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プロジェクトの 全体概要 現庁舎の老朽化および狭あい化による 市庁舎の現地建て替え計画 市民の 安全 安心 の拠 点として 利用しやすく親しみのある庁舎を木造で実現することがテーマである 長門市では すでに地域の木材を積極的に公共建築物に活用する取り組みを行っており 本計画に より その最大効果が期

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目次 ( )

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都市計画変更素案に関する説明会 建築規制の変更に関する説明会 特定整備路線補助 29 号線 井 東 込区間 (JR 横須賀線 区界 ) 沿道 日時 : 平成 29 年 8 3 ( ) 場所 : 品川区 伊藤 学校 前方右側に手話通訳者を配置しております 必要な方はお近くの席にお移り願います 1 本日

名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

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11 高須小学校 1 浜田小学校 13 野里小学校 14 大姶良小学校 15 南小学校 16 西俣小学校 17 高隈小学校 18 大黒小学校 19 西原台小学校 1 市成小学校 高尾小学校 3 百引小学校 4 平南小学校 5 串良小学校 6 細山田小学校 特別 11 S 旧 H1 0.5

物 件 調 書

工場立地法の概要

強化 LVL 接合板および接合ピンを用いた木質構造フレームの開発 奈良県森林技術センター中田欣作 1. はじめに集成材を用いた木質構造で一般的に用いられている金物の代わりに スギ材単板を積層熱圧した強化 LVL を接合部材として用いる接合方法を開発した この接合方法では 集成材と接合板である強化 L

PowerPoint プレゼンテーション

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横浜市のマンション 耐震化補助制度について

鉄道建築ニュース用原稿 「シャッター」 070928   (社)日本シヤッター・ドア協会


説明書 ( 耐震性 ) 在来木造一戸建て用 ( 第二面 ) 基礎根入れ深さ深さ ( mm ) 住宅工事仕様書 適 基礎の 立上り部分 高さ ( mm ) 厚さ ( mm ) 基礎伏図 不適 各部寸法底盤の寸法厚さ ( mm ) 幅 ( mm ) 基礎詳細図 基礎の配筋主筋 ( 径 mm ) 矩計図

第2章 事務処理に関する審査指針

さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 第 4 渡り廊下で接続されている場合の取り扱い 155 第 4 渡り廊下で接続されている場合の 取り扱い

教室等の室内環境の在り方について-天井高さを中心として-事例集


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Data RC 環境の時代

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目次構成

Microsoft Word - UA_ηA計算補助資料

CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐火性能の評価 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLTによる木造建築物の設計法の開発 ( その 3) ~ 防耐火性能の評価 ~ 建築防火研究グループ上席研究員成瀬友宏 1 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐

東京都建築安全条例(昭和二十五年東京都条例第八十九号)新旧対照表(抄)

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大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

資料 5-1 防耐火に係る基準 資料の素案 第 1 章総則 ( 設計基準 ) 1.2 用語の定義 主要構造部 : 建築基準法第 2 条第 5 号による 耐火構造 : 建築基準法第 2 条第 7 号による 準耐火構造 : 建築基準法第 2 条第 7 の 2 号による 防火構造 不燃材料 : 建築基準法

(2) 届出内容の確認方法について 建築計画内容を確認するために 委員会でチェックしやすい届出の 様式を作成しておくと便利です チェックしやすい様式としてチェックシートがあります 建築協定で定めている建築物に関する基準の項目を一覧表にし 建築主や代理者が建築計画の内容を記入できるものにしましょう 数

第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

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「(仮称)泉区高森2丁目プロジェクト」着工

第1号様式(第9条第1項関係)

ARCHITREND ZERO ボリューム計画図編

質問 11 敷地内に現在浄化槽があれば 位置を配置図で教えてください 浄化槽は設置されておりません 質問 12 増改築は昭和のいつ頃おこなわれましたか? 昭和 52 年に増改築されています 質問 13 基本の建物の内部をゲストハウスとして改装すると考えてよろしいでしょうか? 実施要領 4 提案概要

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設 機能の見直しハード面の効率化財源確保1-3. 再配置パターン ( 手法 ) の考え方 再配置計画の検討に向けて 公共施設の再配置を う場合の基本的なパターン ( 手法 ) について整理し それらの効果についても確認していきます 施設の再配置にあたっては 厳しい財政状況の中 人口が減少傾向にあるこ

年次業務報告書記載に関する留意点

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区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

Ⅲ 診断判定モデル住宅事例 建物概要 2 階建て木造住宅延べ床面積 53 m2 1 昭和 56 年 6 月以降 2 地盤は普通か良い 3 鉄筋コンクリート基礎 4 屋根は軽い 5 健全である 6 壁量多い 7 筋かいあり 8 壁のバランスが良い 9 建物形状はほぼ整形 10 金物あり 老朽度 診断結

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東京都建築安全条例の見直しの考え方

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目次 方針策定の背景 1-1. 用途地域指定の基本的な考え方 1-2. 住居系 [ 第一種低層住居専用地域 ] [ 第二種低層住居専用地域 ] [ 第一種中高層住居専用地域 ] [ 第二種中高層住居専用地域 ] [ 第一種住居地域 ] [ 第二種住居地域 ] [ 準住居地域 ] [ 田園住居地域 ]

隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

設計壁リフォーム標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディングモエンサイディングセンターサイディング屋根リフォームセンタールーフアルマ8-1 適用条件 8 屋根リフォームの設計 1) 適合対象建築物昭和 56 年の建築基準法新耐震基準に適合する木造建築物 昭和 56 年 5

CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~ 構造研究グループ荒木康弘 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~

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建物の建築の基準についての 都市計画変更 案に関する説明会 大田区東馬込二丁目 ( 補助 29 号線沿道地区 ) 高度地区の変更 防火地域の変更 用途地域の変更 日時 : 平成 30 年 11 月 19 日 ( 月 ) 場所 : 大田区立馬込小学校 大田区 1 本日の説明項目 1 本説明会の主旨 2

第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

金沢都市計画地区計画の変更

中間検査が必要となる建築物の対象拡大について

様式 1 号 ( 外構部の木質化対策支援事業助成金交付規程第 6 関係 ) 全国木材協同組合連合会会長松原正和殿 外構実証事業申請書 下記のとおり外構実証事業に申請します (1) 申請者情報会社住所 事業担当者連絡先 建設業を生業とすることの証明 ( 右のいずれかについて )( 注 ) 会社名代表者

第3章 長寿命化改修と併せて検討したいこと

設計162 外壁リフォーム事前調査の方法標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディング張り替え工法モエンサイディング張り替え工法 外張り断熱センターサイディング重ね張り工法設計屋根リフォームセンタールーフ重ね葺き工法アルマ重ね葺き工法参考資8-1 適用条件 8-2 屋根リフ

1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

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2) 行政機能ゾーニングについて新庁舎の整備において 各部署の庁内配置については 来庁舎の利便性と職員の業務効率の向上等の観点から以下のように考えます 1 町民の利用頻度が高い部署の考え方 相談 窓口 情報提供 の機能を有する町民の利用頻度が高い部署は 町民の利便性と来庁のしやすさに配慮して 1 階

2/9 学校 ( 幼稚園 ) 名久保小学校長江小学校土堂小学校 棟用途 棟面積第一次診断第二次診断改修改修後建築年月構造階数区分番号枝番 ( m2 ) 年度 Is 値年度 Is 値年度 普通 特別 管理教室棟 1 1 S8.1 R 3 2,950 旧基準 H H 屋内運動

建築基準法第43条第1項ただし書に係る一括同意基準

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Microsoft Word - 岡崎駅南リーフレット案【最終】

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Microsoft Word - 防露試験ガイドライン doc

表 3-2 企画書の項目例 項目 特筆事項 1. 事業のコンセプト目的等 2. 設計内容について 3. 木材の調達について 4. 発注方式について 計画条件 ( 面積や階数などの諸元について ) 架構方式設計に関連する木材の品質について 伐採スケジュールと量の把握方法 ( 情報入手先の提示 ) 地域

東京都市計画高度地区変更(練馬区決定) 【原案(案)】

様式 2-2 平成 27 年度耐震対策緊急促進事業補助金交付 申請 決定 額表 事業主体名 ( 単位 : 千 ) 都道府県名 市町村名 耐震診断 補強設計 耐震改修対象建築物の名称 補助金額 摘要 ( 備考 ) 1 本表は別に 2 部作成し 提出すること 2 本表は 事業ごとに作成すること

用途地域変更の考え方 ( 素案 ) 1 駅 駅前広場 アクセス道路沿道の土地利用の促進 駅 北側沿道 25m 以内及び沿道南側街区を近隣商業地域へ変更 18

申請者等の概要 ( 第二面 ) 1. 申請者 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 郵便番号 住所 電話番号 2. 代理者 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 建築士事務所名 郵便番号 住所 電話番号 3. 建築主 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 郵便番号 住所 電話番号 4. 設計者 資格

ARCHITREND ZERO Ver.3の新機能

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Transcription:

採択事例 38 ( 平成 26 年度 ) 補助種別 木造化 プロジェクト名提案者 ( 事業者 ) 設計者施工者建設地 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 学校法人栄光学園株式会社日本設計大成建設株式会社神奈川県鎌倉市玉縄 4-1-1 提案の概要 A. プロジェクト全体の概要 全国でも有数の進学校である栄光学園は平成 29 年に創立 70 周年を迎え 同時に現校舎が築後 50 年を経過し 防災性能の強化が急がれている 敷地の広さを活かしてより低層化すると共に木造の良さを取り入れ より人と環境に優しく情操教育にも貢献する建築を目指す B. 提案する木造化 木質化の取り組み内容の概要 都心周縁部の防火地域指定のない環境を活かし R C 造 3 階建ての既存校舎を 1 階を R C 造 + 木 + 鉄骨のハイブリッド柱 2 階を木造を主とした 2 階建てに建て替える 耐震要素を兼ねた R C 耐火構造部により 2,000m2未満に区画し 連結することで大規模木造校舎を構成する 内装においても木質化を図り 1 2 階の教室ではともに木の温かみを活かした教育空間をつくる C. 提案のアピールポイント 2 階建て木造 /R C 造のハイブリッド構造による工期短縮 安全性向上 橋梁のゲルバー梁を木造に応用し 規格材で 9m 超スパンを達成 将来の教室変更に対応し耐震壁を移設できるフレキシブルな構造 これらを組み合せて汎用性のある学校建て替えのモデルケースを目指す 計画案の外観パース 評価のポイント 中 高一貫校の創立 70 周年事業としての校舎建て替え計画 橋梁に用いられるゲルバー梁 ( 連続梁中間部の適当な位置にピン接合を配置して静定構造とした架構 ) を応用し 規格材での 9 m スパンを実現する 継手により連結した規格材の両端を引張材により固定する柱梁架構で教室を構成している 教室を分割する間仕切壁は 耐震壁でありながら教室機能の変化に対応できるように移設可能な計画となっている また RC 造のコアと床スラブにより 効果的に防火上の区画を構成することで 大規模木造建築を可能としている 木造による学校校舎建て替えのプロトタイプとなることが期待される 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 1 205

プロジェクトの全体概要 プロジェクト概要 全国有数の進学校である栄光学園中学高等学校の創立 70 周年事業としての校舎建て替え計画である 計画地は JR 大船駅の西側に位置し 北側は住宅街 南側は山林に隣接する約 10 万m2の校地を有する 全 9 棟の既存校舎のうち 築 50 年が経過し耐震補強が難しい本校舎の建て替えを本計画では予定している 都心周縁に位置し 防火地域指定のない敷地条件を活かし 既存の R C 造 3 階建て校舎を 木造と RC 造のハイブリッド構造による 2 階建て校舎に建て替える 学校校舎建て替えのモデルケースとして 軽量 短工期で良好な教育環境を生み出す木造と 耐震 遮音を負担する R C 造のメリットを組み合わせ 今後多く起こる学校校舎建て替えのプロトタイプとなるような校舎の実現を目指す 木造の架構形式に関しては 学校の教室スパンをふまえてゲルバー梁形式を採用するとともに 多様な廊下形式に対しても柔軟に対応できる汎用性の高い計画を目指す 木造の教室ボリュームの両端に R C 造の水廻りやを配置することで 耐火性能 耐震性能を確保するとともに 適正な間隔で教室に付随すべき必要な機能を付加することができる 計画敷地図 木造化プロジェクトの全体像 木造校舎が生み出す良好な教育環境 既存校舎の平面配置を踏襲し エの字型配置としており 敷地の広さを活用して 階数を2 階に抑え 接地性の高い計画としている 棟構成は本校舎棟 西棟の2 棟で構成されている 各棟で若干システムは異なるが 基本構成を木造と RC 造のハイブリッド構造とし ぬくもりを感じる木造を取り入れながら耐震安全性に配慮した計画とした トイレやなどは R C 造の耐震要素として集約するとともに 延床面積 2,000m2以内で耐火構造棟として配置することで 防火性能を満足させる別棟として扱う計画としている 普通教室が並ぶ本校舎南側は片廊下型の平面構成 特別教室 職員部門が並ぶ本校舎北側は中廊下型の平面構成となっている 両棟と既存の複合校舎棟は渡り廊下状の聖堂軸と呼ばれる空間で連結されており それぞれのスパンに適した木造架構を採用している 架構の全体イメージ 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 2 206

3890 4100 238.6 238.6 1800 10617.8 1600 1290 本校舎棟 2 階平面図 14000 2200 2290 2 21200 1800 269.3 美術 技術棟 2 階 + 本校舎棟 1 階平面図 7000 8500 4700 269.3 6900 部室棟 + 美術 技術棟 1 階平面図 部室棟 美術 技術棟 本校舎棟断面図 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 3 207

木造化 木質化の取り組み内容 先端性 先進性 ゲルバー梁の応用による規格材での 9m 超スパンの達成 規格材寸法に基くモジュール化による建設効率化とフレキシビリティの両立 R C 耐火構造と木造の合理的バランスによる耐震性能と持続可能性の向上 波及性 普及性 規格材寸法の採用による調達加工の容易性 標準的な金物による構成 木造 R C 造ハイブリッド構造による安全かつ短工期の建て替えの実現 通常の小屋組を避けた構造で棟高を低く抑え 周辺環境への負荷を低減 著名な進学校での積極的な木造化により 木造学校への社会的関心を喚起 使用する木材 木質建材の特徴 基本構造材はスギ材などの流通材寸法内とし 汎用性と経済性を追求する 高ヤング率が求められる部分のみヒノキ カラマツ等を用いる スギ ヒノキ等の積極的な利用による国内森林資源の活用維持に貢献 規格材を利用したロングスパン架構の実現 ゲルバー梁システムの木造建築への応用 橋梁に多用されるゲルバー梁を木造建築に応用する 継手により連結した規格材の両端をタイロッドにより固定する柱梁架構を 1.8m スパン 5 で 9m 角の教室を構成する 既往の技術を統合することにより 一般的なトラス屋根に比べて経済的にロングスパン架構を実現することができる また屋根勾配を抑えることができるため 周辺への日照や通風の確保に貢献する 梁中間継手部は複雑な仕様が要求される接合部とはせず プレカットでも対応可能な追掛大栓継手などとする 加工工場や施工者を限定することを防ぎ 汎用性を確保する 片廊下型の本校舎棟南側は片流れ型のゲルバー梁とする一方 中廊下型の本校舎北側に対しては棟部分を半剛接とすることで切妻型のゲルバー梁として対応する 基本構造材は全国的に余剰なスギ材を 高ヤング率が求められる部分にはヒノキ カラマツ等を用いる スギ ヒノキを積極的に利用することで 県産材 国産材の利用を促進する 規格材のメリットを引き出すモジュール化 規格材の寸法に基いて空間と構造要素をモジュール化することで 端材が少ない効率的な木材利用が可能になる また梁間寸法を構造用合板パネルの既製サイズ ( 約 1.8m) に合わせることで 現場施工の省力化をはかる 約 1 間の梁間寸法は建具寸法とも整合をとり易く 将来的な室用途や間仕切り位置の変更に対しても 建具の移設等の対応がし易い計画となる 普通教室普通教室ピン接合 1 片流れ型ゲルバー梁 ( 片廊下 ) 半剛接職員室相談室特別教室特別教室 2 切妻型ゲルバー梁 ( 中廊下 ) ゲルバー梁のバリエーション 木造 RC 造の併用による大規模校舎の実現 性能とコストのベストバランス 柱 梁をあらわした暖かみある木造空間を創りながら RC 造の耐火構造棟により耐震性を高める また 耐火要件上の別棟として分節し 必要な防火性能を満足する計画とする 2 階床を RC スラブとし 水平力を確実に RC 造の隔壁に伝達し層間の遮音性を高める 2 階床荷重は木 + 鉄骨のハイブリッド柱で支持され 1 階の開放性とフレキシビリティを確保する バルコニー部分は延焼防止に役立つとともに避難動線としても機能する 上部を木造で軽量化した 2 階建て校舎は同等規模の R C 造 3 階建てと比較して より少ない耐震要素で同等の耐震性能を実現することができる 建て替え計画への配慮 1 階の R C 造部分を構築中に 2 階部分の木造躯体部材を工場加工することで早期の 2 階組み立てが可能である 工期を短縮し校内作業の安全性にも寄与する 仮囲いが低く抑えられ 近隣や建て替え中も継続利用する校舎への圧迫感も軽減され 良好な環境を維持できる 木造 RC 造の併用 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 4 208

12.23 12.23 INAME OF DRAWING SCAT耐火構造棟 L35 40 48. 33.75 33.487 12.23 12.23 47.92 33.93 3.51 38.60 2.25 35.910 37.29 47.67 47.11 24.12 24.12 47.06 39.31 44.993 40.86 40.592 41.34 41.84 2.96 2. 43.51 2. 2. 44.04 47.046 2. 44.83 40 2.96 2. 2. 2. 2. テニスコート A 47.082 M M.71 47.034 時計 時計.10 8.23 60 64.08 18..10 8.50 0.33 1.42 8. 2.12.66 2.01 1.35 1.34 1.62 1.75 2.10 3.10 50 1.44 2.14 2.05 1.03 1.28 8. 1.48 1.40 2.73 1. 1.46 2.47 トラックフィールド 1.68 4. 60 64.08 7.81.10 0.33 1.42 2.12.66 2.01 1.35 1.34 1.62 50 1.44 1. 1.46 46.04 48.53 水 1.76 4.92 15.85 3.64 44.408 4.12 7.25 12.90 6.66 56.411 3.05 2 3.99 2.26 3.94 10.96 6.42 2 246.36 4.70 67.643 14.76 25.19 イエズス会修道院 247 189 77.677 71.42 70.46 9.07 41.380 T50 6.05 82.880 190 水 4.09 8.99 3.72 1.76 75 8.19 9.97 19.57 80 4.92 4.80 30.07 3.60 9.70 24.46 4.12 75 7.25 70 12.90 6.66 60 3.05 8.75 8.75 3.99 19.27 2.26 3.94 10.96 36.154 6.62 8.08 2 246 4.70 木造化プロジェクトの全体像基本構成を木造と RC 造のハイブリッド構造とし ぬくもりを感じる木造を取り入れながら耐震安全性に配慮した計画とした 1.8m 5= 9 m 9.1m 規格材を利用したロングスパン架構の実現橋梁に多用されるゲルバー梁を木造建築に応用する 継手により連結した規格材の両端をタイロッドにより固定する柱梁架構を 1.82m スパン 5で 9.1m 角の教室を構成する 追掛け大栓継手などを用いた梁中間継手部 既成サイズの構造用合板を用いた耐震壁 15.54 1.68 4. 7.81 7.82 7.81 7.77 7.82 7.80 7.80 33.75 33.487 33.93 4.75 4.75 6.15 3.51 3.05 2.88 3.51 3.05 2.88 2.25 35.910.10 8.23 17.80 18. 8.50 2.10 2.14 1.28 1.48 1.40 アロイジオ会館 複合校舎 46.04 17.64 7.83 7.82 5.99 47.32 48.53 48. 木造 RC 造併用による大規模校舎の実現 1.03 8. 7.77 7.83 7.83 7.84 柱 梁をあらわした暖かみある木造空間を創りながら RC 造の耐火構造棟により耐震性を高める また 耐火要件上の別棟として分節し 必要な防火性能を満足する計画とする 17.64 7.83 7.82 5.99 1.76 37.29 3.06 3.06 3.05 2.76 3.06 39.31 2.76 3.06 3.16 3.75 3.16 3.75 工作室 40.86 41.34 40.592 3.22 3.12 3.20 2.20 3.22 3.12 43.51 41.84 44.83 44.04 3.20 2.20 4.67 4.67 5.32 5.32 2.42 2.60 2.74 2.42 2.60 2.74 2.96 7.47 7.235.75 4.12 7.47 7.23 5.75 4.12 耐火構造棟 47.19 木造教室 53.15 8. 1.75 2.05 53.10 3.10 3.10 2.35 2.73 2.35 2.73 2.47 耐火構造棟 48.71 49.13 50.83 15.857.75 15.85 44.408 2 3.64 6.42 47.67 53.17 間仕切り壁の移設が可能 7.81 7.82 52.96 20.39 47.92 47.11 47.06 4.75 4.75 6.15 3.51 3.05 2.88 3.05 2.88 3.05 3.06 3.06 2.76 3.06 3.16 3.75 2.76 3.06 3.16 3.75 工作室 3.22 3.12 3.20 2.20 3.22 3.12 第二体育館 3.20 2.20 4.67 4.67 5.32 47.04 5.32 2.42 2.60 2.74 2.42 2.60 2.74 2.96 7.47 7.235.75 4.12 7.47 7.23 5.75 4.12 47.19 53.15 53.17 17.80 53.10 3.10 2.35 2.35 2.73 15.54 53.0 設が可能な計画とする このフレキシビリティはこれまでの木造学校 47.07 46.97 49.96 7.82 7.80 7.80 7.77 教室用途の変更に応えるフレキシビリティ 少子化や教育環境に応じた教室機能の変化に対して 間仕切り壁の移 建築になかった特色である 7.77 7.83 7.83 7.84 17.64 7.83 7.82 5.99 48.71 49.13 50.83 トラックフィールド 51.69 17.64 7.837.82 5.99 1.76 52.96 15.857.75 20.39 53.03 29.99 12.14 11.72 大講堂 9.84 6.46 56.411 13.02 13.39 第二体育館 テニスコートA 47.04 47.17 47.07 53.0 11.72 53.03 9.84 6.46 15.53 8.36 1.40 T耐火構造棟 47.046 47.082 49.96.71 47.034 13.02 13.39 67.643 その他 46.97 耐火別棟構成図 51.69 E ( 様式 5 添付 1) 耐火別棟構成図 40.090 16.67 16.67 47.67 48.87 30.42 受水槽 現時点での計画案であ 1 58.8 20.36 64.216 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 5 209 31.06

少子化や教育環境に応じた教室機能の変化に対して 間仕切り壁の移設が可能な計画とする このフレキシビリティはこれまでの木造学校建築に無かった特色である 現状は 人 4 クラスで 1 学年を構成するが 昨今公立校で推進される 35 人程度の少人数クラス化に対応し 5 教室に分割する (1.8m 5 スパン 4 スパン ) などが想定される 2 階の間仕切りは耐震壁を兼ねているため 将来的な変更に円滑に対応できるよう 設計時に耐震安全性 避難計画などについてあらかじめ検討する 1 階は水平力を R C の隔壁に 鉛直力を木 + 鉄骨のハイブリッド柱に負担させる計画とし 木造の間仕切りが自由に移設できる計画とする 木造校舎のモデルケースとして 全国有数の進学校での木造による校舎建て替えとして教育界を通じて社会の注目度は高い 高度成長期に建てられた学校が全国的に数多く耐震性能面で不安を抱える中 校舎建て替えのモデルとなることが期待される 定期的に催される学園祭 体育祭 学校説明会 花見の会や豊富な体育施設を利用したスポーツイベント等で地域社会や他校の教員 生徒に開放されることが多く 認知度は高い 校門近くに新たに設けるエントランスは木造の温かみのあるフレームで構成し 前面道路からも望める顔となる空間をつくり出す 平面 A: 現状の1 学年 4クラスに対応する場合平面 B: 将来の1 学年 5クラスに対応する場合平面 C: 特別教室 ( 大教室 )+ 準備室に対応する場合間仕切り変更の想定パターン 開かれたアプローチパターン プロジェクトデータ 提案者 ( 事業者 建築主 ) 設計者 施工者 建設地は扉頁参照 建設事業者 ( 提案者 ) 事業の実施体制 建物名称 : 栄光学園 70 周年事業校舎主要用途 : 学校主要構造 : 木造 ( 軸組構法 枠組壁工法 丸太組構法 その他 ) 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造 その他防火地域等の区分 : 防火地域 準防火地域 法 22 条区域 その他の地域耐火建築物等の要件 : 耐火建築物 準耐火建築物 (60 分耐火 ) 準耐火建築物 ( 分耐火 ) その他の建築物敷地面積 :105,852m2建築面積 :4,787m2延べ面積 :9,215m2軒高 :8.m 最高の高さ :9.20m 階数 : 地上 2 階 設計者 設計監理契約 基本設計者株式会社日本設計 ( 提案作業協力者 ) 実施設計者日本設計 大成建設設計共同事業体 監理者株式会社日本設計 学校法人栄光学園 実施設計契約 監理 工事契約施工者大成建設株式会社 ( 未定 ) 木構造専門業者 ( 未定 ) 事業期間 : 平成 26 年度 ~ 29 年度補助対象事業費 :2,877,200 千円補助金額 :1,600 千円 ( うち平成 26 年度分 14,300 千円 ) 事業スケジュール 26 年平成 27 年平成 28 年平成 29 年 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 基本設計 設計 期工事 期工事 栄光学園 70 周年事業校舎建設計画 6 210