関節リウマチ こんな病気です、こう治療します

Similar documents
関節リウマチ こんな病気です、こう治療します

関節リウマチ こんな病気です、こう治療します

九州支部卒後研修会症例

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

<8C9F8DB85F3338E4508CB495612E786C73>

2 章 +αの 情 報 に 着 目 する! 1 血 球 算 定 検 査 結 果 2 生 化 学 検 査 結 果 手 がかりに 乏 しいのも+α 1 症 例 をみてみよう! 1 60 吉 見 祐 輔 percutaneous coronary intervention PCI

スライド 0

生化学検査 臨床検査基準値一覧 近畿大学病院 (1) 検査項目 基準値 単位 検査項目 基準値 単位 CRP mg/dl WBC /μl Na mmol/l M RBC K mmol/l F 3.86-

日本呼吸器学会雑誌第48巻第6号

血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

/12/28 UP 3+, TP 4.2g/dl, Alb 1.9g/dl PSL 50mg/day 1/17 PSL 45mg/day PSL 2006/4/4 PSL 30mg/day mpsl mpsl1000mg 3 2 5/ :90 / :114/64 mmhg

59 20 : 50 : : : : : 2 / :20 / 25 GTP /28 5/3 5/4 5/8 6/1 1 7kg 6/9 :178.7cm :68.55kg BMI:21.47 :37.3 :78 / :156/78mmHg 1

Case  A 50 Year Old Man with Back Pain,Fatigue,Weight Loss,and Knee Sweling

当院の血液検査室の概要 血液検査 system 自動血球分析装置塗抹標本作製装置 La-vietal LS (Sysmex 社 ) XN-3000 (Sysmex 社 ) XN 台 ( RET WPC PLT-F の各チャンネル ) XN 台 SP-10 (Sysmex

72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

血管周囲に細胞浸潤と肉芽腫形成を認めた Figure した ステロイドを漸減し 9月29日プレドニゾロ 3 ン25 mg/dayで退院となった 退院時の下腿筋MRI 入院後経過 Figure 4 検査でも改善を認めた Figure 2b 以後ステロイド サルコイドーシスと診断 プレドニゾロン60 m

cover

Microsoft Word - 血液検査.docx

第 15 回学術部一泊合同研修会 症例検討 臨床化学 事例 1 28 歳 男性 項目 TP ALB CRE UN AST ALT ALP LDH CK 初検 ( 再測定前 ) 測定値 項目 測定値 7.6 CKMB TC Na K Cl 1

(1) ) ) (2) (3) (4) (5) (1) (2) b (3)..

125 2 P 1st washout 2 PB P mg/dL nd washout 2 P 5.5mg/dL< mg/dL <2.5mg/dL P P 2 D D 3 Ca 10

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

日本呼吸器学会雑誌第44巻第10号

採択演題一覧

Microsoft Word - 第1回RCPC案内

_02三浦.indd

2010 年 6 月 25 表 身体所見 134 cm 31 kg /60 mmhg 83/ ,

BUN, CRP K mg/ cm, 49.6 kg, BMI /72 mmhg, 92/ Hb 6.7 g/dl PT-INR CT 1 MRI 2a, b T1 T2 T1 MRI

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

基準値一覧 ( 平成 24 年 6 月 1 日 ) 独立行政法人国立病院機構東京医療センター 臨床検査科

<8C9F8DB889C88AEE8F80926C88EA A E342E312E786C73>

日本内科学会雑誌第104巻第10号

スライド 1

387 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

インフルエンザ

類膠原病および12) サルコイドーシス A C 410 縁疾患膠原病および類縁疾患 知識 技術 技能 症例 頁 9) その他の治療薬 ( 乾燥性角結膜炎治療薬, 唾液分泌促進薬, プロスタグランジン製剤など ) A B 血液浄化療法 ( 血漿交換療法, 免疫吸着療法, 白血球除去療法

_03大山.indd

PowerPoint Presentation

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

2.7.6 MJR a MRI CT b 2 Beecham r-afs mg/ mg/ Gn-RH 742

2019 年 6 月 1 日 TMM 講座 論文を書きましょう! 何を書けばいいんですか? 新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター高田俊範


日本呼吸器学会雑誌第44巻第7号

通常は単関節に起きるのが特徴 ( 単関節炎といえば化膿性関節炎 痛風 偽痛風を考える )5) 急激な疼痛 著名な腫脹 発赤 熱感を伴う 4) 股関節 足関節 肘関節 手関節 肩関節など 大関節に多いといわれている 5) 免疫抑制状態 関節注射などの侵襲の有無などを評価する 4) 化膿性関節炎は 5

Sample2 g/dl Target1 : 6.01 g/dl TP Target2 : 8.39 g/dl

パネルディスカッション 2 Q 専門領域について選択してください 1. 消化器内科 2. 消化器外科 3. 放射線科 1% 4% 3% 21% 4. その他の医師 5. その他 ( 医師以外 ) 71%

indd

WBC 5700 / l Gran 58.5% Lym 29.0% Eosin 0.3% RBC 499x10 6 / l Hb 14.8 g/dl Hct 44.40% PLT 15.3x10 3 / l PT 157% Fbg 616 mg/dl DD 0.99 g/ml GOT GPT LDH

IgG4 関連疾患 IgG4 関連疾患診断基準 IgG4 関連疾患 厚生労働省 IgG4 関連疾患に関する調査研究 班 ポケットブック版にてご覧いただけます. お問い合わせフォーム IgG4 関連疾患の診断は基本的には,

日本呼吸器学会雑誌第47巻第6号

1 2 2 ANCA pouci immune IgG C3 ANCA 68 '01 '02 7 UN 14mg/dl, Cr 0.7 mg/dl, -, - ' UN 45mg/dl, Cr 2.4 mg/dl, Ht 29.5%, 4+, cm 61

当院における結石性腎盂腎炎 について

第 7 6 回内科学研鑽会臨床病理検討会 日時 :2013 年 2 月 2 日 ( 土 ) 午後 2 時から場所 : 市立堺病院 ( 大阪府堺市堺区南安井町 1 丁 1 1) 3 階講堂症例 : 股関節痛と発熱を来たし 死の転帰をとった 47 歳男性 縮 ( 大腿周径 :R 46.

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

CD1 data

Microsoft PowerPoint - 当日H3001標準化報告会用hiramitu.pptx

慈大呼吸器_25-1_02T_CS5.indd

Microsoft PowerPoint - 攲輛çfl¨_ㅬ㇯ㅆㅣㅼ_RAㆮ邂勥猾懣_鋴木_SHIRAKAWA塾.pptx

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

第 34 回京阪血液研究会松下記念病院 確定診断が得られなかった MF から移行した血液疾患症例 高知医療センター SRL 検査室 根来利次 筒井敬太 筒井義和 福留由香里 山崎喜美高知医療センター 血液内科上村由樹 今井利 町田拓哉 駒越翔山根春那 橋本幸星

CPC

<4D F736F F F696E74202D20819A8AB38ED282B382F18CFC82AF81478C8C8AC7898A915391CC E43418AD698418C8C8AC7898A E >

デスフルラン

STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

腎性尿崩症の3例

95_財団ニュース.indd

5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側

人間ドック結果報告書 1/5 ページ 所属 : 株式会社 ケンコウタロウ健康太郎 様 性別 / 年齢 男性 / 49 歳 生年月日 昭和 40 年 3 月 17 日 受診日 平成 26 年 5 月 2 日 受診コース 人間ドック ( 胃カメラ ) 問診項目 今回前回前々回平成 26 年 5 月 2

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

Vol.1_No.2_Dec.2012.book

で広く処方される抗菌薬 例えば βラクタムやキノロン系薬で治療することが可能ですが 標的療として長期間の治療を要するものが多いため きっちりと確定診断をつけることが必要です 腫瘍性疾患も不明熱の原因として重要悪性リンパ腫 原発性肝癌 転移性肝がん 腎細胞癌 転移性脳腫瘍 白血病などです 骨髄増殖性疾

呼吸困難を呈し、            臨床的に閉塞性細気管支炎と  診断した犬の2例

1 章 膠原病症状を疑ったら どうアプローチする 表 1 疾患別の単純 X 線撮影部位 疑われる疾患 単純 X 線で鑑別はできるの 関節リウマチ 部位 方向 ポイント 斜位の撮影により 正面のみでは観察しきれない初期のびら 両手足 2 方向 正面 斜位 んや関節の重なりなどをより詳しく観察できる 無

PowerPoint プレゼンテーション

己炎症性疾患と言います 具体的な症例それでは狭義の自己炎症性疾患の具体的な症例を 2 つほどご紹介致しましょう 症例は 12 歳の女性ですが 発熱 右下腹部痛を主訴に受診されました 理学所見で右下腹部に圧痛があり 血液検査で CRP 及び白血球上昇をみとめ 急性虫垂炎と診断 外科手術を受けました し

<8AEE8F80926C955C81698D C5816A2E786C7378>

2章 部位別のアプローチ法は 最後はちょっと意地悪な質問であるが この一連の問答に 従来わが国で 腹部全般痛のアプローチ と呼ばれてきたものの本質がある わが国では腸閉塞のことを と表現すること もう 1 つ X 線 もしくは CT と腸閉塞を区別しよう でびまん性の腸管拡張を認めるものを と言うた

Microsoft PowerPoint - 【逸脱半月板】HP募集開始150701 1930 2108 修正反映.pptx

皮膚の血管炎・結節性多発動脈炎なら新しい皮膚科学|皮膚病全般に関する最新情報を載せた皮膚科必携テキスト

untitled

1996 papilloma virus 2001 Bowen AIHA PSL1mg/kg BMA PRCA parvovirus B19 PVB19 DNA PCR PV IgM 4 PVB19 PRCA MAP PVB19 DNA DNA PR

自己免疫疾患の治療ハンドブック 他の医療機関を受診される場合は本剤を服用中である旨を必ず医師にお伝えください 主治医または薬剤師の連絡先 川崎医科大学リウマチ 膠原病学 ( 17 年 3 月印刷 )IS-NK PRG23011A01 教授守田吉孝先生

医学教育用基準範囲 JCCLS 共用基準範囲に基づく 医学部学生用基準範囲設定についてのパブリックコメント公募 JCCLS 基準範囲共用化委員会 JCCLS 共用基準範囲は一般的な臨床検査 40 項目の基準範囲であり 日本臨床検査医学会 日本臨床化学会 日本臨床衛生検査技師会 日本検査血液学会の共同

日本呼吸器学会雑誌第44巻第6号

検査項目情報 抗 SS-A 抗体 [CLEIA] anti Sjogren syndrome-a antibody 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5G076 分析物 抗 SS-A 抗体 Departme

<4D F736F F F696E74202D208CA788E38A7789EF81408DC494AD90AB91BD94AD93EE8D9C898A2E >

スイスイ検診ってなに?? 20 歳以上の方で ご自分の身体について ふと思う事はありませんか? たとえば 健康について気になるけど健康診断 人間ドックを受けていない! 病院で診察を受けるまでもないけど ちょっと気になる! 健康管理に気をつけているから大丈夫だと思うけど 検査の数値が気になる! 主人は

5. 予後我が国のコホート研究に登録された新規患者 33 名の6か月後の寛解導入率は 97% であった 一般に 副腎皮質ステロイドの副作用軽減のためには速やかな減量が必要である一方 減量速度が速すぎると再燃の頻度が高くなる 疾患活動性の指標として臨床症状 尿所見 PR3-ANCA 及び CRP など


Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc


抗血栓薬内服の必要な ITP 患者の管理 杉本健 1) 大幡真也 1) 髙橋利匡 2) 阿部智喜 3) 古賀明日香 3) 竹内健人 2) 髙吉倫史 2) 西山勝人 3) 原賢太 2) 安友佳朗 3) 北播磨総合医療センター 1) 血液腫瘍内科 2) 糖尿病 内分泌内科 3) 内科 老年内科 内容の一

遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

5. 予後病状は数十年にわたり徐々に進行し 広範囲の激しい疼痛に加え 脊椎や四肢関節の運動制限により日常生活動作は著しく制限されるようになる 約 1/3 の患者が全脊椎の強直 ( 竹様脊椎.bamboo spine.1 本の棒のようになる ) に進展する 併発する臓器病変や長期の薬物治療の影響も加わ

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350


Transcription:

骨も関節もみよう リウマチ膠原病センター水木伸一

症例 73 歳男性 主訴 嗄声 倦怠感 現病歴 30 年前発症の関節リウマチに対して他院でリンデロン 0.5mg/day 内服中 両手関節の関節炎を繰り返していた X-10 日頃嗄声 倦怠感が出現し X-1 日夕方から症状増悪傾向であった X 日 ( 土 ) 朝に外出した際に転倒し 動けなくなり 救急搬送された 既往歴 関節リウマチ未診断の糖尿病 生活歴 一人暮らし ADL 自立喫煙 :ex-smoker 40 本 / 日 30 年間アルコール : なしアレルギー : なし

PSL 20mg iv PSL 7.5mg p.o ( ) (mg/dl) 18000 50 16000 14000 12000 10000 8000 40 30 20 10 WBC CRP (mg/dl) 0 1 3 4 5 7 10 12 14 17 19 21 24 27 31 34 39 42 45 48 ( 病日 ) ope ( 右肩 縦隔 前胸部 ) ope( 舌骨部 左大腿 ) SBT/ABPC + DAP CEZ 6000 MEPM CTRX 敗血症 縦隔膿瘍 右肩化膿性関節炎 CLDM

非炎症性関節炎 ( 関節液 WBC<5000) 関節穿刺 炎症性関節炎 ( 関節液 WBC>5000) 変形性関節症 グラム染色培養 - 結晶検査 - CBC, ESR, RF, ANA + + 感染結晶誘発性関節炎痛風偽痛風 単関節炎 反応性関節炎 全身性リウマチ性疾患

非炎症性関節炎 ( 関節液 WBC<5000) 関節穿刺 炎症性関節炎 ( 関節液 WBC>5000) 変形性関節症 グラム染色培養 - 結晶検査 - CBC, ESR, RF, ANA + + 感染結晶誘発性関節炎痛風偽痛風 単関節炎 反応性関節炎 全身性リウマチ性疾患

化膿性関節炎に対する治療 ドレナージ 抗菌剤治療 他の病原菌のリスクなし MRSA のリスク (MRSA 既往 施設入所者 下腿潰瘍 カテーテル留置者など ) グラム陰性菌のリスク ( 高齢 衰弱 尿路感染合併 腹部手術後など ) 淋菌感染疑い ( 健常 性的に活発 ) 抗菌剤の選択第 1セフェムバンコマイシン広域セフトリアキソン

T1 T2 T2 STIR 感染経路 血行性 直接播種 : 外傷 侵襲的手技 手術 隣接する軟部組織感染からの播種 80 歳 女性 Enterococcus faecium 隣接する椎体終板を栄養する分節動脈

76 歳 女性 MSSA 化膿性環軸関節炎

44 歳 男性 MSSA 化膿性椎間関節炎

60 歳 女性 体温 :38.1 血圧 :121/74 mmhg 脈拍 :97/ 分 整 : 圧痛 : 腫脹 WBC Stab Seg Lym Eosino Baso Mono RBC Hb Ht MCV MCH MCHC Plt 尿糖タンパク潜血亜硝酸塩白血球 16,080-87.3 4.4 0.2 0.1 8.0 413 11.6 35.7 86.4 28.1 32.5 25.3 - ± - - - TP Alb T. Bil AST ALT LDH AlP γ-gtp BUN Cr UA Na K Cl Ca CK HbA1c CRP C3c C4 CH50 6.6 3.6 0.7 15 9 190 232 13 74.6 3.54-136 4.3 100-80 73 16.80 96.0 10.5 36.9 フ ロカルシトニン RF 抗 CCP 抗体抗核抗体 3.53 11 0.5 40 細菌学的検査 (1): 静脈血液 2 セット /2 セット : 培養 : 陰性 関節液 : 塗抹 : 白血球 1+ 培養 : 陰性ヒ ロリン酸 Ca 結晶 :+ 尿酸結晶 :- 全身単純 CT(1): 炎症病巣なし経胸壁心エコー (2): 疣贅なし

大腿骨顆部

60 歳 女性 体温 :38.1 血圧 :121/74 mmhg 脈拍 :97/ 分 整 : 圧痛 : 腫脹 WBC Stab Seg Lym Eosino Baso Mono RBC Hb Ht MCV MCH MCHC Plt 尿糖タンパク潜血亜硝酸塩白血球 16,080-87.3 4.4 0.2 0.1 8.0 413 11.6 35.7 86.4 28.1 32.5 25.3 - ± - - - TP Alb T. Bil AST ALT LDH AlP γ-gtp BUN Cr UA Na K Cl Ca CK HbA1c CRP C3c C4 CH50 6.6 3.6 0.7 15 9 190 232 13 74.6 3.54-136 4.3 100-80 73 16.80 96.0 10.5 36.9 フ ロカルシトニン RF 抗 CCP 抗体抗核抗体 3.53 11 0.5 40 細菌学的検査 (1): 静脈血液 2 セット /2 セット : 培養 : 陰性 関節液 : 塗抹 : 白血球 1+ 培養 : 陰性ヒ ロリン酸 Ca 結晶 :+ 尿酸結晶 :- 全身単純 CT(1): 炎症病巣なし経胸壁心エコー (2): 疣贅なし

多関節痛のアプローチ 多関節痛 滑膜炎 YES NO 非炎症性関節痛線維筋痛症変形性関節症甲状腺機能低下症神経因性疼痛代謝性骨疾患うつ 全身性リウマチ性疾患ウイルス感染に伴う関節炎感染後関節炎 ( リウマチ熱 反応性関節炎など ) その他 ( サルコイドーシス 腫瘍随伴症候群など )

皮膚 滑液包 関節包靭帯 滑膜 半月板 滑液 付着部 腱 腱鞘 軟骨 骨 筋肉 滑液包

関節炎 = 滑膜炎 関節包靭帯 滑膜

皮膚 腱 中手骨 基節骨 GS: 滑膜肥厚滑液貯留骨びらん 皮膚 PD: 血流シグナル 中手骨 基節骨

不明熱 症状 所見が多臓器 多系統にわたる疾患 感染症 ( 感染性心内膜炎 結核 HIV 梅毒 ) 悪性腫瘍 ( 悪性リンパ腫 多発性骨髄腫 癌の多発転移 ) リウマチ性疾患 ( 関節リウマチ 血清反応陰性関節リウマチ 脊椎関節炎 全身性エリテマトーデス 強皮症 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 シェーグレン症候群 ベーチェット病 結節性多発動脈炎 顕微鏡的多発血管炎 多発血管炎性肉芽腫症 ( ウェゲナー肉芽腫症 ) 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 ( チャーグ ストラウス症候群 ) 巨細胞性血管炎 大動脈炎症候群 血管炎動脈炎 : 成人スチル病 リウマチ性多発筋痛症 RS3PE 症候群 偽痛風 ) 代謝内分泌疾患 ( 副腎不全 ビタミン欠乏症 )

不明熱 症状 所見が多臓器 多系統にわたる疾患 感染症 ( 感染性心内膜炎 結核 HIV 梅毒 ) 悪性腫瘍 ( 悪性リンパ腫 多発性骨髄腫 癌の多発転移 ) リウマチ性疾患 ( 関節リウマチ 血清反応陰性関節リウマチ 脊椎関節炎 全身性エリテマトーデス 強皮症 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 シェーグレン症候群 ベーチェット病 結節性多発動脈炎 顕微鏡的多発血管炎 多発血管炎性肉芽腫症 ( ウェゲナー肉芽腫症 ) 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 ( チャーグ ストラウス症候群 ) 巨細胞性血管炎 大動脈炎症候群 血管炎動脈炎 成人スチル病 リウマチ性多発筋痛症 RS3PE 症候群 偽痛風 ) 代謝内分泌疾患 ( 副腎不全 ビタミン欠乏症 )

分類血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎血管炎 SLE SLE SLE SLE SLE SLE PM/DM PM/DM PM/DM PM/DM PM/DM 診断 EGPA EGPA EGPA GPA IgA-V IgA-V MPA MPA 高安高安 GCA GCA SLE SLE SLE SLE SLE SLE 多発性筋炎皮膚筋炎皮膚筋炎皮膚筋炎皮膚筋炎 朝のこわばり 関節痛 発熱 体重減少ト ライアイ マウス アフタ皮疹光線過敏レイノー筋肉痛しびれ 45% 83% 35% 43% 35% 57% 78% 10% 9% 43% 30% EGPA: 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 GPA: 多発血管炎性肉芽腫症 MPA: 顕微鏡的多発血管炎 GCA: 巨細胞性血管炎

26 歳男性 9 ヶ月前 腰痛 両大腿痛が出現した 血液炎症反応のため 紹介で当科を受診した CRP: 3.49 血沈 :51/ 時 CCP:<0.5 RF: 12 MMP-3:71.9 ANA:80Sp SS-A:- MPO-ANCA:- PR3-ANCA:- 52 歳 女性 10 年前 ぎっくり腰 腰が曲がりにくくなった 8 年前 肩 腕が痛み 挙がらなくなった 7 年から踵の痛み 5 ヶ月前 手のこわばり 右踵痛も出現した炎症反応高値のため 当科へ紹介初診 CRP: 1.18 血沈 :62/ 時 CCP:1.0 RF: 7 MMP-3:25.9 ANA:<40 SS-A:- MPO-ANCA:- PR3-ANCA:-

体軸性脊椎関節炎の分類基準 (ASAS 分類基準,) 背部痛 :3 ヶ月以上続く 45 歳未満 仙腸関節炎がある + S p A の特徴が 1 つ以上 S p A の特徴炎症性背部痛関節炎付着部炎 ( 踵 ) ぶどう膜炎指炎乾癬クローン病 / 潰瘍性大腸炎 N S A I D s に良く反応する脊椎関節炎の家族歴 H L A - B 2 7 が陽性 C R P あるいは赤沈の亢進 STIR 脂肪抑制 H L A - B 2 7 が陽性 + S p A の特徴が 2 つ以上 炎症性背部痛 1 発症が 45 歳未満 2 発症が潜行性 3 運動で改善する 4 安静で改善しない 5 夜間痛 ( 起き上がることで改善する ) 強直性脊椎炎の診断基準 (New York 分類基準 ) 臨床症状 1. 腰椎の運動制限があること 2. 胸腰椎移行部または腰椎部の痛み 3. 胸郭の拡張性の低下 仙腸関節の X 線像 g r a d e 0 : 正常 g r a d e 1 : 疑わしい変化 g r a d e 2 : 軽度の変化 ; 侵食像や硬化像 g r a d e 3 : 中程度の変化 ; 侵食像 硬化像 裂隙の幅の変化 g r a d e 4 : 著しい変化 ; 強直 診断 D e f i n i t e 1. 両側仙腸関節 g r a d e 3 ~ 4 + 臨床症状 1 項目以上 2. 片側仙腸関節 g r a d e 3 ~ 4 または両側 g r a d e 2 + 臨床症状 1 または 2 + 3 (Rudwaleit M. Ann Rheum Dis 2009)

脊椎関節炎 = 付着部炎 関節包や靭帯の付着部炎 腱の付着部炎 腱の肥厚腱低エコー化腱線維構造 (fibrillar パターン ) の消失ドップラーシグナル アキレス腱 踵骨

脊椎関節炎 = 付着部炎 関節包や靭帯の付着部 腱の付着部 滑膜

脊椎関節炎 靭帯骨棘 (Grassi W. Italy)

72 歳 男性 主訴 : 肩 手の疼痛既往歴 : 前立腺癌 OP 虫垂炎 OP 家族歴 : 母膠原病現病歴 : 5 日前からから疼痛のため眠れないため 近くの内科より紹介で初診した 朝のこわばり :3 時間

WBC Stab Seg Lym Eosino Baso Mono RBC Hb Ht MCV MCH MCHC Plt 血沈尿糖タンパク潜血亜硝酸塩白血球 TP Alb T. Bil AST ALT LDH AlP γ-gtp BUN Cr UA Na K Cl Ca CK HbA1c CRP C3c C4 CH50 7.2 0.5 15 10 216 278 12 18.0 0.57 4.0 142 4.5 105-80 5.5 4.71 145.8 31.0 59.2 7,400-74.0 17.4 1.6 0.4 6.6 445 13.0 39.5 88.8 29.2 32.9 32.3 50 - - - - - フ ロカルシトニンフェリチン RF 抗 CCP 抗体抗核抗体 MPO-ANCA PR3-ANCA 0.05 151 8 0.5 40 <0.5 <0.5

リウマチ性多発筋痛症暫定分類基準 (ACR/EULAR 2012) 前提条件 50 歳以上 両肩の痛み CRP または血沈上昇 スコアリング 項目エコーなしエコーあり 朝のこわばり (45 分を超える ) 2 2 殿部痛または動きの制限 1 1 RF 陰性 抗 CCP 抗体陰性 2 2 肩と腰以外の関節症状がない 1 1 エコー所見 肩および股関節の滑液包炎 1 両側肩の滑液包炎 1 4 点以上 5 点以上

骨 皮膚 滑液包炎 骨 筋肉 滑液包炎 リウマチ性多発筋痛症

大動脈壁他の血管関節 ( 肩 股 ) 他の関節関節周囲 ( 肩 股 ) 棘突起間リンパ節症 リンパ節症 Y-shaped uptake パターン (Descamps L. Ann Rheum Dis 2018) (Yuge S. Ann Nucl Medicine 2018)

症例 78 歳女性 主訴 多関節痛, 上下肢疼痛 既往歴 糖尿病 (H22~) 近視性網脈絡膜萎縮変性 (20 年前 ~) 高血圧脂質異常症心房細動再発性単純性ヘルペス掌蹠嚢胞症 家族歴 特記事項なし 生活歴 飲酒歴 : なし 喫煙歴 : なし 現病歴 平成 27 年 9 月両手 右下腿浮腫出現し近医で心腎病変精査されたが異常所見認めなかった 同時に多関節炎を認めたためRS3PE 症候群と診断され PSL 10mgで加療開始された 症状改善に伴い以後急速に減量され同年 11 月末には内服中止となっていた その後 12 月 13 日に症状が再燃したためPSL 2.5mgで加療再開後精査加療目的に12 月 22 日当科入院となった : 圧痛 : 腫脹

入院時検査 ( 血算 ) ( 生化学 ) ( 感染症 ) WBC 12610 /ul TP 6.5 g/dl PCT 0.25 ng/ml Neutro 84.9 % Alb 2.98 g/dl QFT (-) Lymph 7.7 % BUN 14.6 mg/dl β-dグルカン (-) Mono 6.0 % CRE 0.64 mg/dl RPR-1 (-) Eosino 1.0 % UA 4.2 mg/dl TPHA-1 (-) Baso 0.4 % T.Bil 0.7 mg/dl HBsAg (-) Hb 9.8 g/dl AST 48 U/L HCVAb (-) MCV 82.3 % ALT 35 U/L MCHC 32.3 % LDH 277 U/L ( 免疫 ) Plt 37.8 x10^4/ul ALP 726 U/L C3 195.3 mg/dl γ-gtp 75 U/L C4 35.6 mg/dl ( 凝固 ) CK 18 U/L CH50 56.6 /ml APTT 28.5 sec CRP 14.98 mg/dl IgG 1167.8 mg/dl PT-INR 1.12 INR Na 138 mmol/l IgM 81.1 mg/dl PT(%) 76.5 % K 3.3 mmol/l 抗核抗体 (-) D-dimer 46.05 μg/ml Cl 94 mmol/l MPO-ANCA (-) 血沈 1h 96 mm Ca 8.7 mg/dl PR3-ANCA (-) Glu 142 mg/dl RF 14 IU/mL 便潜血 1000 ng/ml 以上 BNP 80.1 pg/ml 抗 CCP 抗体 0.7 U/mL ferritin 880 ng/ml MMP-3 918.7 ng/ml

上腕二頭筋腱 上腕二頭筋腱 肩関節エコー リウマチ性多発筋痛症を疑う所見

左示指 MCP 右小指 MCP 左手関節尺側 手指関節エコー 右手関節中央 関節リウマチを疑う所見

右 左 側頭動脈 椎骨動脈 正常像

(UpToDate)

項目 1. 発症年齢 :50 歳以上 2. 新たな頭痛 : 初めて経験する あるいは経験したことのない局所性頭痛 3. 側頭動脈異常 : 頚動脈の動脈硬化と関係のない側頭動脈に沿った圧痛あるいは脈拍減弱 4. 赤沈値 50mm/H 以上 5. 動脈生検の異常 : 単核細胞浸潤あるいは肉芽腫性炎症が著明 通常巨細胞を伴う血管炎所見 上記 5 項目中 3 項目以上が認められる場合に診断する 巨細胞性動脈炎の診断基準 (Arthritis Rheum 1990)

右 左 側頭動脈縦断 0M 1M 6M

変形性関節症 骨棘 (Grassi W. Italy)

関節リウマチ 滑膜 付着部 関節包靭帯 脊椎関節炎 軟骨 変形性関節症 滑液包 リウマチ性多発筋痛症

まとめ 目と手と 最新の検査技術を使って 骨 関節 そして全身をみよう