連 載 記 事 やさしい 電 力 系 統 のはなし( 第 10 回 ) 公 益 財 団 法 人 国 際 超 電 導 産 業 技 術 研 究 センター 常 務 理 事 渡 辺 勉 さて 今 回 は 需 要 家 設 備 の 解 説 をします 電 力 系 統 はそもそも 需 要 家 が 電 気 を 使 うために 使 用 される 設 備 ですが 需 要 家 設 備 は 電 力 系 統 の 一 部 でもあります 今 回 は 電 力 系 統 との 関 連 を 中 心 に 需 要 家 電 設 備 と 合 わせて 関 連 する 事 項 も 解 説 します 需 要 家 設 備 の 基 本 構 成 ( 図 -89) 低 電 圧 (100~400V)で 電 力 を 受 ける 需 要 家 の 場 合 需 要 端 に 電 力 量 計 を 設 置 し 次 に 分 電 盤 が 置 かれアンペアブレーカー(もしくは 幹 線 ブレーカー)+ 漏 電 遮 断 器 + 配 線 用 ブレーカーで 需 要 家 内 を 保 護 するのが 一 般 的 と 思 います ちなみに 分 電 盤 は 変 電 所 の 母 線 ( 第 8 回 )の 様 に 電 気 の 交 差 点 となっています 高 電 圧 (6 千 V)や 特 別 高 圧 (7000 V 以 上 )の 需 要 家 の 場 合 遮 断 器 (CB)( 負 荷 開 閉 器 の 場 合 も) 取 引 用 計 量 装 置 (Voltage Current Transformer)が 設 置 され それから 先 の 設 備 はそれぞ れの 必 要 性 に 沿 った 形 態 となります 変 圧 器 を 設 置 し 設 備 に 適 した 電 圧 に 変 換 し 母 線 を 設 けて(6 千 V 等 では VCT 以 下 の 設 備 がキュービクルと 呼 ばれるボックスに 一 括 設 置 ) 構 内 に 配 電 するのが 一 般 的 な 構 成 です なお 受 電 電 圧 や 変 圧 器 台 数 により 図 -89-(2)とは 構 成 が 幾 分 違 う 場 合 もあり ます (1) 配 電 需 要 家 ( 一 般 家 庭 等 ) (2) 高 圧 特 別 高 圧 需 要 家 (6 万 V 本 線 予 備 線 契 約 の 場 合 ) 電 力 会 社 電 線 電 力 会 社 電 線 * 100~200V (*6 千 V 以 上 ) (~400V) (3 線 ) 現 在 : 電 力 量 計 (2 線 又 は3 線 ) 需 要 家 内 区 分 開 閉 器 スマートメータ キュービクル 需 要 家 内 分 電 盤 遮 断 器 (CB) 取 引 用 計 量 装 置 (VCT) 変 圧 器 アンペア* 漏 電 遮 断 器 (* 契 約 電 流 ) ブレーカーもしくは 主 幹 ブレーカー 一 括 型 もある 配 線 用 ブレーカー (コンセントへ) ( 需 要 家 内 需 要 へ) CB 図 89 需 要 家 電 力 系 統 関 連 設 備 の 基 本 構 成 需 要 家 設 備 の 必 要 な 機 能 電 力 系 統 では 系 統 に 繋 がるとお 互 いに 影 響 を 及 ぼし 合 い 特 にお 隣 さん 同 士 の 影 響 は 強 くなり ます( 第 3 回 参 照 ) このため 需 要 家 も 電 力 系 統 に 繋 がり 電 気 を 使 用 する 時 に 配 慮 が 必 要 とな ります この 点 は 同 じネットワークシステムでも 通 信 系 統 とは 異 なります 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 1 -
1 自 設 備 事 故 で 他 人 に 迷 惑 をかけないための 機 能 需 要 家 内 でのトラブルが 起 きると 電 力 系 統 に 種 々の 影 響 をもたらします ( 図 -90) このため 需 要 家 で 系 統 に 影 響 を 与 えるトラブル( 事 故 )が 発 生 したら 速 やかに 電 力 系 統 から 切 り 離 される 必 要 があります このため 電 力 系 統 との 接 続 にブレーカーを 設 置 し 需 要 家 構 内 事 故 時 には 電 力 系 統 側 の 保 護 装 置 が 動 作 する 前 に 高 速 開 放 させます なお 事 故 で 大 電 流 が 流 れる 際 の 状 況 は 送 電 線 雷 事 故 での 瞬 時 電 圧 低 下 発 生 時 と 同 じです ( 第 6 回 解 説 参 照 ) ー 6 万 V 系 統 短 絡 (A-B-C 相 接 触 )の 場 合 - 2 電 圧 低 下 1 大 電 流 通 過 電 力 設 備 破 壊 Z 需 要 家 2 電 圧 大 幅 低 下 2 電 圧 大 幅 低 下 需 要 家 設 備 停 止 需 要 家 設 備 機 能 低 下 3 供 給 電 力 小 Y 需 要 家 1 大 電 流 流 れ 込 み 3 相 接 触 3 相 表 示 A 相 2 電 圧 ゼロ モータ B 相 C 相 X 需 要 家 3 供 給 電 力 ゼロ 図 90 需 要 家 内 トラブルの 電 力 系 統 への 影 響 イメージ 低 電 圧 需 要 家 ( 一 般 家 庭 など)では 契 約 電 流 を 超 えると 動 作 するアンペアブレーカーと 漏 電 など の 小 さな 事 故 電 流 でも 持 続 的 に 流 れて 火 災 や 人 災 に 至 らない 様 動 作 させる 漏 電 遮 断 器 で 一 般 的 に 対 応 します 需 要 家 内 の 一 部 の 電 気 回 路 で 大 電 流 が 流 れると 配 線 用 ブレーカーが 動 作 します ( 図 -89-(1)) 一 方 高 電 圧 以 上 の 需 要 家 内 トラブルには 遮 断 器 (CB)が 動 作 します ( 図 -89-(2))なお 高 圧 需 要 家 では CB の 代 わりにヒューズの 場 合 もあります ブレーカー( 又 は CB)が 動 作 すると 電 力 系 統 から 電 気 が 来 ませんからトラブルを 継 続 させるエ ネルギーもなくなり 通 常 は 需 要 家 内 の 影 響 拡 大 も 防 げます ただし 電 気 事 故 で 火 災 が 発 生 した 場 合 ブレーカーが 動 作 しエネルギー 供 給 がなくなっても 火 は 消 えない 場 合 もあります なお 一 般 家 庭 で 地 震 で 家 が 損 壊 した 場 合 等 の 時 電 力 系 統 側 の 原 因 で 停 電 し 設 備 復 旧 後 の 再 供 給 時 に 建 物 内 で 起 因 する 火 災 の 可 能 性 が 皆 無 ではありませんから 避 難 する 場 合 は 念 のためブレ ーカー 開 放 することをお 勧 めします 2 普 段 の 電 気 使 用 で 他 人 に 迷 惑 をかけないために 需 要 家 電 圧 が 電 気 の 使 い 方 で 異 常 に 変 動 する 場 合 近 傍 の 系 統 電 圧 も 変 動 し お 隣 さんや 更 に ご 近 所 さん 影 響 が 広 がり 電 気 が 使 いづらくなります(ひどい 場 合 は 使 えなくなる) いわば 電 気 の 雑 音 です このような 電 圧 変 動 には 商 用 周 波 数 (50 又 は 60 Hz) 電 圧 がゆっくり( 周 期 が 数 秒 以 上 ) 変 動 する 場 合 と 更 に 短 い 周 期 で 電 圧 変 動 する 場 合 があります 短 い 周 期 の 変 動 でも 数 秒 以 内 の 比 較 的 高 い 周 波 数 (10 Hz 程 度 以 下 )は 電 圧 フリッカーと 呼 ばれ 照 明 のちらつきなどの 影 響 を 及 ぼします 商 用 周 波 数 以 上 の 非 常 に 短 い 電 圧 変 動 は 高 調 波 電 圧 ( 発 生 原 因 から 通 常 商 用 周 波 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 2 -
数 の 整 数 倍 )と 呼 ばれます ( 図 -91)これらの 電 圧 発 生 が 大 きい 場 合 は 抑 制 装 置 の 需 要 家 設 置 が 必 要 です 図 91 電 圧 変 動 のイメージ なお 高 調 波 電 圧 は インバータを 使 用 する 機 器 ( 高 調 波 抑 制 対 策 をしていない 場 合 )が 増 える と 増 加 するため 高 調 波 抑 制 対 策 付 きインバータ 機 器 の 設 置 が 望 まれます なお 高 圧 以 上 の 比 較 的 大 規 模 な 需 要 家 は 高 調 波 抑 制 対 策 ガイドライン ( 経 済 産 業 省 制 定 )に 沿 い 必 要 な 場 合 に 対 策 を 講 じます ( 専 門 的 になるため 解 説 は 省 きます なお 高 調 波 電 圧 は 通 常 電 圧 変 動 に 含 みま せんが 今 回 は 説 明 の 都 合 上 含 めました ) ( 余 談 ) 高 調 波 現 象 は 難 しい 電 力 系 統 での 高 調 波 現 象 を 検 討 する 時 は 高 調 波 発 生 原 因 設 備 を 高 調 波 発 生 電 流 源 (いわば 高 調 波 発 生 発 電 機 )として 解 析 します 需 要 設 備 を 発 電 機 と 考 えるのは 直 感 的 にしっくりしないので すが 良 く 解 析 できます (ただし 対 策 はなかなか 難 しいのですが ) 一 方 送 電 線 などは 高 調 波 に 対 する 電 気 特 性 が 商 用 周 波 数 での 特 性 と 違 うため 模 擬 の 仕 方 が 変 わります 結 果 として 得 られる 高 調 波 電 圧 電 流 の 様 相 は 商 用 周 波 数 とは 全 く 異 なります このため 検 討 は 結 果 が 妥 当 かどうか の 確 認 を 含 め 大 変 です ( 検 討 が 不 要 な) 高 調 波 の 少 ない 電 力 系 統 になればと 願 います 電 力 系 統 解 析 では 商 用 周 波 数 (50 又 は 60 Hz) 高 調 波 (250~300 Hz 以 上 )でシミュレーシ ョン 方 法 を 変 えますが このように 物 理 現 象 では 周 波 数 領 域 の 設 定 が 大 切 な 場 合 があります いく ら 詳 細 に 模 擬 しても 解 析 する 現 象 の 周 波 数 領 域 に 合 った 模 擬 でないと 高 性 能 コンピュータを 駆 使 し ても 正 しい 答 が 出 ません ちなみに 地 震 や 津 波 現 象 も 広 い 周 波 数 領 域 ゆっくりした 揺 れから 細 かい 揺 れまで 含 んでいることを(3.11 以 降 いわきで) 実 感 しましたがーー? 3 発 電 機 を 運 転 する 需 要 家 の 機 能 需 要 家 が 発 電 設 備 を 運 転 すると 自 分 の 需 要 を 賄 うだけでも 外 部 の 電 力 系 統 に 影 響 を 与 えます ( 図 -92)このため 発 電 機 の 電 圧 無 効 電 力 維 持 力 や 事 故 対 応 機 能 等 の 条 件 を 満 たす 必 要 があり 電 力 品 質 確 保 に 係 る 系 統 連 系 技 術 要 件 ガイドライン ( 経 済 産 業 省 制 定 )が 定 められています ( 解 説 は 省 略 ) 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 3 -
通 常 運 転 時 B 需 要 家 (3 相 短 絡 ) 事 故 時 B 需 要 家 事 故 電 流 1( 系 統 分 ) B 需 要 家 電 力 系 統 1 受 電 電 圧 変 化 電 力 系 統 3 相 接 触 事 故 電 流 2 A 需 要 家 発 電 機 分 電 力 の 流 れ A 需 要 家 A 需 要 家 発 電 機 需 要 1 発 電 力 (KW) 変 化 又 は 発 電 無 効 電 力 (kvar) 変 化 発 電 機 需 要 ( 説 明 ) B 需 要 家 事 故 時 に 事 故 電 流 *が (* 通 常 の 電 力 使 用 電 流 の 数 倍 ~ 数 十 倍 ) A 需 要 家 発 電 機 から 流 入 し(2) 発 電 機 が 無 い 時 (1)に 比 べ 増 加 図 92 需 要 家 発 電 機 の 電 力 系 統 への 影 響 例 需 要 家 の 供 給 契 約 と 電 力 系 統 運 用 需 要 家 は 電 力 会 社 や 他 の 事 業 者 と 供 給 契 約 ( 電 気 を 購 入 する 契 約 )を 結 びます 通 常 契 約 電 力 (kw) 内 で 電 気 を 使 えば 問 題 無 い 訳 ですが その 契 約 内 容 の 一 部 分 特 に 需 要 規 模 が 大 きい 需 要 家 の 場 合 電 力 系 統 運 用 へ 影 響 を 与 えます ( 以 下 の4 5 6) 4( 随 時 ) 需 給 調 整 契 約 電 力 系 統 では 需 給 (kw)バランスが 崩 れ 周 波 数 が 維 持 されないと 電 力 供 給 全 体 が 停 止 します ( 第 1 回 解 説 参 照 )このため 発 電 増 余 力 がなく 需 要 が 上 回 り 周 波 数 低 下 が 大 きくなる(と 想 定 される) 場 合 需 要 が 削 減 されます 発 展 途 上 国 では ( 日 本 でも 3.11 で 悪 名 が 定 着 した) 輪 番 停 電 等 で 強 制 的 に 削 減 されることも 多 いですが 先 進 国 等 では 極 力 需 要 家 と 事 前 に 需 要 削 減 契 約 を 結 び 周 波 数 低 下 時 ( 又 は 低 下 が 想 定 される 時 )に 需 要 が 削 減 されます 日 本 では 需 要 を 削 減 す る 契 約 は 需 給 調 整 契 約 と 呼 ばれますが 時 間 を 予 め 指 定 せず 緊 急 事 態 に 対 応 できる 契 約 は 随 時 需 給 調 整 契 約 と 呼 ばれます 従 来 契 約 による 需 要 削 減 策 は DSM(Demand Side Management)と 呼 ばれ 需 給 バランス 維 持 手 段 であるとともに 将 来 の 電 力 需 要 増 加 を 抑 制 し 電 源 新 設 量 を 減 らすことにも 使 われました 電 力 自 由 化 の 進 展 とともに 電 源 設 備 量 や 需 要 量 は 基 本 的 に 市 場 で 決 まる とされ 一 方 随 時 調 整 契 約 など 緊 急 対 応 可 能 な 需 要 削 減 策 が 系 統 運 用 者 の 緊 急 的 な 停 電 回 避 対 策 とされつつありま す この 様 なコンセプトの 変 化 もあるのでしょうか 最 近 は DSM にかわり DR(Demand Response) と 呼 ばれます ( 余 談 ) 随 時 調 整 契 約 量 の 確 保 と 市 場 原 理 系 統 全 体 の 悪 影 響 が 及 ぶ 周 波 数 低 下 原 因 は 発 電 設 備 の 大 規 模 停 止 送 電 設 備 の 大 規 模 停 止 需 要 の 異 常 増 加 ( 猛 暑 等 ) 等 種 々ありえます 一 方 随 時 調 整 契 約 は 需 要 削 減 時 間 や 削 減 回 数 が 定 め られ 更 に 実 際 需 要 削 減 されるとその 後 契 約 解 除 が 生 じるなど( いざ 削 減 すると 需 要 家 への 影 響 が 想 定 以 上 に 大 きく 契 約 を 解 消 ) 自 由 に 契 約 実 施 できません このため 電 力 系 統 運 用 者 とすれ ば 契 約 量 は 多 いほど 安 心 です 一 方 契 約 を 増 すには 金 銭 的 な 魅 力 (インセンティブ)を 増 す 必 要 があります このように 調 整 契 約 量 には 需 要 と 供 給 の 関 係 があり 市 場 原 理 で 決 定 されるべき 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 4 -
との 意 見 もあります ところで 電 力 系 統 運 用 者 は 払 うお 金 がありませんから 電 力 系 統 運 用 者 は 電 力 系 統 利 用 者 に つ け を 回 し 調 整 契 約 を 買 います この 際 量 と 値 段 を 気 にせずに 買 うと 後 々に 余 計 なものを 買 った 私 は 払 わない! と 言 われる 可 能 性 があります ( 系 統 運 用 者 のジレンマ 図 -93)このため 単 純 に 市 場 原 理 だけでうまく おさまる ( 需 要 と 供 給 が 均 衡 する)のは 難 しいと 思 います 図 93 ( 随 時 ) 需 給 調 整 契 約 量 と 契 約 コストのジレンマ( 葛 藤 ) つけを 回 される 電 力 系 統 利 用 者 は 一 般 的 に 全 需 要 家 ですが 調 整 契 約 量 をどの 程 度 確 保 しその コストを 負 担 するかについて 需 要 家 全 員 で その 程 度 ならいいよ と 言 う 必 要 があります これ は 国 の 防 衛 負 担 ( 国 全 体 が 脅 かされる) 緊 急 事 態 に 備 えるコストを( 国 民 全 員 が 負 担 する) 税 金 でどの 程 度 使 うかを 国 民 が 決 めると 似 ています ちなみに 電 力 系 統 ではこの 様 な 緊 急 時 に 対 し どう 備 えるか はセキュリティー(Security)の 課 題 と 呼 ばれますが( 第 6 回 の 流 通 設 備 のセキュ リティーと 同 じ 考 え 方 ) セキュリティーは 安 全 保 障 と 訳 せ 防 衛 (National Security)と 考 え 方 が 通 じる 面 があります 防 衛 ( 設 備 量 と 負 担 費 用 )レベルは 市 場 原 理 で 決 まりませんが 同 様 に 調 整 契 約 量 も 市 場 原 理 だ けでは 決 まらないと 思 います 今 後 はスマートメータ( 後 述 ) 等 の 活 用 も 考 慮 し より 多 くの 需 要 家 を 対 象 に 社 会 全 体 が 参 加 す る 随 時 需 給 調 整 契 約 の 仕 組 みをつくりつつ 必 要 契 約 量 と 負 担 限 度 について( 防 衛 費 と 同 様 ) 広 く 需 要 家 の 合 意 形 成 ができればと 思 います (ただ 日 本 人 は 防 衛 問 題 を 含 め 安 全 保 障 議 論 を 敬 遠 しが ちですがーーー) 5 本 線 予 備 線 契 約 送 電 系 統 ( 日 本 では 6 万 V 以 上 )は 信 頼 性 として N-1 基 準 が 採 用 され 通 常 送 電 線 1 回 線 停 止 でも 送 電 は 継 続 されます ( 第 7,8 回 ) 送 電 系 統 に 接 続 する 大 規 模 需 要 家 は 本 線 予 備 線 契 約 する と 送 電 系 統 の 信 頼 性 が 活 用 できますし 系 統 運 用 者 等 から 見 ると 流 通 設 備 の 点 検 等 が 容 易 になりま す ( 図 -94) このため 本 線 予 備 線 契 約 は 比 較 的 安 価 な 契 約 料 金 が 設 定 され 推 奨 されています 一 方 需 要 家 の 受 電 CB( 又 は 開 閉 器 )が 2 台 必 要 となるなどコストが 増 加 するため 契 約 しない 需 要 家 も 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 5 -
いますが できれば 本 線 予 備 線 契 約 していただければと 思 います なお 配 電 系 統 は N-1 基 準 ( 設 備 が 1 停 止 となっても 供 給 継 続 できるシステム)に 必 ずしも 対 応 していませんが(ネットワーク 方 式 は 除 きます: 第 9 回 参 照 ) 高 圧 (6 kv) 配 電 系 統 などでは 電 線 設 備 を 二 重 化 している 場 合 があり 配 電 系 統 点 検 等 の 容 易 化 などから 高 圧 需 要 家 等 に 本 線 予 備 線 契 約 を 推 奨 する 場 合 があります 通 常 運 転 時 1 回 線 停 止 時 1 回 線 契 約 6 万 V2 回 線 送 電 線 CB 需 要 家 受 電 停 止 需 要 家 停 電 * (*1 回 線 停 止 は 極 力 避 けて 欲 しい!!) 本 線 予 備 線 契 約 本 線 * 受 電 * 本 線 : 通 常 受 電 する 回 線 需 要 家 受 電 停 止 予 備 線 受 電 需 要 家 受 電 予 備 線 受 電 に 切 替 供 給 継 続 図 94 本 線 予 備 線 契 約 と 系 統 運 用 例 ( 1 回 線 停 止 時 に 受 電 可 能 ) 6 力 率 割 引 割 り 増 し 比 較 的 規 模 の 大 きい 需 要 家 の 供 給 契 約 では 需 要 の 力 率 に 応 じて 基 本 料 金 ( 毎 月 定 額 支 払 料 金 ) が 割 り 増 し 割 引 されます 力 率 が 小 さいと 電 力 設 備 に 流 れる 無 効 電 力 成 分 が 大 きくなるので 一 般 的 に 好 ましくないことを 反 映 した 仕 組 みです しかしながら 無 効 電 力 は 2 種 類 ( 進 相 遅 相 )あ り 発 生 要 因 や 発 生 量 はいろいろで 電 力 系 統 ではそのバランス 維 持 が 重 要 です( 図 -95) このた め この 仕 組 みの 妥 当 性 を(そろそろ) 検 証 しても 良 いと 思 います 力 率 = 1.0 力 率 0.9 0.85 力 率 と 無 効 電 力 の 関 係 ~ 有 効 電 力 ( 有 効 電 力 )2+( 無 効 電 力 )2 有 効 電 力 =10kW の 場 合 無 効 電 力 が 増 すと 力 率 は 小 さくなる 0 3 5 無 効 電 力 (kvar) 電 力 系 統 の 無 効 電 力 バランス 無 効 変 電 所 電 力 2 の 流 需 要 家 3 れ 1 需 要 家 1 送 緑 と 赤 は 逆 向 きの 電 2 無 効 電 力 線 2 地 中 ケーブル 3 発 電 機 4 充 電 電 流 1 需 要 家 3 需 要 家 の 無 効 電 力 大 小 と 電 力 系 統 の 無 効 電 力 大 小 は 必 ずしも 一 致 しない 図 95 需 要 家 力 率 と 電 力 系 統 の 無 効 電 力 バランス 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 6 -
需 要 家 と 電 力 系 統 と 関 連 が 深 い 部 分 を 解 説 しました 他 にも 種 々ありますが 電 気 工 事 店 や 専 門 家 ( 大 規 模 需 要 家 は 電 気 主 任 技 術 者 がいます)にお 任 せするのが 無 難 です ( 余 談 ) 家 庭 用 コンセントはなぜいろいろある 国 による 家 庭 用 電 気 コンセントの 違 いがときたま 話 題 になりますが 基 本 的 に( 技 術 的 には 全 く 無 関 係 とも 言 えませんが) 電 力 系 統 と 無 関 係 に 決 まっています 海 外 の 電 力 系 統 関 係 者 と 話 しても ( 特 にヨーロッパでの 違 いが 大 きいですが) 理 由 は 良 くわからない との 答 が 返 ってきます これからの 需 要 家 : スマートメータと 需 要 家 設 置 再 生 可 能 エネルギー 電 源 日 本 ではスマートメータがこれから 全 家 庭 に 設 置 されますし 分 散 電 源 の 導 入 も 太 陽 光 発 電 等 が 更 に 拡 大 すると 思 われます これに 伴 い 需 要 家 と 電 力 系 統 の 関 係 が 従 来 と 変 わると 想 定 されます スマートメータ スマートメータは 電 気 計 量 業 務 を 効 率 化 することが 主 要 な 役 割 の 一 つですが 電 力 系 統 運 用 面 から 見 ると 導 入 に 伴 い 需 要 家 と 系 統 運 用 者 が 双 方 向 で 電 力 使 用 量 等 の 情 報 のやりとりが 可 能 とな るのが 大 きな 変 化 です ( 図 -96) 需 要 家 が 系 統 運 用 者 から 情 報 を 受 けても 需 要 家 ( 人 間 )が 常 に (+すぐに) 対 応 するのは 難 しいと 思 います このため 受 けた 情 報 を 上 手 に 扱 う 機 能 が 必 須 ですが 家 庭 なら HEMS(Home Energy Management System) 商 業 系 は B(Business)EMS 工 場 は F(Factory)EMS が 担 うと 考 えられます ( 以 下 EMS と 総 称 ) 図 96 電 力 系 統 運 用 者 と 需 要 家 間 の 情 報 双 方 向 化 イメージ EMS は 既 に 製 品 化 され 今 後 も 進 化 するでしょう 系 統 運 用 者 からの 情 報 に 上 手 に 対 応 する 機 能 が 充 実 すれば 電 力 系 統 セキュリティー 向 上 や 電 力 系 統 運 用 効 率 化 が 図 れると 思 います 特 に 電 力 分 野 が 100 % 自 由 化 すると 供 給 責 任 を 最 終 的 に 担 う 者 はいなくなりますから( 系 統 運 用 者 に 努 力 義 務 は 課 せられますが; 今 後 の 回 で 説 明 ) 電 力 系 統 につながる 需 要 家 も 安 定 供 給 を 維 持 する 役 目 を 分 担 するのが 合 理 的 と 思 います ( 図 -97)この 分 野 は 各 方 面 で 種 々の 研 究 開 発 が 進 めら れていますので 関 心 を 持 っていただければと 思 います EMS とスマートメータで 上 手 な 電 力 系 統 運 用 実 現 を 期 待 します 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 7 -
なお 特 に 家 庭 では HEMS が 発 展 し 分 電 盤 が 家 庭 の 変 電 所 ( 変 電 所 の 機 能 は 第 8 回 参 照 ) になれば 面 白 いでしょう ー 従 来 は 系 統 運 用 者 ( 電 力 会 社 )が 安 定 供 給 維 持 のため 概 ね 一 方 的 に 実 施 ー 電 力 系 統 運 用 者 * * 指 示 者 だけでなく 現 場 対 応 者 も 含 む スマートメーター + EMS 電 力 系 統 の( 緊 急 対 応 ) 運 用 例 ( 大 規 模 ) 電 源 突 発 停 止 への 対 応 周 波 数 維 持 電 圧 維 持 想 定 を 超 える 需 要 変 動 対 応 周 波 数 維 持 ( 大 規 模 ) 停 電 への 対 応 早 期 供 給 復 旧 ( 大 規 模 ) 流 通 設 備 緊 急 停 止 対 応 大 停 電 停 電 長 期 化 の 回 避 * 需 要 家 電 気 利 用 の 調 整 例 (あらかじめ 決 めた 順 序 に 設 備 を 使 用 停 止 設 備 利 用 時 間 *の 変 更 (* 期 間 開 始 停 止 時 間 等 ) 設 備 の 電 気 出 力 (kw) 低 下 停 電 復 旧 時 の 利 用 開 始 順 序 * 上 記 全 項 目 が 対 象 図 97 スマートメータを 活 用 した 電 力 系 統 ( 双 方 向 ) 運 用 イメージ ( 余 談 ) 電 気 使 用 状 況 は 個 人 情 報!? スマートメータ 情 報 の 取 り 扱 い 電 気 の 使 用 状 況 は 個 人 情 報 とされるようです 系 統 運 用 者 にとり 需 要 家 個 々の 電 気 使 用 量 は 本 来 不 要 ですが 個 々の 需 要 家 需 要 が 系 統 運 用 者 の 情 報 (+ 電 力 市 場 情 報 等 も 含 む)にどう 反 応 し 電 力 系 統 へどの 程 度 影 響 するかが 知 りたい 点 です このニーズをうまく 解 決 できる 技 術 手 段 が 望 まれ ますが 例 えば 需 要 家 EMS が 需 要 中 身 を 明 示 せず 電 気 利 用 トータルの 反 応 量 ( 又 は 推 定 値 )を 通 知 するなどが 個 人 的 には 思 い 浮 かびます この 程 度 でも 個 人 情 報 保 護 面 で 問 題 かも 知 れませんが 個 人 情 報 保 護 と 個 人 情 報 から 得 られる 社 会 的 メリットのバランス 維 持 が 折 り 合 えればと 思 います 需 要 家 の 再 生 可 能 エネルギー 電 源 電 源 は 発 電 するとともに 電 力 系 統 を 維 持 し 一 方 需 要 家 はその 恩 恵 を 受 け 対 価 を 電 源 に 払 うの が 従 来 の 基 本 的 な 電 力 システムの 考 え 方 です ( 多 数 の) 需 要 家 にある 程 度 の 容 量 の 電 源 が 設 置 され る 場 合 電 力 系 統 を 維 持 することに 貢 献 するなら 電 源 と 見 るのが 良 いと 思 います この 点 出 力 調 整 ができない 再 生 可 能 エネルギーの 場 合 電 源 容 量 が 大 きくても 需 要 ( 電 気 を 生 み 出 すマイナス 需 要 )と 見 るのが 良 い が 私 の 整 理 です メガソーラーも 需 要 と 考 えた 方 が 良 いよ うに 思 います 例 えば 太 陽 光 の 場 合 冬 のピーク 需 要 は 夕 刻 ですが 電 源 として 機 能 しませんし ( 図 -98) (なお この 考 え 方 は 第 5 回 の 修 正 需 要 の 項 参 照 ) 再 生 可 能 エネルギー 電 源 を マイナス 需 要 と 考 えると 需 要 家 へ 設 置 すると 需 要 の 変 動 が 拡 大 (マイナスからプラスまで 変 動 )することになり 系 統 運 用 者 にとっては 扱 いにくさが 増 すこと になります これへの 対 応 としては 蓄 電 池 等 での 貯 蔵 で 変 動 を 減 らすことが 一 案 ですが 前 述 の EMS を 活 用 し 修 正 需 要 として 平 坦 化 するように 制 御 し それでも 電 力 系 統 での 対 応 が 難 しい 場 合 出 力 (kw) 抑 制 が 合 理 的 と 思 います 再 生 可 能 エネルギー 電 源 は 元 来 利 用 率 が 低 いですから(15~30%) 程 度 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 8 -
一 時 的 に 抑 制 しても 発 電 エネルギー 量 (kwh)への 影 響 は 小 さいと 想 定 されますし 例 えば スマ ートメータを 活 用 し 輪 番 に 抑 制 する 等 し 個 々の 発 電 設 備 の 抑 制 量 (kwh)が 偏 らない 様 にする 工 夫 ことも 考 えられます 図 98 冬 の 電 力 需 要 変 化 ( 東 京 電 力 ホームページから) なお 電 圧 維 持 や 無 効 電 力 制 御 も 発 電 設 備 の 重 要 な 系 統 維 持 機 能 ですから スマートメータと 連 動 しつつ 家 庭 設 置 電 源 でも 適 切 な 制 御 を 実 施 されることが 必 要 と 思 います これらを 含 めて 発 電 制 御 装 置 EMS スマートメータ( 系 統 運 用 者 からの 要 請 )を 一 元 制 御 する 技 術 開 発 が 望 まれます ( 余 談 ) 太 陽 光 発 電 と(もともとの) 家 庭 需 要 は 相 性 が 良 くないけれど 家 庭 用 需 要 (kw)が 最 大 となるのは 年 間 を 通 じて 夕 刻 ですから お 昼 付 近 に 最 大 出 力 となる 太 陽 光 発 電 との 相 性 はあまり 良 く 有 りません 特 に 冬 の 寒 い 日 で 雪 が 降 る 場 合 は 太 陽 光 発 電 が 全 く 期 待 できず 最 悪 です ( 最 近 は 夏 冬 の 最 大 電 力 に 余 り 差 がありませんから 冬 の 最 大 需 要 対 応 が 課 題 で す) 逆 に 春 秋 のそもそも 需 要 が 小 さい 時 に 空 が 綺 麗 に 晴 れて 出 力 最 大 になり 発 電 が 多 すぎるこ とも 有 ります と 言 う 訳 で 太 陽 光 と 家 庭 需 要 の 間 の 相 性 はあまり 良 くない と 感 じます ところで 世 の 中 の 夫 婦 を 見 ると どう 見 ても 相 性 はあまり 良 くなさそうに 見 えても 結 構 仲 良 く 長 続 きされている 場 合 がある 様 に 思 います 夫 婦 それぞれ 秘 訣 はあると 思 いますが( 個 人 的 にも 知 りたいところです) 結 局 ここぞと 言 う 時 に 相 手 と 上 手 に 妥 協 しているのではと 想 像 します 今 の 世 の 中 太 陽 光 発 電 の わがまま を 精 一 杯 聞 くのが 前 提 との 雰 囲 気 が 強 い 気 がしますが 良 い 関 係 が 長 続 きするには 上 手 な 妥 協 点 を 探 す のが 秘 訣 と 思 います このため 例 えば 太 陽 光 発 電 が 大 きすぎる 時 は 出 力 を 抑 制 すべき( 太 陽 光 発 電 が 少 し 妥 協 する)と 考 える 訳 です 次 回 は 電 力 系 統 設 備 とその 運 用 を 壊 さないための 仕 組 みを 紹 介 します 2014 年 11 月 号 ISTEC 2014 All rights reserved. - 9 -