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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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別紙3

Transcription:

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目 次 まえがき 1. 総 論 1 1.1 適 用 範 囲 1 1.2 環 境 のクラス 分 けと 機 器 の 耐 環 境 性 のクラス 分 け 4 1.3 機 器 と 環 境 の 適 合 6 1.4 環 境 と 信 頼 性 8 1.5 環 境 と 省 エネルギー 対 策 8 1.6 本 基 準 の 適 用 8 2. 温 度 湿 度 9 2.1 温 度, 湿 度 による 影 響 9 2.2 クラス 分 け 10 2.3 輸 送, 保 管 の 期 間 12 2.4 記 録 媒 体 13 2.5 温 度, 湿 度 の 管 理 13 2.6 空 調 設 備 導 入 時 の 留 意 点 14 3. 供 給 電 源 16 3.1 供 給 電 源 のクラス 分 け 16 3.2 供 給 電 源 の 出 力 容 量 の 選 定 17 3.3 供 給 電 源 の 安 定 化 18 3.4 供 給 電 源 および 給 電 方 法 の 留 意 事 項 20 3.5 その 他 24 4. 接 地 25 4.1 接 地 のクラス 分 け 25 4.2 接 地 の 考 え 方 27 4.3 ラインフィルタ 使 用 上 の 注 意 29 4.4 分 散 システム, 遠 隔 設 置 機 器 間 等 の 接 地 29 4.5 電 源 線, 筐 体, 信 号 線 の 接 地 方 法 30 5.ノイズ 32 5.1 静 電 気 33 i

5.2 電 磁 界 36 5.3 サージ( 雷 サージ) 41 5.4 ACラインノイズ( 誘 導 性 負 荷 ) 44 5.5 フィールドノイズ 測 定 機 器 の 紹 介 46 6. 振 動 衝 撃 48 6.1 振 動 衝 撃 による 影 響 50 6.2 加 速 度 振 幅 と 変 位 振 幅 の 関 係 52 6.3 振 動 衝 撃 の 分 類 とクラス 分 け 53 6.4 振 動 衝 撃 対 策 60 6.5 測 定 機 器 62 7. 塵 埃 64 7.1 塵 埃 の 問 題 点 64 7.2 塵 埃 の 条 件 65 7.3 塵 埃 対 策 66 8. 腐 食 性 ガス 69 8.1 腐 食 性 ガスによる 影 響 69 8.2 腐 食 性 ガスの 種 類 69 8.3 大 気 腐 食 に 関 与 する 他 の 因 子 72 8.4 腐 食 性 ガス 環 境 のクラス 分 け 73 8.5 大 気 腐 食 因 子 の 測 定 75 8.6 情 報 処 理 制 御 機 器 システムの 腐 食 性 ガス 対 策 77 8.7 大 気 汚 染 状 況 80 9. 安 全 対 策 83 9.1 情 報 処 理 制 御 機 器 の 安 全 対 策 83 9.2 防 火 対 策 87 9.3 防 水 対 策 94 9.4 セキュリティ 対 策 95 9.5 入 退 室 管 理 97 9.6 鼠 害, 虫 対 策 99 10. 人 間 工 学 的 観 点 での 環 境 対 策 100 ii

10.1 騒 音 100 10.2 照 明 対 策 104 10.3 温 湿 度 環 境 106 10.4 VDT(Visual Display Terminal ) 作 業 環 境 106 11. 地 震 対 策 109 11.1 地 震 対 策 の 目 的 109 11.2 設 備 の 地 震 対 策 109 11.3 機 器 室 の 地 震 対 策 112 11.4 機 器 の 地 震 対 策 114 11.5 長 周 期 地 震 動 対 策 116 参 考 資 料 -1 機 器 のノイズ 耐 力 試 験 方 法 の 紹 介 118 1. 静 電 気 118 2. 放 射 無 線 周 波 電 磁 界 ( 電 界 ) 121 3. 無 線 周 波 電 磁 界 によって 誘 導 された 伝 導 妨 害 ( 連 続 波 伝 導 ノイズ) 124 4. 磁 界 ( 交 流 磁 界 ) 127 5.サージ( 雷 サージ) 128 6. 電 気 的 ファストトランジェント/バースト 波 ノイズ(EFT/B) 131 参 考 資 料 -2 塵 埃 測 定 方 法 および 集 塵 装 置 134 1. 浮 遊 塵 埃 の 測 定 方 法 の 分 類 134 2. 試 験 用 ダスト 規 格 134 参 考 資 料 -3 震 度 階 と 加 速 度 の 関 係 についての 考 察 ( 試 算 ) 143 1.1949 年 当 時 の 考 え 方 (1949 年 気 象 庁 震 度 階 級 と 加 速 度 の 関 係 ) 143 2.1996 年 気 象 庁 震 度 階 級 と 加 速 度 の 関 係 144 3. 考 察 150 iii

まえがき 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 環 境 基 準 JEIDA-63-2000は 平 成 12 年 7 月 に JEIDA-29 工 業 用 計 算 機 設 置 環 境 基 準 から 上 記 のように 名 称 を 変 更 して 以 来, 約 6 年 が 経 過 した その 間 の 技 術 変 化 進 歩 は 著 しく, 平 成 12 年 の 改 定 時 に 対 象 でない 機 器, 設 置 環 境 の 変 化 国 際 規 格 の 設 定 等 があった そこで 平 成 18 年 度 ( 社 ) 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 では 情 報 システム 部 会 に 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 環 境 基 準 改 定 ワーキンググループを 設 け, 見 直 し 改 定 を 行 ってきた A. 改 定 の 主 旨 昭 和 54 年 2 月 に 制 定, 発 行 された 工 業 用 計 算 機 設 置 環 境 基 準 JEIDA-29は, 昭 和 57 年 2 月 に 第 一 回 の 改 定 版 を, 平 成 2 年 5 月 に 第 二 回 の 改 定 版 を 行 い, 生 産 システム 委 員 会 工 業 用 計 算 機 設 置 環 境 WG( 委 員 長 東 京 農 工 大 仁 田 周 一 氏 )のもとに 平 成 12 年 7 月 に 名 称 を JEIDA 63 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 環 境 基 準 に 変 更 した 第 三 回 の 改 定 版 を 発 行 し 現 在 に 至 っている その 間, 本 基 準 はユーザ,メーカの 利 用 度 が 高 く, 当 協 会 に 対 する 問 合 せ, 意 見 が 寄 せられることが 多 い 状 態 で 今 日 に 至 っている ここ6 年 間 の 技 術 の 進 歩 は 急 速 で, 新 しい 原 理 に 基 づく 機 器 が 開 発 さ れ 利 用 されていること,マルチメディアに 代 表 される 新 しいシステム 環 境 が 創 出 されていること,およ び 情 報 機 器 に 対 する 国 際 / 国 内 規 格 が 多 く 制 定 されていること 等 々, 周 囲 状 況 が 変 化 していることに より, 現 在 および 将 来 のシステムに 整 合 した 本 基 準 改 定 への 要 求 がここ1~2 年 の 間 に 強 くなってき た そこで 本 ワーキンググループでは 上 部 組 織 である 情 報 システム 部 会 に 所 属 する 他 の 委 員 会 をはじめ 関 係 団 体 の 調 査 研 究 結 果 を 参 考 とし,また,その 協 力 を 得 ることによって 現 状 の 把 握 と 将 来 への 展 望 を 行 った さらに 本 WGとしては,ユーザ,メーカの 要 望 事 項 の 収 集, 関 連 する 国 際 / 国 内 規 格 の 調 査, 新 規 技 術 の 実 用 化 状 態 の 調 査 等 を 行 い,これらをもとに, 名 称 を 新 たに 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 環 境 基 準 JEIDA-63の 改 定 版 としてJEITA IT-1004を 発 行 することとした 発 行 にあたり,ご 協 力 を 賜 った 関 係 団 体 関 係 委 員 会 および 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 環 境 基 準 ワーキンググループの 現 委 員, 旧 委 員 の 方 々に 深 甚 な 謝 意 を 表 する B. 改 定 概 要 今 回 のJEIDA-63の 改 定 にあたっては, 平 成 12 年 7 月 の 改 定 後 6 年 を 経 過 し, 実 情 と 合 っ ていない 部 分 あるいは 国 際 / 国 内 規 格 と 合 わなくなっている 部 分 も 多 いとの 客 観 的 な 判 断 により,そ の 全 容 について 見 直 しを 実 施 した 以 下, 見 直 しの 概 要 について 記 す iv

(1) 新 た 追 加 した 規 格 国 際 規 格 との 整 合 性 のために, 次 の 項 目 を 追 加 した 1ノイズ 静 電 気 の 接 触 放 電 に 気 中 放 電 を 追 加 ファーストトランジェント/バースト 波 /ノイズを 電 源 ポートノイズ に 信 号 ポー トノイズ のクラス 分 けを 追 加 2その 他 表 記 の 変 更 CRT CRTディスプレイ 液 晶 表 示 器 液 晶 ディスプレイ(LCD) プラズマ プラズマディスプレイ(PDP) UPS 無 停 電 装 置 USP 無 停 電 電 源 装 置 等 JISの 表 記 に 合 わせる 変 更 (2) 説 明 及 びコメントの 追 加 総 論 : 環 境 と 省 エネルギーの 項 を 追 加 温 度 湿 度 : 記 憶 媒 体 の 保 管 条 件 変 更 電 源 :UPSの 負 荷 との 整 合 追 加 無 線 機 器 の 使 用 条 件 変 更 短 時 間 振 動 の 継 続 時 間 変 更 (5 秒 間 10 秒 間 ) 塵 埃 のClass Sの 値 変 更, 塵 埃 に ウイスカ の 注 意 追 加, 大 気 汚 染 (SO 2,NO 2 ) 状 況 更 新 システムダウン 要 因 の 更 新 セキュリティ 対 策 に ウイルス 等 対 策 と ウイルス 等 の 届 出 件 数 被 害 件 数 の 最 新 デ ータの 追 加 バックグランド 騒 音 レベルの 推 奨 値 追 加 免 要 台 の 代 表 的 な 方 式 の 比 較 表 の 追 加 長 周 期 地 振 動 とその 対 策 追 加 参 考 資 料 -1:ノイズ 試 験 方 法 の 更 新 参 考 資 料 -3: 震 度 階 級 と 加 速 度 値 の 比 較 の 更 新 追 加 (3) 引 用 文 献 の 削 除 更 新 v

はじめに 1. 総 論 1.1 適 用 範 囲 本 基 準 に 規 定 する 範 囲 は, 屋 内 に 設 置 される 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 基 準 である また 環 境 条 件 項 目 としては, 電 気 的 条 件 をも 含 めた 広 義 の 環 境 の 要 素 を 取 り 上 げ, 表 1.1にあげる 項 目 を 対 象 とする また, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 としては, 表 1.2にあげる 機 器 をその 範 囲 とする 表 1.1 設 定 環 境 基 準 の 定 義 温 度 湿 度 供 給 電 源 ノ イ ズ Class A Class B Class S(S1) Class S2 Class S3(S4) 温 度 15~30 5~40 0~50-10~60-25~70 湿 度 40~70%RH 20~80%RH 10~90%RH 5~95%RH 5~100%RH 結 露 含 む 温 度 変 化 率 ±5 /hr ±10 /hr ±15 /hr - - 電 圧 ±5% ±10% +15% -20% - - 周 波 数 ±0.5Hz ±1Hz ±3Hz - - 波 形 ひずみ 率 5% 以 下 10% 以 下 20% 以 下 - - 波 高 値 低 下 率 2% 以 下 5% 以 下 10% 以 下 - - 瞬 時 停 電 3mS 以 下 10mS 以 下 または, 1/2サイクル 以 下 200ms 以 下 - - 接 地 専 用 A 種 または 共 用 D 種 専 用 D 種 専 用 C 種 ( 電 力 機 器 は 除 く) - - 静 電 気 接 触 放 電 2Kv 4KV 6kV 8kV オープン*4 気 中 放 電 2Kv 4KV 8kV 15kV オープン*4 電 界 1V/m 3V/m 10V/m ( 特 殊 ) - 連 続 波 伝 導 ノイズ 1V 3V 10V ( 特 殊 ) - 交 流 1A/m 3A/m 10A/m 30A/m 100A/m 磁 界 規 定 なし 直 流 8A/m 400A/m 規 定 なし 規 定 なし (S4:4000A/m 以 下 ) 雷 サージ 0.5Kv 1.0kV 2.0kV 4.0kV 特 殊 ファストトランシ ェント/ *1 0.5kV 1.0kV 2.0kV 4.0kV 特 殊 ハ ースト 波 ノイズ *2 0.25kV 0.5kV 1.0kV 2.0kV 特 殊 振 動 連 続 振 動 *A 0.125mm 以 下 0.25mm 以 下 0.625mm 以 下 - - *B 1.0m/S 2 以 下 2.0m/S 2 以 下 4.9m/S 2 以 下 短 時 間 *C 1.0mm 以 下 2.5mm 以 下 5.0mm 以 下 - - 振 動 *D 2.0m/S 2 以 下 4.9m/S 2 以 下 9.8m/S 2 以 下 輸 送 振 動 鉛 直 4.9m/S 2 以 下 鉛 直 9.8m/S 2 以 下 鉛 直 19.6m/S 2 以 下 水 平 2.9m/S 2 以 下 水 平 4.9m/S 2 以 下 水 平 9.8m/S 2 以 下 - - 輸 送 衝 撃 鉛 直 49m/S 2 以 下 鉛 直 98.1m/S 2 以 下 鉛 直 196.1m/S 2 以 下 水 平 29.4m/S 2 以 下 水 平 49.0m/S 2 以 下 水 平 98.1m/S 2 以 下 - - 塵 埃 0.1mg/m 3 以 下 0.3mg/m 3 以 下 8mg/m 3 以 下 - - 腐 食 性 ガス 温 度, 湿 度 が 低 く ガスが 検 知 されない ( 評 価 点 9) 湿 度 が 比 較 的 低 く ガスが 少 ない ( 評 価 点 25) 湿 度 がやや 高 く ガスが 少 ない ( 評 価 点 36) 温 度, 湿 度 が 高 く ガスが 若 干 ある ( 評 価 点 50) 温 度, 湿 度 が 高 く ガスが 多 い (51 評 価 点 ) 代 表 的 な 数 値 だけを 記 載 したので, 正 確 な 定 義 は 本 文 を 参 照 のこと *1 電 源 ポートへのノイズ *2 信 号 ポートへのノイズ *3 かっこ 内 は 加 速 度 から 想 定 した 気 象 庁 震 度 階 ( 参 考 値 )である *4 P40 注 1) 参 照 *A 1~14Hz *B 14~100Hz *C 1~7Hz *D 7~100Hz -1-1

表 1.2 機 器 の 耐 環 境 性 例 < 本 体 (CPUを 含 む 電 子 回 路 )> 装 置 名, 機 器 名 温 度 湿 度 温 度 変 化 率 ひずみ 電 圧 周 波 数 率 現 状 の 一 般 基 準 を 示 す データは 動 作 時 のクラス 分 けの 例 である,( ) 内 は 休 止 時 のデータである 輸 送, 保 管 条 件 はのぞく 供 給 電 源 ノイズ 振 動 波 高 値 低 下 率 瞬 時 停 電 接 地 静 電 気 電 界 連 続 波 伝 導 イズ 磁 界 交 流 直 流 雷 サー ジ ファスト トランシ ェ ント 連 続 短 時 間 汎 用 コンピュータ A(S1) B(S1) B B B B B B A A B B B B B B B B B B B A パーソナルコンピュータ,ワークステーション A(S1) B(S1) B B B B B B B A B B B B B B B B B B B B オペレータズコンソール B(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B 専 用 コンピュータ*4 B(S1) B(S1) B B B B B B A B B B B B B B B B B B B A プロセス 制 御, 入 出 力 装 置 S1(S1) B(S1) S B B B B B A B B B B B B B B B B B B A 輸 送 振 動 輸 送 衝 撃 塵 埃 腐 食 性 ガス < 周 辺 装 置 > マウス B(S1) B(S1) S - - - - - - B B B B B B B B B B B B B キーボード B(S1) B(S1) S - - - - - - B B B B B B B B B B B B B CRTディスプレイ B(S1) B(S1) B B B B B B B B B B A A B B B B B B B B 液 晶 ディスプレイ(LCD) A(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B A B B プラズマディスプレイ(PDP) A(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B A B B 磁 気 ディスク 装 置 (HDD 等 ) A(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B B A B フレキシブルディスク 装 置 *2 A(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B B A B 磁 気 テープ 装 置 *2 A(S1) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B B B B B A B 光 ディスク 装 置 *2 A(B) B(S1) B B B B B B B B B B B B B B A A B B A B レーザプリンタ*3 A(B) A(B) B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B ドットプリンタ,インクジェットプリンタ*3 B(S1) B(S1) S B B B B B B B B B B B B B B B B B B B 感 熱 式, 熱 転 写 式, 熱 昇 華 式 プリンタ*3 B(S1) B(S1) S B B B B B B B B B B B B B B B B B B B ラインプリンタ*3 B(S1) B(S1) S B B B B B B B B B B B B B B B B B B B OCR A(B) A(B) B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B CCDカメラ B(S1) A(B) S B B B B B B B B B B B B B B B B B B B モデム 装 置 B(S1) B(S1) S B B B B B B B B B B B B B B B B B B B イメージスキャナー A(S1) B(B) B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B UPS( 無 停 電 電 源 装 置 ) B(S1) S1(S1) S - - - - - B B B B B B B B B B B B B B *1 装 置 名 は 一 般 的 に 本 体 の 項 を 参 照, 周 辺 機 器 を 内 蔵 している 場 合 は,その 機 器 の 一 番 狭 い 範 囲 を 必 要 なクラスとする *2 記 憶 媒 体 が 交 換 可 能 な 装 置 では, 休 止 時 条 件 は 記 憶 媒 体 を 取 り 付 けたままでの 規 定 である *3 プリンタの 休 止 時 条 件 は, 印 刷 紙 を 取 り 外 した 条 件 での 規 定 である *4 FA 用 パーソナルコンピュータを 含 む 2-2- 2

セッション1 なお, 改 定 前 ( 平 成 12 年 7 月 改 訂 )の 設 置 環 境 基 準 の 定 義 を 表 1.3に 示 す 表 1.3 設 置 環 境 基 準 の 定 義 ( 改 訂 前 )(JEIDA-63 2000) Class A Class B Class S(S1) Class S2 Class S3(S4) 温 度 湿 度 温 度 15~30 5~40 0~50-10~60-25~70 湿 度 40~70%RH 20~80%RH 10~90%RH 5~95%RH 5~100%RH 結 露 含 む 温 度 変 化 率 ±5 /hr ±10 /hr ±15 /hr - - 電 圧 ±5% ±10% +15% -20% - - 供 給 電 源 周 波 数 ±0.5Hz ±1Hz ±3Hz - - ひずみ 率 5% 以 下 10% 以 下 20% 以 下 - - 波 高 値 低 下 率 瞬 時 停 電 接 地 2% 以 下 5% 以 下 10% 以 下 - - 3mS 以 下 専 用 A 種 または 専 用 C 種 10mS 以 下 または, 1/2サイクル 以 下 専 用 D 種 200ms 以 下 - - 共 用 D 種 ( 電 力 機 器 は 除 く) - - 静 電 気 *1 2kV 4KV 6kV 8kV オープン 電 界 1V/m 以 下 3V/m 以 下 10V/m 以 下 ( 特 殊 ) - ノ イ ズ 連 続 波 伝 導 ノイズ 1V 3V 10V ( 特 殊 ) - 磁 界 1A/m 以 下 3A/m 以 下 10A/m 以 下 30A/m 以 下 100A/m 以 下 ( 特 殊 ) 雷 サージ 0.5kV 1.0kV 2.0kV 4.0kV 特 殊 ファストトランシ ェント/ ハ ースト 波 ノイズ 0.5kV ( 繰 り 返 し 率 5kHz) 1.0kV ( 繰 り 返 し 率 5kHz) 2.0kV ( 繰 り 返 し 率 5kHz) 4.0kV ( 繰 り 返 し 率 2.5kHz) 特 殊 連 続 振 動 1.0m/S 2 以 下 2.0m/S 2 以 下 4.9m/S 2 以 下 - - 振 動 短 時 間 振 動 *2 輸 送 振 動 輸 送 衝 撃 2.0m/S 2 以 下 ( 震 度 4 以 下 ) 鉛 直 4.9m/S 2 以 下 水 平 2.9m/S 2 以 下 鉛 直 49m/S 2 以 下 水 平 29.4m/S 2 以 下 4.9m/S 2 以 下 ( 震 度 5 強 以 下 ) 鉛 直 9.8m/S 2 以 下 水 平 4.9m/S 2 以 下 鉛 直 98.1m/S 2 以 下 水 平 49.0m/S 2 以 下 9.8m/S2 以 下 ( 震 度 6 弱 以 下 ) 鉛 直 19.6m/S 2 以 下 水 平 9.8m/S 2 以 下 鉛 直 196.1m/S 2 以 下 水 平 98.1m/S 2 以 下 - - - - - - 塵 埃 0.1mg/m 3 以 下 0.3mg/m 3 以 下 10mg/m 3 以 下 - - 腐 食 性 ガス 温 度, 湿 度 が 低 く ガスが 検 知 されない ( 評 価 点 9) 湿 度 が 比 較 的 低 く ガスが 少 ない ( 評 価 点 25) 湿 度 がやや 高 く ガスが 少 ない ( 評 価 点 36) 温 度, 湿 度 が 高 く ガスが 若 干 ある ( 評 価 点 50) 温 度, 湿 度 が 高 く ガスが 多 い (51 評 価 点 ) 環 境 条 件 は, 一 般 に 動 作 時, 休 止 時, 輸 送 時, 保 管 時 に 分 けてそれぞれ 規 定 される 本 基 準 では,シ ステム 稼 働 中 の 信 頼 性 という 観 点 で 最 も 重 要 である 動 作 条 件 を 中 心 に 定 めるが, 温 度, 湿 度, 及 び 振 動 については, 休 止 時, 輸 送 時, 保 管 時 の 条 件 も 重 視 されねばならないので,これについても 規 定 を 行 う 塵 埃 と 腐 食 性 ガスについては, 動 作 時 と 休 止 時 を 対 象 として 規 定 する ここで 動 作 時, 休 止 時, 輸 送 時, 保 管 時 とは,それぞれ 次 の 状 態 を 指 すものとする -3-3

動 作 時 :システム 稼 働 中 休 止 時 : 運 転 を 休 止 し, 通 電 を 停 止 した 状 態 輸 送 時 : 梱 包 状 態 注 1) で 輸 送 中 注 保 管 時 : 梱 包 状 態 1) 注 2) で 保 管 中 注 1) 梱 包 を 行 わずに 輸 送, 保 管 する 場 合 には, 休 止 条 件 が 適 用 される 梱 包 を 行 わなくても, たとえば 可 動 部 のロックなどの 簡 単 な 処 置 により, 輸 送 時 条 件 を 休 止 条 件 よりも 拡 げる ことができるであろうが,このような 梱 包 以 外 の 所 定 の 処 置 を 施 しての 輸 送, 保 管 条 件 については 個 別 に 規 定 するものとし, 本 基 準 では 扱 わない 注 2) 本 基 準 で 規 定 する 輸 送, 保 管 条 件 は,2~3ヶ 月 以 内 の 期 間 のものを 対 象 とする それ 以 上 の 長 期 間 にわたり 輸 送, 保 管 が 行 われる 場 合, 温 度 サイクルなどのストレスや 湿 度 による 悪 影 響 が 考 えられるので, 別 途,メーカとユーザとの 間 で 協 議 するものとする 1.2 環 境 のクラス 分 けと 機 器 の 耐 環 境 性 のクラス 分 け 本 基 準 では, 環 境 条 件 の 標 準 化 のために, 各 環 境 項 目 ごとにクラス 分 けを 行 っている クラス 分 けは Class A,Class B,Class Sの3つを 基 本 とするが, 項 目 によってはClassA,ClassBとしたり,Class Sをさ らにClass S1,Class S2,Class S3に 分 けたりするものもある 動 作 時 および 休 止 時 についての 各 クラス は,おおよそ 次 のように 定 義 される Class A: 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 を 完 全 化 するための 設 備 を 有 する 環 境,または 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 悪 影 響 を 及 ぼさない 良 好 な 環 境 Class B: 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 を 改 善 するための 設 備 を 特 に 持 たない, 一 般 レベルの 環 境 Class S: 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 を 改 善 するための 設 備 がなく, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 にとって 特 に 厳 しい 環 境 Class S1~Class S4に 分 ける 場 合 は, 数 字 の 大 きいものほど, 厳 し い 環 境 となる ある 場 所 の 環 境 に 対 するクラス 分 け,およびある 機 器 の 耐 環 境 性 に 対 するクラス 付 けは, 各 環 境 項 目 ごとに 独 立 に 行 うものとする したがって,ある 場 所 の 環 境 のクラスが, 供 給 電 源 や 温 度 についてはClass Aであるが, 塵 埃 についてはClass Sであるというケースもあり 得 る また,ある 機 器 の 耐 環 境 性 のクラ スが, 温 度 についてはClass Bであるが, 振 動 についてはClass Aであるというケースもある (1) 環 境 のクラス 分 け ある 場 所 の 環 境 クラス 付 けを 行 う 場 合 には,その 環 境 条 件 の 変 動 範 囲 をカバーするクラスを 選 ぶ 温 -4-4

セッション2 度 について 例 をあげれば, 20~30 の 環 境 であれば,Class A(15~30 ) 10~30 の 環 境 であれば,Class Aを 一 部 はずれるためClass B(5~40 ) 15~45 の 環 境 であれば,Class Bを 一 部 こえるためClass S1(0~50 ) となる( 図 1.1) -10 0 20 40 60 15 ClassA 30 5 ClassB 40 0 ClassS1 50-10 ClassS2 60 設 置 場 所 の 温 度 10 15 20 30 30 45 Class A Class B Class S1 図 1.1 環 境 のクラス 分 けの 例 (2) 機 器 の 耐 環 境 性 のクラス 分 け ある 機 器 の 耐 環 境 性 のクラス 付 けは,そのクラスの 全 変 動 範 囲 を 含 むクラスの 振 りあてによって 行 う たとえば,ある 機 器 の 使 用 温 度 範 囲 が10~35 であれば, Class A(15~30 )では 全 範 囲 で 使 用 できる Class B(5~40 )の 全 範 囲 では 使 用 できない 従 って,この 機 器 の 温 度 の 耐 環 境 性 はClass Aとなる また, 機 器 の 使 用 温 度 範 囲 が0~35 であっても, 同 様 の 考 え 方 により,Class Aとなる( 図 1.2) -5-5

-10 0 20 40 60 15 ClassA 30 5 ClassB 40 0 ClassS1 50-10 ClassS2 60 機 器 の 使 用 温 度 範 囲 10 35 0 35 Class A Class A 図 1.2 機 器 の 耐 環 境 性 のクラス 表 示 の 例 さらに, 一 つの 装 置 が 複 数 の 機 器 によって 構 成 される 場 合 は,すべての 機 器 をカバーするクラスを 選 ぶ たとえば,オペレターズコンソールに 磁 気 ディスク 装 置 (HDD)を 内 蔵 している 場 合 があるが, HDDを 除 いたオペレーターズコンソールは5~40 であるためClassB, 磁 気 ディスク 装 置 は10~30 で あるためClassAであるので,このオペレターズコンソール 全 体 はClass Aとなる 表 1.2は,メーカ 各 社 の 設 置 資 料 などをもとに, 各 機 器 ごとに 耐 環 境 性 の 分 布 を 調 査 し, 現 状 におけ る 水 準 を 示 したものである ここに 記 入 されたクラス 記 号 は,そのクラスの 環 境 までは,すべての 範 囲 でその 機 器 が 使 用 できることを 示 すものである 1.3 機 器 と 環 境 の 適 合 機 器 と 環 境 の 不 適 合,すなわち 機 器 の 耐 環 境 性 不 足,または 環 境 不 備 が, 情 報 処 理 制 御 システムの 障 害 を 引 き 起 こす 原 因 となる 環 境 との 不 適 合 による 障 害 の 例 としては, 1) 誤 動 作, 精 度 低 下 2) 故 障 3) 劣 化 促 進, 寿 命 短 縮 -6-6

セッション3 4) 損 傷 などであり,その 対 策 としては2 通 りが 考 えられる その 一 つは, 機 器 の 耐 環 境 性 の 改 善 であり,もう 一 つは 環 境 の 改 善 (または 設 置 場 所 の 変 更 )である いずれを 選 ぶかはコスト, 信 頼 性, 保 守 性 を 含 めた 総 合 的 判 断 のもとに, 決 定 されるべきである たとえば 多 くの 機 器 が 満 足 し 得 ない 環 境 条 件 については,それぞれの 機 器 に 対 して 耐 環 境 性 改 善 のた めの 処 置 を 施 すよりも, 環 境 改 善 のための 設 備 を 設 けた 方 が,コスト, 信 頼 性, 保 守 性 の 面 で 有 利 にな る 場 合 が 多 い 機 器 によっては 動 作 原 理 や 構 造, 材 質 からくる 制 約 のために, 耐 環 境 性 を 高 めることが 本 質 的 に 難 し いものがある たとえば, 光 ディスク 装 置 では 回 転 体 との 情 報 授 受 があるため 振 動 的 に 弱 く,レーザープリンタでは トナーの 吸 湿 による 固 化 を 考 慮 する 必 要 がある このような 機 器 に 対 して 無 理 に 耐 環 境 性 を 高 めようとすると, 機 器 価 格 の 上 昇 をともなうばかりか 保 守 性 を 低 下 させたり, 信 頼 性 を 低 下 させたりすることもあり, 得 策 とはいえない 高 コ ス ト a+b a: 機 器 のハードウエアコス ト b: 環 境 改 善 設 備 コスト 低 A 機 器 の 耐 環 境 性 環 境 のよさ 図 1.3 機 器 の 耐 環 境 性 改 善 と 環 境 改 善 のトレードオフ 図 1.3は, 機 器 の 耐 環 境 性 改 善 に 要 するコストと, 環 境 の 改 善 に 要 するコストを 定 性 的 に 示 したもの である 機 器 の 耐 環 境 性 を 改 善 するために 要 するコストは,その 改 善 の 度 合 に 従 い, 指 数 関 数 的 に 増 大 する また 環 境 改 善 の 設 備 のコストも, 改 善 度 合 いに 従 い 指 数 関 数 的 に 増 大 する したがって,A 点 のようなトータル コストの 最 小 点 が 存 在 する 機 器 の 耐 環 境 性 はA 点 のやや 右 側 を 目 標 にすべきであり, 設 置 環 境 条 件 は,A 点 のやや 左 側 に 設 定 すべきであろう A 点 の 定 量 化 は 困 難 な 点 も 多 いが,いずれにせよ, 機 器 の 耐 環 境 性 と 環 境 改 善 設 備 とは, 表 裏 一 体 の 関 係 にあることを 忘 れ てはならない -7-7

1.4 環 境 と 信 頼 性 機 器 の 信 頼 性 と 寿 命 は, 使 用 される 環 境 に 大 きく 依 存 する たとえ 機 器 の 耐 環 境 条 件 規 格 の 範 囲 であ っても, 良 好 な 環 境 で 使 用 することが, 高 信 頼 度 運 転 と 寿 命 維 持 にとって 重 要 なことである たとえば, 使 用 温 度 範 囲 5~40 の 機 器 を 常 時 35 の 環 境 で 使 用 すると,25 で 使 用 する 場 合 に 比 べ, およそ 推 定 寿 命 は1/2に, 推 定 故 障 率 は2 倍 になるのが 一 般 的 である また, 腐 食 性 ガスがあれば,たとえ 規 定 範 囲 内 であっても,より 清 浄 な 雰 囲 気 と 比 較 すると 接 点 部 や プリント 基 板 などの 腐 食 の 進 行 も 速 く, 寿 命 は 短 縮 されるであろう さらに, 塵 埃 が 多 ければフィルタ などの 清 掃, 交 換 周 期 を 短 縮 しなければならないであろう 1.5 環 境 と 省 エネルギー 対 策 地 球 温 暖 化 防 止 などのための 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 及 びそれを 取 り 巻 く 電 源 設 備, 空 調 設 備 等 の 付 帯 設 備 の 省 エネルギー 対 策 は 緊 急 の 課 題 である 特 に 大 規 模 の 情 報 処 理 システムでは, 機 器 の 消 費 電 力 の 増 大 により 付 帯 設 備 を 含 めた 電 力 消 費 量 の 増 加 が 顕 在 化 している 従 って, 省 エネ 法 等 の 環 境 法 規 の 遵 守 はもとより,ユーザとメーカの 協 力 共 同 により 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 及 び 電 源 設 備, 空 調 設 備 等 の 一 層 の 省 エネルギー 対 策 の 進 展 が 望 まれる 1.6 本 基 準 の 適 用 ユーザは, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 を 設 置 する 環 境 条 件 の 表 示 を, 本 基 準 に 準 拠 して 行 うことが 望 ましい メーカは,システム 機 器 の 使 用 環 境 条 件 の 表 示 にあたって, 本 基 準 に 準 拠 することが 望 ましい メーカの 提 示 する 機 器 の 環 境 条 件 を 越 える 条 件 で 使 用 した 場 合, 障 害 発 生 時 にメーカの 保 証 を 得 られ ないばかりでなく, 機 器 の 所 要 信 頼 性 が 確 保 されない,あるいは 性 能 を 達 成 できない 等 が 予 測 される もし 本 基 準 に 規 定 するクラスに 準 拠 できない 場 合 には,ユーザ,メーカ 間 協 議 のもとに, 個 々に 特 殊 ク ラスを 設 定 してもよい -8-8

セッション4 2. 温 度 湿 度 2.1 温 度, 湿 度 による 影 響 機 器 および 記 録 媒 体 の 設 置 されている 室, 建 物 または 輸 送, 保 管 中 の 環 境 は,それらに 定 められた 温 度, 湿 度 条 件 を 満 足 するものでなければならない もし 機 器 および 記 録 媒 体 に 定 められた 温 度, 湿 度 の 範 囲 をこえる 場 合, 次 のような 悪 影 響 を 与 えるおそれがある また 腐 食 性 ガスや 塵 埃, 静 電 気 等 の 他 の 環 境 要 因 と 複 合 した 時, 悪 影 響 が 増 大 するので, 注 意 を 要 す る (5 章 ノイズ,7 章 塵 埃,8 章 腐 食 性 ガスの 章 参 照 ) 2.1.1 高 温 の 状 態 におかれた 場 合 故 障 率 の 増 大, 寿 命 の 低 下 アナログ 信 号 の 誤 差 増 大 ( 動 作 時 ) 誤 動 作 ( 動 作 時, 起 動 時 ) 機 器 の 過 熱 ( 動 作 時 ) さびや 腐 食 の 進 行 グリースの 劣 化 2.1.2 低 温 の 状 態 におかれた 場 合 アナログ 信 号 の 誤 差 増 大 ( 動 作 時 ) 誤 動 作 ( 動 作 時, 起 動 時 ) グリースの 性 能 低 下 2.1.3 高 湿 の 状 態 におかれた 場 合 結 露 と 汚 損 の 複 合 による 電 食 や 誤 動 作 ( 急 激 な 温 度 変 化 を 伴 う 場 合 ) さびや 腐 食 の 進 行 絶 縁 低 下 グリースの 劣 化 トナーの 固 化 2.1.4 低 湿 の 状 態 におかれた 場 合 静 電 気 放 電 による 機 器 の 誤 動 作 および 故 障 -9-9

プリンタ 用 紙 等 の 紙 送 り 不 良 記 録 媒 体 の 伸 縮, 変 形 による 動 作 不 良 2.1.5 温 度 変 化 率 が 大 きい 場 合 高 湿 時, 結 露 と 汚 損 の 複 合 による 電 食 や 誤 動 作 装 置 内 の 温 度 バラツキによる 誤 動 作 また 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 故 障 率 は 周 囲 温 度 の 影 響 を 受 けやすいので, 周 囲 温 度 は 空 調 設 備 を 用 い2.6(3)に 規 定 される 温 度 範 囲 に 入 るよう 配 慮 すべきである 図 2.1に 電 子 部 品 の 周 囲 温 度 による 相 対 故 障 率 例 を 示 す 10 相 対 故 障 率 5 2 C-ALアルミ 電 解 コンデンサ (1600μF 以 下 ) SRAM(1Mbit) DRAM(1Mbit) PROM(1Mbit) EEPROM(1Mbit) 1 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 周 囲 温 度 図 2.1 電 子 部 品 の 周 囲 温 度 による 相 対 故 障 率 例 (MIL-HDBK 217Fによる 計 算 例 ) 2.2 クラス 分 け 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 正 常 な 運 用 および 維 持 のための 温 度, 温 度 変 化 率, 湿 度 の 範 囲 を 次 のク ラスに 分 け, 設 定 する これらは 機 器 の 完 全 な 屋 内 における 動 作 時, 休 止 時 および 機 器 の 輸 送, 保 管 時 の 各 環 境 を 定 める なお, 温 度, 湿 度 ともClass S3は, 出 荷 梱 包 状 態 での 輸 送, 保 管 環 境 条 件 を 規 定 するものである -10-

注 1) 温 度 Class A 15~30 Class B 5~40 Class S1 0~50 Class S2 Class S3-10~60-25~70 ( 輸 送 保 管 環 境 条 件 のみ) 注 1) 温 度 は 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 周 囲 における 空 気 の 温 度 温 度 変 化 率 Class A ±5 /hr 以 内 Class B Class S1 ±10 /hr 以 内 ±15 /hr 以 内 注 2) 湿 度 Class A 40~70%RH( 結 露 のないこと) ただし, 湿 球 温 度 26 以 下 Class B 20~80%RH( 結 露 のないこと) ただし, 湿 球 温 度 30 以 下 Class S1 10~90%RH( 結 露 のないこと) ただし, 湿 球 温 度 30 以 下 Class S2 5~95%RH( 結 露 のないこと) ただし, 湿 球 温 度 30 以 下 Class S3 5~100%RH( 結 露 含 む) ただし, 湿 球 温 度 30 以 下 ( 輸 送 保 管 環 境 条 件 のみ) 注 2) 各 クラスの 範 囲 を 空 気 線 図 にて 図 2.2に 示 す 絶 対 湿 度 が 高 い 場 合,わずかな 温 度 変 化 によ り 結 露 する このため 急 激 な 温 度 変 化 を 生 じないよう 注 意 を 要 する また 動 作 時 は 温 湿 度 条 件 に 設 定 後, 一 定 時 間 経 た 後 に 稼 働 させることが 望 ましい -11-

図 2.2 湿 度 のクラス 範 囲 上 記, 各 クラスに 適 合 しない 機 器 に 対 しては, 個 別 に 温 度, 湿 度 範 囲 を 設 定 してもよい その 場 合, 次 の 値 でその 範 囲 を 設 定 するのが 望 ましい 表 2.1 温 度 湿 度 条 件 表 示 ( 推 奨 値 ) 温 度 ( ) -25,-10,0,5,10,15,20,30,35,40,50,60,70 温 度 変 化 率 ( /hr) ±5,±10,±15,±20 湿 度 (%RH) 5,10,20,30,40,60,70,80,90,95,100 2.3 輸 送, 保 管 の 期 間 保 管 が 長 期 にわたると, 昼 夜 の 温 度 サイクルによるストレスの 蓄 積 に 伴 う 部 品 の 劣 化,グリースの 劣 化,アルミ 電 解 コンデンサなどの 長 期 無 通 電 による 劣 化 などのおそれがでてくる そこで, 本 基 準 で 規 定 する 保 管 条 件 は, 出 荷 包 装 状 態 での 外 側 に 対 するものであり2,3ヶ 月 以 内 の 保 管 を 対 象 とするもの である 保 管 期 間 がこれを 超 える 場 合 は, 保 管 時 の 環 境 条 件 についてユーザ,メーカ 間 で 個 々に 取 決 め がなされなければならない -12-

2.4 記 録 媒 体 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 使 用 される 記 録 媒 体 の 保 管 時 の 温 度, 湿 度 条 件 は 表 2.2の 範 囲 とするこ とが 望 ましい 表 2.2 記 録 媒 体 の 保 管 条 件 記 録 媒 体 保 管 条 件 フレキシブル ディスク 温 度 5~50 湿 度 10~90% 磁 気 テープ 温 度 5~30 湿 度 20~80% 磁 気 ディスク(HDD) 温 度 -20~60 湿 度 10~80% 光 磁 気 ディスク(MO) 温 度 -10~55 湿 度 5~90% 光 ディスク(CD-ROM) 温 度 -20~50 湿 度 5~90% 光 ディスク DVD(-R/RW,ROM,RAM 温 度 -10~50 +R/RW) CD-R/RW 湿 度 5~85% 2.5 温 度, 湿 度 の 管 理 完 全 な 屋 内 ( 気 象 の 直 接 の 影 響 が 完 全 に 遮 断 されている 場 所 )に 機 器 を 設 置 する 機 器 の 設 置 後, 日 常 的 に 温 度, 湿 度 を 管 理 することは, 環 境 の 異 常 を 早 期 に 発 見 し,システムの 正 常 な 運 用, 維 持 を 図 る 上 で 有 効 である また, 障 害 発 生 時 の 原 因 究 明 を 容 易 にする 温 度, 湿 度 の 管 理 を 行 うには, 温 湿 度 記 録 計 ( 例 : 自 記 温 湿 度 計 )を 用 い, 次 の 点 に 留 意 のこと( 図 2.3 参 照 ) 温 湿 度 記 録 計 の 設 置 位 置 は 機 器 の 空 気 の 吸 い 込 み 口 が 最 適 である なお, 規 格 値 の 測 定 条 件 とは 相 違 があるため 相 関 を 取 り, 管 理 することが 必 要 である 同 一 室 内 に 複 数 の 機 器 が 設 置 される 場 合, 相 互 に 影 響 を 受 けないよう 各 機 器 の 吸 気 方 向, 排 気 方 向 等 を 考 慮 し, 適 切 な 温 湿 度 管 理 を 行 うことが 必 要 である 室 内 条 件 によっては 温 度, 湿 度 に 差 が 出 ることがあるため, 測 定 点 は 複 数 とすることが 望 ましい -13-

図 2.3 温 湿 度 記 録 計 の 設 置 位 置 2.6 空 調 設 備 導 入 時 の 留 意 点 正 常 なシステムの 運 用, 維 持 のため, 温 度, 湿 度 は 機 器 および 記 録 媒 体 に 定 められた 範 囲 に 常 に 設 定 しなければならない 空 調 設 備 は 極 めて 重 要 であり, 次 の 条 件 を 満 足 し 設 備 されることが 望 ましい 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 専 用 の 空 調 設 備 であること 空 調 設 備 は 複 数 台 設 置 されること ( 空 調 設 備 の 故 障 直 後 の 温 度 上 昇 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 障 害 が 極 めて 多 い) 常 に 一 定 の 温 度, 湿 度 の 範 囲 を 維 持 するために 連 続 的 に 制 御 できること 次 の 範 囲 にコントロールされることが 望 ましい 温 度 25 ±2 ( 夏 期 ) 夏 期 と 冬 期 の 温 度 差 は 外 気 条 件 により または 湿 度 が 大 幅 に 変 化 するのを 防 ぐため 20 ±2 ( 冬 期 ) 考 慮 したものである 湿 度 50%±10%RH 良 好 な 空 気 の 循 環 ができること 塵 埃, 腐 食 性 ガスなどの 除 去 用 フィルタをもつこと 空 調 設 備 の 起 動 は 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 動 作 温 度, 湿 度 条 件 を 満 足 するよう 装 置 で 決 められ た 条 件 により 行 うこと 外 気 の 室 内 への 取 り 入 れは 腐 食 性 ガス, 塵 埃 など 引 き 込 む 場 合 があるため,できるだけ 室 内 の 空 気 -14-

を 循 環 させることが 望 ましい 低 湿 度 条 件 を 改 善 するため 導 入 する 加 湿 器 については, 直 接 水 道 水 を 飛 散 させるタイプ( 超 音 波 型 や 霧 吹 型 )はカルシウムや 塩 素 含 有 成 分 を 飛 散 させ, 機 器 内 に 付 着 し 障 害 の 原 因 となることがあるた め 沸 騰 型 や 純 水 使 用 のタイプを 用 いることが 望 ましい 引 用 文 献 1.IEC60654-1(1993) Industrial-process mesurement and control equipment-operating conditions part l Climatic conditions 日 本 規 格 協 会 2.JEMIS 022 工 業 計 器 性 能 表 示 法 通 則 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 3.JEMIS 033(1997) マイクロコンピュータ 応 用 計 測 制 御 機 器 設 置 環 境 ガイドライン 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 4.JASOD 001 自 動 車 用 電 子 機 器 の 環 境 試 験 方 法 通 則 日 本 自 動 車 工 業 会 5.JIS C1804(1995) 工 業 用 プロセス 計 測 制 御 機 器 の 使 用 環 境 条 件 日 本 規 格 協 会 -15-

3. 供 給 電 源 3.1 供 給 電 源 のクラス 分 け 供 給 電 源 は 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 安 定 動 作 に 大 きな 影 響 をあたえる さらに 施 工 後 の 変 更 は 多 大 な 費 用 や 期 間 が 必 要 となる 場 合 が 多 いので, 適 切 な 余 裕 を 持 たせたものが 望 ましい 供 給 電 源 にはAC とDCの2 種 類 があるが, 供 給 電 源 の 品 質 を 表 わす 指 標 として,AC 供 給 電 源 に 関 しては, 電 圧 変 動, 周 波 数 変 動, 波 高 値 低 下 率, 電 源 波 形 ひずみ 率 および 瞬 時 停 電 について,またDC 供 給 電 源 に 関 しては 電 圧 変 動 について, 各 々 下 記 のようにクラス 分 けする ここでは0.2 秒 以 上 継 続 する 変 動 を 対 象 とし,そ れ 以 内 の 過 渡 変 動 については 規 定 しない 3.1.1 AC 供 給 電 源 供 給 電 源 電 圧 変 動 Class A:± 5% Class B:± 10% + 15% Class S: - 20% ( 注 ) 電 圧 は 機 器 受 端 における 値 とし, 実 効 値 で 規 定 する 本 クラス 分 けは 目 安 として Class A は 定 電 圧 電 源 装 置 (UPS,AVR,MGなど)から, Class B は 一 般 商 用 電 源 から,また Class S は 工 場 等 の 一 般 動 力 電 源 から 給 電 した 場 合 を 想 定 したものである 供 給 電 源 周 波 数 変 動 Class A: ± 0.5Hz Class B: ± 1Hz Class S: ± 3Hz 本 クラス 分 けは 目 安 として Class A は 一 般 商 用 電 源 やUPSから, Class B はMGから 給 電 した 場 合 を 想 定 しており,また Class S は, 停 電 時 のMG 出 力 などをを 想 定 したものである 供 給 電 源 波 高 値 低 下 率 Class A: 2% 以 下 Class B: 5% 以 下 Class S: 10% 以 下 -16-

基 本 波 の 波 高 値 実 電 圧 波 の 波 高 値 ( 注 ) 波 高 値 低 下 率 = 基 本 波 の 波 高 値 100 供 給 電 源 波 形 ひずみ 率 Class A: 5% 以 下 Class B: 10% 以 下 Class S: 20% 以 下 ( 注 ) 波 形 ひずみ 率 = 全 高 調 波 の 実 効 値 基 本 波 の 実 効 値 波 高 値 低 下 率 と 波 形 ひずみ 率 とも, 実 負 荷 状 態 にて 機 器 受 端 における 値 とする 供 給 電 源 の 瞬 時 停 電 Class A: 3msec 以 下 Class B: 10msecまたは1/2サイクル 以 下 Class S: 200msec 以 下 ( 注 ) 停 電 とは 供 給 電 源 が 機 器 受 端 において,その 許 容 電 圧 変 動 範 囲 以 下 (Class Aの 場 合 - 5% 以 下 )に 低 下 した 場 合 をいう この 時, 供 給 電 源 電 圧 は 定 格 値 とする 本 クラス 分 けは 目 安 として,Class AおよびBは 無 瞬 断 切 替 機 能 を 持 つ 電 源 装 置 における 系 統 切 替 の 際 の 瞬 時 ならびに 過 渡 変 動 を 想 定 したものであり,Class Sは 機 械 的 接 点 による 切 替 の 際 の 瞬 時 ならびに 過 渡 変 動 を 想 定 したものである 200msecを 超 える 停 電 については, 別 途 電 源 設 備 などを 用 意 して 保 護 す るものとする 3.1.2 DC 供 給 電 源 DC 供 給 電 源 に 関 しては, 電 源 電 圧 変 動 範 囲 をクラス 分 けする 供 給 電 源 電 圧 変 動 Class A:± 5% Class B:± 10% Class S: + 15% - 20% -17-

3.2 供 給 電 源 の 出 力 容 量 の 選 定 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 を 構 成 する 各 機 器 の 所 要 電 力 を 加 算 することにより, 定 常 時 に 必 要 となる 電 源 装 置 の 所 要 電 力 が 算 出 できる 機 器 の 電 源 投 入 の 際 にコンデンサの 瞬 時 充 電 電 流 やトランスの 励 磁 電 流 により, 突 入 電 流 および 波 形 ひずみが 発 生 するので, 電 源 装 置 としては 定 常 時 の 所 要 電 力 量 に 加 え て,これら 突 入 電 流 や 起 動 電 流 に 十 分 耐 えるものでなければならない よって 電 源 装 置 の 出 力 容 量 は 定 常 時 の 所 要 電 力 にこれらの 安 全 係 数 ( 出 力 容 量 係 数 )を 乗 じた 値 とし て 決 定 すべきである 出 力 容 量 係 数 の 目 安 は2~2.5 程 度 であるが 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 動 作 状 態 ( 重 要 性, 重 畳 性 )および, 経 済 性 との 兼 ね 合 い,また 各 電 源 機 器 メーカでの 出 力 容 量 決 定 のための 独 自 の 計 算 方 法 があり,これらも 十 分 確 認 尊 重 して 適 切 かつ 十 分 な 容 量 を 決 定 すべきである 3.3 供 給 電 源 の 安 定 化 供 給 される 電 源 条 件 が 構 成 機 器 の 電 源 条 件 を 満 足 しない 場 合 には 専 用 の 電 源 設 備 または 対 策 機 器 を 準 備 し 供 給 電 源 の 安 定 化 をはかる 必 要 がある 3.3.1 UPS( 無 停 電 電 源 装 置 ) UPSの 給 電 方 式 として, 常 時 インバータ 方 式 が 望 ましい この 方 式 は,UPS 内 部 で 二 重 変 換 (AC DC/DC AC)することで, 入 力 のノイズ,ひずみ 等 を 排 除 することができ, 安 定 した 電 圧 および 周 波 数 が 得 られる また, 停 電 時 には 無 瞬 断 でバッテリによりAC 給 電 を 行 うことができる UPSには, 過 負 荷 時 に 自 動 的 に 商 用 電 源 に 切 換 えるバイパス 機 能 や 出 力 タップを 複 数 持 ち,それぞれの 出 力 のON 時 間 あるいはOFF 時 間 を 設 定 できる 機 能 を 有 するものもある ( 図 3.1) 交 流 入 力 フィルタ 整 流 器 バイパス インバータ 切 換 器 フィルタ 出 力 充 電 器 チョッパ バッテリ 出 力 1 2 出 力 2 図 3.1 無 停 電 電 源 装 置 の 例 -18-

No 技 術 項 目 技 術 標 準 瞬 時 過 負 荷 対 策 過 負 荷 時, 商 用 電 源 に 自 動 切 換 を 行 う 機 能 1 複 数 の 出 力 タップ 間 での 出 力 遅 延 機 能 2 ひずみ 電 流 対 策 整 流 素 子 の 大 型 化, 適 切 なフィルタを 内 蔵 する 3 出 力 容 量 係 数 の 目 安 2.0~2.5 程 度 3.3.2 AVR( 自 動 定 電 圧 装 置 ) 電 圧 を 一 定 にするために 用 いられる No 技 術 項 目 技 術 標 準 1 2 3 方 式 絶 縁 型 とし 更 にノイズ 低 減 効 果 を 高 めるためラインフィルタを 内 蔵 する ( 図 3.2) 瞬 時 過 負 荷 対 策 突 入 電 流, 瞬 時 充 電 電 流 に 耐 えられるよう 立 ち 上 がり 制 御 あるいは 出 力 コンデンサ 容 量 を 大 きくする 出 力 容 量 係 数 の 目 安 2.0~2.5 程 度 制 御 リアクトル 入 力 並 列 リ ア ク ト ル 高 周 波 フ ィ ル タ 偏 差 電 圧 増 幅 器 出 力 図 3.2 AVR(サイリスタ 式 )の 例 -19-

3.3.3 絶 縁 トランス 絶 縁 トランスとしては, 単 なる 絶 縁 型 ではなく 静 電 シールド 付 絶 縁 トランス 及 びそれ 以 上 の 高 機 能 で あることが 望 ましい( 図 3.3 参 照 ) No 技 術 項 目 技 術 標 準 1 2 3 4 5 巻 き 方 シールド 方 式 と 接 地 のとり 方 雷 サージ 対 策 出 力 容 量 係 数 の 目 安 出 力 調 整 タップ 重 ね 巻 きの 場 合 は 一 次 側 が 鉄 心 側 2 重 シールドとし 一 次 側 シールド:デジタルシステム 以 外 の 電 気 設 備 の 保 護 接 地 へ 二 次 側 シールド:デジタルシステム 回 路 のグランドへ 混 触 防 止 板 を 付 加 する 2.0~2.5 程 度 +5%,+10%の2タップ 程 度 図 3.3 静 電 シールド 付 き 絶 縁 トランスとその 接 地 例 3.3.4 ラインフィルタ ラインフィルタは, 外 部 からの 高 周 波 ノイズ 等 の 混 入 を 防 ぎ 供 給 電 源 の 品 質 を 向 上 させることができ る 接 地 に 関 する 基 準 は4 章 を 参 照 のこと -20-

3.4 供 給 電 源 および 給 電 方 法 の 留 意 事 項 3.4.1 ひずみ 電 流 による 電 圧 波 形 ひずみ 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 で 使 用 される 直 流 安 定 化 電 源 の 制 御 方 式 としては 小 型, 高 効 率 であるスイ ッチング 方 式 (スイッチング レギュレータ)が 一 般 に 使 用 されている この 電 源 はコンデンサ 入 力 形 電 源 の 代 表 的 なものであり, 図 3.4に 示 すような 入 力 整 流 回 路 をもっている この 回 路 ではAC 入 力 電 圧 が 平 滑 コンデンサの 端 子 電 圧 より 高 くなる 位 相 でのみ, 入 力 電 流 実 効 値 の2~5 倍 のピーク 電 流 が 平 滑 コンデンサに 流 れる このため 供 給 電 源 装 置 や 配 線 路 のインピーダンスによって, 図 3.5のような 頭 の かけたひずみのある 入 力 電 圧 波 形 となるので 供 給 電 源 装 置 や 配 線 路 のインピーダンスを 可 能 な 限 り 下 げることが 望 ましい AC100V コンデンサ 端 子 電 圧 入 力 側 負 荷 側 図 3.4 スイッチング レギュレータの 入 力 整 流 回 路 電 圧 波 形 電 流 波 形 図 3.5 スイッチング レギュレータの 入 力 電 流 波 形 と AC 供 給 ラインの 電 圧 波 形 ひずみ -21-

3.4.2 突 入 電 流 と 起 動 電 流 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 電 源 を 投 入 すると 代 表 的 な 負 荷 である 直 流 電 源 に 対 して,トランスの 励 磁 電 流 やコンデンサへの 瞬 時 充 電 電 流 など, 図 3.6に 示 すような 定 常 負 荷 電 流 の10 倍 以 上 のピーク 値 を もった 突 入 電 流 が 流 れることがある さらにこの 突 入 電 流 は 電 源 投 入 時 だけでなく, 停 電 や 瞬 時 停 電 か ら 復 電 した 場 合 にも 初 期 電 源 投 入 と 同 様 に 突 入 電 流 により, 大 きな 電 流 が 流 れる 場 合 がある 電 源 装 置 によっては,この 突 入 電 流 により 過 電 流 保 護 機 能 が 作 動 することがあるので 注 意 を 要 する またシステ ム 構 成 機 器 のなかに 回 転 機 器 を 用 いた 装 置 が 含 まれる 場 合 は, 電 源 投 入 後 のモータが 定 常 回 転 数 に 達 す るまで 図 3.7に 示 すような 定 常 負 荷 電 流 の3~10 倍 の 起 動 電 流 が 大 型 の 装 置 では 数 十 秒 も 流 れること がある したがって 電 流 容 量 を 算 定 するにあたってこれらを 加 算 する 電 源 装 置 の 出 力 容 量 の 制 約 から,これらの 突 入 電 流 や 起 動 電 流 により 全 負 荷 同 時 投 入 ができない 場 合 には 次 の 対 策 を 講 じること 1 電 源 装 置 の 瞬 時 過 負 荷 耐 量 を 大 きくする 2 UPSは 無 瞬 断 切 換 方 式 として, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 起 動 時 は 直 送 側 から 供 給 し, 負 荷 電 流 が 定 常 状 態 になってからUPSに 切 換 える 3 負 荷 を 分 割 して 自 動 的 に 順 次, 電 源 を 投 入 する 順 序 投 入 回 路 を 設 ける 4 出 力 電 圧 の 立 ち 上 がりを 遅 くする 機 能 をもった 電 源 装 置 とする 突 入 電 流 約 5ms 図 3.6 突 入 電 流 波 形 図 3.7 モータ 起 動 電 流 波 形 -22-

3.4.3 波 形 ひずみを 持 つ 電 圧, 電 流 の 測 定 図 3.5に 示 すようなひずみを 持 つ 電 圧 波 形 の 場 合, 回 路 計 (テスタ)で 代 表 される 平 均 値 応 答 形 の 計 器 の 指 示 値 が,ひずみのない 電 圧 波 形 と 同 じであっても 平 滑 コンデンサの 端 子 電 圧 は 低 くなり, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 が 停 電 検 出 をすることが 起 こる すなわち, 下 図 のように 入 力 電 圧 波 形 のAとBとでは, 実 測 値 が100VACと 同 じであっても 平 滑 コンデ ンサの 端 子 電 圧 は120VDCとBの 方 が 低 く,このことはひずみの 無 い85VACを 供 給 されたことと 等 価 に なる A(ひずみのない 理 想 的 な 入 力 電 圧 波 ) B(ひずみのある 入 力 電 圧 波 ) 回 路 計 の 読 み コンデンサ 端 子 電 圧 A AC100V DC138V B AC100V DC120V 電 流 波 形 についても, 平 均 値 応 答 形 の 計 器 は 波 形 ひずみに 関 係 なく, 平 均 値 に1.11を 掛 けて 実 効 値 目 盛 がふられているので,ひずみの 大 きな 電 流 波 形 では-20%から,ときには-50%もの 大 きな 指 示 誤 差 を 生 じるので, 正 確 な 実 効 値 応 答 形 計 器 を 使 用 する 必 要 がある 3.4.4 動 作 可 能 供 給 電 圧 範 囲 波 高 値 の 低 下 が 大 きいと, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 停 電 検 出 回 路 で 異 常 を 検 出 され, 機 器 内 の 直 流 電 源 出 力 の 安 定 性 が 失 われることがある したがって 電 圧 変 動 と 波 高 値 低 下 率 とがそれぞれ 許 容 範 囲 内 であっても 前 述 の 支 障 をきたすことがあるので 注 意 を 要 する 逆 に 波 高 値 低 下 の 許 容 範 囲 は 図 3.8の ような 電 圧 変 動 との 組 合 せ 条 件 で 動 作 可 能 範 囲 が 示 されるべきである 本 基 準 では 組 合 せ 条 件 の 規 定 は しないが, 実 際 の 運 用 にあたっては, 注 意 を 要 する 点 である 波 高 実 110 効 値 105 (V) 動 作 可 能 範 囲 100 95 127 125 130 140 150 図 3.8 動 作 可 能 供 給 電 源 範 囲 の 例 波 高 値 (V) -23-

3.4.5 3 相 からの 給 電 単 相 の 機 器 を3 相 電 源 に 接 続 する 場 合 は, 一 般 に 不 平 衡 負 荷 となるので,できるだけ 各 相 に 負 荷 が 平 均 化 するよう 接 続 機 器 の 配 分 を 行 う ひずみ 電 流 が 流 れるコンデンサ 入 力 形 電 源 やサイリスタ 位 相 制 御 回 路 を 持 つ 機 器 に3 相 4 線 式 で 電 源 を 供 給 する 場 合 は, 中 性 線 に 正 弦 波 の 時 には 打 ち 消 しあって 流 れない 電 流 が 流 れ, 中 性 線 が 過 負 荷 に なり 電 圧 低 下, 発 熱 などのトラブルを 起 こすことがあるので 注 意 すること 3.4.6 配 電 路 電 源 装 置 から 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 までの 電 源 配 線 は, 信 号 ケーブルに 対 して 誘 導 ノイズを 与 え ないように,また 他 の 強 電 ラインから 誘 導 ノイズを 受 けないようお 互 いに, 電 気 的, 物 理 的 に 隔 離 して 配 置 する 電 源 供 給 線 および 他 の 強 電 ラインは, 金 属 管 配 線 またはシールド 線 を 使 用 する 電 源 供 給 線 のライン 抵 抗 は, 電 圧 低 下 の 原 因 となるだけでなく, 電 圧 波 形 ひずみを 生 じることにもなるので, 線 長 に 応 じた 充 分 な 線 径 のものを 使 用 すべきである 3.4.7 分 電 盤 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 場 所 には 分 電 盤 を 設 け, 原 則 として 各 構 成 機 器 ごとにサーキットブ レーカを 設 け, 個 々の 異 常 がシステム 全 体 に 影 響 を 与 えないよう 考 慮 すること 3.4.8 UPSの 負 荷 との 整 合 UPSの 負 荷 が 容 量 性 負 荷 ( 位 相 進 み 負 荷 )の 場 合 に 通 常 の3 倍 の 高 周 波 振 動 電 流 が 発 生 し,その 結 果 ブレーカが 応 答 できずカットオフできないためにブレーカが 発 熱 し 発 煙 した 事 例 がある このように, UPS 特 性 によっては 位 相 進 み 負 荷 特 性 との 組 合 せで 整 合 (UPSと 負 荷 側 間 にインピーダンス 挿 入 等 ) をとる 必 要 がある 場 合 があるので, 注 意 すること 3.5 その 他 前 記 の 留 意 点 はあくまでも 一 般 的 な 目 安 である 実 際 の 設 置 にあたっては, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 安 定 した 運 転 を 確 保 するために,ユーザとメーカがよく 協 議 して, 現 場 に 適 した 方 策 を 検 討 する 必 要 がある -24-

引 用 文 献 1)IEC 60359 2001 Electrical and electronic measurement equipment Expression of performance 日 本 規 格 協 会 2)IEC 60654-2 1979 Operating conditions for industrial-process measurement and control equipment Part 2:Power 日 本 規 格 協 会 3)1988.7 ディジタルシステム 耐 ノイズ 設 計 ガイド 計 測 自 動 制 御 学 会 4)JEMIS 022 1983.3 工 業 計 器 性 能 表 示 法 通 則 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 5)JEMIS 033 1997 マイクロコンピュータ 応 用 計 測 制 御 機 器 設 置 環 境 ガイドライン 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 6)JISC1804 工 業 プロセス 計 測 制 御 機 器 の 使 用 環 境 条 件 日 本 規 格 協 会 7)IEC 61000-4-11 2004 Electromagnetic compatibility (EMC) - Part 4-11: Testing and measurement techniques - Voltage dips, short interruptions and voltage variations immunity tests 日 本 規 格 協 会 8)JEITA IT-3002 パーソナルコンピュータの 瞬 時 電 圧 低 下 対 策 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 -25-

4. 接 地 4.1 接 地 のクラス 分 け 接 地 については, 電 気 設 備 技 術 基 準 とその 解 釈 に 規 定 されている 接 地 工 事 の 種 類,およびその 接 続 方 法 によるクラス 分 けとし, 次 の 通 り 規 定 した 接 地 Class A : 専 用 注 1) A 種 ( 旧 第 一 種 ),C 種 ( 旧 特 別 第 三 種 ) Class B : 専 用 注 1) D 種 ( 旧 第 三 種 ) Class S : 共 用 注 2) D 種 ( 旧 第 三 種 ) 注 1) 専 用 接 地 としては,その 接 地 極 を 他 の 接 地 極 から10m 以 上 離 すことを 推 奨 する これは, 以 下 の 式 で 求 められる2つの 接 地 電 極 間 の 結 合 度 Kを 典 型 的 な 場 合 に0.1 以 下 とするために 必 要 である ( 図 4.1 参 照 ) K= V2 V1 Ln = Ln a 2 2 2l d d d { 1+ 1+ + - 1+ d 2l 2l 2l 2l 2 2 a a a 2l a 1+ 1+ + - 1+ 2l 2l 2l a V2: 影 響 を 受 ける 電 極 の 電 位 V1: 電 位 変 化 を 発 生 している 電 極 の 電 位 l : 接 地 棒 の 長 さ a : 接 地 棒 の 半 径 (m) (m) d : 接 地 棒 間 の 間 隔 (m) -26-

1.0 K( 結 合 度 ) 0.1 0.01 3 1 l =5m 2 l =3m 3 l =1m 1 a=0.03 a=0.03 a=0.03 2 0.001 1 10 100 1000 d[m] 図 4.1 2 接 地 電 極 間 の 距 離 とその 影 響 注 2) 他 の 機 器 と 共 用 する 接 地 を 示 す ただし, 電 力 用 機 器 および 避 雷 器 との 共 用 を 除 く 注 3) 接 地 工 事 の 種 類 は, 電 気 設 備 技 術 基 準 とその 解 釈 第 19 条 に, 以 下 のように 規 定 されている 表 4.1 接 地 工 事 の 種 類 ( 電 気 設 備 技 術 基 準 とその 解 釈 第 19 条 ) 接 地 工 事 の 種 類 接 地 抵 抗 値 備 考 A 種 接 地 工 事 10Ω 旧 第 一 種 接 地 B 種 接 地 工 事 C 種 接 地 工 事 D 種 接 地 工 事 変 圧 器 の 高 圧 側 又 は 特 別 高 圧 側 の 電 路 の1 線 地 絡 電 流 のアンペア 数 で 150( 変 圧 器 の 高 圧 側 の 電 路 又 は 使 用 電 圧 が35,000V 以 下 の 特 別 高 圧 側 の 電 路 と 低 圧 側 の 電 路 との 混 触 により 低 圧 電 路 の 対 地 電 圧 が150Vを 超 えた 場 合 に,1 秒 を 超 え2 秒 以 内 に 自 動 的 に 高 圧 電 路 又 は 使 用 電 圧 が 35,000V 以 下 の 特 別 高 圧 電 路 を 遮 断 する 装 置 を 設 けるときは300,1 秒 以 内 に 自 動 的 に 高 圧 電 路 又 は 使 用 電 圧 が35,000V 以 下 の 特 別 高 圧 電 路 を 遮 断 する 装 置 を 設 けるときは600)を 除 した 値 に 等 しいオーム 数 10Ω( 低 圧 電 路 において, 当 該 電 路 に 地 絡 を 生 じた 場 合 に0.5 秒 以 内 に 自 動 的 に 電 路 を 遮 断 する 装 置 を 施 設 するときは,500Ω) 100Ω( 低 圧 電 路 において, 当 該 電 路 に 地 絡 を 生 じた 場 合 に0.5 秒 以 内 に 自 動 的 に 電 路 を 遮 断 する 装 置 を 施 設 するときは,500Ω) 旧 第 二 種 接 地 旧 特 別 第 三 種 接 地 旧 第 三 種 接 地 -27-

4.2 接 地 の 考 え 方 接 地 には, 以 下 の2つの 目 的 がある システムの 基 準 電 位 を 確 保 するための 機 能 用 接 地 ( 雑 音 対 策 用 接 地,および 信 号 用 接 地 ) 人 身, 機 器 の 保 護 ( 保 安 用 接 地 ) 4.2.1 機 能 用 接 地 確 実 な 接 地 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 動 作 を 保 証 するために 実 施 しなければならない 基 本 的 事 項 である 接 地 の 不 備 による 障 害 はきわめて 多 い 例 えば, 強 電 機 器 と 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 共 用 接 地 による 障 害 溶 接 機 のアーク 電 流 が 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 用 の 接 地 線 に 混 入 したための 障 害 接 地 極 の 場 所 が 地 下 水 の 経 路 にあたり 渇 水 期 に 接 地 抵 抗 が 大 きくなったための 障 害 等 がある 接 地 配 線 において 考 慮 すべき 事 項 (1) 接 地 配 線 は, 恒 久 的 な 連 続 性 を 確 実 にするための 経 路 やその 太 さを 確 保 すること (2)システムは, 信 号 線 が 絶 縁 されるリモート 機 器 を 除 いて,1つの 基 準 点 に 対 し 各 機 器 独 立 に 接 続 するといういわゆる1 点 接 地 が 原 則 である (3) 接 地 線 のインダクタンス 接 地 線 のインピーダンスを 減 らすために, 接 地 線 を 太 くすることが 望 ましいが,そればかりでなく, サージ 侵 入 によるグランド 電 位 の 変 動 を 抑 えるために, 高 周 波 インピーダンス,つまり 接 地 線 のイン ダクタンスを 小 さくすることが 重 要 であり, 接 地 極 までの 配 線 長 をできるだけ 短 くする 配 慮 が 必 要 であ る ( 図 4.2 参 照 ) 接 地 線 径 は, 配 線 コストや 端 子 サイズの 制 約 を 考 え, 次 を 目 安 として 推 奨 する 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 筐 体 に 引 き 込 む 接 地 線 径 A 種 ( 旧 第 一 種 ),C 種 ( 旧 特 別 第 三 種 ):22mm 2 以 上 D 種 ( 旧 第 三 種 ) :8mm 2 以 上 断 面 積 22mm 2 の 接 地 線 インダクタンスと 周 波 数 の 関 係 を 図 4.2に 示 す -28-

100k イ ン ダ ク タ ン ス に よ る イ ン ピ ー ダ ン ス ( Ω ) 10k 1k 100 10 1 0.1 5 2 5 2 5 2 5 2 5 2 5 2 L: 線 長 (m) L=10 L=3 L=1 L=100 L=30 L=300 L=1000 2 5 2 5 2 5 2 5 2 5 1k 10k 100k 1M 10M 100M 周 波 数 (Hz) 図 4.2 接 地 線 インダクタンスと 周 波 数 の 関 係 ( 断 面 積 22mm 2 の 接 地 線 の 計 算 例 ) ( 補 足 説 明 ) 22mm 2,30m 長 の 接 地 線 を 例 にとれば 直 流 抵 抗 は 数 10mΩであるが,10MH Z での 高 周 波 インピーダン スは 数 kωにもなる 4.2.2 保 安 用 接 地 保 安 用 接 地 は, 人 体 の 安 全 を 確 保 することを 第 一 目 的 として 施 す 接 地 である 従 って, 対 地 電 位 上 昇 限 界 値 が 低 圧 電 路 地 絡 保 護 指 針 に 規 定 されている 第 2 種 許 容 接 触 電 圧 25Vを 越 えない 範 囲 において D 種 ( 旧 第 三 種 ) 以 上 の 接 地 工 事 を 実 施 すること -29-

4.3 ラインフィルタ 使 用 上 の 注 意 ラインフィルタは 外 部 から 電 源 線 を 通 じて 入 るノイズを 防 止 できるのみでなく, 外 部 へ 出 るノイズを 防 止 する 効 果 もある ラインフィルタ 設 置 にあたっては 交 流 透 過 電 流 に 対 する 下 記 の 規 定 があり, 過 大 とならないよう 注 意 が 必 要 である 電 子 計 算 機 機 器 のラインフィルタ 設 置 に 関 する 基 準 [JEIDA-48-1995] 可 搬 形 機 器 の 場 合, 機 器 ごとに1mA 以 下 ( 簡 単 に 持 ち 運 びできる 機 器 に 装 着 されるラインフィルタの 交 流 透 過 電 流 ) すえ 置 き 形 機 器 の 場 合, 機 器 ごとに3.5mA 以 下 ( 据 置 形 であり,かつ 確 実 に 接 地 線 が 取 り 付 けられる 機 器 に 装 置 されるラインフィルタの 交 流 透 過 電 流 ) 複 数 の 機 器 またはシステムの 場 合, 合 計 で15mA 未 満 (1 台 の 変 圧 器 の 負 荷 として 複 数 の 機 器 を 施 設 する 場 合,ラインフィルタの 交 流 透 過 電 流 の 合 計 ) 4.4 分 散 システム, 遠 隔 設 置 機 器 間 等 の 接 地 分 散 化 システムや 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 本 体 と 長 い 距 離 をおいて 接 続 される 端 末 装 置,ビルの 上 層 と 下 層 に 設 置 される 機 器,あるいは 他 のシステムと 接 続 する 等 の 場 合,4.2.1に 述 べた1 点 接 地 を 実 施 することが 困 難 な 場 合 が 多 い これらに 対 し 共 通 的 に 実 施 できる 接 地 方 法 を 見 いだすことは 非 常 に 困 難 である 従 って, 接 続 される 機 器 の 仕 様 に 基 づいて, 以 下 にあげるような 方 法 例 を 参 考 として, 最 も 適 している 接 続 方 法 を, 取 拾 選 択 することが 重 要 である 光 ( 光 通 信 ) 結 合 機 器, 無 線 機 器 の 使 用 による 分 離 接 続 ( 機 器 別 接 地 の 実 施 ) モデムの 使 用 による 分 離 接 続 (トランス 絶 縁 ) ( 機 器 別 接 地 の 実 施 ) トランシーバあるいはハブ 使 用 による 分 離 接 続 (トランス 絶 縁 ) ( 機 器 別 接 地 の 実 施 ) 保 安 ( 筐 体 ) 接 地 と 機 能 接 地 の 分 離 ( 保 安 接 地 は, 多 点 接 地, 機 能 接 地 は1 点 接 地 とする 方 式 ) 網 状 接 地 (メッシュ 接 地,ネットワーク 接 地 )に 接 続 する 方 式 特 に, 他 社 機 器 間 あるいは 異 なるシステム 間 を 接 続 する 場 合 には 接 地 システムの 違 いによる 誤 動 作 を 防 止 する( 対 策 の 実 施 を 容 易 にする)ため, 連 結 接 続 は 避 けることが 必 要 である -30-

4.5 電 源 線, 筐 体, 信 号 線 の 接 地 方 法 4.2.1,4.3,4.4をまとめた 電 源 線, 筐 体, 信 号 線 の 接 地 方 法 である 電 源 線 の 接 地 方 法 1 それぞれの 機 器 にて 接 地 電 源 線 のラインフィルタはそれぞれの 機 器 の 接 地 端 子 に 接 続 し, 接 地 線 にて 大 地 に 接 地 する 2 電 源 設 備 側 にて 接 地 それぞれの 機 器 で 接 地 が 取 れない 場 合, 電 源 線 を3 線 としてその1 本 を 接 地 線 としてラインフィ ルタを 接 続 し, 電 源 設 備 側 で 接 地 する 筐 体 の 接 地 1 それぞれの 機 器 にて 接 地 筐 体 はそれぞれの 機 器 の 接 地 端 子 に 接 続 し, 接 地 線 にて 大 地 に 接 地 する 2 共 用 の 接 地 それぞれの 機 器 で 専 用 接 地 が 取 れない 場 合, 設 置 場 所 近 傍 の 同 一 システム 機 器 の 接 地 端 子 に 共 用 の 接 地 として 接 続 し, 接 地 する 信 号 線 の 接 地 1 それぞれの 機 器 にて 接 地 信 号 が 機 器 ごとに 分 離 されている 場 合,それぞれの 機 器 の 接 地 端 子 に 接 続 し, 接 地 線 にて 大 地 に 接 地 する 2 代 表 機 器 にて1 点 接 地 信 号 が 複 数 機 器 で 結 合 している 場 合, 複 数 機 器 の 内, 接 地 クラスの 良 い 機 器 で 接 地 端 子 に 接 続 し, 1 点 接 地 する 引 用 文 献 -1996 情 報 システム 安 全 対 策 基 準 解 説 書 情 報 サービス 産 業 協 会 ( 監 修 通 産 省 ) -2006 電 気 設 備 技 術 基 準 とその 解 釈 日 本 電 気 協 会 JEMIS-033-1997 マイクロコンピュータ 応 用 計 測 制 御 機 器 設 置 環 境 ガイドライン 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 JEAC-8001-2005 内 線 規 程 日 本 電 気 協 会 JEAG-8101-1971 電 気 技 術 指 針 低 圧 電 路 地 絡 保 護 指 針 日 本 電 気 協 会 -31-

-1988 ディジタルシステム 耐 ノイズ 設 計 ガイド 計 測 自 動 制 御 学 会 JEIDA-48-1995 電 子 計 算 機 機 器 のラインフィルタ 設 置 に 関 する 基 準 日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 JEIDA-G-23-1999 情 報 処 理 システム 用 接 地 に 関 するガイドライン 日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 ノイズ 対 策 室 編 -1988 ノイズ 対 策 マニュアル イーエムシー 発 行 ノイズ 研 究 所 -32-

5.ノ イ ズ ノイズには, 静 電 気 放 電, 電 界, 磁 界, 雷 サージ, 電 源 ラインノイズなどがあり, 空 中 や 電 源 ライン, 信 号 通 信 ラインから 機 器 に 侵 入 し, 誤 動 作 を 引 き 起 こすだけでなく,その 強 度 によっては 回 路 部 品 の 破 損 などを 生 じさせる 場 合 もある 一 方, 機 器 は, 環 境 や 他 の 機 器 に 対 して 許 容 できないような 電 磁 ノイズを 与 えず,かつ,その 電 磁 環 境 において 機 器 自 身 も 正 常 に 機 能 するように 設 計 されている これを 電 磁 両 立 性 (EMC)と 呼 ぶ 各 種 ノイズ 源 から 発 生 するノイズのレベル( 機 器 自 身 から 発 生 するノイズも 含 む), 装 置 の 感 受 性 ( 装 置 耐 力 レベル), 機 器 の 耐 力 試 験 (イミュニティ 限 度 値 )レベル,そして 両 立 性 レベルの 関 係 を 図 で 表 すと 図 5.1のようになる 以 上 より, 本 項 でのノイズレベルの 規 定 は, 本 来 なら 図 5.1の 両 立 性 レベルを 採 用 すべきである しかしノイズレベルとして 国 際 的 に 明 確 に 規 定 されているのは,IEC61000-4(JIS C61000-4)シリ ーズとして 発 行 されている 機 器 のノイズ 耐 力 (イミュニティ 限 度 値 )レベルである そこで, 以 下 に 述 べる 各 ノイズに 対 する 環 境 基 準 値,クラス 分 け 等 は,このIEC61000-4(JIS C61000-4)シリーズに 規 定 されている 機 器 のノイズ 耐 力 試 験 基 準 (イミュニティ 限 度 値 )に 準 じて 設 定 することとする よって 各 種 の 環 境 から 発 生 し, 機 器 に 影 響 を 与 える 恐 れのあるノイズレベルは, 本 項 で 規 定 する 各 ノイ ズレベルより,より 小 さく 抑 え 管 理 することが 望 ましい 機 器 の 感 受 性 ( 誤 動 作 発 生 等 )( 統 計 的 分 布 ) イミュニティ 限 度 値 ( 規 定 試 験 レベル) ノ イ ズ レ ベ ル 両 立 性 レベル( 環 境 値 ) 全 発 生 ノイズレベル( 統 計 的 分 布 ) 統 計 的 分 布 図 5.1 電 磁 妨 害 のレベルの 関 係 -33-

5.1 静 電 気 静 電 気 に 帯 電 した 人 体 や 運 搬 用 台 車 等 が 装 置 筐 体 の 金 属 部 分 に 接 触 し, 静 電 気 放 電 が 起 こり, 機 器 の 誤 動 作 を 引 き 起 こすことがある また, 印 刷 用 紙 を 使 用 する 機 器 等 においては 静 電 気 による 紙 づまりな ども 発 生 する 静 電 気 の 環 境 に 対 し, 次 のクラス 分 けを 設 ける 静 電 気 接 触 放 電 気 中 放 電 Class A ; 2kV 2kV Class B ; 4kV 4kV Class S1 ; 6kV 8kV Class S2 ; 8kV 15kV Class S3 ; 注 1) 注 1) 注 1) Class S3は,オープンクラスである このクラスは 使 用 者 と 製 造 業 者 との 合 意 に 従 う Class A,Class B,Class S1,Class S2,Class S3の 基 準 電 圧 は,IEC61000-4-2(JIS C61000-4 -2)の 厳 しさレベルのそれぞれレベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベルXの 接 触 / 気 中 放 電 試 験 電 圧 と 同 じとした 尚, 静 電 気 の 試 験 方 法 としては, 静 電 気 を 機 器 に 直 接 放 電 させる 直 接 放 電 試 験 と, 機 器 の 近 くに ある 物 体 への 人 体 からの 放 電 の 影 響, 例 えば 台 車 から 人 に 放 電 することやフリーアクセス 床 板 同 士 が 接 触 し, 放 電 することなどを 模 擬 するために, 静 電 気 を 機 器 に 近 接 した 結 合 板 に 放 電 させる 間 接 放 電 試 験 とがある 図 5.2に 衣 類 により 人 に 生 じる 帯 電 圧 の 一 例 を, 図 5.3にじゅうたんの 上 を 歩 くことによって 生 じる 帯 電 圧 の 一 例 を 示 す 図 5.2 衣 類 により 人 に 生 じる 帯 電 圧 例 図 5.3 じゅうたんの 上 を 歩 くことによって 生 じる 帯 電 圧 例 これらの 例 からわかるように, 帯 電 圧 は 湿 度 に 大 きく 影 響 し,また 床 については 帯 電 防 止 処 理 をして -34-

いないじゅうたん カーペット 等 は,より 高 い 帯 電 圧 が 発 生 する また, 人 体 が 帯 電 し, 放 電 した 場 合 の 人 体 帯 電 電 位 と 電 撃 の 強 さの 関 係 を 整 理 すると 表 5.1のようにな る 人 体 帯 電 電 位 (kv) 表 5.1 人 体 帯 電 と 電 撃 の 関 係 電 撃 の 程 度 備 考 1.0 全 く 感 じない 2.0 指 の 外 側 に 感 じるが 痛 まない かすかな 放 電 音 発 生 2.5 針 に 触 れた 感 じを 受 け,ピクリと 感 じるが 痛 まない 3.0 針 で 刺 された 感 じを 受 け,チクリと 痛 む 4.0 針 で 深 く 刺 された 感 じを 受 け, 指 がかすかに 痛 む 放 電 の 発 光 をみる 5.0 手 のひらから 前 腕 まで 痛 む 指 先 から 放 電 発 光 が 延 びる 6.0 指 が 強 く 痛 み, 後 腕 が 重 く 感 じる 7.0 指, 手 のひらに 強 い 痛 みと,しびれた 感 じを 受 ける 8.0 手 のひらから 前 腕 までしびれた 感 じを 受 ける 9.0 手 首 が 強 く 痛 み, 手 がしびれた 重 みを 受 ける 10.0 手 全 体 に 痛 みと 電 流 が 流 れた 感 じを 受 ける 11.0 指 が 強 くしびれ, 手 全 体 に 強 い 電 撃 を 感 じる 12.0 手 全 体 を 強 打 された 感 じを 受 ける 注 1) 人 体 の 静 電 容 量 ; 約 100pF 注 2) 人 体 からの 放 電 によってもたらされる 電 撃 の 強 さは 放 電 電 荷 量 と 相 関 関 係 があり, 一 般 に 放 電 電 荷 量 が2~3 10-7 クーロン 以 上 になると 電 撃 を 受 けるが, 人 体 の 静 電 容 量 がほぼ 一 定 とみなせる 場 合 は, 人 体 の 帯 電 電 位 によって 表 すことができる 静 電 容 量 が 約 100pFにおける 人 体 帯 電 電 位 と 電 撃 の 強 さの 関 係 は 表 5.1に 示 されるとおり で, 一 般 に 人 体 帯 電 電 位 が 約 3kV 以 上 になると 電 撃 を 受 ける 注 3) 人 が 椅 子 に 腰 掛 けている 場 合,または 特 に 薄 い 靴 底 の 履 物 を 着 用 している 場 合 は, 人 体 の 静 電 容 量 が100pFより 大 きくなるので,このような 場 合 は3kVより 低 い 帯 電 電 位 で も 電 撃 を 受 ける 一 方, 各 種 の 半 導 体 電 子 部 品 は 静 電 気 に 敏 感 なものが 増 加 している そのため, 表 5.2で 示 すよう な 各 種 デバイスの 静 電 気 耐 性 レベルを 考 慮 し, 部 品 類 の 輸 送, 機 器 への 実 装 などの 取 り 扱 いには 十 分 注 意 する 必 要 がある -35-

表 5.2 各 種 デバイスの 静 電 気 耐 性 レベル( 例 ) デバイスのタイプ MOS FET ジャンクションFET CMOS( 保 護 回 路 付 き) ショットキーダイオードTTL バイポーラトランジスタ SCR HDD GMRヘッド 静 電 気 耐 性 レベル(V) 10~100 140~7000 50~1000 300~2500 380~7000 680~1000 5~10 これらの 静 電 気 対 策 としては, 以 下 のようなことがあげられる (1) 回 路 素 子 や 回 路 基 板 に 触 れるような 場 合 は, 試 験 機 器, 治 工 具 及 び 作 業 者 自 身 などは 事 前 に 静 電 気 を 取 り 除 いておく( 静 電 気 対 策 作 業 台, 除 電 マット,リストストラップや 除 電 ブロアの 使 用 など, 機 器 メーカの 指 示 によって 取 り 扱 うこと) (2) 湿 度 を 一 定 に 保 つよう 空 調 し, 冬 期 は 加 湿 を 行 う 例 えば 湿 度 を50%(RH) 程 度 に 保 つ (3) 帯 電 しやすい 印 刷 用 紙 等 を 処 理 するプリンタなどの 機 器 は, 確 実 に 筐 体 接 地 を 施 す (4) 床 材 として 静 電 気 を 発 生 しにくい 材 質,さらには 電 気 伝 導 度 の 高 い 材 質 を 選 ぶ 帯 電 防 止 処 理 して いないじゅうたん,カーペットは 使 用 してはならない (5) フリーアクセスフロアにおいて, 上 げ 床 板 の 表 面 は, 帯 電 防 止 処 理 を 施 した 材 料 を 用 い, 床 板 間, 床 板 と 支 柱 間 は 導 電 パッド 等 により 電 気 的 に 接 続 すること 尚, 上 床 の 支 柱 は, 接 地 線 を 使 用 し, 接 地 することが 望 ましい (6) 衣 類 としては 静 電 気 を 発 生 しにくい 材 質 を 選 び, 靴 も 静 電 気 帯 電 防 止 靴 を 履 くことが 望 ましい 5.2 電 磁 界 5.2.1 放 射 無 線 周 波 電 磁 界 ( 電 界 )(80MHz~1GHz) 放 送 アンテナ,レーダーからの 電 波 や,トランシーバ 及 び 携 帯 電 話 等 の 影 響 によって, 電 源 ライン, 信 号 ラインや 筐 体 の 隙 間 等 から 侵 入 するノイズで, 機 器 の 誤 動 作 や 誤 差 増 大 などの 性 能 低 下 が 生 じる 場 合 がある 電 界 の 環 境 に 対 し, 次 のクラス 分 けを 設 ける 電 界 Class A ; 1V/m(80MHz~1GHz) Class B ; 3V/m( ~ ) Class S1 ; 10V/m( ~ ) Class S2 ; 特 殊 -36-

各 クラスは,おおよそ 次 のような 環 境 を 対 象 にしたものである Class A ; 低 レベルの 電 磁 界 環 境 例 えば1km 以 上 離 れたところにあるラジオ/テレビ 局 の 代 表 的 なレベル 及 び 低 電 力 トランシーバの 代 表 的 なレベル Class B ; 中 程 度 の 電 磁 界 環 境 例 えば 機 器 に 比 較 的 接 近 しているが,1m 以 内 には 近 接 していない 携 帯 形 トランシ ーバ( 定 格 1W 以 下 ) 代 表 的 な 商 業 環 境 Class S1; 厳 しい 電 界 環 境 例 えば 制 御 機 器 のごく 近 傍 (1m 以 内 ではない)にある 高 電 力 トランシーバ( 定 格 2W 以 上 )の 代 表 的 なレベル 代 表 的 な 工 業 環 境 Class S2; 極 めて 厳 しい 電 界 環 境 を 含 む 場 所 に 対 する 空 位 のクラス このレベルは 使 用 者 と 製 造 業 者 の 打 ち 合 わせによるか, 製 造 業 者 によって 定 められ る 尚,Class A,Class B,Class S1,Class S2の 電 界 強 度 は,IEC61000-4-3(JIS C61000-4-3) のそれぞれ,レベル1,レベル2,レベル3,レベルXの 試 験 電 界 強 度 と 同 じとした また, 周 波 数 帯 域 も 同 じく,IEC61000-4-3(JIS C61000-4-3)によった 一 般 的 な 機 器 設 置 室 内 におけるトランシーバ, 携 帯 電 話 及 びPHSの 使 用 については, 表 5.3にその 使 用 条 件 の 例 を 記 載 する 表 5.3 一 般 的 な 機 器 の 設 置 室 内 における 無 線 機 器 の 使 用 条 件 ( 例 ) 無 線 機 器 携 帯 電 話 市 民 ハ ント トランシーハ 業 務 用 無 線 アマチュア 無 線 PHS 機 器 設 置 室 内 での 使 用 可 否 使 用 不 可 使 用 可 注 意 事 項 機 器 が 誤 動 作 する 可 能 性 がある 室 内 に 持 ち 込 む 際 は, 電 源 を 切 ること 機 器 および 信 号 ケーブルから1m 以 上 離 すこと ( 機 器 の1m 以 内 に 近 づける 場 合 は, 必 ず 電 源 を 切 ること ) 小 電 力 コート レス 電 話 小 電 力 トランシーハ 使 用 可 本 体 及 びアンテナは, 機 器 や 信 号 ケーフ ルに 接 触 させないこと 機 器 から 発 生 する 電 波 ノイス によって, 音 声 に 雑 音 が 入 っ たり, 受 信 できなくなることがある 無 線 LANを 使 用 する 場 合 は 影 響 を 与 えないことを 確 認 の こと( 参 考 :ARIB 標 準 ARIB STD-T66) 電 界 から 機 器 を 守 る 手 段 としては, 建 物 または 設 置 室 全 体 のシールドや 信 号 ケーブルのシールドがある -37-

機 器 側 においては, 電 源 ラインへのラインフィルタ 挿 入, 信 号 ラインへのパスコン 挿 入 が 有 効 であり, また 機 器 そのものを 電 磁 シールドすることもある ( 参 考 )デジタル 無 線 電 話,RFIDや 無 線 LANなどを 使 用 する 環 境 に 関 連 し, IEC61000-4-3/2006では1.4~6.0GHz JIS61000-4-3/2005では1.4~2.0GHz のように 規 定 されている 5.2.2 無 線 周 波 電 磁 界 によって 誘 導 された 伝 導 妨 害 ( 連 続 波 伝 導 ノイズ)(150kHz~80MHz) このノイズは, 上 記 の 電 界 で 規 定 するものより 低 い 周 波 数 帯 域 の 無 線 周 波 数 送 信 機 等 からの 妨 害 電 波 が 電 源 ライン 等 に 重 畳 し 機 器 に 侵 入 するものである 妨 害 を 受 ける 機 器 は, 通 常 はより 大 きなシステム の 付 属 部 分 であり, 入 力 及 び 出 力 線, 例 えば 電 力 線, 通 信 線,インターフェースケーブルなどは,これ が 数 波 長 の 長 さになり 得 るので 受 信 アンテナとして 働 き, 機 器 の 誤 動 作 や 誤 差 増 大 などの 性 能 低 下 を 引 き 起 こす 場 合 がある 連 続 波 伝 導 ノイズの 環 境 に 対 し, 次 のクラス 分 けを 設 ける 連 続 波 伝 導 ノイズ Class A ; 1V(150kHz~80MHz) Class B ; 3V( ~ ) Class S1 ; 10V( ~ ) Class S2 ; 特 殊 各 クラスの 想 定 される 環 境 は,おおよそ 上 記 の 5.2.1 放 射 無 線 周 波 電 磁 界 と 同 様 である 尚,Class A,Class B,Class S1,Class S2のノイズ 電 圧 は,IEC61000-4-6(JIS C61000-4-6) のそれぞれ,レベル1,レベル2,レベル3,レベルXの 試 験 電 圧 と 同 じとした また, 周 波 数 帯 域 も 同 じく,IEC61000-4-6(JIS C61000-4-6)によった 連 続 波 伝 導 ノイズから 機 器 を 守 る 手 段 としては, 電 界 と 同 様, 建 物 または 設 置 室 全 体 のシールドや 信 号 ケーブルのシールドがある 機 器 側 においては 電 源 ラインへのラインフィルタ 挿 入, 信 号 ラインへのパスコン 挿 入 が 有 効 である -38-

5.2.3 磁 界 機 器 への 磁 界 の 影 響 としては,CRTディスプレイの 画 揺 れや 機 器 の 誤 動 作,さらには 記 録 媒 体 のデ ータ 破 壊 などがある 磁 界 の 発 生 原 因 としては, 大 電 流 電 力 線 の 周 囲 に 生 じる 磁 界 やトランスの 漏 洩 磁 束 によるもの, 電 気 溶 接 などによる 金 属 類 の 磁 化 や 永 久 磁 石 ( 直 流 磁 界 )などがある 磁 界 の 強 さの 環 境 クラス 分 けを 次 の 通 り 規 定 する 磁 界 交 流 ( 商 用 電 源 周 波 数 ) 磁 界 直 流 磁 界 ( 注 3) ( 実 効 値 ) Class A ; 1A/m 8A/m Class B ; 3A/m 400A/m Class S1; 10A/m 規 定 なし Class S2; 30A/m 規 定 なし Class S3; 100A/m 規 定 なし Class S4; 特 殊 4000A/m 注 1)1A/m=4π 10-3 エルステッド=0.0125エルステッド CGS 系 単 位 では,ガウス(G)で 表 した 磁 束 密 度 の 数 値 bと,この 場 合 の 磁 界 の 強 さをエルステッド(Oe)で 表 した 数 値 hは,b(g)=μ 0 h(oe)であり, 真 空 中 の 透 磁 率 はμ 0 =1としているので, 通 常 b=hとなる 従 って,0.5A/m=0.00628 エルステッド 0.00628ガウス,4000A/m=50エルステッド 50ガウスと 近 似 でき る 注 2) 交 流 ( 商 用 電 源 周 波 数 )のClass Aの 値 は,0.5A/m 以 下 が 望 ましい 注 3) 直 流 磁 界 は 地 磁 気 を 除 く 各 クラスは,おおよそ 次 のような 環 境 を 対 象 にしたものである Class A ; 電 子 ビーム 使 用 の 敏 感 な 装 置 (CRTディスプレイ 等 )が 使 用 可 能 な 環 境 Class B ; 十 分 に 保 護 された 環 境 漏 れ 磁 束 を 発 生 する 可 能 性 のある 電 源 変 圧 器 などの 電 気 機 器 がない 環 境 高 圧 母 線 の 影 響 を 受 けない 区 域 例 えば, 保 護 接 地 導 体 やまたは 工 業 用 施 設 の 区 域 や 高 圧 変 電 所 等 からずっと 離 れた 一 般 家 庭, 事 務 所, 病 院 の 保 護 区 域 Class S1; 保 護 された 環 境 漏 洩 磁 界 または 磁 界 を 生 じる 可 能 性 のある 電 気 機 器 及 びケーブルのある 環 境 保 護 システムの 接 地 導 体 の 近 傍 -39-

高 圧 母 線 等 があるが, 関 連 の 機 器 から 遠 く( 数 百 メートル) 離 れている 環 境 例 えば 商 業 地 域 管 制 塔 重 工 業 プラントがない 地 域,この 環 境 の 典 型 的 な 場 所 は 高 圧 変 電 所 の 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 Class S2; 典 型 的 な 工 業 環 境 母 線 としての 短 い 電 力 支 線 漏 れ 磁 束 を 発 生 する 可 能 性 のある 高 圧 電 力 電 気 機 器 関 連 機 器 から 比 較 的 ( 数 十 メートル) 離 れた 高 圧 母 線 例 えば 重 工 業 プラント, 発 電 所 及 び 高 圧 変 電 所 の 制 御 室 Class S3; 厳 しい 工 業 環 境 数 十 kaを 通 電 する 導 体, 母 線 または 高 圧 線 等 保 護 システムの 接 地 導 体 高 圧 母 線 等 に 近 接 する 区 域 高 電 力 電 気 機 器 に 近 接 する 区 域 例 えば 重 工 業 プラント, 高 圧 及 び 発 電 所 のスイッチヤードの 区 域 Class S4; 特 別 な 環 境 機 器 の 回 路,ケーブル, 電 線 などから 妨 害 源 の 電 磁 的 な 分 離 の 大 小 及 び 設 置 の 品 質 に よって, 上 記 レベルより 更 に 高 いまたは 低 い 環 境 レベルの 使 用 が 必 要 になる 場 合 があ る また,より 高 いレベルの 機 器 の 電 線 が, 厳 しさの 低 い 環 境 を 通 過 する 場 合 がある ことに 留 意 すること 尚,Class A,Class B,Class S1,Class S2,Class S3,Class S4の 交 流 磁 界 強 度 は,IEC61000-4 -8(JIS C61000-4-8)の 連 続 磁 界 に 対 する 試 験 レベルのそれぞれ,レベル1,レベル2,レベル 3,レベル4,レベル5,レベルXと 同 じとした 地 磁 気 ( 東 京 では 約 36A/m)は, 平 行 磁 界 でほとんど 機 器 に 影 響 を 及 ぼさないので,これを 除 く Class Aは,CRTディスプレイの 画 揺 れ,ゆがみ, 色 ずれの 限 界 を 表 す 基 準 である ただし,Class Aの 環 境 では 最 近 のCRTディスプレイにおいてはその 多 くが 問 題 になり,また, 画 揺 れの 感 じ 方 には 個 人 差 があるため, 管 理 する 上 では,0.5A/m( 約 6ミリガウス) 以 下 にすることが 望 ましい (この 程 度 で はほとんどのCRTディスプレイの 画 揺 れは0.15mm 幅 以 下 となり,まず 問 題 にならない )この 程 度 の 磁 界 は, 数 Aの 単 線 電 流 から1m 離 れた 点 において 発 生 する ただし, 実 際 の 電 力 線 においては, 各 相 で 発 生 する 磁 界 が 打 ち 消 し 合 い, 電 流 値 の 不 平 衡 あるいは, 距 離 の 不 平 衡 分 のみで 発 生 する 磁 界 となり, 上 記 の 数 倍 の 電 流 値 で 同 じ 大 きさの 画 揺 れとなる 対 策 としては, 電 力 線 の 各 相 の 電 流 値 を 平 衡 させる, 電 力 線 の 各 相 からの 距 離 を 平 衡 させる, 電 力 線 -40-

を 金 属 管 配 線 にすることなどがあるが, 最 も 効 果 的 なことは, 磁 界 発 生 源 からCRTディスプレイを 離 し て 設 置 することである 尚,4000A/m( 約 50ガウス) 程 度 以 上 の 環 境 (Class S4の 特 別 環 境 )では, 磁 気 ディスク, 磁 気 テープ 等 の 磁 気 媒 体 による 記 録 保 存 の 限 界 (この 環 境 では 記 録 データが 消 失 )であり, 特 に 電 解 プラン トなど, 大 電 流 母 線 が 存 在 する 場 所 においては, 相 当 大 きな 磁 界 が 存 在 するため, 記 録 媒 体 の 保 管 を 含 め, 周 到 な 注 意 が 必 要 である 電 力 線 近 傍 の 磁 束 変 化 により 誘 起 される 電 磁 誘 導 ノイズは,より 線 の 使 用 や 電 磁 シールドにより 防 ぐことができる また, 高 圧 線 との 間 の 浮 遊 容 量 により 誘 起 される 静 電 誘 導 ノイズに 対 しては, 静 電 シ ールドが 有 効 である 信 号 ケーブルはシールド 付 きとし,できるだけ 電 力 ケーブルから 離 す すなわち, 電 力 ケーブルを 金 属 管 配 線 としたり, 両 者 の 間 に 接 地 された 金 属 の 仕 切 り 板 を 入 れるとか, 両 者 を 独 立 した 金 属 製 ダク トに 入 れるなどして, 電 気 的 隔 離 をはかる また, 両 者 の 間 隔 を 離 す, 平 行 配 線 を 避 ける, 交 差 させる 場 合 には 直 角 に 交 差 させるなどして, 物 理 的 隔 離 を 行 う 5.3 サージ( 雷 サージ) 雷 サージは, 下 図 ( 図 5.4)のように 自 然 現 象 に 起 因 する 外 雷 サージ と 電 気 回 路 系 統 における 過 渡 現 象 に 起 因 する 内 雷 サージ とに 大 きく 分 けられる 外 雷 サージには, 電 気 設 備 等 に 直 接 電 撃 を 受 ける 直 撃 雷 サージ( 頻 度 は 少 ないが 雷 エネルギがきわめて 大 きく, 電 源 設 備 のフラッシュオーバは 避 け られず, 避 雷 針 の 設 置 等 で 対 策 する)と 誘 導 雷 サージ( 雷 放 電 時 に 拘 束 が 解 かれ, 送 配 電 線 路 上 を 進 行 する 雷 サージで, 発 生 頻 度 は 多 いが, 電 圧 は 低 い)とがある 内 雷 サージは, 電 力 系 統 の 事 故 時 ( 主 に 三 相 電 源 の 地 絡 事 故 ),あるいは 回 路 の 操 作 時 ( 回 路 開 閉 時 )にも 発 生 する これらの 内 雷 サージの 発 生 頻 度 は 高 い -41-

外 雷 サージ 直 撃 雷 サージ 誘 導 雷 サージ 静 電 誘 導 電 磁 誘 導 サージ 内 雷 サージ 故 障 時 サージ 一 線 地 絡 時 二 線 地 絡 時 間 欠 アーク 時 系 統 開 閉 サージ 無 負 荷 時 開 閉 電 流 裁 断 電 磁 誘 導 不 揃 い 開 閉 転 流 時 静 電 気 その 他 図 5.4 サージの 種 類 雷 サージの 環 境 クラス 分 けを 次 の 通 り 規 定 する( 入 力 電 源 線 からの 雷 サージ) 雷 サージ Class A ; 0.5kV Class B ; 1.0kV Class S1; 2.0kV Class S2; 4.0kV Class S3; 特 殊 注 )この 値 は, 入 力 電 源 線 のライン-アース 間 である ライン-ライン 間 は,この 値 の2 分 の1とする 各 クラスは,おおよそ 次 のような 環 境 を 対 象 にしたものである Class A ; 部 分 的 に 保 護 された 環 境 屋 外 から 室 内 に 入 ってくるすべてのケーブルは, 過 電 圧 (1 次 ) 保 護 を 備 えてい る 機 器 のユニットは, 接 地 ライン 網 によって 適 切 に 相 互 接 続 され,この 網 は 本 質 的 に 電 源 設 備 または 雷 の 影 響 を 受 けない 電 気 機 器 は, 他 の 機 器 から 完 全 に 分 離 された 電 源 を 備 えている スイッチ 操 作 においては, 室 内 に 妨 害 電 圧 を 発 生 し 得 る Class B ; 短 い 配 線 においてもケーブルが 十 分 に 分 離 された 環 境 -42-

設 備 は, 設 備 自 体 または 雷 により 発 生 した 妨 害 電 圧 を 受 けるおそれのある 電 源 設 備 の 接 地 システムに 独 立 の 接 地 ラインを 通 して 接 地 される 電 子 機 器 に 給 電 する 電 源 は,たいていは 電 源 用 の 特 殊 な 変 圧 器 によって, 他 の 回 路 か ら 分 離 されている 設 備 内 に 保 護 されていない 回 路 が 存 在 するが, 十 分 に 分 離 され, 数 が 制 限 されている Class S1; 電 源 ケーブルと 信 号 ケーブルが 平 行 に 配 線 されている 環 境 設 備 は, 設 備 自 体 または 雷 により 発 生 した 妨 害 電 圧 を 受 けるおそれのある 電 源 設 備 の 共 通 の 接 地 システムに 接 地 されている 電 源 設 備 内 の 接 地 不 良,スイッチング 操 作 及 び 雷 による 電 流 は, 接 地 システム 内 に 比 較 的 大 きな 振 幅 の 妨 害 電 圧 を 発 生 させる 場 合 がある 保 護 された 電 子 機 器 及 び 感 度 の 低 い 電 気 機 器 が, 同 じ 電 源 配 線 網 に 接 続 されている 相 互 接 続 ケーブルは, 部 分 的 に 屋 外 ケーブルとなるが, 接 地 網 に 近 づけられている 抑 制 されていない 誘 導 性 負 荷 が 設 備 内 に 存 在 しており, 通 常 は, 種 々の 用 途 のケーブ ルが 分 離 されていない Class S2; 相 互 接 続 線 が 電 源 ケーブルに 沿 って 屋 外 ケーブルとして 配 線 され,ケーブルが 電 子 回 路 と 電 気 回 路 の 両 方 に 使 用 されている 環 境 設 備 は, 設 備 自 体 または 雷 により 発 生 した 妨 害 電 圧 を 受 けるおそれがある 電 源 設 備 の 接 地 システムに 接 続 されている 電 源 設 備 内 の 接 地 不 良,スイッチング 操 作 及 び 雷 によるkAオーダの 電 流 が, 接 地 シス テム 内 に 比 較 的 大 きい 振 幅 の 妨 害 電 圧 を 発 生 させる 場 合 がある 電 源 配 電 網 は 電 子 機 器 と 電 気 機 器 の 両 方 に 対 して 同 一 の 場 合 がある 相 互 接 続 ケーブルは, 高 電 圧 機 器 に 対 し ても 屋 外 ケーブルとして 配 線 されている この 環 境 の 特 殊 な 事 例 は, 電 子 機 器 が 人 口 密 集 地 域 内 の 電 気 通 信 回 線 網 に 接 続 される 場 合 である 電 子 機 器 の 外 部 には, 対 称 的 構 成 の 接 地 網 が 存 在 せず, 接 地 システムは, パイプ,ケーブルだけで 構 成 されている Class S3; 製 品 仕 様 書 等 に 規 定 された 特 殊 な 条 件 尚,Class A,Class B,Class S1,Class S2,Class S3の 厳 さレベルは,IEC61000-4-5(JIS C61000-4-5)のそれぞれ,レベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベルXの 試 験 サージ 電 圧 と 同 じ とした この 雷 サージに 対 する 対 策 には, 以 下 のような 方 法 がある 地 中 ケーブルとする -43-

ケーブルの 場 合 には,できるだけ 地 表 近 くに 架 設 する 受 端 に 避 雷 器 を 取 り 付 け,システムの 接 地 極 とはできるだけ 離 し, 独 立 に 避 雷 用 接 地 極 (A 種 また はD 種 接 地 )を 設 け,かつ 避 雷 器 の 接 地 接 続 を 確 実 に 行 う 避 雷 器 の 接 続 例 を 図 5.5に 示 す 図 5.5 避 雷 器 の 接 続 例 -44-

5.4 ACラインノイズ( 誘 導 性 負 荷 ) ACラインノイズは, 一 般 的 には,リレーやモータなどの 誘 導 性 負 荷 への 電 流 が 遮 断 されたときに 電 源 ラインなどに 発 生 する 高 電 圧 のスパイク 状 のノイズである これらのノイズについては,IEC61000-4-4(JIS C61000-4-4)(ファストトランジェント/ バースト 波 ノイズ)として 機 器 の 耐 力 試 験 規 格 が 制 定 されている 5.4.1 電 気 的 ファストトランジェント/バースト 波 ノイズ(EFT/B) これは 各 種 設 備 機 器 の 電 源 投 入, 切 断, 動 作 などによって 発 生 する 伝 導 性 のノイズ(バースト)で ある これが 電 源 ラインまたは 信 号 ラインから 機 器 内 に 侵 入 し, 誤 動 作 を 引 き 起 こす 場 合 がある ファストトランジェント/バースト 波 ノイズの 環 境 クラス 分 けを 次 の 通 り 規 定 する ファストトランジェント/バースト 波 ノイズ(EFT/B) 電 源 ポート 信 号 ポート Class A ;0.5kV 繰 り 返 し 率 5kHz 0.25kV 繰 り 返 し 率 5kHz Class B ;1.0kV 5kHz 0.5kV 5kHz Class S1;2.0kV 5kHz 1.0kV 5kHz Class S2;4.0kV 2.5kHz 2.0kV 5kHz Class S3; 特 殊 特 殊 特 殊 特 殊 各 クラスは,おおよそ 次 のような 環 境 を 対 象 にしたものである Class A ; 十 分 保 護 された 環 境 電 力 供 給 及 び 制 御 回 路 の 切 り 替 えにおけるすべてのEFT/Bの 抑 制 電 力 供 給 源 ( 交 流 及 び 直 流 )と,より 高 い 厳 しさレベルに 属 する 他 の 環 境 からの 制 御 及 び 測 定 回 路 の 間 の 分 離 設 備 の 基 準 大 地 上 の 両 端 で 接 地 されたシールド 電 力 ケーブル 及 びフィルタによっ て 保 護 された 電 力 供 給 例 えば, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 内 Class B ; 保 護 された 環 境 リレー(コンタクタではない)によってのみ 切 り 換 えられる 電 力 供 給 及 び 制 御 回 路 における,EFT/Bの 部 分 的 な 抑 制 すべての 回 路 を,より 高 い 厳 しさレベルの 環 境 に 結 合 する 他 の 回 路 から 分 離 する シールドされていない 電 力 供 給 及 び 抑 制 ケーブルを, 信 号 及 び 通 信 ケーブルから, -45-

物 理 的 に 分 離 する 例 えば, 工 業 及 び 電 気 工 場 の 制 御 室 または 端 末 室 Class S1; 典 型 的 な 工 業 的 環 境 リレー(コンタクタではない)のみにより 切 り 換 えられる 電 力 供 給 及 び 制 御 回 路 に おける,EFT/Bの 抑 制 はない 工 業 用 回 路 の,より 高 い 厳 しさレベルの 環 境 と 結 合 する 他 の 回 路 との 分 離 は 十 分 で はない 電 力 供 給, 制 御, 信 号 及 び 通 信 線 に 対 する 専 用 ケーブル 電 力 供 給, 制 御, 信 号 及 び 通 信 線 ケーブル 間 の 分 離 は 十 分 でない 導 電 線 パイプ,ケーブルトレー 中 ( 保 護 アースシステムに 接 続 されている)の 接 地 導 体 及 び 大 地 メッシュによって 代 表 される 接 地 システムの 利 用 可 能 性 例 えば, 工 業 用 プロセス 装 置 の 区 域, 発 電 所 及 び 屋 外 高 圧 変 電 所 Class S2; 厳 しい 工 業 用 環 境 リレーとコンタクタとによって 切 り 換 えられる 電 力 供 給 及 び 制 御 及 び 電 力 回 路 にお けるEFT/Bの 抑 制 はない 工 業 用 回 路 は,より 高 い 厳 しさレベルの 環 境 と 結 合 する 他 の 回 路 と 分 離 しない 電 源 供 給, 制 御, 信 号 及 び 通 信 ケーブル 間 は, 分 離 しない 制 御 及 び 信 号 線 に 対 し, 共 通 の 多 芯 ケーブルを 用 いる 例 えば, 特 定 の 設 備 慣 習 が 採 用 されていない 工 業 用 処 理 装 置, 発 電 所, 屋 外 高 圧 変 電 所 の 開 閉 所 及 び500kV 動 作 電 圧 までガス 絶 縁 された 開 閉 装 置 ( 典 型 的 な 設 備 習 慣 を 持 つもの)の 屋 外 区 域 Class S3; 分 析 されるべき 特 殊 な 環 境 妨 害 電 源 を, 装 置 回 路,ケーブル, 電 線 等 から 少 なくまたは 多 く 電 磁 的 に 分 離 する こと, 及 び 設 備 の 品 質 により, 上 述 のレベルに 比 べ,より 高 いまたは 低 い 環 境 レベ ルの 使 用 が 要 求 されるだろう より 高 い 環 境 レベルの 装 置 の 線 は,より 低 い 厳 しさ の 環 境 を 通 過 する 場 合 があることに 留 意 すべき 尚,Class A,Class B,Class S1,Class S2,Class S3の 厳 しさレベルは,IEC61000-4-4(JIS C61000-4-4)のそれぞれ,レベル1,レベル2,レベル3,レベル4,レベルXの 試 験 ノイズ 電 圧 と 同 じ とした -46-

これらのノイズの 発 生 源 がはっきりしていれば, 発 生 源 の 回 路 に 保 護 回 路 を 付 加 して 発 生 を 断 つこと が 先 決 である 発 生 源 が 抑 えられない 場 合 は, 入 力 電 源 を 絶 縁 変 圧 器 で 分 離 するかまたは 外 部 電 源 装 置 (UPS 等 )を 設 置 する 機 器 側 の 対 策 としては, 機 器 電 源 入 力 へのラインフィルタの 挿 入 強 化 を 行 う 信 号 ラインに 対 して は,パスコンや 避 雷 器 (サージアブソーバ) 等 を 付 加 する 誘 導 負 荷 ノイズ 発 生 源 に 対 する 対 策 例 ( 保 護 回 路 :スパークキラー,ダイオード)を 図 5.6に 示 す 図 5.6 誘 導 性 負 荷 ノイズ 発 生 源 に 対 する 対 策 例 -47-

5.5 フィールドノイズ 測 定 機 器 の 紹 介 フィールドにおけるノイズ 関 連 測 定 用 の 機 器 の 例 を 以 下 に 紹 介 する 5.5.1 静 電 気 品 名 仕 様 静 電 気 測 定 器 測 定 範 囲 :0~20kV( 測 定 距 離 :30mm) 人 体 帯 電 測 定 器 測 定 範 囲 :±0.1V~1kV(プローブを 手 で 握 ることにより 人 体 の 帯 電 電 位 を 測 定 記 録 計 を 併 用 することにより 作 業 者 の 各 種 動 作 時 の 帯 電 圧 の 変 化 を 連 続 的 に 記 録 可 能 ) 5.5.2 電 界 品 名 仕 様 等 方 性 広 帯 域 電 界 強 度 計 測 定 電 界 強 度 :0~1/1~3/0~10/0~30V/m 周 波 数 範 囲 :0.5MHz~3GHz/1MHz~500MHz 5.5.3 磁 界 品 名 仕 様 磁 気 測 定 器 (ガウスメータ) 測 定 レンジ:0.2mT/2mT/20mT/200mT 周 波 数 :DC~400Hz (1ガウス=10-4 T(テスラ)) 5.5.4 ACラインノイズ 品 名 ACラインアナライザ 仕 様 イ ベ ン ト: 電 圧, 電 流,インパルス,サグ, 高 調 波 解 析 表 記 示 : 波 形 / 数 値 表 /グラフ 録 : 連 続 /イベント 毎 (プリントアウト/メモリ) -48-

引 用 文 献 1. IEC61000-4-2, 2001 Electrostatic discharge immunity test 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-2,1999 静 電 気 放 電 イミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 2. IEC61000-4-3, 2006 Radiated, radio-frequency, electromagnetic field immunity test 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-3,2005 放 射 無 線 周 波 電 磁 界 イミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 3. IEC61000-4-4, 2004 Electrical fast transient/burst immunity test 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-4,1999 電 気 的 ファーストトランジェント/バーストイミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 4. IEC61000-4-5, 2005 Surge immunity test 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-5,1999 サージイミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 5. IEC61000-4-6, 2006 Immunity to conducted disturbances, induced by radio-frequency fields 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-6,2006 無 線 周 波 電 磁 界 によって 誘 導 された 伝 導 妨 害 に 対 するイミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 6. IEC61000-4-8,2001 Power frequency magnetic field immunity test 日 本 規 格 協 会 JIS C 61000-4-8,2003 電 力 周 波 数 磁 界 イミュニティ 試 験 日 本 規 格 協 会 7. CISPR-24,1997 情 報 技 術 機 器 イミュニティ 特 性 試 験 方 法 及 び 限 度 値 日 本 規 格 協 会 8. JEMIS 033,1997 マイクロコンピュータ 応 用 計 測 機 器 制 御 機 器 設 置 環 境 ガイドライン 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 9. JEITA IT-3001, 2004 情 報 処 理 装 置 およびシステムのイミュニティ 試 験 方 法 と 限 度 値 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 10. RIIS-TR-87-1,1988 年 静 電 気 安 全 指 針 産 業 安 全 技 術 協 会 -49-

6. 振 動 衝 撃 6.1 振 動 衝 撃 による 影 響 近 年, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 において, 機 器 を 構 成 する 電 子 部 品 の 小 型 化, 表 面 実 装 化 等 の 進 展 に 伴 い, 機 器 を 構 成 する 各 部 品 は 低 い 振 動 数 の 振 動 による 影 響 を 従 来 に 比 べて 受 けにくくなっている しかしながら,システムとして 筐 体 やラック 類 に 複 数 の 機 器 が 実 装 される 場 合 などは, 低 い 振 動 数 の 振 動 の 影 響 を 依 然 として 受 けやすい またその 一 方 で, 機 器 の 構 造 の 複 雑 化, 高 密 度 化 により, 高 い 振 動 数 の 振 動 や 衝 撃 による 影 響 は 増 大 しており, 以 前 にも 増 して 十 分 な 配 慮 が 必 要 となってきている 振 動 や 衝 撃 への 対 策 は, 機 器 単 体 において, 設 計 時 点 から 考 慮 しておかなければならないことはもち ろんだが,これらの 機 器 が 設 置 される 建 物 や 設 置 場 所,その 他 設 置 構 造 等 についても 考 慮 する 必 要 があ る これらの 機 器 が 筐 体 等 に 実 装 される 場 合, 外 部 から 加 えられる 振 動 に 対 し, 機 器 単 体 に 加 わる 振 動 は, 筐 体 の 共 振 振 動 数 付 近 では 大 きく 増 幅 されることによる 影 響 も 加 味 する 必 要 がある ( 図 6.1, 図 6.2 参 照 ) また 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 加 わる 外 力 は, 連 続 的 に 加 わる 工 場 等 の 機 器 振 動, 不 連 続 に 加 わる 車 両 建 築 工 事 の 振 動 等 の 他 に, 輸 送 搬 入 時 に 加 わる 大 きな 振 動 衝 撃 や, 自 然 災 害 としての 地 震 に よる 振 動 にも 配 慮 が 必 要 である 20 20 16 標 準 筐 体 (h=1800mm) 大 形 筐 体 (h=2300mm) 16 標 準 筐 体 (h=1800mm) 大 形 筐 体 (h=2300mm) 応 答 倍 率 12 8 応 答 倍 率 12 8 4 4 0 0 4 8 12 16 20 加 振 振 動 数 (Hz) 0 0 4 8 12 16 20 加 振 振 動 数 (Hz) 図 6.1 共 振 曲 線 ( 前 後 方 向 )( 例 ) 図 6.2 共 振 曲 線 ( 左 右 方 向 )( 例 ) -50-

振 動 衝 撃 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 への 影 響 については,つぎのような 事 項 が 考 えられる 接 点 類 の 接 触 不 良 ハンダ 付 け 部 のはがれ 配 線,コネクタのはずれ 断 線 締 結 部 のゆるみ 部 品 の 脱 落 磨 耗 破 損 部 品 相 互 間 の 接 触 筐 体 の 歪 み 破 損 機 器 の 移 動 転 倒 落 下 位 置 決 めの 精 度 や 信 頼 性 の 低 下 とりわけ, 機 器 の 構 造 上 特 性 上, 振 動 衝 撃 に 対 し 弱 い 機 器 (ハードディスクや 各 種 ドライブ 類, 液 晶 ディスプレイ 等 )への 影 響 が 考 えられる 以 上 のような 振 動 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 への 悪 影 響 を 防 止 するために, 環 境 改 善, 機 器 設 計,および, 輸 送 条 件 の 目 安 となる, 振 動 衝 撃 の 基 準 値 を 規 定 する -51-

6.2 加 速 度 振 幅 と 変 位 振 幅 の 関 係 正 弦 波 振 動 において, 加 速 度 振 幅 と 変 位 振 幅, 振 動 数 との 関 係 は, 次 式 で 表 される a = (2πf) 2 d 10-3 ただし 注 ) d: 変 位 振 幅 (mm) a: 加 速 度 振 幅 (m/s 2 ) f: 振 動 数 (Hz) 注 ) 変 位 振 幅 は, 全 振 幅 の1/2を 表 す 上 式 の 関 係 をグラフに 示 したのが 以 下 の 図 6.3である また, 加 速 度 振 幅 a(m/s 2 )は, 慣 用 的 な 表 記 方 法 として, 重 力 加 速 度 G(=9.807 m/s 2 )に 対 する 比 率 bでも 表 現 される b = a / 9.807 (G) 98 (10G) 9.8 (1G) 加 速 度 振 幅 (m/s 2 ) 0.98 (0.1G) 変 位 振 幅 :100mm 10mm 1mm 0.1mm 0.01mm 0.098 (0.01G) 0.0098 (0.001G) 0.1 1 10 100 振 動 数 (Hz) 図 6.3 振 動 図 表 -52-

6.3 振 動 衝 撃 の 分 類 とクラス 分 け 振 動 衝 撃 を 下 記 のように4つに 分 類 し,それぞれに 基 準 値 を 設 定 する 連 続 振 動 機 器 稼 動 中 において 継 続 時 間 が 10 秒 以 上 の 振 動 短 時 間 振 動 機 器 稼 動 中 において 継 続 時 間 が 10 秒 未 満 の 振 動 ( 地 震 を 含 む) 輸 送 振 動 梱 包 状 態 における 断 続 的 な 振 動 輸 送 衝 撃 梱 包 状 態 における 瞬 間 的 な 衝 撃 -53-

6.3.1 連 続 振 動 連 続 振 動 注 ) Class A 1 f < 14Hz 変 位 振 幅 0.125 mm 以 下 14 f 100Hz 加 速 度 振 幅 1.0 m/s 2 (0.1G) 以 下 注 ) Class B 1 f < 14Hz 変 位 振 幅 0.25 mm 以 下 14 f 100Hz 加 速 度 振 幅 2.0 m/s 2 (0.2G) 以 下 注 ) Class S 1 f < 14Hz 変 位 振 幅 0.625 mm 以 下 14 f 100Hz 加 速 度 振 幅 4.9 m/s 2 (0.5G) 以 下 注 ) 変 位 振 幅 は, 全 振 幅 の1/2を 表 す 98 (10G) 9.8 (1G) Class S Class B 加 速 度 振 幅 (m/s 2 ) 0.98 (0.1G) Class A 0.098 (0.01G) 0.0098 (0.001G) 0.1 1 10 14 100 振 動 数 (Hz) 図 6.4 連 続 振 動 -54-

[ 補 足 説 明 ] 本 基 準 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 動 作 時,および, 休 止 時 に 対 して 適 用 する 振 動 の 変 位 振 幅 と 加 速 度 振 幅 の 基 準 値 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 場 所 での 値 とする 厳 しさのレベルについては, 下 記 の 機 器 が 稼 動 できるような 環 境 を 示 す3 段 階 にクラス 分 けを 行 う 各 レベルの 目 安 は 以 下 の 通 りである Class A 構 造 的 に 可 動 部 を 有 するなど, 外 力 に 対 して 弱 い 機 器 Class B 上 記 Class A 以 外 の 一 般 的 機 器 Class S 振 動 条 件 が 特 に 厳 しい 場 合 で, 特 別 な 対 策 が 必 要 となる 機 器 振 動 数 範 囲 は, 以 下 の 理 由 により,1~100Hz とした 1 IEC60654-3 が 参 照 している IEC60068-2-6 環 境 試 験 方 法 試 験 Fc: 振 動 ( 正 弦 波 ) が 規 定 している 推 奨 振 動 数 範 囲 の 中 で,1~100Hz が 対 象 とする 機 器 への 規 定 範 囲 として 最 もふさわしい 2 振 動 試 験 器 の 加 振 振 動 数 の 下 限 値 は, 通 常 1Hz 程 度 である 3 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 共 振 振 動 数 の 下 限 値 は, 一 般 的 に1Hz 以 上 であり,1Hz 未 満 の 振 動 がこれらの 機 器 に 与 える 影 響 は,きわめて 小 さい 折 れ 点 振 動 数 は,IEC60654-3 では8~9Hz が 規 定 されているが, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 が 実 装 されるキャビネット 構 造 の 場 合, 共 振 振 動 数 は 通 常 5Hz~10Hz 代 前 半 にあるため,それ ら 範 囲 をはずし,14Hz を 区 分 点 ( 折 れ 点 )として, 振 動 数 の 低 い 振 動 (1 f <14Hz)は 変 位 振 幅 で 規 定 し, 高 い 振 動 (14 f 100Hz)は 加 速 度 振 幅 で 規 定 した 耐 振 動 試 験 は, 正 弦 波 振 動 を 用 い, 前 後 左 右 鉛 直 の 直 交 する3 軸 方 向 についてそれぞれ 実 施 する -55-

6.3.2 短 時 間 振 動 短 時 間 振 動 注 ) Class A 1 f < 7Hz 変 位 振 幅 1.0 mm 以 下 7 f 100Hz 加 速 度 振 幅 2.0 m/s 2 (0.2G) 以 下 注 ) Class B 1 f < 7Hz 変 位 振 幅 2.5 mm 以 下 7 f 100Hz 加 速 度 振 幅 4.9 m/s 2 (0.5G) 以 下 注 ) Class S 1 f < 7Hz 変 位 振 幅 5.0 mm 以 下 7 f 100Hz 加 速 度 振 幅 9.8 m/s 2 (1G) 以 下 注 ) 変 位 振 幅 は, 全 振 幅 の1/2を 表 す 98 (10G) 9.8 (1G) Class S Class B Class A 加 速 度 振 幅 (m/s 2 ) 0.98 (0.1G) 0.098 (0.01G) 0.0098 (0.001G) 7 0.1 1 10 100 振 動 数 (Hz) 図 6.5 短 時 間 振 動 -56-

[ 補 足 説 明 ] 本 基 準 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 動 作 時,および, 休 止 時 に 対 して 適 用 する また 地 震 に 対 する 耐 震 性 についても 本 基 準 を 適 用 する 振 動 の 変 位 振 幅 と 加 速 度 振 幅 の 基 準 値 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 場 所 での 値 とする 厳 しさのレベルは,3 段 階 にクラス 分 けを 行 う 各 クラスの 厳 しさの 値 と 地 震 の 各 震 度 レベル の 間 には, 建 物 等 による 設 置 場 所 の 振 動 増 幅 を 約 2 倍 と 想 定 した 場 合,おおよそ 以 下 のように 対 応 する Class A 震 度 4 Class B 震 度 5 強 Class S 震 度 6 弱 震 度 階 級 と 加 速 度 振 幅 の 関 係 等 については, 参 考 資 料 -3 参 照 のこと 耐 振 動 試 験 は, 正 弦 波 振 動 を 用 い, 前 後 左 右 鉛 直 の 直 交 する3 軸 方 向 についてそれぞれ 実 施 する -57-

6.3.3 輸 送 振 動 輸 送 振 動 Class A 鉛 直 加 速 度 振 幅 4.9 m/s 2 (0.5G) 以 下 水 平 加 速 度 振 幅 2.9 m/s 2 (0.3G) 以 下 Class B 鉛 直 加 速 度 振 幅 9.8 m/s 2 (1G) 以 下 水 平 加 速 度 振 幅 4.9 m/s 2 (0.5G) 以 下 Class S 鉛 直 加 速 度 振 幅 19.6 m/s 2 (2G) 以 下 水 平 加 速 度 振 幅 9.8 m/s 2 (1G) 以 下 [ 補 足 説 明 ] 本 基 準 は, 梱 包 状 態 において, 外 部 より 加 えられる 振 動 に 対 して 適 用 する 梱 包 を 行 わずに 輸 送 する 場 合 は, 休 止 時 条 件 が 適 用 される 梱 包 を 行 わず, 可 動 部 のロックな どの 簡 単 な 処 置 で 輸 送 する 機 器 については, 輸 送 における 条 件 を 休 止 時 条 件 より 拡 げることが できるが,このような 梱 包 以 外 の 処 置 を 施 しての 輸 送 については, 個 別 に 規 定 するものとし, 本 基 準 の 適 用 外 とする 適 用 する 輸 送 振 動 のクラスは, 機 器 自 身 の 耐 振 性 と 梱 包 方 法 によって 決 定 する 輸 送 振 動 については, 輸 送 中 の 振 動 のみではなく, 輸 送 手 段 への 積 み 込 み, 積 み 降 ろし 等 の 荷 役 作 業 にも 注 意 を 払 う 必 要 がある トラック, 列 車, 船, 航 空 機 等 の 交 通 機 関 によって 発 生 する 振 動 数 は, 通 常,8~70Hz である が, 各 輸 送 手 段 において, 輸 送 時 の 振 動 を 考 慮 した 走 行 基 準 等 を 設 定 することが 望 ましい 耐 振 動 試 験 は, 正 弦 波 振 動 を 用 い, 梱 包 搬 送 における 制 限 事 項 に 基 づき, 必 要 な 軸 方 向 につ いてそれぞれ 実 施 する -58-

6.3.4 輸 送 衝 撃 輸 送 衝 撃 Class A 鉛 直 ピーク 加 速 度 49.0 m/s 2 (5G) 以 下 水 平 ピーク 加 速 度 29.4 m/s 2 (3G) 以 下 Class B 鉛 直 ピーク 加 速 度 98.1 m/s 2 (10G) 以 下 水 平 ピーク 加 速 度 49.0 m/s 2 (5G) 以 下 Class S 鉛 直 ピーク 加 速 度 196.1 m/s 2 (20G) 以 下 水 平 ピーク 加 速 度 98.1 m/s 2 (10G) 以 下 [ 補 足 説 明 ] 本 基 準 は, 梱 包 状 態 において, 外 部 より 加 えられる 衝 撃 に 対 して 適 用 する 梱 包 を 行 わずに 輸 送 する 場 合 は, 休 止 時 条 件 が 適 用 される 梱 包 を 行 わず, 可 動 部 のロックな どの 簡 単 な 処 置 で 輸 送 する 機 器 については, 輸 送 における 条 件 を 休 止 時 条 件 より 拡 げることが できるが,このような 梱 包 以 外 の 処 置 を 施 しての 輸 送 については, 個 別 に 規 定 するものとし, 本 基 準 の 適 用 外 とする 適 用 する 輸 送 衝 撃 のクラスは, 機 器 自 身 の 耐 衝 撃 性 と 梱 包 方 法 によって 決 定 する 輸 送 衝 撃 については, 輸 送 中 の 衝 撃 のみではなく, 輸 送 手 段 への 積 み 込 み, 積 み 降 ろし 等 の 荷 役 作 業 にも 注 意 を 払 う 必 要 がある 耐 衝 撃 試 験 は, 梱 包 搬 送 における 制 限 事 項 に 基 づき, 必 要 な 軸 方 向 についてそれぞれ 実 施 す る 参 考 として, 各 輸 送 手 段 における 最 大 衝 撃 値 ( 輸 送 条 件 によって 異 なる)を 次 に 示 す (JEMIS033 より 引 用 ) トラック 13~24 m/s 2 (1.33~2.45G) 貨 車 30~40 m/s 2 (3.06~4.08G) 船 舶 (1000 tクラス) 2~ 8 m/s 2 (0.20~0.82G) 航 空 機 10~20 m/s 2 (1.02~2.04G) -59-

6.4 振 動 衝 撃 対 策 6.4.1 振 動 対 策 振 動 や 衝 撃 などの 外 力 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 への 悪 影 響 を 防 止 するためには,その 要 因 を 取 り 除 くことが 最 も 望 ましいが,それが 困 難 な 場 合 には 以 下 のような 対 策 が 考 えられる 1) 機 器 の 強 度 を 増 す 部 品 の 厚 みや 太 さを 大 きくすることにより, 部 品 個 々の 強 度 を 高 めたり, 締 結 の 強 度 や 数 を 増 や すなど, 機 器 の 構 造 的 な 強 度 を 高 めることにより, 外 力 に 抗 すに 十 分 な 強 度 を 機 器 自 体 に 持 たせる 方 法 である また 機 器 自 体 の 転 倒 や 落 下 などを 防 止 するため, 床 や 机 上 などに 強 固 に 固 定 するなど もこの 方 法 に 含 まれる しかしながら 強 度 を 高 めることは, 個 々の 部 品 のコストや 組 立 てのコストの 上 昇 をもたらす 上, 機 器 の 質 量 の 増 加 をもたらすことを 考 慮 しなければならない また 強 度 と 質 量 の 増 加 は 固 有 振 動 数 に 影 響 を 与 えるので 注 意 が 必 要 である 2) 減 衰 比 を 高 める 外 力 による1 自 由 度 線 形 強 制 振 動 の 加 速 度 振 幅 倍 率 は 以 下 の 式 で 表 される 2 2 2 1 ω ω 2 2 + ζ ωn ωn ω ωn 2 ω : 外 力 の 角 振 動 数 ω n : 振 動 系 の 固 有 角 振 動 数 ζ : 減 衰 比 上 式 から, 様 々な 振 動 数 の 振 動 を 抑 制 するためには 減 衰 比 を 大 きくすればよいことがわかる 具 体 的 には, 振 動 に 弱 い 部 品 や 機 器 を, 振 動 を 吸 収 する 柔 軟 な 材 質 で 固 定 したり, 防 振 ゴムや,エア 緩 衝 材 などを 利 用 する 方 法 などがある この 方 法 は 高 い 振 動 数 に 対 して 有 効 である 3) 共 振 を 防 止 する 入 力 の 振 動 数 が 特 定 されるならば,たとえ 減 衰 比 が 小 さくとも, 上 式 の 振 動 数 比 (ω/ω n )を 1から 遠 ざける( 共 振 を 防 ぐ)ことが 有 効 である 低 い 振 動 数 の 振 動 に 対 しては, 上 記 1)の 対 策 をかねて, 機 器 の 剛 性 を 高 めると 供 に,ばね 定 数 を 高 めることができる とりわけ 大 型 機 器 の 地 震 対 策 には 有 効 である また 高 い 振 動 数 の 振 動 に 対 しては 防 振 ゴムや 空 気 ばねなどが 有 効 である -60-

4) 外 力 を 低 減 する 機 器 の 設 置 にあたり, 外 力 を 完 全 に 排 除 できなくとも, 機 器 の 設 置 床 を 振 動 源 と 切 り 離 して 防 振 処 理 を 施 したり, 防 振 器 や 免 震 台 を 利 用 することで, 機 器 への 影 響 を 低 減 する 方 法 をとることがで きる また 規 模 は 大 きくなるが, 地 震 対 策 などに 対 しては, 機 器 やシステムの 規 模 によっては 建 物 の 低 層 階 への 設 置 の 他, 建 物 の 構 造 上 から 免 震 化 や 制 震 化 するなど 建 物 そのものへの 対 策 がより 有 効 かつ 合 理 的 な 場 合 もある ( 地 震 対 策 については,11 章 で 詳 述 する ) これら 対 策 は, 構 造 上 特 性 上, 機 器 によっては 対 策 が 困 難 な 場 合 もあり,また 対 策 自 体 が 非 常 に 高 価 なものになってしまう 場 合 もある 従 ってどの 方 法 を 選 択 もしくは 併 用 するべきかは, 各 機 器 の 特 性 や 使 用 法 に 応 じて, 効 果 の 有 効 性 と 実 現 性 を 考 慮 して 行 われるべきである また, 高 周 波 振 動 に 対 する 振 動 対 策 が, 低 周 波 振 動 に 対 する 振 動 対 策 と 相 反 する 場 合 もあるため, 実 施 する 振 動 対 策 が 他 方 に 及 ぼす 影 響 についても 検 討 すべきである 6.4.2 輸 送 振 動 衝 撃 対 策 輸 送 時 の 振 動 衝 撃 を 完 全 に 把 握 管 理 することは 難 しいため,まず 梱 包 搬 送 条 件 や, 走 行 基 準 の 設 定 を 行 い,それらを 明 示 することが 望 ましい また,これら 振 動 衝 撃 は 動 作 時 の 振 動 と 異 なり, 振 動 数 を 特 定 することは 難 しく, 一 概 に 共 振 を 防 止 するのは 困 難 である 従 って 動 作 時 の 振 動 対 策 同 様, 機 器 自 体 の 強 度 を 増 加 させるのに 加 え, 入 力 を 低 減 させるための 対 策 や, 衝 撃 ピーク 値 を 低 減 するための 緩 衝 対 策 が 考 えられる 輸 送 時 の 振 動 衝 撃 による 影 響 は, 外 観 の 損 傷 を 伴 う 場 合 と, 機 器 全 体 の 構 造 的 な 損 傷 が 考 えられる が, 外 観 の 損 傷 については 比 較 的 硬 質 な 外 装 梱 包 による 対 策 が 有 効 であり, 機 器 全 体 の 損 傷 に 対 して は, 外 装 梱 包 内 にエア 緩 衝 材 等 による 外 力 の 低 減 と 瞬 時 値 の 低 減 が 有 効 である ただし, 緩 衝 材 等 による 梱 包 では 輸 送 時 の 多 様 な 振 動 数 の 振 動 による 外 装 梱 包 内 での 共 振 が 起 こらな いように 考 慮 する 必 要 がある その 他 に 防 振 器 の 使 用 や, 精 密 機 器 の 輸 送 に 適 した 空 気 式 サスペンションを 備 えた 車 両 などの 利 用 も 必 要 に 応 じて 検 討 すべきである -61-

6.5 測 定 機 器 表 6.1に, 加 速 度 または 衝 撃 を 測 定 するための 測 定 機 器 の 例 を 示 す 表 6.1 測 定 機 器 の 例 測 定 機 器 名 仕 様 < 振 動 > 振 動 計 使 用 センサ 圧 電 式 振 動 数 範 囲 1~10000Hz 測 定 範 囲 加 速 度 0.0098~98m/s 2 (0.001~10G) 速 度 変 位 0.1~100cm/s 0.01~100mm 出 力 AC,DC < 衝 撃 > 衝 撃 レコーダ 測 定 レンジ 196/490/980/1960/4900 m/s 2 (20/50/100/200/500 G) 入 力 周 波 数 サンプリング 周 期 集 録 時 間 DC~300 Hz 1 ms 100 ms 3 軸 加 速 度 レコーダ 加 速 度 センサ 応 答 周 波 数 サンプリング 周 期 記 録 容 量 最 大 50G 2Hz~1kHz 120msec,62msec,31msec,20msec,10msec( 選 択 ) 15000データ 以 上 -62-

引 用 文 献 1. IEC60654-3 1983 Operating conditions for industrial-process measurement and control equipment. Part 3: 2. JIS C 1804 1995 Mechanical influences 工 業 プロセス 計 測 制 御 機 器 の 使 用 環 境 条 件 日 本 規 格 協 会 日 本 規 格 協 会 3. IEC60068-2-6 1995 Environmental testing - Part 2: Tests - Test Fc: Vibration (sinusoidal) 4. JIS C 60068-2-6:1999 環 境 試 験 方 法 - 電 気 電 子 - 正 弦 波 振 動 試 験 方 法 日 本 規 格 協 会 日 本 規 格 協 会 5. IEC60068-2-27 1987 Environmental testing. Part 2: Tests. Test Ea and guidance: Shock 6. JIS C 60068-2-27:1995 環 境 試 験 方 法 電 気 電 子 衝 撃 試 験 方 法 7. JEMIS 033 1997 マイクロコンピュータ 応 用 計 測 制 御 機 器 設 置 環 境 ガイドライン 8. 東 芝 レビュー(35 巻 9 号 )1980 TOSBACシリーズ7/70システム 耐 震 検 証 試 験 日 本 規 格 協 会 日 本 規 格 協 会 日 本 電 気 計 測 器 工 業 会 東 芝 -63-

7. 塵 埃 7.1 塵 埃 の 問 題 点 従 来, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 は, 温 度, 湿 度, 塵 埃, 腐 食 性 ガス 等 の 物 理 的 環 境 から 遮 断 された 完 全 空 調 設 備 をもつ 建 屋 の 中 に 収 められ, 超 精 密 品 として 取 り 扱 われてきた しかし, 近 年 の 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 は 工 業 分 野 への 進 出 に 伴 い, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 場 所 も 徐 々に 完 全 空 調 の 建 屋 から 環 境 対 策 を 施 さない 操 作 室 や 現 場 で 使 用 されるケースが 多 くな ってきた このような 状 況 下, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 は, 塵 埃 対 策 を 考 慮 し 設 計, 製 造 されてきているが, 完 全 に 塵 埃 の 影 響 を 無 視 し 得 るには 到 っていない 一 方,ユーザ 側 でも, 不 用 意 に 従 来 からの 調 節 計, 計 測 器 と 同 じ 環 境 下 に 設 置 したり, 同 様 な 取 り 扱 いをしたために, 塵 埃 による 故 障 またはトラブルを 引 き 起 こす 結 果 となっている 塵 埃 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 可 動 部 および 接 触 部 に 対 して 特 に 悪 影 響 を 与 えるほか, 比 較 的 密 閉 度 の 低 い 磁 気 媒 体 のアクセス エラー,キーボードやタッチパネルの 接 触 不 良,OCR 等 光 を 媒 体 と する 装 置 の 誤 動 作 などを 引 き 起 こす 原 因 となる また, 金 属 粉 やウイスカ 等 の 導 電 性 の 塵 埃 の 場 合, 絶 縁 低 下 や 短 絡 を 起 こし, 逆 に, 絶 縁 性 の 塵 埃 の 場 合 には,コンタクト 間 に 付 着 して 接 触 不 良 を 起 こすといった 大 きな 障 害 の 原 因 ともなる さらに 装 置 が 冷 却 方 式 として 強 制 空 冷 方 式 を 採 る 場 合, 冷 却 用 エア 取 込 口 のエアーフィルタが 塵 埃 により 目 詰 まり し,このため, 装 置 内 部 温 度 が 上 昇 して 故 障 に 到 る 事 例 も 報 告 されている また, 塵 埃 の 問 題 は, 塵 埃 単 独 による 悪 影 響 もさることながら 湿 度 により 障 害 の 進 行 が 加 速 される 事 も 明 らかになってきている( 腐 食 性 ガスの 頁 参 照 ) 塵 埃 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 への 悪 影 響 は, 上 述 したように 明 らかであるにもかかわらず, 今 なお 故 障,トラブルの 大 きな 原 因 の1つになっていることは, 塵 埃 に 対 してメーカ 側 でその 許 容 値 を まったく 規 定 していなかったり, 規 定 はしてあるが 測 定 方 法 があいまいで,メーカとユーザの 間 で 食 い 違 いがあったりすることに 起 因 している これは, 塵 埃 の 種 類 形 状 大 きさと 機 器 への 影 響 のメカニズムとの 関 係 が, 塵 埃 の 測 定 の 複 雑 さも あって 充 分 に 究 明 されていないためである さらに 測 定 方 法 の 規 定 も 充 分 であるとはいい 難 く, 現 場 で の 観 測 を 定 量 的 に 行 うこと 自 体 が 困 難 であることが 多 い -64-

7.2 塵 埃 の 条 件 7.2.1 前 提 条 件 塵 埃 には, 繊 維 質, 岩 石, 鉄 等 の 磁 性 体,または 非 磁 性 体,その 他, 有 機, 無 機 物 質 等 その 素 材 や, 粒 子 の 大 きさでさまざまなものがあり,これらはさらに 周 囲 の 温 度, 湿 度, 腐 食 性 ガス 等 との 複 合 効 果 などさまざまな 要 素 と 複 雑 に 絡 み 合 っており, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 への 影 響 を 一 義 的 に 定 量 化 す ることはむずかしい また, 塵 埃 を 測 定 する 上 でも, 浮 遊 塵 埃 ( 浮 遊 粒 子 状 物 質 )と 沈 積 塵 埃 に 分 類 され, 測 定 方 法 も 確 立 されたとはいいがたいが 本 基 準 では 次 の 方 法 によるものとする (1) 浮 遊 塵 埃 *1) 空 気 中 の 浮 遊 塵 埃 の 測 定 方 法 を 分 類 すると, 浮 遊 測 定 方 法 と 捕 捉 測 定 方 法 の2 種 類 に 分 けられる 両 方 法 とも 一 長 一 短 があり, 確 定 的 なものはないが 本 基 準 では, 簡 便 で 短 時 間 測 定 が 可 能 であり, 測 定 者 の 技 術 水 準 に 影 響 されず, 比 較 的 装 置 としてもコンパクトなデジタル 粉 塵 計 による 方 法 で 測 定 するも のとする デジタル 粉 塵 計 では 浮 遊 塵 埃 に 光 を 当 てると, 散 乱 光 の 量 が 質 量 濃 度 に 比 例 することを 利 用 して, 質 量 濃 度 を 散 乱 光 の 強 弱 として 相 対 濃 度 を 測 定 しようとするもので, 光 ビーム 中 に 吸 引 された 空 気 の 流 れ を 通 し, 光 電 変 換 素 子 (たとえば 光 電 子 増 倍 管 )で 光 電 流 の 強 弱 に 変 換 して 測 定 する 方 法 である また,デジタル 粉 塵 計 は, 積 分 回 路 で 積 分 し, 光 電 流 と 時 間 との 積 が 一 定 となったときにパルス1つ を 出 すような 構 成 となっており, 計 数 された 相 対 濃 度 に,あらかじめ 校 正 されている 変 換 係 数 を 乗 じて 塵 埃 の 質 量 濃 度 を 求 める 機 器 であり,かなり 広 範 囲 に 測 定 することが 可 能 である 測 定 の 対 象 となる 塵 埃 は2μm 以 下 の 粒 子 が95%を 占 めており,5μm 以 上 のものは 対 象 としない 2 ~5μmのものは 測 定 されても 質 量 の 割 に 表 面 積 が 増 加 しないため, 誤 差 は 比 較 的 少 ない 測 定 は, 同 時 に 多 点 で 行 い,また, 何 回 か 測 定 してその 平 均 値 を 測 定 する *1) 詳 細 は, 参 考 資 料 -2 1. 浮 遊 塵 埃 の 測 定 方 法 の 分 類 を 参 照 (2) 沈 積 塵 埃 沈 積 塵 埃 は 短 時 間, 単 位 面 積 当 りの 降 下 塵 埃 量 で 測 定 されるが 測 定 方 法 は 確 立 されておらず, 絶 対 値 評 価 を 行 うことも 極 めてむずかしい 沈 積 塵 埃 は 浮 遊 塵 埃 に 比 べて 粒 子 がかなり 大 きく, 沈 積 塵 埃 が 問 題 になるところでは 特 殊 環 境 として 防 塵 カバーを 設 けることで 対 処 するものとし,ここでは 基 準 値 の 設 定 は 行 わない [ 補 足 説 明 ] 1) 大 気 中 の 塵 埃 の 粒 子 寸 法 を 比 較 すると 参 考 資 料 -2 表 2.4 主 な 塵 埃 の 粒 度 表 のようになる -65-

2) 質 量 濃 度 を 求 める 方 法 (デジタル 粉 塵 計 )は, 塵 埃 濃 度 の 比 較 的 高 い 場 合 の 測 定 に 用 いられ, 一 方, 粒 子 を 数 える 方 法 (パーティクルカウンタ)は,クリーンルーム 等 の 濃 度 の 比 較 的 低 い 場 合 の 測 定 に 用 いられている 7.2.2 塵 埃 環 境 のクラス 分 け( 浮 遊 塵 埃 ) 塵 埃 環 境 のクラス 分 けを 次 に 示 す Class A : 0.1mg/m 3 以 下 Class B : 0.3mg/m 3 以 下 Class S : 8mg/m 3 以 下 注 1) 注 1)ClassA,Bの 上 限 値 は, 事 務 所 衛 生 基 準 規 則 ( 厚 生 労 働 省 令 第 70 号 )の 浮 遊 粉 じん 量 0.15mg/ m3を 参 考 にした Class Sの 上 限 値 8mg/m 3 は, 日 本 産 業 衛 生 学 会 による 第 3 種 粉 塵 の 許 容 濃 度 ( 勧 告 値 )である 注 2) 塵 埃 濃 度 の 目 安 は,たとえば, 禁 煙 のきれいな 事 務 所 で0.07mg/m 3, 喫 煙 許 可 のところでは 0.2mg/m 3 程 度 である 7.3 塵 埃 対 策 塵 埃 から 防 護 する 対 策 として, 次 の2つの 方 法 が 考 えられる (1) 設 置 する 部 屋 自 体 に 塵 埃 対 策 を 施 す 方 法 専 用 の 部 屋 を 設 けて 外 部 から 遮 断 された 環 境 に 機 器 を 設 置 する 場 合 は 問 題 ないが, 操 作 室 等 に 設 置 す る 場 合 は 集 塵 装 置 を 設 ける 必 要 がある ただし, 専 用 の 部 屋 をせっかく 設 けても 土 足 のままで 入 室 する ことは 避 けなければならないし,タバコによる 障 害 ( 煙 自 体 よりも 二 次 的 な 影 響, 例 えば, 灰 をキーボ ードやフレキシブルディスク 等 の 開 放 型 機 器 に 落 下 させてしまう 等 )も 無 視 できないため, 禁 煙 とする 必 要 がある また 集 塵 装 置 を 設 けた 場 合 でも, 二 次 公 害 (オゾンの 発 生 等 )や,せっかく 補 修 したダス トの 再 飛 散,また 濾 過 式 集 塵 の 場 合 の 濾 過 後 の 微 小 粒 子 等 に 対 しても 注 意 しなければならない 参 考 資 料 -2に 作 業 別 集 塵 装 置 の 選 定,ならびに 集 塵 装 置 の 性 能 比 較 を 示 した 機 器 内 に 入 り 込 み 短 絡 事 故 を 発 生 させる 恐 れのあるウイスカの 発 生 を 防 ぐため, 電 気 亜 鉛 めっきを 施 した 上 げ 床 材 等 の 使 用 は 避 けること -66-

(2) 機 器 自 体 あるいは 機 器 を 含 めた 筐 体 全 体 に 防 塵 対 策 を 施 す 方 法 専 用 の 部 屋 を 設 けない 場 合 とか,あるいは, 環 境 改 善 は 行 っているが, 充 分 でない 場 合, 第 2の 塵 埃 対 策 として, 機 器 自 体,あるいは 機 器 を 含 めた 筐 体 全 体 の 防 塵 対 策 が 考 えられる 沈 積 塵 埃 に 対 しては, 塵 埃 が 入 り 込 まない 程 度 の 防 塵 カバーを 取 付 けたり, 極 力 開 孔 部 の 少 ない 構 造 にすること 等 で 対 処 でき るが, 浮 遊 塵 埃 に 対 してや, 沈 積 塵 埃 でも 再 飛 散 を 考 える 場 合 は, 密 閉 構 造 を 考 える 必 要 がある 機 器 や 筐 体 に 防 塵 対 策 を 施 した 場 合, 最 も 注 意 しなければならないことは, 熱 の 問 題 である とくに 現 場 機 器 の 設 置 の 場 合 などでは, 周 囲 温 度 自 体 がかなり 高 くなっていることが 予 想 され, 機 器 の 自 己 発 熱 に 対 する 放 熱 のむずかしさもあって 機 器 内 は 相 当 の 高 温 になるおそれがある このため 防 塵 対 策 を 施 した 機 器 に 対 しては 熱 をいかに 外 部 に 放 出 するかという 対 策 も 同 時 に 考 えなければならない この 方 法 として は, 直 接 外 気 で 冷 却 する 方 法 より 熱 交 換 器 による 冷 却 が 望 ましい また, 強 制 空 冷 方 式 を 採 用 している 装 置 の 殆 どが 冷 却 用 エアー 取 込 口 にエアーフィルタを 設 けている ので 定 期 的 に 清 掃, 交 換 を 実 施 する 等,エアーフィルタの 目 詰 まり 対 策 を 講 ずる 必 要 がある 参 考 資 料 -2にエアーフィルタの 種 類 を 示 した [ 補 足 説 明 ] 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 にとっては, 肉 眼 で 見 えるゴミだけでなく, 見 えないゴミにも 注 意 を 払 う 必 要 がある 現 在 のいかなるフィルタも 機 器 に 侵 入 してくるゴミを100% 取 除 くことは 不 可 能 であるた め, 塵 埃 の 少 ない 環 境 を 用 意 するか,あるいは 環 境 を 設 備 することは 不 足 の 事 態 を 事 前 に 防 止 する 上 で 極 めて 好 ましい たとえば, 煙 草 をくわえて 深 呼 吸 すると 約 10,000,000 個 の 粒 子 ( 直 径 0.5μm 以 上 で)が 吐 き 出 され る [ 解 説 ] (1) 塵 埃 試 験 装 置 現 在, 市 販 されているものは, 以 下 のようなものであり 本 基 準 に 則 した 適 用 は 無 理 であろう 1 試 験 装 置 に 適 用 可 能 な 最 も 少 ないダスト 量 で100mg/m 3 である JEITA 規 定 値 0.1mg~8mg/m 3 に 対 し 桁 違 いのダスト 量 であり 直 接 適 用 することは 困 難 であろう 2 下 記 3つのタイプの 試 験 装 置 が 市 販 されている 自 動 車 用 部 品 の 防 じん 及 び 耐 じん 試 験 用 (JIS D 0207:1997) 自 動 車 用 ランプ 類 の 耐 じん 試 験 用 (JIS D 5500:1995) 電 気 電 子 砂 じん 試 験 用 (JIS C 60068-2-68: 2002) 装 置 本 体 の 適 用 は 容 量 的 にも 困 難, 気 流 試 験 用 3 ダストの 種 類 としては,JISZ8901 試 験 用 ダストとしてポルトランドセメント, 関 東 ローム 等 があ -67-

る (JIS Z8901は17 種 のダスト *1) を 規 定 している) *1) 詳 細 は, 参 考 資 料 -2 2. 試 験 用 ダスト 規 格 を 参 照 (2) クリーンルームの 清 浄 度 (クラス : )とmg/m 3 の 単 位 表 記 について 何 れも 浮 遊 塵 埃 量 を 規 定 する 単 位 であるが, 相 違 点 相 互 換 算 について 解 説 する 1 相 違 点 例 えば,クラス10 万 とは, 直 径 が0.5μm 以 上 の 粒 子 の 塵 が1ft 3 当 り10 万 個 以 内 であることを 示 すもので,クリーンルームの 清 浄 度 を 規 定 する 目 的 で 用 いられている 値 である 一 方,mg/m 3 は 人 体 に 対 する 影 響 を 規 定 するための 粉 塵 の 許 容 濃 度 を 示 す 単 位 として 用 いられている 2 相 互 換 算 質 量 と 個 数 でありディメンションが 異 なるため, 一 義 的 な 換 算 は 困 難 であるが, 一 例 として 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 が 設 置 された 室 内 の 塵 埃 を 観 測 しその 相 関 を 求 めた 事 例 が 有 り0.07mg/m 3 がクラス 10 万 にほぼ 対 応 すると 報 告 されている 測 定 時 の 環 境 ( 人 の 出 入 りや 着 用 している 衣 類 の 種 類, 紙 類 の 有 無 等 ), 測 定 時 期, 測 定 方 法 等 により 測 定 値 が 変 動 する 点 に 留 意 しなければならないがひとつの 目 安 として 用 いることはできる 3 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 対 する 許 容 塵 埃 量 の 規 定 値 として クラス 万 を 適 用 する 代 表 例 が 磁 気 ディスク 装 置 である ただし, 磁 気 ディスク 装 置 は 開 放 型 ( 可 動 パック) 構 造 から 密 閉 型 構 造 へと 移 行 しており 耐 塵 埃 性 の 点 でも 改 善 されて 来 ている 引 用 文 献 1)JIS Z 8813:1994 浮 遊 粉 じん 濃 度 測 定 方 法 通 則 日 本 規 格 協 会 2) 事 務 所 衛 生 基 準 規 則 最 終 改 正 :2004 年 ( 平 成 16 年 3 月 30 日 ) 厚 生 労 働 省 令 第 70 号 3) 日 本 産 業 衛 生 学 会 許 容 濃 度 等 の 勧 告 (2006 年 度 ) 産 業 衛 生 学 雑 誌 48:98-123 4)JIS D 0207:1977 自 動 車 用 部 品 の 防 塵 及 び 耐 塵 試 験 通 則 日 本 規 格 協 会 5)JIS D 5500:1995 自 動 車 用 ランプ 類 日 本 規 格 協 会 6)JIS C 60068-2-68:2002 環 境 試 験 方 法 - 電 気 電 子 - 砂 じん( 塵 ) 試 験 日 本 規 格 協 会 7)JIS Z 8091:2006 試 験 用 粉 体 及 び 試 験 用 粒 子 日 本 規 格 協 会 -68-

8. 腐 食 性 ガス 8.1 腐 食 性 ガスによる 影 響 腐 食 性 ガスは, 工 場 の 製 造 工 程 で 出 されるほか, 自 動 車 から 放 出 される 排 気 ガス 中 にも 含 まれる ま た 温 泉 地 帯 において 噴 出 する 硫 化 水 素 ガス, 市 街 地 のよどんだ 川 床 から 発 生 するガスも 問 題 となること がある このように, 産 業 の 発 達, 都 市 への 人 口 集 中 化 に 伴 い 大 気 汚 染 はいたるところでみられる 保 健 上 の 環 境 規 制 基 準 は, 大 気, 一 般 室 内 環 境, 産 業 労 働 環 境 の 各 環 境 に 対 して, 大 気 汚 染 防 止 法, 建 築 物 環 境 衛 生 管 理 基 準, 日 本 産 業 衛 生 学 会 の 許 容 濃 度 勧 告 等 が 定 められている 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 における 大 気 腐 食 に 基 づく 障 害 の 主 な 事 例 としては, 以 下 のものがあげら れる 1)スイッチ,コネクタの 接 触 不 良 2) 配 線 の 断 線, 配 管 の 局 部 腐 食 3) 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 構 成 金 属 材 料 の 発 錆, 磨 耗, 腐 食 疲 労, 破 断 4)プリント 配 線 のマイグレーション,ウイスカによる 短 絡 5)リーク 電 流 による 電 食 6) 外 装 の 発 錆, 局 部 的 腐 食 他 の 温 度 湿 度 等 の 環 境 条 件 と 異 なり, 装 置 に 対 する 腐 食 性 ガスの 影 響 はすぐにあらわれず, 装 置 納 入 後, 早 い 時 で 数 ヵ 月, 多 くは 数 年 後 に 障 害 の 形 であらわれてくるが,その 時 点 ではかなりの 範 囲 で 腐 食 されており, 保 守, 修 理 時 に 装 置 に 触 れたためにかえって 障 害 を 引 き 起 こすことさえもある このように 腐 食 性 ガスによる 影 響 は 非 常 に 大 きなものであるが, 温 湿 度 条 件 のように 基 準 を 越 えた 場 合 にすぐ 影 響 があらわれるものではないだけに, 装 置 の 腐 食 性 ガスに 対 する 基 準 の 設 定 を 行 って,ユー ザと 装 置 メーカの 間 で 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 を 導 入 する 際 に 対 策 を 考 慮 する 必 要 がある 8.2 腐 食 性 ガスの 種 類 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 影 響 を 与 える 腐 食 性 ガスとして 次 のようなものがあげられる 1) 二 酸 化 硫 黄 (SO2) 2) 硫 化 水 素 (H2S) 3) 窒 素 酸 化 物 (NO X ) 4) 塩 素 (Cl2) 5)アンモニア (NH3) -69-

6)オゾン (O3) 表 8.1に,これら 腐 食 性 ガスの 発 生 源 を 示 し, 以 下 にその 影 響 を 述 べる 表 8.1 腐 食 性 ガスの 発 生 源 腐 食 性 ガス 発 生 源 二 酸 化 硫 黄 (SO2) 石 油, 石 炭 を 燃 料 原 料 とする 燃 焼,ガス 化 設 備 工 場 の 排 出 ガス 製 鉄 工 業, 非 鉄 製 錬 工 業, 硫 酸 工 業, 硫 黄 精 錬 工 業, 製 紙 工 業 等 の 工 場 の 排 出 ガス,ゴミ 焼 却 場 排 出 ガス 硫 化 水 素 (H2S) 石 油 精 製,ガス 工 業,アンモニア 工 業, 製 紙 工 業, 製 鉄 工 業 の 排 出 ガス 火 山, 温 泉 地 帯 の 大 気, 下 水 処 理 場 の 大 気 窒 素 酸 化 物 (NO,NO2) 固 体 燃 料 ボイラの 排 出 ガス, 硫 酸 工 業 の 排 出 ガス, 自 動 車 等 内 燃 機 関 の 排 出 ガス 塩 素 (Cl2) 化 学 工 業, 製 紙 工 業 の 排 出 ガス, 上 水 処 理 場 の 大 気 アンモニア(NH3) 化 学 肥 料 工 業 の 排 出 ガス,フェノール 樹 脂 オゾン(O3) 光 化 学 スモッグ, 電 気 式 集 塵 装 置 8.2.1 二 酸 化 硫 黄 (SO 2 ) 金 属 製 品 は 一 般 的 に 都 市 では 農 村 よりも 早 くさびてしまうといわれる これは, 金 属 製 品, 特 に 鉄 の 錆 びる 速 度 は 空 気 中 に 含 まれる 二 酸 化 硫 黄 の 量 によって 早 くなるからである 腐 食 の 進 行 度 合 はこのほかに 温 度, 湿 度, 塵 埃 等 によっても 大 きく 異 なるが, 二 酸 化 硫 黄 の 濃 度 に 比 較 して 増 大 して 行 く 傾 向 を 示 している ニッケルやクロームも 空 気 中 の 二 酸 化 硫 黄 を 酸 化 して 硫 酸 の 薄 層 を 生 じ,この 硫 酸 によって,ニッケ ル,クロームがおかされる このほか, 二 酸 化 硫 黄 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 によく 使 用 されるア ルミニウム 銅 亜 鉛 も 腐 食 させる 8.2.2 硫 化 水 素 (H 2 S) 硫 化 水 素 ガスは, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 接 点 に 使 用 される 金 (Au), 銀 (Ag), 白 金 (Pt),パ ラジウム(Pd) 等 の 貴 金 属 材 料 に 対 して 多 大 な 影 響 を 与 えるほか, 鉛 化 合 物 を 含 む 塗 料 に 作 用 して, 黒 色 の 酸 化 鉛 となる これは 時 間 がたつとしだいに 酸 化 され 塗 装 面 を 白 色 化 させる 銀 は 硫 化 水 素 ガスにより 硫 化 銀 (Ag2S)となって 電 気 接 合 部 の 抵 抗 値 を 増 大 させるが,リレー,ス イッチ 等 の 動 的 コンタクトでは, 機 械 的 開 閉 動 作 によって, 単 に 放 置 した 場 合 によりも 抵 抗 値 の 増 大 は 小 さい これは 硫 化 銀 の 薄 膜 が 開 閉 動 作 によってはげ 落 ちるためと 考 えられる なお, 硫 化 銀 は 応 力 がか かっている 場 合 には,ウイスカ 状 に 成 長 して 行 く 傾 向 がみられ, 短 絡 事 故 に 結 びつくことがある 逆 に, 金, 白 金,パラジウムでは 開 閉 動 作 を 伴 う 場 合 にはかえって 接 触 抵 抗 が 増 大 する 傾 向 がみられ -70-

るが,これは, 接 点 の 開 閉 動 作 によって, 接 触 点 の 硫 化 が 促 進 して 行 く メカノケミカル 反 応 が 起 こ るためと 考 えられる コネクタ 等 の 静 的 コンタクトの 場 合 には, 接 点 材 料 として 銀 を 使 用 すると 嵌 合 状 態 では 大 気 に 暴 露 さ れないため,あまり 接 触 抵 抗 は 増 えないが 開 放 状 態 においては 激 増 する そのため 装 置 の 変 更 や 増 設 等 により, 従 来 使 っていなかったコネクタを 使 用 したような 場 合 には, 問 題 となることがある 10 3 硫 化 銀 膜 厚 (A ) 10 2 10-1 1 10 硫 化 水 素 ガス 濃 度 (ppm) 図 8.1 銀 の 硫 化 に 与 える 硫 化 水 素 ガスの 影 響 このように, 硫 化 水 素 ガスは, 接 触 部 品 の 信 頼 性 に 大 きな 影 響 を 与 える 8.2.3 窒 素 酸 化 物 (NO X ) 一 酸 化 窒 素 (NO)は, 二 酸 化 窒 素 (NO2)となるときの 還 元 作 用 により,また, 二 酸 化 窒 素 は 空 気 中 の 水 分 により 硝 酸 (HNO3)となって 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 影 響 を 与 える また, 紫 外 線 や, ある 種 の 炭 化 水 素 が 関 与 して,オゾン(O3) 等 の 過 酸 化 物 を 二 次 的 に 生 成 し, 気 象 条 件 等 の 特 殊 な 条 件 がそなわると,いわゆる 光 化 学 スモッグが 発 生 する これにより, 装 置 に 使 用 されているパッキン グ 材 料 等 のゴム 製 品 を 老 化 させることがある 8.2.4 塩 素 (Cl 2 ) 塩 素 ガス(Cl2)や 塩 化 水 素 (HCl)は 極 めて 腐 食 性 が 強 く, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 使 用 される 大 部 分 の 金 属 を 腐 食 させる また 多 くのプラスチックやゴム 製 品 を 汚 損 させ, 膨 潤,ひび 割 れ 等 の 老 化 を 招 く 塩 素 ガスの 影 響 は, 湿 度 により 大 きく 異 なり, 低 湿 度 では 低 減 される 工 業 的 には, 食 塩 (NaCl)を 電 解 して 塩 素 が 製 造 される これから 塩 化 水 素 (HCl)をつくるには, 液 体 酸 素 と 水 素 を 直 接 燃 焼 させてガスを 冷 却 する この 際, 冷 却 塔 からでる 排 ガスに 塩 素 が 混 ざって 放 出 される また, 上 水 道 の 殺 菌 用 に 用 いられる 塩 素 も 問 題 となることがある -71-

8.2.5 アンモニア(NH 3 ) アンモニアは 他 の 酸 性 ガスに 比 べ 腐 食 性 は 小 さいが, 銅 合 金 に 対 して 応 力 腐 食 割 れを 起 こさせる 接 触 部 品 においてよく 起 こる 応 力 腐 食 割 れは,フェノール 樹 脂 に 近 接 して 使 用 される 黄 銅 が, 樹 脂 から 発 生 するアンモニアガスにさらされて 起 こす 割 れである 8.2.6 オゾン(O 3 ) オゾンは, 金 属 よりむしろゴムやプラスチック 製 品 を, 腐 食, 老 化 させる コネクタの 絶 縁 物 によく 使 用 されるプラスチックがオゾンによって 腐 食 されると,ばねを 保 持 してい る 部 分 の 劣 化 が 起 こり,その 結 果, 接 点 の 接 触 力 が 低 下 して, 障 害 の 原 因 となることがある 腐 食, 老 化 を 発 生 させるオゾン 濃 度 を 一 概 に 言 うことはできず,ゴムの 種 類, 物 に 加 えられる 応 力 などによって 異 なる 8.3 大 気 腐 食 に 関 与 する 他 の 因 子 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 大 気 腐 食 に 関 与 する 他 の 因 子 としては, 温 度, 湿 度, 塵 埃, 海 塩 粒 子 が ある 8.3.1 温 度 大 気 腐 食 に 対 する 温 度 の 影 響 は, 通 常 の 使 用 温 度 範 囲 は 水 分 が 関 与 しないで 生 じる 乾 食 は 発 生 せず, 水 分 と 他 因 子 による 湿 食 の 働 きを 助 長 する 作 用 を 持 つ 8.3.2 湿 度 湿 度 の 影 響 としては, 金 属 やプラスチックに 対 する 水 分 の 直 接 的 な 作 用 に 加 えて, 他 因 子 との 相 互 作 用 がある 相 互 作 用 としては, 水 分 と 結 合 した 腐 食 性 ガスが 酸 となり 引 き 起 こす 腐 食 作 用 と, 塵 埃 中 の 可 溶 性 物 質 が 水 分 にとけこみ 電 解 質 溶 液 が 作 られ,この 溶 液 と 異 種 金 属 の 接 触 が 組 み 合 わされて 発 生 す る 電 気 化 学 的 腐 食 作 用 がある 8.3.3 塵 埃 塵 埃 の 影 響 としては, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 表 面 に 付 着 した 塵 埃 が 腐 食 性 ガスや 水 分 を 吸 着 し て 引 き 起 こす 腐 食 作 用 と, 塵 埃 により 相 対 湿 度 が100%に 達 していなくても, 化 学 凝 縮 による 結 露 現 象 に 塵 埃 中 の 可 溶 性 物 質 が 溶 け 込 み 作 られる 電 解 質 溶 液 による 腐 食 作 用 がある -72-

8.3.4 海 塩 粒 子 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 表 面 に 付 着 した 海 塩 粒 子 は, 低 い 相 対 湿 度 で 化 学 凝 縮 による 結 露 現 象 を 起 こし, 電 解 質 溶 液 となり 腐 食 を 引 き 起 こす 海 塩 粒 子 の 主 成 分 は, 塩 化 ナトリウム(NaCl: 構 成 比 約 75%)と 塩 化 マグネシウム(MgCl2: 同 10%)であり,20 における 臨 界 湿 度 ( 結 露 を 起 こす 相 対 湿 度 )は,それぞれ75%と33%である 8.4 腐 食 性 ガス 環 境 のクラス 分 け 8.4.1 腐 食 性 ガス 環 境 のクラス 分 け 腐 食 性 ガス 環 境 のクラス 分 けは, 大 気 腐 食 の 相 互 作 用 因 子 である 腐 食 性 ガス, 温 度, 湿 度, 汚 損 度 を 含 めて 行 う これら 因 子 のレベルに 評 価 点 を 与 え,その 合 計 評 価 点 により 以 下 のように 分 類 する 表 8.2 腐 食 性 ガス 環 境 のクラス 分 け 環 境 クラス 合 計 評 価 点 温 度, 湿 度 が 低 くガスが 検 知 されない 良 好 な 環 境 Class A 9 湿 度 が 比 較 的 低 くガスが 少 ない 一 般 的 な 環 境 Class B 10~25 湿 度 がやや 高 くガスが 少 ない 環 境 Class S1 26~36 温 度, 湿 度 が 高 くガスが 若 干 ある 環 境 Class S2 37~50 温 度, 湿 度 が 高 くガスが 多 い 環 境 Class S3 51 また 各 因 子 の 評 価 点 を 以 下 に 示 す 表 8.3 各 環 境 因 子, 区 分 と 評 価 点 一 覧 区 分 1 2 3 4 環 境 因 子 測 定 値 評 価 点 測 定 値 評 価 点 測 定 値 評 価 点 測 定 値 評 価 点 年 平 均 温 度 ( ) A 20 1 25 2 30 4 > 30 8 年 平 均 湿 度 (%) B 50 1 60 8 75 16 > 75 24 SO 2 C1.04 1.08 3.2 6 5 9 ガス NO 2 C2.02 1.05 3.1 6 5 9 (ppm) H 2 S C3.003 1.01 8.1 14 10 20 Cl 2 C4.002 1.01 10.1 20 1 30 NH 3 C5.1 1 1 2 10 4 100 8 汚 損 度 ( 等 価 塩 分 量 ) D.03 1.06 8.12 16 >.12 24 (mg/cm2) 合 計 評 価 点 =A+B+C1+C2+C3+C4+C5+D -73-

8.4.2 クラス 分 けの 解 説 1)クラス 分 けと 環 境 区 分 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 は, 大 気 腐 食 因 子 の 多 種 多 様 な 組 合 せ 状 況 下 のもとで 使 用 され,その 複 合 環 境 の 影 響 を 受 ける このような 複 合 環 境 下 の 影 響 をとらえるため, 各 因 子 の 金 属 に 対 する 影 響 度 から 評 価 点 を 与 え, 各 因 子 の 測 定 結 果 に 基 づき 対 応 する 評 価 点 を 合 計 し(A+B+C1+C2+C3+C4+C 5+D)その 合 計 評 価 点 より 環 境 のクラス 分 けを 行 う 方 法 とした そのため 大 気 腐 食 因 子 に 対 する 評 価 点 は, 全 国 多 数 の 実 績 データをもとに 決 定 した 大 気 腐 食 因 子 は 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 に 対 して 腐 食 という 回 復 不 可 能 な 影 響 を 与 える その 腐 食 量 はガスの 種 類 とその 濃 度, 温 湿 度,および 暴 露 される 時 間,に 影 響 される 低 ガス 濃 度 の 場 合 でも 高 湿 度 の 場 合 や, 長 い 時 間 経 過 した 後 にはかなりの 腐 食 を 受 けることになる そのため 各 因 子 の 測 定 値 は, 長 期 間 に 渡 る 平 均 値 を 基 本 としている また 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 使 用 年 数 をどの 位 に 考 えるか が 問 題 となるが, 一 応 目 安 を10 年 とした Class A 環 境 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 を 改 善 するための 設 備 を 有 する 良 好 な 環 境 で あり, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 信 頼 性 に 影 響 を 及 ぼす 腐 食 は 発 生 しない 環 境 である Class B 環 境 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 設 置 環 境 を 改 善 するための 設 備 を 有 しない 以 下 に 代 表 される 一 般 的 な 環 境 であり, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 信 頼 性 に 影 響 をおよぼす 腐 食 は 発 生 しない 環 境 であるが, 湿 度 が 低 くない 時 に 一 旦 腐 食 性 ガスや 塵 埃 の 侵 入 があると, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 は 腐 食 を 起 こしやすいため, 腐 食 性 ガスや 塵 埃 の 侵 入 に 十 分 な 配 慮 を 行 うとともに,きめ 細 かな 定 期 点 検 を 行 う 必 要 がある Class B 環 境 としては, 温 度, 湿 度 が 低 く, 複 数 の 腐 食 性 ガスが 少 しみとめられる 環 境 あるいは, 温 度, 湿 度 が 低 く 特 定 の 腐 食 性 ガスと 汚 損 度 が 少 しみとめられる 環 境 あるいは, 湿 度 がや や 低 く 特 定 の 腐 食 性 ガスまたは 汚 損 度 が 少 しみとめられる 環 境 である Class S1~3の 環 境 は, 温 度 湿 度 とも 高 く 腐 食 性 ガスが 存 在 し 汚 損 度 も 高 い 環 境 で, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 信 頼 性 に 影 響 をおよぼす 腐 食 が 数 年 から 数 ヶ 月 で 発 生 する 環 境 であり, 設 置 環 境 の 改 善 や 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 密 閉 化 などの 対 策 が 必 要 となる 2) 塩 分 による 汚 損 度 の 区 分 汚 損 度 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 を 設 置 して 以 来 の 経 過 期 間 の 積 算 量 であり, 清 掃 状 態 を 含 め た 環 境 を 区 分 する 汚 損 度 区 分 ( 表 8.3の 区 分 )の 目 安 は 以 下 の 通 りである 区 分 1は 汚 損 度 の 低 い 状 態 で, 一 般 的 地 域 の 室 内 の 定 期 的 に 清 掃 している 机 上 の 状 態 および 幾 分 埃 っ ぽい 窓 際 の 状 態 である 区 分 2は 汚 損 度 のやや 低 い 状 態 で, 同 様 室 内 の 埃 の 乗 った 棚 上 の 状 態 である 区 分 3と 区 分 4は,それぞれ 汚 損 度 のやや 高 い 状 態 と 高 い 状 態 であり, 海 岸 付 近 に 設 置 された 屋 外 設 -74-

置 筐 体 の 表 面 状 態 である 8.5 大 気 腐 食 因 子 の 測 定 8.5.1 腐 食 性 ガスの 測 定 腐 食 性 ガスの 測 定 法 に 関 しては,JIS 規 格 もあり 各 種 測 定 法 が 知 られている これらの 測 定 法 を 表 8.2 に 示 す 測 定 法 は 積 算 測 定 法, 瞬 間 測 定 法, 連 続 測 定 法 に 分 類 できる 積 算 測 定 法 は 吸 収 体 により, 大 気 中 のガス 成 分 を 比 較 的 長 時 間 (1 週 間 ~1 月 )に 渡 り 補 集 し, 濃 度 を 測 定 する 方 法 であり, 低 濃 度 の 測 定 に 向 いているが, 測 定 結 果 をppm 単 位 のガス 濃 度 に 直 接 換 算 出 来 ない 瞬 間 測 定 法 は, 環 境 の1 瞬 間 をとらえて 測 定 する 測 定 法 のため, 日 照, 通 風, 降 雨 等 の 自 然 現 象 や 周 辺 の 樹 木, 建 築 物 等 により 測 定 値 が 変 動 する このため 環 境 を 代 表 するような 時 期, 場 所, 自 然 条 件 を 選 定 する 必 要 がある なお, 瞬 間 測 定 法 の1 種 である 検 知 管 法 は, 比 較 的 高 濃 度 (0.5~1ppm 以 上 )の 測 定 に 向 いた 簡 便 法 である 連 続 測 定 法 は, 測 定 器 が 一 般 には 大 型 高 価 であり 据 置 型 として 使 用 されている 表 8.4 腐 食 性 ガスの 測 定 方 法 積 算 測 定 法 瞬 間 測 定 法 連 続 測 定 法 SO 2 二 酸 化 鉛 法 アルカリろ 紙 法 ロザニリンホルマリン 法 比 濁 法 等 ( 全 硫 黄 酸 化 物 測 定 法 JIS K 0103) ( 検 知 管 法 ) 溶 液 導 電 率 法 電 量 適 定 法 可 視 部 吸 光 光 度 法 NO 2 アルカリろ 紙 法 ザルツマン 吸 光 光 度 法 等 (JIS K 0104) ( 検 知 管 法 ) 可 視 部 吸 光 光 度 法 赤 外 線 吸 収 法 H 2 S 酢 酸 亜 鉛 円 筒 法 アルカリろ 紙 法 メチレンブルー 吸 光 光 度 法 等 (JIS K 0108) 感 応 ろ 紙 法 電 量 適 定 法 ろ 紙 着 色 法 ( 検 知 管 法 ) Cl 2 アルカリろ 紙 法 感 応 ろ 紙 法 各 種 吸 光 光 度 法 (JIS K 0106) ( 検 知 管 法 ) 溶 液 導 電 率 法 紫 外 線 吸 収 法 ろ 紙 着 色 法 NH 3 酸 性 ろ 紙 法 インドフェノール 青 吸 光 光 度 法 等 (JIS K 0099) 双 イオン 電 極 法 ( 検 知 管 法 ) 8.5.2 腐 食 サンプル 設 置 環 境 下 における 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 腐 食 は, 特 定 腐 食 因 子 によるものではなく 各 種 因 子 の 相 互 作 用 の 影 響 によるものである この 観 点 からの 環 境 測 定 法 として, 各 腐 食 因 子 は 測 定 せず 各 因 子 -75-

の 複 合 化 されたレベルを, 腐 食 サンプルを 一 定 期 間 暴 露 し,その 腐 食 量 から 環 境 を 特 定 する 方 法 がある 腐 食 サンプルとして 銅 板 を 用 いる 方 法 としてはIEC60654-4 及 びISA-S71.04-1985がある 8.5.3 塩 分 による 汚 損 度 の 測 定 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 中 で 腐 食 の 影 響 を 受 けやすい 部 品 の 近 くで, 平 らな 部 分 に 付 着 した 塵 埃 を 純 水 を 含 んだガーゼでふき 取 り,ガーゼに 付 着 した 可 溶 性 物 質 を 純 水 中 に 溶 かし, 電 導 度 を 測 定 する これと 塩 化 ナトリウム 溶 液 の 電 導 度 特 性 から, 上 記 測 定 結 果 に 相 当 する 等 価 塩 分 量 を 求 め 汚 損 度 とする 等 価 塩 分 量 による 設 置 環 境 の 汚 損 度 評 価 は,その 環 境 にすでに 設 置 されている 機 器 がある 場 合 は 有 効 で あるが, 既 存 機 器 のない 新 設 環 境 では, 使 えない 一 般 的 な 環 境 状 態 では, 汚 損 度 を 表 す 等 価 塩 分 量 は, 海 から 飛 来 する 海 塩 粒 子 でほぼ 決 められる こ のことから 代 替 評 価 尺 度 として, 設 置 場 所 の 海 岸 からの 距 離 が 使 える 海 岸 からの 距 離 による 汚 損 度 区 分 を 目 安 として 以 下 に 示 す 区 分 1 2 3 4 環 境 因 子 汚 損 度 D >2km 2km 1km 0.5km ( 海 岸 からの 距 離 ) 海 岸 からの 距 離 による 汚 損 度 区 分 は,その 環 境 に 設 置 すると, 約 1 年 の 経 過 で 屋 外 設 置 筐 体 の 表 面 の 汚 損 状 態 が, 等 価 塩 分 量 で 区 分 した 汚 損 度 区 分 の 汚 損 状 態 にほぼ 等 しい 状 態 になることを 表 している この 場 合, 同 一 区 分 地 域 に 設 置 された 機 器 であっても, 設 置 状 態 すなわち, 屋 外 設 置, 屋 内 設 置, 設 置 屋 内 の 機 密 状 態,により 汚 損 度 区 分 は 変 わってくる また, 本 区 分 において 汚 損 度 の 低 い 設 置 環 境 であ る 内 陸 部,あるいは 海 岸 地 方 の 機 密 室 内 等 に 設 置 された 場 合 でも, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 後 の 清 掃 維 持 管 理 状 態 により, 汚 損 度 区 分 が 変 わってくるのは, 前 記 の 通 りである このため 海 岸 からの 距 離 による 汚 損 度 区 分 を 使 用 した 場 合 は, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 設 置 後,ある 程 度 期 間 が 経 過 した 時 点 で, 等 価 塩 分 量 による 実 際 の 汚 損 度 を 測 定 し, 再 評 価 を 行 うことが 望 ましい なお, 汚 損 度 測 定 方 法 を 参 考 までに 紹 介 する 汚 損 度 ( 等 価 塩 分 量 )の 測 定 方 法 (1) 補 集 用 具 脱 塩 処 理 し 純 水 を 浸 みこませたガーゼおよびプラスチック 製 容 器,スケール,プラスチック 製 手 袋 を -76-

用 意 する (2) 汚 損 物 の 採 取 上 記 ガーゼを 用 いて 電 子 機 器 表 面 の 一 定 面 積 ( 通 常 50~100cm 2 )の 汚 損 物 を 拭 いとる なお, 汚 損 物 の 採 取 時,ガーゼを 直 接 手 でふれないようにプラスチック 製 手 袋 を 着 用 する (3) 汚 損 物 の 溶 解 採 取 した 汚 損 分 の 水 溶 性 成 分 を100mlの 純 水 に 溶 解 する ガーゼは 純 水 に 浸 したままでよい (4) 電 導 度 測 定 上 記 汚 損 液 の 抵 抗 率 を 電 導 度 計 を 用 いて 測 定 する 電 導 度 計 は 自 動 校 正 機 能 により, 水 温 25 時 の 抵 抗 率 に 換 算 した 価 を 表 示 するので,それを 読 みとる (5) 食 塩 濃 度 算 出 25 における 食 塩 濃 度 と 抵 抗 率 との 関 係 を 示 す 検 量 線 を 作 成 する ( 事 前 に 作 成 しておくと 便 利 ) (4)で 求 めた 抵 抗 率 に 相 当 する 食 塩 濃 度 を,その 検 量 線 から 求 める (6) 等 価 塩 分 量 算 出 単 位 面 積 あたりの 塩 分 付 着 量 は 次 式 で 求 める ここで, D= A B 10 S D: 等 価 塩 分 量 (mg/cm 2 ) A: 純 水 の 容 量 (ml) B: 食 塩 濃 度 (%) S: 採 取 面 積 (cm 2 ) 8.6 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 腐 食 性 ガス 対 策 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 腐 食 性 ガス 対 策 には 以 下 のような 方 法 がある 1) 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 の 浄 化 2) 機 器 側 の 特 殊 加 工 による 対 策 3) 部 品 レベルにおける 対 策 4) 腐 食 性 ガス 発 生 源 における 処 置 -77-

8.6.1 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 の 浄 化 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 における 腐 食 性 ガスの 浄 化 には, 換 気 による 方 法 と, 活 性 炭 による 方 法 の2 種 類 がある (1) 換 気 による 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 の 浄 化 室 内 における 換 気 の 基 準 は, 労 働 安 全 衛 生 規 則 によって 規 定 されている 一 般 的 には, 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 においては 腐 食 性 ガスは 存 在 せず, 換 気 はもっぱらオペレータの 健 康 を 考 えての 場 合 である 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 の 内 圧 を 外 気 よりも 高 くしておけば, 腐 食 性 ガスの 混 ざった 外 気 は 室 内 へ 侵 入 してはこないが, 一 定 の 圧 力 差 を 保 つためには, 常 に 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 へ 空 気 を 補 充 しなければならない 空 気 の 取 入 口 の 近 くに 腐 食 性 ガスの 発 生 源 があったり, 隣 接 工 場 の 汚 染 源 がある 場 合 には,かえって 腐 食 性 ガスを 取 り 込 むことになるので, 周 囲 の 状 況 の 調 査 を 事 前 に 充 分 行 う 必 要 がある なお, 室 内 圧 を 高 める 方 法 には,その 他 に 窒 素 ガスによるエアパージがあるが, 小 規 模 システムに 限 られる ただし 窒 素 ガスによるエアパージは, 酸 素 欠 乏 状 態 を 作 るため, 入 室 に 際 しては 換 気 後 入 室 する 等 の 十 分 な 注 意 が 必 要 である 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 構 造 は, 密 閉 構 造 が 理 想 であり, 窓 わくにはパッキングをはめたり,と びらは 二 重 構 造 にする 位 の 配 慮 が 望 ましい しかしながら,こうした 処 置 を 施 していても,ケーブルダ クトやピットの 処 置 が 不 完 全 であるような 場 合 には, 思 いもよらぬ 腐 食 をうけることがあるので,ダク トやピットのすき 間 の 処 理 にもパテですき 間 を 埋 める 等 の 注 意 が 必 要 である (2) 活 性 炭 による 浄 化 ガスの 除 去 に 用 いられる 活 性 炭 の 吸 着 力 は,グラム 当 たり,600~1,500m 2 の 表 面 積 を 有 する, 極 め て 精 微 な 多 孔 構 造 を 持 つことによる 活 性 炭 フィルタの 性 能 として 以 下 のようなことが 要 求 される 1) 吸 着 効 果 を 充 分 に 発 揮 できること 2) 圧 力 損 失 が 少 ないこと 3) 設 置 スペースが 小 さいこと 4) 保 守 を 考 慮 し, 取 り 外 し, 交 換 が 容 易 にできること 5) 耐 腐 食 性 があること 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 室 の 浄 化 には, 以 上 のような 方 法 があるが, 製 造 現 場 において 特 別 な 部 屋 を 設 け,このような 対 策 を 施 すことはコスト,スペース 等 の 点 で 難 しい 面 もあり, 次 に 示 す 機 器 側 での 対 策 が 必 要 となる 場 合 がある -78-

8.6.2 機 器 側 の 特 殊 加 工 によるガス 対 策 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 の 構 造 によってガス 対 策 をとれば,スタンドアロン 装 置 でも 苛 酷 な 雰 囲 気 のもとで 使 用 可 能 である その 場 合, 内 部 で 発 生 する 熱 をいかにして 逃 がすかが 問 題 である 現 在 用 いられている 方 法 には 以 下 のようなものがある 1) 熱 交 換 器 による 方 法 2) 冷 却 装 置 内 蔵 3) 空 気 吸 入 口 に 活 性 炭 フィルタを 設 け 機 器 の 内 圧 を 高 める 方 法 (1) 熱 交 換 器 による 方 法 この 方 法 は, 放 熱 フィンを 装 着 した 熱 交 換 器 により, 内 部 で 発 生 する 熱 を 外 気 にふれることなしに 外 に 出 すものである これは, 熱 交 換 器 の 効 率 をよくすれば, 温 度 条 件 は 改 善 されるが 内 部 の 温 度 は 決 し て 外 気 より 低 くなることはないため, 装 置 設 計 段 階 で 発 熱 量 の 少 ない 素 子 を 使 用 する 等 の 考 慮 が 必 要 で ある (2) 冷 却 装 置 内 蔵 冷 却 装 置 (クーラ)を 内 蔵 すれば, 外 気 の 温 度 に 左 右 されることなしに 装 置 を 密 閉 構 造 とすることが 可 能 であるが, 次 のような 問 題 がある 1)コストアップと 冷 却 装 置 の 高 信 頼 性 2) 冷 却 装 置 の 設 置 スペース 3) 装 置 開 閉 時 の 内 部 結 露 4) 筐 体 内 部 と 外 部 の 温 度 差 による 筐 体 外 面 の 結 露 5) 保 守 性 以 上 のことから, 冷 却 装 置 は 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 構 成 機 器 ごとに 設 けるのではなく 装 置 を 搭 載 する 筐 体 単 位 で 設 置 する 方 が 有 利 である (3) 空 気 吸 入 口 に 活 性 炭 フィルタを 設 け 装 置 内 圧 を 高 める 方 法 上 述 の(1),(2)の 方 法 は 密 閉 構 造 を 考 慮 しているため,コントローラや 密 封 可 能 な 入 出 力 装 置 に は 採 用 可 能 であるが,プリンタ 装 置 等 媒 体 があるものでは 密 封 が 不 可 能 なため, 部 品 レベルで 配 慮 する か, 外 気 の 取 入 口 に 活 性 炭 フィルタを 設 け, 常 に 内 圧 を 高 めて, 装 置 の 閉 口 部 からは, 外 気 が 侵 入 して こないような 構 造 をとることが 考 えられる しかし, 腐 食 性 ガスの 濃 度 が 大 きい 場 合 には,かなりの 厚 さの 活 性 炭 フィルタが 必 要 となる 8.6.3 部 品 レベルにおける 対 策 産 業 用 情 報 処 理 制 御 機 器 を 構 成 する 電 子 機 器 は, 部 品 レベルにおいて 耐 環 境 対 策 を 考 慮 されている ことが 望 ましい -79-

金 属 部 分 の 腐 食 を 防 ぐ 方 法 としては, 表 面 にコーティング 処 理 を 施 したり, 露 出 部 に 塗 料 を 塗 ったり する 方 法 がある 接 触 部 品 については 上 述 のような 方 法 がとれないので, 金 メッキ 処 理 をほどこした 材 料 が 用 いられる この 場 合 下 地 素 材 はニッケルが 望 ましい メッキ 処 理 をほどこしてもその 膜 厚 が 薄 い 場 合 にはピンホー ルにより 下 地 材 料 が 腐 食 されることがあるため,ある 程 度 の 厚 さが 必 要 である ハンダ 付 部 分 は 腐 食 を 防 止 するために 鉱 物 油 系 グリースを 塗 布 することが 有 効 である プラグ,ソケット, 端 子 台 などのフェノール 樹 脂 成 形 品 はより 耐 腐 食 性 を 考 慮 した 絶 縁 材 を 採 用 する 必 要 がある 8.6.4 腐 食 性 ガス 発 生 源 における 処 置 腐 食 性 ガスの 発 生 源 が 隣 接 工 場 にあったり, 工 場 地 帯 全 域 で 濃 度 が 高 い 場 合 には, 地 域 的 な 対 策 が 必 要 となるが, 発 生 源 が 自 工 場 の 場 合 には, 公 害 防 止 の 意 味 からも 排 気 浄 化 が 必 要 である 化 学 工 業, 印 刷 工 業 などでは, 使 用 した 溶 剤 が 揮 散 するのを, 活 性 炭 で 吸 着 させて 回 収 する 方 法 がと られている 8.7 大 気 汚 染 状 況 屋 外 の 大 気 汚 染 状 況 については, 環 境 省 が 二 酸 化 硫 黄 と 二 酸 化 窒 素 について 測 定 している (1) 二 酸 化 硫 黄 (SO 2 ) SO 2 による 大 気 汚 染 は, 高 度 経 済 成 長 期 の 化 石 燃 料 の 大 量 消 費 によって 急 速 に 悪 化 した そのため, ばい 煙 発 生 施 設 ごとの 排 出 規 制, 燃 料 中 の 硫 黄 分 の 規 制, 全 国 24 地 域 における 工 場 ごとの 総 量 規 制 等 様 々な 対 策 が 講 じられた 企 業 においても,こうした 規 制 を 受 け, 低 硫 黄 原 油 の 輸 入, 重 油 の 脱 硫, 排 煙 脱 硫 装 置 の 設 置 等 の 積 極 的 な 対 策 を 進 めた この 結 果,SO 2 濃 度 の 年 平 均 値 は, 昭 和 40,50 年 代 に 比 べ 著 しく 減 少 している 年 平 均 値 は, 一 般 局, 自 排 局 ともに0.004ppmで, 近 年 横 ばい 傾 向 にある また, 1 時 間 値 の1 日 平 均 値 が0.04ppm 以 下 であり,かつ,1 時 間 値 が0.1ppm 以 下 であること という 環 境 基 準 の 達 成 率 は, 一 般 局 99.9%, 自 排 局 100%と 近 年 良 好 な 状 態 が 続 いている ( 平 成 16 年 度 )( 図 8.2) ( 注 ) 一 般 局 : 一 般 環 境 大 気 測 定 局 のことで, 一 般 環 境 大 気 の 汚 染 状 況 を 常 時 監 視 する 測 定 局 自 排 局 : 自 動 車 排 気 ガス 測 定 局 のことで, 自 動 車 走 行 による 排 出 物 質 に 起 因 する 大 気 汚 染 の 考 えられる 交 差 点, 道 路 及 び 道 路 端 付 近 の 大 気 を 対 象 にした 汚 染 状 況 を 常 時 監 視 する 測 定 局 -80-

図 8.2 二 酸 化 硫 黄 (SO 2 )の 推 移 ( 平 成 18 年 版 環 境 白 書 より) (2) 二 酸 化 窒 素 (NO 2 ) NO 2 における 大 気 汚 染 は 主 に 自 動 車 や 工 場 等 からの 排 出 ガスである 二 酸 化 窒 素 濃 度 の 年 平 均 値 は, 近 年 は 横 ばいの 状 況 であり, 関 東 地 方 の 二 酸 化 窒 素 濃 度 の 年 平 均 値 別 の 分 布 は, 依 然 として 都 心 部, 京 浜 工 業 地 帯 に 高 濃 度 の 測 定 局 が 多 い 年 平 均 値 は, 一 般 局 0.015ppm, 自 排 局 0.028ppmで,ほぼ 横 ばいの 傾 向 にある 環 境 基 準 の 達 成 状 況 の 推 移 は16 年 度 は, 一 般 局 100%, 自 排 局 89.2%で, 前 年 度 と 比 較 す ると, 一 般 局, 自 排 局 ともにやや 改 善 している ( 図 8.3) 図 8.3 二 酸 化 窒 素 (NO 2 )の 推 移 ( 平 成 18 年 版 環 境 白 書 より) -81-