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負荷試験 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時 )

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肥満 腹部下垂 腹囲膨満 筋肉萎縮元気減退 消失 倦怠 沈鬱 傾眠 虚脱食欲増進 ~ 不振 多飲多尿軟便 下痢 嘔気 嘔吐 腹部不快 2) 血液一般検査 : 随伴疾患に影響を受ける 多血 好酸球減少 3) 血液化学検査 : 肝酵素上昇 脂質異常 高血糖 BUN/Cre 低下 高リン ALP 高値 T

a SG b PG SG M L 図 1. 99m Tc-MIBI を用いた二相性副甲状腺シンチグラフィ 99m Tc-MIBI 投与 15 分後の早期像 ( a) と約 3 時間後の後期像 ( b) を示す 早期像では甲状腺右葉下極付近の副甲状腺腺腫 ( a: 矢印 ) とともに甲状腺両葉が描出さ

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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

第 7 章 腎 泌尿器領域 (a) : すべての専門医が到達すべき知識 技術 (b) : すべての専門医が, さらに高度の専門性を獲得するために到達すべき知識 技術 (c) : 該当する領域において, 専門医が到達すべき知識 技術 (d) : 該当する領域において, 専門医がさらに高度の専門性を獲得

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

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4. 膵腫瘤存在診断 A) 確診 1 粋の明らかな異常エコー域 ( 注 ) 2 粋の異常エコー域が以下のいずれかの所見を伴うもの a) 尾側膵管の拡張 b) 膵内または膵領域の胆管の狭窄ないし閉塞 c) 膵の限局性腫大 B) 疑診 1 膵の異常エコー域 2 膵領域の異常エコー域 3 膵の限局性腫大

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限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

Case 高カルシウム血症と腎不全の78歳の男性 ケースのプレゼンテーション博士Sahirカリム(医学)は:78歳の男性があるため、高カルシウム血症および腎不全のこの病院に入院しました。患者は現在の入院前に約4ヶ月まで、彼のいつも健康にしていました。彼はその後、呼吸困難、咳、肋骨の痛み、脇腹の痛みのこの病院に入院していた、とありました血尿の1つのエピソードが伝えられる1週間早く発生しました。検査では、バイタルサインは正常でした。肺や収縮期駆出性雑音(グレード2/6)の両方のベースでラ音


2 身体所見 体格 身長, 体重, BMI を記載する 腹囲なども状況により記載を検討する 浮腫が著明の場合, 真の体重ではないため BMI は参考値となる バイタルサイン 体温, 血圧, 脈拍, 呼吸数など 電子カルテに看護師が毎日記録しているが, 練習のため自分で測定するとより良い 診察所見 必

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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Transcription:

副甲状腺機能亢進症の 画像診断 -MIBI シンチを中心に- 北光記念病院中駄邦博

2 次性副甲状腺機能亢進症 ( 透析 ) 高 P 血症に対する反応性変化全ての腺の過形成治癒する疾患ではない軽快 再燃の繰り返し根本的解決手段は腎移植最近はレグパラ (cinaclcet) が用いられる. 原発性副甲状腺機能亢進症 1 腺腫大が 90% 治癒しうる疾患 再燃はある

PTH の作用 骨吸収の促進 ( 骨芽細胞系細胞を介する ) 腎近位尿細管からのリンの再吸収抑制 腎遠位置尿細管からのカルシウムの再吸収を促進 副甲状腺甲状腺機能亢進症では高カルシウム血症と低リン血症がみられる 骨粗鬆症 腎結石 胆嚢結石も認められる

副甲状腺機能亢進症の検査所見 副甲状腺ホルモン (intact PTH whole PTH) 高値 高 Ca 血症 低 P 血症 高 Ca 尿症 : 一日畜尿で尿中排泄量 200mg 以上 骨粗鬆症 腎結石

PTH が高値なのに Ca と P が正常のときは ビタミン D 欠乏症の可能性がある! この場合は手術や PEIT ではなく ビタミン D の補充が治療となる. PTH が高い時は血中の活性型ビタミン D は低くな らないので 活性型になる前のトータルのビタミン D (25-OH ビタミン D) を測定する必要がある 保険適応ではない

原発性副甲状腺機能亢進症 カルシウムの値はアルブミン値の影響をうける Ca [NET] = Ca- (Alb-3.7) イオン化カルシウム (Ca 2+ ) はアルブミンの影響を 受けにくいが 測定に時間を要する (5-6 日間 ) 高カルシウム血症の症状は不眠 口渇 多飲多尿 筋力低下 便秘 食思不振 全身倦怠 混迷や記憶障害などの精神症状は Ca 値が 13mg/dl 以上になると出現

副甲状腺の解剖

甲状腺の局所解剖

甲状腺の画像解剖

副甲状腺 ( 上皮小体 ) の解剖 正常腺の重量は 30-40mg 上副甲状腺は輪状態軟骨付近に位置する 下副甲状腺は甲状腺下極に位置する 下甲状腺動脈によって栄養される ( 上甲状腺の 80%, 下副甲状腺の 90%) 正常人の 5 8% 前後に第 5 腺が存在し その殆どは発生学的に第 3 鰓嚢由来の 下副甲状腺 部位は縦隔 甲状腺内 頚 部 ( 下行不全 ) など MEN Type 1 では 60% が 5 腺以上

副甲状腺に対する画像診断の適 応 1. 原発性副甲状腺機能亢進症 Adenoma 2.2 次性副甲状腺機能亢進症 Hyperplasia 3. 家族性副甲状腺機能亢進症 Hyperplasia 4. 多発性内分泌腫瘍症 I 型 Hyperplasia IIA 型 Adenoma IIB 型にも稀に合併 腫大腺の局在と数の同定 異所性腺の検出 術後再発の検出 縮小手術 (minimally invasive parathyroidectomy)

副甲状腺の画像診断

腫大した副甲状腺の画像所見 US 甲状腺背側の low echo mass 甲状腺との間に明るい境界エコ - を認める Doppler で下甲状腺動脈からの血流を確認 CT 甲状腺背側の low density mass 比較的明瞭な造影効果 16 列以上の MDCT で MPR を作ると分かり易い MRI T1 強調像低信号 T2 強調像 STIR 高信号 造影後 T1 強調像強い造影効果

原発性副甲状腺機能亢進症 ( 左上副甲状腺腫大 ) PTHi 262(pg/ml) Ca 10.0(mg/dl)

右上副甲状腺腫大 US longitudinal transverse Ca 14.3(mg/dl) PTH-I 93.1(pg/ml)

乳頭癌と原発性副甲状腺機能亢進症の合併 60 歳代 女性 高血圧で北 記 病院に入院中 札 医 耳 科で class III で悪性の可能性があるとして定期 follow されていた 右葉上部に石灰化と嚢胞を伴った不整形腫瘤あり 左葉下極部背側に低エコーの組織 PTH 高値 最終的に甲状腺亜全摘出 +D2a 郭清

甲状腺左葉下極部

超音波の有用性と限界 甲状腺の周囲にある腫大腺の検出には最も鋭敏 内部の詳細な性状も評価できる 死角がある 食道の背側 鎖骨の裏側 瀰漫性甲状腺腫のある場合 リンパ節との区別がときに困難 その気で探さないと見落としてしまう

CT MPR(2-3mmスライス) 作成 鎖骨からのartifactに注意 単純 CT では甲状腺よりも低吸収 造影語 動脈相では強い早期濃染を示し 造影後 後期相では甲状腺よりは低濃度後期相では甲状腺よりは低濃度 ダイナミックCTを行うと 下甲状腺動脈や上甲状腺動脈を可視化できる

60 歳代 男性 原発性副甲状腺機能亢進症 Ca 10.9 (8.4-10.2) P 1.6 (2.5-4.6) PTH-I 205.0 (12-65) ALP 415 (101-360)

超音波 ( 左葉長軸 ) MIBI 後期像

CT(MPR 2mm /slice)

VR 画像 : 下甲状腺動脈が feeder いったん上行して蜷局を巻くようにして副甲状腺へ流入している

09 年 4 月 左下副甲状腺摘出術施行

70 歳代 男性. 右上副甲状腺腫大 MIBI では甲状腺右葉下極部に集積

CT MPR(2mm/slice)

3D VR 上甲状腺動脈と下甲状腺動脈の 2 重支配がみられる上甲状腺動脈と下甲状腺動脈の 2 重支配がみられる 下行した上副甲状腺の腫大

60 歳代 男性 二次性副甲状腺機能亢進症 糸球体腎炎 透析歴 12 年 左上及び下副甲状腺腫大 手術は行われていない

3D VR 正面像

左下副甲状腺には右最下甲状腺動脈が注いでいる

左上甲状腺動脈は左上副甲状腺へは注いでいないは注いでいない

左上甲状腺動脈は上副甲状腺へは注いでいないは注いでいない

左上副甲状腺には左下甲状腺動脈が注いでいる

30 歳代, 女性. 甲状腺左葉の瀘胞性腫瘍に合併した 左下副甲状腺腺腫

CT (axial) 左下副甲状腺が腫大

甲状腺腫瘍には上甲状腺動脈が注いでいる

3D VR image 副甲状腺には最下甲状腺動脈が feeder となっている

核医学の従来法 : Tl-TcTc サブトラクショシンチ

Tl-Tc subtraction scintigraphy Tl-201 Tc-99m Subtracted image T + P - T = P 検査中検査中 頭部が動かない様に十分注意! Sensitivity は MIBI より落ちる (70-80%)

MIBI 副甲状腺シンチグラフイ 薬剤 Tc-99m MIBI (methoxyisobutylisonitrile : sestamibi) 世界的な標準検査方法だが日本では保険適応になっていなかった 集積機序 ミトコンドリアの豊富な好酸性細胞に集積するとされている 従って副甲状腺機能は反映しない 正常の副甲状腺には集積しない 生理的集積 甲状腺 (2 時間後には消失する ) 唾液腺 鼻粘膜 口腔 心筋 肝臓 消化管 ( 胆汁に排泄 )

副甲状腺シンチグラフイ (MIBI) 撮像方法 標識率に注意! 96% 以下では検出率が低下する 10-20 mci (370-740 MBq) 静脈注射後 ( 苦味を感ずる事あり ) 10-20 分後 (early image) と 120-180 分後 (delayed image) に頚部 (+ 胸部 ) 正面像を撮像 SPECT 像を追加 自家移植している場合は移植部 ( 腕 ) も撮像 異常所見 正常の副甲状腺は描出されない 腫大した副甲状腺は局所的集積亢進として示され delayed image で集積が残存する 大きなものほど (> 500mg) 検出され易い False positive: 橋本病 甲状腺の充実性腫瘍 頚部リンパ節転移 False negative: 透析 血清 K 高値 深部病変 過形成 SPECT/CT fusion imageで診断率向上

Tc-99m MIBI の meta-analysis (6331 例 ) による原発性副甲状腺機能亢進症の診断成績 sensitivity 90.7% specificity 98.8%

1990 年 -2000 年における我が国の原発性副甲状腺機能亢進症 3152 例の分析 ( 甲状腺外科学会 ) 1. 性別 : 男性 82 (26%) : 女性 2332 (74%) 2. 年齢 : 40-60 代で 2225 例 (50 代にピ- ク ) 3. 手術前血清 Ca 値 (mg/dl): 11 < 38%, 11-12 37%, 12-14 21%, > 14 4% 4. 腫大腺重量 (g): 0.5 < 35%, 0.5-1 29%, 1-5 31%, > 5 5% 5. 病型 : 生化学型 54%, 腎結石型 35%, 骨病変型 11% 6. 病理組織 : 単発腺腫 84%, 過形成 11%, 多発腺腫 2%, 癌 2%, 判定不能 1% 7. 遺伝発生例 : 170/ 3152 (5.4%) MEN I 121, MEN IIA 18, 家族性 HPT 31 8. 腺腫の手術後経過 : Ca 正常化 95%, Ca 高値持続 2%, 永続性低 Ca 3% 9. 過形成の手術後経過 : Ca 正常化 82%, Ca 高値持続 6%, 永続性低 Ca 12% 10. 癌の手術後経過 : 治癒 84%, 担癌生存 8%, 原病死 8%

US MIBI positive hyperfunctioning gland PTH 262 (pg/ml) Ca 10.8 (mg/dl) the longest diameter 23 mm lft left upper early MIBI delayed Doppler 28yrs., f

Primary hyperparathyroidism early delayed MIBI Adenoma 540 mg US Ca 14.3(mg/dl) PTH-I 93.1(pg/ml) longitudinal transverse

MIBI- SPECT (coronal) early delayed

縦隔内副甲状腺腫による原発性副甲状腺 機能亢進症 early delayed

橋本病を合併した副甲状腺機能亢進症 Early Delayed 橋本病には delayed image でも MIBI 集積が残存する

US CT

50 才代, 女性.Hashimoto s thyroiditisと副甲状腺腺腫の合併例 ( 甲状腺左葉は切除後 ) MIBI planar SPECT US 右葉長軸 MIBI シンチでは甲状腺右葉への強い集積のために背面に存在する腫大 MIBI シンチでは甲状腺右葉への強い集積のために背面に存在する腫大した上副甲状腺への集積 (1040 mg の腺腫 ) への集積は指摘できないが US では甲状腺との間に境界エコーを有する低エコーの腫瘤として認められる

40 才代女性, 原発性副甲状腺甲状腺機能亢進症. 甲状腺右葉に腺腫を合併. MIBI では腫大副甲状腺を示唆する集積なし.

49yrs, female, MIBI positive gland at back aspect of lower pole of the left lobe. Delayed MIBI scan

ワークステーションを用いた MIBI SPECT /CT 融合画像の 作成

60 歳代女性 左下副甲状腺腫大 左葉に腺腫様甲状腺腫あり CT MIBI planar

左下甲状腺動脈が左下副甲状腺へ注ぐ

MIBI SPECT coronal images

SPECT/CT fusion uso MPR MIBI の集積は左下副甲状腺にきれいに superimpose される excellent

70 歳代 男性. 右上副甲状腺腫大 MIBI では甲状腺右葉下極部に集積

CT MPR(2mm/slice)

3D VR 上甲状腺動脈と下甲状腺動脈の 2 重支配がみられる上甲状腺動脈と下甲状腺動脈の 2 重支配がみられる 下行した上副甲状腺の腫大

MIBI/CT fusion MPR images MIBI の集積は左下副甲状腺に superimpose される fair

60 歳代, 男性. 左下副甲状腺腫大. 造影剤で吐き気 血圧上昇をきたし VR 画像はうまく作成できなかった USでは腫大副甲状腺を同定できず

MIBI scan

CT SPECT/CT fusion 左下副甲状腺に MIBI 集積が superimpose される. good

矢状断で頸椎の情報も同時に得られる ほぼ正常 頸椎症

まとめ - 今後の課題 腫大副甲状腺への feeding artery に関して詳細な情報が得られる事が判明した SPECT/CT 専用機を用いなくともwork stationで良好な fusion 画像が作成できる Fusion 画像の精度 画像処理の時間 外科治療成績 特にminimally invasive surgery への貢献度は?