水 谷 民 雄 1 はじめに 2 抗 酸 化 剤 神 話 の 背 景 3 βカロテン 補 充 投 与 によるがんの 予 防 4 ビタミンE 補 充 投 与 による 心 血 管 疾 患 の 予 防 4.1 ランダム 化 比 較 試 験 の 概 要 4.2 メタ 分 析 の 概 要 ( 以 上, 前 号 までに 掲 載 済 み) 4 ビ タ ミ ン E 補 充 投 与 に よ る 心 血 管 疾 患 の 予 防 4.3 ランダム 化 比 較 試 験 メタ 分 析 の 結 果 をめぐる 論 評 4.1 項 では,ビタミンEによる 心 血 管 疾 患 の 予 防 に 関 して1990 年 代 後 半 以 降 に 報 告 されてきた ランダム 化 比 較 試 験 の 概 要 を,また4.2 項 では,これらの 臨 床 試 験 データを 対 象 としたメタ 分 析 の 概 要 を,それぞれ 紹 介 してきた すでに 述 べたように,ビタミンの 補 充 投 与 による 心 血 管 疾 患 の 予 防 効 果 に 関 してこれらの 報 告 の 大 半 はネガティブな 結 論 を 与 えている 本 稿 では,こ 38-43) のような 状 況 をふまえて 発 表 された 論 評 総 説 についてやや 詳 しく 紹 介 する これらの 論 文 に 含 まれる 主 な 論 点 は, - 181 -
1 特 定 の 食 事 成 分 のベネフィットを 裏 づけるうえでの 疫 学 的 エビデンスの 限 界 と, 大 規 模 ラ ンダム 化 比 較 試 験 の 重 要 性 の 指 摘 2ビタミンEのサプリメントとしての 利 用 への 批 判 3ビタミンEによる 心 血 管 疾 患 の 予 防 に 関 する 疫 学 研 究 とランダム 化 比 較 試 験 の 結 果 の 不 一 致 に 対 する 考 察 などに 整 理 することができる 2005 年 には, 心 血 管 疾 患 やがんの 予 防 に 関 してビタミンE 補 充 投 与 のベネフィットが 確 認 で 31) 32) きなかったとするHOPE-TOO 試 験 とWHS 試 験 の 結 果 が 相 次 いで 報 告 された 加 えて,HOPE- 31) TOO 試 験 とMillerらのメタ 分 析 では,ビタミンE 補 充 投 与 がもたらす 有 害 影 響 の 可 能 性 が 示 唆 された さらに, 本 稿 の 主 題 からははずれるが,ビタミンEの 補 充 投 与 が, 神 経 変 性 疾 患 (アルツハイマー 病 や 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 )の 進 行 に 関 しても, 予 防 効 果 をもたらさないとする 44,45) 2つのランダム 化 比 較 試 験 の 結 果 もこの 年 に 発 表 された 41,43) 42) 同 年,Ann Intern Med 誌 に 掲 載 された2つの 論 説 とJAMA 誌 に 掲 載 された1つの 論 説 は, 一 部 で 論 点 1に 言 及 しているほかは,いずれも 論 点 2を 中 心 に 論 じ,ビタミンEサプリメント の 利 用 に 関 して 一 般 公 衆 や 医 師 の 間 に 見 られる 寛 容 な 姿 勢 に 対 して 強 い 論 調 で 批 判 を 加 えてい る 最 初 に 紹 介 するAnn Intern Med 誌 の 論 説 41) は,Millerらによるメタ 分 析 の 報 告 を 受 けて 2005 年 1 月 に 掲 載 されたものである Ann Intern Med 誌 (2005 年 1 月 ):ビタミンE サプリメント 理 論 的 には 有 効,しかしその 理 論 は 妥 当 なのか? 41) 米 国 で 販 売 されているサプリメントの 多 くは, 抗 酸 化 剤 (ビタミン C,ビタミン E,カ ロテノイド,その 他 の 植 物 成 分 などを 含 むあいまいなカテゴリー)として 宣 伝 されている なかでもビタミン E は 最 も 広 く 利 用 されており,55 歳 以 上 の 米 国 人 の 22%が 毎 日 服 用 して いるという 抗 酸 化 剤 のベネフィットとして 宣 伝 されているのは 成 人 の 慢 性 疾 患 の 予 防 である その 予 防 効 果 が 信 頼 されているのは,おもに 2 種 類 のエビデンスに 基 づくものである 第 1 は 抗 酸 化 物 質 を 含 む 食 事 またはサプリメントを 多 く 摂 る 人 では 疾 病 のリスクが 低 下 するという 疫 学 的 観 察 であり, 第 2 は 心 血 管 疾 患,がん, 神 経 変 性 疾 患 などの 病 理 機 序 に 酸 化 的 なプロセス が 関 与 していることを 示 す 実 験 的 観 察 である 抗 酸 化 剤 サプリメントの 臨 床 試 験 では,これ までのところ,その 摂 取 による 明 確 なベネフィットは 証 明 されていない それにもかかわら ず, 抗 酸 化 剤 サプリメントは 広 範 囲 に 利 用 され, 医 師 さえもが 利 用 している ある 心 臓 病 研 究 者 は ビタミン E は 無 害 であり, 役 に 立 つことも 十 分 考 えられる これを 利 用 しない 手 は ない と 述 べているが, 多 くの 医 師 たちもこの 見 解 を 共 有 しているようだ 本 誌 に 掲 載 された Miller らのメタ 分 析 において,ビタミン E サプリメントのベネフ - 182 -
ィットが 確 認 できなかったことは,これまでに 報 告 された 個 々のランダム 化 比 較 試 験 やそれ らのメタ 分 析 の 結 果 と 一 致 している さらに Miller らの 報 告 では,ビタミン E サプリ メントが 有 害 である 可 能 性 も 示 唆 している したがって, 医 師 の 公 衆 に 対 するメッセージで はこの 点 を 明 確 にして, ビタミン E サプリメントは 無 益,かつ 有 害 である そのための 出 費 は 止 めなさい と 述 べるべきである しかし,サプリメント 利 用 者 の 多 くは, 仮 に 臨 床 試 験 でサプリメントの 無 効 が 証 明 されたとしても,その 使 用 を 止 めるつもりはないと 答 えて いるという したがって, 医 師 のアドバイスが 単 に 無 効 性 のエビデンスをより 所 にしている だけでは, 当 面 大 きな 影 響 を 及 ぼすことはできないかも 知 れない 抗 酸 化 剤 サプリメントに 対 する 公 衆 の 信 奉 は, 外 因 性 抗 酸 化 剤 が 疾 病 を 予 防 するという 理 論 に 対 する 科 学 者 や 医 師 たちの 強 い 信 念 を 反 映 したものである ビタミン E サプリメント には 心 血 管 疾 患 やがんの 予 防 効 果 がないことを 示 す 最 初 の 大 規 模 ランダム 化 比 較 試 験 の 結 果 が 報 告 されてから 10 年 が 過 ぎ, 引 き 続 くランダム 化 比 較 試 験 も 繰 り 返 しこの 結 論 を 再 確 認 してきた βカロテンやビタミン C についても 同 様 の 事 情 がある しかし, 抗 酸 化 剤 説 を ベースにした 研 究 は 広 がり 続 けている 2004 年 に NIH が 資 金 供 与 した 研 究 のデータベース を 抗 酸 化 剤 のキーワードで 検 索 すると 700 件 以 上 がヒットした その 大 部 分 は 基 礎 的 研 究 であるが,なかにはビタミン E の 臨 床 試 験 も 多 く 含 まれている それらの 試 験 では, 数 万 人 の 患 者 に,1 日 400-2,000 IU のビタミン E を 投 与 し, 認 知 症, 心 疾 患, 前 立 腺 がんなど への 予 防 効 果 が 調 べられている これらの 研 究 計 画 はいずれも 厳 重 なピア レビューを 受 け たものであり,その 科 学 上 の 価 値 を 疑 うわけではない しかし, 科 学 者 や 公 衆 衛 生 従 事 者 の 社 会 が,ヒトの 疾 病 についての 予 測 能 力 を 欠 いた 学 説 への 呪 縛 から 逃 れるべき 時 は,もう 過 ぎているのではないだろうか 続 いて 紹 介 するのは,HOPE-TOO 試 験 31) の 結 果 を 受 けて 発 表 されたJAMA 誌 の 論 説 41) である ち なみに,この 論 説 のタイトル 原 文 Is there any hope for vitamin E? にある hope は HOPE-TOO 試 験 に 掛 けた 語 である JAMA 誌 :ビタミンEに 希 望 はあるのか? 42) 31) 本 誌 に 掲 載 された HOPE-TOO 試 験 の 重 要 性 は 次 のような 点 にある 第 1 に,この 研 究 が, 従 来 の 一 連 のビタミン E 臨 床 試 験 に 付 け 加 わったことによって,ビ タミン E の 長 期 投 与 によって 動 脈 硬 化 やがんを 予 防 できるという 期 待 を, 事 実 上, 門 前 払 い にしたことである 第 2 に,このことをとおして,HOPE-TOO 試 験 が, 基 礎 生 物 学 的 な 知 見 や 疫 学 的 な 観 察 に 由 来 する 仮 説 を 検 証 するうえでのランダム 化 比 較 試 験 の 重 要 性 を 再 認 識 させたことである 基 礎 生 物 学 的 な 知 見 や 疫 学 的 な 観 察 は 事 実 と 異 なる 理 解 を 導 く 可 能 性 があるが, 綿 密 に 計 画 されたランダム 化 比 較 試 験 ではそのようなことはまずない 第 3 に,HOPE-TOO 試 験 のおかげで, 医 師 は 患 者 を 次 のように 教 育 することができるよう になった これまでの 約 68,000 人 の 患 者 による 臨 床 試 験 では, 高 用 量 のビタミン E が 心 血 - 183 -
管 疾 患 やがんのリスクを 減 らすという 説 得 力 のあるエビデンスは 得 られていない 逆 にビタ ミン E の 過 剰 摂 取 によって 虚 血 性 疾 患 や 心 不 全 のリスクがわずかながら 増 加 することが 示 唆 されている あなたは,ビタミン E が 心 疾 患 やがんを 予 防 するための 自 然 で 効 果 的 な 方 法 であるという 話 を 聞 くことがあるかもしれない しかし,これは 間 違 った 期 待 であること が 明 らかになっている あなたは,このような 話 に 惑 わされて,ほかの 実 証 済 みの 予 防 法 を 無 視 してはいけない 第 4 に,これまでのところ,ビタミン E の 一 般 的 ながん 予 防 効 果 を 裏 付 けるエビデンスは ないが, 肺 がん, 前 立 腺 がんなど 特 定 のがんに 対 する 有 効 性 が 完 全 に 否 定 されたわけではな い 1990 年 代 の 抗 酸 化 ビタミンに 対 する 熱 狂 的 な 期 待 と,それに 続 く 落 胆 的 なランダム 化 比 較 試 験 データの 出 現 は, 基 礎 科 学 と 臨 床 科 学 との 健 全 なバランスを 反 映 したものであり,し ばしば 致 命 的 な 慢 性 疾 患 に 対 する 予 防 療 法 の 開 発 と 評 価 にとっての 優 れたモデルを 示 すもの でもある ビタミン E( 単 独 またはビタミン C,βカロテンとの 組 み 合 わせ)に 対 する 期 待 は, 臨 床 試 験 による 有 力 なエビデンスの 蓄 積 と,ある 種 の 有 害 作 用 ( 生 物 学 的 に 説 得 力 のある 理 由 が 説 明 されている)のために, 損 なわれてしまった いまではこれらの 期 待 は, 特 定 の 疾 患 に ついての 控 えめな 期 待 に 限 定 され, 有 害 作 用 も 懸 念 されるようになった 酸 化 的 なプロセス を 正 常 な 生 物 学 的 機 能 やヒトの 疾 患 と 結 び 付 ける 確 実 なエビデンスが 存 在 するとはいえ,こ れらのプロセスと 提 唱 されている 治 療 的 予 防 的 介 入 は, 詳 細 にわたって 大 幅 に 見 直 される 必 要 があるだろう 31,32,37,44,45) ビタミンE 補 充 療 法 の 評 価 に 関 して 否 定 的 な 多 数 の 報 告 が,2005 年 前 半 に 集 中 的 41) に 発 表 されたことを 受 けて,Ann Intern Med 誌 は, 同 誌 が 先 に 掲 載 した 論 説 の 更 新 版 として, 43) 改 めて 論 説 を 掲 載 している この 論 説 のタイトル ビタミンEにとっての 厄 年 は,この 年 に 報 告 された 一 連 の 報 告 に 対 する 論 説 執 筆 者 の 包 括 的 な 評 価 を 表 わしたものであろう 以 下 は この 論 説 の 概 要 である 43) Ann Intern Med 誌 (2005 年 7 月 ): 論 説 更 新 版 ビタミンEにとっての 厄 年 2005 年 1 月 にわれわれが 報 告 したメタ 分 析 [ 注 1]では, 高 用 量 (1 日 400 IU)のビ タミン E の 補 充 投 与 が,わずかではあるが 統 計 学 的 に 有 意 な 総 死 亡 率 の 増 加 をもたらすこと が 明 らかにされた 総 死 亡 率 の 相 対 リスクが 1 を 超 えるときのビタミン E の 正 確 な 用 量 と 増 加 するリスクの 大 きさは 不 明 確 であったが,メタ 分 析 の 結 果 は 高 用 量 のビタミン E 補 充 投 与 が 有 害 である 可 能 性 を 示 した ビタミン E は, 最 も 良 い 場 合 でさえ, 寿 命 の 延 長 にとって 何 のベネフィットもなかった これらの 知 見 は 活 発 な 論 議 の 的 となったが, 本 論 説 では,ビタ ミン E をめぐるストーリーにおけるその 後 の 展 開 について 報 告 する - 184 -
ビタミン E とがん 心 血 管 疾 患 総 死 亡 の 予 防 32) このところ,ビタミン E は 何 度 かの 挫 折 を 経 験 してきた WHS 試 験 では,ビタミン E に よる 心 血 管 疾 患 あるいはがんの 減 少 は 見 られず, 総 死 亡 率 は,ビタミン E によって, 有 意 で はないが,わずかに 増 加 した われわれのメタ 分 析 に 含 まれるランダム 化 比 較 試 験 は, WHS 試 験 が 対 象 者 とした 健 康 な 女 性 を 十 分 に 代 表 するものではないので,WHS 試 験 の 結 果 は 特 に 重 要 である 31) 27) 最 近,HOPE-TOO 試 験 の 調 査 結 果 が 報 告 されたが,この 報 告 は 当 初 の HOPE 試 験 の 追 跡 期 間 を 延 長 したものである 7 年 の 追 跡 期 間 ののち, 両 グループのがん 主 要 な 心 血 管 イ ベントの 発 生 率 と 総 死 亡 率 に 違 いはなかった しかし,ビタミン E グループの 患 者 では 心 不 全 と 心 不 全 による 入 院 のリスクが 有 意 に 増 加 した これらの 大 規 模 臨 床 試 験 に 加 えて,いく つかの 論 文 がビタミン E の 有 害 作 用 の 一 部 を 説 明 し 得 る 新 しい 生 物 学 的 メカニズムの 証 拠 を 報 告 した ビタミン E と 神 経 疾 患 の 予 防 [ 省 略 ] 一 般 公 衆 はどうすればよいのか われわれは, 高 用 量 のビタミン E の 補 充 投 与 によって 総 死 亡 率 が 増 加 すると 考 えている したがって,ハイリスクな 人 びとも 健 康 人 も 高 用 量 のビタミン E の 摂 取 は 避 けるべきである と 考 える 現 在 進 行 中 の 臨 床 試 験 によって 高 用 量 ビタミン E の 補 充 投 与 が 特 定 の 健 康 状 態 の もとで 何 らかのベネフィットをもたらすことが 示 される 可 能 性 はあるが,これまでに 得 られ たエビデンスからは,がん, 心 血 管 疾 患,あるいはアルツハイマー 病 のリスクを 減 らすため にビタミン E を 使 用 することは 正 当 化 できない 確 定 したアルツハイマー 病 患 者 の 治 療 上 の 選 択 肢 は 限 られている その 効 果 は 控 え 目 で, 一 時 的 ではあるが,アルツハイマー 病 患 者 は, 抗 コリンエステラーゼ 薬 の 使 用 を 考 慮 すべき である 進 行 したアルツハイマー 病 患 者 にとっては,グルタミン 酸 受 容 体 拮 抗 薬 memantine がいまだに 選 択 肢 の 1 つである 医 師 は, 脳 血 管 性 痴 呆 がアルツハイマー 病 と 共 存 する 混 合 型 痴 呆 が 高 頻 度 に 見 られるために, 高 血 圧, 高 脂 血 症, 糖 尿 病 のコントロールに 重 点 を 置 く べきである さらに,これらの 患 者 には 現 在 進 められている 臨 床 試 験 への 参 加 を 奨 励 するべ きである ビタミン E は, 確 立 されたアルツハイマー 病 の 進 展 を 遅 らすための 治 療 上 のオプ ションの 1 つと 見 なされてきたが,この 推 奨 はたった 1 つの 臨 床 試 験 の 結 果 に 基 づくもので ある アルツハイマー 病 におけるビタミン E の 役 割 を 決 めるには,さらに 追 加 的 な 研 究 が 必 要 である ビタミン E はサプリメントのなかでスーパー スターの 地 位 を 占 めてきた 認 められた 健 康 上 のベネフィットを 理 由 として,ビタミン E のサプリメントは 多 くの 人 びとによって 消 費 されている この 論 説 で 述 べたように, 最 近 の 臨 床 試 験 によってそのベネフィットの 根 拠 は いっそう 脆 弱 となり, 他 方 では 有 害 性 の 証 拠 が 蓄 積 されてきた Ford らは,1999-2000 年 の 全 米 健 康 栄 養 調 査 のデータに 基 づいて, 合 衆 国 成 人 (2,400 万 人 )のおよそ 12%が 1 日 400-185 -
IU 以 上 のビタミン E をサプリメントから 摂 取 していると 推 定 しているが,これまでわれわ れは,どれくらいの 人 びとが, 高 用 量 のビタミン E 補 充 投 与 によって, 自 らを 危 険 にさらし ているかを 十 分 に 認 識 していなかった また, 高 齢 者 ほど 高 用 量 のビタミン E サプリメン トを 使 う 可 能 性 が 高 いと 思 われる われわれは,これほどまでに 多 くの 人 びとがその 有 益 性 を 信 じ 込 んだことによって 死 亡 のリスクが 高 まるかも 知 れないことに 当 惑 している われわ れは,ビタミン E のような, 効 果 がなく, 有 害 でさえあり, 評 価 の 定 まった 予 防 対 策 と 競 合 するかもしれない 医 療 的 介 入 を 採 り 入 れることについて, 医 療 専 門 家 が 公 衆 に 警 告 すること を 求 める 高 用 量 のビタミン E は, 間 違 って 与 えられたプライオリティの 典 型 的 な 例 である 41-43) ここまでに 紹 介 してきた3 編 の 論 説 とは 対 照 的 に, 以 下 に 続 けて 紹 介 するArterioscler Thromb Vasc Biol 誌 (2001 年 ),Circulation 誌 (2003 年 ),およびJAMA 誌 (2004 年 )の 論 説 は, いずれもその 内 容 を 論 点 3に 絞 っている これらの 論 文 に 共 通 しているのは, ビタミンEの 瓶 をゴミ 箱 に 放 り 込 むのは 早 すぎる との 立 場 から, 従 来 報 告 されてきたランダム 化 比 較 試 験 の 限 界 を 検 証 し,これからの 研 究 の 方 向 について 提 言 を 行 っている 点 である ただし,これ らの 論 文 はいずれも,2005 年 (この 年 には,ビタミンE 補 充 療 法 の 評 価 に 関 して 多 くの 否 定 的 な 31,32,37,44,45) 報 告 が 発 表 された) 以 前 に 執 筆 されたものであることに 留 意 しておく 必 要 があろう Arterioscler Thromb Vasc Biol 誌 : 王 様 は 服 を 着 ているのか? ビタミンEの 臨 床 試 験 とLDL 38) 酸 化 仮 説 アテローム 発 生 の 動 物 モデルでは, 酸 化 された 低 密 度 リポタンパク 質 (LDL)がきわめて 重 要 かもしれないことを 示 す 多 くのエビデンスがある しかし, 最 近 の 臨 床 試 験 では, 食 事 へのビタミン E の 補 充 は 冠 動 脈 疾 患 患 者 の 心 臓 イベントを 必 ずしも 予 防 しなかった このよ うな 入 り 混 ざった 結 果 は,ヒトのアテローム 性 動 脈 硬 化 症 における LDL 酸 化 の 役 割 について 疑 念 を 呼 び 起 こした ただしこの 解 釈 は, 試 験 に 用 いられた 用 量 のビタミン E が in vivo で 脂 質 酸 化 を 抑 制 しうるものとの 前 提 に 立 っている けれども 王 様 は 本 当 に 服 を 着 ているの か? ヒトの 病 気 への 酸 化 的 ストレスの 関 与 についての 強 い 関 心 にもかかわらず,in vitro で 抗 酸 化 作 用 を 示 す 化 合 物 が,in vivo でも 実 際 に 酸 化 反 応 を 抑 制 すことを 示 すエビデンス はおどろくほど 少 ない ビタミン E の 補 充 がヒトにおける 脂 質 過 酸 化 に 及 ぼす 影 響 について の 情 報 もほとんどない 抗 酸 化 剤 の 動 物 での 研 究 が,アテローム 性 動 脈 硬 化 症 の 初 期 のイベントに 焦 点 を 合 わせて いるのに 対 して,ヒトの 臨 床 試 験 には 進 行 した 疾 病 をもつ 個 体 が 参 加 している 点 も 重 要 なこ とかもしれない 進 行 した 病 気 をもつ 患 者 の 急 性 冠 動 脈 イベントのほとんどは,アテローム 粥 腫 の 破 裂 によって 引 き 起 こされる しかし, 広 く 受 け 入 れられた 粥 腫 破 裂 の 動 物 モデルが ないため,われわれはこのプロセスに 対 する 抗 酸 化 剤 投 与 の 効 果 について,ほとんど 何 も 知 らない さらに, 一 連 の 臨 床 試 験 において, 酸 化 ストレスの 増 加 所 見 は 参 加 者 の 選 択 基 準 とはされ ていなかった そのために, 試 験 参 加 者 の 一 部 においてだけビタミン E が 有 効 であったかも - 186 -
知 れない これらの 不 確 定 要 素 は,in vivo でビタミン E が 抗 酸 化 的 防 御 機 構 を 高 める 能 力 について の 疑 念 を 呼 び 起 こし,LDL 酸 化 とヒトのアテローム 性 動 脈 硬 化 症 に 関 する 多 くの 疑 問 を, 未 解 答 のままとしている 酸 化 仮 説 について 検 討 するためには, 適 切 な 被 験 者 と, 抗 酸 化 剤 の 最 適 な 投 与 レジメンを 明 らかにする 必 要 がある スタチンの 臨 床 試 験 が, 一 般 住 民 よりコレステロール 値 が 高 い 被 験 者 について 実 施 されたのと 同 様 に,このような 臨 床 試 験 は, 酸 化 的 ストレスが 増 加 してい る 証 拠 がある 被 験 者 を 参 加 させるべきである このことは, 一 次 予 防 臨 床 試 験 においてとり わけ 重 要 である なぜなら, 冠 動 脈 疾 患 の 絶 対 リスクが 低 く, 多 数 の 被 験 者 と, 長 期 の 介 入 を 必 要 とするから また, 試 験 化 合 物 を 抗 酸 化 剤 として 効 果 のある 投 与 レジメンで 与 えるこ とができるように,ヒトにおける 脂 質 過 酸 化 を 抑 制 するための 最 適 な 投 与 レジメンを 確 定 す る 必 要 がある 例 えば,ビタミン E のより 高 用 量,および(または)より 長 期 間 の 投 与 が, in vivo での 脂 質 過 酸 化 反 応 を 抑 制 すると 思 われるので, 臨 床 試 験 にはより 適 切 であろう Circulation 誌 : 抗 酸 化 剤 とアテローム 性 動 脈 硬 化 症 浴 槽 の 水 といっしょに 赤 ちゃんまで 流 してはいけない 39) 何 種 類 かのエビデンスがアテロームの 発 生 における 酸 化 ストレスと 炎 症 の 役 割 を 支 持 して いる 疫 学 研 究 は, 抗 酸 化 剤 レベルの 低 いことが 心 血 管 疾 患 リスクの 増 加 と 関 連 しており, 摂 取 量 を 増 やすことによって 予 防 効 果 が 得 られることを 示 唆 している α-トコフェロールは, ヒトに 補 充 投 与 した 研 究 では, 脂 質 過 酸 化 と 血 小 板 の 凝 集 接 着 性 を 減 少 させ, 抗 炎 症 的 に 働 く しかし, 抗 酸 化 剤 の 前 向 き 臨 床 試 験 のこれまでの 結 果 は 期 待 はずれであった 表 [ 省 略 ] は 本 誌 本 号 に 報 告 された ASAP 試 験 [ 注 2]を 含 めて,これまでに 報 告 された 抗 酸 化 剤 の 前 向 き 臨 床 試 験 の 要 約 である ASAP 試 験 の 報 告 より 前 に, 心 血 管 イベントに 関 してα-トコフェロール,アスコルビン 酸, β-カロテンなど 種 々の 抗 酸 化 剤 の 組 み 合 わせを 用 いた 10 の 臨 床 試 験 が 報 告 された これら のうちの 3 つがプライマリ エンドポイントに 関 してベネフィットを 示 したが, 大 多 数 の 試 験 は 心 血 管 イベントにかかわるプライマリ エンドポイントに 関 してネガティブであった 大 部 分 の 臨 床 試 験 においてプライマリ エンドポイントに 関 するベネフィットが 見 られな かったことは, 多 くのファクターによって 説 明 できるであろう 例 えば,プライマリ エン ドポイントに 関 するベネフィットが 見 られた 研 究 ではすべて,それぞれの 血 漿 抗 酸 化 剤 レベ ルの 有 意 な 増 加 が 報 告 された しかし,7 つのネガティブな 試 験 のなかで, 抗 酸 化 剤 レベル が 報 告 されたのは 4 つに 過 ぎなかった また, 酸 化 ストレスのバイオ マーカーを 報 告 した のは 3 つの 試 験 のみであった - 187 -
いずれの 試 験 も 男 女 両 性 について 行 われた 心 血 管 病 の 発 生 率 は 男 性 より 女 性 の 方 が 低 い ので,このことが,ASAP 試 験 で 見 られたように,プライマリ エンドポイントに 影 響 を 及 ぼした 可 能 性 がある さらに, 強 い 酸 化 ストレスを 受 けている 者 ( 糖 尿 病, 末 期 の 腎 臓 病, 冠 動 脈 疾 患 など)を 対 象 とした 抗 酸 化 剤 補 充 投 与 試 験 を 行 なうのが 手 堅 いやり 方 であったろ う また,α-トコフェロールは 脂 溶 性 ビタミンなので,ASAP 試 験 で 報 告 されたように, 食 事 とともに 摂 取 されるべきである 用 いられた 抗 酸 化 剤 の 用 量 はかなり 異 なっており,これが 結 果 に 影 響 を 与 えた 可 能 性 があ る α-トコフェロールが 効 果 を 示 す 用 量 には 閾 値 (1 日 800IU)があるかもしれない また, 報 告 されたα-トコフェロールの 抗 炎 症 作 用 の 大 部 分 は RRR-α-トコフェロールによるもの と 思 われるので, 特 に 細 胞 シグナル 伝 達 のためには,α-トコフェロールの 形 がきわめて 重 要 かもしれない この 点 に 関 してわれわれは,400IU の 全 -rac-α-トコフェロールにはまっ たく 抗 炎 症 作 用 が 見 られないことを 示 した プライマリ エンドポイントに 関 してネガティ ブな 結 果 を 示 した 7 つの 試 験 のうち,5 つの 試 験 では 全 -rac-α-トコフェロールが 用 いられ た 一 方,ポジティブな 効 果 を 示 した 4 つの 試 験 ではすべて RRR-α-トコフェロールが 用 い られた 結 論 として, 抗 酸 化 剤 の 利 益 を 証 明 するために 多 くの 努 力 が 払 われたが,これまでの 知 見 は 明 確 であるというにはほど 遠 い しかし,α-トコフェロールとアスコルビン 酸 の 補 充 投 与 が 重 大 な 害 をもたらさないように 見 えることは 指 摘 できる 抗 酸 化 剤 と 心 血 管 イベントに ついて 調 べる 将 来 の 研 究 は, 高 用 量 の RRR-α-トコフェロール(1 日 800 IU),あるいは RRR-α-トコフェロール(1 日 600-800IU)+アスコルビン 酸 (1 日 500mg)を 用 いるべきで ある アスコルビン 酸 は,α-トコフェロールに 認 められるかも 知 れないプロオキシダント 効 果 を 抑 制 すると 思 われる JAMA 誌 :ビタミンEでよいのか,いけないのか 健 康 と 病 気 におけるビタミンEの 役 割 が 問 題 だ 40) [ 注 3] ビタミン E は, 心 血 管 疾 患 からがんまで,さまざまな 病 気 の 予 防, 治 療 に 役 立 つともては やされている 物 質 として 驚 くに 当 たらないが, 薬 局 の 棚 から 台 所 の 棚 まで,ありふれた 存 在 となった 多 くの 実 験 的 データ, 疫 学 的 および 回 顧 的 研 究 は,ビタミン E が 心 筋 梗 塞 やがん を 予 防 するという 考 えを 支 持 している しかし,さまざまなランダム 化 比 較 試 験 の 知 見 は, 必 ずしも 健 康 上 の 利 益 を 示 さず,ビタ ミン E に 関 して 多 くの 疑 問 を 残 している しかし,ビタミン E の 瓶 をゴミ 箱 に 放 り 込 むのは 早 すぎる 2004 年 5 月,ニューヨーク 科 学 アカデミーが 後 援 するビタミン E 研 究 者 の 会 議 が 開 催 され, 最 近 の 情 報 について 討 論 を 行 った 会 議 の 参 加 者 によれば,ビタミン E は,まず, 体 内 のフリー ラジカルを 除 去 する 抗 酸 化 剤 として 知 られる しかし,ビタミン E は, 抗 炎 症 作 用 や 抗 凝 固 作 用 を 現 し,また 遺 伝 子 や - 188 -
免 疫 機 能 を 調 節 して 健 康 に 利 益 をもたらす 非 抗 酸 化 剤 作 用 をももつように 思 われる 健 康 保 持, 疾 病 治 療 のためにビタミン E を 利 用 するうえで 最 も 有 効 なアプローチを 明 らかにするた めには,ビタミン E のさまざまな 機 能 についての 微 妙 な 理 解 が 求 められている 心 臓 の 健 康 には? ビタミン E をめぐって 最 も 困 惑 する 疑 問 は,その 心 血 管 疾 患 における 役 割 である LDL コ レステロールの 酸 化 がアテローム 性 動 脈 硬 化 の 開 始 と 進 展 におけるキー ステップであると 見 られ,ビタミン E のような 抗 酸 化 剤 がこのような 酸 化 的 傷 害 を 低 減 し, 心 疾 患 のリスクを 減 らす 能 力 もつかどうかを 決 定 する 研 究 が 行 われてきた しかし Gaziano が 指 摘 したように, 疫 学 研 究 におけるビタミン E をめぐるストーリーは 多 少 異 常 である 基 礎 的 研 究 の 報 告 はビタミン E がアテローム 性 動 脈 硬 化 疾 患 を 抑 制 するもっ ともらしいメカニズムを 支 持 しており, 観 察 研 究 もこの 関 連 性 を 裏 付 けているが, 臨 床 試 験 の 結 果 は 対 立 している 23,26,27) 最 近 の 抗 酸 化 ビタミンによる 心 血 管 疾 患 の 予 防 を 目 的 とし 33) た 7 つのランダム 化 比 較 試 験 のメタ 分 析 では, 現 時 点 ではビタミン E の 補 充 療 法 は 推 奨 できないと 結 論 している 会 議 での 研 究 者 の 発 言 では, 臨 床 試 験 はいくつかの 重 要 な 点 ( 対 象 者 の 選 択, 病 期,エン ドポイント, 用 量,ビタミンの 起 源 )で 互 いに 異 なっている これらの 違 いから 知 見 の 不 一 致 が 生 じ, 臨 床 試 験 相 互 の 比 較 が 困 難 になっている これらの 限 界 に 注 意 を 向 けたさらなる 研 究 によって, 心 血 管 疾 患 におけるビタミン E の 役 割 をより 明 確 にする 必 要 がある Violi によると,もう 一 つの 重 要 な 点 は, 心 血 管 疾 患 のリスクをもつ 患 者 のすべてが 高 レ ベルの 酸 化 ストレスをもつわけではないのに,どの 試 験 もこのことを 考 慮 に 入 れていないこ とである したがって, 酸 化 ストレスレベルが 高 く, 血 漿 ビタミン E レベルの 低 い 患 者 だけ を 含 む,よりターゲットを 絞 った 試 験 が 必 要 である α-トコフェロールを 超 えて ビタミン E の 心 血 管 疾 患 予 防 効 果 を 調 べるほとんどの 試 験 は,α-トコフェロール( 最 も 豊 富 に 含 まれ,サプリメントとして 主 に 利 用 されている)を 用 いている しかし 最 近 の 生 化 学 的, 疫 学 的 研 究 からすると, 研 究 者 はα-トコフェロール 以 外 の 形 (γ- 体 など)に 目 を 向 ける 必 要 がある 自 然 界 に 存 在 するビタミン E は 8 つの 化 合 物 の 混 合 体 である(α,β,γ,Δ-トコフェ ロール,α,β,γ,Δ-トコトリエノール) 米 国 の 食 事 中 ではγ-トコフェロールが 最 も 普 遍 的 な 形 であるが, 血 漿 中 のγ- 体 レベルはα- 体 の 1/10 以 下 である この 理 由 およびそ の 他 の 理 由 から 研 究 者 はα- 体 をより 重 視 してきた 特 にがん 研 究 者 たちはγ-トコフェロールに 注 目 し 始 めた 理 由 の 一 部 は,α-トコフェ ロールのがん 予 防 効 果 に 関 するいくつかの 大 規 模, 前 向 き 試 験 の 結 果 が 一 致 しなかったこと である しかし,1 つの 試 験 でα-トコフェロールと 前 立 腺 がんの 減 少 との 間 に 相 関 が 見 ら れたことに 注 目 する 必 要 がある - 189 -
大 腸 がんとの 関 連 [ 省 略 ] トコトリエノールと 乳 がん [ 省 略 ] 新 しい 展 望 会 議 のオーガナイザーである Packer は,ビタミン E の 抗 酸 化 作 用 についての 研 究 が 続 け られる 一 方,その 非 抗 酸 化 的 な 作 用 へと 注 目 が 移 り 始 めていると 述 べた 加 えてビタミン E はアルツハイマー 病, 子 癇 前 症, 高 齢 者 の 上 気 道 感 染 症 などに 効 果 を 示 している Packer は, 近 年, 生 物 系 および 健 康 と 加 齢 におけるビタミン E の 役 割 を 理 解 しようとす るさまざまな 新 しいアプローチが 始 まっていると 述 べた 彼 やほかの 研 究 者 によれば,この ようなアプローチは, 研 究 の 新 しい 道 筋 を 開 くための 洞 察 力 を 与 え, 患 者 に 明 白 な 利 益 をも たらすものと 期 待 させる [ 注 1] この 論 説 の 執 筆 者 たちは,Miller らのメタ 分 析 を 報 告 した 研 究 者 グループに 所 属 し ている [ 注 2] 46) ASAP 試 験 では, 高 コレステロール 血 症 患 者 (440 人 )に RRR-α-トコフェロール+ア スコルビン 酸 を 投 与 し,アテローム 性 頸 動 脈 硬 化 症 の 進 展 に 及 ぼす 影 響 を 観 察 した( 追 跡 期 間 6 年 )ところ, 男 性 患 者 でのみ 頚 動 脈 肥 厚 の 進 展 速 度 が 減 少 した ASAP 試 験 は, 試 験 の 規 模 が 小 さいため, 本 稿 4.1 項 では 取 り 上 げていない [ 注 3] このタイトルの 原 文 To E or not to E, vitamin E s role in health and disease is the question. は,シェークスピア 作 ハムレット にある 有 名 な 台 詞 To be or not to be のパロディである 文 献 文 献 23,26,27,31-33, は 本 稿 (3)( 新 しい 薬 学 をめざして 2006;35:145-150.)を 参 照 のこと 38) Heinecke JW. Is the emperor wearing clothes? Clinical trials of vitamin E and the LDL oxidation hypothesis. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2001;21:1261-1264. 39) Jialal I, Devaraj S. Antioxidants and atherosclerosis. Don t throw out the baby with the bath water. Circulation 2003;107:926-928. - 190 -
40) Friedrich MJ. To E or not to E, vitamin E s role in health and disease is the question. JAMA 2004;292:671-673. 41) Greenberg ER. Vitamin E supplements: Good in theory, but is the theory good? Ann Intern Med 2005;142:75-76. 42) Brown BG, Crowley J. Is there any hope for vitamin E? JAMA 2005;293:1387-1390. 43) Guallar E, Hanley DF et al. An editorial update: Annus horribilis for vitamin E. Ann Intern Med 2005;143:143-145. 44) Alzheimer's Disease Cooperative Study Group. Vitamin E and donepezil for the treatment of mild cognitive impairment. N Engl J Med. 2005;352:2379-2388. 45) German vitamin E/ALS Study Group. High dose vitamin E therapy in amyotrophic lateral sclerosis as add-on therapy to riluzole: results of a placebocontrolled double-blind study. J Neural Transm. 2005;112:649-660. 46) Salonen RM, Nyyssönen K et al. Six-year effect of combined vitamin C and E supplementation on atherosclerotic progression: The Antioxidant Supplementation in Atherosclerosis Prevention (ASAP) Study. Circulation 2003;107;947-953. - 191 -