6 (6) 断 層 映 像 研 究 会 雑 誌 第 33 巻 第 I 号 症 例 年 齢 性 別 主 訴 権 患 部 位 既 往 歴 菌 腫 57 歳 女 性 左 鼻 出 血 左 上 顎 洞 なし 左 上 顎 洞 内 に 軟 部 影 石 灰 化 様 の high T1 T2で 低 信 号 領 域 7



Similar documents
5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき


監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される


Microsoft PowerPoint - K-net秦提出用改.ppt [互換モード]

北海道医療大学歯学部シラバス

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

1章A_責了.indd

ひろっぱ355号2月Web用に.indd

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - conference

vol.54.pmd

診療行為コード

平成24年度 福島県患者調査の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課 保健統計室:H )

グリア 特 異 抗 l~1! lij l~ 1~7 () ) ~J i~j 田 幸 雄, 滝 判 I~ 猛

Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

人 間 ドックコース( 脳 検 査 がん 検 査 含 む) 298,000 円 / 税 込 その 他 肥 満 症 やせ 症 高 / 低 血 圧 近 視 乱 視 白 内 障 緑 内 障 網 膜 疾 患 外 部 の 音 を 遮 断 したブースで 音 を 聞 き 取 って 調 難 聴 腹 部 超 音 波

Microsoft Word 菊地


<4D F736F F F696E74202D208D4C94A C BB38EBA814089FC95CF2E B8CDD8AB B83685D>

Microsoft Word - nagekomi栃木県特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きのご案内 - コピー

公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

 

Microsoft PowerPoint - 390

Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

11年11月 治験審査委員会 会議の記録の概要

044 多発血管炎性肉芽腫症

01

首 は 下 あ ご の 骨 の 下 か ら 鎖 骨 の 上 ま で 自 分 の 首 を 両 手 で は さ ん で お さ え て み ま し ょ う 師 首 っ て ど ん な 仕 事 を し て い る か な 子 頭 を の せ て い る 頭 を お さ え て い る 頭 を 動 か し

Microsoft Word - all最終

4. 手 術 により 期 待 される 効 果 手 術 は 直 腸 癌 に 対 する 治 療 として 最 も 確 実 な 方 法 とされていますが これに よりすべての 直 腸 癌 が 治 癒 するわけではありません 肉 眼 的 にすべての 癌 が 取 り 除 けた 場 合 でも 目 には 見 えない

特 徴 差 分 点 検 レセ 楽 netの 点 検 方 式 は レセ 電 データを 使 用 した 差 分 点 検 です 前 回 点 検 分 と 比 較 して データ 内 容 と 記 録 順 が 異 なる 場 合 のみ 点 検 を 行 います 追 加 されたデータの 点 検 実 施 病 名 追 加 さ

Taro-4-1-4糖尿病(PDF用).jtd

目次

総 合 科 学 研 究 科 ( 留 学 生 担 当 ) 文 学 部 文 学 研 究 科 哲 学 思 想 文 化 学 コース 歴 史 学 コース 地 理 学 考 古 学 文 化 財 学 コース 日 本 中 国 文 学 語 学 コース 翀 欧 米 文 学 語 学 言 語 学 コース 比 較 日 本 文

一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

観血的治療を勧められたColle’s骨折2症例に対する非観血的治療

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

10w.xdw

Microsoft Word - H27報告書

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

2-1膠原病.doc

第 1 章 実 は, 鼻 炎 は 様 々 5 ハンノキとその 花 粉 図 6 6 アレルギー 性 鼻 炎 患 者 の 右 鼻 腔 内 の 写 真 11

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 給 与 月 額 平 均 年 齢 平 均 給 料

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症

研修計画

相 談 窓 口 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 救 済 制 度 相 談 窓 口 (フリーダイヤル) IP 電 話 等 の 方 でフリーダイヤルが 御 利 用 になれない 場 合 は ( 有 料 )を 御 利 用 くだ

○00表紙

Microsoft Word - 通知 _2_.doc

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

スライド 1

1 検 討 経 過 及 び 目 的 について 平 成 2 4 年 12 月 に 調 布 市 立 小 学 校 で 発 生 し た 食 物 レ ル ギ ー 死 亡 事 故 を 踏 まえ, 調 布 市 で は, 食 物 レ ル ギ ー 事 故 の 再 発 防 止 に 向 け て 調 布 市 食 物 レルギ

バルコニー 家 族 控 室 EV EV EVホール N 食 堂 談 話 スタッフ ステーション スタッ フ 室 男 子 トイレ 女 子 トイレ 浴 室 更 衣 室 洗 濯 室

ROTA:ロータブレター 件 数 期 間 中 の 実 施 件 数 (K548 算 定 件 数 ) CTO: 慢 性 完 全 閉 塞 件 数 PTA: 経 皮 的 末 梢 動 脈 形 成 術 件 数 期 間 中 の 実 施 件 数 (K616 算

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4

2 積 極 的 な 接 種 勧 奨 の 差 し 控 え 国 は 平 成 25 年 4 月 から 定 期 接 種 化 したが ワクチン 接 種 との 関 連 を 否 定 できない 持 続 的 な 痛 みなどの 症 状 が 接 種 後 に 見 られたことから 平 成 25 年 6 月 定 期 接 種 と

4 ぼうこう又は直腸機能障害

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

樫本、芝野

Microsoft Word - 2章.doc

Microsoft PowerPoint - )大腸癌をお受けになる方に図(南堺_更新用 [互換モード]

3 保 険 料 ( 掛 金 )を 納 めていること 原 則 として 初 診 日 月 前 々 月 まで 国 民 年 金 加 入 期 間 全 体 うち 3 分 2 以 上 きち んと 納 めている( 保 険 料 免 除 期 間 も 含 む)ことが 必 要 です 現 在 は 特 例 として 初 診 日 が

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

各論_1章〜7章.indd

(\202g22\214\366\225\\.xls)


母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

目  次


( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

<4D F736F F D208BE38F B959489F1939A B638E96985E>

EST_  H.8.6.

5 月 19 日 5 新 生 児 の 呼 吸 障 害 GIO: 新 生 児 期 に 生 じる 呼 吸 障 害 の 病 態 の 特 徴 を 説 明 でき 胸 部 XPから 診 断 できる SBO: 1. 新 生 児 呼 吸 障 害 の 病 態 に 基 づく 症 状 の 特 徴 を 説 明 できる 2.

2 ペインクリニック ペインクリニック 科 に 関 しては 先 ずは 様 々な 痛 みの 症 例 を 正 確 に 診 断 できる 能 力 の 養 成 を 最 大 の 目 標 にします その 過 程 で 薬 物 療 法 神 経 ブロック( 超 音 波 透 視 下 を 含 む) Intervention

00本文

市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

感 染 対 策 がマニュアルに 従 って 実 施 されるように 指 導 することや 病 棟 での 意 見 を 聞 き 入 れることが 重 要 です そして ICT 検 討 会 で 改 善 策 な どについて 話 し 合 います 巡 回 は 医 療 施 設 の 規 模 によって 異 なりますが 通 常

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

m07 北見工業大学 様式①

Taro-iryouhoken

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

18 国立高等専門学校機構

Microsoft Word - 概況(確定版).doc

原 因 菌 とリスク 因 子 内 因 性 真 菌 性 眼 病 変 の 原 因 となる 真 菌 で 最 も 多 いものはカンジダ 属 で 90%を 占 める とされています カンジダ 属 の 他 にはアスペルギルス 属 クリプトコックス 属 などが 続 きます カンジダ 属 のなかでは Candida

糖尿病の歯科病変

130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

大 阪 福 岡 鹿 児 島 前 頁 からの 続 き 35

(6) Qualification for participating in the tendering procedu

Transcription:

2006 王 F- 3 月 3 1 日 5-(5 原 著 副 鼻 腔 アスペルギルス 症 の M 悶 ~ 慢 性 副 鼻 腔 炎 との 鑑 別 加 療 につ いての 考 察 吉 田 敦 子 1) 浦 部 真 平 2 ) 石 川 浩 男 3 ) 小 野 伸 高 4 ) 宍 戸 文 男 1) 1 ) 福 島 県 立 医 科 大 学 医 学 部 放 射 線 科 2 ) 白 河 厚 生 総 合 病 院 政 射 線 科 3 ) 白 河 厚 生 総 合 病 院 耳 鼻 咽 喉 科, () 白 河 厚 生 総 合 病 院 病 理 検 査 室 Di 百 'e rential Diagno s Th Ats uk Yoshida1), Urabe 2), Ishikawa3), No On0 4, Shi shido D e 2 Genera 3D epa Oto! 4 Genera 抄 録 副 鼻 腔 真 菌 症 は 比 較 的 稀 な 疾 患 だが 近 年 増 加 傾 向 にある 浸 潤 型 では 眼 織 や 頭 蓋 内 に 浸 潤 性 に 進 行 するた め 迅 速 かつ 的 確 な 診 断 が 行 われるべきである 画 像 診 断 の 有 用 性 について 最 近 経 験 した 4 例 のアスペルギル ス 症 で 検 討 した MR1 は 全 例 でTl.T2 強 調 像 とも 低 信 号 を 呈 し T2 強 調 像 ではその 内 部 に 無 信 号 を 認 めた T2 強 調 像 で 認 められる 無 信 号 域 は 菌 体 が 産 生 する 鉄 やマンガンなどによるとされ 比 較 的 特 異 性 の 高 い 所 見 だ が 慢 性 炎 症 で も 粘 液 成 分 や 出 血 などによって 類 似 する 所 会 見 を 呈 することがあり アスペルギルス 症 との 鑑 別 が 難 しい 場 合 もある アスペルギルス 症 は 周 囲 に 慢 性 炎 症 を 伴 うことが 多 い 慢 性 炎 症 例 でも 内 部 にこの 所 見 を 認 め たら 真 菌 症 の 合 併 を 疑 って 積 極 的 な 外 科 的 治 療 を 考 えるべきで あろう 真 菌 症 の 診 断 あるいは 慢 性 炎 症 の 外 科 的 治 療 への 転 機 として 特 に MR1 は 非 常 に 有 用 と 考 えられた retrospective l im M asperg i10 a pati e Tl- a hypo-intens signa l imag es bhighl chroni hemorhage chro pati e w i signa l- shou afurth 巴 r surg ica sar 巴 very us 巴 ful acons id surg ica sinu aspergi l 別 AjliJ 請 求 先 : 干 960-1295 福 島 県 福 島 市 光 が 丘 l 番 地 福 島 県 立 医 科 大 学 医 学 部 放 射 線 科 吉 間 敦 子 024 -

6 (6) 断 層 映 像 研 究 会 雑 誌 第 33 巻 第 I 号 症 例 年 齢 性 別 主 訴 権 患 部 位 既 往 歴 菌 腫 57 歳 女 性 左 鼻 出 血 左 上 顎 洞 なし 左 上 顎 洞 内 に 軟 部 影 石 灰 化 様 の high T1 T2で 低 信 号 領 域 7"スペルギルス 53 歳 女 性 左 頬 部 痛 左 上 顎 洞 糖 尿 病 左 上 顎 洞 に 軟 部 影 T1 T2で 低 信 号 内 部 に 石 灰 化 争 責 t 或 アスペルギルス 45 歳 男 性 両 側 鼻 漏 右 上 顎 洞 緑 内 障 右 上 顎 洞 に 軟 部 影 T1.T2で 低 信 号 内 部 に 石 灰 化 領 域 アスペルギルス 骨 破 壊 なし T1 で 淡 い 高 信 号 65 歳 女 性 右 鼻 閉 右 上 顎 洞 子 宮 筋 腫 術 後 右 上 顎 洞 に 軟 部 影 T1 T 2で 低 信 号 骨 破 壊 なし 領 t 或 アスペルギルス はじめに 副 鼻 腔 真 菌 症 は 比 較 的 稀 な 疾 患 とされているが 近 年 増 加 傾 向 にあるといわれている その 発 症 要 因 として ステロイドや 抗 生 物 質 の 頻 用 糖 尿 病 勝 原 病 悪 性 腫 蕩 などの 基 礎 疾 患 の 関 与 などが 想 定 され ているが むしろ 明 確 な 基 礎 疾 患 を 持 たない 場 合 が ほとんどでJ) 副 鼻 腔 の 嫌 気 状 態 を 起 こすような 局 所 的 な 要 因 がより 重 要 とされている 2 ) 副 鼻 腔 真 菌 症 は 内 科 的 治 療 では 治 癒 しにくい 疾 患 である 周 囲 への 進 展 の 有 無 によって 浸 潤 型 と 非 浸 潤 型 にわけられるが 浸 潤 型 の 場 合 は 眼 簡 や 頭 蓋 内 に 浸 i 間 性 に 進 展 し 重 篤 な 状 態 に 至 る こともあるた め 迅 速 かつ 的 確 な 診 断 を 行 うことが 重 要 であるとさ れている])3 ) 我 々は 4 例 の 副 鼻 腔 アスペルギ lレス 症 を 経 験 し こ れらの CTおよびMRIの 画 像 所 見 について 検 討 したの で 慢 性 副 鼻 腔 炎 との 鑑 別 加 療 についての 考 察 を 加 え 報 告 する 対 象 2002 年 8 月 から 2003 年 1 月 の 5 ヶ 月 間 に 最 終 診 断 が 副 鼻 腔 アスペルギルス 症 で あ っ た 4 症 例 を 対 象 とし た 男 性 1 例 女 性 3 例 で 平 均 年 齢 は 55 歳 (45-65 歳 )である 発 生 部 位 は 全 例 片 側 上 顎 洞 ( 右 側 2 例 左 1J!IJ2 例 ) である 基 礎 疾 患 として 糖 尿 病 を 持 ってい た 症 例 は l 例 である (Table 1 ) 装 置 CT は 47 1j 検 出 器 CT 装 置 (Aqui li on. 東 芝 メデイカ ルシステムズ ) を 用 いた スライス 厚 は 1mm x 4 列 ス キャン 条 件 は 120kV. 150mAs テー ブル 移 動 速 度 0.5s ec /rotation ヘリカルピッチ 3 (- 3.5) 再 構 成 厚 は 5mm で ある MRI は1. 0T MR 装 置 ( MAGNETOM Impac Med ica So l utions ) を 用 いた 撮 { 象 条 件 は T1 強 調 像 問 1/ 15/2 (TRlTE/exci 凶 on s). T2 強 調 像 4( 削 -5( 削 / 112/2-3 (TRlTE/excitations ) スライス 厚 5-8mm ma 256 FOV220x 220mm で ある 結 果 4 例 の CT/MRI 所 見 のまとめを Table 1 に 示 す CT では 患 側 の 上 顎 洞 に 軟 部 組 織 濃 度 を その 内 部 に 石 灰 化 様 の 高 吸 収 域 を 認 めるものが4 例 中 3 例 であ った 骨 破 壊 像 は 明 らかでなく 全 例 が 非 浸 潤 型 と 思 われた MRIでは 患 側 の 上 顎 洞 にTl 強 調 像 で 低 信 号 T2 強 調 像 で 高 信 号 を 呈 する 慢 性 炎 症 によると 思 われる 所 見 を 認 め その 内 部 に T1 ' T2 強 調 像 とも 低 信 号 を 呈 す 領 域 を 認 めた 部 には T2 強 調 像 で 無 信 号 域 を 認 めた さらにその 低 信 号 の 内 全 例 の 病 理 組 織 で アスペルギルスの 菌 体 が 証 明 され 副 鼻 腔 真 菌 症 (アスペルギルス 症 )と 診 断 された また 3 例 で は 菌 体 の 近 傍 の 粘 膜 に 慢 性 炎 症 細 胞 の 浸 潤 を 認 め た 代 表 的 な 症 例 ( 症 例 1) の CT MR I 病 理 所 見 を 1 に 示 す 考 察 副 鼻 腔 真 菌 症 の 画 像 所 見 の 特 徴 として CT では 1 内 部 の 石 灰 化 様 の 高 吸 収 域 2 上 顎 洞 に 発 生 した 場 合 は 特 に 内 側 壁 の 骨 吸 収 像 などがあげられる MRI では 1Tl.T2 強 調 像 とも 低 信 号 領 域 を 認 め 2その 内 部 に T2 強 調 像 での 無 信 号 領 域 が 観 察 され ることがあるとされている 1 ) 4 ) 5 ) 9 ) CTで 認 められる 石 灰 化 様 の 高 吸 収 域 は 菌 のアミ ノ 酸 代 謝 により 生 じた 鉄 やマンガンなどの 重 金 属 カ ルシウムなどの 存 在 でみられるとされる しかし その

2006 11 三 3 月 31 口 7-(7 a(non-enhanced density, calcification - intensity, intensity, c areas, ( mucosa ) i (arowhead (stain e Histopatholog ic i aspergilus ( stain ー 他 にも 層 状 にな った 鵬 濃 縮 した 分 泌 物 血 栓 出 血 異 物 周 囲 に 炎 症 を 伴 う 骨 腫 場 肉 腫 に 対 する 反 応 性 変 化 内 反 性 乳 頭 腫 などでも 認 められる 所 見 なので 真 菌 症 に 特 異 的 な 所 見 ではない 6 ) 9) そのた め CTのみでは 真 菌 症 の 診 断 は 困 難 だが この 所 見 を 見 たときには 真 菌 症 の 存 在 も 念 頭 におくべきとされ ている T2 強 調 像 で 認 められる 無 信 号 域 は 菌 塊 内 で 凝 集 した 鉄 やマンガンなどを 見 ているとされる 4 ) 5 ) 6 ) 9 ) 今 回 の 4 症 例 全 例 にこの 所 見 を 認 め 真 菌 症 の 診 断 に 非 常 に 有 用 で あった これは 真 菌 症 に 比 i 肢 的 特 異 的 とされる 所 見 だが 濃 縮 された 分 泌 物 や 出 血 などでも 認 められることがある 6 ) たとえば 慢 性 炎 症 では これらの 存 在 によ っ て T2 強 調 像 で 無 信 号 域 を

断 層 映 像 研 究 会 雑 誌 第 33 巻 第 1 号 40 year-old image, T2 weighted T2 weighted 認 めることがある この 例 を Figure 2で 示 す Figure の 症 例 は 40 歳 女 性 T2 強 調 像 で 左 上 顎 洞 内 側 などに 無 信 号 に 近 い 領 域 を 認 め 読 影 時 には 真 菌 症 を 強 く 疑 うとするレポ ートを 提 出 した しかし 病 理 組 織 では 上 皮 の 剥 離 や 間 質 内 の 出 血 炎 症 細 胞 のみで 真 菌 塊 は 証 明 されず 最 終 診 断 は 慢 性 炎 症 で あ っ た こ の ように 慢 性 炎 症 の 中 に 出 血 などが 起 こると 真 菌 塊 と 類 似 する 所 見 を 呈 す ることがある Figure 2 の 症 例 と 真 菌 症 との 鑑 別 点 は T2 強 調 像 での 無 ~ 低 信 号 域 に 相 当 する 部 位 が Tl 強 調 像 では 高 信 号 を 呈 して いたことと 思 われる ( 真 菌 症 の 症 例 では 2 例 がTl 強 調 像 で 淡 い 高 信 号 域 を 認 めたものの T2 強 調 像 の 無 信 号 に 相 当 する 部 分 は 主 に 低 信 号 を 呈 していた ) 慢 性 炎 症 と 真 菌 症 は 合 併 しうるものである 今 回 我 々が 経 験 したアスペルギルス 症 では 全 例 で 患 側 の 上 顎 洞 粘 膜 に 慢 性 炎 症 と 思 われる 所 見 を 認 めてお り うち 3 例 では 病 理 組 織 でも 慢 性 炎 症 細 胞 の 浸 潤 が 明 らかで あっ た 真 菌 塊 の 有 無 によ って 基 本 的 な 治 療 方 針 が 異 なる 真 菌 症 で は 開 洞 による 病 巣 除 去 と 洞 内 洗 浄 が 一 般 的 で 3 ) 好 気 的 環 境 を つくる 目 的 で 鼻 副 鼻 腔 の 形 態 異 常 を 手 術 的 に 整 形 することが 目 的 となる 7 ) これに 対 しで 慢 性 炎 症 では 一 般 的 には 中 鼻 道 が 鼻 茸 で 閉 塞 している 難 治 例 が 手 術 適 応 となるが 基 本 的 には 薬 物 などによる 保 存 的 療 法 が 主 体 である 8 ) 先 に 述 べたように 真 菌 症 は 内 科 的 治 療 では 治 癒 しにくく 眼 簡 や 頭 蓋 内 へ 浸 潤 性 に 進 展 することもあ るため 早 急 な 診 断 加 療 が 必 要 とされる 慢 性 炎 症 として 保 存 的 に 加 療 されていた 症 例 で MRI を 撮 像 し T2 強 調 像 で 無 信 号 域 を 認 めた 場 合 出 血 などを 見 て いる 可 能 性 もあるが 真 菌 塊 の 可 能 性 を 否 定 できな い このような 場 合 は 真 菌 症 の 浸 潤 性 の 性 格 を 考 え 積 極 的 に 合 併 を 疑 うべきである T2 強 調 像 にお ける 無 信 号 域 の 存 在 は 慢 性 副 鼻 腔 炎 の 外 科 治 療 の 追 加 を 考 える 上 でも 非 常 に 有 用 な 所 見 と 考 えられ た 結 語 副 鼻 腔 アスペルギルス 症 の 診 断 に MRIは 非 常 に 有 用 で あ っ た また 慢 性 副 鼻 腔 炎 で 外 科 的 治 療 の 追 加 を 検 討 するさいにも MR I は 有 用 と 考 えられた

2006 年 3 月 31 日 参 考 文 献 菊 池 俊 彦 馬 場 明 子 高 野 潤 他 : 両 側 性 上 顎 洞 真 菌 症 の 1 例. 耳 鼻 と 臨 床 47 388-392,2001- 北 秀 明 朝 倉 光 司 石 川 忠 孝 氷 見 徹 夫 他 : 鼻 副 鼻 腔 真 菌 症 の 臨 床 的 検 討. 臨 床 耳 鼻 151-15.1 高 倉 大 匡 麻 生 伸 藤 坂 実 千 郎 他. 副 鼻 腔 真 菌 症 の 検 討. 耳 鼻 臨 床 92: 43~50.1 999. 矢 村 正 行 輿 椙 征 典 山 下 康 行 : 鼻 腔 副 鼻 腔 : 頭 頚 部 の 画 像 診 断 ( 秀 潤 社 ). 102-123,2002. 中 津 正 士 何 津 信 礼 久 保 滋 人 他 : 鼻 副 鼻 腔 炎 症 性 疾 患. 脳 頭 頚 部 の MRI (284-289,2000. L, Hawk M, a fung a literatur re view 104-10.1 高 木 実 松 根 彰 志 宮 之 原 郁 代, 他 : 当 科 に おける 上 顎 洞 真 菌 症 症 例 の 検 討. 日 鼻 誌 39 127-130, 2000. 永 田 博 史 : 副 鼻 腔 炎. 今 日 の 治 療 方 針 ( 医 学 書 院 ). 993, 2003 Zinr e JS, DW, Imaging Rad i169:439-444, 198