YGAPMA-Z1C2-01 地 図 図 法 次 ページの 地 図 に 関 する 文 章 と 世 界 地 図, 地 形 図 の 模 式 図 を 見 て, 下 記 の 問 に 答 えよ (30 点 ) 世 界 で 初 めて 投 影 法 を 用 い, 曲 線 の 経 緯 線 も 使 って 描 かれた 世 界 地 図 は,( ア )により 作 成 された この 地 図 は, 単 円 錐 図 法 に 似 た 図 法 により 描 かれている なお, 単 円 錐 図 法 を, 正 積 図 法 となるように 改 良 したのが,フランス 人 の( イ )が 考 案 した( イ ) 図 法 であ る 中 世 のキリスト 教 社 会 における 世 界 地 図 の 代 表 として,( ウ )マップが 挙 げられる こ の 地 図 では, 中 心 がエルサレムにあり, 方 位 は 地 上 の 楽 園 が 所 在 するとされた 東 が 上 になって いる 大 航 海 時 代 の 1569 年 には,オランダ 人 の( エ )が 正 角 円 筒 図 法 を 考 案 した この 図 法 は 等 角 航 路 が 直 線 で 表 現 されることから, 航 海 用 に 広 く 用 いられた 18 世 紀 になるとフランスで 地 形 図 が 作 成 された 日 本 の 地 形 図 は,かつて1つの 図 郭 が 等 脚 台 形 となる( オ ) 図 法 により 作 成 されていた 1960 年 頃 以 降 は, 国 際 的 基 準 に 合 わせて, ( エ ) 図 法 の 原 理 を 応 用 したUTM 図 法 により 作 成 されている これは,1つの 図 郭 が 不 等 辺 四 辺 形 で,1 枚 ごとに 形 も 大 きさも 異 なるため, 経 度 ( カ ) 間 は 同 一 平 面 でつなぐ ことができ, 歪 みがきわめて 小 さいことが 特 色 となっている 問 1 文 章 中 の( ア )~( カ )に 最 も 適 当 な 語 句 または 数 字 を 記 せ 但 し,ウはアル ファベットで 答 えよ (6 点 ) 問 2 次 ページの 世 界 地 図 は,X 点 を 中 心 にして 正 距 方 位 図 法 で 描 かれたものであり,X 点 は 東 京 の 対 蹠 点 である 東 京 の 位 置 を 北 緯 36, 東 経 140 とした 場 合,X 点 の 位 置 の 緯 度 と 経 度 を 答 えよ (2 点 ) 問 3 この 世 界 地 図 では,パリは, 中 心 のX 点 と 外 周 ( 円 周 )を 結 ぶ 線 分 ( 半 径 )のほぼ 中 点 に 位 置 している このことを 参 考 にして, 東 京 とパリのおよその 距 離 を, 単 位 km で 答 え よ (2 点 ) 問 4 次 ページの 地 形 図 の 模 式 図 の 縮 尺 を 解 答 欄 aに 記 せ また,そう 判 断 した 根 拠 を 解 答 欄 bに 記 せ (4 点 ) 問 5 地 形 図 の 模 式 図 のaとbの 部 分 のそれぞれの 地 形 名 と, 一 般 に 見 られる 農 業 的 土 地 利 用 について, 併 せて 40 字 以 内 で 述 べよ (4 点 ) 問 6 地 形 図 の 模 式 図 のc~eの 組 合 せから 成 る 地 形 の 成 因 について, 初 めにその 地 形 名 を 挙 げて, 併 せて 90 字 以 内 で 述 べよ (10 点 ) 問 7 地 形 図 の 模 式 図 のa~eの 部 分 の 土 地 のうち, 鉄 道 や 道 路 の 建 設 に 最 も 不 適 な 地 形 を1 つ 選 び, 記 号 を 記 せ (2 点 )
資 料 判 読 のポイント YGAPMA-Z1C2-02 ポイント 地 図 の 歴 史 と 地 形 図 の 模 式 図 を 出 題 した 各 図 法 は 一 長 一 短 があり, 目 的 に 応 じてより 適 切 な 図 法 を 選 択 する 必 要 がある どの 図 法 が 何 に 適 しているのか, 今 一 度 確 認 しよう また, 今 回 の 問 題 で 使 用 したのは, 地 形 図 の 模 式 図 である 実 際 の 地 形 図 は 今 回 の 図 のように, すっきりとは 見 えないかもしれないが, 問 題 で 問 われている 内 容 に 即 し, 必 要 な 情 報 を 地 形 図 から 読 み 取 る 練 習 を 積 んでおきたい
YGAPMA-Z1C2-03 解 答 問 1 ア プトレマイオス イ ボンヌ ウ TO(OT) エ メルカトル オ 多 面 体 カ 6 問 2 南 緯 36, 西 経 40 問 3 約 1 万 km 問 4 a 2 万 5000 分 の1 b 計 曲 線 の 間 隔 が 50 mであるから ( 主 曲 線 の 間 隔 が 10 mであるから ) 問 5 aの 自 然 堤 防 では 果 樹 園 畑 への 利 用,bの 後 背 湿 地 では 水 田 への 利 用 が 見 られる (38 字 ) 問 6 河 岸 段 丘 河 川 流 域 の 地 盤 が 隆 起 し, 河 川 の 侵 食 作 用 で 河 床 が 掘 り 下 げられた その 結 果, 従 来 の 谷 底 が 取 り 残 されてできた 平 坦 面 と 河 川 の 侵 食 でできた 急 崖 が, 階 段 状 に 配 列 して 形 成 さ れた (87 字 ) 問 7 d 解 法 問 5 解 答 の 組 立 て <aとbの 地 形 で, 一 般 に 見 られる 農 業 的 土 地 利 用 > [ 論 述 の 型 相 違 ] aの 地 形 自 然 堤 防 水 はけがよい 河 川 の 氾 濫 時 に 土 砂 が 堆 積 し てできた 微 高 地 aの 農 業 的 土 地 利 用 果 樹 園 畑 として 利 用 bの 地 形 後 背 湿 地 人 工 的 に 排 水 洪 水 などで 溢 れた 水 がたまり, 沼 や 湿 地 となりやすい 低 地 bの 農 業 的 土 地 利 用 水 田 として 利 用 問 6 解 答 の 組 立 て <c~eの 組 合 せから 成 る 地 形 の 成 因 について> c~eの 組 合 せから 成 る 地 形 河 岸 段 丘 [ 論 述 の 型 成 因 ] 地 形 の 成 因 ( 形 成 過 程 ) 河 川 流 域 の 土 地 が 隆 起 河 川 の 侵 食 作 用 河 川 の 下 方 への 侵 食 河 床 が 掘 り 下 げられる 作 用 が 活 発 化 する 従 来 の 谷 底 が 取 り 残 されてできた 平 坦 面 (= 段 丘 面 :c e) 階 段 状 に 配 列 して ( 河 川 の 侵 食 作 用 でできた) 急 崖 (= 段 丘 崖 :d) 形 成 された
YGAPMA-Z1C2-04 解 説 問 1 ア 2 世 紀 頃 に 活 躍 したプトレマイオス(トレミー)は, 地 球 球 体 説 の 立 場 に 立 ち, 地 球 の 円 周 を 360 に 等 分 し, 球 面 を 直 線 曲 線 の 経 緯 線 を 用 いて 平 面 に 表 現 した 世 界 地 図 を 初 めて 作 成 した 円 錐 面 に 経 緯 線 を 投 影 した 単 円 錐 図 法 に 似 た 地 図 であった イ ボンヌ 図 法 は,フランス 人 のボンヌが 1752 年 に 単 円 錐 図 法 の 改 良 に より 考 案 した 正 積 図 法 である 緯 線 は, 単 円 錐 図 法 と 同 様 に 等 間 隔 の 同 心 円 で 描 かれるが, 経 線 は 正 積 とするために, 中 央 経 線 ( 直 線 )を 除 い てなめらかな 曲 線 で 描 かれ, 世 界 全 図 はハート 型 になる 中 心 から 離 れ るに 従 い 形 の 歪 みが 大 きくなるので, 中 緯 度 地 方 の 大 陸 図 地 方 図 に 主 に 利 用 される 正 積 図 法 プラス α 紀 元 前 3 世 紀 頃,エラ トステネスが 地 球 の 全 周 をほぼ 正 確 に 測 定 し た サンソン 図 法 モルワイデ 図 法 グード 図 法 エケルト 図 法 経 線 は 正 弦 曲 線 で, 中 央 経 線 のみ 直 線 緯 線 は 等 間 隔 の 直 線 で, 長 さの 比 は 正 しい 中 央 経 線 と 赤 道 の 長 さの 比 は1:2 低 緯 度 地 方 の 地 図 に 適 する 経 線 は 楕 円 曲 線 で, 中 央 経 線 のみ 直 線 緯 線 は 直 線 で, 高 緯 度 になるにしたがい, 間 隔 が 狭 くなる 緯 度 40 44 の 緯 線 上 の み 正 距 になる 中 央 経 線 と 赤 道 の 長 さの 比 は1:2 中 高 緯 度 地 方 の 地 図 に 適 する ホモロサイン 図 法 ともいう 低 緯 度 側 はサンソン 図 法, 高 緯 度 側 はモルワイデ 図 法 を 用 い, 両 図 を 緯 度 40 44 で 接 合 して, 海 上 の 部 分 を 断 裂 した 図 法 経 線 は 図 式 により 正 弦 曲 線 のものと 楕 円 曲 線 のものがあり,と もに 中 央 経 線 は 直 線 両 極 を 直 線 で 示 し, 極 と 中 央 経 線 と 赤 道 の 長 さの 比 は1:1:2 ウ TOマップ(OTマップ)は,O 字 型 の 大 洋 と 中 心 を 通 るT 字 型 の 水 域 で3 大 陸 を 区 分 した 図 である 半 球 の 上 部 がアジア, 右 下 がアフリカ, 左 下 がヨーロッパである 地 上 の 楽 園 (パラダイス)が 真 上 に 示 され, 東 の 方 位 を 表 している エ 1569 年 にオランダ 人 のメルカトルが 考 案 した 正 角 円 筒 図 法 がメルカ トル 図 法 である メルカトルが 作 成 した 世 界 地 図 の 原 版 は, 今 日 のメル カトル 図 法 に 基 づく 地 図 と 異 なり,アメリカ 大 陸 が 不 正 確 で, 南 半 球 に は 巨 大 な 南 方 大 陸 (オーストラリアと 南 極 などが 連 続 している)も 見 ら れる しかし, 経 緯 線 が 直 交 し, 任 意 の 直 線 と 経 線 のなす 角 が 常 に 一 定 の 角 度 を 示 している これをたどれば 等 角 航 路 となる 等 角 航 路 は 同 一 経 線 上 と 赤 道 上 以 外 では 最 短 経 路 ( 大 円 航 路 / 大 圏 航 路 )ではないため, 遠 回 りな 航 路 となるが, 安 全 確 実 に 目 的 地 に 到 達 できる 利 点 が 優 先 され, メルカトル 図 法 による 地 図 は 海 図 として 世 界 的 に 普 及 した プラス α キリスト 教 世 界 のTO マップとは 対 照 的 に, イスラム 教 世 界 では, 地 球 球 体 説 が 継 承 され たが, 南 北 は 逆 に 表 現 されていた
YGAPMA-Z1C2-05 オ 日 本 の 地 形 図 は, 国 土 交 通 省 国 土 地 理 院 により 作 成 発 行 されている 1960 年 頃 までは 多 面 体 図 法 により 作 成 されていた 多 面 体 図 法 では1 枚 の 地 形 図 は 等 脚 台 形 ( 南 半 球 では 上 底 が 長 い 等 脚 台 形 )となる 平 面 上 では, 隣 り 合 う2 枚 の 地 形 図 を, 南 北 方 向 にすき 間 なく 貼 り 合 わせる ことは 可 能 だが, 東 西 方 向 ではすき 間 ができてしまうという 欠 点 が 見 ら れる カ UTM 図 法 (ユニバーサル 横 メルカトル 図 法 )は, 横 メルカトル 図 法 をさらに 改 良 した 図 法 である UTM 図 法 では 中 央 経 線 を 中 心 に 左 右 が 同 形 であるが, 不 等 辺 四 辺 形 となっていて, 中 央 経 線 を 中 心 に 東 西 3 ずつの 範 囲 ( 経 度 6 間 の 範 囲 )では 歪 みがきわめて 小 さく, 何 枚 でも 平 面 上 ですき 間 なく 貼 り 合 わせることができる 地 球 上 では, 経 度 180 から 東 回 りに6 間 の 座 標 帯 が 設 定 されている なお, 多 面 体 図 法 でもUTM 図 法 でも 赤 道 に 近 い 方 が1 図 の 表 示 面 積 が 大 きく, 日 本 の 地 形 図 では, 九 州 の 方 が 北 海 道 より1 図 の 表 示 面 積 が 問 2 大 きくなっている たいせき 対 蹠 点 とは,ある 地 点 にとっての, 地 球 上 で 正 反 対 の 位 置 のことを さす 東 京 の 位 置 は,ほぼ 北 緯 36, 東 経 140 である 緯 度 についてい えば, 対 蹠 点 は 赤 道 を 挟 んで 対 称 の 位 置 に 当 たるから, 東 京 の 緯 度 の 南 北 を 入 れ 換 えればよいので,X 点 の 緯 度 は 南 緯 36 である また 経 度 は, 地 球 の 半 分,すなわち 180 だけ 東,もしくは 西 へ 回 った 位 置 である 西 経 40 である 問 3 正 距 方 位 図 法 で 描 かれた 世 界 地 図 では, 外 周 は 中 心 の 対 蹠 点 を 表 し ている この 世 界 地 図 は 東 京 の 対 蹠 点 であるX 点 を 中 心 として 作 図 され ているから, 外 周 は 対 蹠 点 の 対 蹠 点,つまり 東 京 を 表 していること になる 円 の 直 径 は 地 球 全 周 に 当 たる したがって, 東 京 とパリの 距 離 は, 円 の 半 径 = 地 球 全 周 の2 分 の1 から,X 点 とパリの 距 離 を 引 き 算 すれば 求 められる 設 問 文 では,パリは 半 径 のほぼ 中 点 に 位 置 す るとあるので, 東 京 とパリの 距 離 も 半 径 の2 分 の1,すなわち 地 球 全 周 の4 分 の1ということになる 地 球 全 周 は 約 4 万 kmであるから, 東 京 と パリのおよその 距 離 は 約 1 万 kmである 問 4 50 m 100 m 150 mの 等 高 線 が 太 い 実 線 であることから, 計 曲 線 の 間 隔 が 50 mであることがわかる 細 い 実 線 の 主 曲 線 の 間 隔 が 10 mで あることと 併 せて, 問 題 の 地 形 図 の 模 式 図 の 縮 尺 は2 万 5000 分 の1と 判 断 できる 問 5 5mの 等 高 線 ( 第 1 次 補 助 曲 線 )とaの 対 岸 にある 三 角 点 の 3.0 mの 標 高 から,aの 部 分 は 河 川 に 沿 った 微 高 地 であることが 読 み 取 れる この 微 高 地 は, 洪 水 の 時 に 溢 れ 出 た 水 が 河 川 の 外 側 で 急 に 流 速 が 落 ちる ため, 河 川 沿 岸 に 運 んできた 土 砂 が 堆 積 されてできたものであり, 自 然 堤 防 といわれる 自 然 堤 防 は 洪 水 時 も 被 害 が 比 較 的 小 さいため, 集 落 が 立 地 し, 果 樹 園 や 畑 などに 利 用 されることが 多 い 補 足 日 本 のUTM 図 法 での 座 標 帯 は, 東 経 123, 東 経 129, 東 経 135, 東 経 141, 東 経 147, 東 経 153 の 経 線 をそ れぞれ 中 央 経 線 とし, 東 経 120 ~ 156 の 間 を6つの 座 標 が 分 けて いる ここもチェック 5 万 分 の1 地 形 図 の 計 曲 線 は 100 m 間 隔, 1 万 分 の1 地 形 図 の 計 曲 線 は 平 地 丘 陵 では 10 m 間 隔, 山 地 では 20 m 間 隔 である
YGAPMA-Z1C2-06 bは 自 然 堤 防 の 外 側 で, 洪 水 などの 際 に 溢 れた 水 がたまり, 沼 や 湿 地 となりやすい 低 地 であり, 後 背 湿 地 (バックマーシュ)といわれる 農 業 的 土 地 利 用 としては, 人 工 的 に 排 水 した 上 で, 主 に 水 田 に 利 用 される 水 はけが 悪 い 土 地 であるため, 果 樹 園 畑 への 利 用 は 不 向 きである 問 6 等 高 線 の 間 隔 が 比 較 的 広 いcとeは 平 坦 地 であり, 等 高 線 の 間 隔 が 狭 いdは 急 な 斜 面 であることがわかる c~eは 河 川 にほぼ 平 行 な 等 高 線 で 表 される 地 形 であることから,c eを 段 丘 面,dを 段 丘 崖 とする 河 岸 段 丘 である 河 川 流 域 の 地 盤 が 隆 起 し(もしくは 海 水 面 の 低 下 により), 河 川 の 下 方 への 侵 食 作 用 が 活 発 になったことで 河 床 がさらに 掘 り 下 げられた そ の 結 果, 従 来 の 谷 底 が 取 り 残 されてできた 平 坦 面 ( 段 丘 面 )と 侵 食 作 用 でできた 急 崖 ( 段 丘 崖 )が, 階 段 状 に 配 列 して 形 成 された 地 形 が 河 岸 段 丘 である 上 述 のような 過 程 を 繰 り 返 すことで, 数 段 の 段 丘 が 形 成 され る なお, 河 川 から 遠 い 段 丘 面 の 方 が, 一 般 に 形 成 時 期 が 古 いとされて いる 河 岸 段 丘 の 形 成 プラス α 等 高 線 の 疎 密 の 束 が 海 岸 部 に 見 られた 場 合 は, 海 岸 段 丘 と 判 断 できる 問 7 a~eの 中 では,dの 段 丘 崖 が, 急 傾 斜 であるため 最 も 利 用 しにく い 地 形 であるといえる 実 際, 鉄 道 道 路 の 建 設 などに 費 用 と 技 術 がか かるため, 段 丘 崖 はほとんど 利 用 されず, 林 地 や 竹 林 となっていること が 多 い