e. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 B. 感染性下痢 : 胃腸炎 1. ウイルス性 ( 最多 ) a. ノロウイルス b. ロタウイルス 2. 細菌性 ( 一般に食品由来 ) a. コレラ b. Escherichia coli 大腸菌 c. Shigella 赤痢菌属 d. Salmonell

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急性下痢の鑑別疾患 (110221) 急性下痢のもっとも多い原因は胃腸炎 ほとんどの場合 パターン認識で治療が開始されると思うが いつもの症状と異なると感じた場合には鑑別疾患を挙げてみることが必要と思う ( 大多数の急性下痢は自然軽快するので 血便や 黒色便 体重減少 免疫不全状態 海外旅行歴などが無い場合は検査しないのが普通 ) まず 鑑別疾患を挙げてみるが 参考文献 6 では非感染性下痢 感染性下痢 : 胃腸炎 感染性 下痢 : 炎症性腸炎と大きく分類している 非感染性の下痢は 全身症状の欠如によって認識される 大量 ( かつしばしば水様性 ) の便 全身症状 吐き気やおう吐 そしてしばしば腹部の鋭い痛みを呈する感染性下痢は胃腸炎として分類できる 炎症性下痢は感染性症状としばしば赤痢 (dysentery: 発熱 しぶり腹 血液 / 粘液を伴う便 ) を起こす感染症である 多くの病原体が胃腸炎 炎症性下痢の両者を生じうる 6) A. 非感染性下痢 1. 薬剤や他の消化されない物質 ( いくつかは浸透圧効果による ) a. ソルビトール ( ガム ミント 錠剤配合充填剤 ) b. マンニトール c. フルクトース ( 果実 清涼飲料 ) d. 繊維 ( ブラン 果実 野菜 ) e. ラクツロース 2. マグネシウム含有薬物 a. 栄養サプリメント b. 制酸薬 c. 緩下薬 3. 吸収不良 a. 乳糖不耐症 b. 膵炎 4. 非浸透圧性機序により下痢を生じる薬物 a. メトホルミン b. 抗菌薬 c. コルヒチン d. ジゴキシン

e. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 B. 感染性下痢 : 胃腸炎 1. ウイルス性 ( 最多 ) a. ノロウイルス b. ロタウイルス 2. 細菌性 ( 一般に食品由来 ) a. コレラ b. Escherichia coli 大腸菌 c. Shigella 赤痢菌属 d. Salmonella サルモネラ属 e. Campylobacter キャンピロバクター属 f. Yersinia enterocolitica 3. 毒素によるもの a. Stapyulococcus aureus 黄色ブドウ球菌 b. Clostridium perfringens ウェルシュ菌 c. Bacillus cereus セレウス菌 C. 感染性下痢 : 炎症性腸炎 1. 細菌性 a. 赤痢菌褥 b. E.coli c. キャンピロバクター属 d. サルモネラ属 e. Y.enterocolitica 2. 抗菌薬関連性 a. Clostridium difficile b. C.difficile 非関連性 臨床における実践的な下痢の評価としては 急性下痢症と慢性下痢症に分類するのが実用的 1) 急性下痢症のおもな原因は感染性腸炎であり サルモネラ菌 赤痢菌 キャンピロバクター クロストリジウム 病原性大腸菌 黄色ブドウ球菌などの細菌性腸炎 ノロウイルス ロタウイルス アストロウイルス アデノウイルスなどのウイルス性胃腸炎である 1) ノロウイルスとその近縁種のウイルスが 成人の非細菌性胃腸炎のおよそ 90% を占める 6) 感染性腸炎を疑ったら 発症前の食事内容は鑑別に重要 例 : 海産物 ビブリオ 肉製品

乳製品 サルモネラ ポテトサラダ おにぎり ブドウ球菌 ( 食べたら 2~3 時間で発症する ) 3) 細菌性腸炎では発熱をともない重症な下痢になりやすい 1) 臨床症状から小腸型 大腸型に大まかに 2 分し 原因微生物の推測を行う 2) ( 参考文献 2 より引用 ) 血性下痢の場合は 0157:H7 腸管出血性大腸菌が原因菌であることが多いが サルモネラ菌 赤痢菌 キャンピロバクターによる大腸炎も血性下痢となることがある 1) ウイルス性腸炎の下痢は水様便が多く 比較的軽症で自然に消退する場合が多い 1) 疑わしい食事の 6 時間以内に発症した場合はブドウ球菌毒素による食中毒 ( 吐気 嘔吐をともなう ) 8~16 時間ではウェルシュ菌 (Clostridium Perfringens) 感染 16 時間以上の場合はウイルス性腸炎や病原性大腸菌など他の細菌性腸炎などが疑われる 1) 食事から 24 時間以上たって発症する場合 ウイルス性あるいは細菌性腸炎であることが多いです 5) 急性のなかでも 細菌毒素に汚染された食物の摂取により数時間で発症する超急性型の下痢症がある これは セレウス菌や黄色ブドウ球菌などが産生した毒素に由来し 悪心嘔吐などの上部消化管症状が強いが数日で自然軽快する 2) ( 毒素による胃腸炎は ) 通常急性で嘔吐や鋭い腹痛を伴う 嘔吐が主要な症状であり 下痢は軽度かつ水溶性で発熱は軽微である 6) 食後数時間の消化器症状での他の鑑別に アニサキス症があります アニサキスは腹痛が主体ですが ときに下痢も伴います 5) 抗生物質の最近の服用歴がある場合はクロストリジウム ディフィシレ (Clostridium difficile) 感染が疑われる 服用歴に刺激性下剤の常用 抗癌剤が含まれる場合は薬剤の副作用が疑われる 1) 重症例や数日間の対症療法でも改善がみられない場合は血液 生化学検査 便培養を行う 急性下痢症の患者の多くは大腸内視鏡検査を必要としないが 炎症性腸疾患や偽膜性大腸炎が疑われる場合 免疫抑制状態の患者では早めに大腸内視鏡検査を行う 1)

細菌性腸炎を疑った場合 抗菌薬開始前の便培養検査は重要である 便に血液が混入した例や高熱をきたした例 重症の下痢 (1 日 10 回以上または 1 時間 1 回以上 ) 渡航歴を有する例 免疫不全患者 デイケア使用者 食品取扱者 医療従事者など集団感染が疑われる例には 外来診療の場でも積極的に便培養を提出するべきである 2) 入院症例の便培養は限定的施行が推奨されている 入院 72 時間以降に発症した下痢に対しての便培養検査は 行わないとする原則を 3-day rule と呼ぶ 2) ( 抗菌薬を ) もし使うとしたら 主な治療薬としては ST 合剤 ニューキノロンなどがあります 5) 急性下痢症の原因である感染性腸炎に対しては初期治療として脱水治療を行う ブドウ球菌やサルモネラ菌の食中毒の場合は脱水の治療だけで軽快することが多い それ以外の急性下痢症の場合はシプロフロキサシン 1 日 1000mg を 2 回に分服して 3~5 日間投与する 便培養で赤痢菌 キャンピロバクター エルシニア菌が同定されたらニューキノロン系抗菌薬を 5~7 日間投与する 1) カンピロバクターは加熱不十分の鶏肉を原因とすることが多く ギラン バレー症候群の原因としても知られている エンピリックに使用されることの多いニューキノロン系抗菌薬は耐性率が高く マクロライド系抗菌薬が第一選択である 2) ニューキノロンもカンピロバクターでは耐性が多く この場合はアジスロマイシンなどのマクロライドを用います 5) ( サルモネラの ) 抗菌剤はニューキノロン系が第一選択であり 重症例や易感染性症例には適応だが 単純な胃腸炎症状のみの場合は使用を控えるべきとの意見が優勢である 2) サルモネラによる敗血症が起きる懸念から ステロイド服用者 免疫抑制状態 人口骨頭などの異物がある患者 では治療すべきだと考えられている 5) 腸管出血性大腸菌 (O-157 など ) は 小児では溶血性尿毒症症候群 (HUS) 高齢でも重症化を認める例がある 抗菌剤使用により血便の遷延や HUS の合併率 死亡率の増悪をきたしたとの報告があり 使用の是非は現時点でも議論が続いている 2) ( 病原性大腸菌に対して ) 日本ではホスホマイシンを用いる方が良いという意見もある ( 文献著者は同意しておらず ) 5) たとえ サルモネラ 赤痢 カンピロバクターといった細菌性腸炎であっても大抵は自然治癒する ( 補液 対症療法だけでおしまい ) 高熱がある 症状の改善が見られない時だけ抗菌薬使用を検討します そういう時には入院することが多いので 外来で抗菌薬を使う機会はまれということです 5) ウイルス性腸炎も多い 最も頻度が高いのがノロウイルス 他にアストロウイルスやアデノウイルスなども腸炎の原因になる ノロウイルスより重症化しやすいのがロタウイルス 5) ノロウイルスなどはベッドを介して感染しますから 皮肉にも医療機関で患者を増やすような誤謬を起こしかねません 潜伏期は数日と短く 嘔吐や下痢が必発 普通の消毒薬では殺せないので 患者の使った椅子やベッドは次亜塩素酸を用いて拭きます 5)

消毒液の作り方 :2 リットル入りのペットボトルに 1キャップ 2 杯分の塩素系漂白剤を入れる ( ハイターなど ) 2 水をいっぱいに入れる 3できあがり ( 使用時手袋は着用 ) ジアルジア症は急性または慢性の下痢のいずれかを呈することがある ジアルジア属は米国で生じる寄生虫性下痢の最も多い原因である キャンプ中や感染が流行している国への旅行中に暴露されるのが典型的 下痢を 96% に認める 治療されない患者のおよそ 10% に慢性感染が生じる 6) 高齢者に急性の下痢症を起こす疾患として特徴的なものは 抗生物質投与中に起こる下痢症である 4) ( 抗生剤関連の下痢で )Clostridium difficile(cd) が起こすものを偽膜性腸炎といいます CD トキシンは感度の良い検査 抗菌薬を止めるだけでも治ることが多く 外来でメトロニダゾールや経口バンコマイシンを使用することはあまりありません 5) 外国の調味料や油の刺激そのもので下痢をする人がいる 5) 夏場では 少し時間のたった鯖などの魚を食べると 蕁麻疹を伴う下痢をすることがあります 5 ) ( アレルギーと紛らわしいヒスタミン中毒 も参照を http://rockymuku.sakura.ne.jp/hifuka/hisutaminntyuudoku.pdf ) 乳糖不耐症はきわめて多い 小腸感染のエピソードは誰にでも一過性の乳糖不耐症を起こしうるが 基礎的なラクタマーゼ活性の低い人々では より症状が起こりやすい 日本人の 20% でラクタマーゼ活性が低いと言われている なお 人類は乳児期から成長するにつれラクタマーゼ活性が低下するようになっているので もともと生理的な現象であるという意見もある 6) 外来の状況において診断がつく多くの疾患と異なり しばしば下痢の患者で正確な診断がつけられる必要は無い 6) 白血球や CRP もやや高くなることはありますが それが抗菌薬使用を決めてくれるわけではありません あくまで抗菌薬使用は重症患者に対するオプション ( バイタルサインが重要) 5) 以前は腸炎を起こしているときには絶食と相場が決まっていましたが 現在では空腹感があり 患者本人が食べても腹痛 嘔吐をおこさなければ少しずつ食べさせてもよいと考えられている 5) 一般論として 下痢に止痢薬は勧められない ( toxic megacolon などの合併症 ) 最近は止痢剤を用いてもそれほど問題にならないと考えられており 旅行者下痢などではむしろ推奨されることもある 5) ( 症状が再燃した場合 ) 疾患再発や 乳糖不耐症の可能性を高めるべきである 細菌が原因の下痢の多くは 臨床症状の解消後も便中にとどまるため再発しうる この遷延性細菌排泄はまた疾患遷延の原因ともなる これは特にサルモネラ属やキャンピロバクター属でよくみられる 小腸粘膜障害により 乳糖不耐症もまた 胃腸炎後にはよくみられる 6)

参考文献 1. 山名哲郎症状別にみた実践的な評価と治療方針 2. 排便障害 B) 下痢.Modern Physician, 29(11) : 1639-1642, 2009. 2. 関野雄典, 小山茂. 下痢へのアプローチ. 綜合臨牀, 57(12) : 2929-2930, 2008. 3. 仲瀬裕志. 便通異常 ( 下痢 便秘 ). 臨床研修プラクティス, 4(2) : 60-62, 2007. 4. 河村朗, 木下芳一. 高齢者の便通異常. 老年消化器病, 16(1) : 31-34, 2004. 5. 岩田健太郎ら. 感染症外来の帰還. 東京, 医学書院,2010. 6. Scott D. C. Stern, Adam S Cifu, Diane Altkorn. 考える技術臨床的思考を分析する. 東京, 日 経 BP,2007.