阿 賀 野 水 系 河 整 備 基 本 方 針 の 骨 子 1. 河 の 総 合 的 な 保 全 と 利 用 に 関 する 基 本 方 針 (1) 流 域 及 び 河 の 概 要 ( 概 要 ) 水 源 から 河 口 までの 概 要 河 流 路 延 長 流 域 面 積 流 域 の 土 地 利 用 本 州 日 本 海 側 初 の 政 令 指 定 都 市 である 新 潟 市 や 福 島 県 の 地 方 拠 点 都 市 である 会 津 若 松 市 等 を 抱 える 阿 賀 野 沿 いには 福 島 県 会 津 地 方 と 新 潟 県 を 結 ぶJR 磐 越 西 線 磐 越 自 動 車 道 が 位 置 し 経 済 的 社 会 的 なつながりが 大 きい 豊 かな 水 の 流 れを 利 用 した 国 内 屈 指 の 水 力 発 電 地 帯 尾 瀬 国 立 公 園 に 位 置 する 我 が 国 内 屈 指 の 湿 原 である 尾 瀬 ヶ 原 をはじ め 優 れた 自 然 環 境 が 数 多 く 残 されている 流 域 の 地 形 地 質 年 平 均 降 水 量 ( 流 域 の 自 然 環 境 ) 上 流 部 ( 盆 地 部 )は 両 岸 に 山 地 が 迫 った 渓 谷 となっており 若 郷 湖 ではカモ 類 の 集 団 がみられ 山 地 渓 流 ではヤマセミ アカショウビ ン カワネズミ タゴガエル 等 が 生 息 中 流 部 には カジカやアカザ 等 が 生 息 し 湧 水 を 有 するワンド 細 流 が 点 在 し ミクリやカワヂシャなどが 生 育 するほか 淡 水 型 イト ヨの 生 息 場 となっている 下 流 部 は 幅 の 狭 い 区 間 では 澪 筋 が 大 きく 蛇 行 瀬 淵 が 多 く 分 布 両 岸 付 近 や 中 州 には 良 好 な 砂 礫 地 が 多 くアユの 良 好 な 産 卵 床 を 形 成 河 口 は 砂 地 で 砂 丘 植 物 群 落 がみられ 礫 河 原 はコアジサシの 集 団 繁 殖 地 となっている 河 口 部 の 水 域 は マハゼ 等 の 汽 水 魚 やヤマトシ ジミ 等 が 生 息 1
( 水 害 の 歴 史 と 治 水 事 業 の 沿 革 ) 下 流 部 では 享 保 15 年 (1730 年 ) 新 発 田 藩 により 松 ヶ 崎 を 分 水 路 として 開 削 したことを 契 機 に 信 濃 から 分 離 大 正 4 年 から 昭 和 8 年 にかけ 新 潟 市 周 辺 地 区 を 洪 水 から 防 御 する ことを 目 的 として 馬 下 の 計 画 高 水 流 量 を 6,950m 3 /s とする 改 修 計 画 に 基 づき 馬 下 から 河 口 までの 区 間 について 河 道 の 整 正 と 堤 防 を 主 体 とする 高 水 工 事 を 施 工 昭 和 22 年 から 第 二 期 改 修 工 事 として 再 び 改 修 工 事 を 実 施 するも 昭 和 31 年 及 び 同 33 年 に 計 画 高 水 流 量 を 上 回 る 大 洪 水 があり 同 38 年 に 計 画 高 水 流 量 を 9,000m 3 /s とする 計 画 を 策 定 上 流 部 ( 山 地 部 )では 大 正 8 年 に 福 島 県 が 改 修 事 業 に 着 手 したが 大 正 10 年 には 直 轄 へ 移 管 され 山 科 における 計 画 高 水 流 量 を 4,260m 3 /s とする 改 修 計 画 に 基 づき 袋 原 土 堀 泡 の 巻 地 区 の 捷 水 路 掘 削 築 堤 護 岸 水 制 等 を 施 工 し 湯 宮 について 放 水 路 を 開 削 昭 和 29 年 に 山 科 における 計 画 高 水 流 量 を 4,300m 3 /s に 改 定 し 日 橋 の 改 修 に 着 手 昭 和 41 年 には 馬 下 における 計 画 高 水 流 量 を 11,000m 3 /s とする 他 山 科 では 計 画 高 水 流 量 を 4,300m 3 /s とする 工 事 実 施 基 本 計 画 を 策 定 氾 濫 区 域 内 の 人 口 資 産 等 の 増 大 に 対 応 し 治 水 安 全 度 の 向 上 を 図 るため 昭 和 60 年 に 馬 下 における 計 画 高 水 流 量 を 13,000m 3 /s また 山 科 における 計 画 高 水 流 量 を 4,800m 3 /s とする 工 事 実 施 基 本 計 画 に 改 訂 ( 河 水 の 利 用 ) 現 在 約 5 万 ha に 及 ぶかんがい 用 水 会 津 若 松 市 新 潟 市 等 への 上 水 道 用 水 新 潟 東 港 臨 海 工 業 地 帯 等 への 工 業 用 水 とし 利 用 また 豊 富 な 水 資 源 と 有 利 な 地 形 を 利 用 し 総 最 大 出 力 約 420 万 kw の 発 電 が 行 われている 2
( 水 質 ) 水 質 は 本 全 域 が 環 境 基 準 A 類 型 に 指 定 され BOD による 環 境 基 準 はいずれの 地 点 も 満 足 している ( 河 の 利 用 ) 上 流 部 ( 山 地 部 )の 大 ダム 周 辺 には 公 園 や 野 外 音 楽 堂 や 桜 の 森 散 策 道 が 整 備 され レクリエーションやイベントに 利 用 中 流 部 は 阿 賀 野 ライン 県 立 自 然 公 園 等 の 景 勝 地 下 流 部 は 高 水 敷 にテニスコート サッカー 場 多 目 的 広 場 等 の 様 々 な 施 設 が 整 備 され 日 常 利 用 のほか 各 種 スポーツ 大 会 のイベント で 利 用 水 辺 の 楽 校 ( 松 浜 会 津 若 松 会 津 本 郷 )も 整 備 され 環 境 学 習 の 場 としても 利 用 され 市 民 団 体 による 活 動 も 盛 ん (2) 河 の 総 合 的 な 保 全 と 利 用 に 関 する 基 本 方 針 ( 治 水 利 水 環 境 の 総 合 的 な 方 針 ) 大 河 の 風 格 と 清 流 の 輝 きに 代 表 される 自 然 豊 な 河 環 境 と 河 景 観 を 保 全 継 承 治 水 利 水 環 境 に 関 わる 施 策 を 総 合 的 に 展 開 水 源 から 河 口 まで 一 貫 した 計 画 のもと 段 階 的 な 整 備 を 進 めるにあた っての 目 標 を 明 確 にして 河 の 総 合 的 な 保 全 と 利 用 を 図 る 健 全 な 水 物 質 循 環 系 の 構 築 を 図 るため 流 域 一 体 となって 取 り 組 む 河 の 有 する 多 面 的 機 能 を 十 分 発 揮 できるよう 維 持 管 理 を 適 切 に 実 施 総 合 的 な 土 砂 管 理 の 観 点 から 土 砂 移 動 に 関 する 調 査 研 究 に 取 り 組 むとともに 安 定 した 河 道 の 維 持 に 努 める ア. 災 害 の 発 生 の 防 止 又 は 軽 減 ( 流 域 全 体 の 河 整 備 の 方 針 ) 阿 賀 野 の 豊 かな 自 然 環 境 や 流 域 の 風 土 歴 史 等 に 配 慮 しながら 堤 防 の 新 設 拡 築 及 び 河 道 掘 削 により 河 積 を 増 大 させるとともに 3
水 衝 部 等 には 水 制 や 護 岸 等 を 整 備 し 計 画 規 模 の 洪 水 を 安 全 に 流 下 流 下 阻 害 となっている 固 定 堰 橋 梁 等 の 横 断 工 作 物 の 改 築 を 関 係 機 関 と 調 整 連 携 し 適 切 に 実 施 堤 防 の 詳 細 な 点 検 及 び 堤 防 の 質 的 強 化 に 関 する 研 究 等 を 実 施 し 堤 防 の 質 的 強 化 を 図 り 堤 防 の 安 全 性 を 確 保 山 間 狭 窄 部 支 派 の 分 合 流 部 等 は 洪 水 の 安 全 な 流 下 河 床 の 安 定 を 図 るため 洪 水 時 の 水 位 の 縦 断 変 化 等 について 継 続 的 な 調 査 観 測 を 実 施 その 結 果 を 反 映 した 河 整 備 や 適 切 な 維 持 管 理 を 実 施 洪 水 調 節 施 設 により 洪 水 調 節 を 行 うものとし 既 設 施 設 の 有 効 活 用 操 作 ルールの 変 更 など 整 備 管 理 の 高 度 化 効 率 化 を 図 る 内 水 被 害 の 著 しい 地 域 においては 関 係 機 関 と 連 携 調 整 を 図 りつつ 必 要 に 応 じて 実 施 ( 河 管 理 施 設 の 管 理 ソフト 対 策 ) 河 管 理 施 設 の 機 能 を 確 保 するため 施 設 管 理 の 高 度 化 効 率 化 を 図 る 内 水 排 除 施 設 は 排 水 先 の 河 の 出 水 状 況 を 把 握 し 適 切 に 運 用 河 道 内 の 樹 木 については 洪 水 位 への 影 響 を 十 分 把 握 し 河 環 境 の 保 全 に 配 慮 しながら 適 正 な 管 理 を 実 施 超 過 洪 水 等 に 対 する 被 害 の 軽 減 対 策 を 実 施 情 報 伝 達 体 制 の 充 実 等 総 合 的 な 被 害 軽 減 対 策 を 推 進 地 域 住 民 も 含 めて 災 害 時 のみならず 平 常 時 からの 防 災 意 識 の 向 上 本 支 及 び 上 下 流 バランスを 考 慮 した 水 系 一 貫 の 河 整 備 イ. 河 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 ( 河 の 適 正 な 利 用 及 び 流 水 の 正 常 な 機 能 の 維 持 ) 広 域 的 かつ 合 理 的 な 水 利 用 の 促 進 など 関 係 機 関 と 連 携 して 必 要 な 流 量 を 確 保 渇 水 等 の 発 生 時 の 被 害 を 最 小 限 に 抑 えるため 情 報 提 供 等 の 体 制 整 備 を 関 係 機 関 等 と 連 携 して 推 進 4
ウ. 河 環 境 の 整 備 と 保 全 ( 河 環 境 の 整 備 と 保 全 の 全 体 的 な 方 針 ) 阿 賀 野 と 流 域 の 人 々との 歴 史 的 文 化 的 なつながりを 踏 まえ 良 好 な 河 景 観 や 自 然 環 境 を 保 全 及 び 創 出 し 次 世 代 に 継 承 河 環 境 管 理 の 目 標 を 定 め 良 好 な 河 環 境 の 整 備 と 保 全 に 努 める とともに 河 環 境 に 影 響 を 与 える 場 合 には 代 償 措 置 等 によりで きるだけ 影 響 の 回 避 低 減 に 努 め 良 好 な 河 環 境 を 維 持 地 域 住 民 や 関 係 機 関 と 連 携 しながら 地 域 づくりにも 資 する づくり を 推 進 ( 動 植 物 の 生 息 地 生 育 地 の 保 全 ) 淡 水 型 イトヨ 等 が 生 息 生 育 するワンドや 細 流 の 湧 水 環 境 を 保 全 ウケクチウグイ アユ 等 が 生 息 する 瀬 と 淵 が 交 互 に 連 続 する 河 床 形 態 を 保 全 サギ 類 の 集 団 営 巣 地 である 中 州 や 水 際 のヨシ 等 の 抽 水 植 物 群 を 保 全 ( 良 好 な 景 観 の 維 持 形 成 ) 雄 大 変 化 に 富 んだ 自 然 景 観 田 園 都 市 の 貴 重 な 水 辺 景 観 を 維 持 保 全 ( 人 と 河 との 豊 かなふれあいの 確 保 ) 流 域 住 民 の 生 活 基 盤 や 歴 史 文 化 風 土 を 形 成 する 阿 賀 野 の 恵 み を 生 かし 自 然 とのふれあいや 環 境 学 習 の 場 の 整 備 保 全 を 図 る 沿 自 治 体 などと 連 携 し 県 境 を 越 えて 流 れる 大 河 の 上 下 流 におけ る 相 互 理 解 を 深 めつつ 流 域 住 民 と 一 体 となった づくりを 目 指 す ( 水 質 ) 下 水 道 等 の 関 連 事 業 や 関 係 機 関 との 連 携 調 整 地 域 住 民 との 連 携 を 図 りながら 良 好 な 水 質 の 保 全 に 努 める 5
( 河 敷 地 の 占 用 及 び 工 作 物 の 設 置 管 理 ) 動 植 物 の 生 育 生 息 環 境 の 保 全 景 観 の 保 全 に 配 慮 し 治 水 利 水 環 境 との 調 和 を 図 りつつ 河 敷 地 の 多 様 な 利 用 が 適 正 に 行 われる よう 努 める ( 地 域 の 魅 力 と 活 力 を 引 き 出 す 河 管 理 ) 河 に 関 する 情 報 を 地 域 住 民 と 幅 広 く 共 有 し 防 災 学 習 河 利 用 に 関 する 安 全 教 育 環 境 教 育 等 の 充 実 を 図 る 住 民 参 加 による 河 清 掃 河 愛 護 活 動 等 を 推 進 2. 河 の 整 備 の 基 本 となるべき 事 項 (1) 基 本 高 水 並 びにその 河 道 及 び 洪 水 調 節 施 設 への 配 分 に 関 する 事 項 河 名 基 準 地 点 基 本 高 水 のピーク 流 量 等 の 一 覧 表 基 本 高 水 の ピーク 流 量 (m 3 /s) 洪 水 調 節 施 設 による 調 節 量 (m 3 /s) 河 道 への 配 分 流 量 (m 3 /s) 阿 賀 野 山 科 6,100 1,300 4,800 馬 下 15,700 2,700 13,000 6
(2) 主 要 な 地 点 における 計 画 高 水 流 量 日 本 海 河 口 満 願 寺 三 本 木 馬 下 13,100 13,000 11,000 4,800 小 阿 賀 野 1,850 早 出 新 郷 7,500 只 見 片 門 山 科 南 大 橋 日 橋 900 宮 古 宮 湯 300 3,900 2,900 930 馬 越 (3) 主 要 な 地 点 における 計 画 高 水 位 及 び 計 画 横 断 形 に 係 る 幅 に 関 す る 事 項 主 要 な 地 点 における 計 画 高 水 位 及 び 幅 一 覧 表 河 名 地 点 名 河 口 又 は 合 流 計 画 高 水 位 幅 点 からの 距 離 T.P.(m) (m) (km) 馬 越 158.8 265.58 250 宮 古 141.0 182.71 310 山 科 132.6 172.96 180 阿 賀 野 新 郷 110.4 157.30 120 馬 下 32.6 22.84 500 満 願 寺 17.6 9.97 900 河 口 0.0 1.80 960 只 見 片 門 8.8 174.61 180 日 橋 南 大 橋 3.2 177.14 130 早 出 三 本 木 3.0 13.93 200 注 T.P: 東 京 湾 中 等 潮 位 : 基 点 からの 距 離 7
(4) 主 要 な 地 点 における 流 水 の 正 常 な 機 能 を 維 持 するために 必 要 な 流 量 に 関 する 事 項 宮 古 地 点 において 非 かんがい 期 概 ね 7m 3 /s かんがい 期 概 ね 3m 3 /s 阿 賀 野 頭 首 工 地 点 ( 取 水 前 )において 非 かんがい 期 概 ね 77m 3 /s かんがい 期 概 ね 110m 3 /s 8