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Grassland Science 49 5> :516 522 (20Q3 ) 特 集 ネオティフォディウム エンドファイトとイネ科牧草の共生関係 我が国におけるエンドファイト研究の重要性 雑賀 優 岩手大学農学部 (020 8550 盛岡市上田三丁目 i88 ) 受付日 ; 2003 年 6 月 30 日〆受理 H : 2003 年 8 月 6 日 キーワード : アルカロイド, イネ科牧草, エンドファイト, 家畜中毒, 共生, こ不フル. Importance Qf Endophy 遭 estudy in Japan Suguru SAIGA Faculty of Agrictllture,Iwute University 3. 18. 8 Ueda,Morioka D2 } 8550,Japan Key words :Alkaloid.Endophyte,Grasses,Livestock poisoning,minerals,symbioses. はじめに エンドファイトは植物体内部に共生的に生存している微生 物をさすが, 本特集で取り上げるのは, 寒地型イネ科牧草と 共生している糸状菌のネオティフォディウム (Neotyphodium ) エンドファイトである ニュージーランド やアメリカでは古くから原因不明の家畜中毒が発生していた が,1980 年頃になって初めて, エンドファイトが植物体内で 産生するアルカロイドが原因していたことが明らかにされ た それ以来, 多くの研究者によってイネ科植物との共生関 係など, ネオティフォディウム エンドファイトに関する新 しい事実が次々に明らかにされていった エンドファイトは 宿主植物に耐乾性, 耐暑性を付与することから, エンドファ イトを気温が高く乾燥している地帯特有の問題と捉えられて いたが, 我が国にも関係する重要な問題であることが近年明 らかになった 本特集では, 雑賀がまずエンドファイトが家畜巾毒の原因と判明した経緯を簡単にふれ, エンドファイ 感染個体の目本と世界の分布状況, 我が国でのエンドファイ ト研究の重要性を述べる 次に, 中嶋博氏にエンドファイト 感染の免疫化学的検定法とエンドファイト感染個体の競合力 を乾燥ストレス条件下での生育と関連さぜて報告していただ き, 井上達志氏にはエンドファイトが産生するアルカロイド の種類と生理作用, 中毒症と分析方法について報告していた だいた 最後に, 菅原幸哉氏にはこのエンドファイトが [A eotyphodium.1 と命名されるに到った経緯と, 近年の遺伝 予解析によって明らかになりっっあるネオティフォディウ ム エンドファイトの進化 生態にっいての知見を報告して を中心に収り扱うことにした 1. エ ン ドフ ァイトと家畜中毒の関係 ニュージーランドでは, ペレニアル ライグラス草地に放牧 されている羊にふらっきなどの症状が見られることが 1906 年にすでに報告されていたが,1950 年前後に, ペレニアルライグラスおよびトールフ J. スク草地に放牧していた羊や牛で 異常歩行 ( ライグラススタッガ, 壊疽, びっこ等 ( フ x スクフット ) の症状が発生したとの報告が, ニュージーランドとアメ 丿力. で柑次いだ 5. じしかしながら, 明確な原因が不明 なまま長い年月が過ぎた 原因が明らかになったのは 197e 年代後半のことで,B,lcoN ら v により, フェスクフットの原因がトールフェスクに感染する糸状菌の. 一 種であるエンドファイトによって産生された毒素によるものであることが明らかにされた この発見がきっかけになり, 羊, 牛. 馬, 鹿, 水牛 t 山羊で生じていた神経症状, いわゆるライグラススタッガーの原因も同様にエンドファイトに関係することが明らかにされだ鴨エンドファイトは感染する草種によって種が異なり, トールフェスクとペレニアルライグラスから見出 されたネオティフォディウム エンドファイトはそれぞれ NcoenoPhirtlum,N lθliiと命名 ih) されている エンドファイト感染トールフェスク草地では. 家畜に フェ スクフッ ト, 脂肪壊死症,7 エ ス ク中毒が生じ 36, 産乳量が 減り, 出産遅延と死産が増加する 4V が, その毒素がアルカロイ. ドの 種エルゴバリン (ergovalinc ) であることが明らか にされた 5u ) H 旧 ら 23/ は, 卜一ルフ ェスクの非感染個体にエ ンドファイトを感染させ, エルゴバ リンが産生されることを いただいた, エンドファイトにはイネ科植物に感染する多く の種があるが, 本特集ではペレニアルライグラスとトール 確認した 同様に, ライグラススタッガーには神経症状を果 するロリトレム (lolitrerrl) が関係することが明らかにされ フ J. スクに感染するネオティフォディウム エンドファ イトた t L) 牧へ草のエンドファイト感染が家畜中毒の原因である本報告で紹介した結果の. 一部は, 文部科学省科学研究費補助金 ( 基盤研究 (A ) N ),14206031 ) による

雑賀 : エンドファイト研究の重要性 517 ニことから, アメリカではエンドファイト非 感染の トール フェ ス ク品種 AU Triumph により家畜中毒を回避しようとする 動きが生じたが, エンドファ イト非感染品種では耐乾性, 耐 暑性が劣り, 夏季の放牧に耐えられなかっ たため, 間もなく 利用されなくなっ た 24 この ため, トール フェ ス クしか栽培 で きない地帯では, 家畜中毒の危険がある感染種子を使わざ るを得なかった BOUTON ら η はトールフェ ス クの Ken tucky 31 を供試し, エンドファ イト非感染個体から永続性 に優れる個体の選抜を試みたが, 感染個体より優れた個体は 選抜できなかっ た トールフェス クやペ レ アル ライグラスは芝生用として も 広く用いられる エンドファ イ ト感染牧草は耐暑性, 耐虫性 等に優れるこ とから, 地上部が家畜飼料に用いられない芝生 用として感染種子が広く用い られて いる 特にゴル フ場やス ポーッ グラウン ドの芝生管理では緑度を維持するこ とが重要 である その ために従来大量に使われて い た除草剤, 殺虫剤 へ殺菌剤が, 環境問題 の関心の高まりによって使用が制限さ れるようになったこ とから, 生物農薬としての役目を果たす エン ドフ ァイト感染種子が, 芝生用草種にはむしろ積極的に 導入されている しかし家畜に給餌する飼料用牧草の場合は, エン ドフ ァ イ トが産生するアルカロ イドが家畜毒性を示すため, エンド ファ イト感染牧草を用いるこ とは危険を伴う 近年, 家畜中 毒の原因となるアル カロ イドのロ リトレム やエルゴバ リンを 産生せずに耐乾性, 耐虫性, 耐暑性に関連する物質を産生す るノントキシック ( 無毒 ) エンドファ イ トの系統の探索が 行われ, 北アフ リカを含む地中海沿岸から収集した遺伝資源 の なかから数系統を発見し, 実用化を目指した研究が精力的 に行われている これら一連の研究は特許申請のためその詳細は論文にはまとめられておらず (LATCH 私信 ), 断片的に情報が流れるのみで研究の全容を知ることは困難である しかしながら, 無毒エンドファイト接種種子を播種した草地の家畜生産性の研究成果は公表されている BOUTON ら G,8 ) は, 無毒エンドファイト系統 (AR542 ) をアメリカ南部で普及しているトールフェスク品種の Jesup と Georgia 5 に接種した品種を羊と肉牛の試験に用いた 両品種とも家畜中毒の原因となるアルカロイドは検出されず, エンドファイト非感染品種と同様の増体量を示し, 感染品種に比較して約 50% 高かったと報告している AR542 感染草地は非感染草地より永続性が高く, エンドファイト感染草地と同等の永続性を示した 優良品種の Jesupに無毒エンドファイト AR542 を接 種した品種は JesupMaxQ の品種名で市販されている 2, 我が国でエンドファイトが注目されるようになった背景エンドファイトが我が国で注目を集めるようになったのは,1997 年のことである 盛岡市の畜産農家で生じた家畜中毒の原因は, 給餌していた輸入ライグラスストー中ロに含まれるアルカロイドの可能性が高いことが明らかになり蝋新聞, 雑誌等で報道されると全国各地の畜産農家からの被害報告が相次いだ 電話での聞き取り調査では,1998 年 3 月時点 で約 250 頭以上の牛に被害が生じていることが明らかになっ た蝌 これがきっかけとなって, 飼料輸入業者による H 主規 制が行われ, 我が国に輸入されるフェスクストローとライグ ラスストローについては, アルカロイドの分析結果が添付さ れていること, およびその値が危険値を超えていない飼料に 限り輸入されることになった ( 読売新聞,1998.4,24) 牛の危 険値にっいて, アメリカ 1 ) ではエルゴバリン 400 750ppb, ロ リトレム BL800 2,000 ppb, オーストラリア 42) ではそれぞれ 400ppb と 1,800 ppb とされている しかしながら, 石崎 25) が エンドファイト中毒の再現試験を黒毛和種で行ったところ, ロリトレム B が 1,206ppb の輸入ペレニアルライグラススト ローを不断給餌した 3 頭全頭に 12 15 日目に神経症状が表れ たこ とから, 黒毛和種の危険値は海外の牛の基準値より低い と考えられる 3. 我が国へのエンドファイト感染種子の導入 卜一ルフェスクやペレニアルライグラス等は飼料用や芝生 用, 土壌保全用として用い られ, それらの種子の大部分はア メリカから輸入されている ( 自給飼料関係資料 ) 国内育成品 種の種子以外には, アメリカ国内で多く流通していた品種の 種子が輸入されたと考えられるが, 代表的な品種としては トールフェスクの飼料用では Kentucky 31 が, ペレニアル ライグラスの芝生用品種では Manhattan や Pennfine があ り, それぞれアメリカのケンタッキー州, ニューヨーク州, ペンシルバニア州の古い草地で発見された遺伝資源から無意 識に感染個体が選抜されていた 2 エンドファイトが騒がれ るようになったのはここ 10 15 年のことであり, それまでは 特性のみで品種の選択が行われていたため, エンドファイト に高度に感染している種子が多く輸入されたことが推察され る 流通品種の種子中エンドファイト感染率を調査した結果, 芝生用で感染が認められた品種はペレニアルライグラスで 23 品種中 21 品種 3a, 卜一ルフェスクでは 6 品種中 5 品種で あった ( 前嶋ら, 未発表 ) KOGA ら 26) が芝生用のペレニアル ライグラス流通品種にっいて感染率を調査した結果では,18 品種中 13 品種で高い感染率を示したと報告している 一方 飼料用品種では, ペレニアルライグラス 5 品種中いずれもエ ンドファイト感染は認められず, トールフェスクでは国内育 成品種のエンドファイト感染は認められなかったが, フラン スの品種で比較的低い感染率を示した品種が見られた 3 % 卜一ルフェスクの Kentucky 31 とペレニアルライグラスの Manhattanの種子感染率はそれぞれ 96 %,64% と高い値を 示した ( 前嶋ら, 未発表 ) 図 1 には, 岩手県内のゴルフ場と 運動競技場でエンドファイト感染ペレニアルライグラス種子 を播種した後の感染率の推移を示した 46) 砂質土壌の河川敷 に造成された水沢ゴルフ場と宮古競技場では, 春の感染個体 率が低く, 夏から秋に上昇するとい う季節変化が見られ, 咼 温乾燥の 1999 年と 2000 年の夏にエンドファイト非感染個体 が枯死したため, 相対的に感染個体率が急激に高まった 我 が国の草地でエンドファイト感染率の高い草地が成立してい る可能性がある そこで次に, 国内の草地のエンドファイト

518 GrasslandScien e Vol.49 No.5 2003 100 非感染個体が優勢となり, 感染個体が淘汰された可能性が高 い TAKAI ら m ) はメドウフェスクについて, 北海道農業研究 ( 暴 蹄量回 鰲緇ア冖 80 60 40 センターに保存中の育種材料中のエンドファイト感染率を調 査し,137 個体中 83 個体で感染を確認した ちなみに, メ ウフェスクから見出されたエンドファイトの学名は N uncinatum4s ) であり, 卜一ルフェスクやペレニアルライグラ スのエンドファイトとは異なり, 家畜中毒の原因となるアル ド ヤトへら λ 肖 20 o98 カロイドは産生せず, 植物に耐乾性と耐虫性を付与するロ 丿ン ( oline ) を産生する ig) といわれている 5. 海外における牧草中のエンドファイト感染状況 秋 99 春 99 夏 99 秋 00 春 OO 夏 00 秋 エンドファイトによる家畜中毒はアメリカとニュージーラ 図 L ペレニアルライグラスのエンドファイト感染種子が播種された芝生における感染個体率の推移. e : 盛岡ゴルフ場 + : 水沢ゴノレフ場, 一 一 ; 宮占競技場, e : 盛岡競技場. ンドで大きな問題を生じたが, 我が国やヨーロッパの国々では大きな問題となっていない そこで次に, 海外の草地におけるエンドファイト感染個体の分布状況を文献から拾った (1) アメリカ 感染状況にっいて調べた 4. 我が国における草地のエンドファイト感染状況 これまで我が国でエンドファイトによる家畜中毒が発生し たケースは, いずれも飼料用として輸入したストロー類が原 因と思われ. 国内の草地における被害の報告はない しかし, 牧草種子の 100 % 近くを海外からの輸入に依存しているた め, 輸入種子を播種した草地でエンドファイト感染牧草が生 育している可能性がある 海外でエンドファイトによる家畜 申毒が騒がれるようになって, 我が国でも草地のエンドファ イト感染率の調査が行われた KQGA ら 2G / は東北地方と関東 地方から収集した 25 エコタイプのうち 5 エコタイプにネオ テでフォディウム エンドファイトの感染を認めた また, SATo ら 4 了 ) は北海道の草地でエンドファイト感染率を調査 し, 道北 道央地域の 140 地点中 5 地点で感染個体を認め た 著者らが, 道路際から収集した個体にっいてのエンド ファイト感染率を調べたところでは, ベレニアルライグラス では北海道で 9 地点中 4 地点, 北東北では 50 地点中 6 地点 であり, 卜一ルフェスクでは北海道で ll 地点中 2 地点, 北東北では 50 地点中 18 地点で感染個体が検出された ( 投稿中 ) この結. 果は KOGA や SATo の調査結果に比較して高い値であ るが, 草地に生育する牧草ではなく, 牧草にとってストレス の多い道路際からの収集個体によるもの と考えられる な お, 道路法面には価格の安い種子が使われるため, 種苗会社 の力タログに掲載されているようなエンドファイト高度感染種子が播かれる可能性は低い 一方, 一般の草地にっいて. 見ると, エンドファイトに対する情報が少なかった時期には, アメリカ西海岸やニュージー ランドで採種されたエンドファイトにある程度感染した品種 が我が国に輸人され, 草地造成に用いられたと考えられる が, その割に感染個体の頻度が低いのは, 感染個体と非感染 個体の競合の結果と考えられる っまり, 我が国でペレニア ルライグラスやトールフェスクが生育しているのは主として 北日本であり, この地域の寒冷で湿潤な気象条件のもとでは アメ 丿力ではトールフェスク草地は 1,500 万ヘクタールを 超えており, そのうちの 80% 以上の草地がエンドファイト に感染しているといわれ, 肉牛のエンドファイトによる被害総額は年問 6 億ドルと推定されている細 2001 2002 年冬には, オレゴン州で未曾有のフェスクストローによる牛の中毒が多発し t 約 600 頭が死亡したとの被害報告が出された (www. oregonlive.com ) 2001 年夏の? 魃による貯蔵飼料の不足と 2002 年冬の低温が被害に拍車をかけたといわれている (2) オセアニ ア ニ ュージーラ ン ドやオース トラ 丿アでは占い草地に生育す るトールフェスクやペレニアルライグラスのほとんどはエン ドファイトに感染している 3n/ ペレニアノレライグラスでエン ドファイト感染個体しか生育しない地域では, 卜一ルフェス クのエンドファイト非感染晶種が家畜中毒を防ぐ目的で播か れて利用される 卜一ルフェスクの飼料用品種はエンドファ イトに感染していないが, 道端の個体は感染しているヨ T:. ま たオーストラリアで,REED ら 42) がニューサウスウェールズ とビクトリアの 2 州でペレニアルライグラスの収集を行な一 たところ, 古い草地の 101 ケ所すべてでエンドファイトに感 染しており, 平均の感染率は 90 % であった ビクトリア州 60 牧場のうち 33% の牧場で危険値を越えたアルカロイド含 量が検出された (3) ヨーロツパ イギリスの古いペレニアルライグラス草地のエンドファイ ト感染率は低いが, 若い草地より感染率は高く, 時たまライ グラススタッガーが生じる 32 ) ドイッ SS) やフランス 41} でも. ペレニアルライグラスの古い草地で感染個体の見っかる割合 は高いものの, 個体の感染率そのものは高くない エンド ファイト感染トールフェスク. 草地で時々家畜中毒が生じる が. 多くはない 一般にヨーロッパの巾部から北部では, 牧 草の生育に障害を与えるほど乾燥がひどくないため, エンド ファイト中毒は大きな間題とはなっていない 北スペインで OLiVE 且 RA ら s9 が調べた結果, トールフェスクは 68 100% で 高く, ペレニアルライグラスは 8 78 % であった CLEMENT ら 12) が, 地中海地方 ( 乾燥地帯 ) から収集したトールフェス

雑賀 ; エンドファイト研究の重要性 519 クについてエンドファイト感染率を調査した結果, チュニジ ア (28 地点 ), モロッコ (56 地点 ), イタリア (20 地点 ) では 85 % 以上の地点で感染していた 植物の生育にストレスがか かる地帯でエンドファイト感染率が高い 4D といえる 6, エンドファイトと植物の共生関係 エンドファイトは宿主植物との間に共生関係にあることが 知られている エンドファイトは植物体に病徴を示さず, 植 物から生息場所と栄養を供給され, 種子を通じた伝播を援助 される一方, 種々の物質を生産して植物の生物的 ( 耐虫性 耐病性等 ), 非生物的 ( 耐乾性, 耐暑性等 ) 抵抗性を高める働 きがある 35) また, 植物ホルモンの生成にも関与し, 分げっを促進し, 生長点近辺の細胞伸長を促す働きがあるインドー ル酢酸の生成量を高める 16 エンドファイトが植物体内でア ルカロイドを産生し, 家畜中毒を起こすのも宿主植物の生き 残り戦略に貢献しているとみなされる (1) 耐乾性, 耐暑性 エンドファイトの感染は, 宿主植物の生存に重要な役割を 果たしている その中で最も多く研究されているのが耐乾性 である WEST ら 52) はエンドファイトの感染がトールフェス クの耐乾性を高めることを明らかにした また, エンドファ イトが感染することにより根の乾物量が増加するとの報告が トールフェスク L5, ペレニアルライグラス 29, メドウフェス ク 34} でなされている 耐暑性は耐乾性と密接な関連があり, 耐乾性とは乾燥の回避から, 抵抗, 乾燥状態からの回復まで を含むとされている 35 ) 乾燥の回避には, 地下部の土壌水分 吸収力の改善と地上部器官での効率的な利用が重要であり, エンドファイト感染個体は根の伸長速度が速く, 深く伸びる こと, 地上部器官での水の効率的利用として, 光合成速度を 落とし, 気孔抵抗を高めること, 気孔が閉じているとき水分 の移動速度を低下させ, 生長点近辺の水分を高く保っ S5) 効果 のあることが知られている (2 ) 耐虫性, 耐病性 RowAN ら tg) は, エンドファイトがアルカロイドの一種であるペラミン (peramine ) を産生することを報告し, 二 L 一 ジーランドにおけるペレニアルライグラスの最大の害虫であ るゾウムシの一種のアルゼンチン ステムウィービルを抑制 することを明らかにした また, 同様に産生されるロリンも 耐虫性を示す 14 ) これらの物質は 41 種以上の昆虫に生育抑 制効果があるといわれている 30) が, 家畜に対してはエルゴバ リンやロリトレムのような有害な影響はない 9 ) エンドファ イトは耐病性にも関与している エンドファイト感染トール フェスク個体は RhiZoctoniazeae に抵抗性を示し欺また, Scretotinia homoeoe α rpa の抵抗性を高める ID とされている 7, エンドファイト感染個体の栄養吸収特性 (1) 感染による根の形態変化と栄養吸収エンドファイトは宿主植物に生物的, 非生物的抵抗性を付 与するばかりでなく, 最近の研究では, 栄養吸収にも関与す ることが明らかにされっっある エンドファイト感染個体は, 非感染個体に比較して低 11 ン土壌条件下での Mg,Ca,K 等のミネラル吸収が高い 35 ) こと, あるいは土壌中のアルミニ ウム含量が高い酸性土壌でのミネラル吸収が高い 53 ) ことな どが明らかにされっっある 低リン条件下での感染個体のミ ネラル吸収機構にっいて MALTNOWSKI と BELESKY95 は, 根の 形態と根の分泌物 ( フェノール様物質 ) の活性の二っの側面 があると結論付けた 根の形態にっいては, 感染個体は短直 径で長い根毛を形成し, 根の表面積を大きくするなどの働き がある また, 根の分泌物であるフェ ノール は可溶性ア ル ミ ニ ウムや鉄と結合するこ とにより土壌中の P 有効性を高め る 2 としている ZAVRov ら 53) が 3 草種由来のエンドファイ トをチューイングフェスクとレッドフェスクに接種し, アル ミニウム耐性の試験を行なったところ, 一部のエンドファイ トと草種の組合せで高い耐性が得られたと報告した MONNET ら 37) はペレニアルライグラスでエンドファイトの 感染が Zn の生育に及ぼす影響を水耕栽培で調べたところ, 培養液中の 染個体は葉中の Zn が高濃度になるほど生育は抑制されたが, 感 Zn 含量が低く, 光合成に有利に働き, 全乾 物重, 茎数が多くなり,Zn のストレスが少なかった (2) 我が国におけるエンドファイト研究の重要性 LATCH31 ) は, エンドファイトとイネ科牧草の関係を述べた レビュ ーの中で, 害虫や病気の被害が大きく, 生育に不適な 環境で牧草を栽培する場合はエンドファイトを利用する方向 で研究を進めるべきであろうが, エンドファイトの恩恵を受 けない環境の中で栽培するのであればヱンドファイト非感染 牧草を活用すべきであると述べている 我が国ではエンド ファイトの愚恵を受けない環境条件下にあることから, エン ドファイト研究は主として輸入飼料の家畜毒性面から注目さ れ, どちらかといえばエンドファイトの害を回避する方向か らの研究がなされてきた しかしながら, エンドファイト感 染個体が低リン土壌条件下で Mg,Ca,K 等の ミネラル吸収が 高い 35} ことは, 我が国のように酸性でリン酸吸収係数が高い 土壌で牧草栽培される場合にもエンドファイトの恩恵を十分 受ける可能性が生じ, エン ドフ ァ イト研究の新しい視点が拓 ける (3 ) 我が国の土壌におけるエンドファイト感染個体の生育 RAHMAN ら 4 ) は, トールフェスクを供試し, 赤色土と日本 の代表的な土壌である黒ボク土でエンドファイト感染非感染 個体を栽培した ( 図 2 ) その結果, 黒ボク土では感染個体が 茎数草丈, 緑度, 乾物収量, 水分利用効率のいずれでも高 い値を示したが, 赤色土では逆に非感染個体が高いか又は差 が見られなかった また, 同一条件でミネラルの吸収量を調 べた結果 (RAHMAN ら, 未発表 ) でも感染個体の Mg,Ca,K 吸収量が多かっ た 黒ボク土は土壌有機物含量が高く肥沃で あるが, 有効態リン含量が低いのに対して, 赤色土では土壌 ph が低く有機物含量が低いが有効態リン含量は比較的高い 特徴を持っ エンドファイト感染個体は黒ボク土で生育が旺 盛となり, ミネラル吸収量も多い結果が得られたことは, エ ンドファイトの恩恵にっながる ちなみに, RAHMAN ら 4a ) の 試験で, 赤色土で感染個体の生育が劣ったことは, 共生関係 におけるコストの問題と捉えられる っまり, トールフェス ク, ペレニアルライグラスの両草種とも, 高栄養条件下では

520 Grassland Science τ 01.49 N.52003 ( 橋 ) 無捌? 340 60 鬣 20 Z9630 a 一. 一. 一... b E+ E 一 E 一 エンドファイト感染個体の生育が高まる 川 ) が, 低栄養条件 ではエンドファイトにエネルギーをとられるために感染個体の生育が劣った可能性が考えられる 児玉らと 7 は, 水耕栽培を用いて低リン条件ドにおけるエ ドファ イト感染牧草の生育特性を調査したところ, ペ レニ ア ルライグラスでは感染個体は草高が高く, 根面積が大きく, 二次根が長い結果が得られ, 卜一ルフェスクでも同様の傾向 ン 0 E 一 E 一 が認められた ( 図 3 ) また, ペレニアルライグラスではリン 酸が適濃度条件下で感染個体の二次根が顕蓍に長かったのに ( 6O 畠く店 4D ひり ) 2 O 曲索 O 量 し 匕 罩 α 9 \ こ ) 01 6 軌 3 蚓鼻浬 0 a a a a E E 一 黒ボク土 赤色土 E 一 E 一 図 2. 黒ボク土と赤色土で栽培した場合のエンドファイト感染 (ET ) 非感染 E ) 個体の生育の相違. 8e へ 60 民一 岨睡 40 陣 20 8e 1 卜 60 ヤ 書 o 踵 4 trl Ptq ムて 20 注 ) 異なるアルファベット間に 5% 水準で有意差あり. 評評評評諍詠 : ド評評根の齷 ( ) oo O 10 090.12D.170.190.240 25 e.310 R4 根の直径 (mm ) 図 3. エンドファイト感染 ( ) 非感染 (E ) と P レ ベルの高 (P 低 (P が根の形態に及ぼす影響. 一唱一 P E 十, a P 亠 E., 一 P E 十, o P. 一 E.. 対し, トールフェスクでは低リン条件下で顕著に感染個体の 二次根が長かったなど, 草種により多少異なる結果となっ た RAHMAN ら 40 ) および児玉ら z コ / の試験で, エンドファイト 感染個体が根の形態やミネラル吸収で非感染個体に比較して 優れる結果を得たことは, 我が国におけるエンドファイト研 究の重要性を示すものであり, 今後の研究の発展が期待される 引用文献 D ALDRrc11 M へ RKIIAM,S,and G.P [R 乢 LI (1995 } Endophyte 亡 oxins in grass seed fields 己 nd s 電 raw.oregon StateUniv. Ex しcnsion Servi.ce EM 8598,1 4. 2 ).XpPEL,1.M. ( 1993 Phenolics in ecoiogical interactions : The lmportance of oxidation.j Chem.Ecoi.19,1521 1552. 3. ) ARF:cnAvAL ト : 1 A,M.,C.W.BAcoN,C.S.HovEL 八 ND and D,E. RADcLIF 旺 1989 ) Effect of the tallfcscue endophy しc on plant response to environmental strcss. Agron..81,83. 90. 4 ) B へ GoN,C.W,J.K.PoRTEr {,J D.RoBBINs and E.S.LuTTRELr {1977 ) Epichloe typhina frqm toxic tallfescue grasses.appl Environ.Microbiol,34,521 581. 5 ) B.xcoN,C NV. 1995 } Toxic cndophyte infocted tallfesc し lc and ange g asses :IlistQric perspectives.,.anim.sci.73, 861 870. 6 ) B T N J,N H し L,C.H ve D,M.M CANN,F.T M,,L. HAwKINs and G.LATcH 2000 } Performance of tah fescue cultjvars infec ヒ ed with non toxic enddphytes.prec.4th ln t. Ngo リソ )hodium /Gra Interac. tions SymPosiu η z PP.179. 185. 7 ) Bo じ ToN,J.H.,R N.G へ TEs and C,S.HovEL 八 Np 2001 ) Selection f p i t n ei 1 phyt. f ee K t ky 31 f cu.c, p SCII.41,IO26 1028. 8 ) B., H.,G.C.M.L. T H.N.S.H L,C.S.H v,. ND,M.A, McCANN.R.H.W,ITSON,JLA.P へ RlsH,L,L.H 八 wkins and F.N. T }rompsc N (2002 } ReinfecUon of tatlfescue cultivars with ロ on ergot alkaloid producing endophytes.agt て )n cj 94,567 574. 9 ) B H LP H H WILKIN N and C.L.S H へ (199 η BioprQtective alkaloids of grass ungal endophyte synl. bioses.pl αnt P ノ ys ど oz.1 且 4,1 7, 1 ω CTIEp 目 ck,g.p.,k.cl., ly and S.M xrks 1989 ) interactions betwoen infecti Ω n by endophyte fungi and nutrien し 1imita. ti n [n the grasses 乙 tium Perenne and Festuca arundin α cea. Aie, PhytoL I I I,89. 97. 11 CLARKI :,B B.,D R.HL FF,D.A.SMITH,CR,F NK and S.S し N 1994 } Enhanced resistanc 巳 to dollarspo し ill erldophyte jnrected finefescue.agron, ノ lbst.187. 12 ) CL 闘 N,S L,W,G Es.,P.C NGHA.X, ] V.N, ung W, Bo [.1NEJMATE,S.S MDI,B.BAYA,M.CH へ KRo し N,A.MEzNI and C. PoRQ しじ DDu 1997 }Acremonium endophytes i ロ N lediterrane.

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