないと 想 像 できる 一 方 で 情 報 システムに 関 わる 人 であれば 何 らかの 形 でロールという 言 葉 を 目 にしたことがある はずであり つまりロールは 情 報 システムのソフトウェアでは 既 に 実 装 されているオブジェクトで もある 今 本 当 に 日 本 でロールは 用 いられていないのか 活 用 される 余 地 が 少 ないのかを 再 考 す るときに 来 ているのである 情 報 システムが 普 遍 化 する 中 ID の 管 理 基 盤 が 整 ってくれば ロー ルの 管 理 活 用 は 必 須 になるというのが 本 ワーキンググループの 見 方 である それでは 情 報 システムにおけるロールがどのようなものなのかを 見 ていくことにする 情 報 シ ステムにおけるロールは ユーザ と 各 種 リソースに 対 するアクセス 権 限 との 間 に 位 置 し 両 者 を 対 応 付 けるための 仲 介 役 的 な 存 在 であるが ユーザから 観 た 場 合 の 実 体 としては 各 種 リ ソースに 対 するアクセス 権 限 の 組 み 合 わせと 考 えることができる 役 割 職 務 という 概 念 を 実 際 に 業 務 を 遂 行 するにあたって 必 要 となる 様 々なリソースに 対 するアクセス 権 限 にブレークダウンし できるだけ 多 くのユーザに 共 通 なアクセス 権 限 の 組 み 合 わせとして 定 義 したものをロールと 捉 える と ロールは 日 常 業 務 と 密 接 に 関 連 する 概 念 であることが 分 かってくる 情 報 システムを 運 用 管 理 する 部 門 では リソースに 対 するアクセス 権 限 をユーザに 付 与 削 除 する 作 業 を 実 は 日 常 的 に 既 に 実 施 しているのは 間 違 いなく それが 煩 雑 で 増 加 する 一 方 の 作 業 であることを 実 感 しているはず である 例 えばファイルサーバのアクセス 権 限 管 理 フォルダやファイルなどに 対 するユーザのアクセス 権 限 の 設 定 は 煩 雑 で 時 間 の 掛 かる 作 業 である 全 員 に 一 律 に 全 てのファイルへの 参 照 更 新 削 除 権 限 を 付 ける 訳 にはいかず 入 退 社 時 はもちろん 異 動 昇 格 といった 人 事 イベントに 応 じて 個 人 ごとに 権 限 の 付 与 削 除 作 業 が 発 生 する 権 限 の 管 理 が 適 切 になされないと 必 要 以 上 の 権 限 をもつ 人 が 増 え 秘 密 情 報 管 理 やコンプライアンス 上 の 問 題 を 招 く 恐 れが 高 くなる このように 個 々 人 に 様 々なリソースへのアクセス 権 限 を 設 定 する 作 業 は ロールを 利 用 すること により 効 率 化 することが 期 待 できる ユーザ 個 人 にはロールを 付 与 し リソースへのアクセス 権 限 の 設 定 はロールに 対 して 行 うことで 同 じロールを 付 与 されている 複 数 のユーザに 対 して 一 纏 めに アクセス 権 限 の 設 定 を 行 えるようになる これによりアクセス 権 限 の 設 定 作 業 が 整 理 効 率 化 され 作 業 がしやすくなることで 不 要 な 権 限 が 付 与 されたままになるといったセキュリティ 上 のリスク エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 5

が 低 減 される 情 報 システムが 欠 かせないビジネスの 現 場 では 実 は ロールの 管 理 活 用 は 既 に 避 けて 通 れない 課 題 となっているのである ユーザー アクセス 権 アクセス 先 リソース 承 認 権 限 入 力 権 限 売 り 上 げ 管 理 承 認 権 限 顧 客 情 報 管 理 入 力 権 限 管 理 職 メニュ 権 限 社 内 ポータル 一 般 メニュー 図 1.1 ロールの 位 置 付 け - ロールが 無 い 状 態 ユーザー ロール アクセス 権 アクセス 先 リソース 承 認 者 ロール 承 認 権 限 入 力 権 限 売 り 上 げ 管 理 営 業 ロール 承 認 権 限 顧 客 情 報 管 理 管 理 職 ロール 入 力 権 限 社 員 共 通 ロール 管 理 職 メニュ 権 限 社 内 ポータル 一 般 メニュー 図 1.2 ロールの 位 置 付 け - ロールを 用 いて 整 理 されている 状 態 6 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

さて 情 報 システムにおけるロールの 概 念 がどのように 生 まれてきて どのように 定 義 されてい るのかについても 触 れておくことにする ロールは 情 報 セキュリティの 分 野 で RBAC(Role-Based Access Control: ロールベース アク セス 制 御 )という 概 念 の 中 に 早 くから 登 場 し 実 装 されている RBAC は ユーザ 単 位 にリソースへ のアクセス 権 限 を 個 別 に 割 り 付 けるのではなく ロールに 基 づいて(ロールを 介 して)リソースへ のアクセス 権 限 を 一 纏 めに 割 り 付 け アクセス 制 御 を 実 現 するモデルである リソースへのアクセ ス 権 限 をロールで 束 ねることにより 数 多 くのユーザおよび 様 々なリソースに 対 して 横 断 的 なアク セス 権 限 管 理 を 実 現 し その 運 用 管 理 を 容 易 にすることができる RBAC についての 主 な 参 考 文 献 参 照 先 は 以 下 の 通 りである Ferraiolo, D.F. and Kuhn, D.R. (10 月 1992 年 ). Role Based Access Control. 15th National Computer Security Conference. pp. 554-563 Sandhu, R., Coyne, E.J., Feinstein, H.L. and Youman, C.E. (8 月 1996 年 ). Role-Based Access Control Models (PDF). IEEE Computer (IEEE Press) 29 (2): 38-47. http://csrc.nist.gov/groups/sns/rbac/ (NIST) Role-Based Access Control ISBN 1-58053-370-1 David F. Ferraiolo, D. Richard Kuhn, and Ramaswamy Chandramouli エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 7

1.1.2 ロールの 分 類 と 特 徴 ロールには 表 現 対 象 使 用 目 的 粒 度 業 務 実 施 形 態 などによって 幾 つかの 分 類 が 存 在 する まず 表 現 対 象 や 使 用 目 的 によって ロールは 大 きく 3 つのレイヤに 分 類 できる (1)ビジネス ロール (2)アプリケーションロール (3)IT ロールである ID 管 理 での 検 討 範 囲 個 人 の ID 情 報 ビジネス ロール 集 1ユーザ 毎 に1つ 以 上 職 務 を 区 分 するためのロール 中 が 割 り 当 てられる 管 理 ITロール 1ユーザ 毎 に1つ 以 上 ヒ シ ネスロールに 応 じたアフ リケーションロールの セットが 割 り 当 てられる 個 別 アプリケーション ロール 管 1ユーザ 毎 に1つ 以 上 アプリケーションに 応 じたロールが 理 割 り 当 てられる アプリケーション システム 設 定 ID 情 報 をアプリケーションに 対 し 直 接 的 に 割 り 当 てると 管 理 性 や 拡 張 性 が 失 われるため レイヤーを 用 いて 管 理 する ビジネスユーザはビジネス ロールを 持 ち ITロールまたはアプリケーショ ンロールにマッピングされる ITユーザはITロールを 持 ち ITロール はアプリケーション ロールにマッピン グされる アプリケーション 管 理 者 はアプリケー ション ロールを 定 義 し それぞれのシ ステム 権 限 にマッピングする 図 1.3 ロールの 3 レイヤ 概 念 図 (1) ビジネスロール ビジネスロールとは 1ユーザごとに1つ 以 上 付 与 される 職 務 を 区 分 するためのロー ルである 日 常 業 務 上 の 役 割 の 概 念 に 最 も 近 く 職 制 などと 関 連 付 けられる 例 えば 課 長 ロールや 部 長 ロールといった 職 位 に 対 応 付 けられるものや 経 理 ロール 営 業 ロールと いった 職 種 部 門 に 対 応 付 けられるものが 考 えられる ロールが 付 与 されるユーザがどのような 職 務 の 人 なのかが 分 かりやすい 反 面 具 体 的 に どのリソースにどのような 権 限 を 持 つ 必 要 があるのかという 整 理 が 難 しい このため 後 述 のアプリケーションロールや IT ロールのような より 具 体 的 なリソースやアクセス 権 限 に 近 い 細 分 化 されたロールを 作 成 し ビジネスロールはアプリケーションロールや IT ロールを 束 ねるロールとして 利 用 する 8 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(2) アプリケーションロール アプリケーションロールは アプリケーションのリソースへのアクセス 権 限 を 直 接 対 応 付 けるロールである アプリケーションやリソースの 管 理 者 が アプリケーションロール を 定 義 し 各 種 アクセス 権 限 に 対 応 付 ける 例 えば 入 力 参 照 承 認 などの 権 限 と 直 接 関 連 付 けられるロールが 考 えられる (3) IT ロール IT ロールは ビジネスロールとアプリケーションロールの 中 間 に 位 置 する 粒 度 のロー ルで 複 数 のアプリケーションロールを 束 ねる IT ロールは アプリケーションロール が 多 くてビジネスロールとの 直 接 の 対 応 付 けが 複 雑 になる 場 合 に 利 用 する 表 1.1 の 例 では 社 内 ポータルの 各 メニューへのアクセス 権 限 がアプリケーションロー ルに 当 たり 複 数 のアプリケーションロールを 束 ねる IT ロールが 設 定 されている 表 1.1 ビジネスロール アプリケーションロール IT ロールの 例 所 属 企 業 コ ード ビジネス ロール 分 類 職 制 ア パ カ ス ウ ワー ITロール ン ト ド ロッ 初 期 ク 化 解 除 認 証 認 証 基 盤 パ ス ワー ド 変 更 ト ッ プ メ ニ ュー 管 理 職 用 メ ニ ュー ポータル 一 般 職 用 メ ニ ュー 出 向 者 用 メ ニ ュー グ ルー プ 企 業 用 メ ニ ュー 社 内 システム メー ル 社 内 電 話 帳 会 議 室 予 約 ス ケ ジ ュー ル 各 種 申 請 申 請 承 認 管 理 メ ニ ュー 00: 本 社 一 般 役 員 R001 管 理 職 一 般 社 員 R002 出 向 者 R003 システム 部 運 用 管 理 者 R004 ヘルプデスク R005 01:グループ 企 業 スタッフ 管 理 スタッフ R006 一 般 スタッフ R007 受 入 出 向 者 R008 02.その 他 企 業 その 他 受 入 出 向 者 R009 契 約 社 員 協 力 会 社 社 員 R010 ACL ACL001 ACL002 ACL003 ACL004 ACL005 ACL006 ACL007 ACL008 ACL009 ACL010 ACL011 ACL012 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 9

次 に 業 務 実 施 形 態 によって (1)ビジネスロールはさらに 3 つのタイプに 分 類 できる A) 組 織 型 ロール B)ライン 型 ロール C)プロジェクト 型 ロールである A) 組 織 型 ロール 組 織 型 ロールとは 人 事 情 報 などで 定 義 されるユーザの 属 性 によって 定 義 できるロール である ユーザが 所 属 している 組 織 情 報 や ユーザの 職 位 情 報 によって 権 限 が 分 けられる 業 務 に 使 用 する 組 織 情 報 をロールにする 場 合 には 組 織 ツリー 階 層 を 維 持 した 形 でロー ルが 作 成 される 組 織 型 ロールの 例 として 以 下 のようなロールが 考 えられる 組 織 ロール( 総 務 部 ロール システム 開 発 課 ロール 全 社 ロール ) 職 位 ロール( 幹 部 社 員 ロール 部 長 職 ロール 主 任 以 上 ロール ) 社 員 種 別 ロール( 正 社 員 ロール 派 遣 社 員 ロール 協 力 会 社 社 員 ロール ) 拠 点 ロール(A 事 業 所 ロール B 事 業 所 ロール ) 職 責 ロール( 営 業 ロール SE ロール 開 発 者 ロール 運 用 者 ロール ) 上 記 を 組 み 合 わせたロール 組 織 型 ロールの 特 徴 組 織 型 ロールは 企 業 全 体 で 一 意 に 定 められた 人 事 情 報 や 組 織 図 から 作 成 できる ため Top Down で 作 成 し 易 く また ロールを 自 動 作 成 し 易 いという 特 徴 がある 組 織 型 ロールの 考 慮 点 組 織 型 ロールで 特 に 組 織 ロールを 実 装 する 場 合 には 以 下 の 考 慮 が 特 に 必 要 であ る 組 織 階 層 をどの 階 層 レベルまでロールにする 必 要 があるか ( 課 レベルまで 係 レベルまで 等 ) 人 事 情 報 として 保 持 している 階 層 以 下 のレベルまでロールに する 必 要 がある 場 合 には 実 装 しにくくなりメンテナンスが 大 変 になる 組 織 変 更 にどう 対 応 するかを 考 慮 した 上 でロールを 実 装 する 必 要 がある ユー ザが 所 属 している 組 織 コードを 使 って 自 動 化 できるのであれば 比 較 的 メンテ ナンスは 容 易 となる また 引 き 継 ぎ 期 間 や 兼 務 の 扱 いについても 考 慮 する 必 要 がある 組 織 ロールは 入 れ 子 (ロールの 中 に 他 のロールを 含 める 構 造 )となる 場 合 が 多 く 複 雑 になるため 上 位 の 権 限 の 継 承 も 考 慮 する また 部 ロールを 作 成 す る 場 合 部 に 属 する 全 ての 人 に 与 える 権 限 か 部 直 属 の 人 のみに 与 える 権 限 か というように 権 限 の 範 囲 を 考 えておく 必 要 がある 10 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

組 織 をベースにしていても 不 適 切 な 権 限 付 与 になってしまう 場 合 もあるため 注 意 が 必 要 である また 組 織 そのものの 上 下 関 係 包 含 関 係 をどのように 表 現 するのかも 課 題 となる 組 織 型 ロールの 利 用 例 組 織 型 ロールの 利 用 例 として Web 認 証 サーバ の 例 を 示 す 統 合 認 証 サー バでは 認 証 情 報 としてユーザ 情 報 認 可 情 報 として ACL(アクセス 制 御 リスト) を 管 理 する 図 1.4 組 織 型 ロールの 利 用 例 Web 認 証 サーバ エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 11

また 組 織 型 ロールの 利 用 例 として ファイルサーバの 権 限 設 定 例 を 示 す 人 事 情 報 からロールメンバを 自 動 メンテナンスし Active Directory のセキュリティグ ループに 配 信 する ファイルサーバの 権 限 をセキュリティグループに 対 して 与 える ことにより メンテナンスが 自 動 化 される 図 1.5 組 織 型 ロールの 利 用 例 ファイルサーバ B) ライン 型 ロール ライン 型 ロールとは 複 数 の 組 織 が 関 係 する 業 務 に 使 用 され 各 組 織 の 業 務 上 の 役 割 に 応 じて 業 務 フローを 意 識 してロールを 実 装 する また 組 織 や 職 位 とは 関 係 せず 入 力 者 ロールや 承 認 者 ロールのように をする 人 というロールもある ライン 型 ロールの 特 徴 ライン 型 ロールの 特 徴 として 以 下 のようなものがある ロールと 権 限 が 密 接 に 関 連 している 業 務 システムごとに 独 立 したロールが 必 要 となる 場 合 が 多 い 業 務 そのものに 変 更 がない 限 り 変 更 は 少 ない SoD(Segregation of Duties: 職 務 分 掌 )が 求 められることが 多 い それぞれの 組 織 内 でさらに 権 限 が 分 かれることが 多 い 組 織 型 ロールとプロジェクト 型 ロールの 両 方 の 特 徴 を 持 つ 基 幹 業 務 で 使 用 されることが 多 い ライン 型 ロールの 考 慮 点 ライン 型 ロールを 実 装 する 場 合 には 以 下 の 考 慮 が 必 要 である 業 務 フローを 意 識 するため 業 務 分 析 が 不 可 欠 である SoD に 抵 触 しないよう 留 意 しながら 実 装 する 必 要 がある ロールと 職 位 は 必 ずしも 対 応 するとは 限 らない 業 務 上 の 役 割 をロールと して 実 装 するため 部 長 には 必 ず 承 認 者 ロールを 付 与 するとは 限 らず 組 織 の 役 割 として 一 般 社 員 に 承 認 者 ロールを 付 与 する 場 合 も 考 えられる 12 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

ライン 型 ロールの 利 用 例 ライン 型 ロールの 利 用 例 としては 基 幹 業 務 における 申 請 者 ロール 審 査 者 ロール 支 払 者 ロール 承 認 者 ロールなどが 該 当 します 申 請 審 査 支 払 い 承 認 申 請 者 ロール 審 査 者 ロール 支 払 い 者 ロール 承 認 者 ロール 営 業 部 の 正 社 員 企 画 部 の 正 社 員 製 造 部 の 正 社 員 申 請 部 門 の 部 長 購 買 部 の 担 当 購 買 部 の 部 長 役 員 社 長 業 務 の 権 限 に 直 結 して 各 ロールのメンバを 構 成 する 図 1.6 ライン 型 ロールの 利 用 例 基 幹 業 務 ライン C) プロジェクト 型 ロール プロジェクト 型 ロールとは 期 限 付 きの 業 務 (プロジェクト)を 行 う 場 合 などに 使 用 し 組 織 に 跨 ったユーザからメンバが 構 成 されることも 多 く 人 事 情 報 や 組 織 情 報 からは 自 動 で 抽 出 できない その 反 面 ロールの 自 由 度 は 高 くなる プロジェクトメンバのみにアク セス 権 限 を 与 えたい 場 合 に 使 用 するロールであるため プロジェクト 専 用 のロールを 作 る ことがある プロジェクト 型 ロールの 特 徴 プロジェクト 型 ロールは 日 常 業 務 上 プロジェクトを 順 次 実 行 していくような 部 門 もあり Top Down で 作 成 することは 難 しい また ロールメンバのメンテナン スは 手 動 で 行 うことが 多 い プロジェクト 型 ロールの 考 慮 点 プロジェクト 型 ロールを 実 装 する 場 合 には 以 下 の 考 慮 が 必 要 である ロールのメンテナンスが 手 動 となることが 多 く 全 てのプロジェクト 型 ロールを 特 定 の 部 門 のみで 管 理 することは 難 しいため ロールオーナを 定 め ロールの 管 理 を 権 限 委 譲 する 必 要 がある ロールオーナに 与 えられる 権 限 は ロールメンバの 管 理 サブロール( 子 ロール)の 作 成 削 除 ロールの 持 つ 権 限 の 管 理 などである エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 13

複 数 部 門 の 多 くの 人 がロールの 管 理 を 行 うため 不 要 なロールがいつもで も 放 置 されてロールが 増 え 続 ける 傾 向 が 強 く 全 体 の 統 制 が 効 かない 可 能 性 が 高 い よって ロールの 作 成 改 廃 基 準 を 作 成 するなど ロール 管 理 ルールを 定 めることが 重 要 である なお 職 務 分 掌 の 観 点 から ロールの 管 理 責 任 と 実 作 業 実 施 を 分 離 することも 考 慮 する 必 要 がある プロジェクト 型 ロールの 利 用 例 プロジェクト 型 ロールの 利 用 例 としては ファイルサーバのプロジェクト 共 有 フォルダのアクセス 権 限 管 理 などに 使 用 される 営 業 部 企 画 部 製 造 部 検 査 部 AAAさん BBBさん CCCさん DDDさん EEEさん FFFさん GGGさん HHHさん IIIさん JJJさん KKKさん LLLさん MMMさん NNNさん OOOさん PPPさん QQQさん ファイルサーバ プロジェクトロール 組 織 に 跨 ったユーザで プロジェクトのメン バを 構 成 する AAAさん HHHさん KKKさん MMMさん QQQさん 共 有 フォルダの アクセス 権 管 理 に 利 用 プロジェクト 共 有 フォルダ 図 1.7 プロジェクト 型 ロールの 利 用 例 ファイルサーバ 14 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

1.2. ロール 管 理 の 意 義 本 節 では ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果 ID 管 理 に 基 づくロール 管 理 の 重 要 性 ならびにロール 管 理 検 討 における 留 意 点 について 説 明 する 1.2.1. ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念 でも 触 れたが ロール 管 理 の 必 要 性 と 効 果 について あ らためて 整 理 しておく 企 業 では 不 正 アクセス 防 止 や 職 務 分 掌 の 対 応 のために 管 理 しているシステムのリソースに 対 し てユーザの 利 用 可 否 を 制 御 しなければならない 利 用 可 否 の 設 定 は 一 度 設 定 すれば 完 了 というわけ ではなく 業 務 上 の 役 割 の 変 更 などに 対 応 して 変 更 できるようにしておく 必 要 がある 柔 軟 に 対 応 できないような 管 理 方 法 では 日 々の 運 用 をおこなうことは 困 難 になる もっとも 原 始 的 な 管 理 方 法 としてユーザの 役 割 とシステムのリソースに 対 するアクセス 権 限 を 1 対 1 で 管 理 する 方 法 がある その 場 合 結 びつき1つ1つを 個 別 管 理 しなければならず 煩 雑 になり やすい 役 割 に 変 更 があった 場 合 には 関 連 するリソースの 権 限 をすべて 変 更 しなければならない ため この 管 理 方 法 における 作 業 負 担 は 高 くなる ユーザやリソースの 権 限 が 増 えると 管 理 する 対 象 が 増 えるため 規 模 が 大 きくなるほど 柔 軟 な 管 理 が 困 難 になる 一 方 ロールを 用 いれば 役 割 を 集 約 して 管 理 することが 可 能 になる 管 理 するレイヤに 合 わせて ビジネスロール IT ロール アプリケーションロールを 作 成 することで 1 対 1 の 管 理 から 解 放 さ れる ロールにより 業 務 上 の 役 割 とリソースの 権 限 の 結 びつけが 単 純 化 され 規 模 に 左 右 されずに 整 理 された 状 態 で 管 理 できるようになる 作 成 したロールには 管 理 している 役 割 に 沿 った 名 前 をつけるため 単 純 にアクセス 権 限 を 設 定 し たときに 比 べるとアクセス 制 御 をしている 内 容 が 把 握 しやすくなる また ロールによって 集 約 で きることで 管 理 対 象 の 数 が 抑 えられるため 変 更 などの 管 理 作 業 の 負 担 を 下 げることができる そ のため ロールを 活 用 することで 変 更 に 対 して 柔 軟 に 対 応 できる 環 境 を 作 り 出 すことができるよう になる エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 15

1.2.2. ID 管 理 に 基 づくロール 管 理 の 重 要 性 ここで ロール 管 理 と ID 管 理 の 関 係 を 整 理 しておきたい ロール 管 理 は ID 管 理 基 盤 を 実 現 した 上 に 組 み 合 わせて 実 現 するのが あるべき 姿 である というのは 1.1.1 ロール 及 びロール 管 理 の 概 念 でも 触 れたように ロールの 概 念 が アク セス 制 御 を 実 現 するための 基 になるものだからである アクセス 制 御 つまり 認 可 は 認 証 に 基 づき 認 証 は 識 別 に 基 づく 識 別 を 実 現 するためのものが ID 管 理 であり よってロール 管 理 は ID 管 理 基 盤 の 上 に 成 り 立 つものと 言 えるのである アクセス 制 御 を 実 現 するためのプロセスを 構 成 する 3 つのステップ: 識 別 - 認 証 - 認 可 とは 何 か 以 下 にあらためて 整 理 しておく (1) 識 別 : 主 体 (ユーザ)が 誰 かを ID に 基 づいて 識 別 する (2) 認 証 : 識 別 した 主 体 (ユーザ)が 本 人 であることを パスワード 等 の 本 人 証 明 情 報 ( 認 証 情 報 )に 基 づいて 確 認 する (3) 認 可 : 認 証 した 主 体 (ユーザ)がリソースへのアクセスを 許 可 されている ことを アクセス 制 御 ( 権 限 ) 情 報 に 基 づいて 確 認 する 上 記 3 つのステップで 必 要 とされるユーザの ID パスワード 等 の 認 証 情 報 アクセス 権 限 情 報 の 基 になるユーザ 属 性 情 報 の 管 理 は ID 管 理 基 盤 が 実 現 するものである そしてロールは アク セス 権 限 情 報 の 基 になるユーザ 属 性 情 報 を 基 に ユーザに 付 与 するものである したがって ロー ル 管 理 を ID 管 理 基 盤 の 上 に 組 み 合 わせて 実 現 することは 至 極 合 理 的 なことなのである ID 管 理 とロール 管 理 が 透 過 的 に 連 携 することにより 以 下 に 挙 げるようなメリットも 得 ること ができる ID 管 理 基 盤 には ライフサイクル 管 理 属 性 情 報 管 理 プロビジョニング などの 機 能 があり これらを 活 用 することでロール 管 理 の 運 用 負 荷 を 下 げることが 可 能 になる 例 えば ユーザの 属 性 変 更 に 合 わせて 自 動 的 にロールの 割 り 当 てを 行 うことが 可 能 になる ID 情 報 管 理 の 証 跡 と 対 応 付 けたロール 管 理 の 証 跡 把 握 など 他 の 運 用 面 でもメリットを 得 ることができる 16 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

1.2.3. ロール 管 理 検 討 における 留 意 点 ID 管 理 システムと 一 緒 にロール 管 理 を 行 うメリットを 説 明 したが 実 際 に ID 管 理 システムを 導 入 している 企 業 においてもビジネスロールに 基 づいたロール 制 御 までを 実 装 しているケースはまだ 多 くない 例 えばロールを 細 かく 設 計 し 実 装 して 自 動 化 したとしても 日 々 運 用 が 楽 になる 一 方 で 実 装 が 複 雑 になりすぎ 柔 軟 性 が 失 われビジネスロジックの 変 更 に 対 応 できなくなる その 結 果 システム 全 体 の 運 用 が 複 雑 になり 別 の 部 分 で 管 理 負 荷 を 招 いてしまうことがある 一 元 的 に 管 理 することのメリットはあるものの メインの 課 題 解 決 と 乖 離 しないように 実 装 と 運 用 のバランスをもってロール 管 理 を 考 える 必 要 がある( 図 1.8 を 参 照 ) 図 1.8 ID 管 理 とロール 管 理 のバランス エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 17

第 2 章 ロール 管 理 導 入 指 針 2.1. ロール 管 理 導 入 の 流 れ... 20 2.1.1. 導 入 全 体 の 流 れ... 20 2.1.2. 現 状 調 査 企 画... 21 2.1.3. ロール 設 計... 21 2.1.4. 実 装 方 式 設 計... 21 2.1.5. 実 装 移 行 展 開... 22 2.2. ロール 管 理 導 入 における 課 題... 25 2.2.1. ビジネスロールとその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題... 25 2.2.2. システム 権 限 とその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題... 26 2.2.3. アクセス 制 御 の 全 体 ポリシーの 確 認 時 に 直 面 する 課 題... 26 2.2.4. ロールデータの 元 データとその 維 持 管 理 体 制 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.2.5. IT ロールのスコープ 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.2.6. IT ロール 付 与 ルールとその 例 外 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題... 27 2.3. 現 状 調 査 企 画 フェーズ... 30 2.3.1. 組 織 調 査... 30 2.3.2. 職 務 分 掌 調 査... 32 2.3.3. ライン 型 業 務 調 査... 34 2.3.4. プロジェクト 型 業 務 調 査... 36 2.3.5. 対 象 システム 調 査... 38 2.3.6. 対 象 法 規 制 調 査... 40 2.3.7. 目 的 目 標 の 明 確 化... 42 2.4. ロール 設 計 フェーズ... 45 2.4.1. Top Down 型 モデリング... 46 2.4.2. Bottom Up 型 モデリング... 49 2.4.3. ハイブリッド 型 モデリング... 51 2.4.4. 組 織 型 ロール 設 計... 52 2.4.5. ライン 型 ロール 設 計... 55 2.4.6. プロジェクト 型 ロール 設 計... 58 2.4.7. システムアクセス 権 限 設 計... 61 2.4.8. IT ロール 設 計... 63 2.5. 実 装 方 式 設 計 フェーズ... 65 2.5.1. プロビジョニング 方 式 設 計... 65 2.5.2. ロール 運 用 設 計... 67 2.5.3. ロール 管 理 対 象 範 囲 の 確 定... 70 18 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.6. 実 装 移 行 展 開 フェーズ... 72 2.6.1. 実 装 移 行 展 開 の 計 画... 72 2.6.2. 実 装 移 行 展 開 の 実 施... 74 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 19

2.1. ロール 管 理 導 入 の 流 れ 前 節 までで ロール 管 理 とは 何 か そして ID 管 理 におけるロール 管 理 の 重 要 性 について 説 明 し てきた この 後 は ロール 管 理 の 導 入 を 実 際 に 進 める 過 程 の 全 体 像 を 説 明 してから それらの 過 程 における 課 題 やその 解 決 の 進 め 方 について 掘 り 下 げて 説 明 していく 本 節 では ロール 管 理 導 入 過 程 の 全 体 像 ( 概 要 )について 説 明 する 2.1.1. 導 入 全 体 の 流 れ ロール 管 理 導 入 過 程 の 全 体 は 以 下 に 示 す 流 れになる (1) 現 状 調 査 企 画 (2) ロール 設 計 (3) 実 装 方 式 設 計 (4) 実 装 移 行 展 開 現 状 調 査 企 画 ロール 設 計 実 装 方 式 設 計 実 装 移 行 展 開 図 2.1 ロール 管 理 導 入 全 体 の 流 れ まず ロール 管 理 に 関 する 現 状 がどうなっているのか 調 査 確 認 する 必 要 がある そして ロール 管 理 導 入 の 目 的 と 目 指 すべき 目 標 像 を 明 確 化 する 次 に 現 状 調 査 の 結 果 と 目 指 すべきロール 管 理 の 目 標 像 を 踏 まえて どんなロールを 用 いるのか を 検 討 設 計 する そして これら 設 計 したロールを 用 いて ロール 管 理 をどのように 実 装 運 用 するのかを 検 討 設 計 する 最 後 に 設 計 したロール 管 理 の 実 装 移 行 展 開 をどのように 進 めるべきかを 計 画 し それを 実 施 する これら 導 入 過 程 の 各 フェーズにおいて どのようなタスクが 必 要 となるかについて 概 要 を 以 下 に 説 明 する 20 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.1.2. 現 状 調 査 企 画 ロール 管 理 に 関 する 現 状 を 調 査 し 企 画 するフェーズにおいては 以 下 に 挙 げるタスクが 必 要 と なる (1) 組 織 調 査 (2) 職 務 分 掌 調 査 (3) ライン 型 ( 定 型 部 署 別 ) 業 務 調 査 (4) プロジェクト 型 ( 期 間 限 定 部 署 横 断 ) 業 務 調 査 (5) 対 象 システム 調 査 (6) 対 象 法 規 制 調 査 (7) 目 的 目 標 像 の 明 確 化 2.1.3. ロール 設 計 現 状 調 査 の 結 果 と 目 指 すべきロール 管 理 の 目 標 像 を 踏 まえて どんなロールを 用 いるのかを 検 討 設 計 するフェーズにおいては 以 下 に 挙 げるタスクが 必 要 となる (1) 組 織 型 ロール 設 計 (2) ライン 型 ロール 設 計 (3) プロジェクト 型 ロール 設 計 (4) システムアクセス 権 限 設 計 (5) IT ロール 設 計 2.1.4. 実 装 方 式 設 計 設 計 したロールを 用 いて ロール 管 理 をどのように 実 装 運 用 するのかを 検 討 設 計 するフェー ズにおいては 以 下 に 挙 げるタスクが 必 要 となる (1) プロビジョニング 方 式 設 計 (2) ロール 運 用 設 計 (3) ロール 管 理 対 象 範 囲 の 確 定 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 21

2.1.5. 実 装 移 行 展 開 設 計 したロール 管 理 の 実 装 移 行 展 開 をどのように 進 めるべきかを 計 画 し それを 実 施 する フェーズにおいては 以 下 に 挙 げるタスクが 必 要 となる (1) 実 装 移 行 展 開 の 計 画 (2) 実 装 移 行 展 開 の 実 施 現 状 調 査 企 画 ロール 設 計 実 装 方 式 設 計 実 装 移 行 展 開 組 織 調 査 組 織 型 ロール 設 計 プロビジョニング 方 式 設 計 実 装 移 行 展 開 計 画 職 務 分 掌 調 査 ライン 型 業 務 ( 部 署 別 ) 調 査 プロジェクト 型 ライン 型 ロール 設 計 プロジェクト 型 ロール 設 計 ロール 運 用 設 計 ロール 管 理 対 象 範 囲 の 確 定 実 装 移 行 展 開 実 施 業 務 調 査 対 象 システム 調 査 システムアクセス 権 限 設 計 対 象 法 規 制 調 査 ITロール 設 計 図 2.2 ロール 管 理 導 入 過 程 のフェーズおよびタスク 22 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

各 工 程 の 概 要 各 工 程 の 概 要 を 以 下 に 示 す 表 2.1 各 工 程 の 概 要 と 成 果 物 例 工 程 名 概 要 成 果 物 例 現 状 調 査 企 画 フェーズ 組 織 調 査 職 務 分 掌 調 査 ライン 型 業 務 調 査 プロジェクト 型 業 務 調 査 対 象 システム 調 査 対 象 法 規 制 調 査 目 的 目 標 像 の 明 確 化 ロール 設 計 フェーズ TopDown 型 モデリング BottomUp 型 モデリング ハイブリッド 型 モデリング ロール 設 計 に 必 要 なインプットとな る 組 織 体 制 階 層 等 を 洗 い 出 す ロール 設 計 に 必 要 なインプットとな る 職 務 分 掌 を 洗 い 出 す ロール 設 計 に 必 要 なインプットとな るライン 型 業 務 のロールを 洗 い 出 す ロール 設 計 に 必 要 なインプットとな るプロジェクト 型 業 務 のロールを 洗 い 出 す ロール 設 計 に 必 要 なインプットとな る 対 象 システムに 現 在 設 定 されてい る 権 限 情 報 を 洗 い 出 す ロール 設 計 に 影 響 をあたえる 法 規 制 について 調 査 する ロール 管 理 実 装 における 目 的 目 標 像 を 明 確 化 する 工 程 ではない 工 程 ではない 工 程 ではない 調 査 メモ 調 査 メモ 調 査 メモ 調 査 メモ 調 査 メモ 調 査 メモ ロール 管 理 導 入 計 画 組 織 型 ロール 設 計 組 織 型 ロールを 設 計 する ロール 設 計 書 ライン 型 ロール 設 計 ライン 型 ロールを 設 計 する ロール 設 計 書 プロジェクト 型 ロール 設 計 プロジェクト 型 ロールを 設 計 する ロール 設 計 書 システムアクセス 権 限 設 計 システムアクセス 権 限 の 設 計 をす る ロール 設 計 書 IT ロール 設 計 IT ロールの 設 計 をする ロール 設 計 書 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 23

実 装 方 式 設 計 フェーズ プロビジョニング 方 式 設 計 ロール 運 用 設 計 ロール 管 理 対 象 範 囲 の 確 定 実 装 移 行 展 開 フェーズ 実 装 移 行 展 開 計 画 ロールを 対 象 システムに 配 布 する 方 法 について 検 討 設 計 をする ロールのライフサイクルの 検 討 とそ れに 伴 う 運 用 の 検 討 を 行 う ロール 管 理 を 行 うシステムの 対 象 範 囲 を 決 定 する ロール 管 理 システムについての 実 装 移 行 展 開 計 画 を 立 案 する プロビジョニング 方 式 設 計 書 ロール 運 用 設 計 書 検 討 メモ 移 行 展 開 計 画 書 実 装 移 行 展 開 実 施 ロール 管 理 システムの 実 装 移 行 ( 特 に 定 義 せず) 展 開 を 実 行 する 2.3 節 以 降 において 各 タスクの 目 的 と 前 提 条 件 期 待 される 成 果 物 と 具 体 的 な 作 業 について 記 述 する 24 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.2. ロール 管 理 導 入 における 課 題 前 節 では ロール 管 理 導 入 過 程 の 全 体 像 ( 概 要 )について 説 明 した この 後 は ロール 管 理 導 入 過 程 における 課 題 やその 解 決 の 進 め 方 について 掘 り 下 げて 説 明 していく 本 節 では ロール 管 理 導 入 の 検 討 を 進 めようとした 時 に どのような 課 題 に 直 面 するかについて 例 を 挙 げて 説 明 する 後 節 以 降 で 説 明 する 導 入 過 程 の 各 フェーズにおいては 本 節 で 説 明 する 課 題 を 意 識 しながら 検 討 を 進 める 必 要 がある 2.2.1. ビジネスロールとその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題 現 状 調 査 企 画 フェーズにおいて ビジネスロールとして 何 があるか およびそのビジネスロー ルを 付 与 する 際 のルールに 関 する 調 査 を 進 める 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する (1) ビジネスロールは 組 織 に 応 じて 様 々である (2) ビジネスロールの 定 義 が 曖 昧 な 場 合 がある (3) 兼 務 や 委 任 / 代 行 が 多 く それに 伴 いビジネスロール 付 与 ルールの 例 外 が 多 く 存 在 する 場 合 がある (4) 委 任 か 代 行 かにより 責 任 の 所 在 が 異 なり ロールの 扱 いを 変 えなければならない 場 合 が ある (5) これらの 課 題 を 踏 まえて 調 査 検 討 を 進 める 必 要 がある エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 25

2.2.2. システム 権 限 とその 付 与 ルールの 調 査 時 に 直 面 する 課 題 現 状 調 査 企 画 フェーズにおいて システム 権 限 として 何 があるか およびそのシステム 権 限 を 付 与 する 際 のルールに 関 する 調 査 を 進 める 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する (1) システム 権 限 および 権 限 付 与 ルールはシステムに 応 じて 様 々である (2) 例 外 的 な 権 限 付 与 が 実 施 されている 場 合 がある これらの 課 題 を 踏 まえて 調 査 検 討 を 進 める 必 要 がある 補 足 )システム 実 装 上 の 制 約 により システム 上 での 権 限 付 与 ( 設 定 )はロールを 用 いて 行 うこ とができず ユーザごとに 行 わなければならない 場 合 がある このようなシステム 個 別 の 実 装 対 応 は ロール 管 理 実 装 の 外 で 個 別 インタフェース 実 装 の 仕 方 として 埋 めるべき 部 分 であり ロール 管 理 実 装 の 中 では 詳 しく 論 じない 2.2.3. アクセス 制 御 の 全 体 ポリシーの 確 認 時 に 直 面 する 課 題 現 状 調 査 企 画 フェーズにおいて アクセス 制 御 の 全 体 ポリシーに 関 する 確 認 を 進 める 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する (1) 実 際 のビジネスロールやシステム 権 限 付 与 が 全 体 ポリシーと 不 整 合 を 起 こしている 場 合 がある (2) 全 体 ポリシーが 実 態 に 合 っているかを 確 認 するために アクセス 制 御 対 象 となる 情 報 資 産 すべての 棚 卸 しが 必 要 になる 場 合 がある これらの 課 題 を 踏 まえて 確 認 検 討 を 進 める 必 要 がある 26 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.2.4. ロールデータの 元 データとその 維 持 管 理 体 制 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題 ロール 設 計 フェーズにおいて ロールデータの 元 データをどのデータソースのものにするか お よびその 維 持 管 理 体 制 の 定 義 を 進 める 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する (1) ロールデータの 元 データが 存 在 しない あるいは 存 在 しても 維 持 管 理 が 実 施 できていない 場 合 がある (2) 維 持 管 理 の 組 織 への 割 り 当 てが 難 航 する 場 合 がある これらの 課 題 を 踏 まえて 検 討 定 義 を 進 める 必 要 がある 補 足 )ロールデータの 元 データの 維 持 管 理 が 実 施 できていない 場 合 として 単 純 に 実 施 できてい ない 場 合 の 他 に データのオーナ= 維 持 管 理 責 任 者 が 明 確 に 定 められていない あるいは 名 目 的 に 定 められていても 実 質 的 にはガバナンスが 利 いておらずデータの 整 合 が 取 れていないなどの 場 合 がある 2.2.5. IT ロールのスコープ 定 義 時 に 直 面 する 課 題 ロール 設 計 フェーズにおいて IT ロールのスコープ 定 義 を 進 める 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する (1) IT ロールとして 共 通 管 理 する 範 囲 や 粒 度 の 落 としどころの 調 整 が 難 しい これらの 課 題 を 踏 まえて 検 討 定 義 を 進 める 必 要 がある 補 足 ) 共 通 管 理 する 意 味 のない 特 殊 なロールは IT ロールとして 管 理 するスコープには 含 めず システム 個 別 に 管 理 する という 整 理 の 仕 方 もある ( 例 えば 組 織 横 断 の 一 時 的 なプロジェクト 業 務 担 当 などの 場 合 ) 2.2.6. IT ロール 付 与 ルールとその 例 外 の 定 義 時 に 直 面 する 課 題 ロール 設 計 フェーズにおいて IT ロールを 付 与 する 際 のルール およびその 例 外 の 定 義 を 進 め る 時 には 以 下 に 挙 げる 課 題 に 直 面 する エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 27

(1) IT ロール 付 与 ルールの 例 外 をどこまで 認 めるか セキュリティ ガバナンスと 運 用 のバ ランスを 取 る 必 要 がある これらの 課 題 を 踏 まえて 検 討 定 義 を 進 める 必 要 がある 表 2.2 ロール 管 理 導 入 における 課 題 タスク ビジネスロールおよび ビジネスロール 付 与 ルールの 調 査 システム 権 限 および 権 限 付 与 ルールの 調 査 アクセス 制 御 の 全 体 ポ リシーの 確 認 ロールデータの 元 デー タおよび 維 持 管 理 体 制 の 定 義 IT ロールのスコープ 定 義 課 題 ビジネスロールは 組 織 に 応 じて 様 々である ビジネスロールの 定 義 が 曖 昧 な 場 合 がある 兼 務 や 委 任 / 代 行 が 多 く それに 伴 いビジネス ロール 付 与 ルールの 例 外 が 多 く 存 在 する 場 合 が ある 委 任 か 代 行 かにより 責 任 の 所 在 が 異 なり ロールの 扱 いを 変 えなければならない 場 合 があ る システム 権 限 および 権 限 付 与 ルールはシステム に 応 じて 様 々である 例 外 的 な 権 限 付 与 が 実 施 されている 場 合 があ る 実 際 のビジネスロールやシステム 権 限 付 与 が 全 体 ポリシーと 不 整 合 を 起 こしている 場 合 があ る 全 体 ポリシーが 実 態 に 合 っているかを 確 認 する ために アクセス 制 御 対 象 となる 情 報 資 産 すべ ての 棚 卸 しが 必 要 になる 場 合 がある ロールデータの 元 データが 存 在 しない あるい は 存 在 しても 維 持 管 理 が 実 施 できていない 場 合 がある 維 持 管 理 の 組 織 への 割 り 当 てが 難 航 する 場 合 が ある IT ロールとして 共 通 管 理 する 範 囲 や 粒 度 の 落 としどころの 調 整 が 難 しい IT ロール 付 与 ルールお よび 例 外 の 定 義 IT ロール 付 与 ルールの 例 外 をどこまで 認 める か セキュリティ ガバナンスと 運 用 のバラン スを 取 る 必 要 がある 28 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

まとめ 1. ロール 管 理 導 入 の 検 討 を 進 める 時 の 課 題 として 表 2.2 に 挙 げるものが 存 在 する 2. ここに 挙 げた 課 題 を 踏 まえて 調 査 検 討 設 計 を 進 める 必 要 がある エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 29

2.3. 現 状 調 査 企 画 フェーズ このフェーズでは ロール 管 理 を 行 うにあたって ロール 設 計 のインプット となる 情 報 の 調 査 を 行 う また ロール 管 理 を 企 画 するにあたって ロール 管 理 導 入 の 目 的 や 目 指 すべき 目 標 像 を 明 確 化 する 2.3.1. 組 織 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はロール 設 計 を 行 う 上 で 重 要 なインプットとなる 組 織 体 制 階 層 を 洗 い 出 すことにある 表 2.3 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 組 織 情 報 の 取 得 組 織 体 制 図 の 調 査 職 位 等 の 階 層 情 報 の 調 査 体 制 図 に 記 述 されていない 委 員 会 組 織 や 部 署 内 のチーム レベルの 体 制 等 についての 調 査 同 時 に 人 事 異 動 組 織 変 更 のタイミングなどを 調 査 する また 組 織 内 の 雇 用 形 態 や 関 連 する 規 程 についても 調 査 を 行 う (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.4 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 1 社 内 組 織 図 人 事 課 部 署 内 体 制 図 関 連 規 程 利 用 方 法 / 必 要 性 (ベース 資 料 ) 30 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.5 留 意 事 項 項 目 内 容 1 調 査 の 粒 度 あまりに 細 かい 体 制 までを 調 査 した 場 合 に 組 織 の 延 べ 数 が 膨 大 になる 可 能 性 がある あくまで ロール= 権 限 のベース であるため 業 務 遂 行 上 の 権 限 が 異 なる 組 織 情 報 を 洗 い 出 すことに 留 意 する (4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.6 収 集 する 情 報 作 業 項 目 作 業 内 容 1 組 織 部 署 構 成 調 査 ( 役 職 階 層 含 む) 社 内 組 織 図 部 署 内 の 体 制 図 などを 収 集 し それぞ れの 組 織 の 名 称 業 務 内 容 の 概 要 などをまとめる また 組 織 の 上 下 関 係 (レポートライン) 役 職 階 層 に 関 わる 情 報 についても 調 査 を 行 う 2 拠 点 等 調 査 組 織 が 複 数 拠 点 ある 場 合 には 業 務 としての 組 織 と は 別 に 拠 点 ごとの 組 織 体 制 役 職 等 がある 場 合 が 多 いため それらの 情 報 について 調 査 を 行 う 3 雇 用 形 態 等 調 査 組 織 内 の 人 員 としては 正 社 員 契 約 社 員 嘱 託 派 遣 パート 委 託 先 といった 雇 用 形 態 が 考 えられ それぞれで 権 限 が 異 なる 場 合 も 多 いので それらの 雇 用 形 態 について 調 査 を 行 う 4 関 連 社 内 規 程 調 査 組 織 人 事 に 関 連 する 社 内 規 程 について 調 査 を 行 う 特 に 組 織 図 には 記 載 されないが 社 内 規 程 で 定 めらる 組 織 ( 委 員 会 等 )に 注 意 する エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 31

(5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.7 成 果 物 一 覧 成 果 物 内 容 1 調 査 メモ( 組 織 ) 組 織 の 一 覧 組 織 図 等 2.3.2. 職 務 分 掌 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はロール 設 計 を 行 う 上 で 重 要 なインプットとなる 職 務 分 掌 を 洗 い 出 すことにある 表 2.8 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 職 務 分 掌 情 報 の 調 査 職 務 分 掌 は 組 織 内 組 織 間 をまたがる 業 務 におい て 誰 が(どこが)どのような 業 務 を 行 っているの か?また 申 請 承 認 などの 権 限 はどうなっている のかを 調 査 し 最 終 的 にロールに 反 映 することを 目 的 とする (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.9 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 1 職 務 分 掌 表 業 務 フロー 業 務 マニュア 手 順 書 社 内 帳 票 関 連 社 内 規 程 ヒアリング 関 連 業 務 システムのア クセス 権 限 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 業 務 における 権 限 もしくは 業 務 における 作 業 内 容 が 記 述 されているため それらの 資 料 がない 場 合 には 現 場 へのヒアリング を 通 して 必 要 な 情 報 を 得 る 32 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.10 留 意 事 項 項 目 内 容 1 調 査 の 粒 度 あまりに 細 かいレベルまで 調 査 した 場 合 に 調 査 の 工 数 負 荷 が 膨 大 になる 可 能 性 がある 2 情 報 の 正 確 性 職 務 分 掌 表 業 務 フロー 手 順 書 等 に 書 かれた 情 報 が 正 確 であるとは 限 らず 実 際 の 現 場 では 違 う 形 権 限 で 行 われているか システム 上 の 権 限 との 齟 齬 がある 場 合 がある (4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.11 収 集 する 情 報 作 業 項 目 作 業 内 容 1 職 務 分 掌 調 査 インプットを 収 集 調 査 し 各 業 務 における 職 務 権 限 情 報 を 抽 出 する また 各 権 限 を 保 有 する 組 織 階 層 などについても 調 査 をしておく (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.12 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 調 査 メモ( 職 務 分 掌 ) 内 容 職 務 分 掌 の 一 覧 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 33

2.3.3. ライン 型 業 務 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はロール 設 計 を 行 う 上 で 重 要 なインプットとなるライン 型 業 務 のロール 情 報 を 洗 い 出 すことにある 表 2.13 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 ライン 型 業 務 の 調 査 ライン 型 業 務 は 組 織 内 組 織 間 をまたがる 業 務 に おいて 各 組 織 担 当 者 の 作 業 内 容 権 限 が 決 まる それらの 作 業 内 容 権 限 がロールのインプットとな るため それを 調 査 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.14 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 1 業 務 フロー 業 務 マニュア 手 順 書 関 連 帳 票 ヒアリング 業 務 システムのアクセ ス 権 限 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 業 務 における 権 限 もしくは 業 務 における 作 業 内 容 が 記 述 されているため それらの 資 料 がない 場 合 には 現 場 へのヒアリング を 通 して 必 要 な 情 報 を 得 る (3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.15 留 意 事 項 項 目 内 容 1 調 査 の 粒 度 あまりに 細 かいレベルまで 調 査 した 場 合 に 調 査 の 工 数 負 荷 が 膨 大 になる 可 能 性 がある 2 情 報 の 正 確 性 業 務 フロー 手 順 書 等 に 書 かれた 情 報 が 正 確 であると は 限 らず 実 際 の 現 場 では 違 う 形 権 限 で 行 われてい るか システム 上 の 権 限 との 齟 齬 がある 場 合 がある 34 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.16 収 集 する 情 報 作 業 項 目 作 業 内 容 1 ライン 型 業 務 調 査 インプットを 収 集 調 査 し 各 業 務 における 職 務 権 限 情 報 を 抽 出 する また 各 権 限 を 保 有 する 組 織 階 層 などについても 調 査 をしておく (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.17 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 調 査 メモ(ライン 型 業 務 ) 内 容 業 務 フロー 権 限 役 割 等 についてのメモ エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 35

2.3.4. プロジェクト 型 業 務 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はロール 設 計 を 行 う 上 で 重 要 なインプットとなるプロ ジェクト 型 業 務 のロール 情 報 を 洗 い 出 すことにある 表 2.18 目 的 目 的 1 プロジェクト 型 業 務 の 調 査 具 体 的 内 容 プロジェクト 型 業 務 は 既 存 の 組 織 の 枠 にとらわれ ずにプロジェクトチームを 結 成 し そのプロジェク トチームにおいて 一 定 期 間 行 われる 業 務 である そ のため 既 存 の 組 織 図 等 には 表 れないことが 多 い それらのプロジェクトにおける 役 割 権 限 をベース としたロールを 抽 出 することを 目 的 とする (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.19 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 1 プロジェクト 体 制 図 ヒアリング 利 用 方 法 / 必 要 性 組 織 内 に 存 在 するプロジェクトのタイプを 洗 いだ し それぞれのタイプごとにプロジェクトの 体 制 プロジェクト 内 の 役 割 等 を 洗 い 出 す (3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.20 留 意 事 項 項 目 内 容 1 調 査 の 粒 度 プロジェクトの 数 が 少 なければ 全 てを 調 べても 構 わないが プロジェクトの 数 が 多 い 場 合 には プロ ジェクトタイプごとに 典 型 的 なプロジェクトについ て 調 査 をする もしくはサンプリングによる 調 査 を するようにしたほうがよい 36 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.21 収 集 する 情 報 作 業 項 目 作 業 内 容 1 プロジェクトタイプ 洗 い 出 し 組 織 内 においてどのようなタイプのプロジェクトの タイプがあるかを 調 査 する 例 ) 毎 年 実 施 する 委 員 会 のようなもの 特 定 顧 客 案 件 対 応 プロジェクト 社 内 向 け/ 社 外 向 け 2 プロジェクト 体 制 確 認 プロジェクトタイプごとに 典 型 的 なプロジェクト についてプロジェクト 体 制 図 の 閲 覧 ヒアリング 等 を 通 じて プロジェクトチーム 内 の 権 限 役 割 につ いて 調 査 整 理 をする (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.22 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 調 査 メモ(プロジェクト 型 業 務 ) 内 容 プロジェクト 型 業 務 における 権 限 役 割 等 につ いてのメモ エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 37

2.3.5. 対 象 システム 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はロール 設 計 を 行 う 上 で 重 要 なインプットとなる 対 象 シ ステムに 現 在 設 定 されている 権 限 情 報 を 洗 い 出 すことにある 表 2.23 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 対 象 システム 調 査 ロール 管 理 の 対 象 システムにおける 現 在 のアクセス 権 限 管 理 情 報 の 内 容 を 洗 い 出 す また 現 状 のロールの 運 用 管 理 がどのように 行 われ ているかを 調 査 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.24 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 1 業 務 システムのアクセ ス 権 限 情 報 2 現 状 のロール 管 理 運 用 についての 資 料 利 用 方 法 / 必 要 性 現 行 のシステムにおけるロールのため 現 状 のロールの 運 用 管 理 状 況 を 確 認 するため (3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.25 留 意 事 項 項 目 内 容 1 不 要 権 限 の 存 在 実 際 のシステムにおいて ロール 自 体 が 不 要 ( 使 用 されていない)な 場 合 ID に 不 必 要 なロールを 付 与 されている 場 合 が 存 在 するため ロールだけではなく 実 際 に 利 用 されているかどうか?に 留 意 すること (4) 具 体 的 な 内 容 38 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.26 収 集 する 情 報 作 業 項 目 1 アクセス 制 御 方 式 ア クセス 権 限 管 理 方 法 の 調 査 ロールの 洗 い 出 し 運 用 管 理 状 況 調 査 作 業 内 容 システムの 実 装 によって アクセス 制 御 方 式 アク セス 権 限 管 理 方 法 が 異 なるため それぞれの 対 象 シ ステムについて 調 査 を 行 う アクセス 制 御 を 行 うための 元 となっている 情 報 とし ては 以 下 のようなものがある グループ/ロール(ID とは 別 の 情 報 ) ID に 紐 づく 属 性 (ID が 保 有 する 情 報 の 一 部 ) ID も 文 字 列 上 に 表 現 されるもの(ID に 組 織 コード が 埋 め 込 まれている 等 ) また 業 務 ロジックから 独 立 したアクセス 制 御 シス テムだけでなく プログラム 中 にロジックとして 組 み 込 まれるアクセス 制 御 もあるため 注 意 する 必 要 がある 各 システムのアクセス 制 御 に 利 用 されている 権 限 情 報 を 抽 出 する 各 システムにおけるロールの 運 用 管 理 状 況 を 調 査 す る 具 体 的 には 下 記 の 項 目 を 調 査 する 現 状 行 われているロール 管 理 業 務 ロールの 運 用 フロー 運 用 管 理 体 制 ロールの 変 更 更 新 のタイミング 頻 度 工 数 認 識 されている 問 題 点 (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.27 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 調 査 メモ( 対 象 シス テム 現 状 ロール) 内 容 対 象 システムごとのアクセス 権 限 情 報 についてのメモ エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 39

2.3.6. 対 象 法 規 制 調 査 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 は 法 規 制 が 対 象 組 織 のロールに 与 える 影 響 を 調 査 するこ とにある 表 2.28 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 対 象 法 規 制 の 調 査 対 象 組 織 が 遵 守 すべき 法 令 基 準 等 を 調 査 し それ らを 遵 守 するにあたって 必 要 な 対 象 組 織 内 の 体 制 等 を 洗 い 出 す (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.29 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 遵 守 対 象 法 令 社 内 の 体 制 に 影 響 をあたえるため (3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.30 留 意 事 項 項 目 1 業 界 ガイドライン 認 証 等 内 容 法 令 だけでなく 対 象 組 織 が 属 する 業 界 の 業 界 内 ガ イドライン ISMS プライバシーマーク QMS など の 認 証 認 定 についても 留 意 すること 40 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 情 報 を 収 集 する 表 2.31 収 集 する 情 報 作 業 項 目 作 業 内 容 1 遵 守 対 象 法 令 の 確 認 遵 守 対 象 となる 法 令 業 界 ガイドライン 等 を 確 認 す る 2 遵 守 対 象 法 令 による 社 内 体 制 への 影 響 の 確 認 対 象 法 令 業 界 ガイドライン 等 において 社 内 体 制 と して 定 義 されているもの 遵 守 する 上 で 必 要 な 体 制 を 洗 いだし 対 象 組 織 における 現 状 との 比 較 を 行 う (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.32 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 調 査 メモ( 法 規 制 コンプライアンス) 内 容 法 規 制 コンプライアンス 遵 守 に 関 連 する 体 制 等 につい てのメモ エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 41

2.3.7. 目 的 目 標 の 明 確 化 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 は 当 該 組 織 においてロール 管 理 を 導 入 するにあたって の 目 的 と 目 指 すべき 目 標 像 を 明 確 化 することである 表 2.33 目 的 目 的 1 現 状 の 課 題 問 題 点 の 把 握 具 体 的 内 容 現 状 調 査 の 結 果 から 現 状 の 課 題 問 題 点 を 整 理 し 明 確 化 する 2 目 的 の 明 確 化 課 題 問 題 点 から ロール 管 理 を 実 装 することに よって 得 られる 最 終 的 な 効 果 を 検 討 し 明 確 化 す る 3 目 標 像 の 明 確 化 目 的 ( 最 終 的 な 効 果 )を 得 るために 必 要 となるロー ル 管 理 の 実 装 におけるポイントとそれをどの 程 度 実 現 するかについて 目 標 像 を 明 確 化 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.34 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 現 状 調 査 メモ( 各 種 ) 課 題 問 題 点 の 明 確 化 のため 42 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.35 留 意 事 項 項 目 内 容 1 目 標 における 実 現 レベ ルの 明 確 化 目 標 としてロール 管 理 実 装 におけるポイントを 検 討 する 際 において そのポイントにおける 実 現 レベル を 出 来 る 限 り 具 体 化 ロール 管 理 を 実 装 することに より どのようなシステム 運 用 管 理 になるか の 観 点 で 具 体 化 すること 2 目 的 と 目 標 の 関 係 目 標 はあくまで 目 的 である 最 終 的 に 得 られる 効 果 を 生 み 出 すために 必 要 であるものとして 因 果 関 係 が 考 えられるものとすること ロール 管 理 システム 自 体 の 導 入 が 目 的 化 しないよう にすること (4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 内 容 を 検 討 する 表 2.36 検 討 内 容 作 業 項 目 作 業 内 容 1 課 題 問 題 点 の 把 握 現 状 調 査 の 結 果 から 現 状 のロール 管 理 の 運 用 にお ける 課 題 問 題 点 を 整 理 し 明 確 化 する 2 目 的 の 明 確 化 問 題 点 から ロール 管 理 を 実 現 することにより 得 るべき 効 果 を 検 討 し ロール 管 理 導 入 の 目 的 を 明 確 化 する 3 目 標 像 の 明 確 化 目 的 を 実 現 するために 必 要 となる ロール 管 理 導 入 における 目 標 像 を 明 確 にする 4 実 現 イメージの 作 成 ロール 管 理 の 導 入 後 のシステム 運 用 管 理 業 務 の 実 現 イメージを 作 成 する エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 43

(5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.37 成 果 物 一 覧 成 果 物 内 容 1 ロール 管 理 導 入 計 画 ロール 管 理 における 目 的 目 標 像 実 現 イメージなどを 計 画 としてまとめた 文 書 44 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4. ロール 設 計 フェーズ このフェーズでは 現 状 調 査 企 画 フェーズの 結 果 に 基 づき ロール 設 計 を 行 う ロールを 設 計 する 手 法 は そのアプローチにより 大 きく 以 下 の 2 つに 分 けられる (1) Top Down 型 モデリング 業 務 の 改 革 に 基 づくシステム 導 入 見 直 しに 伴 い あるべき 論 からロール 定 義 の 具 体 化 を 進 める (2) Bottom Up 型 モデリング 既 に 実 際 に 運 用 を 回 している 業 務 における 実 際 の 権 限 設 定 からロール 定 義 の 具 体 化 を 進 める それぞれの 手 法 を 杓 子 定 規 に 適 用 すると 検 討 した 結 果 のロール 定 義 が 実 際 に 運 用 可 能 な ロール 定 義 になっているかは 見 直 さなければならない 場 合 があり 注 意 が 必 要 である そこで 両 方 を 組 み 合 わせた ハイブリッド 型 モデリング と 呼 ぶ 手 法 を 取 る 場 合 もある なお 以 下 のようなプロジェクト 型 ロールの 設 計 手 法 については 本 節 に 記 載 するどの 方 法 に よっても 適 切 な 設 計 ができない 場 合 もあるので 議 論 の 余 地 がある 組 織 に 期 限 付 きで 割 り 当 て 実 行 する 業 務 に 付 随 するロール 専 門 家 を 集 めたチーム 内 のロール 定 型 業 務 が 無 いプロジェクトに 対 するロール 以 降 では まず ロール 設 計 の 手 法 として Top Down 型 モデリング と Bottom Up 型 モデ リング そして 2 つの 混 合 である ハイブリッド 型 モデリング について 説 明 する その 後 ロールの 種 類 ごとの 設 計 ステップについて 説 明 していく エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 45

2.4.1. Top Down 型 モデリング (1) モデリング 手 法 の 特 徴 ロール 定 義 の 基 になる 組 織 上 の 役 割 や 職 務 ならびにそれらに 関 する 規 程 類 から 本 来 あるべきロール 定 義 を 導 出 する 設 計 手 法 である 具 体 的 には 組 織 情 報 人 事 情 報 権 限 管 理 規 程 職 務 分 掌 規 程 (segregation of duties)などを 基 に 本 来 あるべきロールを 定 義 し そのロールに 本 来 付 与 されるべき アクセス 権 限 の 組 み 合 わせを 対 応 付 ける というアプローチで ロール 定 義 の 具 体 化 を 進 める なお 職 務 分 掌 規 程 には 一 つの 業 務 プロセスにおける 実 行 者 と 承 認 者 の 両 方 の 職 務 権 限 を 同 一 者 が 保 有 することを 禁 止 する 規 定 があるはずである これは 近 年 の SOX 法 へ の 対 応 などにおいては 重 要 な 項 目 であり 組 織 情 報 / 人 事 情 報 のみから 設 計 する 場 合 に は 見 逃 しがちなポイントなので 注 意 されたい Top Down 型 のロール 定 義 の 進 め 方 を 具 体 的 なケースを 想 定 して 説 明 する 一 般 的 な 組 織 で 部 長 / 課 長 / 担 当 者 のような 階 層 構 造 となっている 場 合 は 組 織 にお けるそれぞれの 役 職 に 応 じて 職 務 や 権 限 が 付 与 されるので 組 織 および 役 職 に 応 じた ロール 定 義 が 導 出 できるはずである また 職 務 分 掌 規 程 から 同 一 者 が 保 有 してよい 職 務 権 限 の 範 囲 が 制 限 される 場 合 は それを 踏 まえてロールを 分 割 する 例 えば 職 務 分 掌 規 程 にて 見 積 の 作 成 権 限 と 承 認 権 限 を 同 一 者 に 付 与 してはならないルールが 存 在 す る 場 合 は 見 積 の 作 成 と 承 認 を 別 のロールとして 定 義 し それぞれの 権 限 が 同 一 のロー ルに 対 応 付 けられないようにする 一 方 で 組 織 や 役 職 などに 応 じて 決 まる 本 来 の 職 務 とは 異 なる 職 務 を 担 わざるを 得 な い 事 情 が 存 在 する 場 合 もある 例 えば 組 織 改 編 や 人 事 異 動 の 際 に 以 前 に 担 っていた 職 務 の 適 切 な 引 き 継 ぎ 先 が 無 く 仕 方 なくその 職 務 を 継 続 して 担 っている 場 合 など そ のような 場 合 は 組 織 および 役 職 などから 導 出 したロール 定 義 だけをそのまま 適 用 して も 実 際 に 必 要 となる 権 限 が 付 与 されないことになるので それに 付 加 的 に 本 来 のあ るべき 姿 とは 異 なる 個 別 の 権 限 を 対 応 付 けたりする 必 要 が 生 じる Top Down 型 では 事 実 として 行 われている 例 外 は 考 慮 せずにモデル 化 し その 後 に 現 実 的 に 運 用 可 能 なように 修 正 を 加 えるというアプローチを 取 ることになる 46 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(2) モデリングに 必 要 な 情 報 ロール 定 義 の 基 になる 組 織 上 の 役 割 や 職 務 ならびにそれらに 関 する 規 程 類 からロー ル 設 計 を 行 うので それらに 関 する 既 存 の 定 義 情 報 はあるだけ 収 集 し 参 考 にすること が 必 要 となる 特 に 企 業 内 の 組 織 であれば 以 下 のような 情 報 ソース 属 性 が 必 要 で ある 組 織 人 事 情 報 情 報 ソース: 全 社 ディレクトリ 情 報 人 事 データベース 社 内 電 話 帳 など 例 1) 全 社 ディレクトリ 上 のユーザ 属 性 情 報 所 属 組 織 ( 事 業 部 センター 部 グループ 組 織 コード) 管 理 職 / 専 門 職 (Individual Contributor) 決 裁 権 限 の 有 無 雇 用 形 態 ( 社 員 /コントラクターなど) 職 位 階 級 肩 書 き 役 職 職 務 職 種 ( 営 業 /SE/ 法 務 など) 勤 務 事 業 所 勤 務 場 所 コード 住 所 有 資 格 免 許 情 報 国 籍 市 民 権 座 席 位 置 電 話 番 号 メールアドレス 上 長 Report To 所 属 長 部 下 所 属 プロジェクト タスク チーム 例 2) 組 織 コード 表 例 3) 組 織 構 成 図 例 4) レポーティングライン 図 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 47

情 報 ソース: 業 務 フロー 定 義 書 業 務 についての 情 報 例 1) J-SOX 法 への 適 合 にあたり 整 備 したものなど 情 報 ソース: 規 程 ガイドライン 類 例 1) 法 律 省 令 自 主 規 制 自 社 ガイドラインなど 例 2) 社 内 の 業 務 情 報 の 取 り 扱 い 基 準 権 限 定 義 情 報 例 3) 職 務 分 掌 規 程 一 覧 規 制 ガイドラインで 定 められた 分 掌 規 程 例 4) 業 務 情 報 取 り 扱 い 基 準 権 限 定 義 情 報 決 裁 権 限 情 報 承 認 者 条 件 規 程 情 報 ソース: 業 務 マニュアル 類 例 1) 業 務 フロー 業 務 上 の 役 割 定 義 フロー 上 に 定 義 された 役 割 (3) モデリング 手 法 の 適 性 ロールに 対 応 付 けられるリソースおよび 権 限 の 関 係 が 固 定 的 である 場 合 は すなわち 成 熟 した 組 織 業 務 役 割 であり 変 更 が 少 ない あるいは 基 になる 属 性 が 適 正 に 管 理 できていることを 意 味 する このような 場 合 には Top Down 型 モデリングでロール 定 義 を 導 出 する 方 法 が 適 切 である 48 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4.2. Bottom Up 型 モデリング (1) モデリング 手 法 の 特 徴 実 際 に 担 当 している 業 務 や 実 際 に 付 与 されているアクセス 権 限 を 基 に 現 実 に 即 し たロール 定 義 を 抽 出 する 設 計 手 法 である 具 体 的 には 実 際 に 稼 動 しているアプリケー ション 上 で 実 際 に 設 定 されているアクセス 権 限 から 同 一 の 権 限 の 組 み 合 わせを 付 与 さ れているユーザのグループを 見 出 し ユーザとアクセス 権 限 の 組 み 合 わせを 対 応 付 ける ためのロールを 定 義 する というアプローチで ロール 定 義 の 具 体 化 を 進 める Bottom Up 型 のロール 定 義 の 進 め 方 を 具 体 的 なケースを 想 定 して 説 明 する アプリケーションのアクセス 権 限 設 定 情 報 の 記 録 が 資 料 として 存 在 する 場 合 は それ をマスタ 情 報 として 同 一 権 限 および 類 似 権 限 を 付 与 されているユーザのグループの 抽 出 を 行 うことができる ただし マスタ 情 報 として 扱 うことができるのは 当 該 情 報 が 適 切 にメンテナンスされ かつ 最 新 の 状 態 である 場 合 に 限 られる 適 切 に 維 持 されてい ない 場 合 には 資 料 上 の 情 報 からロール 定 義 を 抽 出 するだけでは 足 りず 実 際 のアプリ ケーション 上 のアクセス 権 限 設 定 を 調 査 する 必 要 が 生 じる とりわけ アクセス 制 御 処 理 がロジックとしてコーディングされている 場 合 には 設 定 だけではなくアプリケー ションロジックも 調 査 する 必 要 が 生 じることがある 一 方 記 録 が 資 料 として 存 在 しない 場 合 は いわゆるリバースエンジニアリング 的 な 調 査 が 必 要 になることもある また アプリケーションの 機 能 として 実 装 されておらず オフラインで 運 用 として 実 施 している 業 務 までを 含 めたロール 定 義 を 行 う 場 合 は アプリケーションの 設 計 や 設 定 に 加 えて オフラインの 業 務 運 用 プロセスも 調 査 する 必 要 が 生 じる 例 えば 帳 票 入 力 業 務 において 入 力 実 施 時 に 出 力 された 帳 票 類 を 第 三 者 がチェックすることで 相 互 牽 制 を 運 用 として 実 施 している 場 合 など Bottom Up 型 では 多 くの 場 合 完 全 に 同 一 の 権 限 を 付 与 されているユーザのグルー プを 抽 出 することは 難 しいので ほぼ 同 一 であるグループとして 纏 め それに 対 応 する ロールを 定 義 し ユーザごとの 差 分 の 権 限 をどう 対 応 付 けるかを 後 から 決 めるというア プローチを 取 ることになる いずれの 場 合 も 得 られる 結 果 は 実 際 の 権 限 設 定 をロール 定 義 として 表 現 し 直 す だけであり 多 くの 場 合 膨 大 な 数 のロール 定 義 に 陥 ることが 懸 念 される また リ バースエンジニアリングによる 場 合 は それをもってロール 定 義 として 良 いかどうかは 再 考 が 必 要 であろう エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 49

(2) モデリングに 必 要 な 情 報 実 際 の 業 務 における 権 限 設 定 からロール 定 義 を 抽 出 する 方 法 であるので 業 務 お よびリソース 類 への 権 限 設 定 の 情 報 を 収 集 することが 必 要 となる 具 体 的 には 以 下 のような 情 報 ソース 属 性 が 必 要 である リソース 類 に 関 する 情 報 情 報 ソース:システム 情 報 例 1)ファイルサーバ 上 の ACL ユーザ グループとフォルダへのアクセス 権 限 (R/W/D/U) 例 2) 情 報 共 有 ツールなどのアクセス 権 限 リスト グループウェアのアクセス 権 限 グループウェア 内 の 権 限 (ロールの 定 義 として 存 在 している 可 能 性 あり) 例 3)ワークフローシステム 承 認 権 限 回 想 情 報 承 認 経 路 情 報 決 裁 権 限 情 報 例 5) 文 書 管 理 システム ACL など 例 6) 既 存 ID 管 理 システム(LDAP Active Directory など) 実 ディレクトリデータ 例 6) 既 存 業 務 アプリケーション 実 ID 設 定 ロジック 内 に 記 載 される 権 限 割 付 (3) モデリング 手 法 の 適 性 ロールに 対 応 付 けられるリソースおよび 権 限 の 関 係 が 流 動 的 である 場 合 は すなわち 成 熟 していない 組 織 業 務 役 割 であり 変 更 が 多 い あるいは 基 になる 属 性 が 適 正 に 管 理 されていない/できないことを 意 味 する このような 場 合 には Bottom Up 型 モデ リングでロール 定 義 を 抽 出 する 方 法 が 適 切 である 50 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4.3. ハイブリッド 型 モデリング (1) モデリング 手 法 の 特 徴 Top Down 型 モデリングと Bottom Up 型 モデリングの 組 み 合 わせによる 設 計 手 法 を ハイブリッド 型 モデリングと 呼 ぶ Top Down 型 と Bottom Up 型 のどちらを 先 に 実 行 するかは 以 下 の 3 つの 点 に よる 対 象 となる 業 務 の 種 別 入 手 可 能 な 資 料 ロール 定 義 の 目 的 例 えば 業 務 改 善 が 目 的 で ロール 定 義 を 見 直 すのであれば 組 織 と 業 務 の 現 状 (As-Is) を 調 査 し(すなわち Bottom Up 型 モデリングに 準 じた 調 査 を 行 い) その 一 方 で 業 務 改 善 の 観 点 から あるべき 論 (To-Be) を 検 討 し(すなわち Top Down 型 モデ リングの 基 になる 検 討 を 行 い) それらの 比 較 からロール 定 義 を 見 直 すことが 効 果 的 だ ろう 一 方 十 分 に 成 熟 した 組 織 や 業 務 であれば Bottom Up 型 モデリングと Top Down 型 モデリングは 高 いレベルで 一 致 することが 期 待 される このような 場 合 に は 大 枠 の 導 出 は Top Down 型 モデリングを 用 い 例 外 の 抽 出 のために Bottom Up 型 モデリングを 用 いることが 効 率 的 だろう いずれのモデリング 手 法 でも 例 外 にこだわると 膨 大 なロール 定 義 に 陥 りがちなので 例 外 は 設 計 の 対 象 から 外 し 例 外 処 理 を 付 加 するプロセスを 別 途 確 立 する( 例 外 として の 証 跡 を 残 すなど)といった 工 夫 が 必 要 である エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 51

2.4.4. 組 織 型 ロール 設 計 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はビジネスロールの 中 でも 組 織 型 ロールを 設 計 すること である 表 2.38 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 組 織 型 ロールの 設 計 ビジネスロールの 中 の 組 織 型 ロールを 設 計 する 組 織 ロールは 対 象 組 織 の 組 織 体 制 をベースにした ロールであり 現 状 調 査 の 組 織 調 査 の 結 果 を 主 なイ ンプットとして 作 成 する 具 体 的 には 拠 点 部 署 役 職 職 位 雇 用 形 態 など がベースとなるロールである (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.39 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 調 査 メモ( 組 織 ) 拠 点 部 署 役 職 職 位 雇 用 形 態 についての 組 織 ロールを 洗 い 出 すのに 使 用 する 2 調 査 メモ( 職 務 分 掌 ) 場 合 によるが 職 務 権 限 のベースが 組 織 役 職 職 位 雇 用 形 態 による 場 合 があるため その 場 合 に 組 織 ロールとして 切 り 出 す 場 合 がある 3 調 査 メモ( 対 象 システ ム 現 状 ロール) 設 計 したロールと 現 状 システムにおける 組 織 ベー スのロールについてすり 合 わせる 4 ロール 管 理 計 画 ロール 管 理 導 入 の 目 標 実 現 イメージとの 摺 合 せを 行 う 52 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.40 留 意 事 項 項 目 内 容 1 ロールの 粒 度 あくまで ロール= 権 限 のベース であるため 業 務 遂 行 上 の 権 限 が 異 なる 組 織 情 報 をロールとして 定 義 するようにする 最 低 限 個 人 以 外 の 権 限 の 最 小 単 位 を 表 現 できるも のを 設 計 する 必 要 がある 2 ロール 同 士 の 関 係 部 署 の 場 合 部 課 係 のように 上 下 関 係 があるも のなどロール 間 に 依 存 関 係 がある 場 合 があり その 場 合 には その 関 係 についても 設 計 情 報 として 記 述 する 3 現 状 システムの 組 織 型 ロールとの 調 整 現 状 システムに 設 定 されているアクセス 権 限 の 中 で 組 織 としての 権 限 が 設 定 されているものを 網 羅 する かどうかを 決 定 する 必 要 がある 4 ロールの 運 用 ロールの 設 計 情 報 として ロールの 作 成 タイミン グ 作 成 者 所 有 者 所 属 ID 変 更 の 申 請 タイミン グ 申 請 者 承 認 者 等 を 決 定 しておく 必 要 がある 5 例 外 メンバの 取 り 扱 い ロールのメンバについては 可 能 であれば 例 外 のメ ンバと 正 規 メンバを 区 別 可 能 なように 設 計 したほう が 運 用 管 理 が 行 いやすい 例 ) ロール A_ 正 規 と ロール A_ 例 外 で 分 ける など 6 ロール 運 用 上 の 役 割 定 義 ロールの 運 用 を 行 うにあたって 必 要 となる 役 割 とし ては 下 記 のようなものがある ロールオーナ ロール 監 査 担 当 ロールオペレータ これらの 役 割 は 内 部 統 制 の 権 限 分 離 の 観 点 から 兼 務 が 出 来 ないようにすることが 望 ましい 7 メンバの 決 定 方 法 ロールメンバの 決 定 はロールオーナが 決 定 する 場 合 が 多 いが 組 織 型 ロールについては 人 事 データによ り 決 定 されることが 多 い エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 53

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 内 容 を 設 計 する 表 2.41 設 計 内 容 作 業 項 目 作 業 内 容 1 ロール 定 義 組 織 職 務 分 掌 の 調 査 メモより 組 織 型 ロールを 設 計 する(トップダウン) また ロールメンバの 条 件 例 外 対 応 についても 定 義 を 行 う 2 現 状 システムアクセス 権 限 すりあわせ トップダウンで 設 計 したロールと 現 状 システムアク セス 権 限 を 摺 合 せ ロールの 粒 度 を 確 認 する 3 ロール 間 関 係 定 義 設 計 したロール 間 の 関 係 ( 上 下 関 係 包 含 関 係 等 ) を 整 理 する 例 ) 部 課 の 関 係 ある 職 位 以 上 などの 関 係 等 4 ロール 運 用 情 報 定 義 ロール 運 用 に 関 する 情 報 を 定 義 する (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.42 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 ロール 設 計 書 ( 組 織 型 ロール) 内 容 組 織 型 ロールの 一 覧 および 説 明 54 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4.5. ライン 型 ロール 設 計 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はビジネスロールの 中 でもライン 型 ロールを 設 計 するこ とである 表 2.43 目 的 目 的 具 体 的 内 容 1 ライン 型 ロールの 設 計 ビジネスロールの 中 のライン 型 ロールを 設 計 する ライン 型 ロールは 組 織 の 業 務 プロセスに 関 係 する ロールであり 主 にシステムの 機 能 ( 入 力 作 成 実 行 承 認 ) 等 に 関 する 機 能 に 関 するロールを 設 計 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.44 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 調 査 メモ(ライン 型 業 ライン 型 業 務 ロールを 洗 い 出 すのに 使 用 する 務 ) 2 調 査 メモ( 職 務 分 掌 ) 場 合 によるが 職 務 分 掌 においてライン 型 業 務 の 職 務 分 掌 を 定 義 している 場 合 もあるため 3 調 査 メモ( 対 象 システ ム 現 状 ロール) 設 計 したロールと 現 状 システムにおける ライン 型 業 務 のロールについてすり 合 わせる 4 ロール 管 理 計 画 ロール 管 理 導 入 の 目 標 実 現 イメージとの 摺 合 せを 行 う エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 55

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.45 留 意 事 項 項 目 内 容 1 ロールの 粒 度 あくまで ロール= 権 限 のベース であるため 業 務 遂 行 上 の 権 限 が 異 なる 業 務 権 限 をロールとして 定 義 する ようにする 最 低 限 個 人 以 外 の 権 限 の 最 小 単 位 を 表 現 できるものを 設 計 する 必 要 がある 2 ロール 同 士 の 関 係 ライン 型 業 務 においては 一 つの 業 務 の 流 れの 中 で 複 数 のロールが 設 定 される( 例 : 業 務 の 入 力 権 限 と 承 認 権 限 等 ) また ロール 間 における 職 務 分 離 の 関 係 もありうる( 申 請 権 限 と 承 認 権 限 の 分 離 など) このようにライン 型 ロールにおいては ライン 型 業 務 ごとにロールが 複 数 設 定 されることが 多 いため それ らを 意 識 して 設 計 する 必 要 がある 3 現 状 システムのライン 型 ロールとの 調 整 現 状 システムに 設 定 されているアクセス 権 限 の 中 でラ イン 型 業 務 の 権 限 が 設 定 されているかを 確 認 する 必 要 がある 4 ロールの 運 用 ロールの 設 計 情 報 として ロールの 作 成 タイミング 作 成 者 所 有 者 所 属 ID 変 更 の 申 請 タイミング 申 請 者 承 認 者 等 を 決 定 しておく 必 要 がある 5 例 外 メンバの 取 り 扱 い ロールのメンバについては 可 能 であれば 例 外 のメン バと 正 規 メンバを 区 別 可 能 なように 設 計 したほうが 運 用 管 理 が 行 いやすい 例 ) ロール A_ 正 規 と ロール A_ 例 外 で 分 ける など 6 ロール 運 用 上 の 役 割 定 義 ロールの 運 用 を 行 うにあたって 必 要 となる 役 割 として は 下 記 のようなものがある ロールオーナ ロール 監 査 担 当 ロールオペレータ これらの 役 割 は 内 部 統 制 の 権 限 分 離 の 観 点 から 兼 務 が 出 来 ないようにすることが 望 ましい 7 メンバの 決 定 方 法 ロールメンバの 決 定 は 業 務 フロー 等 により 決 定 される 場 合 ロールオーナにより 決 定 されることが 多 い 56 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 内 容 を 設 計 する 表 2.46 設 計 内 容 作 業 項 目 作 業 内 容 1 ロール 定 義 ライン 型 業 務 の 調 査 メモより ライン 型 ロールを 設 計 する(トップダウン) また ロールメンバの 条 件 例 外 対 応 についても 定 義 を 行 う 2 現 状 システムアクセス 権 限 すりあわせ トップダウンで 設 計 したロールと 現 状 システムアク セス 権 限 を 摺 合 せ ロールの 粒 度 を 確 認 する 3 ロール 間 関 係 定 義 設 計 したロール 間 の 関 係 を 整 理 する 例 :ロール 間 における 職 務 分 離 等 4 ロール 運 用 情 報 定 義 ロール 運 用 に 関 する 情 報 を 定 義 する (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.47 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 ロール 設 計 書 (ライ ン 型 ロール) 内 容 ライン 型 ロールの 一 覧 および 説 明 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 57

2.4.6. プロジェクト 型 ロール 設 計 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はビジネスロールの 中 でもプロジェクト 型 ロールを 設 計 することである 表 2.48 目 的 目 的 1 プロジェクト 型 ロール の 設 計 具 体 的 内 容 ビジネスロールの 中 のプロジェクト 型 ロールを 設 計 する プロジェクト 型 ロールは 対 象 組 織 におけるプロ ジェクト( 期 間 限 定 の 一 時 的 な 組 織 チーム)を ベースにしたロールであり 現 状 調 査 の 組 織 調 査 お よびプロジェクト 型 業 務 調 査 の 結 果 を 主 なインプッ トとして 作 成 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.49 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 調 査 メモ( 組 織 ) 組 織 の 中 にプロジェクトとして 扱 うべき 組 織 がある 場 合 がある 2 調 査 メモ(プロジェク プロジェクト 型 業 務 の 内 容 ト 型 業 務 ) 3 調 査 メモ( 対 象 システ ム 現 状 ロール) 設 計 したロールと 現 状 システムにおける プロジェ クト 型 業 務 ベースのロールについてすり 合 わせる 4 ロール 管 理 計 画 ロール 管 理 導 入 の 目 標 実 現 イメージとの 摺 合 せを 行 う 58 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

(3) 留 意 事 項 本 項 目 の 留 意 事 項 は 以 下 の 通 りである 表 2.50 留 意 事 項 項 目 内 容 1 ロールの 粒 度 あくまで ロール= 権 限 のベース であるため 業 務 遂 行 上 の 権 限 が 異 なるプロジェクト 型 業 務 情 報 を ロールとして 定 義 するようにする 最 低 限 個 人 以 外 の 権 限 の 最 小 単 位 を 表 現 できるも のを 設 計 する 必 要 がある 2 ロール 同 士 の 関 係 プロジェクト 型 ロールはプロジェクトに 一 つという ことではなく プロジェクト 内 においても 複 数 の 業 務 があることがあるため そのあたりを 留 意 する 3 現 状 システムのプロ ジェクト 型 ロールとの 調 整 現 状 システムに 設 定 されているアクセス 権 限 の 中 で プロジェクト 型 業 務 としての 権 限 が 設 定 されている ものを 網 羅 するかどうかを 決 定 する 必 要 がある 4 ロールの 運 用 ロールの 設 計 情 報 として ロールの 作 成 タイミン グ 作 成 者 所 有 者 所 属 ID 変 更 の 申 請 タイミン グ 申 請 者 承 認 者 等 を 決 定 しておく 必 要 がある 5 例 外 メンバの 取 り 扱 い ロールのメンバについては 可 能 であれば 例 外 のメ ンバと 正 規 メンバを 区 別 可 能 なように 設 計 したほう が 運 用 管 理 が 行 いやすい 例 ) ロール A_ 正 規 と ロール A_ 例 外 で 分 ける など 6 ロール 運 用 上 の 役 割 定 義 ロールの 運 用 を 行 うにあたって 必 要 となる 役 割 とし ては 下 記 のようなものがある ロールオーナ ロール 監 査 担 当 ロールオペレータ これらの 役 割 は 内 部 統 制 の 権 限 分 離 の 観 点 から 兼 務 が 出 来 ないようにすることが 望 ましい 7 メンバの 決 定 方 法 ロールメンバの 決 定 はロールオーナが 決 定 する 場 合 が 多 い エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 59

(4) 具 体 的 な 内 容 下 記 のような 内 容 を 設 計 する 表 2.51 設 計 内 容 作 業 項 目 作 業 内 容 1 ロール 定 義 組 織 プロジェクト 型 業 務 の 調 査 メモより プロ ジェクト 型 ロールを 設 計 する(トップダウン) また ロールメンバの 条 件 例 外 対 応 についても 定 義 を 行 う 2 現 状 システムアクセス 権 限 すりあわせ トップダウンで 設 計 したロールと 現 状 システムアク セス 権 限 を 摺 合 せ ロールの 粒 度 を 確 認 する 3 ロール 間 関 係 定 義 設 計 したロール 間 の 関 係 ( 上 下 関 係 包 含 関 係 等 ) を 整 理 する 例 )ロール 間 の 関 係 等 4 ロール 運 用 情 報 定 義 ロール 運 用 に 関 する 情 報 を 定 義 する (5) 成 果 物 本 段 階 の 成 果 物 は 以 下 の 通 りである 表 2.52 成 果 物 一 覧 成 果 物 1 ロール 設 計 書 (プロ ジェクト 型 ロール) 内 容 プロジェクト 型 ロールの 一 覧 および 説 明 60 エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association

2.4.7. システムアクセス 権 限 設 計 (1) 目 的 本 タスクの 目 的 はシステムアクセス 権 限 を 設 計 することである 表 2.53 目 的 目 的 1 システムアクセス 権 限 設 計 具 体 的 内 容 実 際 のシステムにおけるアクセス 権 限 を 設 計 する (2) 前 提 条 件 本 項 目 の 前 提 となるインプット 情 報 は 下 記 の 通 りである 表 2.54 前 提 となるインプット 情 報 インプット 情 報 利 用 方 法 / 必 要 性 1 調 査 メモ( 各 種 ) 各 種 の 調 査 メモをベースにシステムのアクセス 権 限 情 報 のベースとする 2 調 査 メモ( 対 象 システ ム 現 状 ロール) 現 状 システムに 設 定 されているアクセス 権 限 を 確 認 する 4 ロール 管 理 計 画 ロール 管 理 導 入 の 目 標 実 現 イメージとの 摺 合 せを 行 う エンタープライズロール 管 理 解 説 書 2014 Japan Network Security Association 61