下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

Similar documents
土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

TAC2017.indb

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

[2] のれんの発生原因 企業 ( または事業 ) を合併 買収する場合のは 買収される企業 ( または買収される事業 ) のおよびを 時価で評価することが前提となります またやに計上されていない特許権などの法律上の権利や顧客口座などの無形についても その金額が合理的に算定できる場合は 当該無形に配

2. 二世帯住宅と特定居住用宅地等 [1] 区分所有なし : 外階段 / 親族が取得する場合 Q. 被相続人 A が所有する宅地の上に A の所有する建物があり 1 階に A が居住し 2 階に子 B とその家族が居住しています ( 建物内部では行き来ができない構造 ) A と B は別生計です こ

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

平成23年度税制改正の主要項目

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成19年度 法人の減価償却制度の改正のあらまし

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

経 ViewPoint 営相談 相続時における小規模宅地等の特例の改正 谷口敬三相談部東京相談室 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 ( 以下 小規模宅地等の特例 ) は 一定の要件を満たす宅地等 ( 特定事業用等宅地等 特定居住用宅地等 貸付事業用宅地等 ) につ

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

PowerPoint プレゼンテーション

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

損金経理と積立金経理の違い ( 圧縮超過額がない場合の基本構造 ) 例 A 社は 50の国庫補助金を得て 100で機械を取得した なお A 社の経常利益は 100 である * 仕訳の違い ( 単位 : 百万円 ) 損金経理積立金経理 補助金受贈と機械取得時の仕訳 ( 両者とも同じ ) 現金預金 50

A. 受贈者に一定の債務を負担させることを条件に 財産を贈与することを 負担付贈与 といいます 本ケースでは 夫は1 妻の住宅ローン債務を引き受ける代わりに 2 妻の自宅の所有権持分を取得する ( 持分の贈与を受ける 以下持分と記載 ) ことになります したがって 夫は1と2を合わせ 妻から負担付贈

2. 減損損失の計上過程 [1] 資産のグルーピング 減損会計は 企業が投資をした固定資産 ( 有形固定資産のほか のれん等の無形固定資産なども含む ) を適用対象としますが 通常 固定資産は他の固定資産と相互に関連して収益やキャッシュ フロー ( 以下 CF) を生み出すものと考えられます こうし

平成20年2月

PowerPoint プレゼンテーション

法人の減価償却制度の改正に関するQ&A

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

2. 控除の適用時期 Q. 12 月に取得した自宅の所在地に 年末までに住民票を移しましたが 都合で引っ越しが翌年になってしまった場合 住宅ローン控除はいつから受けることになりますか A. 住宅ローン控除の適用を受けるためには 実際に居住を開始することが必要です したがって 住民票を移した年ではなく

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

作成する申告書 還付請求書等の様式名と作成の順序 ( 単体申告分 ) 申告及び還付請求を行うに当たり作成することとなる順に その様式を示しています 災害損失の繰戻しによる法人税 額の還付 ( 法人税法 805) 仮決算の中間申告による所得税 額の還付 ( 法人税法 ) 1 災害損失特別勘

今回の変更点 所得税H22.16(震災特例法対応)

1 特別償却の適用例 コネクテッド インダストリーズ税制 (IoT 税制 ) よくあるご質問補足資料 例 ) a. 5,000 万円の課税対象設備を購入 ( 対象設備の法定耐用年数は 5 年とする ただし の計算法は 定額法 とする ) 5,000 万円 5 年 = 1000 万円 b. 当年度で

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

Microsoft Word - 02手引(説明).doc

平成30年3月決算における税務上の留意事項

会社税務のてびき目次 平成 28 年度 法人税関係税制改正のポイント 1 1 法人税は何にかかるか? 3 2 収益は どの時点で計上するか? 8 3 配当金を受け取ったときは? 15 4 売上原価を求める方法 19 5 売却した有価証券の損益を求める 24 コラム 1 社長が会社にお金を貸していたら

Microsoft PowerPoint - 【別添1】23税制改正の概要.pptx

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

< F31322D89FC90B390C C18F578D8692C7985E5B315D2E6A74>

目次 ページ はじめに 奄美群島の税制特例制度 ( 国税 ) の概要 対象となる業種 対象となる設備投資 事業者 設備投資の規模等の要件 他の国税の優遇措置との比較 ( 例 : 過疎税制 ) 奄美群島の税制特例制度 ( 地方税 ) の概要奄美群島税制まとめ

減価償却資産台帳の入力マニュアル

減価償却資産台帳の入力マニュアル

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

Ⅰ 法人関連税制 1 減価償却制度 2 年連続の大改正になった背景 減価償却制度については 平成 19 年度税制改正により 残存価額および償却可能限度額の取扱いが廃止される大改正が行われ 定率法はいわゆる 250% 定率法 と呼ばれる従来にない新しい計算の仕組みが採用されました そして平成 20 年

第4期電子公告(東京)

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

法人税 faq

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

平成 28 年度税制改正の概要 1. 復興特区関係 * (1) 機械等に係る特別償却等の特例措置の5 年延長及び要件の緩和 * 要件緩和 : 建築物整備事業 ( テナント建物 ) の構造要件について まちなか再生計画に位置付けられた場合には 非耐火構造でも対象となるよう緩和 (2) 被災雇用者等を雇

法人税における役員特有の取扱いには 主に次のようなものがあります この取扱いは みなし役 員も対象となります 項目 役員給与 損金算入制限 過大役員給与 特有の取扱い 定期同額給与 ( 注 1) や事前確定届出給与 ( 注 2) など一定のもの以外は損金不算入 実質基準 ( 職務内容 収益状況など

る 1 減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業において 公共施設の整備改善事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 2 第二種市街地再開発事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 (3) 特定住宅被災市町村の区域内にある土地等が 国

H1-4

第28期貸借対照表

法人税 faq

HPのトップページ更新原稿

PowerPoint プレゼンテーション

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

労働基準法が改正されます

企業会計の利益 法人税法上の所得金額 売上原価販売費一般管理費営業外費用特別損失 売上 営業外収益特別利益 損金の額原価費用損失の額 益金の額 ( 収益の額 ) 当期純利益所得の金額 2 益金の額に算入すべき金額とは何か益金の額に算入すべき金額とは 法人税法の規定や他の法令で 益金の額に算入する 又

Microsoft Word - FP2級法改正情報 doc

実務特集1. 寄附修正 Ⅰ はじめに グループ法人税制 100% グループ内の法人間での譲渡損益の繰り延べ 100% グループ内の法人間の寄附 ( 以上 2010 年 11 月号 ) 100% グループ内の法人間の寄附 ( 寄附修正 ) 支配関係 完全支配関係の判定 100% グループ内の法人のステ

102 第 4 章 農業 農地の承継時の特例 資価格は 国税庁 HPの路線価ページから確認できます なお 平成 30 年度税制改正において 対象となる農地の範囲等が改正されました 詳細は 後記 6を参照してください 3 適用要件 (1) 被相続人この特例の対象となる被相続人は 次のいずれかに該当する

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及


日本基準基礎講座 有形固定資産

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

公益法人の寄附金税制について

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

農業経営基盤強化準備金~農業者向けQ&A~

<4D F736F F D F95BD90AC E937890C590A789FC90B D88D38CA981698AAE816A C882C781A A2E646

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

 

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

<4D F736F F D2095AA82A982E882E282B782A289F090E A815B C58CF889CA81762E646F6378>

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

1 給与所得控除額を算出する計算式は給与収入金額によって異なります 今回は給与収入金額 3,600,000 円以上 6,599,999 円以下の場合の式を用いています 2 調整控除額は合計課税所得金額 2,000,000 円超と 2,000,000 円以下で算出方法が異なります 今回は 2,000,

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

(0830時点)PR版

Transcription:

営 ViewPoint 法人税における 特別償却 と 特別控除 久住透部東京室 法人が特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供した一定の場合 通常の減価償却のほかに認められる 特別償却 の制度や 一定の金額を法人税額から控除する 特別控除 ( 税額控除 ) の制度の適用を受けることができます 今回は 法人税における特別償却および特別控除について それぞれの概要と選択のポイントを解説します 特別償却や特別控除の効果は 復興特別法人税 法人住民税 法人事業税にも及ぶこととなりますが 今回はこの点についての解説を省略しました 1. 特別償却 法人が特定の資産を取得して事業の用に供した場合には 中小企業対策その他の政策的な理由から 減価償却について 普通償却 ( 通常の減価償却 ) のほかに特別な減価償却の額の損金算入が認められています この特別な減価償却制度を 特別償却 といいます 特別償却には 特別償却 ( 狭義 ) と 割増償却 ( 注 ) があり 以下では特に断らない限り 特別償却( 狭義 ) を前提として説明することとします 注 : 特定の機械や設備等の資産を取得し 事業の用に供したとき以後 一定の期間内 普通償却限度額 一定割合 の金額を限度に割増しで減価償却できる制度ですが 詳細については省略します 特別償却 ( 狭義 ) 内容 特定の機械や設備等の資産を取得し 事業の用に供したときに 取得価額等 一定割合 の金額を限度に一時に償却できる制度 個別の制度例 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却 など 2. 特別控除 法人が特定の資産を取得して事業の用に供した場合や特定の費用を支出した場合などには 特別償却と同様な理由から法人税額の特別控除 ( 以下 特別控除 といいます ) の制度が認められています 以 1

下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の金額を限度として特別に法人税額からの控除ができる制度 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の法人税額の特別控除 国内の設備投資額が増加した場合の機械等の法人税額の特別控除 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除など 3. 特別償却 特別控除についての留意点 特別償却や特別控除は 個別の制度ごとに対象となる法人や資産 事業などの適用要件が異なります したがって 適用を検討する際には 個別の制度の要件をよく確認する必要があります ( 注 ) なお 以下の点については 各種の特別償却や特別控除の多くに当てはまります (1) 同一制度内で特別償却と特別控除の両方の要件を満たす場合であっても重複適用はできません (2) 圧縮記帳の特例のうち 収用等の場合の特例や特定資産の買換えの場合の特例など 一定の特例の適用を受けた場合には 特別償却や特別控除の適用は認められません (3) 対象法人は原則として青色申告法人です (4) 算出された特別控除の限度額 ( 税額控除限度額 ) が 事業の用に供した年度の法人税額の一定割合相当額を超えるときは その年度に控除できる金額は当該の一定割合相当額までとなります (5) 特別償却の償却不足額は 1 年間に限り繰り越すことができます 税額控除限度額のうち上記 (4) により法人税額から控除しきれなかった金額についても 1 年間に限り繰り越すことができる場合があります これらの繰越しは連続して青色申告書を提出していることが要件となります (6) 特別償却の損金算入は 損金経理により償却費を計上する方法により認められます また特別償却限度額以下の金額を特別償却準備金として損金経理または剰余金の処分により各特別償却対象資産別に積み立てたときも 特別償却準備金の損金算入が認められます なお 特別償却準備金は積み立てた事業年度の翌事業年度より一定の期間にわたって均等に取り崩します ( 注 ) 注 : 翌事業年度からの各年度の取崩し額 ( 益金算入額 ) は以下のとおり 対象資産の耐用年数が10 年以上の場合 当初積立損金算入額 ( 当事業年度の月数 /84) 対象資産の耐用年数が10 年未満の場合 当初積立損金算入額 [( 当事業年度の月数 )/( 60 と その耐用年数 12 とのいずれか少ない数)] 注 : 個別の適用要件は 国税庁ホームページ (http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji313.htm) などで確認できます 2

4. 特別償却と特別控除の選択 前章 3. 特別償却と特別控除についての留意点 で示した適用要件 (1) のとおり 特別償却と特 別控除は重複適用ができないため 両方の内容を十分に検討したうえで 有利な方を選択する必要があります ここでは 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却 法人税額の特別控除 ( 注 ) 制度の適用を受ける場合の計算例 ( 概算 ) に基づいて 選択のポイントを検討します 以下の計算例では この制度の要件をすべて満たしているものとします 注 : この制度では 機械等を取得して事業の用に供した年度に一定の要件を満たせば 取得価額の 30% の特別償却か取得価額の7%( ただし法人税額の 20% 相当額まで ) の特別控除の適用を受けることができます 特別控除の対象となるのは 資本金または出資金の額が 3,000 万円以下の法人に限られます なお この制度については 現在 産業競争力強化法に規定する生産性向上設備等を対象とする場合の拡充 および適用期限の延長を内容とする税制改正が検討されていますが 以下の計算例では 対象資産が制度拡充の対象となる生産性向上設備等に該当しないものとして計算しています 計算例 ( 概算 ):3 月決算法人が平成 25 年 4 月 1 日に対象資産を取得した場合 1. 計算の前提 対象資産: 機械 耐用年数:10 年 取得価額:3,000 千円 減価償却方法: 定率法 資本金:10,000 千円 1 事業年度の月数 :12 カ月 法人税率:25.5%( 所得のうち 8,000 千円までの部分は 15%) 対象資産の減価償却を考慮しない場合の所得金額 :10,000 千円 ( 毎事業年度同一と仮定 ) すべての事業年度において 対象資産は 12 カ月事業の用に供されており 減価償却および特別控除は限度額まで適用を受けるものとする 減価償却は残存簿価 1 円になるまで行う 2. 計算結果 ( 所得金額は 1,000 円未満 法人税額は 100 円未満を各々切り捨て 復興特別法人税は省略 ) (1) 償却費を計上する方法による特別償却の場合 ( 円 ) 年数普通償却特別償却 1+2 減価償却後の所得金額 ( 年目 ) 1 2 3 10,000 千円 -3 法人税額 1 600,000 900,000 1,500,000 8,500,000 1,327,500 2 300,000-300,000 9,700,000 1,633,500 3 240,000-240,000 9,760,000 1,648,800 4 240,000-240,000 9,760,000 1,648,800 5 240,000-240,000 9,760,000 1,648,800 6 240,000-240,000 9,760,000 1,648,800 7 239,999-239,999 9,760,000 1,648,800 8 - - - 10,000,000 1,710,000 9 - - - 10,000,000 1,710,000 10 - - - 10,000,000 1,710,000 合計 2,099,999 900,000 2,999,999 97,000,000 16,335,000 3

(2) 特別償却準備金を積み立てる方法による特別償却の場合 ( 円 ) 年数普通償却特別償却準備金 1+2 減価償却後の所得金額 ( 年目 ) 1 2 3 10,000 千円 -3 法人税額 1 600,000 900,000 1,500,000 8,500,000 1,327,500 2 480,000 128,571 351,429 9,648,000 1,620,200 3 384,000 128,571 255,429 9,744,000 1,644,700 4 307,200 128,571 178,629 9,821,000 1,664,300 5 245,760 128,571 117,189 9,882,000 1,679,900 6 196,608 128,571 68,037 9,931,000 1,692,400 7 196,608 128,571 68,037 9,931,000 1,692,400 8 196,608 128,571 68,037 9,931,000 1,692,400 9 196,608 3 196,605 9,803,000 1,659,700 10 196,607-196,607 9,803,000 1,659,700 合計 2,999,999-2,999,999 96,994,000 16,333,200 注 : 繰入額 ( 損金算入額 ) はプラス 取崩額 ( 益金算入額 ) はマイナス ( ) で表示 (3) 特別控除の場合 年数 ( 年目 ) 普通償却 普通償却後の所得金額 特別控除前の法人税額 特別控除額 ( 円 ) 特別控除後の法人税額 1 (10,000 千円 -1) 2 3 2-3 1 600,000 9,400,000 1,557,000 210,000 1,347,000 2 480,000 9,520,000 1,587,600-1,587,600 3 384,000 9,616,000 1,612,080-1,612,000 4 307,200 9,692,000 1,631,460-1,631,400 5 245,760 9,754,000 1,647,270-1,647,200 6 196,608 9,803,000 1,659,765-1,659,700 7 196,608 9,803,000 1,659,765-1,659,700 8 196,608 9,803,000 1,659,765-1,659,700 9 196,608 9,803,000 1,659,765-1,659,700 10 196,607 9,803,000 1,659,765-1,659,700 合計 2,999,999 96,997,000 16,334,235 210,000 16,123,700 基本的に 特別償却には 課税の繰延べ 税額控除には 税額の免除 の効果がありますが 上記計算例における選択のポイントは以下のとおりです 償却を早期に多く行いたい場合は 特別償却 ((1) および (2)) を選択するとよいでしょう 4

償却費を計上する方法の特別償却((1)) では 普通償却の均等償却切り替えまでの期間および残存簿価 1 円になるまでの償却年数が短縮されます 特別償却準備金を積み立てる方法の特別償却 ((2)) や特別控除 ((3)) では これらの期間 年数は短縮されません 長期の合計の税額を減少させたいときは 特別控除を選択するとよいでしょう (3) の税額合計は (1) や (2) の税額合計よりも少なくなっています ただし 1 年目のみの税額で比較すると (3) よりも (1) や (2) の方が少なくなっていますから 特に設備等の取得年度の税負担を減少させたいのであれば特別償却を選択することになります 特別控除は 対象資産の取得年度および翌年度が欠損となるときには受けられません しかし 特別償却を選択して欠損金となった場合は 最長 9 年間は欠損金の繰越控除の適用が受けられます 内容は 2014 年 1 月 21 日時点の情報に基づいて作成されたものです 本情報は 法律 会計 税務等の一般的な説明です 個別具体的な法律上 会計上 税務上等の判断や対策などについては専門家 ( 弁護士 公認会計士 税理士等 ) にごください また 本情報の全部または一部を無断で複写 ( コピー ) することは著作権法上での例外を除き 禁じられています みずほ総合研究所部東京室 03-3591-7077 / 大阪室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/service/membership/advice/ 5